(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と交通管制センターに設置される中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置であって、
前記複数の端末装置との間および前記中央装置との間で前記通信データの授受を行い、前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、
前記通信部を制御することにより、前記複数の端末装置と前記中央装置との間でやり取りされる前記通信データを中継する制御部とを備え、
前記制御部は、(i)前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができるという第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継し、(ii)前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができないという第2条件を満たす場合に、前記複数の端末装置のうちのいずれかの端末装置からの情報に基づいて前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御し、
前記回線集約装置は、
さらに、前記回線集約装置の配下の交通信号制御機の実行結果を示す信号制御実行情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができない場合に、前記信号制御実行情報を前記記憶部に蓄積し、前記回線集約装置と前記中央装置との間の通信が復旧した場合に、前記記憶部に蓄積した前記信号制御実行情報を前記中央装置に送信する
回線集約装置。
前記制御部は、前記第2条件を満たす場合に、さらに、前記通信部を制御することにより、前記他の回線集約装置の配下の交通信号制御機の制御に用いられるデータを、前記他の回線集約装置から受信し、受信した前記データに基づいて、前記回線集約装置の配下の交通信号制御機を制御する
請求項1に記載の回線集約装置。
前記制御部は、前記通信データのうち、前記中央装置から送信される前記交通信号制御機の前記信号制御指令情報と、前記端末装置から送信される前記路上を走行する車両の感知情報とを優先させて中継する
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の回線集約装置。
前記制御部は、前記通信部があらかじめ定められた時間の間、前記他の回線集約装置を経由して前記中央装置から前記通信データを受信していない場合に、前記他の回線集約装置と前記中央装置との間において通信を行うことができないと判断する
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の回線集約装置。
集約回線を介して回線集約装置と接続され、かつ、路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置との間で前記回線集約装置を介して通信データのやり取りを行う、交通管制センターに設置される中央装置であって、
前記回線集約装置を介して前記複数の端末装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、
前記通信部を制御することにより、前記回線集約装置を介して前記複数の端末装置との間で前記通信データのやり取りをする制御部とを備え、
前記制御部は、前記回線集約装置との間では通信ができず、かつ前記回線集約装置と通信可能な他の回線集約装置との間では通信ができる場合に、前記他の回線集約装置を介して前記回線集約装置との間で前記通信データをやり取りし、前記回線集約装置との間で通信ができる場合で、かつあらかじめ定められた第2時間帯に該当する場合に、前記回線集約装置との間で通信ができない間に蓄積された前記回線集約装置の配下の交通信号制御機の実行結果を示す信号制御実行情報を前記回線集約装置から取得する
中央装置。
路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と交通管制センターに設置される中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置による交通制御方法であって、
前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができる場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継するステップと、
前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができない場合に、前記複数の端末装置のうちのいずれかの端末装置からの情報に基づいて前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御するステップと、
前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができない場合に、前記回線集約装置の配下の交通信号制御機の実行結果を示す信号制御実行情報を記憶部に蓄積し、前記回線集約装置と前記中央装置との間の通信が復旧した場合に、前記記憶部に蓄積した前記信号制御実行情報を前記中央装置に送信するステップと
を含む交通制御方法。
路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と交通管制センターに設置される中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記複数の端末装置との間および前記中央装置との間で前記通信データの授受を行い、前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、
前記通信部を制御することにより、前記複数の端末装置と前記中央装置との間でやり取りされる前記通信データを中継する制御部としてコンピュータを機能させ、
前記制御部は、(i)前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができるという第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継し、(ii)前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができないという第2条件を満たす場合に、前記複数の端末装置のうちのいずれかの端末装置からの情報に基づいて前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御し、
前記回線集約装置は、
さらに、前記回線集約装置の配下の交通信号制御機の実行結果を示す信号制御実行情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができない場合に、前記信号制御実行情報を前記記憶部に蓄積し、前記回線集約装置と前記中央装置との間の通信が復旧した場合に、前記記憶部に蓄積した前記信号制御実行情報を前記中央装置に送信する
プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0017】
(1)本発明の一実施態様に係る回線集約装置は、路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と交通管制センターに設置される中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置であって、前記複数の端末装置との間および前記中央装置との間で前記通信データの授受を行い、前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、前記通信部を制御することにより、前記複数の端末装置と前記中央装置との間でやり取りされる前記通信データを中継する制御部とを備え、前記制御部は、(i)前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができるという第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継し、(ii)前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができないという第2条件を満たす場合に、前記複数の端末装置のうちのいずれかの端末装置からの情報に基づいて前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御する。
【0018】
この構成によると、第2条件を満たす場合、つまり、他の回線集約装置を介しても中央装置と端末装置との間で通信データの中継を行うことができない場合であっても、車両感知器などの情報を用いて交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を回線集約装置が決定する。たとえば、車両感知器の情報により渋滞が検知された場合には、渋滞を解消するような信号制御指令情報を作成することができる。このため、他の通信回線を経由しても通信データを中継することができない場合であっても、望ましい状態で交通信号制御機を動作させることができる。
【0019】
(2)前記制御部は、前記第2条件を満たす場合に、さらに、前記通信部を制御することにより、前記他の回線集約装置の配下の交通信号制御機の制御に用いられるデータを、前記他の回線集約装置から受信し、受信した前記データに基づいて、前記回線集約装置の配下の交通信号制御機を制御してもよい。
【0020】
この構成によると、第2条件を満たす場合に、他の回線集約装置の配下の交通信号制御機の信号制御指令情報を取得したり、他の回線集約装置の配下の車両感知器の情報を取得したりすることができる。このため、たとえば、制御部は、他の回線集約装置の配下の交通信号制御機とオフセットが同期するように、回線集約装置の配下の交通信号制御機の信号制御指令情報を決定することができる。これにより、渋滞を解消するような信号制御指令情報を作成することができ、望ましい状態で交通信号制御機を動作させることができる。
【0021】
(3)前記制御部は、前記通信データのうち、前記中央装置から送信される前記交通信号制御機の前記信号制御指令情報と、前記端末装置から送信される前記路上を走行する車両の感知情報とを優先させて中継してもよい。
【0022】
この構成によると、交通信号制御機の制御に重要な信号制御指令情報および感知情報を他の情報より優先させて中継することができる。これにより、交通信号制御機をできるだけ支障を来さずに制御することができ、望ましい状態で交通信号制御機を動作させることができる。
【0023】
(4)前記制御部は、前記信号制御指令情報を、あらかじめ定められた第1時間帯に中継する場合ほど、前記第1時間帯以外の時間帯に中継する場合に比べて優先させて中継してもよい。
【0024】
この構成によると、たとえば、朝夕のラッシュ時などの交通量の多い時間帯を第1時間帯とすることで、交通量の多い時間帯では交通信号制御機をできるだけ支障を来さずに制御することができる。よって、望ましい状態で交通信号制御機を動作させることができる。
【0025】
(5)前記回線集約装置は複数の前記他の回線集約装置と通信可能であり、前記制御部は、前記第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置の帯域幅に関する優先度に基づき複数の前記他の回線集約装置のうちの少なくとも1つを選択し、選択した前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継してもよい。
【0026】
この構成によると、帯域幅に余裕のある他の回線集約装置を経由して通信データを中継することができる。このため、帯域幅に余裕のない他の回線集約装置に通信データを経由させることがなくなり、他の回線集約装置の通信に与える影響を最小限にとどめながら通信データを中継することができる。
【0027】
(6)前記回線集約装置は複数の前記他の回線集約装置と通信可能であり、前記制御部は、前記第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置の帯域幅に関する優先度に基づき複数の前記他の回線集約装置への通信データの分配率を決定し、決定した前記分配率に従い複数の前記他の回線集約装置へ前記通信データを分配し、複数の前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継してもよい。
【0028】
この構成によると、帯域幅の大きさに応じて通信データを分配して複数の他の回線集約装置を経由して通信データを中継することができる。このため、帯域幅に余裕のある他の回線集約装置ほどより大きなデータ量の通信データを中継させ、帯域幅に余裕のない他の回線集約装置が中継する通信データのデータ量を小さくすることができる。よって、他の回線集約装置の通信に与える影響を最小限にとどめながら通信データを中継することができる。
【0029】
(7)前記優先度は、各前記他の回線集約装置に接続される配下の端末装置の種類および数に従い定められていてもよい。
【0030】
この構成によると、大きなデータ量のデータを通信する端末装置が接続されていたり、多くの端末装置が接続されていたりする他の回線集約装置には、通信データを全く送信しないようにしたり、あまり大きな通信データを送信しないようにすることができる。よって、他の回線集約装置の通信に与える影響を最小限にとどめながら通信データを中継することができる。
【0031】
(8)上述の回線集約装置は、さらに、前記回線集約装置の配下の交通信号制御機の実行結果を示す信号制御実行情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができない場合に、前記信号制御実行情報を前記記憶部に蓄積し、前記回線集約装置と前記中央装置との間の通信が復旧した場合に、前記記憶部に蓄積した前記信号制御実行情報を前記中央装置に送信してもよい。
