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特許6507704無線通信システム、無線機、無線通信方法、パケットの生成方法およびパケットからのデータ再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6507704
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線機、無線通信方法、パケットの生成方法およびパケットからのデータ再生方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/06 20060101AFI20190422BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20190422BHJP
   H04M 1/253 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   H04L13/00 305C
   H04L12/70 E
   H04M1/253
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-30809(P2015-30809)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-152596(P2016-152596A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年11月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年8月20日にウェブサイトに掲載 〔刊行物等〕平成26年8月23日及び8月24日にアマチュア無線フェスティバル ハムフェア2014に出品 〔刊行物等〕平成26年8月21日〜平成27年2月19日に販売 〔刊行物等〕平成26年11月〜平成27年2月19日に販売 〔刊行物等〕平成26年11月27日〜平成27年2月19日に販売 〔刊行物等〕平成26年10月30日にウェブサイトに掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】足立 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】細川 圭介
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−186816(JP,A)
【文献】 特開平07−015408(JP,A)
【文献】 特開2006−157477(JP,A)
【文献】 特開2000−068888(JP,A)
【文献】 特開2006−019926(JP,A)
【文献】 特開平04−336840(JP,A)
【文献】 特開2000−183918(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0252563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/955,29/00
H04B7/24−7/26,H04W4/00−99/00
H04M3/00,3/16−3/20,3/38−3/58,7/00−7/16,11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2台の無線機で構成され、当該無線機は、アナログ音声信号をA/D変換および符号化してデジタル音声信号に変換した後、当該デジタル音声信号を含むパケットを生成し、更に、当該パケットを無線信号に変換して送信すると共に、無線信号に変換されたパケットを受信して、当該パケットからデジタル音声信号を取り出し、アナログ音声信号に変換する無線通信システムであって、
前記各無線機は、
前記パケットとして、ヘッダ部に少なくとも送信先および送信元の無線局を識別する識別子のデータが含まれ、かつデータ部に所定長の音声フレームとデータフレームが交互に連続して配置され、更に前記データフレームに、データの種別を示す情報が記述されたミニヘッダが挿入されたパケットを生成する送信部と、
受信した前記無線信号からパケットを再生し、かつ当該パケットから前記デジタル音声信号のデータを取り出す受信部と、
前記送信部に対して各種コマンドおよび前記識別子を含む、パケットを生成する際に必要なデータを送信し、かつ前記受信部に対して受信した無線信号からパケットの再生を指示するコントローラと、を備え、
送信側無線機の前記コントローラは、前記送信部に対し、音声通話の開始を検知したときに送信の開始を指示する第1のコマンドを送信し、かつ音声通話の終了を検知したときにパケットの形態の変更を指示する第2のコマンドを送信し、
記送信部は、
前記コントローラから前記第1のコマンドを受信したとき、前記音声フレームに音声信号のデータを挿入し、かつデータフレームにデータ通信用のデータを挿入したパケットを生成し、
前記コントローラから前記第2のコマンドを受信したとき、当該時点から一定期間、前記音声フレームおよびデータフレームにデータ通信用のデータを挿入し、かつ最後に終話フレームを挿入したパケットを生成し、
無線信号を受信した受信側無線機の前記コントローラは、前記受信部で再生されたパケットから取り出したミニヘッダの情報を解析して、前記音声フレームに挿入されているデータの種別を確認し、
