特許第6508035号(P6508035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6508035
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】端子金具及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/187 20060101AFI20190422BHJP
   H01H 1/24 20060101ALI20190422BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   H01R13/187 B
   H01H1/24
   H01R13/24
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-251242(P2015-251242)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-117622(P2017-117622A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 詩朗
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公告第01137783(DE,B)
【文献】 特開昭52−070386(JP,A)
【文献】 実公平03−011821(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/187
H01H 1/24
H01R 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子に設けられた接触面と対向する対向面を有し、外部回路と接続される電気接触部材と、
導電性線材が複数回巻回されたコイル状をなし、その巻回面がコイル軸に対して斜めとなる斜め巻きコイルスプリングであって、前記コイル軸が前記電気接触部材の前記対向面と平行になる姿勢で配置されて前記相手端子と前記電気接触部材とが接近したときに両者間に挟まれる斜め巻きコイルスプリングと、
前記電気接触部材に設けられ前記斜め巻きコイルスプリング内に挿入されることで前記斜め巻きコイルスプリングを前記コイル軸が前記電気接触部材の前記対向面と平行になる姿勢に保持する保持軸部とを備え
前記斜め巻きコイルスプリングは、巻き方向から見ると、自然状態で、楕円形をしており、
前記電気接触部材と前記相手端子とが接近して、前記斜め巻きコイルスプリングが両者間に挟まれると、楕円形の短軸方向で潰されることで、前記コイル軸に対してさらに倒れ込む端子金具。
【請求項2】
前記電気接触部材は、前記対向面の両端部から対向状態で立ち上がる一対の固定片部を備え、前記保持軸部の両端部が前記固定片部に固定されている請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の端子金具を収容可能なコネクタハウジングを備えたコネクタであって、
前記コネクタハウジングは、前記相手端子が進入して前記斜め巻きコイルスプリングに接触することを許容する開口部を有しているコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、端子金具及びこの端子金具収容するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等において電気的接続を行う際に、対向する接点を突き当てて接触させることで電気的接続をとる方法が知られている。このような方法では、接点間に異物が付着すると、導通不良となり好ましくない。そのため、特開2002−274290公報(下記特許文献1)では、両接点の突き当て時に互いに摺動させることで、接点間の異物の排除が行われている。
【0003】
具体的には、特開2002−274290公報(下記特許文献1)の給電装置では、雌側ジャンクションに、ケース内に対向する端板と、この端板間に挟持圧縮されたコイルスプリングとが設けられている。そして、外部に露出する側の端板には、弾性力を有する板ばね部材が設けられている。この板ばね部材は、端板から外方に延出した後に折り曲げられることで、弾性変形容易な傾斜状の自由端部が設けられており、雄側の接点と雌側の接点(自由端部)が接触する際に両接点が互いに摺動することで、接点間の異物の排除が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−274290公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2002−274290公報(上記特許文献1)の構成では、大電流用途の場合には利用することができない。なぜなら、大電流用途の場合には、板ばね部材の板厚が大きくなって剛性が高くなるため、折り曲げられた部分が弾性変形し難くなくなる。そのため、板ばね部材の自由端部が雄側の接点と接触する時に、弾性変形に起因するずれ動き現象が起こりにくく、結局、接触部分に付着した異物を十分に排除できなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される端子金具は、相手端子に設けられた接触面と対向する対向面を有し、外部回路と接続される電気接触部材と、導電性線材が複数回巻回されたコイル状をなし、その巻回面がコイル軸に対して斜めとなる斜め巻きコイルスプリングであって、前記コイル軸が前記電気接触部材の前記対向面と平行になる姿勢で配置されて前記相手端子と前記電気接触部材とが接近したときに両者間に挟まれる斜め巻きコイルスプリングと、前記電気接触部材に設けられ前記斜め巻きコイルスプリング内に挿入されることで前記斜め巻きコイルスプリングを前記コイル軸が前記電気接触部材の前記対向面と平行になる姿勢に保持する保持軸部とを備えた。
