(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施の形態は、車両が、バッテリによって駆動源としてのモータを駆動することにより走行する電気自動車である場合について説明するが、本発明は、電気自動車に限定されるものではなく、エンジンおよびモータの双方を駆動源とするプラグインハイブリッド車およびハイブリッド車両を含む電動車に広く適用可能である。
【0009】
図1に示すように、車両10は、車体12と、前輪14Aと、後輪14Bと、バッテリ16と、車載充電器18と、モータ20と、ジェネレータ22と、これらバッテリ16、車載充電器18、モータ20、ジェネレータ22等の車載機器を冷却し得る車載機器冷却構造100と、冷凍装置28とを有している。車載機器冷却構造100は、冷却水循環路24と、熱交換器26と、冷媒循環路36と、冷却風路30と、空気温度検出部32と、ECU34とを含んで構成されている。
【0010】
バッテリ16は、電力をモータ20に供給してモータ20を駆動させ前輪14Aあるいは後輪14Bの何れかまたは双方からなる駆動輪を回転駆動させて車両10を走行させるものであり、第2の車載機器を構成している。
バッテリ16は、バッテリ16から電力をモータ20に供給する動作に伴って発熱する。また、バッテリ16は、車載充電器18、不図示の外部充電装置、ジェネレータ22によりバッテリ16が充電される動作に伴って発熱する。したがって、バッテリ16の動作の安定性を確保し、また、バッテリ16の耐久性を確保するためにバッテリ16を冷却する必要がある。
【0011】
車載充電器18は、不図示の充電ケーブルを介して家庭用の商用電源に接続されることで、バッテリ16に充電を行なうものであり、第2の車載機器を構成している。
車載充電器18は、バッテリ16への充電動作に伴い発熱する。したがって、車載充電器18の動作の安定性を確保し、また、車載充電器18の耐久性を確保するために車載充電器18を冷却する必要がある。
【0012】
モータ20は、バッテリ16から供給される電力により駆動輪を回転駆動させるものである。
ジェネレータ22は、モータ20の回転駆動停止時に、駆動輪の回転駆動により回生発電を行いバッテリ16を充電するものである。
本実施の形態では、モータ20およびジェネレータ22は、第1の車載機器を構成している。
なお、本実施の形態では、モータ20とジェネレータ22とが個別に設けられている場合について説明するが、モータ20とジェネレータ22の双方の機能を備えるモータ(モータジェネレータともいう)を用いても良い。
モータ20およびジェネレータ22は、それらの動作に伴い発熱する。したがって、モータ20およびジェネレータ22の動作の安定性を確保し、また、モータ20およびジェネレータ22の耐久性を確保するためにモータ20およびジェネレータ22を冷却する必要がある。
【0013】
冷却水循環路24は、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22を冷却する冷却水を循環させるものである。
冷却水循環路24の一部は、モータ20およびジェネレータ22の周囲を囲むように配設され、モータ20およびジェネレータ22の熱と冷却水との熱交換を行なうことでモータ20およびジェネレータ22の冷却を行なうように構成されている。
冷却水循環路24には、ウォータポンプ2402と、コンデンスタンク2404とが設けられている。
ウォータポンプ2402は、実線の矢印で示すように冷却水循環路24の冷却水を循環させるものである。
コンデンスタンク2404は、冷却水を貯留し、また、冷却水を冷却水循環路24に補充するものである。また、コンデンスタンク2404は、冷却水循環路24内で発生した空気を冷却水から分離して外部に放出する機能を有する。
【0014】
熱交換器26(チラー)は、冷却水循環路24に設けられ冷却水と冷媒との熱交換を行なうものである。
熱交換器26は、冷却水が流通する不図示の冷却水流路と、冷媒が流通する不図示の冷媒流路と、それら冷却水流路と冷媒流路とを収容する筐体2602(
図2参照)とを備えている。
【0015】
冷凍装置28は、冷媒を循環させつつ冷却するものである。
具体的に説明すると、冷凍装置28は、破線の矢印で示すように冷媒を循環させる冷媒循環路36と、コンプレッサ38、コンデンサ40、膨張弁42、蒸発器44とを含んで構成され、コンプレッサ38、コンデンサ40、膨張弁42、蒸発器44は冷媒循環路36に設けられている。
本実施の形態では、蒸発器44は熱交換器26の冷媒流路で構成されている。
コンデンサ40は、車室の前方に車体パネルで仕切られた車体前部空間に配置され、図中符号46は外気をコンデンサ40に送風することでコンデンサ40と外気との熱交換を促進するファンである。
そして、冷媒が、コンプレッサ38、コンデンサ40、膨張弁42、蒸発器44の順番で冷媒循環路36内を循環することにより、コンデンサ40により冷媒と外気との熱交換がなされると共に、蒸発器44(熱交換器26の冷媒流路)により冷媒と冷却水との熱交換がなされる。
【0016】
以下、車載機器冷却構造100について
図2を用いて詳細に説明する。
冷却風路30は、空気を第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18に導くものである。
