(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6507812
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】分離型操作スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/04 20060101AFI20190422BHJP
【FI】
H01H13/04 C
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-83898(P2015-83898)
(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公開番号】特開2016-207295(P2016-207295A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】下山 栄治郎
【審査官】
澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0103769(US,A1)
【文献】
特開2010−153192(JP,A)
【文献】
特開2010−232157(JP,A)
【文献】
特開2005−302649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 − 13/88
H01R 9/00
H01R 9/15 − 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と接点部が分離可能に構成された分離型操作スイッチにおいて、
前記接点部に分離可能に結合されたベース部を設け、
このベース部の前記接点部の結合された端部と反対側の端部に前記操作部を結合するための結合部を設け、
この結合部に、内周にロック片を有し、回転可能に配置されたリング状のロック部材と、このロック部材が予め定めたロック位置に位置するようにこれを付勢するロックばねとを設け、前記操作部の前記ベース部の結合部への挿入操作に連動して前記ロック部材を前記ロックばねのばね力に抗して前記ロック位置と反対方向に回動させ、前記操作部が結合位置に達したところで、前記ロックばねのばね力により前記ロック部材をロック位置に戻して前記ロック片を前記操作部に設けたロック溝に嵌合して前記ベース部と前記操作部との結合を固定するようになっており、
前記ベース部の前記接点部との結合部は、それぞれ開閉接点機構を備えた接点ユニットを複数個並列に分離可能に結合することが可能に構成され、
前記ベース部に、上下動可能に支持された押圧体を設け、
前記操作部に前記ベース部及び前記接点部が結合された状態で、前記開閉接点機構が前記押圧体を前記操作部の方向に付勢するとともに、
前記操作部が操作されることにより、前記押圧体が前記接点部の方向に移動し前記開閉接点機構に作用して接点の開閉が行われることを特徴とする分離型操作スイッチ。
【請求項2】
前記ベース部のロック部材に、その外周に突出するロック解除操作レバーを一体に形成することを特徴とする請求項1に記載の分離型操作スイッチ。
【請求項3】
前記ベース部の前記ロック部材のロック位置に、前記ベース部から突出して前記ロック解除操作レバーを係止するストッパを設け、このストッパの突出長さを、前記ロック解除操作レバーよりわずかに長くすることを特徴とする請求項2に記載の分離型操作スイッチ。
【請求項4】
前記操作部の前記ベース部への挿入部の外周に縦方向に前記ロック部材のロック片を案内する結合溝を設け、この結合溝の内壁に上下方向に傾斜を有する突起とこの突起の上端に前記結合溝に連なるロック片係合用のロック溝を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離型操作スイッチ。
【請求項5】
前記各接点ユニットは、直列に他の接点ユニットを連結可能とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離型操作スイッチ。
【請求項6】
b接点(常閉接点)構成の開閉接点機構を有する前記接点ユニットは、この接点ユニットの結合されたベース部が前記操作部から分離されたとき、および前記接点ユニットが前記ベース部または他の接点ユニットから分離されたとき、接点を開放する機構を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離型操作スイッチ。
