特許第6507494号(P6507494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6507494
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】カード細断装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/06 20060101AFI20190422BHJP
   B02C 18/18 20060101ALI20190422BHJP
   B02C 18/22 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   B02C18/06 Z
   B02C18/18 B
   B02C18/22
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-118986(P2014-118986)
(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公開番号】特開2015-231595(P2015-231595A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2017年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堂込 一智
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−300334(JP,A)
【文献】 特開昭61−038639(JP,A)
【文献】 特開2007−330955(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0006330(US,A1)
【文献】 特開平11−290714(JP,A)
【文献】 特開2002−273254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00−18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を有するカードを細断する細断部を備えるカード細断装置であって、
前記細断部は、
複数の第1カッター、および、複数の第2カッターを備え、
前記第1カッターは、第1回転軸を中心とする円盤形状を有したカッターであって、前記第1回転軸を中心に回転する外周面を主刃として有し、
前記第2カッターは、前記第1回転軸と平行な第2回転軸を中心とする円盤形状を有したカッターであって、前記第2回転軸を中心に前記第1カッターの回転方向とは反対の方向に回転する外周面を主刃として有し、
前記第1回転軸の軸方向から見て、前記第1カッターにおける外周部の一部と前記第2カッターにおける外周部の一部とは、相互に重なる領域を有し、前記相互に重なる領域において、前記第1カッターの前記主刃と前記第2カッターの前記主刃とは、前記第1回転軸の軸方向に沿って交互に配置されて、複数の前記第1カッターと複数の前記第2カッターとの間に入る前記カードにせん断力を作用させるように構成され、
前記複数の第1カッター、および、前記複数の第2カッターからなる複数の前記カッターの少なくとも1つが前記カッターの外周面から突出する副刃を備え、
前記副刃は、前記カッターの外周面にて当該カッターの軸方向の全体に渡って延びる突条状の四角柱形状を有し、前記カードに対して厚さ方向の変形を生じさせる機能を有する
カード細断装置。
【請求項2】
前記細断部は、
前記第2回転軸の軸方向に沿って並ぶ前記第2カッターの間に配置され、前記第1カッターの前記主刃と対向するガイド部をさらに備え、
前記ガイド部は、前記主刃の中で前記相互に重なる領域を構成する部分と対向する位置から、前記第1カッターの回転方向に沿って延びる
請求項1に記載のカード細断装置。
【請求項3】
前記第1カッターの回転によって排出される前記カードの断片を収容する第1収容部と、
前記第1収容部とは異なる収容部であって、前記第2カッターの回転によって排出され
る前記カードの断片を収容する第2収容部と、をさらに備える
請求項2に記載のカード細断装置。
【請求項4】
前記相互に重なる領域にて相互に隣り合う前記第1カッターおよび前記第2カッターの各々が前記副刃を有し、
前記第1カッターと前記第2カッターとが回転している場合において、前記第1カッターの前記副刃が前記相互に重なる領域に位置するとき、前記第2カッターの前記副刃は前記相互に重なる領域以外に位置する
請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード細断装置。
【請求項5】
前記相互に重なる領域にて、前記第1カッターと前記第2カッターとの間には、隙間が形成されている
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカード細断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを細断するカード細断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気カードやICカード等のカードの破棄に際しては、これらのカードが有する情報の流出や不正な利用を抑えるために、カード細断装置によるカードの細断が行われている。例えば、特許文献1に記載のカード細断装置は、短冊状を有する複数の断片にカードを細断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−300334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カードが複数の断片に細断されることのみでは、不正な利用の対象となる情報の全てが1つの断片に含まれたり、複数の断片が繋ぎ合わされることによってその情報が復元されたりするため、カードの有する情報を不正に利用される虞がある。それゆえ、こうした情報の不正な利用が困難な状態に、カードを細断するカード細断装置が望まれている。