図2に示すように、冷却風路30は、冷却ファン48と、ダクト50と、切り換え弁52とを含んで構成されている。なお、
図2において矢印は空気の流れを示す。
冷却ファン48は、車室内の空気を取り込んでダクト50に導くものである。
【0017】
ダクト50は、筒状を呈し、空気の流れの上流側に位置する上流端5002が冷却ファン48に連通し、空気の流れの下流側に位置する下流端5004がバッテリ16の不図示のケースに連通し、バッテリ16のケースは車載充電器18の不図示のケースに連通している。
したがって、それらバッテリ16および車載充電器18のケースの内部を空気が流れることでバッテリ16および車載充電器18が冷却されるように図られている。
ダクト50は、その内部にダクト50の延在方向に沿って延在する仕切り壁54が設けられ、仕切り壁54により互いに切り離された第1の冷却風路30Aと第2の冷却風路30Bとが形成されている。
【0018】
冷却風路30には熱交換器26が設けられている。これによれば、冷却風路とは離間して別体で熱交換器が設けられている従来技術と比較して、熱交換器の設置に伴う余分な空間を確保する必要が無く、省スペース化が図られて車載機器冷却構造100の小型化を図ることができる。
そして、本発明では、第1の冷却風路30Aに熱交換器26が配置されている。すなわち、熱交換器26は、冷却風路30のバッテリ16および車載充電器18の上流側に配置され、熱交換器26の筐体2602の表面に接触する空気が冷却されるように図られている。
また、第2の冷却風路30Bには熱交換器26が配置されていない。
【0019】
切り換え弁52は冷却風路30に配置され、水冷優先位置P1と空冷優先位置P2とに切り換え可能に設けられている。
水冷優先位置P1は、第1の冷却風路30Aを閉塞し第2の冷却風路30Bを開放して熱交換器26による冷却水の冷却を優先する位置である。このように、切り換え弁52が水冷優先位置P1にある場合、冷却水によるモータ20およびジェネレータ22の冷却が効果的に行われるようになる。
空冷優先位置P2は、第1の冷却風路30Aを開放し第2の冷却風路30Bを閉塞して熱交換器26による冷却風路30の空気の冷却を優先する位置である。このように、切り換え弁52が空冷優先位置P2にある場合、冷却ファン48を介した空気によるバッテリ16および車載充電器18の冷却が効果的に行われるようになる。
切り換え弁52は、不図示のアクチュエータを有し、ECU34の制御によりアクチュエータが駆動することで水冷優先位置P1と空冷優先位置P2とに切り換えられる。
なお、空冷優先位置P2では、熱交換器26が配置された第1の冷却風路30Aを空気が通るので、冷却風路30の圧力損失が大きくなるのに対して、水冷優先位置P1では、熱交換器26が配置されない第2の冷却風路30Bを空気が通るので、冷却風路30の圧力損失が小さくなる。
すなわち、冷却風路30による送風量を確保する上で空冷優先位置P2よりも水冷優先位置P1の方が有利となる。
【0020】
空気温度検出部32は、冷却風路30を流れる空気のうち熱交換器26の上流側の空気温度TAを検出するものであり、空気温度検出部32として、従来公知の様々な温度センサが使用可能である。
【0021】
ECU34は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
ECU34は、前記制御プログラムを実行することにより、切り換え弁52の切り換え動作を制御する制御部を構成する。
本実施の形態では、ECU34は、コンプレッサ38が駆動状態にあるか否か(冷凍装置28が駆動状態にあるか否か)と、空気温度検出部32で検出された空気温度TAが予め定められた第1の判定基準温度T1以上であるか否かとに基づいて切り換え弁52を水冷優先位置P1または空冷優先位置P2の何れかに切り換える。
【0022】
第1の判定基準温度T1は、バッテリ16および車載充電器18の冷却が不十分となる空気温度TAとして設定される。
すなわち、空気温度TAが第1の判定基準温度T1以上の場合に、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えると、熱交換器26を用いた冷却風路30を通る空気の冷却がなされないため、バッテリ16および車載充電器18の冷却が不十分となるおそれがある。したがって、空気温度TAが第1の判定基準温度T1以上の場合には、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換えて、熱交換器26によって冷却水と冷却風路30を流れる空気との双方を冷却することが、バッテリ16および車載充電器18の冷却を確実に行なう上で有利となる。
【0023】
一方、空気温度TAが第1の判定基準温度T1未満の場合に、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換えると、熱交換器26によって冷却水と冷却風路30を流れる空気との双方を冷却するため、熱交換器26による冷却水の冷却能力が低下するおそれがある。
このように、空気温度TAが第1の判定基準温度T1未満の場合には、バッテリ16および車載充電器18を効果的に冷却することが可能な空気が供給されるため、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えて、熱交換器26による冷却水の冷却能力を確保することが、モータ20およびジェネレータ22の冷却を確実に行なう上で有利となる。
