特許第6507427号(P6507427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000002
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000003
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000004
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000005
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000006
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000007
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000008
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000009
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000010
  • 特許6507427-車載器および電気自動車 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6507427
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】車載器および電気自動車
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20190422BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20190422BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20190422BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20190422BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20190422BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/0969
   G08G1/09 F
   G08G1/13
   B60L3/00 S
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-221170(P2017-221170)
(22)【出願日】2017年11月16日
(62)【分割の表示】特願2017-7782(P2017-7782)の分割
【原出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2018-28554(P2018-28554A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-226264(P2013-226264)
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 一欽
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 卓
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−152149(JP,A)
【文献】 特開2013−053999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
B60L 3/00
G08G 1/09
G08G 1/0969
G08G 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載される車載器であって、
前記車載器は走行経路案内装置を含み、
前記走行経路案内装置は、
現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出部と、
前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割部と、
前記地域分割部が分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定部と、
作動中の電気自動車について、該電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路の算出を要求する再算出判定部と、
を備えることを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記監視変数は、電力消費量または走行時間の何れか一方または両方であることを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記地域分割部は、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、面状の複数の局所地域に分割することを特徴とする請求項1または2に記載の車載器。
【請求項4】
前記地域分割部は、前記複数の局所地域が同じ形状となるように分割することを特徴とする請求項1または2に記載の車載器。
【請求項5】
前記地域分割部は、前記複数の局所地域が同じ面積となるように分割することを特徴とする請求項4に記載の車載器。
【請求項6】
前記地域分割部は、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、走行経路の状況に応じた形状または面積の複数の局所地域に分割することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項7】
前記走行経路の状況は、経路の形状または経路の渋滞状況の何れか一方または両方であることを特徴とする請求項6に記載の車載器。
【請求項8】
前記再算出判定部は、前記電気自動車の位置が前記局所地域のいずれにも含まれていない場合、前記走行経路算出部へ走行経路の算出を要求することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項9】
前記制約条件決定部は、前記電気自動車の運転履歴に基づいて前記制約条件を決定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項10】
電気自動車に搭載される車載器であって、
電気自動車の現在地情報と目的地情報とを含む情報を管理センタ装置へ送信する車載器側送信部と、
走行経路と、局所地域と、電力消費に係る監視変数に対する制約条件と、を含む管理センタ処理情報を前記管理センタ装置から受信する車載器側受信部と、