前記受信部は、前記コントローラの確認結果に従って前記パケットからデータを取り出して、前記デジタル音声信号およびデータ通信用のデータを再生することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記一定期間においては、前記ミニヘッダに、前記音声フレームにデータ通信用のデータが挿入されていることを示す情報が記述される、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記一定期間において、前記音声フレームおよびデータフレームに挿入すべきデータ通信用のデータがなくなったとき、前記送信部は前記パケットの生成を停止する、請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記送信側無線機のコントローラは、音声通話の終了を検知したときに送信すべきデータ通信用のデータが残っていないときは、前記送信部に対して前記第2のコマンドを送信しない、請求項1乃至3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記送信側無線機のコントローラは、PTTスイッチがオンになったときに音声通話の開始を検知し、当該PTTスイッチがオフになったときに音声信号の終了を検知する、請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
アナログ音声信号をA/D変換および符号化してデジタル音声信号に変換した後、当該デジタル音声信号を含むパケットを生成し、更に、当該パケットを無線信号に変換して送信する無線機であって、
前記パケットとして、ヘッダ部に少なくとも送信先および送信元の無線局を識別する識別子のデータが含まれ、かつデータ部に所定長の音声フレームとデータフレームが交互に連続して配置されたパケットを生成する送信部と、
前記送信部に対して各種コマンドおよび前記識別子を含む、パケットを生成する際に必要なデータを送信するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、送信部に対し、音声通話の開始を検知したときに送信の開始を指示する第1のコマンドを送信し、かつ音声通話の終了を検知したときにパケットの形態の変更を指示する第2のコマンドを送信し、
前記送信部は、
前記コントローラから前記第1のコマンドを受信したとき、前記音声フレームに音声信号のデータを挿入し、かつデータフレームにデータ通信用のデータを挿入したパケットを生成し、
前記コントローラから前記第2のコマンドを受信したとき、当該時点から一定期間、前記音声フレームおよびデータフレームにデータ通信用のデータを挿入し、かつ最後に終話フレームを挿入したパケットを生成することを特徴とする無線機。
【請求項7】
前記一定期間において、前記音声フレームおよびデータフレームに挿入すべきデータ通信用のデータがなくなったとき、前記送信部は前記パケットの生成を停止する、請求項6に記載の無線機。
【請求項8】
前記コントローラは、音声通話の終了を検知したときに送信すべきデータ通信用のデータが残っていないときは、前記送信部に対して前記第2のコマンドを送信しない、請求項6または7に記載の無線機。
【請求項9】
前記コントローラは、PTTスイッチがオンになったときに音声通話の開始を検知し、当該PTTスイッチがオフになったときに音声信号の終了を検知する、請求項6乃至8のいずれかに記載の無線機。
【請求項10】
前記送信部は、前記データフレームに、データの種別を示す情報が記述されたミニヘッダが挿入されたパケットを生成する、請求項6乃至9のいずれかに記載の無線機。
【請求項11】
受信した前記無線信号から前記パケットを再生し、かつ当該パケットからデジタル音声信号のデータを取り出す受信部を、更に備え、
前記コントローラは、前記受信部で再生されたパケットから取り出したミニヘッダの情報を解析して、前記音声フレームに挿入されているデータの種別を確認し、
前記受信部は、前記コントローラの確認結果に従って前記パケットからデータを取り出して、前記デジタル音声信号およびデータ通信用のデータを再生する、請求項6乃至10のいずれかに記載の無線機。
【請求項12】
少なくとも2台の無線機で構成され、当該無線機は、
ヘッダ部に少なくとも送信先および送信元の無線機を識別する識別子のデータが含まれ、かつデータ部に所定長の音声フレームとデータフレームが交互に連続して配置され、更に前記データフレームに、データの種類を示す情報が記述されたミニヘッダが挿入されたパケットを生成する送信部と、
受信した無線信号から前記パケットを再生し、かつ当該パケットからデジタル音声信号のデータを取り出す受信部と、
前記送信部に対して各種コマンドおよび前記識別子を含む、パケットを生成する際に必要なデータを送信し、かつ前記受信部に対して受信した無線信号からパケットの再生を指示するコントローラと、を備え、
前記各無線機は、アナログ音声信号をA/D変換および符号化してデジタル音声信号に変換した後、当該デジタル音声信号を含む前記パケットを生成し、更に、当該パケットを無線信号に変換して送信すると共に、無線信号に変換された前記パケットを受信して、当該パケットからデジタル音声信号を取り出し、アナログ音声信号に変換する無線通信方法であって、
送信側無線機の前記コントローラは、前記送信部に対し、音声通話の開始を検知したときに送信の開始を指示する第1のコマンドを送信し、かつ音声通話の終了を検知したときにパケットの形態の変更を指示する第2のコマンドを送信し、
記送信部は、
前記コントローラから前記第1のコマンドを受信したとき、前記音声フレームに音声信号のデータを挿入し、かつデータフレームにデータ通信用のデータを挿入したパケットを生成し、
前記コントローラから前記第2のコマンドを受信したとき、当該時点から一定期間、前記音声フレームおよびデータフレームにデータ通信用のデータを挿入し、かつ最後に終話フレームを挿入したパケットを生成し、