【0005】
本発明は、カードの細断によって、カードの有する情報の不正な利用を抑えることのできるカード細断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するカード細断装置は、情報を有するカードを細断する細断部を備えるカード細断装置であって、前記細断部は、複数の第1カッター、および、複数の第2カッターを備え、前記第1カッターは、第1回転軸を中心とする円盤形状を有したカッターであって、前記第1回転軸を中心に回転する外周面を主刃として有する。前記第2カッターは、前記第1回転軸と平行な第2回転軸を中心とする円盤形状を有したカッターであって、前記第2回転軸を中心に前記第1カッターの回転方向とは反対の方向に回転する外周面を主刃として有する。前記第1回転軸の軸方向から見て、前記第1カッターにおける外周部の一部と前記第2カッターにおける外周部の一部とは、相互に重なる領域を有し、前記相互に重なる領域において、前記第1カッターの前記主刃と前記第2カッターの前記主刃とは、前記第1回転軸の軸方向に沿って交互に配置されて、複数の前記第1カッターと複数の前記第2カッターとの間に入る前記カードにせん断力を作用させるように構成されている。そして、複数の前記カッターの少なくとも1つが前記カッターの外周面から突出する副刃を備える。
【0007】
上記構成によれば、第1カッターの外周部と第2カッターの外周部とは、軸方向から見て相互に重なる領域を有し、この領域に入るカードは、第1カッターの主刃と第2カッターの主刃とによるせん断力を受けて、カッターの回転方向に沿った断片に分割される。この際に、少なくとも1つのカッターの外周面において副刃が突出しているため、副刃は、カードの厚さ方向に沿ってカードを押圧する力をカードに作用させる。そして、こうした断続的な力が細断の過程においてカードに作用するため、カードの厚さ方向に沿って断片が潰されるように、断片の一部は変形する。その結果、細断される前のカードに近い状態にカードを復元することは困難となり、また、1つの断片内においても変形によってカードの有する情報の読み取りが困難となるため、カードの有する情報の不正な利用が抑えられる。
【0008】
上記カード細断装置において、前記細断部は、前記第2回転軸の軸方向に沿って並ぶ前記第2カッターの間に配置され、前記第1カッターの前記主刃と対向するガイド部をさらに備え、前記ガイド部は、前記主刃の中で前記相互に重なる領域を構成する部分と対向する位置から、前記第1カッターの回転方向に沿って延びることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、第1カッターの主刃とガイド部との間を通るカードは、主刃によってガイド部に押し付けられることによって、湾曲した形状に変形する。したがって、カードの復元がより困難となるため、カードの有する情報の不正な利用をさらに抑えることができる。
【0010】
上記カード細断装置は、前記第1カッターの回転によって排出される前記カードの断片を収容する第1収容部と、前記第1収容部とは異なる収容部であって、前記第2カッターの回転によって排出される前記カードの断片を収容する第2収容部と、をさらに備えることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、カードが細断される前に互いに隣接する部分を構成していた2つの断片の一方は、第1カッターの回転によって第1収容部に収容され、2つの断片の他方は、第2カッターの回転によって第2収容部に収容される。したがって、互いに隣接する部分を構成していた2つの断片を1組の断片として見つけ出すことが困難になるため、断片を繋ぎ合わせてカードを復元することがより困難となる。そのため、カードの有する情報の不正な利用をさらに抑えることができる。
【0012】
上記カード細断装置は、前記相互に重なる領域にて相互に隣り合う前記第1カッターおよび前記第2カッターの各々が前記副刃を有し、前記第1カッターの前記副刃が前記相互に重なる領域に位置するとき、前記第2カッターの前記副刃は前記相互に重なる領域以外に位置することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、第1カッターと第2カッターとは、相互に異なるタイミングで、副刃による押圧をカードに与える。したがって、第1カッターと第2カッターとが同じタイミングでカードを押圧する場合と比較して、細断に要する負荷が分散されるため、細断部にかかる負荷が軽減される。
【0014】
上記カード細断装置において、前記相互に重なる領域にて、前記第1カッターと前記第2カッターとの間には、隙間が形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、第1カッターと第2カッターとの間においてカードが切断され易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カードの細断によって、カードの有する情報の不正な利用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態のカード細断装置の全体構成を示す図である。