【0007】
このような構成では、電気接触部材に保持軸部を介して固定されている斜め巻きコイルスプリングは、コイル軸を電気接触部材の対向面に沿わせ、かつ、巻回面がコイル軸に対して斜めとなる姿勢となっている。このため、相手端子と電気接触部材とが互いに接近すると、相手端子の接触面と電気接触部材の対向面との間に斜め巻きコイルスプリングが挟まれ、相手端子と電気接触部材とは電気的な接続状態となる。
【0008】
この接続状態で、相手端子と電気接触部材とがより接近するよう相対的に移動すると、斜め巻きコイルスプリングは自身の弾発力に抗して巻回面をさらに倒れ込ませるように変形する。この過程で、斜め巻きコイルスプリングと相手端子の接触面との接触部分及び斜め巻きコイルスプリングと電気接触部材の対向面との接触部分において、斜め巻きコイルスプリングがそれぞれの表面を擦るようなずれ動き現象が生じ、各面に異物が存在していたとしても、その異物がこすり取られる。
【0009】
本明細書に開示される端子金具の実施の態様として、以下の構成としてもよい。
前記電気接触部材は、前記対向面の両端部から対向状態で立ち上がる一対の固定片部を備え、前記保持軸部の両端部が前記固定片部に固定されている構成としても良い。
このような構成では、斜め巻きコイルスプリングが軸部材から抜け落ちないように簡易な構造で固定することができる。
【0010】
本明細書に開示された端子金具を用いたコネクタの実施の態様として、以下の構成としても良い。
端子金具を収容可能なコネクタハウジングを備えたコネクタであって、前記コネクタハウジングは、前記相手端子が進入して前記斜め巻きコイルスプリングに接触することを許容する開口部を有している構成としても良い。
【0011】
このような構成では、コネクタハウジングによって、端子金具が保護される一方で、相手端子が接続のために開口部から進入することを許容している。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に開示される端子金具によれば、相手端子との間の異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態にかかるコネクタと相手側コネクタとを嵌合させる前の状態を示した断面図
図2】コネクタと相手側コネクタとを嵌合させる前の状態を示した横断面図
図3】コネクタと相手側コネクタとを完全に嵌合させた状態を示した断面図
図4】コネクタと相手側コネクタとを完全に嵌合させた状態を示した横断面図
図5】コネクタと相手側コネクタとを近接させた状態を示した断面図
図6】コネクタと相手側コネクタとを近接させた状態を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
実施形態を図1及び図5の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の端子金具10は、相手端子80と突き当てられることで、相手端子80と電気的に接続される。端子金具10は、コネクタハウジング60に収容されており、コネクタ15は、端子金具10とコネクタハウジング60とを備えている。端子金具10は、電気接触部材20と、保持軸部40と、斜め巻きコイルスプリング50とを備えて構成されている。以下の説明では、図1における上側を上側とし、図1における下側(相手端子80側)を下側として説明する。また、図1における左側を前側とし、図1における右側(外部接続部25側)を後側とする。そして、左右方向(幅方向)については、図2を基準に説明する。
【0015】
電気接触部材20は、図1及び図2に示すように、銅合金などの金属板材をプレス加工したものであって、略L字状となっている。電気接触部材20は、斜め巻きコイルスプリング50と接触する対向面21を有する受け部23と、対向面21と直交する配置で上方に立ち上がり、外部回路と接続される外部接続部25と、対向面21の両端部から対向状態で立ち上がる一対の固定片部31とを有している。外部接続部25には、長孔状のボルト孔25Aと、コネクタハウジング60と係止する係止孔25Bとが設けられている。
【0016】
受け部23は、斜め巻きコイルスプリング50の軸方向(前後方向)の寸法よりその左右方向(幅方向)の寸法が長い等幅の平板状となっており、その下面が対向面21となっている。そして、一対の固定片部31は、略矩形状となっており、受け部23の幅方向の両端部から略直角に曲げ形成されることで、対向面21の両端部から対向状態で立ち上がっている。固定片部31の略中央位置には、固定孔33が板厚方向に貫通して設けられている。
【0017】
保持軸部40は、図1及び図2に示すように、真鍮製の丸棒であって、その中心軸が電気接触部材20の対向面21と平行になるように配置されている。そして、保持軸部40は、その両端部が固定孔33に挿通されてカシメ付けられることで、固定片部31に固定されている。保持軸部40の直径は、嵌合によって変形した状態の斜め巻きコイルスプリング50の短軸の内寸よりも小さくなっている。そして、保持軸部40は、図4に示すように、コネクタ15と相手コネクタ85が完全嵌合した状態において、斜め巻きコイルスプリング50の下側の内周面と接触しない位置に配されている。