無線信号を受信した受信側無線機の前記コントローラは、前記受信部で再生されたパケットから取り出したミニヘッダの情報を解析して、前記音声フレームに挿入されているデータの種別を確認し、
前記受信部は、前記コントローラの確認結果に従って前記パケットからデータを取り出して、前記デジタル音声信号およびデータ通信用のデータを再生することを特徴とする無線通信方法。
【請求項13】
ヘッダ部に少なくとも送信先および送信元の無線局を識別する識別子のデータが含まれ、かつデータ部に所定長の音声フレームとデータフレームが交互に連続して配置され、更に前記データフレームに、データの種別を示す情報が記述されたミニヘッダが挿入されたパケットを生成する送信部と、前記送信部に対して各種コマンドおよび前記識別子を含む、パケットを生成する際に必要なデータを送信するコントローラと、を備え、
前記送信部で、アナログ音声信号をA/D変換および符号化したデジタル音声信号を含むパケットを生成し、更に、当該パケットを無線信号に変換して送信する無線機おけるパケットの生成方法であって、
前記コントローラは、前記送信部に対し、音声通話の開始を検知したときに送信の開始を指示する第1のコマンドを送信し、かつ音声通話の終了を検知したときにパケットの形態の変更を指示する第2のコマンドを送信し、
前記送信部は、
前記コントローラから前記第1のコマンドを受信したとき、前記音声フレームに音声信号のデータを挿入し、かつデータフレームにデータ通信用のデータを挿入したパケットを生成し、
前記コントローラから前記第2のコマンドを受信したとき、当該時点から一定期間、前記音声フレームおよびデータフレームにデータ通信用のデータを挿入し、かつ最後に終話フレームを挿入したパケットを生成することを特徴とするパケットの生成方法。
【請求項14】
請求項13に記載のパケット生成方法により生成されたパケットを含む無線信号を受信し、当該無線信号から前記パケットを再生し、かつ当該パケットからデジタル音声信号のデータを取り出す受信部を備え、
前記コントローラは、前記受信部で再生されたパケットから取り出したミニヘッダの情報を解析して、前記音声フレームに挿入されているデータの種別を確認し、
前記受信部は、前記コントローラの確認結果に従って前記パケットからデータを取り出して、前記デジタル音声信号およびデータ通信用のデータを再生することを特徴とするパケットからのデータ再生方法。
【請求項15】
前記一定期間において、前記音声フレームおよびデータフレームに挿入すべきデータ通信用のデータがなくなったとき、前記送信部は前記パケットの生成を停止する、請求項14に記載のパケットからのデータ再生方法。
【請求項16】
前記コントローラは、音声通話の終了を検知したときに送信すべきデータ通信用のデータが残っていないときは、前記送信部に前記第2のコマンドを送信しない、請求項14または15に記載のパケットからのデータ再生方法。
【請求項17】
前記コントローラは、PTTスイッチがオンになったときに音声通話の開始を検知し、当該PTTスイッチがオフになったときに音声信号の終了を検知する、請求項14乃至16のいずれかに記載のパケットからのデータ再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル方式の音声通信を採用した無線通信システム、そのシステムで用いられる無線機、ならびに当該システムに対応した無線通信方法、パケットの生成方法およびパケットからのデータ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アマチュア無線等の世界において、より高速の通信を実現し、またクリアな音声での交信を楽しむために、音声通信のデジタル化とネットワーク化が普及しつつある。そしてこのデジタル方式の音声通信を採用した無線通信システムにおいては、音声信号は符号化されてデジタル信号に変換され、パケット化された後に送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の無線通信システムにおいては、パケットのヘッダ部に送信先、送信元のコールサイン等を示すデータが付加されたことに伴い、相手局の無線機を特定して交信を行う等の、アナログ方式の無線通信システムではできなかった多くの機能を実現できるようになった。
【0004】
更に、上述の無線通信システムにおいては、ヘッダ部に続いて、所定長の音声フレームとデータフレームとを連続して交互に繰り返すことによって、音声通信用のデータとデータ通信用のデータとを同時に送信することができる。
【0005】
従って、この機能を活用すれば、例えば、交信を行いながら、カメラで撮影した画像信号を、一方の無線機から他方の無線機に送信してディスプレイに表示し、画像を見ながら会話を楽しむこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-157477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、上述の無線通信システムは、音声通信を前提とするものであることから、データ通信用として送信できるデータ量は、音声通信用のデータ量に比較して少なく設定されているため、データ通信の通信速度は必ずしも速くない。
【0008】