【0032】
この構成によると、リアルタイムで送信することのできなかった信号制御実行情報を事後的に中央装置に送信することができる。このため、中央装置では、信号制御実行情報を各種の統計処理に用いることができる。
【0033】
(9)前記制御部は、前記通信部があらかじめ定められた時間の間、前記他の回線集約装置を経由して前記中央装置から前記通信データを受信していない場合に、前記他の回線集約装置と前記中央装置との間において通信を行うことができないと判断してもよい。
【0034】
この構成によると、簡便な方法により他の回線集約装置と中央装置との間において通信を行うことができるか否かを判断することができる。
【0035】
(10)本発明の他の一実施態様に係る中央装置は、集約回線を介して回線集約装置と接続され、かつ、路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置との間で前記回線集約装置を介して通信データのやり取りを行う、交通管制センターに設置される中央装置であって、前記回線集約装置を介して前記複数の端末装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、前記通信部を制御することにより、前記回線集約装置を介して前記複数の端末装置との間で前記通信データのやり取りをする制御部とを備え、前記制御部は、前記回線集約装置との間では通信ができず、かつ前記回線集約装置と通信可能な他の回線集約装置との間では通信ができる場合に、前記他の回線集約装置を介して前記回線集約装置との間で前記通信データをやり取りする。
【0036】
この構成によると、回線集約装置を介して複数の端末装置との間で通信データのやり取りを行うことができない場合であっても、他の回線集約装置を介して通信データのやり取りを行うことができる。このため、交通信号制御機の信号制御指令情報や車両感知器の情報などをやり取りすることができ、望ましい状態で交通信号制御機を動作させることができる。
【0037】
(11)前記制御部は、前記回線集約装置との間で通信ができる場合で、かつあらかじめ定められた第2時間帯に該当する場合に、前記回線集約装置との間で通信ができない間に蓄積された前記回線集約装置の配下の交通信号制御機の実行結果を示す信号制御実行情報を前記回線集約装置から取得してもよい。
【0038】
この構成によると、深夜などの交通量の少ない時間帯を第2時間帯とすることで、朝夕のラッシュ時などの集約回線の帯域幅に余裕のない時間帯を避けて、回線集約装置から信号制御実行情報を取得することができる。このため、交通信号制御機の信号制御指令情報などの重要な情報の通信を邪魔することなく、信号制御実行情報を取得することができる。
【0039】
(12)本発明の他の一実施態様に係る交通管制システムは、交通管制センターに設置される中央装置と、路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と前記中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置とを備え、前記回線集約装置は、前記複数の端末装置との間および前記中央装置との間で前記通信データの授受を行い、前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、前記通信部を制御することにより、前記複数の端末装置と前記中央装置との間でやり取りされる前記通信データを中継する制御部とを備え、前記制御部は、(i)前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができるという第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継し、(ii)前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができないという第2条件を満たす場合に、前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御する。
【0040】
この構成によると、(1)に示した回線集約装置と同様の構成を備えている。このため、(1)に示した回線集約装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0041】
(13)本発明の他の一実施態様に係る交通制御方法は、路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と交通管制センターに設置される中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置による交通制御方法であって、前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができる場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継するステップと、前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができない場合に、前記複数の端末装置のうちのいずれかの端末装置からの情報に基づいて前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御するステップとを含む。
【0042】
この構成によると、(1)に示した回線集約装置に対応した処理を実行する。このため、(1)に示した回線集約装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0043】
(14)本発明の他の一実施態様に係るプログラムは、路上または路側に設置される交通信号制御機を含む複数の端末装置と交通管制センターに設置される中央装置との間でやり取りされる通信データを、前記中央装置との間に敷設される集約回線を通じて中継する回線集約装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記複数の端末装置との間および前記中央装置との間で前記通信データの授受を行い、前記回線集約装置との間で通信可能な他の回線集約装置との間で前記通信データの授受を行う通信部と、前記通信部を制御することにより、前記複数の端末装置と前記中央装置との間でやり取りされる前記通信データを中継する制御部としてコンピュータを機能させ、前記制御部は、(i)前記回線集約装置と前記中央装置との間で通信ができず、かつ前記他の回線集約装置と前記中央装置との間では通信ができるという第1条件を満たす場合に、前記他の回線集約装置を介して前記通信データを中継し、(ii)前記回線集約装置と前記中央装置との間、および前記他の回線集約装置と前記中央装置との間のいずれにおいても通信を行うことができないという第2条件を満たす場合に、前記複数の端末装置のうちのいずれかの端末装置からの情報に基づいて前記回線集約装置に接続される配下の交通信号制御機を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した前記信号制御指令情報に基づいて前記配下の交通信号制御機を制御する。