【0018】
斜め巻きコイルスプリング50は、図1及び図2に示すように、導電性線材51を複数回巻回させたコイル状をなしている。斜め巻きコイルスプリング50は、一般的なコイルスプリングとは異なり、スプリングを構成する各コイルの巻回面がコイル軸Lに対して斜めとなるように巻かれたスプリングである。この斜め巻きコイルスプリング50は、その外周部53に荷重をかけられると、各コイルの巻回面がコイル軸Lに対してさらに傾斜した状態に倒れ込んで、ばねの高さ寸法(ばねの軸方向に垂直な方向での寸法)が小さくなるように変形する。そして、斜め巻きコイルスプリング50は、その変位量(ばねの高さの変位量)を変化させても、ばね荷重があまり変化しない非線形領域を有している。
【0019】
そして、斜め巻きコイルスプリング50は、図1及び図2に示すように、そのコイル軸Lが対向面21に沿って略平行になる姿勢で配置されている。斜め巻きコイルスプリング50内には、保持軸部40が挿入されており、この保持軸部40が固定片部31によりその両端が固定されていることで、保持軸部40から斜め巻きコイルスプリング50が抜け落ちないように保持されている。斜め巻きコイルスプリング50の長さは、保持軸部40の長さよりも短くなっている。また、斜め巻きコイルスプリング50は、巻方向から見ると楕円形をしており、少なくとも相手端子80との接続時には、楕円形の短軸が上下方向に配されるように、斜め巻きコイルスプリング50は配置されている。
【0020】
コネクタハウジング60は、図1に示すように、上下に分割された合成樹脂製の上割体60Uと下割体60Lとを組み合わせることで構成されている。
コネクタハウジング60の上割体60Uには、外部接続部25をコネクタハウジング60の外部に導出させる導出部61が設けられている。導出部61の内部には、ランス63が設けられている。このランス63は、外部接続部25の係止孔25Bに嵌まり込んで係止することにより、電気接触部材20をコネクタハウジング60に係止している。
【0021】
コネクタハウジング60の下割体60Lには、相手端子80の進入を許容する開口部65が設けられている。開口部65は、収容された端子金具10の斜め巻きコイルスプリング50が配されている位置に設けられている。また、開口部65は、斜め巻きコイルスプリング50を下側に露出可能としており、後記する嵌合部89の進入を可能としている。
【0022】
また、コネクタハウジング60の下割体60Lには、電気接触部材20の受け部23を載置する載置面67が前後方向に設けられている。載置面67は、開口部65の前後に設けられており、上割体60Uとの間に電気接触部材20を挟み込むことで、電気接触部材20を固定している。
【0023】
相手コネクタ85は、図1に示すように、相手端子80と相手ハウジング87とを備えている。相手端子80は、導電性の金属で形成されており、上下方向に延びる板状部材が前方に略直角に曲げられることで略L字状に形成されている。相手端子80のうち電気接触部材20に対向する一端側の上面が接触面81とされている。
【0024】
また、相手端子80は相手ハウジング87にインサート成形によって保持されている。接触面81は、嵌合部89によって保持されている。嵌合部89が開口部65内に進入することで、コネクタ15と相手コネクタ85とが嵌合する。また、コネクタ15と相手コネクタ85とが完全に嵌合した状態では、斜め巻きコイルスプリング50の非線形領域での使用状態になるように、嵌合時の電気接触部材20の対向面21と相手端子80の接触面81の間の寸法が決められている。
【0025】
本実施形態の端子金具10及びコネクタ15は、以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。
相手端子80が斜め巻きコイルスプリング50に接触する前の状態では、図1及び図2に示すように、斜め巻きコイルスプリング50は、自重によりコイル軸Lが保持軸部40の中心軸よりも下に下がった状態で、保持軸部40の外周面が斜め巻きコイルスプリング50の内周面と接触して保持されている。そして、保持軸部40の中心軸が対向面21と略平行となっていることから、斜め巻きコイルスプリング50のコイル軸Lが電気接触部材20の対向面21と略平行になる姿勢で、斜め巻きコイルスプリング50が保持軸部40によって保持されている。
【0026】
また、端子金具10は、コネクタハウジング60内に収容されている。電気接触部材20の係止孔25Bがランス63によって係止され、受け部23の前後端部が載置面67と上割体60Uとの間に挟み込まれることで、端子金具10はコネクタハウジング60内に固定されている。また、端子金具10は、開口部65以外の面は、コネクタハウジング60に覆われて保護されている。
【0027】
そして、図5に示すように、コネクタ15と相手コネクタ85とが相対的に近づくと、相手端子80の接触面81が斜め巻きコイルスプリング50の外周部53に接触して、斜め巻きコイルスプリング50が押し上げられ、斜め巻きコイルスプリング50の外周部53が電気接触部材20の対向面21に接触する。この状態では、相手端子80の接触面81と電気接触部材20の対向面21との間に斜め巻きコイルスプリング50の短軸が上下方向に配されるに挟まれ、相手端子80と電気接触部材20とは電気的な接続状態となる。この際に、電気接触部材20と相手端子80は斜め巻きコイルスプリング50と互いに多点で接触することで、接点数を多く確保することができ、接触抵抗を低くできる。