このため、一回の通話では画像信号の一部しか送信することができず、画像を見ながらの会話を楽しむことができないために、ユーザから改善が求められていた。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて成されたもので、音声信号の送信が途絶えた後の音声フレームを活用することで、一回の通話で送信できるデータ通信のデータ量を増大させた無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明にかかる無線通信システムは、少なくとも2台の無線機で構成され、当該無線機は、アナログ音声信号をA/D変換および符号化してデジタル音声信号に変換した後、当該デジタル音声信号を含むパケットを生成し、更に、当該パケットを無線信号に変換して送信すると共に、無線信号に変換されたパケットを受信して、当該パケットからデジタル音声信号を取り出し、アナログ音声信号に変換する無線通信システムであって、
前記各無線機は、
前記パケットとして、ヘッダ部に少なくとも送信先および送信元の無線局を識別する識別子のデータが含まれ、かつデータ部に所定長の音声フレームとデータフレームが交互に連続して配置され、更に前記データフレームに、データの種別を示す情報が記述されたミニヘッダが挿入されたパケットを生成する送信部と、
受信した前記無線信号からパケットを再生し、かつ当該パケットから前記デジタル音声信号のデータを取り出す受信部と、
前記送信部に対して各種コマンドおよび前記識別子を含む、パケットを生成する際に必要なデータを送信し、かつ前記受信部に対して受信した無線信号からパケットの再生を指示するコントローラと、を備え、
送信側無線機の前記コントローラは、前記送信部に対し、音声通話の開始を検知したときに送信の開始を指示する第1のコマンドを送信し、かつ音声通話の終了を検知したときにパケットの形態の変更を指示する第2のコマンドを送信し、
記送信部は、
前記コントローラから前記第1のコマンドを受信したとき、前記音声フレームに音声信号のデータを挿入し、かつデータフレームにデータ通信用のデータを挿入したパケットを生成し、
前記コントローラから前記第2のコマンドを受信したとき、当該時点から一定期間、前記音声フレームおよびデータフレームにデータ通信用のデータを挿入し、かつ最後に終話フレームを挿入したパケットを生成し、
無線信号を受信した受信側無線機の前記コントローラは、前記受信部で再生されたパケットから取り出したミニヘッダの情報を解析して、前記音声フレームに挿入されているデータの種別を確認し、
前記受信部は、前記コントローラの確認結果に従って前記パケットからデータを取り出して、前記デジタル音声信号およびデータ通信用のデータを再生することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記一定期間においては、前記ミニヘッダに、前記音声フレームにデータ通信用のデータが挿入されていることを示す情報が記述されることが好ましい。
【0012】
また前記一定期間において、前記音声フレームおよびデータフレームに挿入すべきデータ通信用のデータがなくなったとき、前記送信部は前記パケットの生成を停止することが好ましい。
【0013】
更に本発明は、上述の無線通信システムを実現する無線機、ならびに上述の無線通信システムに対応した無線通信方法、パケットの生成方法およびパケットからのデータ再生方法を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる無線通信システムを用いれば、PTTスイッチのオフに対応してコントローラから出力されるコマンドを送信部で受信したときから一定期間、パケットの音声フレームに、音声通信用のデータの代わりにデータ通信用のデータを挿入することで、一回の通話中に送信できるデータ通信用データのデータ量を増大させ、結果として、データ通信の通信速度を速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかる無線通信システムで使用する無線機の構成を示すブロック図である。
図2】無線機によって送信されるパケットの構成を示す図である。
図3】パケットのデータ部の各フレームに挿入されるデータの種類を示す図である。
図4】本実施の形態の無線機を用いた無線通信システムの代表的な使用形態を示す図である。
図5】パケットの送信を開始してから停止するまでの送信部での処理の流れをフローチャートである。
図6】パケットの送信を開始してから停止するまでの期間にコントローラから送信部に送信される信号、およびパケットによって送信されるデータの種類を示す図である。
図7】パケットを受信した無線機のコントローラでの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態にかかる無線通信システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<無線機の構成>
図1に、本実施の形態にかかる無線通信システムで使用する無線機の構成を示す。無線機1は、マイク11、スピーカ12、AF増幅器13、音声コーデック14、送信部15、送受切替部16、アンテナ17、受信部18、インターフェース部19、コントローラ21、操作部26および表示部28で構成されている。図中、太線の矢印は音声信号やデータの流れを示し、細線の矢印は制御系統の信号の流れを示している。
【0018】
マイク11は、送信用の音声を入力としてアナログ音声信号を生成し、その音声信号をAF増幅器13に出力する。一方、スピーカ12は、AF増幅器13から出力されたアナログ音声信号を音声に変換する。
【0019】
AF(Audio Frequency)増幅器13は、マイク11から入力されたアナログ音声信号を増幅して音声コーデック14に供給する。また、音声コーデック14から供給された受信音声のアナログ音声信号を増幅してスピーカ12に出力する。
【0020】