【請求項7】
前記各接点ユニットの端子部の端子ねじは、保持スプリングを介して端子ねじホルダにより保持する請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離型操作スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分離された接点部と、この接点部の開閉を操作する操作部とを結合して使用する分離型の操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、分離して構成された操作部と接点部とを連結し、これらをロック機構により相互に結合をロック(固定)するようにした分離型の操作スイッチがあり、その例が特許文献1に示されている。
【0003】
この特許文献1に記載された操作スイッチは、
図12および
図13に示すように、押釦などを有する操作部201と、接点部202を備える。接点部202は、ロックレバー204を備える。操作部201を、取付パネル101の取付穴に取付パネル表面側から嵌め込み、取付パネル裏面側から固定ナット203をねじ込むことによって取付パネル101に固定する。次いで、操作部201の嵌合位置に合わせて接点部202を嵌合し、定位置まで挿入した上で、ロック機構のロックレバー204をロック位置に回動操作することにより、接点部202と操作部201との結合をロック(固定)する。
【0004】
ロック機構は、
図14(A)および(B)に示すように、接点部201に設けたロックレバー204を人手により、ロック解除位置(A)からロック位置(B)に回動操作することにより、ロック部材205が回転し、このロック部材205に設けられたロック片251が操作部201に設けられたロック溝211d(
図12参照)に嵌まり込むことにより、接点部202と操作部201との結合を固定し、操作部201から操作部202が抜け落ちるのを防止する構成となっている。
【0005】
このように操作部201と接点部202を結合した分離型操作スイッチを取付パネルに取り付けて使用している状態において、ロックレバー204が不用意な操作によりロック解除位置に動かされたり、操作部201と接点部202とを結合する際に、ロックレバー204のロック位置への回動操作を忘れたりする場合がある。
【0006】
このような場合は、操作部201と接点部202との結合のロックが解除されているため、操作部201の押釦を押圧操作したとき、接点部202が操作部からの押圧力により操作部201から抜け落ちることがある。
【0007】
このような分離型操作スイッチにおいて、ロックレバーの不用意な誤った操作等により接点部202が操作部201からに抜け落ちる事故が発生すると、接点部202のb接点(常閉接点)構成の接点ユニットは、閉じたままとなり、電気回路に誤動作を発生させる危険がある。
【0008】
前記のような分離型操作スイッチにおける接点部の抜抜け落ち事故の発生を防止する目的で、ロックレバーのロック操作忘れや、不用意なロック解除を回避するために、特許文献2では、
図15に示すように、ロックレバー固定具230を設けることが提案されている。
【0009】
図15において、(A)は、ロックレバー固定具230を取り付ける前の分離型の操作スイッチの接点部202を示し、(B)は、ロックレバー固定具230を取り付けた状態の分離型の操作スイッチの接点部202を示す。
【0010】
接点部202をここには図示しない操作部201に結合した状態で、ロックレバー204を図示するように左側に回動操作すると、ロック部材205が回動し、ロック片251が操作部201のロック溝211d(
図12参照)に嵌まり込んで結合状態がロック(固定)される。この状態が
図15の(A)であり、ロックレバー固定具230は、まだ、ロックレバー204に取り付けられていない。この状態では、ロックレバー204が露出しているので、不用意に手が触れたりして、ロック解除位置に回動操作される恐れがある。
【0011】
ここで、ロックレバー固定具230をロックレバー204に上から嵌合して、接点部202に設けたガイド溝240内に押し込み、ロックレバー204に取り付けると、ロックレバー204が、このロックレバー固定具230によって固定される。
【0012】