図2】一実施形態のカード細断装置における細断部の斜視構造を示す斜視図である。
図3】一実施形態のカード細断装置におけるカッターおよびガイド部の正面構造を示す正面図である。
図4】一実施形態のカード細断装置における細断部の上面構造を示す上面図である。
図5】一実施形態のカード細断装置においてカードが細断されるときの装置状態をカードと共に模式的に説明する図である。
図6】一実施形態のカード細断装置における細断部の部分的な構成を示す部分上面図である。
図7】一実施形態のカード細断装置によって細断されたカードを示す図である。
図8】一実施形態のカード細断装置の作用を示す作用図であって、第1カッターによって押圧されたカードの断片が収集される過程を示す図である。
図9】一実施形態のカード細断装置の作用を示す作用図であって、第2カッターによって押圧されたカードの断片が収集される過程を示す図である。
図10】変形例のカード細断装置におけるカッターの斜視構造およびその組み立て工程を示す図である。
図11】変形例のカード細断装置におけるカッターの斜視構造およびその組み立て工程を示す図である。
図12】変形例のカード細断装置におけるカッターの正面構造を示す正面図である。
図13】変形例のカード細断装置におけるカッターの正面構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図9を参照して、カード細断装置の一実施形態について説明する。
[カード細断装置の全体構成]
図1に示されるように、カード細断装置10は、カードを細断する細断部20と、細断部20を駆動する駆動部30と、細断部20によって細断されたカードの断片を収容する収容部40とを備えている。
【0018】
細断部20と、駆動部30と、収容部40とは、カード細断装置10が有する筐体11の内部に収容されている。筐体11の有する部位の中で、細断部20にてカードが細断される位置の上方に位置する部位には、筐体11の内部と外部とを連通する供給口11aが形成されている。細断対象のカードは、供給口11aから細断部20へ供給される。
【0019】
細断部20は、複数のカッター21と、複数のガイド部22とを有している。カッター21は、カッター21の回転によって、カードを短冊状に切断するせん断力、および、カードの厚さ方向への押圧力をカードに与え、ガイド部22は、カッター21によるカードへの押圧力の付与を補助する。
【0020】
駆動部30は、細断部20のカッター21を回転させる動力源であるモーターや、動力を動力源からカッター21へ伝達する機構等を有している。
収容部40は、第1収容部40Aと第2収容部40Bとを有している。第1収容部40Aにてカードの断片が収容される空間と、第2収容部40Bにてカードの断片が収容される空間とは、分離されている。第1収容部40Aと第2収容部40Bとは、第1収容部40Aに収容されたカードの断片と、第2収容部40Bに収容されたカードの断片とを、筐体11の外部へ別々に取り出すことが可能なように、筐体11内に設置されている。
【0021】
カード細断装置10による細断対象のカードは、情報を有したカードであって、磁気カードやICカード等の樹脂製のカードや、磁気ストライプやICチップを有さない樹脂製のカード等、一般的な紙よりも厚みが厚く、硬度が高いカードである。
【0022】
なお、カード細断装置10における各部の配置は、図1に示される配置に限られず、カード細断装置10は、例えば、筐体11の側面部分から細断対象のカードが細断部20に供給される構成を有してもよい。
【0023】
[細断部の構成]
図2図4を参照して、細断部20の詳細な構成について説明する。
まず、図2を参照して、細断部20の全体構成について説明する。なお、図2においては、複数のカッター21の位置関係をわかりやすくするため、最も手前のガイド部22を二点鎖線で示している。
【0024】
図2に示されるように、複数のカッター21は、第1回転軸23の回転に伴って第1回転軸23を中心に回転する円盤形状を有した複数の第1カッター21Aと、第2回転軸24の回転に伴って第2回転軸24を中心に回転する円盤形状を有した複数の第2カッター21Bとに分けられる。第1回転軸23と第2回転軸24とは、相互に平行に配置され、第1回転軸23は、各第1カッター21Aの中心を通り、第2回転軸24は、各第2カッター21Bの中心を通っている。第1回転軸23および第2回転軸24の各々は、軸方向から見て、正六角形の断面形状を有している。
【0025】
第1回転軸23と第2回転軸24の各々は、駆動部30に連結され、駆動部30から動力を受けて回転する。駆動部30からの駆動力を受ける第1回転軸23は、例えば、右回りに回転する一方で、駆動部30からの駆動力を受ける第2回転軸24は、第1回転軸23の回転する方向とは反対の方向である例えば左周りに回転する。このとき、カードが供給される方向から見て、すなわち、供給口11aから細断部20を見て、第1回転軸23は、第2回転軸24に向かう方向に回転し、第2回転軸24は、第1回転軸23に向かう方向に回転する。
【0026】
複数のガイド部22は、第1カッター21Aと対向する第1ガイド部22Aと、第2カッター21Bと対向する第2ガイド部22Bとに分けられる。第1ガイド部22Aは、第1カッター21Aに対して第2回転軸24側に配置され、第2ガイド部22Bは、第2カッター21Bに対して第1回転軸23側に配置されている。第1回転軸23の軸方向に沿って並ぶ第1カッター21Aの間には、第2ガイド部22Bが位置し、第2回転軸24の軸方向に沿って並ぶ第2カッター21Bの間には、第1ガイド部22Aが位置する。