前記電気自動車の位置に対応する前記監視変数を監視し、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に、前記管理センタ装置へ前記管理センタ処理情報の送信を要求する再送信判定部と、
を備えることを特徴とする車載器。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車載器を搭載した
電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器および電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気自動車は内燃機関を有する自動車よりも航続距離が短い。そのため、電気自動車を利用する際、運転手は比較的短い間隔で充電設備等を経由しつつ目的地へ向かう必要がある。
電気自動車の出発地から目的地までの走行経路を算出する技術として、出発地と目的地の情報だけでなく、電気自動車の電力残量や充電設備の位置情報を考慮して、必要に応じて充電設備の経由を含む走行経路を算出する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−185785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような方法により算出された走行経路を電気自動車が走行し始めた後、電気自動車が走行経路外を走行したり、走行経路の状況に変化が生じたりする場合がある。これらの場合、電気自動車は、走行経路算出時に想定されていた以上のペースで電力を消費する可能性がある。これにより、その後電気自動車が再度算出された走行経路を走行したとしても、充電設備にたどり着けなくなるおそれがある。このような問題の発生を防ぐには、電気自動車が走行している間、随時走行経路を再算出する方法が有効である。しかし、随時走行経路を再算出し続ければ、過大な計算負荷が発生してしまう。
【0005】
そこでこの発明は、計算負荷を抑制しつつ走行経路の再算出を行うことができる車載器および電気自動車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様として、以下の手段が提供される。
即ち、本発明にかかる走行経路案内装置は、電気自動車の現在地情報、目的地情報、電力残量及び電力残量回復施設に係る情報に基づいて、現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出部と、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割部と、前記地域分割部が分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定部と、走行中の電気自動車について、該電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路算出部へ走行経路の算出を要求する再算出判定部とを備え、前記再算出判定部は、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路の算出を要求することを特徴とする。
このような特徴の走行経路案内装置は、各局所地域において監視変数の値が制約条件を逸脱した場合にのみ走行経路の再算出を行う。
【0007】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記監視変数は、電力消費量または走行時間の何れか一方または両方であってもよい。
これにより、走行経路案内装置は、各局所地域において過大な電力消費や走行時間の長期化が発生した場合に、走行経路の再算出を行う。
【0008】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記地域分割部は、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、面状の複数の局所地域に分割してもよい。
これにより、走行経路案内装置は地域分割部における計算負荷を抑制できる。
【0009】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記地域分割部は、前記複数の局所地域が同じ形状となるように分割してもよい。
これにより、走行経路案内装置は地域分割部における計算負荷を更に抑制できる。
【0010】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記地域分割部は、前記複数の局所地域が同じ面積となるように分割してもよい。
これにより、走行経路案内装置は地域分割部における計算負荷を更に抑制できる。
【0011】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記地域分割部は、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、走行経路の状況に応じた形状または面積の複数の局所地域に分割してもよい。
これにより、走行経路案内装置は、各局所地域における制約条件の決定をより適切に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記走行経路の状況は、経路の形状または経路の渋滞状況の何れか一方または両方であってもよい。
これにより、走行経路案内装置は、走行経路の静的な状況と動的な状況の両方を考慮して地域分割を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記再算出判定部は、前記電気自動車の位置が前記局所地域のいずれにも含まれていない場合、前記走行経路算出部へ走行経路の算出を要求してもよい。
これにより、走行経路案内装置は、電気自動車が走行経路から過大に外れた地域を走行している場合に走行経路の再算出を行う。
【0014】
また、本発明に係る走行経路案内装置において、前記制約条件決定部は、前記電気自動車の運転履歴に基づいて前記制約条件を再決定してもよい。
これにより、走行経路案内装置は、電気自動車の運転手の特性に応じてより適切に制約条件を決定することができる。
【0015】