なお、空気温度TAが第1の判定基準温度T1未満のときは、熱交換器26による空気の冷却が行われる場合であっても熱交換器26に対する負荷は小さいため、切り換え弁52は水冷優先位置P1にあることが必須ではなく、切り換え弁52を水平位置として第1の冷却風路30Aが開放されていてもよい。
また、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えると、冷却風路30を通る空気の圧力損失が小さくなり、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換えた場合に比較して冷却風路30を通る空気の送風量を確保する上で有利となるため、冷却ファン48の負荷を軽減し、省電力化を図る上で有利となる。
【0024】
次に、
図3のフローチャートを参照してECU34の動作について説明する。
なお、ECU34は、コンプレッサ38の駆動状態を示すコンプレッサ駆動フラグを備えており、このコンプレッサ駆動フラグは、コンプレッサ38が駆動状態でオンし、コンプレッサ38が停止状態にあるときにオフする。
また、予め冷却ファン48が動作し、冷却風路30を流れる空気によってバッテリ16および車載充電器18に対する冷却が実行されているものとする。
【0025】
まず、ECU34は、空気温度検出部32により検出された冷却風路30を流れる空気のうち熱交換器26の上流側の空気温度TAを取得する(ステップS10)。
次いで、ECU34は、空気温度TAが予め定められた第1の判定基準温度T1以上であるか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12が否定ならば、冷却風路30を流れる空気の空気温度TAはバッテリ16および車載充電器18を冷却するに足る温度であるため、ECU34は、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換え(ステップS14)、熱交換器26による冷却水の冷却能力を確保し、ステップS10に戻る。
【0026】
ステップS12が肯定ならば、冷却風路30を流れる空気の空気温度TAはバッテリ16および車載充電器18を冷却するに足る温度よりも高い温度である。そこで、ECU34は、コンプレッサ駆動フラグがオンか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16が否定ならば、冷凍装置28が停止状態にあり、熱交換器26を用いた空気の冷却が不能であるため、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換え(ステップS14)、ステップS10に戻る。
ステップS16が肯定ならば、冷凍装置28が駆動状態にあり、熱交換器26を用いた空気の冷却が可能であるため、ECU34は、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換え(ステップS18)、熱交換器26によって冷却水と冷却風路30を流れる空気との双方を冷却し、ステップS10に戻る。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18に空気を導く冷却風路30を設け、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22を冷却する冷却水を冷却する熱交換器26を、冷却風路30のバッテリ16および車載充電器18の上流側に配置し、そうした熱交換器26を利用して冷却風路30を通る空気を冷却することでバッテリ16および車載充電器18の冷却を確実に行うようにした。
したがって、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22の冷却を行いつつ第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18の冷却を確実に行なう上で有利となる。
【0028】
また、本実施の形態では、冷却風路30は、熱交換器26が配置された第1の冷却風路30Aと、熱交換器26が配置されていない第2の冷却風路30Bとが互いに切り離されて設けられてなり、切り換え弁52を熱交換器26による冷却水の冷却を優先する水冷優先位置P1と、熱交換器26による冷却風路30の空気の冷却を優先する空冷優先位置P2とに切り換え可能とした。
したがって、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22を優先して冷却する状態と、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18を優先して冷却する状態とを必要に応じて切り換えることができ、第1、第2の車載機器に対する冷却動作を確実に行なう上で有利となる。
【0029】
また、本実施の形態では、冷却風路30を流れる空気のうち熱交換器26の上流側の空気温度TAが予め定められた第1の判定基準温度T1以上であれば、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換え、空気温度TAが第1の判定基準温度T1未満であれば、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えるようにした。