【0044】
この構成によると、(1)に示した回線集約装置と同様の構成を備えている。このため、(1)に示した回線集約装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0045】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0046】
(実施の形態)
[1.交通管制システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る交通管制システムの概略構成を示す図である。
交通管制システム1は、道路交通に関する情報の収集、分析および伝達を行うことにより、信号機の操作または車両60に対する情報の提供などの指令を一体的に行うためのシステムである。交通管制システム1は、中央装置10と、回線集約装置20と、交通信号制御機31と、超音波式車両感知器32と、光ビーコン33と、画像式車両感知器34と、集約回線40と、端末回線50とを備える。
【0047】
中央装置10は、交通管制センターに設けられるコンピュータであり、後述する回線集約装置20と集約回線40を介して接続される。集約回線40は、回線集約装置20と中央装置10との間に敷設され、有線もしくは無線によるアナログ回線や広域イーサネット(「イーサネット」は登録商標)などのデジタル回線により構成される。
【0048】
中央装置10は、集約回線40を介して交通信号制御機31、超音波式車両感知器32、光ビーコン33および画像式車両感知器34などの端末装置と通信データのやり取りを行い、交通信号制御機31を制御するための情報(以下、「信号制御指令情報」という。)を交通信号制御機31に送信する。たとえば、中央装置10は、超音波式車両感知器32または画像式車両感知器34より取得した車両の感知情報に基づいて、渋滞が生じている道路の青信号が長くなるようにスプリットを変更するための信号制御指令情報を交通信号制御機31に対して送信する。信号制御指令情報には、スプリット、オフセット、サイクル長などの情報が含まれる。
【0049】
また、中央装置10は、回線集約装置20を介して交通情報などの光ビーコン33を介して車両60に提供する情報(以下、「光ビーコン提供情報」という。)を光ビーコン33に送ったり、回線集約装置20を介して光ビーコン33から車両60のID(識別子)情報(以下、「車両ID情報」という。)を受信したりすることができる。
【0050】
回線集約装置20は、道路Rなどの路上または路側に設置され、集約回線40を通じて、交通信号制御機31を含む複数の端末装置と中央装置10との間でやり取りされる通信データを中継する。回線集約装置20は、たとえば、主要な交差点ごとに設置され、当該交差点に設置される複数の端末装置と、当該交差点の近隣の交差点に設置される複数の端末装置とに接続される。
【0051】
端末装置は、道路Rなどの路上または路側に設置される。端末装置は、交通信号制御機31、超音波式車両感知器32、光ビーコン33、画像式車両感知器34などを含む。各端末装置は、端末回線50を介して回線集約装置20と接続されている。端末回線50は、メタル回線などにより構成される自営線である。
【0052】
交通信号制御機31は、中央装置10から送信される制御パラメータを含む信号制御指令情報に基づいて信号灯器の灯色を制御する。交通信号制御機31の実行結果である時限表のデータは信号制御実行情報として回線集約装置20を介して中央装置10に送信される。
【0053】
超音波式車両感知器32は、超音波ビームを路面に投射して車両60より反射してくる音波やビームの遮断を検出して車両60を感知する感知器である。超音波式車両感知器32は、感知結果を感知情報として、回線集約装置20を介して中央装置10に送信する。
【0054】
光ビーコン33は、近赤外線通信により車両60との間で双方向通信を行うための機器であり、中央装置10から受信した光ビーコン提供情報を車両60に対して送信したり、車両60から車両ID情報を受信し、受信した車両ID情報を回線集約装置20を介して中央装置10に送ったりする。
【0055】
画像式車両感知器34は、路側に設置されたカメラユニットにより、道路R上を走行する車両を撮像し、得られた画像を画像処理することにより車両を感知したり、車両の速度および車種等を計測したりする。画像式車両感知器34は、感知結果または計測結果を感知情報として、回線集約装置20を介して中央装置10に送信する。
【0056】
[2.中央装置10および回線集約装置20の構成]
図2は、中央装置10および回線集約装置20の構成を示す図である。
中央装置10は、通信部11と、制御部12とを備える。
通信部11は、集約回線40を介して回線集約装置20と接続され、回線集約装置20を介して複数の端末装置30との間で通信データの授受を行う。つまり、通信部11は、通信データの送信および受信を行う通信インタフェースを含む。なお、
図2に示す端末装置30は、交通信号制御機31、超音波式車両感知器32、光ビーコン33および画像式車両感知器34を含む。
【0057】
制御部12は、通信部11を制御することにより、回線集約装置20を介して複数の端末装置30との間で通信データのやり取りをする。つまり、制御部12は、通信部11を制御することにより、通信データを端末装置30に送信し、端末装置30が回線集約装置20に送信した通信データを回線集約装置20から受信する。
回線集約装置20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを備える。
【0058】
通信部21は、端末回線50を介して複数の端末装置30と接続され、複数の端末装置30との間で通信データの授受を行う。また、通信部21は、集約回線40を介して中央装置10と接続され、中央装置10との間で通信データの授受を行う。
【0059】
また、通信部21は、回線集約装置20との間で通信可能な回線集約装置である回線集約装置20Aおよび20Bとそれぞれ通信を行い、通信データの授受を行う。回線集約装置20と回線集約装置20Aまたは回線集約装置20Bとは、メタル回線などの有線の自営線により接続されていてもよいし、無線LAN(Local Area Network)により接続されていてもよい。つまり、通信部21は、通信データの送信および受信を行う通信インタフェースを含む。回線集約装置20Aおよび20Bは、回線集約装置20と同様の構成を有する。回線集約装置20Aおよび20Bは、たとえば、回線集約装置20が設置された交差点から最も近い位置にそれぞれ設置された回線集約装置である。ただし、回線集約装置20Aおよび20Bの設置位置は限定されるものではなく、回線集約装置20と通信可能であればどのような位置に設置されていてもよい。
【0060】