【0028】
なお、相手端子80が斜め巻きコイルスプリング50に接触する前の状態では、斜め巻きコイルスプリング50の長軸が上下方向に配された状態で、斜め巻きコイルスプリング50が保持軸部40に保持される可能性がある。この場合に、図6に示すように、コネクタ15と相手コネクタ85とが相対的に近づくと、相手端子80の接触面81が斜め巻きコイルスプリング50の外周部53に接触して、斜め巻きコイルスプリング50が電気接触部材20側に押し上げられる。そして、斜め巻きコイルスプリング50の長軸が上下方向に配された状態で斜め巻きコイルスプリング50の外周部53が電気接触部材20の対向面21に接触する。この状態から、さらに相手端子80からの押圧力が斜め巻きコイルスプリング50にかかると、その力を逃がすために、斜め巻きコイルスプリング50がその短軸が上下方向に配されるように回転して、図5に示す状態となる。
【0029】
図5に示す接続状態から相手端子80と電気接触部材20とがより接近するように、コネクタ15と相手コネクタ85とが相対的にさらに近接すると、相手端子80からの押圧力が斜め巻きコイルスプリング50にかかる。このような押圧力を受けて、図3及び図4に示すように、斜め巻きコイルスプリング50は自身の弾発力に抗して巻回面をコイル軸Lに対してさらに倒れ込ませるように変形する。この過程で、斜め巻きコイルスプリング50と相手端子80の接触面81との接触部分及び斜め巻きコイルスプリング50と電気接触部材20の対向面21との接触部分において、斜め巻きコイルスプリング50がそれぞれの表面を擦るようなずれ動き現象が生じ、各面81、21に異物が存在していたとしても、その異物がこすり取られる。なお、斜め巻きコイルスプリング50は、保持軸部40に保持されているだけで、端部などが固定されていないことから、その変形の妨げにとなるものはない。
【0030】
また、図3及び図4に示すように、コネクタ15と相手コネクタ85とが完全に嵌合した状態では、斜め巻きコイルスプリング50の非線形領域での使用状態となっている。そのため、仮に、振動等によって、電気接触部材20と相手端子80との相対的距離が変化することで、相手端子80からの押圧力が変化して、斜め巻きコイルスプリング50の高さ寸法が変化したとする。この場合であっても、斜め巻きコイルスプリング50は非線形領域では、高さによってばね荷重があまり変化しないため、電気接触部材20と相手端子80とのばね荷重が変化しない。このため、振動等によって相手端子80が相対的に移動しても、相手端子80の動きに起因する接触抵抗への影響を抑えることができる。このように斜め巻きコイルスプリング50が、接圧の確保と導通機能を保有しているため、部品点数を削減することができ、小型化することができる。
【0031】
以上のように、本実施形態の端子金具10では、電気接触部材20に保持軸部40を介して固定されている斜め巻きコイルスプリング50は、コイル軸Lを電気接触部材20の対向面21に沿わせ、かつ、巻回面がコイル軸Lに対して斜めとなる姿勢となっている。そのため、相手端子80が相対的に近接して押圧力がかかると、斜め巻きコイルスプリング50は自身の弾発力に抗して巻回面をさらに倒れ込ませるように変形する。この過程で、斜め巻きコイルスプリング50が対向面21と接触面81の表面を擦るようなずれ動き現象が生じ、各面21、81に異物が存在していたとしても、その異物がこすり取られる。また、斜め巻きコイルスプリング50が、接圧の確保と導通機能を保有しているため、部品点数を削減することができ、小型化することができる。
【0032】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、保持軸部40の両端部が固定片部31の固定孔33に挿通された後かしめられて固定されていたが、切り起こし片などに溶接等によって保持軸部を固定しても良い。また、両端部を固定するのではなく、一端のみ固定し、他端には抜け落ち防止の構造(板片への突き当てや保持軸部自体を拡径する等)を設けるようにしても良い。
【0033】
(2)上記実施形態では、斜め巻きコイルスプリング50のコイル軸Lは、左右方向に延びるように配されていたが、電気接触部材20の前後方向にコイル軸Lが延びるようにされていても良い。
【0034】
(3)上記実施形態では、外部接続部25がコネクタハウジング60の外部に導出されることで外部回路と接続されていたが、外部回路と接続された電線を電気接触部材と接続することで、外部回路と接続しても良い。
【0035】
(4)上記実施形態では、保持軸部40は真鍮製とされていたが、SUS等で設けられていても良い。また、保持軸部40は丸棒とされていたが、平板や角棒でも良いし、楕円状の丸棒でも良い。
【符号の説明】
【0036】
10…端子金具
15…コネクタ
20…電気接触部材
21…対向面
23…受け部
25…外部接続部
31…固定片部
33…固定孔
40…保持軸部
50…斜め巻きコイルスプリング
51…導電性線材
55…両端部
60…コネクタハウジング
60U…上割体
60L…下割体
65…開口部
80…相手端子
81…接触面
85…相手コネクタ
89…嵌合部
L…コイル軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6