【0029】
ジヒドロアクチニジオライドは、上述したように、食品の呈味を改善し得る量で食品に添加すればよく、最終食品中のジヒドロアクチニジオライドの濃度が、通常100重量ppt〜100重量ppm、好ましくは10重量ppb〜240重量ppb、より好ましくは30重量ppb〜120重量ppbとなるように、食品に添加すればよい。
例えば、そのまま喫食され得る最終食品にジヒドロアクチニジオライドを直接添加する場合には、最終食品中のジヒドロアクチニジオライドの濃度が100重量ppt〜100重量ppm、好ましくは10重量ppb〜240重量ppb、より好ましくは30重量ppb〜120重量ppbとなるように当該最終食品に添加することで、呈味改善効果を効果的に得ることができる。最終食品中の濃度が100重量pptより低い濃度の場合は、充分な呈味改善効果が得られない傾向があり、100重量ppmより高い濃度の場合は、苦味などの好ましくない呈味が感じられる傾向がある。
また、喫食時に適宜希釈される調味料又は食品素材(例えば、家畜家禽肉由来の飲食品素材(エキス、肉、骨等)、濃縮タイプのめんつゆ等)にジヒドロアクチニジオライドを添加しておき、これを適宜希釈して最終食品を調製することにより、最終食品の呈味を改善することもできる。当該調味料又は食品素材へのジヒドロアクチニジオライドの添加量は、最終食品中のジヒドロアクチニジオライドの濃度が上記範囲になるように、その希釈率に応じて増やすことができる。例えば、喫食時に100倍希釈される調味料の場合には、当該調味料中のジヒドロアクチニジオライドの濃度が、10重量ppb〜1重量%、好
ましくは1重量ppm〜24重量ppm、より好ましくは3重量ppm〜12重量ppmとなるように添加することで、最終食品の呈味改善効果を効率的に得ることができる。
また、ジヒドロアクチニジオライドの食品への添加は、食品の製造前の原料中、食品の製造中、食品の完成後、食品の喫食直前、食品の喫食中等、いかなる時点で行ってもよい。
【実施例】
【0033】
実施例1.スープへの添加効果
和風スープは、味の素株式会社製「ほんだし(登録商標)」を水溶液濃度で0.67重量%になるように調製した。洋風スープは、味の素株式会社製「KKコンソメ」を水溶液濃度で1.77重量%になるように調製した。中華スープは、味の素株式会社製「丸鶏がらスープ」を水溶液濃度で1.67重量%になるように調製した。ポタージュスープは、味の素株式会社製「クノール カップスープポタージュ」を9.8重量%になるように調製した。
ジヒドロアクチニジオライド(Waterstone Technology社製)10mgを1mlのエタノールに溶解し、超純水にて希釈を行い、1000ppm溶液を調製した。
更に、上記1000ppm溶液を超純水で100倍希釈し10ppm溶液を調製した。10ppm溶液0.1μlをスープ100gに添加して良く撹拌し、10重量ppt試料を調製した。10ppm溶液1μlを用いて、同様な操作を行い、100重量ppt試料を調製した。
1000ppm溶液0.1μlをスープ100gに添加して良く撹拌し、1重量ppb試料を調製した。同様な操作を行い、順次、10、30、60、120、240重量ppb試料を調製した。
100重量ppm試料と1000重量ppm試料は、ジヒドロアクチニジオライド10mg、または100mgを計量し、それぞれスープ100gに添加して良く撹拌して調製した。
上記溶液0.1μlをスープ100gに添加して良く撹拌し、1重量ppb試料を調製した。同様にして、10、30、60、120及び240重量ppb試料を調製した。
【0034】
官能評価は、専門のパネラー3名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0035】
結果を下記表1、2、3及び4に示す。いずれのスープにおいても100重量ppt〜100重量ppmの濃度で呈味を改善(特に増強)する効果が認められた。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
実施例2.鰹だしへの添加効果
鰹だしは、味の素株式会社製「極味(きわみ)本造り一番だし かつおだし」を16倍希釈したものを用いた。この鰹だしに、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を添加して、表5に記載の濃度でジヒドロアクチニジオライドを含む試料を調製した。
【0041】
官能評価は、専門のパネラー3名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0042】
結果を下記表5に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、10重量ppb〜240重量ppbのいずれの濃度においても鰹だしの呈味を改善する効果が認められた。
【0043】
【表5】
【0044】
実施例3.調理評価系への添加効果
調理評価系として、めんつゆと煮物を試作した。配合表を下記表6及び7に示す。みりんはキッコーマン株式会社製「マンジョウ芳醇本みりん」、しょうゆはキッコーマン株式会社製「しょうゆ」を使用した。酒はキング醸造株式会社製純米料理酒、薄口しょうゆはキッコーマン株式会社製「うすくちしょうゆ」、砂糖は三井製糖株式会社製「上白糖」を使用した。
【0045】
めんつゆは、以下の方法により調製した:鍋に水と「ほんだし(登録商標)」を入れて煮立て、みりんとしょうゆを加え、水分蒸発量を補正する。
めんつゆに、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を添加して、表8に記載の濃度でジヒドロアクチニジオライドを含む試料を調製した。
【0046】
煮物は、以下の方法により調製した:鍋に高野豆腐以外の材料(即ち、つゆの区分の材料)を入れて煮立て、高野豆腐を入れて中火で1〜2分煮る。蓋をして弱火で20分ほど煮た後、火を消して、蒸発量を補正する。