これにより、ロックレバー204に誤って触れても、回動が阻止されるので、不用意に操作部と接点部との結合のロックが解除されることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003-308756号公報
【特許文献2】特開平10−228835号公報
【特許文献2】特開2003-323828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記したように従来の分離型の操作スイッチおいては、操作部と接点部の結合を固定(ロック)するためには、ロックレバーをロック位置に回動操作する必要があり、また、両部の結合の固定が不用意に解除されることを防止するためには、ロックレバーに予め用意されたロックレバー固定具を装着する必要がある。
【0015】
このため、このような従来の分離型操作スイッチにおいては、操作部と接点部とを結合した後、ロックレバーのロック位置への回動操作を忘れたり、ロックレバーへのロックレバー固定具の装着を忘れたりすることにより、操作部と接点部との結合の固定(ロック)が行われなかったり、誤って解除されたりすることによって、操作スイッチの操作中に操作部から接点部が抜け落ちる事故に至るという問題がある。
【0016】
このような問題を解決するため、この発明は、操作部に接点部を結合したとき自動的に結合の固定(ロック)が行われ、ロックレバーの不用意なロック解除操作が行われ難くした分離型操作スイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の課題を解決するため、この発明は、操作部と接点部が分離可能に構成された分離型操作スイッチにおいて、
前記接点部に分離可能に結合されたベース部を設け、このベース部の前記接点部の結合された端部と反対側の端部に前記操作部を結合するための結合部を設け、この結合部に、内周にロック片を有し、回転可能に配置されたリング状のロック部材と、このロック部材が予め定めたロック位置に位置するようにこれを付勢するロックばねとを設け、前記操作部の前記ベース部の結合部への挿入操作に連動して前記ロック部材を前記ロックばねのばね力に抗して前記ロック位置と反対方向に回動させ、前記操作部が結合位置に達したところで、前記ロックばねのばね力により前記ロック部材をロック位置に戻して前記ロック片を前記操作部に設けたロック溝に嵌合して前記ベース部と前記操作部との結合を固定する
ようになっており、前記ベース部の前記接点部との結合部は、それぞれ開閉接点機構を備えた接点ユニットを複数個並列に分離可能に結合することが可能な構成され、前記ベース部の前記接点部との結合部は、それぞれ開閉接点機構を備えた接点ユニットを複数個並列に分離可能に結合することが可能に構成され、前記ベース部に、上下動可能に支持された押圧体を設け、前記操作部に前記ベース部及び前記接点部が結合された状態で、前記開閉接点機構が前記押圧体を前記操作部の方向に付勢するとともに、前記操作部が操作されることにより、前記押圧体が前記接点部の方向に移動し前記開閉接点機構に作用して接点の開閉が行われることを特徴とする(請求項1の発明)。
【0018】
請求項1の発明においては、前記ベース部のロック部材に、その外周に突出するロック解除操作レバーを形成することができる(請求項2の発明)。
【0019】
請求項2の発明においては、前記ベース部の前記ロック部材のロック位置に、前記ベース部から突出して前記ロック解除
操作レバーを係止するストッパを設け、ストッパの突出長さを、前記ロック解除
操作レバーよりわずかに長くするのがよい(請求項3の発明)。
【0020】
請求項1〜3の発明においては、前記操作部の前記ベース部への挿入部の外周に縦方向に前記ロック部材のロック片を案内する結合溝を設け、この結合溝の内壁に上下方向に傾斜を有する突起とこの突起の上端に前記結合溝に連なるロック片係合用のロック溝を形成するのがよい(請求項4の発明)。
【0021】
前記請求項1〜4の発明においては
、前記各接点ユニットは、直列に他の接点ユニットを連結可能とすることができる(請求項
5の発明)。
【0022】
さらに、請求項
1〜5の発明において、b接点(常閉接点)構成の開閉接点機構を有する前記接点ユニットは、この接点ユニットの
結合されたベース部が前記操作部から分離されたとき、および前記接点ユニットが前記ベース部または他の接点ユニットから分離されたとき、接点を開放する機構を備えることができる(請求項
6の発明)。
【0023】