制御部22は、通信部21を制御することにより、複数の端末装置30と中央装置10との間でやり取りされる通信データを中継する。つまり、制御部22は、通信部21を制御することにより、通信部21が中央装置10から受信した通信データを端末装置30に送信する。また、制御部22は、通信部21を制御することにより、通信部21が端末装置30から受信した通信データを中央装置10に送信する。
【0061】
記憶部23は、端末情報から受信した通信データを記憶する記憶部であり、具体的には、信号制御実行情報、感知情報および車両ID情報を記憶する。
【0062】
[3.交通管制システム1による処理]
[3−1.通常運用時]
図3は、集約回線40が正常であり中央装置10と回線集約装置20との間で通信を行うことができる場合の通信データの流れを示す図である。
【0063】
図3に示すように、中央装置10と回線集約装置20とを接続する集約回線40が正常な場合には、中央装置10が集約回線40を通じて回線集約装置20に対して、信号制御指令情報および光ビーコン提供情報を送信する。回線集約装置20は、集約回線40を介して中央装置10から、信号制御指令情報および光ビーコン提供情報を受信する。
【0064】
回線集約装置20は、受信した信号制御指令情報を回線集約装置20に接続されている配下の交通信号制御機31に送信する。交通信号制御機31は、信号制御指令情報に基づいて信号灯器の灯色の制御を実行する。
【0065】
また、回線集約装置20は、受信した光ビーコン提供情報を回線集約装置20に接続されている配下の光ビーコン33に送信する。光ビーコン33は、光ビーコン提供情報を道路R上を走行する車両60に対して送信する。
【0066】
また、回線集約装置20は、端末回線50を介して交通信号制御機31、超音波式車両感知器32および光ビーコン33から、それぞれ、信号制御実行情報、感知情報および車両ID情報を受信する。回線集約装置20は、受信したこれらの情報を集約回線40を介して中央装置10に送信する。
【0067】
[3−2.一部の集約回線が異常となっている場合]
図4は、一部の集約回線が異常となっている場合の通信データの流れを示す図である。一部の集約回線が異常となっている場合とは、断線等の原因により集約回線40が異常であり中央装置10と回線集約装置20との間の通信を行うことができないが、回線集約装置20Aと中央装置10とを結ぶ集約回線40Aまたは回線集約装置20Bと中央装置10とを結ぶ集約回線40Bが正常な場合を指す。
【0068】
この場合には、中央装置10は、集約回線40を介して回線集約装置20に通信データを送信することができない。このため、中央装置10は、回線集約装置20と通信可能な他の回線集約装置20を経由して、回線集約装置20に通信データを送信する。たとえば、中央装置10は、後述する帯域幅に関する優先度に基づいて、回線集約装置20Aおよび20Bのうち、回線集約装置20Aを選択し、選択した回線集約装置20Aに対して、送信先アドレスとして回線集約装置20のIPアドレスを含む通信データを送信する。回線集約装置20Aは、通信データを受信し、受信した通信データに含まれる送信先アドレスに従い、回線集約装置20に通信データを転送する。これにより、回線集約装置20は、回線集約装置20Aを経由して中央装置10から信号制御指令情報および光ビーコン提供情報を受信することができる。
【0069】
また、回線集約装置20は、集約回線40を介して中央装置10に通信データを送信することができない。このため、回線集約装置20は、回線集約装置20Aまたは20Bを経由して、中央装置10に通信データを送信する。たとえば、回線集約装置20は、後述する帯域幅に関する優先度に基づいて、回線集約装置20Aおよび20Bのうち回線集約装置20Aを選択し、選択した回線集約装置20Aを介して中央装置10に通信データを送信する。つまり、回線集約装置20は、送信先アドレスとして中央装置10のIPアドレスを含む通信データを回線集約装置20Aに送信する。回線集約装置20Aは、受信した通信データに含まれる送信先アドレスに従い、中央装置10に通信データを転送する。これにより、回線集約装置20は、回線集約装置20の配下の端末装置30から受信した信号制御実行情報、感知情報および車両ID情報などの通信データを回線集約装置20Aを経由して中央装置10に送信することができる。
【0070】
ここで、帯域幅に関する優先度について説明する。
図5は、帯域幅に関する優先度を示す図である。
【0071】
回線集約装置20Aおよび20Bも回線集約装置20と同様に中央装置10との間で通信データの送受信を行う。このため、できるだけ回線集約装置20Aおよび20Bの通信の妨げとならないよう、中央装置10は、回線集約装置20Aおよび20Bのうち帯域幅に余裕のある方(通信速度が速い方)を介して通信データを回線集約装置20に送信する必要がある。集約回線40Aと集約回線40Bとが同様の帯域幅を有する回線である場合には、回線集約装置20Aおよび回線集約装置20Bの配下の端末装置30の種類および台数により帯域幅の余裕を見積もることができる。
【0072】
たとえば、交通信号制御機31の通信量を「1」とした場合に、超音波式車両感知器32、光ビーコン33および画像式車両感知器34は、それぞれ、「1」、「3」および「10」の通信量を有すると考えることができる。回線集約装置20には、3台の交通信号制御機31と、2台の超音波式車両感知器32と、1台の光ビーコン33とが接続されていることより、通信量を「8」と見積もることができる。
【0073】
回線集約装置20Aには、2台の交通信号制御機31と、4台の超音波式車両感知器32と、1台の光ビーコン33とが接続されていることより、通信量を「9」と見積もることができる。回線集約装置20Bには、2台の交通信号制御機31と、2台の超音波式車両感知器32と、1台の画像式車両感知器34とが接続されていることより、通信量を「14」と見積もることができる。
【0074】
通信量の少ない順に優先度を決定すると
図5に示すようになる。このため、中央装置10は、回線集約装置20Aおよび回線集約装置20Bのうち、優先度が高い(値が小さい)回線集約装置20Aを選択して、選択した回線集約装置20A経由で回線集約装置20に通信データを送信する。同様に、回線集約装置20は、優先度に従い回線集約装置20Aを選択して、選択した回線集約装置20A経由で中央装置10に通信データを送信する。
図5に示すテーブルデータは、中央装置10が定期的に(たとえば、1日1回)更新し、回線集約装置20に配信するようにしてもよい。
【0075】
[3−3.すべての集約回線が異常となっている場合]
図6は、すべての集約回線が異常となっている場合の通信データの流れを示す図である。すべての集約回線が異常となっている場合とは、集約回線40、集約回線40Aおよび集約回線40Bのすべてが断線等の原因により異常である場合を示す。つまり、回線集約装置20と中央装置10との間で通信を行うことができず、かつ、回線集約装置20と通信可能な回線集約装置20Aおよび20Bの各々と中央装置10との間で通信を行うことができない場合を示す。
【0076】