【0027】
図3を参照して、カッター21およびガイド部22の詳細な構成について説明する。なお、図3では、第1カッター21Aおよび第1ガイド部22Aを例示して説明するが、第2カッター21Bおよび第2ガイド部22Bも同様の構成を有している。
【0028】
図3に示されるように、カッター21は、円盤形状に形成されて主刃としての外周面を有する円盤部21aと、円盤部21aの外周面から円盤部21aにおける径方向の外側に向けて突出する副刃としての突起部21bとを備えている。円盤部21aの軸方向から見て、突起部21bは、略矩形状を有し、その一辺が、円盤部21aに繋がっている。突起部21bは、円盤部21aの外周面にて、円盤部21aにおける軸方向の全体に渡って延びる突条形状に形成されている。すなわち、突起部21bは、四角柱形状を有し、その一面が円盤部21aに繋がっている。
【0029】
突起部21bの数および位置は限定されないが、突起部21bが複数ある場合には、突起部21bは、円盤部21aの周方向に沿って均等に配置されていることが好ましい。円盤部21aと突起部21bとは、例えば、金属から一体に形成される。
【0030】
ガイド部22は、円盤部21aにおける外周面の一部と対向し、円盤部21aが回転することによって、円盤部21aにおける外周面の全体と対向する。すなわち、ガイド部22は、円盤部21aにおける主刃と対向し、また、副刃である突起部21bとも対向する。
【0031】
カードは、カードの面方向を円盤部21aの軸方向に沿わせて、円盤部21aの径方向の外側から、細断部20に差し入れられる。ガイド部22と円盤部21aの外周面とが対向する範囲は特に制限されず、ガイド部22は、カッター21の回転方向とカードの進行方向とがほぼ一致する領域のみで円盤部21aの外周面と対向してもよいし、上記領域を越えて円盤部21aの外周面と対向してもよい。
【0032】
こうした構成において、カードは、カッター21とガイド部22との間を通って、細断部20を通過する。ガイド部22は、カードの搬送経路に沿って配置され、カードの搬送方向を案内する。
【0033】
図4を参照して、複数のカッター21および複数のガイド部22の配置について説明する。
図4に示されるように、第1回転軸23と第2回転軸24との間の距離は、第1カッター21Aの半径と、第2カッター21Bの半径との合計の長さよりも短い。第1カッター21Aにおける外周部の一部と、第2カッター21Bにおける外周部の一部とは、回転軸23,24の軸方向から見て相互に重なっている。第1カッター21Aの一部と第2カッター21Bの一部とが相互に重なる領域にて、第1カッター21Aの円盤部21aと第2カッター21Bの円盤部21aとは、回転軸23,24の軸方向に沿って交互に配置されている。回転軸23,24の軸方向から見て、第1カッター21Aにおける外周縁の回転軌道の一部と、第2カッター21Bにおける外周縁の回転軌道の一部とは相互に重なる。
【0034】
第1ガイド部22Aは、第1カッター21Aの円盤部21aにおける外周面の中で軸方向から見て第2カッター21Bと重なる部分と対向する位置から、第1カッター21Aの回転方向に沿って延びる。第2ガイド部22Bは、第2カッター21Bの円盤部21aにおける外周面の中で軸方向から見て第1カッター21Aと重なる部分と対向する位置から、第2カッター21Bの回転方向に沿って延びる。
【0035】
こうした構成において、カードは、カードの面方向を回転軸23,24の軸方向に沿わせて、第1カッター21Aの一部と第2カッター21Bの一部とが相互に重なる領域に差し入れられる。
【0036】
なお、第1カッター21Aの数、および、第2カッター21Bの数は、特に限定されず、細断によるカードの分割数の必要に応じて定められれば良い。
[作用]
図5図9を参照して、本実施形態のカード細断装置10がもたらす作用について説明する。なお、図5では、カードが細断される様子を理解しやすくするために、カードの変形および第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間の隙間の大きさを強調して示している。
【0037】
図5に示されるように、細断部20に供給されたカード50は、第1カッター21Aの回転と、第2カッター21Bの回転とに巻き込まれる。カード50は、第1カッター21Aの円盤部21aから、円盤部21aの径方向の外側に向かう力F1を受け、第2カッター21Bの円盤部21aから、円盤部21aの径方向の外側に向かう力F2を受ける。結果として、隣接する第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間の領域では、これらの力F1,F2がカード50にせん断力として働く。
【0038】
また、カード50は、突起部21bから、円盤部21aの径方向の外側に向かう力F3を受ける。力F3は、カード50に対してカード50の厚さ方向への押圧力として働く。力F3は、カード50と突起部21bとが対向する部分でのみ生じるため、力F3は、カード50の面方向において局所的に働く。また、第2カッター21Bの突起部21bと対向するカード50の部分の中で、第1カッター21Aに近い部分ほど、力F1に起因して、力F3とは反対方向の力を強く受けるため、押圧力を強く受ける。同様に、第1カッター21Aの突起部21bと対向するカード50の部分の中で、第2カッター21Bに近い部分ほど、押圧力を強く受ける。
【0039】