さらにまた、前記請求項
1〜6の発明においては、前記各接点ユニットは、端子部の端子ねじを保持スプリングを介して端子ねじホルダにより保持することができる(請求項
7の発明)。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、接点部の結合されるベース部の操作部との結合部に回転可能に設けられたロック部材をロックばねより予め定めたロック位置に付勢しておき、操作部をベース部の結合部に挿入、結合する際、ロック部材を操作部の挿入に連動してロックばねの付勢方向と反対方向に回動させ、操作部が結合位置まで挿入されてところで、ロック部材をロック位置方向へ戻してロック部材のロック片を操作部のロック溝に係合させることにより、操作部材とベース部材との結合を固定(ロック)するので、結合の固定を操作部の結合操作により自動的に行うことができる。
【0025】
このため、操作部とベース部を介して結合された接点部との結合の固定(ロック)が失念されることがなく、確実に結合が行われる。よって、使用中に接点部が操作部から抜け落ちる事故の発生を防止することができる。
【0026】
また、ロック部材に突出形成されたロック解除
操作レバーは、ベース部に形成した係止片によってロック解除方向の操作が抑止されるので、外部からの接触等による不用意なロック解除を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の分離型の操作スイッチの第1の実施例の外観を示す斜視図。
【
図2】この発明の分離型の操作スイッチの第1の実施例の構成を分解して示す斜視図。
【
図3】この発明の分離型の操作スイッチの第1の実施例の構成を分解して示す縦断面図。
【
図4】この発明の分離型の操作スイッチに使用するベース部の構成を分解して示す斜視図。
【
図5】この発明の分離型の操作スイッチの接点部を構成する接点ユニットの構成を分解して示す斜視図。
【
図6】この発明の分離型の操作スイッチにおけるベース部と操作部との結合、ロック動作の説明図。
【
図7】この発明の分離型の操作スイッチの操作の説明図。
【
図8】この発明の分離型の操作スイッチにおける操作部から接点部が分離した状態を示す縦断面図。
【
図9】この発明の分離型の操作スイッチにおける操作部からベース部、接点部が分離した状態を示す縦断面図。
【
図10】この発明の分離型の操作スイッチの第2の実施例の構成を示すもので、(A)は斜視図、(B)は縦断面図。
【
図11】この発明の分離型の操作スイッチの第3の実施例の構成を示すもので、(A)は端子ねじの締め付け前の状態を示す縦断面図、(B)は端子ねじの締め付け状態を示す縦断面図。
【
図12】従来の分離型の操作スイッチの分離状態を示す斜視図。
【
図13】従来の分離型の操作スイッチの結合状態を示す側面図。
【
図14】従来の分離型の操作スイッチのロック機構の構成を模式的に示す図。
【
図15】従来の分離型の操作スイッチのロックレバー固定具を備えたロック機構の例を示すもので、(A)はロックレバー固定具を取り付ける前の要部の正面図、(B)はロックレバー固定具を取り付け状態の要部の正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
この発明の実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1〜
図4に、この発明の分離型の操作スイッチの第1の実施例を示す。
図1は、この発明による操作スイッチの結合状態の構成を示す斜視図であり、
図2および
図3はスイッチの分離状態の構成を示す斜視図および縦断面である。そして
図4は、この発明に使用する連結用のベース部2を分解して示す斜視図である。
【0030】
操作スイッチ100は、
図2および
図3に示すように分離可能にした操作部1、ベース部2および接点部3を備える。
【0031】
操作部1は、接点部3の接点を開閉操作するもので、操作部本体11、押釦12および取り付けナット13を備える。
【0032】
操作部本体11は、筒状をなし、この中に、嵌入された押釦12は、復帰ばね14を介してこの操作部本体1により押し込み可能に支持される。操作部本体11の胴部11aの外周の基端側にねじ11gが設けられている。このねじ11gに固定ナット13をねじ込んで、操作部1を取付パネル等に固定する。押釦12は、一体的に胴部11a内に伸びた操作軸12aを備える。