この場合には、1ホップ以内で回線集約装置20と中央装置10とを接続する通信経路が存在しない。このため、回線集約装置20は、配下の交通信号制御機31を制御するための信号制御指令情報を決定し、決定した信号制御指令情報を回線集約装置20の配下の交通信号制御機31に送信することにより、交通信号制御機31を制御する。たとえば、回線集約装置20は、回線集約装置20Bと通信を行い、回線集約装置20Bの信号制御指令情報を受信する。回線集約装置20は、回線集約装置20Bの配下の交通信号制御機31とオフセットが同期するように信号制御指令情報を決定する。これにより、隣接する交差点間で青信号のタイミングを同期させることができ、交通の円滑化を図ることができる。
【0077】
なお、回線集約装置20は、配下の超音波式車両感知器32、光ビーコン33または画像式車両感知器34などから収集した感知情報に基づいて、交通信号制御機31の信号制御指令情報を決定してもよい。
【0078】
また、回線集約装置20は、信号制御実行情報、感知情報および車両ID情報を記憶部23に書き込むことにより、これらの情報を蓄積する。
【0079】
[3−4.集約回線40が復旧した場合]
図7は、集約回線40が復旧した場合の通信データの流れを示す図である。集約回線40が復旧して中央装置10と回線集約装置20との間の通信が可能になった場合には、回線集約装置20は、回線集約装置20の記憶部23に蓄積した信号制御実行情報、感知情報および車両ID情報を中央装置10に順次送信する。
【0080】
[4.回線集約装置20の処理フロー]
図8および
図9は、回線集約装置20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0081】
回線集約装置20は、中央装置10との通信が正常に行われているか否かを判断する(S2)。たとえば、制御部22は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のソケットエラー等の接続エラーの発生の有無に基づいて、中央装置10との通信が正常に行われているか否かを判断する。
【0082】
中央装置10との通信が正常に行われている場合には(S2でYES)、回線集約装置20は、中央装置10と、回線集約装置20と通信可能な他の回線集約装置との間でやり取りされる通信データを受信しているか否かを判断する(S4)。ここでは、回線集約装置20Aおよび回線集約装置20Bが回線集約装置20と通信可能である。中央装置10と他の回線集約装置との間でやり取りされる通信データか否かは、送信先アドレスおよび送信元アドレスにより判断することができる。回線集約装置20が中央装置10と他の回線集約装置との間でやり取りされる通信データを受信している場合とは、他の回線集約装置と中央装置10との間の集約回線が異常な場合である。
【0083】
中央装置10と他の回線集約装置との間でやり取りされる通信データを受信している場合には(S4でYES)、回線集約装置20の制御部22は、受信した通信データを優先度に応じて中継する(S6)。たとえば、通信データの優先度は、
図10に示すように定められている。値が小さいほど優先度が高く、朝夕のラッシュ時などのピーク時間帯に送信される「信号制御指令情報」が最も優先度が高く、それ以外の時間帯であるオフピーク時間帯に送信される「信号制御指令情報」と、「感知情報」とが次に優先度が高くなっている。制御部22は、この優先度に従って、優先度が高い情報を優先的に中継する。
【0084】
回線集約装置20の制御部22は、中央装置10と回線集約装置20に接続された端末装置との間でやり取りされる通信データを中継する(S8)。その後、ステップS2に戻る。
【0085】
中央装置10と他の回線集約装置との間でやり取りされる通信データを受信していない場合には(S4でNO)、回線集約装置20の制御部22は、中央装置10に送信していないデータが記憶部23に蓄積されているか否かを判断する(S10)。記憶部23にデータが蓄積されていなければ(S10でNO)、ステップS8に進む。
【0086】
記憶部23にデータが蓄積されていれば(S10でYES)、制御部22は、記憶部23に蓄積されたデータを中央装置10に送信可能な時間帯であるか否かを判断する(S12)。記憶部23に蓄積されたデータは帯域幅に余裕がある場合に送るのが望ましい。このため、たとえば、深夜の時間帯に送るのが望ましい。蓄積されたデータを送信可能な時間帯でなければ(S12でNO)、ステップS8に進む。
【0087】
蓄積されたデータを送信可能な時間帯であれば(S12でYES)、制御部22は、中央装置10と端末装置30との間で、蓄積データよりも優先して送受信すべきデータがあるか否かを判断する(S14)。たとえば、
図10において優先度が1または2の情報を通信部21が受信していれば、優先して送受信すべき通信データがあると判断してもよい。
【0088】
優先して送信すべき通信データがあれば(S14でYES)、制御部22は、その通信データを中継する(S8)。
【0089】
優先して送信すべき通信データがなければ(S14でNO)、制御部22は、記憶部23に蓄積されているデータを中央装置10に送信する(S16)。その後、ステップS2に戻る。
【0090】
中央装置10との通信が正常に行われていなければ(S2でNO)、
図9を参照して、制御部22は、他の回線集約装置との通信が正常に行うことができるか否かを判断する(S18)。たとえば、TCP/IPのソケットエラー等の接続エラーの発生の有無に基づいて、他の回線集約装置との通信が正常に行われているか否かを判断する。
【0091】
他の回線集約装置との通信が正常であれば(S18でYES)、制御部22は、他の回線集約装置を経由して中央装置10から回線集約装置20の配下の端末装置30に送信される通信データを受信しているか否かを判断する(S20)。たとえば、制御部22は、通信部21があらかじめ定められた時間の間、他の回線集約装置を経由して中央装置10から通信データを受信していない場合に、上記通信データを受信していないと判断してもよい。つまり、他の回線集約装置と中央装置10との間において通信を行うことができないと判断してもよい。あらかじめ定められた時間とは、たとえば、5分間などの時間であってもよいし、交通信号制御機31の1サイクル長であってもよい。
【0092】
他の回線集約装置から、中央装置10と回線集約装置20の配下の端末装置30との間でやり取りされる通信データを受信している場合(S20でYES)とは、
図4に示すような一部の集約回線が異常となっている場合である。このため、このような場合には、制御部22は、他の回線集約装置(
図4における回線集約装置20A)から受信した通信データ、すなわち中央装置10が送信元の通信データを端末装置30に送信する(S22)。たとえば、制御部22は、信号制御指令情報を交通信号制御機31に送信する。また、制御部22は、光ビーコン提供情報を光ビーコン33に送信する。
【0093】
また、制御部22は、端末装置30から受信した通信データを他の回線集約装置を経由して中央装置10に送信するか、または、当該通信データを記憶部23に書き込む(S24)。中央装置10に送信するか記憶部23に書き込むかの判断は、