結果として、カード50は、第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間で切断され、カード50の中で突起部21bと対向した部分には、カード50の厚さ方向に変形が生じる。
【0040】
ここで、カード50と突起部21bとが対向する部分では、カード50は、突起部21bとは反対側からガイド部22に支えられる。その結果、カード50は、ガイド部22から、力F3とは反対方向の力を受けるため、力F3による押圧力が強く働き、ガイド部22が設けられていない場合と比較して、カード50の厚さ方向の変形が大きくなる。
【0041】
図6に示されるように、相互に隣接する第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間には隙間が形成されていることが好ましい。隙間が形成されていると、第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間でカード50が切断され易くなる。隙間の大きさ、すなわち、第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間の距離d1は、細断対象のカードの材質や厚みなどに応じて細断が円滑に進むように決定され、例えば、カード50がポリ塩化ビニルやポリプロピレンを主材料として形成されている場合には、距離d1は0.1mm以下であることが好ましい。
【0042】
カッター21とガイド部22とが対向する部分において、突起部21bとガイド部22とが対向するとき、突起部21bとガイド部22との間の距離d2は、細断対象のカードが有する厚さ以下の大きさであることが好ましい。例えば、細断対象のカードが、一般的な磁気カードやICカード等のように、ISO規格に準拠した0.76mm厚のカードである場合、距離d2は0.76mm以下であることが好ましい。
【0043】
こうした構成によれば、カッター21とガイド部22とが対向する部分において、突起部21bからの力F3に反してガイド部22がカード50を支える機能が高められ、カード50がガイド部22から受ける力が大きくなるため、カード50の厚さ方向の変形が大きくなる。
【0044】
なお、円盤部21aの径方向における突起部21bの長さd3は特に限定されないが、突起部21bの長さd3が長いほど、突起部21bがカード50に対して加える押圧力が強く働く。そのため、突起部の長さd3は、カード50に与えることが望まれる厚さ方向の変形の程度に応じて定められることが好ましい。
【0045】
また、円盤部21aの軸方向における円盤部21aの長さd4は、細断された短冊状のカード50の断片の幅を規定するため、カード50の断片の幅について望まれる長さに応じて定められることが好ましい。
【0046】
また、第1カッター21Aと第2カッター21Bとが回転し始める前の状態において、第1カッター21Aが有する突起部21bの位置は、第2カッター21Bが有する突起部21bの位置と異なることが好ましい。そして、軸方向から見て第1カッター21Aと第2カッター21Bとが相互に重なる領域を基準として、第1カッター21Aが有する突起部21bの回転位相が、第2カッター21Bが有する突起部21bの回転位相と異なるように、駆動部30が各カッター21を回転することが好ましい。この場合、第1カッター21Aと第2カッター21Bとが回転しているとき、回転軸23,24の軸方向から見て、第1カッター21Aの突起部21bが、第1カッター21Aの一部と第2カッター21Bの一部とが相互に重なる領域に位置するとき、第2カッター21Bの突起部21bは上記相互に重なる領域以外に位置する。
【0047】
こうした構成によれば、第1カッター21Aと第2カッター21Bとが回転しているとき、第1カッター21Aの突起部21bと第2カッター21Bの突起部21bとがカード50をほぼ同時に押圧することがなく、第1カッター21Aと第2カッター21Bとは、互いに異なるタイミングで、突起部21bによる押圧をカード50に与える。したがって、第1カッター21Aと第2カッター21Bとが同じタイミングでカード50を押圧する場合と比較して、細断部20にかかる応力が分散される。その結果、細断部20にかかる負荷が軽減される。
【0048】
図7に示されるように、細断部20による細断の結果、カード50は、第1カッター21Aと第2カッター21Bとの数に応じた数の、短冊状の断片50aに分割される。
断片50aの中で、突起部21bによって押圧された部分には、カード50の厚さ方向に変形が生じる。変形箇所51は、断片50aにおけるせん断位置の延びる方向に沿って並ぶ。こうした変形は、具体的には、例えば、断片50aの表面に形成された傷やへこみであり、押圧力が大きい場合には、変形箇所51で断片50aが千切れることもあり得る。また、上述のように、第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間に近い部分ほど、突起部21bによる押圧力が強く働くため、変形箇所51の各々にて、せん断位置に近い部分、すなわち、断片50aの端部に近い部分ほど、変形は大きい。
【0049】
1つの断片50aにて、変形箇所51の間隔は、円盤部21aの周方向における突起部21bの間隔に相当する。また、上述のように、断片50aの幅は、円盤部21aの長さd4によって決まり、変形箇所51における変形の程度は、突起部21bとガイド部22との間の距離d2や突起部21bの長さd3によって決まる。
【0050】