音声コーデック14は、AF増幅器13から供給されたアナログ音声信号をA/D(アナログ/デジタル)変換および符号化して送信部15に出力する。音声コーデック14はまた、受信部18から供給されたデジタル音声信号を復号化し、更にD/A(デジタル/アナログ)変換した後、AF増幅器13に出力する。
【0021】
送信部15は、音声コーデック14から供給されたデジタル音声信号に無線通信用のヘッダを付すと共に、後述するPTTスイッチ27の出力に基づいて分割し、図2に示す送信用のパケットを生成する。パケットの構成については、後に図2を用いて詳述する。送信部15は更に、パケットを構成するデジタルデータで搬送波を変調し、必要に応じて周波数変換を行い、送受切替部16を介してアンテナ17から送信する。
【0022】
送受切替部16は、PTTスイッチ27が押されてオンになると送信部15からの送信信号をアンテナ17に導き、PTTスイッチ27が放されてオフになるとアンテナ17の受信信号を受信部18に導く。
【0023】
受信部18は、コントローラ21からの指示信号に従って受信周波数を切り替え、受信周波数に同調して受信信号を増幅し、更に復調してパケットを再生する。そして再生したパケットからヘッダ部を取り除き、音声データについては音声コーデック14に供給し、その他のデータ(例えば、画像信号等のパケットデータ)についてはインターフェース部19に供給する。
【0024】
インターフェース部19は外部接続端子20を介して図示しない外部機器(例えばパーソナルコンピュータやスマートフォン)に接続され、外部機器から供給される画像信号等のパケットデータを送信部15やコントローラ21に供給する。またインターフェース部19は、受信部18から供給されたパケットデータを、外部接続端子20を介して外部機器に供給する。
【0025】
コントローラ21は無線機1の動作を制御する。コントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)22、CPU22の動作を規定するプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)23、CPU22のワークメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)24、およびコールサイン等のデータを格納する不揮発性メモリ25を備えている。
【0026】
操作部26は、種々の入力やユーザの指示をコントローラ21に伝達する。操作部26にはPTT(Push To Talk)スイッチ27が含まれている。PTTスイッチ27は、押す(オンにする)と送受切替部16が送信側に切り替わってアンテナ17から送信が行われ、放す(オフにする)と、送受切替部16が受信側に切り替わって受信した音声信号の再生が行われる。
【0027】
表示部28は液晶ディスプレイ等で構成され、種々のデータを表示するのに用いられる。表示部28の画面には、無線機1がアマチュア無線信号を受信したこと(呼び出しがあったこと)や、送信元(自局)や送信先(相手局)のコールサイン、ニックネーム等が表示される。
【0028】
<パケットの構成>
次に、図2および図3を参照して、送信部15で生成されるパケットの構成を説明する。パケットの構成は、デジタル方式の音声通信の一連のデータを、どのような順番でどのようにまとめて送信するかを示したものである。
【0029】
図2に示すように、パケットPaはヘッダ部Phとデータ部Pdとで構成されている。ヘッダ部Phには、同期信号h1、フラグh2、送り先レピータのコールサインh3、送り元レピータのコールサインh4、送信先コールサインh5、送信元コールサインh6が含まれている。
【0030】
ヘッダ部Phのうち同期信号h1は、受信信号の同期をとり、またこれより信号であることを表す。フラグh2は、レピータ経由通信、直接通信、レピータ制御信号等を表すデータであり、複数ビットのデータで構成されている。
【0031】
送り先レピータのコールサインh3は、例えば送信先の無線局が属するレピータエリア内のレピータのコールサイン、送り元レピータのコールサインh4は送信元の無線局が属するレピータエリア内のレピータのコールサインである。また送信先コールサインh5は、送信する相手局のコールサイン、送信元コールサインh6は、自局のコールサインである。これらのコールサイン(h3〜h6)は、送信先および送信元の無線局、更には無線信号を中継するレピータ局を識別するための識別子としての役割を果たす。なお送信先コールサインh5については、不特定局を呼び出すCQとしてもよい。
【0032】
データ部Pdは、音声通信用のデータとデータ通信用のデータを同時に送信できるように、デジタル化された音声信号が挿入される所定長の音声フレームd1と、画像信号やメッセージ等のデータ通信用のデータが挿入される所定長のデータフレームd2が交互に配置され、最後にパケットの終わりを示す終話フレームd3が付加されている。
【0033】
なお、データフレームd2については、一定間隔(例えば420mS)毎に、送信相手局の無線機との同期を取るための同期信号が挿入される再同期フレームd4に置き換えられている。
【0034】
次に、図3に基づき、データフレームd2に挿入されるデータ通信用のデータについて説明する。図3は、データ部Pdの各フレームに挿入されるデータの種類を示したものである。図において、「音声」はフレームに音声信号が挿入されていることを示し、「データ」は、フレームにデータ通信用のデータが挿入されていることを示す。
【0035】