したがって、空気温度TAが第1の判定基準温度T1以上であれば、切り換え弁52が空冷優先位置P2に切り換えられるため、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18に対する冷却を確実に行なう上で有利となる。
また、空気温度TAが第1の判定基準温度T1未満であれば、切り換え弁52が水冷優先位置P1に切り換えられるため、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22に対する冷却を確実に行いつつ、冷却風路30を通る空気の圧力損失を小さくして冷却風路30を流れる空気の送風量を確保でき、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18に対する冷却を確実に行なう上で有利となる。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態は、熱交換器26の上流側の空気温度TAを考慮して切り換え弁52の制御を行ったが、第2の実施の形態は、空気温度TAに加えて第1の車載機器であるモータ20の機器温度TBを考慮して切り換え弁52の制御を行うようにしたものである。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図4に示すように、本実施形態の車載機器冷却構造200においては、第1の車載機器であるモータ20の温度を検出する機器温度検出部56が設けられている。機器温度検出部56として、従来公知の様々な温度センサが使用可能である。
【0032】
ECU34は、コンプレッサ38が駆動状態にあるか否か(冷凍装置28が駆動状態にあるか否か)と、空気温度検出部32で検出された空気温度TAが予め定められた第1の判定基準温度T1以上であるか否かと、機器温度検出部56で検出された機器温度TBが予め定められた第2の判定基準温度T2以上であるか否かとに基づいて切り換え弁52を水冷優先位置P1または空冷優先位置P2の何れかに切り換える。
【0033】
第2の判定基準温度T2は、モータ20の冷却が不十分となる機器温度TBとして設定される。
すなわち、機器温度TBが第2の基準温度T2未満の場合に、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えると、熱交換器26を用いた冷却風路30を通る空気の冷却がなされないため、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18の冷却が不十分となるおそれがある。したがって、機器温度TBが第2の基準温度T2未満の場合には、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換えて、熱交換器26によって冷却水と冷却風路30を流れる空気との双方を冷却することが、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18の冷却を確実に行なう上で有利となる。なお、機器温度TBが第2の基準温度T2未満のときには、切り換え弁52が水平位置にある場合でも同様の効果が得られる。
【0034】
一方、機器温度TBが第2の基準温度T2以上の場合に、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換えると、熱交換器26によって冷却水と冷却風路30を流れる空気との双方を冷却するため、熱交換器26による冷却水の冷却能力が低下するおそれがある。したがって、機器温度TBが第2の基準温度T2以上の場合には、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えて、熱交換器26による冷却水の冷却能力を確保することが、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22の冷却を確実に行なう上で有利となる。
また、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えると、冷却風路30を通る空気の圧力損失が小さくなり、空冷優先位置P2に切り換えた場合に比較して冷却風路30を通る空気の送風量を確保する上で有利となるため、冷却ファン48の負荷を軽減し、省電力化を図る上で有利となる。
【0035】
次に、
図5のフローチャートを参照してECU34の動作について説明する。
本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、予め冷却ファン48が動作し、冷却風路30を流れる空気によってバッテリ16および車載充電器18に対する冷却が実行されているものとする。
【0036】
まず、ECU34は、空気温度検出部32により検出された冷却風路30を流れる空気のうち熱交換器26の上流側の空気温度TAを取得する(ステップS30)。
次いで、ECU34は、空気温度TAが予め定められた第1の判定基準温度T1以上であるか否かを判定する(ステップS32)。