また、本発明に係る走行経路案内システムは、電気自動車の運行を管理するための管理センタ装置と、電気自動車に搭載される車載器とを備え、前記管理センタ装置は、電気自動車の現在地情報と目的地情報と電力残量を含む電気自動車情報を車載器から受信する管理センタ側受信部と、前記管理センタ側受信部が受信した電気自動車情報と電力残量回復施設に係る情報とに基づいて、前記電気自動車の現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出部と、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割部と、前記地域分割部が分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定部と、前記走行経路算出部が算出した走行経路と、前記地域分割部が分割した局所地域と、前記制約条件決定部が決定した監視変数に対する制約条件とを含む管理センタ処理情報を車載器へ送信する管理センタ側送信部と、を備え、前記車載器は、前記電気自動車情報を管理センタ装置へ送信する車載器側送信部と、前記管理センタ処理情報を管理センタ装置から受信する車載器側受信部と、前記車載器側受信部が受信した管理センタ処理情報に基づいて、前記電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に前記車載器側送信部へ前記電気自動車情報の前記管理センタ装置への送信を要求する再送信判定部とを備え、前記再送信判定部は、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路の算出を要求することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る走行経路案内システムは、電気自動車の運行を管理するための管理センタ装置と、電気自動車に搭載される車載器とを備え、前記管理センタ装置と前記車載器に分散させて、電気自動車の現在地情報、目的地情報、電力残量及び電力残量回復施設に係る情報に基づいて、現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出部と、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割部と、前記地域分割部が分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定部と、走行中の電気自動車について、該電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路算出部へ走行経路の算出を要求する再算出判定部と、を備え、前記再算出判定部は、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路の算出を要求することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る走行経路案内方法は、走行経路案内装置の走行経路算出部が、電気自動車の現在地情報、目的地情報、電力残量及び電力残量回復施設に係る情報に基づいて、現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出ステップと、前記走行経路案内装置の地域分割部が、前記走行経路算出ステップにおいて算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割ステップと、前記走行経路案内装置の制約条件決定部が、前記地域分割ステップにおいて分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定ステップと、前記走行経路案内装置の再算出判定部が、走行中の電気自動車について、該電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に再度前記走行経路算出ステップを実施することを決定する再算出判定ステップとを有し 、前記再算出判定ステップにおいて、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に再度前記走行経路ステップを実施することを決定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るプログラムは、走行経路案内装置のコンピュータを、電気自動車の現在地情報、目的地情報、電力残量及び電力残量回復施設に係る情報に基づいて、現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出手段、前記走行経路算出手段が算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割手段、前記地域分割手段が分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定手段、走行中の電気自動車について、該電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路算出手段へ走行経路の算出を要求する再算出判定手段として機能させ、前記再算出判定手段は、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路の算出を要求することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る車載器は、電気自動車に搭載される車載器であって、前記車載器は走行経路案内装置を含み、前記走行経路案内装置は、現在地から目的地までの走行経路を算出する走行経路算出部と、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、複数の局所地域に分割する地域分割部と、前記地域分割部が分割した局所地域それぞれについて、電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定する制約条件決定部と、作動中の電気自動車について、該電気自動車の位置を含む前記局所地域に対応する前記監視変数を監視し、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が、前記制約条件を逸脱した場合に前記走行経路の算出を要求する再算出判定部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る車載器において、前記監視変数は、電力消費量または走行時間の何れか一方または両方であってよい。
【0021】
また、本発明に係る車載器において、前記地域分割部は、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、面状の複数の局所地域に分割してよい。
【0022】
また、本発明に係る車載器において、前記地域分割部は、前記複数の局所地域が同じ形状となるように分割してよい。
【0023】
また、本発明に係る車載器において、前記地域分割部は、前記複数の局所地域が同じ面積となるように分割してよい。
【0024】
また、本発明に係る車載器において、前記地域分割部は、前記走行経路算出部が算出した走行経路を含む地域を、走行経路の状況に応じた形状または面積の複数の局所地域に分割してよい。
【0025】
また、本発明に係る車載器において、前記走行経路の状況は、経路の形状または経路の渋滞状況の何れか一方または両方であってよい。
【0026】
また、本発明に係る車載器において、前記再算出判定部は、前記電気自動車の位置が前記局所地域のいずれにも含まれていない場合、前記走行経路算出部へ走行経路の算出を要求してよい。
【0027】
また、本発明に係る車載器において、前記制約条件決定部は、前記電気自動車の運転履歴に基づいて前記制約条件を決定してよい。
【0028】