データ部Pdを構成する音声フレームd1とデータフレームd2は、音声信号のデータ送信が優先されることから、音声フレームd1のデータ量がデータフレームd2のデータ量より多く設定されている。通常、音声フレームd1には9バイトのデータが挿入され、データフレームd2には3バイトのデータが挿入される。
【0036】
更に、データフレームd2の先頭部分には、データの種別等を記述したミニヘッダd5が挿入される。ただし、ミニヘッダd5をデータフレーム毎に設けると、データフレームに挿入できるデータ量が減るため、通常は、2つのデータフレーム毎に1つのミニヘッダd5を挿入している。
【0037】
従って、パケットPaを生成する際には、図3の下段に示すように、データ通信用の通信データd6を5バイト毎に分割し、その先頭に1バイトのミニヘッダd5を付加してデータブロックを構成した後、このデータブロックを3バイト毎に分割して、隣接する2つのデータフレームd2に挿入している。
【0038】
そしてミニヘッダd5には、データの種別とデータ長を示す情報が記述される。データ長は、一つのデータブロック内に挿入される有効データ長を示している。例えば、13バイトのデータ長を有する画像等の汎用データを送信する場合を考える。まず、前述の通り、送信するデータを5バイト毎に分割すると、5バイト、5バイト、3バイトに3分割される。そして、この分割されたデータそれぞれの先頭にミニヘッダd5が付加される。ここで、画像等の汎用データを示す情報が、例えば、0x3とすると、1つ目および2つ目のデータブロックのミニヘッダd5は、それぞれ0x35となり、3つ目のデータブロックのミニヘッダd5は0x33となる。
【0039】
コントローラ21(図1参照)は、外部機器(図示せず)から送信されたデータ通信用のデータから、インターフェース部19を介してデータの種類等を示すデータを取り出し、RAM24に格納する。また送信部15で送信用のパケットを生成する際に、RAM24から上述のデータを読み出して送信部15に転送する。転送されたデータは、ミニヘッダd5に書き込まれる。
【0040】
一方、受信部18で再生されたパケットPaからデータ通信用のデータを再生する際には、上述したのと逆の処理、すなわちミニヘッダd5の情報に基づいて、2つのデータフレームd2に含まれるデータから5バイトの通信データを取り出し、それらをつなぎ合わせてデータ通信用のデータを再生し、インターフェース部19を介して、端子20に接続された外部機器に送信する。
【0041】
<無線機による交信動作>
次に、図4および前述の図1図3を参照して、音声通信とデータ通信の同時運用が可能な本実施の形態の無線機を用いた交信動作について説明する。
【0042】
図4に、図1に示す無線機を用いた無線通信システムの代表的な使用形態を示す。携帯型の無線機1aには、USBケーブル4aを介してスマートフォン3aが接続されている。
【0043】
スマートフォン3aは多機能型携帯電話機の一種で、内蔵のカメラ31で撮影した画像をディスプレイ32の画面に表示できる。またスマートフォン3aは、画像信号を含むデータ通信用のデータを無線機1aとの間で相互に送受信できる機能を備えている。
【0044】
一方、車載型の無線機1bは短距離無線通信の一種であるBluetooth(登録商標)4bによってスマートフォン3bに接続されている。無線機1bおよびスマートフォン3bには、Bluetooth(登録商標)の規格に準拠した通信モジュールがそれぞれ搭載されており、相互に無線でデータを送受信できる。
【0045】
図4に示した無線通信システムを用いれば、データ通信を利用して、スマートフォン3aのカメラ31で撮影した画像を、無線機1aおよび1bを介してスマートフォン3bに送信し、ディスプレイ32に画像を表示することができる。従って、無線機1aおよび1bを介して送られた画像を見ながら、音声通信による会話を楽しむことができる。
【0046】
図4に示す音声通信システムにおける操作の手順を説明する。ユーザは交信に先立ち、無線機1aの操作部26を操作して、交信に必要な情報、例えば送信元(自局)コールサインやレピータ局のコールサインを、不揮発性メモリ25(図1参照)に格納しておく。
【0047】
交信の際、ユーザは無線機1aの操作部26を操作し、送信先の無線機1bに予め割り当てられたコールサインおよび送り先レピータのコールサインを指定して、呼び出し先の無線局を指示する。
【0048】
操作部26から入力された情報は、コントローラ21によって送信部15に通知され、コントローラ21の指示に従って送信部15でパケットが生成される。図2に示したように、パケットPaのヘッダ部Phには、送り先レピータのコールサインh3、送り元レピータのコールサインh4、送信先(相手局)のコールサインh5、および送信元(自局)のコールサインh6の各情報が含まれる。
【0049】
一方、スマートフォン3aのカメラ31で撮影された画像信号は、USBケーブル4aを介して無線機1aに転送される。無線機1aの端子20に入力された画像信号はインターフェース部19を介して送信部15に送信され、図3で説明した手順に従ってパケットPaのデータフレームd2に挿入される。
【0050】
送信部15で生成され高周波信号に変換されたパケットPaは、送受切替部16およびアンテナ17を介して送信される。無線機1aから送信された無線信号は、指定されたレピータ局(図示せず)によって中継され、無線機1bに到達する。
【0051】
無線機1bで受信した無線信号は、アンテナ17および送受切替部16を介して受信部18に供給され、受信部18で復調されてパケットPaが再生される。更に、受信部18で再生されたパケットPaからヘッダ部Phが取り除かれ、データ部Pdの内容に応じて音声コーデック14またはインターフェース部19に供給される。
【0052】