図10に示す情報種別ごとの優先度と履歴蓄積情報とに基づき判断される。たとえば、制御部22は、端末装置30から受信した通信データのうち、優先度が「1」または「2」の情報を他の回線集約装置を経由して中央装置10に送信する。ここでは、感知情報が中央装置10に送信される。また、制御部22は、履歴蓄積情報に丸印がついている情報であって、中央装置10に送信していない情報を記憶部23に蓄積する。ここでは、信号制御実行情報と車両ID情報とを記憶部23に蓄積する。その後、ステップS2に戻る。
【0094】
他の回線集約装置から、中央装置10と回線集約装置20の配下の端末装置30との間でやり取りされる通信データを受信していない場合(S20でNO)とは、
図6に示すようなすべての集約回線が異常となっている場合である。このため、このような場合には、制御部22は、回線集約装置20の配下の超音波式車両感知器32、光ビーコン33または画像式車両感知器34から感知情報を収集するとともに、他の回線集約装置から感知情報を収集する。制御部22は、収集した感知情報に基づいて、回線集約装置20に接続されている交通信号制御機31の信号制御指令情報を決定し、決定した信号制御指令情報を交通信号制御機31に送信することにより交通信号制御機31を制御する(S26)。
【0095】
制御部22は、配下の端末装置30から収集した信号制御実行情報などの情報を記憶部23に蓄積する(S28)。その後、ステップS2に戻る。
【0096】
他の回線集約装置との通信が異常であれば(S18でNO)、他の回線集約装置より情報を取得することができない。このため、制御部22は、回線集約装置20の配下の超音波式車両感知器32、光ビーコン33または画像式車両感知器34から感知情報を収集し、収集した感知情報に基づいて、回線集約装置20に接続されている交通信号制御機31の信号制御指令情報を決定する。制御部22は、決定した信号制御指令情報を交通信号制御機31に送信することにより交通信号制御機31を制御する(S30)。その後、ステップS28に進む。
【0097】
[5.中央装置10の処理フロー]
図11は、中央装置10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。中央装置10は、回線集約装置20ごとに以下に説明する処理を実行する。
【0098】
中央装置10の制御部12は、着目している回線集約装置20との通信が正常か否かを判断する(S32)。上述のように接続エラーの発生の有無に基づいて、通信が正常か否かを判断してもよい。
【0099】
回線集約装置20との通信が正常であれば(S32でYES)、中央装置10と回線集約装置20との間の通信異常時に回線集約装置20に蓄積されているデータがあるか否かを判断する(S34)。たとえば、ある時刻以降の信号制御実行情報が欠落していれば、回線集約装置20に蓄積されているデータがあると判断してもよい。
【0100】
回線集約装置20に蓄積されているデータがある場合には(S34でYES)、制御部12は、蓄積データの受信が可能な時間帯であるか否かを判断する(S36)。たとえば、制御部12は、現在の時刻が集約回線40の帯域幅に余裕のある時間帯である深夜の時間帯に含まれていれば、蓄積データの受信が可能な時間帯であると判断してもよい。
【0101】
蓄積データの受信が可能な時間帯であれば(S36でYES)、制御部12は、回線集約装置20に送信すべきデータがあるか否かを判断する(S38)。
【0102】
回線集約装置20に送信すべきデータがなければ(S38でNO)、制御部12は、記憶部23に蓄積されているデータの送信を要求するための送信要求情報を、回線集約装置20に送信する(S40)。回線集約装置20の制御部22は、送信要求情報に応答して記憶部23に蓄積されているデータを中央装置10に送信することができる。ステップS40の後、ステップS32に戻る。
【0103】
回線集約装置20に蓄積されているデータがない場合(S34でNO)、蓄積データの受信が可能な時間帯でない場合(S36でNO)、または、回線集約装置20に送信すべきデータがある場合には、制御部12は、中央装置10に対して信号制御指令情報等の通信データを送信する(S42)。その後、ステップS32に戻る。
【0104】
回線集約装置20との通信が異常であれば(S32でNO)、回線集約装置20と通信が可能な他の回線集約装置との通信が正常か否かを判断する(S44)。この判断は、回線集約装置20との通信が正常か否かの判断と同様に行われる。
【0105】
他の回線集約装置との通信が正常であれば(S44でYES)、制御部12は、他の回線集約装置に対して、回線集約装置20向けの信号制御指令情報等の通信データを送信する(S46)。他の回線集約装置が複数ある場合には、制御部12は、
図5に示した帯域幅に関する優先度に従い他の回線集約装置を選択し、選択した他の回線集約装置に通信データを送信する。その後、ステップS32に戻る。
【0106】
他の回線集約装置との通信が異常であれば(S44でNO)、ステップS32に戻り、回線集約装置または他の回線集約装置との通信が正常になるまで待機する。
【0107】
[6.実施の形態の効果等]
以上説明したように本発明の実施の形態に係る交通管制システム1によると、他の回線集約装置である回線集約装置20Aまたは回線集約装置20Bを介しても、回線集約装置20Aが中央装置10と回線集約装置20の配下の端末装置30との間でやり取りされる通信データの中継を行うことができない場合であっても、回線集約装置20が超音波式車両感知器32または画像式車両感知器34などの車両感知器の情報を用いて交通信号制御機31を制御するための信号制御指令情報を決定することができる。たとえば、超音波式車両感知器32の情報により渋滞が検知された場合には、渋滞を解消するような信号制御指令情報を作成することができる。このため、集約回線40Aや集約回線40Bなどの他の通信回線を経由しても通信データを中継することができない場合であっても、望ましい状態で交通信号制御機31を動作させることができる。
【0108】
また、回線集約装置20と中央装置10との間、および他の回線集約装置と中央装置10との間のいずれにおいても通信を行うことができない場合に、回線集約装置20は、他の回線集約装置の配下の交通信号制御機31の信号制御指令情報を取得したり、他の回線集約装置の配下の車両感知器の情報を取得したりすることができる。このため、たとえば、制御部22は、他の回線集約装置の配下の交通信号制御機31とオフセットが同期するように、回線集約装置の配下の交通信号制御機31の信号制御指令情報を決定することができる。これにより、渋滞を解消するような信号制御指令情報を作成することができ、望ましい状態で交通信号制御機31を動作させることができる。
【0109】
また、
図8のステップS6で説明したように、交通信号制御機31の制御に重要な信号制御指令情報および感知情報を他の情報より優先させて中継することができる。これにより、交通信号制御機31をできるだけ支障を来さずに制御することができ、望ましい状態で交通信号制御機31を動作させることができる。