また、本発明に係る車載器は、電気自動車に搭載される車載器であって、電気自動車の現在地情報と目的地情報とを含む情報を管理センタ装置へ送信する車載器側送信部と、走行経路と、局所地域と、電力消費に係る監視変数に対する制約条件と、を含む管理センタ処理情報を前記管理センタ装置から受信する車載器側受信部と、前記電気自動車の位置に対応する前記監視変数を監視し、前記局所地域に進入した時点を基準とする現在の前記監視変数の値が前記制約条件を逸脱した場合に、前記管理センタ装置へ前記管理センタ処理情報の送信を要求する再送信判定部と、を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る電気自動車は、上述した車載器を搭載した電気自動車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明の車載器および電気自動車によれば、計算負荷を抑制しつつ走行経路の再算出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態における走行経路案内装置100の全体構成図である。
図2】第1実施形態における走行経路案内装置100の動作フローチャートである 。
図3】第1実施形態における走行経路算出部121の動作フローチャートである。
図4】第1実施形態における地域分割部122の動作フローチャートである。
図5】第1実施形態における走行経路情報と局所地域情報を示す図である。
図6】第1実施形態における再算出判定部124の動作フローチャートである。
図7】第2実施形態における地域分割部122の動作フローチャートである。
図8】第2実施形態における局所地域情報を示す図である。
図9】第3実施形態における走行経路案内システム200の全体構成図である。
図10】第3実施形態における走行経路案内システム200の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
図1は本発明における第1実施形態の走行経路案内装置の全体構成を示す図である。走行経路案内装置100は、目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103、プロバイダ情報受信部104、走行経路案内処理部111、記憶部112、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123、再算出判定部124、表示部131とを備えている。
また、走行経路案内装置100は、センサ類141、バッテリ142、プロバイダ143と接続されている。
尚、走行経路案内装置100は、車両に設置された車載器に含まれる装置である。
【0033】
目的地情報入力受付部101は、電気自動車の乗員による目的地情報入力を受け付け、受け付けた経緯度情報を示す目的地情報を走行経路案内処理部111へ出力する。
【0034】
現在地情報算出部102は、センサ類141により得られる測定値から経緯度情報を示す現在地情報を算出し、算出した現在地情報を、走行経路案内処理部111へ出力する。 センサ類141は、各種NSS(Navigation Satellite System)アンテナや加速度センサ、角速度センサ等の現在地情報を算出するのに有用な情報を測定する機器類である。センサ類141は、その測定値を随時現在地情報算出部102へ出力する。
【0035】
電力残量算出部103は、バッテリ142の電力残量を監視し、走行経路案内処理部111へ電力残量を出力する。
【0036】
プロバイダ情報受信部104は、プロバイダ143が配信する道路交通情報や電力残量回復施設情報等を受信し、それらの情報を走行経路案内処理部111へ出力する。
プロバイダ143は、事故や工事、渋滞等の道路状況を含む道路交通情報と、電気自動車の充電設備やバッテリ交換施設、車両交換施設等の位置情報や利用状況等を含む電力残量回復施設情報とを配信する。
【0037】
走行経路案内処理部111は、目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103、プロバイダ情報受信部104からそれぞれ受け取った目的地情報、現在地情報、電力残量、道路交通情報及び電力残量回復施設情報を記憶部112へ適宜記録する。
また、走行経路案内処理部111は、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123、再算出判定部124に対して、それぞれの動作を指示したり、それぞれの動作に必要な情報を記憶部112から出力したり、それぞれの動作の結果出力される情報を受け取り、必要に応じて記憶部112へ記憶したりする。
また、走行経路案内処理部111は、表示部131へ記憶部112に記憶された情報を適宜出力する。
【0038】
記憶部112は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶手段であり、目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103、プロバイダ情報受信部104、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123、再算出判定部124から出力された種々の情報を、走行経路案内処理部111を介して受け取り、記憶する。
また、記憶部112は予め、地図情報を記憶している。
【0039】
走行経路算出部121は、走行経路案内処理部111から、目的地情報、現在地情報、電力残量、電力残量回復施設情報及び地図情報とを受け取り、現在地から目的地まで到達可能な走行経路を算出し、算出した走行経路を地図情報にプロットし、それを走行経路情報として走行経路案内処理部111へ出力する。走行経路算出部121の算出する走行経路は電力残量回復施設を経由する走行経路であってよい。
【0040】
地域分割部122は、走行経路案内処理部から111から、走行経路算出部121が出力した走行経路情報を受け取り、該走行経路を含む地域を複数の局所地域に分割し、分割した結果を局所地域情報として走行経路案内処理部111へ出力する。
【0041】
制約条件決定部123は、走行経路案内処理部111から、地域分割部122が出力した局所地域情報を受け取り、局所地域毎に電力消費に係る監視変数に対する制約条件を決定し、決定した制約条件を走行経路案内処理部111へ出力する。
尚、電力消費に係る監視変数とは、電気自動車の電力消費と相関を持つ変数全般を指す。
【0042】
再算出判定部124は、走行経路案内処理部111から、現在地情報、地域分割部122が出力した局所地域情報、制約条件決定部123が出力した制約条件及び電力消費に係る監視変数の値を受け取り、走行中の車両(電気自動車)についての走行経路の再算出が必要かどうかを判定し、判定結果を走行経路案内処理部111へ出力する。
【0043】
表示部131は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、走行経路案内処理部111より出力される地図情報、現在地情報、目的地情報、道路交通情報、電力残量、電力残量回復施設情報等の情報を表示する。