【0033】
また、操作部本体の胴部11の外周には、連結用のベース部2と結合するための結合溝11bが適宜の間隔で複数個設けられている。この結合溝11b内には、内壁に設けた傾斜を有する突起11cによってベース部2の係合片を係合するロック溝11dが形成される(
図2参照)。
【0034】
連結用のベース部2は、操作部1と接点部3との間に介在し、両者を結合するものである。
【0035】
このベース部2は、
図3および
図4に示すように、ベース本体22とこれに被せるベースカバー21とを備える。カバー21は、は中心部に操作部1の本体11を結合するための結合孔21a、対抗する側面にベース本体22の係合爪22bを係合するための係合孔21bおよびロックリング23のロック解除操作片23bをロック位置で係止するストッパ21cを備える。
【0036】
ベース本体22上には、ロックリング23が回転可能に配置され、このロックリングと23とベース本体21との間にロックリング23をロック位置側に付勢するロックばね24に設ける。ロックリング23cは、このロックばね24によって操作片23bがカバー21のストッパ21bに当たるまで回動されてロック位置に置かれる。ロックリング23の操作片23bには、指での操作が困難とき、ドライバー等の工具を挿入して操作できるようするための操作孔23が設けられている。
【0037】
ロックリング23の内周には、操作部1の係合溝11dと対応して、適宜の間隔で複数の係止片23aが設けられる。
【0038】
ベース部2には、さらに、後述する接点部3の接点開放レバー35を押圧するための押圧体25が設けられている。この押圧体25は、中心部に開口25aを有し、対角上の2隅に設けた係合片25cを、ベース本体22の係合溝22dにその下方から挿入することによって、ベース部22内に上下動可能に係合する。
【0039】
接点部3は、内部に開閉接点機構を備えた少なくとも1個の接点ユニット3Uで構成され、ベース部2の下端側に結合し、このベース部2の上端側を操作部1の下端側に結合される。ここでは、3個の接点ユニット3Uを、ベース部2を介して操作部1に結合した例を示している。
【0040】
接点部3の1個以上の接点ユニット3Uを備える。接点ユニット3Uは、a接点(常開接点)構成の開閉接点機構を有するものと、b接点(常閉接点)構成の開閉接点機構を有するものとがある。
【0041】
ここではb接点構成を有する接点ユニット3Uを使用した例を示し、
図3および
図5にその構成を示す。
【0042】
この接点ユニット3Uは、接点ケース31と接点フレーム32を備える。接点フレーム32には、可動接点34aを有する可動接触子34を保持した可動接点ホルダ33が挿入され、この接点フレーム32が可動接点ホルダ33を上下動可能に支持する。
【0043】
さらに、接点フレーム32は、ベース部2に結合するための1対の結合片32aを備えるとともに、可動接点ホルダ33を1対の接点開放レバー35を支持ピン35aおよび付勢ばね35bを介して回動可能に支持する。接点開放レバー35は、可動接点ホルダ33の肩部33bに接触して付勢ばね35bの付勢力により回動されて、その一端で可動接点ホルダ33を押下方向に付勢する。
【0044】
接点ケース31には、その左右両端に、1対の固定接触子37が固定支持される。この固定接触子37は、一端に可動接点34aと対向して固定接点37aを備え、他端に外部接続用ねじ端子37bを備える。そして、接点ケース31の固定接触子37のねじ端子37bと対向する位置に、保持ばね38aを介して端子ねじ38を保持した端子ねじホルダ38bが凹凸嵌合により結合される。
【0045】
可動接点ホルダ33を支持した接点フレーム32は、可動接点ホルダ33を復帰方向(押上方向)に付勢する付勢ばね36を介して接点ケース31に挿入され、これによって支持される。
【0046】
接点ユニット3Uは、ベース部2から分離した状態では、
図3に示すように、接点開放レバー35が開放ばね35bにより可動接点ホルダ33を押し下げる方向に付勢されることにより、可動接点ホルダ33が押し下げられ、可動接点34aが固定接触子37の固定接点37aから離間するので、b接点構成の開閉接点機構が開放される。
【0047】
このように分離構成された操作部1、ベース部2および接点部3を相互に結合して
図1に示すような操作スイッチ100が構成される。
【0048】