このように、本実施形態のカード細断装置10によれば、カード50は、短冊状の断片50aに分割され、さらに、断片50aには、部分的に、カード50の厚さ方向の変形が生じる。厚さ方向の変形が生じていると、断片50aを繋ぎ合わせたとしても、細断される前のカードに近い状態にカードを復元することは困難である。また、厚さ方向の変形によって、カード50の表面に記載されている情報が部分的に破壊されるため、こうした情報の読み取りも困難になる。
【0051】
また、カード50が磁気カードやICカードである場合、情報を保持している磁気ストライプやICチップが、カード50の切断やカード50の厚さ方向の変形によって破壊されるため、こうした情報の読み取りも困難になる。
【0052】
したがって、本実施形態のカード細断装置10によってカード50が細断されることによって、カード50の有する情報の不正な利用を抑えることができる。
ここで、従来のように、カードの細断によってカードが短冊状に分割されるのみであって、厚さ方向の変形が生じない場合、磁気ストライプやICチップが1つの断片内に収まってしまうと、磁気ストライプやICチップが破壊されない。その結果、磁気ストライプやICチップの有する情報が取り出されて不正に利用される虞がある。磁気ストライプやICチップが破壊されるようにするためには、断片の幅を小さくするようにカッターの数を増やしたり、断片に対して更なる加工を加えたりすることが必要である。しかしながら、カッターの数を増やすことは、カード細断装置の細断部の大幅な複雑化を招き、また、断片に対して更なる加工を加えることは、処理時間の増大を招く。
【0053】
これに対し、本実施形態のカード細断装置10では、短冊状の断片50aにて、厚さ方向の変形が生じるため、カード50が磁気カードである場合には、磁気ストライプが1つの断片50a内に収まったとしても、変形箇所51にて磁気ストライプが傷つけられる。例えば、カード50を細断部20に差し入れる向きによって、磁気ストライプの位置が変わる場合であっても、磁気ストライプの位置に関わりなく、磁気ストライプが傷つけられる。
【0054】
また、カード50がICカードである場合には、ICチップが1つの断片50a内に収まったとしても、変形箇所51にてICチップが傷つけられる。変形箇所51の位置は、円盤部21aの周方向における突起部21bの間隔によって調整可能であるため、カッター21の数を増やすことと比較して、ICチップを破壊するための調整を簡易な構成にて実現することができる。例えば、カード50を細断部20に差し入れる向きによって、ICチップの位置が変わる場合であっても、ICチップが配置され得るすべての位置に変形箇所51が位置するように設定することも容易である。
【0055】
したがって、本実施形態のカード細断装置10によれば、細断部20の大幅な複雑化や処理時間の増大を抑えつつ、磁気ストライプやICチップの有する情報の破壊についての確実性を高めることができる。その結果、これらの情報の不正な利用を抑えることができる。
【0056】
また、突起部21bは、カード50を押圧しながら円盤部21aとともに回転するため、カッター21が突起部21bを有していることによって、カッター21がカード50を巻き込む力が強くなる。したがって、カード50を細断部20に供給する際に、カード50を細断部20へ差し込むために要する外力が削減される。
【0057】
図8に示されるように、細断された断片50aのうち、第1カッター21Aの円盤部21aの外周面と対向していた断片50aは、第1カッター21Aの回転によって押し出され、第1カッター21Aと第1ガイド部22Aとの間を通って排出される。第1カッター21Aの円盤部21aの外周面と対向していた断片50aは、第1カッター21Aに対して第2回転軸24とは反対側に排出され、第1収容部40Aに収容される。
【0058】
図9に示されるように、細断された断片50aのうち、第2カッター21Bの円盤部21aの外周面と対向していた断片50aは、第2カッター21Bの回転によって押し出され、第2カッター21Bと第2ガイド部22Bとの間を通って排出される。すなわち、第2カッター21Bの円盤部21aの外周面と対向していた断片50aは、第2カッター21Bに対して第1回転軸23とは反対側に排出され、第2収容部40Bに収容される。
【0059】
したがって、カード50が細断される前に、互いに隣接する部分を構成していた断片50aは、互いに異なる方向に排出され、互いに異なる収容部40A,40Bに収容される。そして、第1収容部40Aに収容された断片50aと第2収容部40Bに収容された断片50aとは、別々にカード細断装置10から取り出されて廃棄される。
【0060】
このように、カード50にて互いに隣接する部分を構成していた断片50aが別々に回収されるため、断片50aを繋ぎ合わせてカード50を復元することがより困難となる。
また、断片50aは、第1カッター21Aと第1ガイド部22Aとの間、もしくは、第2カッター21Bと第2ガイド部22Bとの間を通るとき、円盤部21aによって、ガイド部22の有する曲面、すなわち、円盤部21aの外周面に沿って曲がる曲面に押し付けられ続ける。その結果、断片50aは、円盤部21aの外形に沿って変形し、湾曲した形状になる。
【0061】