【0044】
次に、第1実施形態における走行経路案内装置100の動作について図2を参照して説明する。図2は、走行経路案内装置100の動作フローチャートである。
【0045】
まず、目的地情報入力受付部101が電気自動車の乗員による目的地情報入力を受け付け、受け付けた目的地情報を走行経路案内処理部111へ出力する(S001)。
【0046】
次に、走行経路算出部121が、走行経路案内処理部111の指示により動作して走行経路を算出する(S002)。
ここで、走行経路算出部121の動作について、図3を参照して説明する。図3は走行経路算出部121の動作フローチャートである。
走行経路算出部121は、走行経路案内処理部111から目的地情報、現在地情報、電力残量、電力残量回復施設情報及び地図情報とを受け取る(S101)。このとき、走行経路案内処理部111は、現在地情報算出部102より現在地情報を取得する。目的地情報や現在地情報は、一例としては目的地、現在地の座標(緯度、経度)を示す。また走行経路案内処理部111は、電力残量算出部103より電力残量を取得する。また走行経路案内処理部111は、電力回復施設情報および地図情報を記憶部112から取得する。
【0047】
次に、走行経路算出部121は、現在地情報と目的地情報に基づき、走行経路案内処理部111から取得した地図情報の中から必要な範囲の地図情報を抽出する(S102)。より具体的には、走行経路算出部121は、目的地情報が示す座標と、現在地情報が示す座標とを含む範囲の地図情報を抽出する。
そして、走行経路算出部121は、現在地情報が示す座標と目的地情報が示す座標とを結ぶ走行経路を、ダイクストラ法等の公知の手法により算出する(S103)。このとき、走行経路算出部121は、目的地情報や現在地情報だけでなく、電力残量や電力残量回復施設情報等の情報を考慮する。これにより、走行経路算出部121は、電気自動車が電力切れを起こすことなく目的地までたどり着けるよう、適切に電力残量回復施設を経由する走行経路を算出する。またこのとき、走行経路算出部121は、算出した走行経路を走破するための所要時間と所要電力の値を算出する(S103)。例えば、走行経路算出部121は、算出した走行経路を走行する際の平均速度Vを道路交通情報や走行経路の形状から予測し、それにより走行経路の道のりLを除した値を前述の所要時間Tとして算出する。所要時間Tの算出式は式(1)である。
T=L/V ・・・(1)
【0048】
また、走行経路算出部121は、予測した平均速度Vと、走行経路の代表道路勾配θと、代表距離l(エル)から所要電力Pを算出する。所要電力Pの算出式は式(2)である。
P=α・V2+β・sinθ・l ・・・(2)
ここで、αは平均速度Vを消費電力に変換する係数であり、βは道路勾配を消費電力に変換する係数である。式(2)において1項目の「α・V2」は運動エネルギーを表し、2項目の「β・sinθ・l」は位置エネルギーを表している。また式(2)においてθとl(エル)は走行経路の始点と終点から導出される代表値である。例えばθは始点の座標(x1,y1,z1)と終点の座標(x2,y2,z2)を結ぶ直線と地表(平面)との間の成す角度であってよい。またl(エル)は始点と終点の直線距離であってよい。 最後に、走行経路算出部121は、現在地情報、目的地情報、ステップS102で抽出した地図情報、算出した当該地図情報上の走行経路を示す座標情報などを含む走行経路情報と、走行経路を走破するための所要時間と所用電力の値を走行経路案内処理部111へ出力する(S104)。
【0049】
走行経路算出部121の動作完了後、地域分割部122が走行経路案内処理部111の指示により動作し、地域分割処理を行う(S003)。
ここで、地域分割部122の動作について、図4,5を参照して説明する。図4は、地域分割部122の動作フローチャートである。図5(A)は、走行経路情報を示す図である。図5(B)は、局所地域情報を示す図である。
まず、地域分割部122は、走行経路案内処理部111から、走行経路算出部121が出力した走行経路情報を受け取る(S201)。
次に、地域分割部122は、走行経路情報が持つ地図情報全体を、予め定められた数(例えば横に8、縦に8)に等分割する(S202)。
次に、地域分割部122は、等分割して得られた複数の四角形の領域のうち、走行経路の少なくとも一部を内包するもの全てを局所地域と決定する(S203)。図5(B)においては、等分割して得られた複数の四角形の領域は破線で示されており、そのうち実線で囲まれハッチングされている複数の四角形の領域が、決定された局所地域1〜15である。尚、地域分割部122は、各局所地域へ走行経路の経由順に1〜15の識別情報を付番する。
最後に、地域分割部122は、S203で決定した局所地域1〜15が持つ4つ頂点の座標を各局所地域の識別情報と対応付けた情報を走行経路情報へ付加し、それを局所地域情報として走行経路案内処理部111へ出力する(S204)。
【0050】
地域分割部122の動作完了後、制約条件決定部123が走行経路案内処理部111の指示により動作し、制約条件決定処理を行う(S004)。本実施形態では、各局所地域における走行時間と電力消費量を監視変数とし、これらの監視変数の値が一定の上限値を超えないことを制約条件とする。
まず、制約条件決定部123は、走行経路案内処理部111から、地域分割部122が出力した局所地域情報と、走行経路算出部121が出力した走行経路を走破するための所要時間と所用電力の値を受け取る。
次に、制約条件決定部123は、受け取った所要時間の値を局所地域情報が含む局所地域の数で割り、その結果得られる値を、全局所地域における、監視変数である走行時間に対する制約条件における上限値とする。また、制約条件決定部123は、受け取った所要電力の値を局所地域情報が含む局所地域の数で割り、その結果得られる値を、全局所地域における、監視変数である電力消費量に対する制約条件におけるにおける上限値とする。 最後に、制約条件決定部123は、算出した走行時間と電力消費量に対する制約条件を、走行経路案内処理部111へ出力する。
【0051】
制約条件決定部123の動作が完了し、電気自動車が走行経路の走行を開始すると、再算出判定部124が走行経路案内処理部111の指示により動作して、走行経路の再算出が必要かを判定する(S005)。
ここで、再算出判定部124の動作について、図6を参照して説明する。図6は再算出判定部124の動作フローチャートである。
まず、再算出判定部124は、走行経路案内処理部111から、現在地情報と、地域分割部122が出力した局所地域情報と、制約条件決定部123が出力した監視変数である走行時間と電力消費量に対する制約条件を受け取る(S301)。
【0052】
次に、再算出判定部124は、現在地情報に基づいて、現在地が局所地域情報に含まれる局所地域に該当するかを判定する(S302)。より具体的には、再算出判定部124は、現在地の座標が、局所地域情報が持つ局所地域1〜15のそれぞれが持つ4つの頂点で囲まれた領域のいずれかに含まれるかどうかを判定する。