操作スイッチ100を構成する際、予め接点部3をベース部2に結合し、この接点部3の結合されたベース部2を操作部1に結合する場合と、操作部1に予めベース部2を結合し、この操作部1に結合されたベース部2に接点部3を結合する場合とがあるが、各部相互間の結合は同じであるので、個々の結合について説明する。
【0049】
まず、ベース部2と接点部3との結合は、接点部3の可動接点ホルダ33の駆動軸33bおよび結合片32aを下方からベース部2内に挿入し、結合片32aの先端の係合爪をベース部2の係止部22cに係止することにより行うことができる。この結合状態は、
図9の下部を参照されたい。
【0050】
また、操作部1とベース部2との結合は、
図6を参照して説明する。
【0051】
ベース部2は、操作部1から分離された状態では、ロックリング23がロックばね24により付勢されてロック解除操作片23bが、
図2に示すようにストッパ21cに当たる位置まで回動しているので、ロックリング23のロック突起23aは、
図6(A)に示すようにロック位置Rに置かれている。
【0052】
この状態で操作部1とベース部2との嵌合位置を合わせて、ベース部2の結合孔21aを操作部1の下方から操作部1の操作部本体11の胴部11aに嵌め合わせる。これにより、
図6(A)の右側に示すように、ベース部2のロックリング23の内周に設けたロック突起23aが操作部1の結合溝11b内に侵入する。
【0053】
この状態から、操作部1をベース部2に対して、相対的に
図6(A)の矢印y方向に押し込む。この押し込み過程で、ベース部2のロック突起23aが、結合溝11bの突起11bの左側に上昇する傾斜面に当たり、この傾斜面によって
図6(B)の矢印xで示すように操作部1の結合溝11b内を相対的に左方向に押されながら上昇する。これによって、ロックリング23が時計方向に回動し、
図6(B)に示すように、ロック突起23aが結合溝11bの突起11cの最上端に至り、ロックリング23のロック解除操作片23bがストッパ21cの位置から離れて、ロック解除位置Uの位置に達する。
【0054】
引き続き、操作部1をベース部2に対して相対的に
図6(C)に示すように、矢印y方向へ押し込むと、ロック突起23aが相対的に突起11cを超えて、結合溝11aのロック溝11dまで上昇する。この位置では、突起11cによるロックリング23の係止が解除されるため、ロックリング23は、ロックばね24から加わる復帰力により反時計方向に回動され、操作片23bがストッパ21cに当たるロック位置に戻される。このためロックリング23のロック突起23aがロック溝11d内に入り込み、操作部1とベース部2との結合が固定(ロック)され、ベース部2が、相対的に操作部1から抜け出ることが阻止される。
【0055】
このようにして、操作部1、ベース部2および接点部3を相互に結合することによって
図1に示すような操作スイッチ100を構成することができる。
【0056】
図1の操作スイッチ100のように操作部1にベース部2および接点部3が結合されると、
図7(A)に示すように、ベース部2内の押圧体25が、操作部1の胴部11aの下端によって押し下げられる。これによって、接点部3の接点開放レバー35の他端が押し下げられ、可動接点ホルダ33に当接した一端が上昇する。このとき、押釦12が押込み操作されない復帰位置にあるので、可動接点ホルダ33が復帰ばね36によって押上げられて、b接点を構成する可動接触子34の可動接点34aが固定接触子37の固定接点37aに接触し、接点が閉じられる。
【0057】
ここで、
図7(B)に示すように押釦12を押込み操作すると、この押釦12の操作軸12aにより、接点部3の可動接点ホルダ33が押し下げられるので、可動接触子34の可動接点34aが固定接触子37の固定接点37aから離間し、電気回路が開路される。
【0058】
次に、この発明の操作スイッチ100が備えるb接点構成の接点開閉機構を有する接点ユニットによる電気回路の誤動作を回避するための機能について説明する。
【0059】
操作スイッチ100の操作部1に結合されたベース部2から接点部3から抜け落ちた状態を
図8に示す。
【0060】
この場合は、接点部3の接点開放レバー35とベース部2の押圧体25との接触が外れることにより、接点開放レバー35が復帰ばね35bにより可動接点ホルダ33を押し下げる方向に回動する。これにより、可動接点ホルダ33が押し下げられ、可動接点34aが下がり、固定接点37aから離間し、これに接続された電気回路を開路し、この電気回路の動作を停止し、電気回路の暴走を防止する。