上記構成において、第1カッター21Aから排出された断片50aが、カードの有する2つの面のうちの一方の面を内側にして湾曲するとき、第2カッター21Bから排出された断片50aは、上記一方の面とは反対側の面を内側にして湾曲する。したがって、カード50にて互いに隣接する部分を構成していた断片50aが互いに異なる向きに湾曲するため、断片50aを繋ぎ合わせてカード50を復元することがより困難となる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のカード細断装置10によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)カッター21が、カード50をせん断する機能を有する主刃としての外周面を有する円盤部21aと、カード50に対して厚さ方向の変形を生じさせる機能を有する副刃である突起部21bとを備えることにより、異なる機能を有する2つの種類の刃を有している。こうした構成によれば、カード50は、短冊状の断片50aに分割され、さらに、断片50aには、部分的に、カード50の厚さ方向に潰されるように変形が生じる。その結果、断片50aを繋ぎ合わせたとしても、細断される前のカードに近い状態にカード50を復元することは困難であり、カード50の表面に記載されている情報や磁気ストライプあるいはICチップが保持しているや情報の読み取りも困難になる。したがって、カード50の細断によって、カード50の有する情報の不正な利用を抑えることができる。
【0063】
(2)ガイド部22が設けられていることによって、カード50にて互いに隣接する部分を構成していた断片50aが互いに異なる向きに湾曲するため、断片50aを繋ぎ合わせてカード50を復元することがより困難となる。また、カード50は、突起部21bとは反対側からガイド部22に支えられる。その結果、突起部21bからカード50に作用する押圧力は、カード50がガイド部22から反力を受ける分だけ、カード50の断片50aを押し潰す力として強く働き、カード50の厚さ方向における変形を断片50aに促す。したがって、ガイド部22が設けられていない場合と比較して、カード50の厚さ方向の変形が大きくなる。
【0064】
(3)カード50が細断される前に、互いに隣接する部分を構成していた断片50aが、互いに異なる収容部40A,40Bに収容される。したがって、互いに隣接する部分を構成していた断片50aを1組の断片50aとして見つけ出すことが困難になるため、断片50aを繋ぎ合わせてカード50を復元することがより困難となる。
【0065】
(4)第1カッター21Aの突起部21bが、第1カッター21Aの一部と第2カッター21Bの一部とが相互に重なる領域に位置するとき、第2カッター21Bの突起部21bは上記相互に重なる領域以外に位置する。そのため、第1カッター21Aと第2カッター21Bとは、互いに異なるタイミングで、突起部21bによる押圧をカード50に与える。したがって、第1カッター21Aと第2カッター21Bとが同じタイミングでカード50を押圧する場合と比較して、細断部20にかかる応力が分散されるため、細断部20にかかる負荷が軽減される。
【0066】
(5)相互に隣接する第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間には、隙間が形成されているため、第1カッター21Aと第2カッター21Bとの間でカードが切断され易くなる。
【0067】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・第1回転軸23の軸方向から見て、第1カッター21Aの各々が有する突起部21bの位置は、重なってもよいし、ずれていてもよい。同様に、第2回転軸24の軸方向から見て、第2カッター21Bの各々が有する突起部21bの位置は、重なってもよいし、ずれていてもよい。突起部21bの位置がずれていると、第1カッター21Aの各々は、互いに異なるタイミングでカード50に押圧力を与え、また、第2カッター21Bの各々は、互いに異なるタイミングでカード50に押圧力を与える。したがって、細断部20内に生じる応力を分散させるためには、突起部21bの位置がずれていることが好ましい。
【0068】
図10に示されるように、カッター21は、互いに同一の形状を有する2つのカッター片26a,26bを備え、これらのカッター片26a,26bが接合されることによって形成されていてもよい。カッター片26aは、円盤形状を有する円盤部27aと、円盤部27aの外周面から径方向の外側に向けて突出する突起部28aとを備えている。同様に、カッター片26bは、円盤形状を有する円盤部27bと、円盤部27bの外周面から径方向の外側に向けて突出する突起部28bとを備えている。カッター片26aとカッター片26bとは、円盤部27aの軸方向と円盤部27bの軸方向とを一致させ、この軸方向から見て、突起部28aと突起部28bとが重なるように、接合されている。この場合、カッター片26aの円盤部27aとカッター片26bの円盤部27bとから、カッター21の円盤部21aが構成され、軸方向から見て重なっているカッター片26aの突起部28aとカッター片26bの突起部28bとから、カッター21における1つの突起部21bが構成される。
【0069】
図11に示されるように、カッター片26aとカッター片26bとは、軸方向から見て、突起部28aと突起部28bとをずらして接合されてもよい。この場合、カッター片26aの円盤部27aとカッター片26bの円盤部27bとから、カッター21の円盤部21aが構成され、カッター片26aの突起部28aとカッター片26bの突起部28bとの各々が、カッター21における1つの突起部21bを構成する。すなわち、カッター21は、円盤部21aの軸方向における位置が互いに異なる突起部28aと突起部28bとを備え、上記軸方向から見て、突起部28aの位置と突起部28bの位置とがずれている。こうした構成によれば、突起部28aと突起部28bとは、互いに異なるタイミングでカード50に押圧力を与えるため、細断部20内に生じる応力をさらに分散させることができる。
【0070】