【0053】
尚、地域分割部122による局所地域の分割手法によっては、異なる局所地域の一部の範囲が重複する場合がある。再算出判定部124は、現在地が、前回の再算出判定時において現在地を範囲内に含むと判定した局所地域と、その次の番号の識別情報に対応する局所地域の両方の範囲に含まれる場合には、現在地は、前回の再算出判定時において判定した局所地域に該当すると判定する。
【0054】
また、再算出判定部124は、ステップS302においてYesの場合、現在地が走行経路再算出の必要有りと判定する対象の局所地域に該当するか否かを判定する(S303)。現在地が以下の条件(a1)を満たす場合には、現在地が走行経路再算出の必要有りと判定する対象の局所地域に該当すると判定し、再算出判定部124の動作は後述するS308へ移行する。
(a1)現在地が、前回の再算出判定時において現在地を範囲内に含むと判定した局所地域と同一の局所地域、あるいはその次の番号の識別情報に対応する局所地域のいずれにも該当しない場合。
【0055】
次に、再算出判定部124は、電気自動車がS302で判定した局所地域に進入してから経過した走行時間と、消費した電力消費量を算出する(S304)。より具体的には、再算出判定部124は、記憶部112に記録されている、初めて現在の局所地域に進入した時刻とそのときの電力残量を走行経路案内処理部111から受け取り、局所地域に進入した時刻と現在の時刻との時刻差、局所地域に進入したときの電力残量と現在の電力残量との残量差をとることで、局所地域に進入してから経過した走行時間と消費した電力消費量を算出する。尚、再算出判定部124は、S302で判定した現在地に該当する局所地域が走行経路の始点を含む局所地域の場合には、走行経路案内を開始してから経過した走行時間と、消費した電力消費量を算出する。
【0056】
次に、再算出判定部124は、S304で算出した走行時間と電力消費量が、いずれも、S301で受け取った対応する局所地域における制約条件を満たす値であるかどうかを判定する(S305)。
再算出判定部124は、S305において、S304で算出した走行時間と電力消費量がいずれもS301で受け取った制約条件を満たしていると判定した場合には、走行経路の再算出の必要は無いと判定する(S306、S005;No)。そして再算出判定部124は、走行経路の再算出の必要は無いと判定した場合には必要なしを示す信号を走行経路案内処理部111へ出力する(S307)。再算出判定部124は、S305においてS304で算出した走行時間と電力消費量のいずれかがS301で受け取った制約条件を逸脱していると判定した場合、あるいはS302において局所地域情報に含まれる局所地域に現在地が該当しない場合や、S303において現在地が(a1)の条件を満たす場合には、走行経路の再算出は必要であると判定する(S308、S005;Yes)。そして再算出判定部124は、走行経路の再算出の必要が有ると判定した場合には走行経路案内処理部111へ必要ありを示す信号を出力する(S309)。
【0057】
S306において、再算出判定部124が走行経路の再算出は必要であると判定した場合(S005におけるYes)、走行経路案内処理部111は、走行経路案内装置100の動作をS002へ戻す。
S306において、再算出判定部124が走行経路の再算出は必要でないと判定した場合(S005におけるNo)、走行経路案内処理部111は、現在地情報と目的地情報を比較して一致するかどうかを判定する(S006)。
【0058】
S006において、走行経路案内処理部111が現在地と目的地が一致していないと判定した場合(S006におけるNo)、走行経路案内処理部111は、走行経路案内装置100の動作をS005へ戻す。
S006において、走行経路案内処理部111が現在地と目的地が一致していると判定した場合(S006におけるYes)、走行経路案内装置100は動作を終了する(S007)。
【0059】
上記のような走行経路案内装置100によれば、再算出判定部124は、各局所地域において監視変数の値が制約条件を逸脱した場合に走行経路の再算出を行うため、走行経路の再算出に係る計算負荷を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、再算出判定部124は、電力消費量と走行時間を監視変数としている。これにより、各局所地域における過大な電力消費や走行時間の長期化を検出することができる。これらの事象は、電気自動車が電力回復設備にたどり着けるか否かに多大な影響を与える。以上より、本実施形態の走行経路案内装置100によれば、走行経路の再算出が必要な場合をより高精度に検出し、無用な走行経路の再算出を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、地域分割部122は、走行経路を含む地域を面状の複数の局所地域に分割しているため、立体形状に分割する場合と比較して、地域分割に係る計算負荷を抑制できる。
【0062】
また、本実施形態では、地域分割部122は、走行経路を含む地域を同じ形状の複数の局所地域へ分割しているため、それぞれ多様な形状の複数の局所地域へ分割する場合と比較して、地域分割に係る計算負荷を抑制できる。
【0063】
また、本実施形態では、地域分割部122は、走行経路を含む地域を同じ面積の複数の局所地域へ分割しているため、それぞれ異なる面積の複数の局所地域へ分割する場合と比較して、地域分割に係る計算負荷を抑制できる。
【0064】
また、本実施形態では、再算出判定部124は、電気自動車の現在地が、地域分割部122が分割した局所地域のいずれにも含まれていない場合に、走行経路の再算出が必要であると判定する。これにより、電気自動車が走行経路から過大に外れた地域を走行している場合に、確実に走行経路の再算出を行うことができるようになる。
【0065】
次に、本発明に係る走行経路案内装置の第2実施形態について図7から図8を参照して説明する。尚、本実施形態では、上述した第1実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態の走行経路案内装置100は、地域分割部122と制約条件決定部123の動作において第1実施形態と異なる。
【0066】
本実施形態における地域分割部122の動作について、図7,8を参照して説明する。図7は、本実施形態における地域分割部122の動作フローチャートである。図8は、本実施形態における局所地域情報を示す図である。
まず、地域分割部122は、走行経路案内処理部111から、走行経路算出部121が出力した走行経路情報を受け取る(S401)。
【0067】
次に、地域分割部122は、走行経路の形状に応じて局所地域の決定を行う(S402)。このとき、地域分割部122は、走行経路の始点から、走行経路に沿って進んだ任意の点であって、以下の2つの条件(a2),(b2)を満たす最後の点までの走行経路を含む所定の幅を持つ帯状領域を、一つの局所地域と決定する。