【0110】
また、朝夕のラッシュ時などの交通量の多い時間帯に信号制御指令情報を中継する場合には、それ以外の時間帯に中継する場合に比べて、より優先して信号制御指令情報を中継するようにしている。このため、交通量の多い時間帯では交通信号制御機31をできるだけ支障を来さずに制御することができる。よって、望ましい状態で交通信号制御機31を動作させることができる。
【0111】
また、回線集約装置20は、中央装置10との間で通信ができない場合に、他の回線集約装置の帯域幅に関する優先度に基づき複数の他の回線集約装置のうち1つを選択し、選択した他の回線集約装置を介して通信データを中継している。このため、帯域幅に余裕のある他の回線集約装置を経由して通信データを中継することができる。よって、帯域幅に余裕のない他の回線集約装置に通信データを経由させることがなくなり、他の回線集約装置の通信に与える影響を最小限にとどめながら通信データを中継することができる。
【0112】
また、帯域幅に関する優先度は、他の回線集約装置に接続される配下の端末装置の種類および数に従い定められている。このため、大きなデータ量のデータを通信する端末装置が接続されていたり、多くの端末装置が接続されていたりする他の回線集約装置には、通信データを全く送信しないようにしたり、あまり大きな通信データを送信しないようにすることができる。よって、他の回線集約装置の通信に与える影響を最小限にとどめながら通信データを中継することができる。
【0113】
また、回線集約装置20は、回線集約装置20の配下の交通信号制御機31の信号制御実行情報を記憶する記憶部23を備えている。制御部22は、回線集約装置20と中央装置10との間で通信ができない場合に、信号制御実行情報を記憶部23に蓄積し、回線集約装置20と中央装置10との間の通信が復旧した場合に、記憶部23に蓄積した信号制御実行情報を中央装置10に送信している。このため、リアルタイムで送信することのできなかった信号制御実行情報を事後的に中央装置10に送信することができる。このため、中央装置10では、信号制御実行情報を各種の統計処理に用いることができる。
【0114】
また、
図9のステップS20で説明したように、制御部22は、通信部21があらかじめ定められた時間の間、中央装置10から通信データを受信していない場合に、他の回線集約装置と中央装置10との間において通信を行うことができないと判断している。このため、簡便な方法により上記判断を行うことができる。
【0115】
また、中央装置10は、回線集約装置20を介して複数の端末装置30との間で通信データのやり取りを行うことができない場合であっても、他の回線集約装置を介して通信データのやり取りを行うことができる。このため、交通信号制御機31の信号制御指令情報や車両感知器の情報などをやり取りすることができ、望ましい状態で交通信号制御機31を動作させることができる。
【0116】
また、制御部12は、回線集約装置20との間で通信ができる場合で、かつ深夜などの集約回線の帯域幅に余裕のある時間帯に該当する場合に、回線集約装置20との間で通信ができない間に蓄積された回線集約装置20の配下の交通信号制御機31の信号制御実行情報を回線集約装置20から取得している。よって、朝夕のラッシュ時などの帯域幅に余裕のない時間帯を避けて、回線集約装置20から信号制御実行情報を取得することができる。このため、交通信号制御機31の信号制御指令情報などの重要な情報の通信を邪魔することなく、信号制御実行情報を取得することができる。
【0117】
[7.付記]
以上、本発明の実施の形態に係る交通管制システム1について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
(変形例)
【0118】
たとえば、上述の実施の形態では、回線集約装置20は、中央装置10との間で通信ができない場合に、他の回線集約装置の帯域幅に関する優先度に基づき複数の他の回線集約装置のうち1つを選択し、選択した他の回線集約装置を介して通信データを中継している。これに対して、このような場合に、他の回線集約装置を1つ選択するのではなく、複数選択するようにしてもよい。たとえば、回線集約装置20の制御部22は、他の回線集約装置である回線集約装置20Aおよび20Bの両方を選択し、それぞれの他の回線集約装置を介して通信データを中継してもよい。
【0119】
その際、制御部22は、他の回線集約装置の帯域幅に関する優先度に基づき複数の他の回線集約装置への通信データの分配率を決定する。制御部22は、決定した分配率に従い複数の他の回線集約装置へ通信データを分配し、複数の他の回線集約装置を介して通信データを中継する。たとえば、
図5に示した帯域幅に関する優先度において、回線集約装置20Aの優先度が「2」であり、回線集約装置20Bの優先度が「3」である。このため、優先度の高い回線集約装置20Aに優先度の低い回線集約装置20Bに比べてより多くの通信データが分配されるように分配率を決定する。たとえば、回線集約装置20Aの通信データの分配率を「14」とし、回線集約装置20Bの通信データの分配率を「9」としてもよい。これは、回線集約装置20Aと回線集約装置20Bとの通信量の比率が「9:14」であることより、分配率をその逆比の「14:9」としたものである。
【0120】
このように、帯域幅に余裕のある他の回線集約装置ほどより大きなデータ量の通信データを中継させ、帯域幅に余裕のない他の回線集約装置が中継する通信データのデータ量を小さくすることができる。よって、他の回線集約装置の通信に与える影響を最小限にとどめながら通信データを中継することができる。
【0121】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されてもよい。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0122】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0123】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0124】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0125】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
【0126】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0127】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0128】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
さらに、上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。