なお、カッター片26aが有する突起部28aの数と、カッター片26bが有する突起部28bの数とは、その合計が1以上であればよい。
・突起部21bの形状は、上記実施形態にて例示した形状に限られない。例えば、図12に示されるように、突起部21bは、先端に向かって鋭利になっていてもよい。また例えば、図13に示されるように、突起部21bは、円盤部21aの外周面に立設された平面25aと、平面25aと円盤部21aの外周面とをなだらかに繋ぐ曲面25bとを有していてもよい。この場合、平面25aは、曲面25bよりも、カッター21の回転方向の前方側に配置されることが好ましい。こうした構成によれば、突起部21bがカード50を押圧するときに、例えば、突起部21bと円盤部21aとの接続部分等、突起部21bの一部に応力が集中することが抑えられる。したがって、突起部21bの強度が高められる。
【0071】
また、突起部21bは突条形状に形成されていなくてもよく、円盤部21aの軸方向において、突起部21bは円盤部21aの外周面の一部に形成されていてもよいし、円盤部21aの軸方向に沿って、突起部21bの断面形状が変化してもよい。また、突起部21bは円盤部21aの軸方向に沿って軸方向と平行に形成されてもよいし、軸方向に対して傾斜をもって形成されてもよい。あるいは、突起部21bは半球状であってもよい。また、1つのカッター21が有する複数の突起部21bに、互いに形状の異なる突起部21bが含まれてもよいし、複数のカッター21が、互いに異なる形状や数の突起部21bを有するカッター21を含んでいてもよい。要は、突起部21bは、円盤部21aの外周面から突出していればよい。なお、上記実施形態のように、突起部21bが四角柱形状を有すると、突起部21bの形成が容易であるため好ましい。
【0072】
また、円盤部21aは、円盤形状であればよく、例えば、円盤部21aの外周面にて、円盤部21aの軸方向の端部に傾斜が形成されていてもよい。
・突起部21bは、複数のカッター21の少なくとも1つに形成されていればよく、例えば、複数の第1カッター21Aの少なくとも一部が突起部21bを有していない構成であってもよく、また、複数の第2カッター21Bの少なくとも一部が突起部21bを有していない構成であってもよい。こうした構成であっても、一部の断片50aには厚さ方向の変形が生じるため、すべてのカッター21が突起部21bを有さない構成と比較して、カードの有する情報の不正な利用は抑えられる。
【0073】
・ガイド部22は、設けられていなくてもよいし、複数のカッター21のうちの一部のカッター21に対してのみ配置されていてもよい。また、ガイド部22が案内するカード50の断片50aの搬送方向は、上記実施形態における搬送方向とは異なる方向であってもよい。
【0074】
・収容部40は、3以上の互いに異なる収容部を有していてもよい。例えば、カッター21ごとに、カッター21の回転によって排出される断片50aを収容する収容部が配置されてもよい。要は、第1カッター21Aの回転によって排出される断片50aを収容する収容部と、第2カッター21Bの回転によって排出される断片50aを収容する収容部とが異なる収容部であればよい。なお、第1カッター21Aの回転によって排出される断片50aを収容する収容部と、第2カッター21Bの回転によって排出される断片50aを収容する収容部とが同一の収容部であっても、上記(1)、(2)、(4)、(5)の効果は得られる。
【0075】
・第1カッター21Aと第2カッター21Bとが回転しているとき、複数のカッター21のうちの一部のカッター21にて、第1カッター21Aの突起部21bと、第2カッター21Bの突起部21bとが、第1カッター21Aの一部と第2カッター21Bの一部とが相互に重なる領域に位置してもよい。こうした構成によっても、すべての第1カッター21Aおよび第2カッター21Bの突起部21bが同じタイミングでカード50を押圧する場合と比較して、細断部20にかかる応力が分散される。あるいは、すべてのカッター21について、第1カッター21Aの突起部21bと、第2カッター21Bの突起部21bとが、第1カッター21Aの一部と第2カッター21Bの一部とが相互に重なる領域に位置してもよい。こうした構成によっても、上記(1)〜(3)、(5)の効果は得られる。
【0076】
・相互に隣接する第1カッター21Aと第2カッター21Bとは、これらの回転に際して摺接していてもよい。こうした構成によっても、カード50の切断は可能である。
・第1回転軸23および第2回転軸24の軸方向から見た断面形状は、上記実施形態にて例示した形状に限られず、正六角形とは異なる多角形であってもよいし、円形であってもよい。回転軸23,24の断面形状が、多角形、もしくは、曲線と直線との組み合わせからなる形状であると、断面形状が円形である場合と比べて、回転軸23,24に対してカッター21が滑ることが抑えられるため、回転軸23,24からカッター21へ回転力が効率的に伝わる。その結果、カッター21がカード50へ力を加えるにあたって、駆動部30から伝達されるエネルギーの損失が抑えられる。したがって、回転軸23,24の断面形状は、多角形、もしくは、曲線と直線との組み合わせからなる形状であることが好ましい。
【符号の説明】
【0077】
10…カード細断装置、20…細断部、21…カッター、21A…第1カッター、21B…第2カッター、22…ガイド部、22A…第1ガイド部、22B…第2ガイド部、23…第1回転軸、24…第2回転軸、30…駆動部、40…収容部、40A…第1収容部、40B…第2収容部、50…カード、50a…断片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13