(a2)該2点間を結ぶ走行経路の全てが、該2点間を結ぶ直線を中心線とした所定の幅を持つ帯状領域の内部に収まる。
(b2)該2点間を結ぶ走行経路において、一定距離以上の渋滞区間が存在しない。
【0068】
また、地域分割部122は、決定した局所地域内の走行経路の終点を新たな始点として、同様に次の局所地域の決定を行う処理を繰り返す。地域分割部122は、このような局所地域の決定を、全走行経路をいずれかの局所地域として決定し終えるまで繰り返す。尚、局所地域の決定における条件は上記(a2)または(b2)のいずれか一つのみとしても構わない。図8においては、実線で示された帯状領域13〜17が決定された局所地域(13〜17)である。尚、地域分割部122は、第1実施形態同様、各局所地域へ走行経路の経由順に識別情報を付番する。
最後に、地域分割部122は、S402で決定した局所地域13〜17が持つ4つの頂点の座標を各局所地域と対応付けた情報を走行経路情報へ付加し、それを局所地域情報として走行経路案内処理部111へ出力する(S403)。
【0069】
本実施形態における制約条件決定部123の動作について説明する。
まず、制約条件決定部123は、走行経路案内処理部111から、地域分割部122が出力した局所地域情報と、走行経路算出部121が出力した走行経路を走破するための所要時間と所用電力の値を受け取る。
次に、制約条件決定部123は、受け取った所要時間の値に各局所地域の全局所地域に対する面積分率を乗じた値をそれぞれ算出し、それらを対応する局所地域における、監視変数である走行時間に対する制約条件における上限値とする。また、制約条件決定部123は、受け取った所要電力の値に各局所地域の全局所地域に対する面積分率を乗じた値をそれぞれ算出し、それらを対応する局所地域における、監視変数である電力消費量に対する制約条件における上限値とする。
最後に、制約条件決定部123は、算出した走行時間と電力消費量に対する制約条件を、走行経路案内処理部111へ出力する。
【0070】
上記のような走行経路案内装置100によれば、地域分割部122は、可能な限り大きな所定の幅を持つ帯状領域となるように局所地域を決定している。これにより、結果的に走行経路中の比較的直線的な区間が同じ局所地域となる。つまり、地域分割部122は、走行経路の静的な形状に応じた地域分割を行うことができる。
また、本実施形態では、地域分割部122は、走行経路の渋滞状況に応じて地域分割を行うため、走行経路の動的な状況に応じた地域分割を行うことができる。
これらにより、走行経路が、その形状や状況が電力消費に与える影響の特性に応じて分割されるため、各局所地域における再算出判定の妥当性と局所地域数の抑制を両立することができる。
尚、本実施形態では、所定の幅を持つ帯状領域となるように局所地域を決定したが、帯状であることは必須ではなく、例えば所定の長径あるいは短径を持つ楕円状や、所定の幅と高さを持つ立体形状の領域でもかまわない。立体形状の領域となるように局所地域を決定すれば、坂道の高低差等を考慮してより適切に地域分割を行うことができる。
【0071】
次に、本発明に係る走行経路案内システムを第3実施形態として図9図10を参照して説明する。尚、本実施形態では、上述した第1実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態の走行経路案内システム200は、第1実施形態における走行経路案内装置100の構成を、電気自動車に搭載される車載器210と電気自動車の運行を管理するための管理センタ装置220に分散して互いを補完するように有し、車載器210と管理センタ装置220の連携によって走行経路案内を実現する。
【0072】
図9は走行経路案内システム200の全体構成を示す図である。走行経路案内システム200は、車載器210と管理センタ装置220とを備えている。また、車載器210はセンサ類141、バッテリ142と接続されている。また、管理センタ装置220はプロバイダ143と接続されている。
車載器210は、第1実施形態と同様の目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103及び表示部131と、車載器側走行経路案内処理部211、車載器側記憶部212、車載器側送信部213、車載器側受信部214及び再送信判定部215とを備えている。尚、目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103及び表示部131は、車載器側走行経路案内処理部211が第1実施形態における走行経路案内処理部111に対応する処理部であるものとして第1実施形態と同様に連携して動作する。
管理センタ装置220は、第1実施形態と同様のプロバイダ情報受信部104、走行経路算出部121、地域分割部122及び制約条件決定部123と、管理センタ側走行経路案内処理部221、管理センタ側記憶部222、管理センタ側受信部223及び管理センタ側送信部224とを備えている。尚、プロバイダ情報受信部104、走行経路算出部121、地域分割部122及び制約条件決定部123は、管理センタ側走行経路案内処理部221が第1実施形態における走行経路案内処理部111に対応する処理部であるものとして第1実施形態と同様に連携して動作する。
【0073】
車載器側走行経路案内処理部211は、目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103からそれぞれ受け取った目的地情報、現在地情報、電力残量を記憶部112へ適宜記録する。
また、車載器側走行経路案内処理部211は、車載器側送信部213、車載器側受信部214、再送信判定部215に対して、それぞれの動作を指示したり、それぞれの動作に必要な情報を車載器側記憶部212から出力したり、それぞれの動作の結果出力される情報を受け取り、必要に応じて車載器側記憶部212へ記憶したりする。
また、車載器側走行経路案内処理部211は、表示部131へ車載器側記憶部212に記録された情報を適宜出力する。
【0074】
車載器側記憶部212は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶手段であり、目的地情報入力受付部101、現在地情報算出部102、電力残量算出部103、車載器側受信部214、再送信判定部215から出力された種々の情報を、車載器側走行経路案内処理部を介して受け取り、記憶する。
【0075】
車載器側送信部213は、車載器側走行経路案内処理部211から目的地情報、現在地情報、電力残量を受け取り、それら情報を含む電気自動車情報を、管理センタ側受信部223へ送信する。
【0076】
車載器側受信部214は、管理センタ側送信部224が送信する局所地域情報と、監視変数である走行時間と電力消費量に対する制約条件を受信し、車載器側走行経路案内処理部211へ出力する。
【0077】