音声コーデック14に供給された音声データは復号化され、さらにアナログの音声信号に変換されてAF増幅器13に供給される。AF増幅器13で増幅された音声信号はスピーカ12から出力され、送信元のユーザの声が再生される。
【0053】
一方、図3に示すパケットを復調することによって得られた画像信号は、インターフェース部19に供給され、Bluetooth(登録商標)の通信モジュール(図示せず)を介してスマートフォン3bに送信され、ディスプレイ32に表示される。
【0054】
更に、受信部18で再生されたパケットPaはコントローラ21に供給される。コントローラ21のCPU22は、ECC(Error Check Code)チェックなどにより、受信したパケットPaが有効なパケットであるか否かを判別する。CPU22は、有効と判別されたパケットPaのヘッダ部PhのデータをRAM24に格納すると共に、ヘッダ部Phの情報を解析する。CPU22は、解析結果に基づいて、受信したパケットPaの送信先コールサインや送信元コールサインを表示部28に表示する。
【0055】
<データ通信の通信速度を速める処理>
前述したように、本発明にかかる無線機では、音声通信用のデータとデータ通信用のデータを同時に送信することができるが、音声通信用のデータを送信することが優先されることから、データ通信用として送信できるデータ量は音声通信用のデータ量に比較して少ない。
【0056】
従って、例えば、320×240の画素数の写真の画像データを送るのに3分程度かかるため、一方の無線機1aに接続されたスマートフォン3aのカメラ31で撮影した画像を、他方の無線機1bに接続されたスマートフォン3bのディスプレイ32に表示しながら会話を楽しもうとしても、一回の通話中に画像信号のデータが届かない。このため、データ通信の機能を十分生かしきれない。
【0057】
そこで本発明では、PTTスイッチ27をオフにした後、一定の期間、パケットPaの音声フレームd1に画像信号のデータを挿入して送信を行なうことにより、データ通信の通信速度を速めている。
【0058】
以下、図5のフローチャートおよび図6のタイムチャートを参照して、データ通信の通信速度を速める処理について説明する。
【0059】
図5に、パケットPaの送信を開始してから停止するまでの送信部15での処理の流れを示す。また図6に、同期間にコントローラ21から送信部15に送信される信号およびパケットPaによって送信されるデータの種類を示す。
【0060】
図6のうち(a)は、コントローラ21から送信部15に送信される各種コマンドを示したもの、(b)は、コマンドに従ってパケットに挿入されるデータの種類を示したものである。なお、図では、送信部15でコマンドを受信したときとパケットの生成を開始したときが一致しているが、実際には、パケットを生成するまでに若干の時間差がある。
【0061】
ユーザが音声信号を送信するためPTTスイッチ27をオンにすると、コントローラ21がそれを検知し、図6(a)に示すように、時刻T1においてコントローラ21から送信部15に送信の開始を指示するコマンドが送信され、そのコマンドを受信した送信部15は(ステップS1でYes)、パケットPaの生成を開始する(ステップS2)。
【0062】
具体的には、図6(b)に示すように、音声フレームd1に音声信号のデータが挿入され、データフレームd2にデータ通信用のデータが挿入されたパケットPaを生成する。生成されたパケットPaは送信部15で高周波信号に変換され、アンテナ17から無線信号として送信される。
【0063】
次に、通話が終了し、ユーザがPTTスイッチ27をオフにすると、コントローラ21がそれを検知し、図6(b)に示すように、時刻T2においてパケットの形態の変更を指示するコマンドを送信部15に送信する。
【0064】
コントローラ21からパケットの形態変更コマンドを受信した送信部15は(ステップS3においてYes)、音声信号データとデータ通信用データの切れ目まで待って、音声フレームd1およびデータフレームd2のそれぞれにデータ通信用のデータを挿入する(ステップS4)。図6(b)の右半分に、音声フレームd1およびデータフレームd2の全てにデータ通信用データが挿入されたパケットPaを示す。
【0065】
図3を用いて説明したように、音声通信とデータ通信を同時に行なう場合、データ通信用データは5バイト毎に分割され、ミニヘッダd5と共に2つのデータフレームd2に挿入される。
【0066】
一方、データ通信だけを行なう場合、データ通信用データは20バイト毎に分割され、これにミニヘッダd5等が付加されてブロックを構成した後、このブロックのデータが隣接する2つの音声フレームと2つのデータフレームに分割して挿入される。
【0067】
具体的には、ブロックは、20バイトのデータ通信用のデータ、1バイトのミニヘッダ、異音軽減のために各音声フレームに挿入される2バイトの固有のデータおよびパケットロスの誤検出を防ぐためにデータフレームに挿入される1バイトのデータ、合計24バイトのデータで構成され、これらのデータが、隣接する2つの音声フレームd1(9バイト×2)と2つのデータフレームd2(3バイト×2)に分割して挿入される。
【0068】
コントローラ21は、時刻T2から一定時間τだけ経過した時刻T3において、送信の停止を指示するコマンドを、送信部15に送信する。送信部15は、送信停止コマンドを受信した時点で(ステップS5においてYes)、パケットPaに終話フレームd3を挿入してパケットPaの生成と送信を停止する(ステップS6)。その後、無線機1は、他の無線機からの無線信号を受信できる状態に変わる。
【0069】