煮物のつゆの区分に対して、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を添加して、表9に記載の濃度でジヒドロアクチニジオライドを含む試料を調製した。
【0047】
官能評価は、専門のパネラー3名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0048】
結果を下記表8及び9に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、いずれの濃度においてもめんつゆ及び煮物の呈味を改善する効果が認められた。
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】
実施例4.鰹だしを用いた調理評価系への添加効果
鰹だしを用いた調理評価系として、めんつゆと煮物を調製した。配合表を下記表10、11及び12に示す。鰹だしには、味の素株式会社製「極味(きわみ)本造り一番だし かつおだし」を用いた。三温糖は三井製糖株式会社製「三温糖」を用いた。かえしは、鍋にみりんを入れて煮立て、静まるまで加熱し、三温糖及び醤油を加え、80℃まで加熱した後、冷ますことにより調製した。
【0054】
めんつゆは、配合表の材料をすべて混合し、つけ汁として供した。
めんつゆに、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を、表13に記載の濃度となるように添加した。
【0055】
煮物は、以下の方法により調製した:たけのことオクラは下ゆでしたものを用いた。鍋に水及び調味料区分(即ち、つゆの区分の材料)をすべて混合し、厚揚げ、たけのこ、オクラを加え、一煮立ちした後、水分蒸発量を補正した。
煮物のつゆの区分に対して、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を、表14に記載の濃度となるように添加した。
【0056】
官能評価は、専門のパネラー3名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0057】
結果を下記表13及び14に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、いずれの濃度においてもめんつゆ及び煮物の呈味を改善する効果が認められた。
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
【表12】
【0061】
【表13】
【0062】
【表14】
【0063】
実施例5.グラニュー糖水溶液への添加効果
5%グラニュー糖水溶液に対して、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を、表15に記載の濃度となるように添加した。
【0064】
官能評価は、専門のパネラー2名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし(無添加と同等)
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0065】
結果を下記表15に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、100重量ppt〜100重量ppmのいずれの濃度においてもグラニュー糖水溶液の甘味およびあつみを改善(特に増強)する効果が認められた。
【0066】
【表15】
【0067】
実施例6.アスパルテーム水溶液への添加効果
0.036%アスパルテーム水溶液に対して、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を、表16に記載の濃度となるように添加した。
【0068】
官能評価は、専門のパネラー2名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし(無添加と同等)
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0069】
結果を下記表16に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、100重量ppt〜100重量ppmのいずれの濃度においてもアスパルテーム水溶液の甘味およびあつみを改善(特に増強)する効果が認められた。
【0070】
【表16】
【0071】
実施例7.スクラロース水溶液への添加効果
0.0108%スクラロース水溶液に対して、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を、表17に記載の濃度となるように添加した。
【0072】
官能評価は、専門のパネラー4名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし(無添加と同等)
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0073】
結果を下記表17に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、100重量ppt〜100重量ppmのいずれの濃度においてもスクラロース水溶液の甘味およびあつみを改善(特に増強)する効果が認められた。
【0074】
【表17】
【0075】
実施例8.アセスルファムカリウム水溶液への添加効果
0.045%アセスルファムカリウム水溶液に対して、上述したジヒドロアクチニジオライド溶液を、表18に記載の濃度となるように添加した。
【0076】
官能評価は、専門のパネラー4名で行い、評価基準は、
− :好ましくない効果有り
± :効果なし(無添加と同等)
+ :好ましい効果有り
++:とても好ましい効果有り
とした。
【0077】
結果を下記表18に示す。ジヒドロアクチニジオライドを添加した場合、100重量ppt〜100重量ppmのいずれの濃度においてもアセスルファムカリウム水溶液の甘味およびあつみを改善(特に増強)する効果が認められた。
【0078】
【表18】