再送信判定部215は、車載器側走行経路案内処理部211から、現在地情報と、車載器側受信部214が受信した局所地域情報と、監視変数である走行時間と電力消費量に対する制約条件を受け取り、管理センタ装置220からの走行経路を含む局所地域情報の再送信が必要かどうかを判定し、判定結果を車載器側走行経路案内処理部211へ出力する。
【0078】
管理センタ側走行経路案内処理部221は、プロバイダ情報受信部104、管理センタ側受信部223からそれぞれ受け取った道路交通情報、電力残量回復施設情報、目的地情報、現在地情報及び電力残量を管理センタ側記憶部222へ適宜記憶する。
また、管理センタ側走行経路案内処理部221は、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123、管理センタ側受信部223、管理センタ側送信部224に対して、それぞれの動作を指示したり、それぞれの動作に必要な情報を管理センタ側記憶部222から出力したり、それぞれの動作の結果出力される情報を受け取り、必要に応じて管理センタ側記憶部222へ記憶したりする。
【0079】
管理センタ側記憶部222は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶手段であり、プロバイダ情報受信部104、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123、管理センタ側受信部223から出力された種々の情報を、管理センタ側走行経路案内処理部221を介して受け取り、記憶する。
また、管理センタ側記憶部222は予め、地図情報を記憶している。
【0080】
管理センタ側受信部223は、車載器側送信部213が送信する目的地情報、現在地情報、電力残量を受信し、管理センタ側走行経路案内処理部221へ出力する。
【0081】
管理センタ側送信部224は、管理センタ側走行経路案内処理部221から局所地域情報と、監視変数である走行時間と電力消費量に対する制約条件を受け取り、車載器側受信部214へ送信する。
【0082】
次に、第3実施形態に係る走行経路案内システム200の動作について図10を参照して説明する。図10は、走行経路案内システム200の動作フローチャートである。尚、図2図10のフローチャートは類似のステップを有しており、S001がS501、S002がS503、S003がS504、S004がS505,S005がS007、S006がS508に対応している。尚、管理センタ装置220の管理センタ側送信部224は、走行経路算出部121の算出した走行経路の情報を管理センタ側走行経路案内処理部221から取得して車載器210へ送信する。そして車載器側走行経路案内処理部211は、車載器側受信部214を介して走行経路の情報を取得し、その情報を表示部131へ出力する(S509)。
つまり、本実施形態における走行経路案内システムは、動作内容については第1実施形態と同一であるが、その動作主体が、S502を境に車載器から管理センタ装置220へ、S506を境に管理センタ装置220から車載器へ移行する点で異なる。
【0083】
このように、本実施形態では、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123が管理センタ装置220側に配置され、動作することで、車載器における計算負荷を抑制することができる。
尚、走行経路算出部121、地域分割部122、制約条件決定部123の全てを管理センタ装置220側に配置する必要はなく、その一部のみであっても車載器における計算負荷を抑制することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
例えば、第1実施形態において、制約条件決定部123は、走行時間と電力消費量という2つの監視変数それぞれに対する制約条件における上限値を決定したが、これに限定されることはない。例えば監視変数は、電力消費量または走行時間の何れか一方であってもよい。
制約条件決定部123は、1つの監視変数に対して上限値だけでなく下限値も決定してもよいし、下限値のみを決定してもよい。
【0086】
また第1実施形態において、制約条件決定部123は、走行経路算出部121が出力した走行経路を走破するための所要時間と所要電力の値を、それぞれ局所地域の数で割った値を制約条件における上限値としていたが、これに限定されることはない。
制約条件決定部123が、走行経路案内処理部111から記憶部112に記憶された現在地情報の履歴を受け取り、その履歴から電気自動車の走行速度の分散を算出し、その分散に比例して制約条件における上限値を大きくしてもよいし、逆に小さくしてもよい。 これにより、電気自動車の運転手の加減速特性に応じてより適切に制約条件を決定することができる。
【0087】
上述した走行経路算出部121、制約条件決定部123、再算出判定部124は、過去に算出して蓄積したデータや、シミュレーション予測結果に基づいて処理を行うようにしてもよい。例えば走行経路算出部121は過去に同じ時間帯に同じ経路を走行した場合にはその走行経路を出力してもよいし、交通状況に基づいてシミュレーションを行って走行経路を算出して出力してもよい。また制約条件決定部123は運転履歴などに基づく過去に算出し蓄積した各局所地域の所要電力を制約条件における上限値として決定してもよいし、何らかのシミュレーション処理を行って制約条件を決定してもよい。また再算出判定部124は、過去に算出して蓄積したデータや、シミュレーション予測結果に基づいて特定した局所地域に進入してからの走行時間や電力消費量を用いて、再算出の判定を行うようにしてもよい。
【0088】
尚、前述の走行経路案内100は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した走行経路案内の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0089】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0090】
100・・・走行経路案内装置
101・・・目的地情報入力受付部
102・・・現在地情報算出部
103・・・電力残量算出部
104・・・プロバイダ情報受信部
111・・・走行経路案内処理部
112・・・記憶部
121・・・走行経路算出部
122・・・地域分割部
123・・・制約条件決定部
124・・・再算出判定部
131・・・表示部
141・・・センサ類
142・・・バッテリ
143・・・プロバイダ
200・・・走行経路案内システム
210・・・車載器
211・・・車載器側走行経路案内処理部
212・・・車載器側記憶部
213・・・車載器側送信部
214・・・車載器側受信部
215・・・再送信判定部
220・・・管理センタ装置
221・・・管理センタ側走行経路案内処理部
222・・・管理センタ側記憶部
223・・・管理センタ側受信部
224・・・管理センタ側送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10