図6(b)に示すように、送信部15が送信開始コマンドを受信した時刻T1から形態変更コマンドを受信した時刻T2までは、音声フレームd1には音声信号のデータが挿入され、その後、一定期間τが経過する時刻T3まで、音声フレームd1には画像信号、すなわちデータ通信用のデータが挿入され、最後に終話フレームd3が挿入される。このため、1つのパケットで送信できるデータ通信のデータ量が増加し、結果として、データ通信の通信速度を速めることができる。
【0070】
パケットPaの音声フレームd1に音声信号のデータが挿入された場合とデータ通信用のデータが挿入された場合とを比較すると、後者におけるデータ通信の通信速度は、前者のそれに比べて約3.5倍となるため、一回の通話中に送信できるデータ通信用データのデータ量を大幅に増やすことができる。
【0071】
次に、図5に示した手順で作成され、無線機(自局)から送信された無線信号を受信した無線機(相手局)におけるデータ再生方法について説明する。コントローラ21は、図7に示す流れに従ってパケットPaの処理を行う。
【0072】
コントローラ21は、受信部18で無線信号から再生されたパケットPaのデータのうち、データフレームd2のデータを内蔵のレジスタ(図示せず)に取り込み(ステップS11)、ミニヘッダの情報を解析して、音声フレームにデータ通信用のデータが挿入されているか否かを確認する(ステップS12)。
【0073】
図6(a)に示すように、パケットPaのうち時刻T2までに送信された音声フレームd1には、音声信号が挿入されている。コントローラ21は、音声フレームd1に音声信号のデータが挿入されていることを確認すると(ステップS13でNo)、受信部18に対して、音声フレームd1に含まれるデータ(本実施の形態では9バイト)の取り出しを指示する(ステップS14)。
【0074】
受信部18から取り出され、かつつなぎ合わされた音声信号のデータは、コントローラ21の指示に従って、音声コーデック14で復号化およびD/A変換されてアナログ音声信号に再生され(ステップS15)、スピーカ12から音声として出力される。
【0075】
コントローラ21は、ステップS14、15の処理と並行して、データフレームd2から取り出し、レジスタに格納したデータをつなぎ合わせてデータ通信用のデータを再生する(ステップS16)。再生されたデータ通信用のデータはインターフェース部19に出力される。
【0076】
続いてコントローラ21は、前述のステップS16の処理、すなわちインターフェース部19に対して、再生されたデータ通信用のデータを外部機器に転送するよう指示し(ステップS17)、インターフェース部19は、指示に従って再生されたデータ通信用のデータを外部機器に出力する。
【0077】
一方、パケットPaのうち時刻T2以降に送信された音声フレームd1には、データ通信用のデータが挿入されている。コントローラ21は、音声フレームd1にデータ通信用のデータが挿入されていることを確認した場合(ステップS13でYes)、受信部18に対して、音声フレームd1から異音軽減用のデータ(本実施の形態では1バイト)を除いたデータ通信用データ(同8バイト)の取り出しを指示する(ステップS18)。
【0078】
次にコントローラ21は、隣接する2つの音声フレームd1および2つのデータフレームd2から取り出されたデータを、前述のブロックを作成するときと逆の順序でつなぎ合わせてデータ通信用のデータを再生する(ステップS19)。再生されたデータ通信用のデータはインターフェース部19に出力される。
【0079】
続いてコントローラ21は、前述のステップS17の処理、すなわちインターフェース部19に対して、再生されたデータ通信用のデータを外部機器(図示せず)に転送するよう指示し、インターフェース部19は、指示に従って再生されたデータ通信用のデータを外部機器に出力する。
【0080】
上述の実施の形態において、延長時間τは1秒から10秒とすることが好ましい。延長時間τが短すぎると、通信速度が従来とあまり変わらず、一方、延長時間τが長すぎると、その間、相手局からの音声信号を受信できなくなるため、円滑な会話に支障が生じることとなる。
【0081】
また、一定期間τが経過する前に、外部機器から送信されたデータ通信用のデータがなくなった場合には、コントローラ21がそれを検知して、上述の送信停止コマンドが送信部15に送信される。送信部15は上述したのと同様の手順に従ってパケットの生成と送信を停止する。なお、コントローラ21から形態変更コマンドが送信されるのは、PTTスイッチ27をオフにしたときに送信すべきデータ通信用のデータが残っている場合であることは云うまでもない。
【0082】
また、上述の実施の形態では、無線機にスマートフォンを接続し、一対のスマートフォン間で画像信号を送受信する使用形態について説明したが、無線機に接続される外部機器はスマートフォンに限定されない。例えば、無線機にタブレット端末等の携帯型の情報機器を接続し、スマートフォンとタブレット端末等との間で画像信号やテキストデータを送受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、1a、1b 無線機
3a,3b スマートフォン
4a USBケーブル
4b Bluetooth(登録商標)
11 マイク
12 スピーカ
13 AF増幅器
14 音声コーデック
15 送信部
16 送受切替部
17 アンテナ
18 受信部
19 インターフェース部
21 コントローラ
25 不揮発性メモリ
26 操作部
27 PTTスイッチ
28 表示部
Pa パケット
Ph ヘッド部
Pd データ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7