ステップS32が否定ならば、冷却風路30を流れる空気の空気温度TAはバッテリ16および車載充電器18を冷却するに足る温度であるため、ECU34は、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換え(ステップS34)、ステップS30に戻る。
ステップS32が肯定ならば、冷却風路30を流れる空気の空気温度TAはバッテリ16および車載充電器18を冷却するに足る温度よりも高い温度である。そこで、ECU34は、コンプレッサ駆動フラグがオンか否かを判定する(ステップS36)。
ステップS36が否定ならば、冷凍装置28が停止状態にあり、熱交換器26を用いた空気の冷却が不能であるため、ステップS34に移行する。
ステップS36が肯定ならば、ECU34は、機器温度検出部56により検出された第1の車載機器であるモータ20の機器温度TBを取得する(ステップS38)。
【0037】
次いで、ECU34は、機器温度TBが予め定められた第2の判定基準温度T2未満であるか否かを判定する(ステップS40)。
ステップS40が否定であれば、機器温度TBが第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22の冷却が不十分となる第2の判定基準温度T2以上であり第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22の冷却を優先することが好ましいため、ECU34は、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換え(ステップS34)、熱交換器26による冷却水の冷却能力を確保し、ステップS30に戻る。
ステップS40が肯定であれば、冷凍装置28が駆動状態にあり、機器温度TBが第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22の冷却が不十分となる第2の判定基準温度T2未満でありモータ20およびジェネレータ22の冷却を優先する必要がないため、ECU34は、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換え(ステップS42)、ステップS30に戻る。
【0038】
以上説明したように第2の実施の形態によれば、空気温度TAが予め定められた第1の判定基準温度T1以上であり、かつ、機器温度TBが予め定められた第2の判定基準温度T2未満であるという判定条件が成立した場合に、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換え、前記の判定条件が不成立の場合に、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えるようにした。
したがって、第1の実施の形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
機器温度TBが第2の判定基準温度T2未満であれば、切り換え弁52が空冷優先位置P2に切り換えられるため、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18に対する冷却を確実に行なう上で有利となる。
また、機器温度TBが第2の判定基準温度T2以上であれば、切り換え弁52が水冷優先位置P1に切り換えられるため、第1の車載機器であるモータ20およびジェネレータ22に対する冷却を確実に行いつつ、冷却風路30を通る空気の圧力損失を小さくして冷却風路30を流れる空気の送風量を確保でき、第2の車載機器であるバッテリ16および車載充電器18に対する冷却を確実に行なう上で有利となる。
したがって、第2の実施の形態によれば、空気温度TAに加えて機器温度TBを考慮して切り換え弁52を空冷優先位置P2と水冷優先位置P1とに切り換えるようにしたので、第1、第2の車載機器に対する冷却動作を確実に行なう上でより一層有利となる。
【0039】
なお、第2の実施の形態では、空気温度TAに加えて機器温度TBを考慮して切り換え弁52を空冷優先位置P2と水冷優先位置P1とに切り換える場合について説明したが、空気温度TAについては考慮せず機器温度TBを考慮して切り換え弁52を空冷優先位置P2と水冷優先位置P1とに切り換えるようにしてもよい。
この場合、ECU34は、機器温度検出部56で検出された機器温度TBが予め定められた第2の判定基準温度T2未満であれば、切り換え弁52を空冷優先位置P2に切り換え、機器温度TBが第2の判定基準温度T2以上であれば、切り換え弁52を水冷優先位置P1に切り換えることになる。
したがって、機器温度TBを考慮して切り換え弁52を空冷優先位置P2と水冷優先位置P1とに切り換えるようにしたので、第1、第2の車載機器に対する冷却動作を確実に行なう上で有利となるが、第2の実施の形態のように構成すると、第1、第2の車載機器に対する冷却動作を確実に行なう上でより一層有利となる。
【0040】
また、実施の形態では、第1の車載機器が車両駆動用のモータ20を含み、第2の車載機器が車両駆動用のバッテリ16を含む場合について説明したが、第1の車載機器、第2の車載機器は限定されるものではない。
また、実施の形態では、冷却風路30が第2の車載機器に導く空気が車室内の空気である場合について説明したが、冷却風路30が第2の車載機器に導く空気は車室外の空気であっても、車室内の空気と車室外の空気とが混合されたものであってもよい。