【0061】
また、操作スイッチ100の操作部1からベース部2とともに接点部3が抜け落ちた状態を
図9に示す。
【0062】
この場合は、ベース部2の押圧体25に加わる操作部1の操作軸12aによる規制がなくなることにより、
図9に示すように、接点部3の接点開放レバー35が復帰ばね35bにより復帰方向に回動されるので、他端で押圧体25を押し上げ、一端で可動接点ホルダ33を押し下げる。可動接点ホルダ33が押し下げられることにより、可動接点34aが下がり、固定接点37aから離間し、これに接続された電気回路を開路する。
【0063】
このように、この発明の操作スイッチ100によれば、操作部1に結合されたベース部2から接点部3が抜け落ちた場合、および操作部1からベース部2が接点部3とともに抜け落ちた場合のいずれの場合でも、b接点構成の接点部3の開閉接点機構を開放することができるので、この操作スイッチ100によって開閉する電気回路の安全性を高めることができる。
【0064】
なお、a接点構成の接点ユニットの場合は、接点部3が操作部1から抜け落ちた場合は、もともと開閉接点機構は開放されているので、b接点構成の接点ユニットのような特別な構成は要しない。
【実施例2】
【0065】
図10にこの発明の第2の実施例を示す。
【0066】
この第2の実施例は、操作部1に結合されたベース部2に結合される接点部3を、接点ユニットを多段(2段)に結合したものである。
【0067】
ここでは、操作部1に結合されたベース部2に、1段目の接点ユニット3U1を3個並列に結合し、さらに、この1段目の接点ユニット3U1に2段目の接点ユニット3U2を2個並列に結合している。ここには、図示していないが、2段目の接点ユニット3U2にさらに3段目の接点ユニット3U3を結合することもできる。
【0068】
接点ユニット相互の結合は、
図10(B)に示すように、それぞれの接点ユニットの接点ケース31の底部に設けた、結合片32a用の挿入孔31cと、係止段32dとを使用する。2段目の接点ユニット3U2の結合片32aを1段目の接点ユニット3U1の挿入孔31cから挿入し、2段目の接点ユニット3U2の結合片32aの先端の係止爪を、1段目の接点ユニット3U1の係止段31dに係止することによって1段目の接点ユニット3U1に2段目の接点ユニット3U2を結合する。
【0069】
操作部1を操作して1段目の接点ユニット3U1の可動接点ホルダ33の押し下げると、この動作が、2段目の接点ユニットの可動接点ホルダ33に直接伝達される構成となっているため、多段に結合された接点ユニットはすべて同時に開閉動作させることができる。
【実施例3】
【0070】
図11は、この発明の第3の実施例による端子ねじ部を示すものである。
【0071】
図11(A)は、端子ねじ38を接点部3の固定接触子37に設けた外部接続用ねじ端子37bに締め付ける前の状態を示し、
図11(B)は、端子ねじ38を接点部3の固定接触子37に設けた外部接続用ねじ端子37bに締め付けた状態を示す。
【0072】
端子ねじ38の首部に保持用ばね38aの先端の小径部を嵌合し、保持用ばね38aの基端側の大径部を端子ねじホルダ38bにより係止保持する。
【0073】
、端子ねじ38をねじ端子37bにねじ込み締め付ける際は、
図11(B)に示すようにこの保持用ばね38が伸長するので、端子ねじ38の締め付けが阻害されることはない。そして、端子ねじ38の締め付けを解くと、保持用ばね38baは圧縮状態に戻って端子ねじホルダ38b内に保持し、接点部(接点ユニット)から落下するのを防ぐ。
【符号の説明】
【0074】
100:分離型の操作スイッチ
1:操作部
11:操作部本体
11a:胴部
11b:結合溝
11c:突起
11d:ロック溝
12:押釦
2:ベース部
21:ベース本体
22:ベースカバー
22c:ストッパ
23:ロックリング
23a:ロック突起
23b:ロック解除操作片
24:復帰ばね
25:押圧体
3:接点部
3U:接点ユニット
31:接点ケース
32:接点フレーム
32a:結合片
33:可動接点ホルダ
34:可動接触子
34a:可動接点
35:接点開放レバー
35b:復帰ばね(接点開放レバー用)
36:復帰ばね(可動接点ホルダ用)
37:固定接触子
37a:固定接点
37b:外部接続用ねじ端子
38:端子ねじ
38a:端子ねじホルダ
38b:保持ばね