(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止部は、前記並び方向に延びる一対の縁部のうち一方側に設けられる第1係止部と、他方側に設けられる第2係止部と、を含み、前記第1係止部および前記第2係止部は、前記電極端子の突出方向と同一方向に立ち上がる複数の係止爪である請求項1に記載の配線モジュール。
前記樹脂プロテクタおよび前記カバーの前記並び方向における一端側に、前記樹脂プロテクタに対して前記カバーを固定する固定部が設けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の配線モジュール。
前記カバーの前記並び方向における長さは、前記樹脂プロテクタの前記並び方向における最大長さよりも長く設定されており、前記カバーの前記並び方向における両端部は、前記樹脂プロテクタの前記並び方向における両端部から離れた位置に配されている、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
樹脂プロテクタを一括に覆う形態のカバーでは、上述したように、係止位置を調整可能な係止構造を設ける必要がある。しかし、このように係止位置が変化する場合には、配線モジュールの側面に配された係止部と被係止部との係止状態を手探りで確認するだけでは不十分であり、係止が確実になされているかどうかを視認するためにいちいち電池モジュールを傾けたり、視点を動かす必要があった。
【0008】
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、カバーの樹脂プロテクタに対する係止状態が容易に視認可能な配線モジュールおよび蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示される技術は、正極及び負極の電極端子が設けられた電極面を有する蓄電素子を複数並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、前記電極端子間を電気的に接続する複数のバスバーと、前記複数のバスバーを保持する1又は複数の保持部を有し、前記蓄電素子の並び方向の公差を吸収する公差吸収部が設けられた樹脂プロテクタと、前記樹脂プロテクタに取り付けられて前記保持部を一括に覆うカバーと、を備えたものにおいて、 前記樹脂プロテクタには、前記カバーを係止する係止部が前記電極端子の突出方向と同一方向に突出するとともに前記並び方向に沿って設けられている一方、 前記カバーには、前記係止部に係止される被係止部が設けられており、前記係止部と前記被係止部とは、前記カバーのうち前記並び方向に延びる縁部において、前記並び方向に沿って相対的に移動可能に係止されている。
【0010】
このような配線モジュールによれば、樹脂プロテクタの係止部は電極端子の突出方向と同一方向に突出して設けられ、カバーの被係止部と係止しているから、カバーの樹脂プロテクタに対する係止状態を蓄電素子群のうち配線モジュールが装着されている方向から容易に視認することができる。しかも被係止部は、カバーのうち蓄電素子の並び方向に延びる縁部に設けられているから、カバーのうち縁部より内側の領域に係止用の孔を設ける必要がなく、樹脂プロテクタに異物が混入することを抑制することができる。
【0011】
配線モジュールは、以下の構成を備えていてもよい。
【0012】
係止部は、蓄電素子の並び方向に延びる一対の縁部のうち一方側に設けられる第1係止部と、他方側に設けられる第2係止部と、を含み、第1係止部および第2係止部は、電極端子の突出方向と同一方向に立ち上がる複数の係止爪であってもよい。このような構成によれば、簡易な構成で樹脂プロテクタに係止部を設けることができる。
【0013】
被係止部は蓄電素子の並び方向に沿って連続的に延びていてもよい。このような構成とすることにより、カバーの縁部のどの位置にでも係止部を係止することができる。
【0014】
樹脂プロテクタおよびカバーのうち、蓄電素子の並び方向における一端側に、樹脂プロテクタに対してカバーを固定する固定部を設けてもよい。このような構成とすることにより、カバーを樹脂プロテクタに対して蓄電素子の並び方向に移動可能(公差吸収可能)としながら、樹脂プロテクタから外れないように一部を固定することができる。
【0015】
蓄電素子は電極面を上方に向けて並べられており、カバーは保持部を覆った状態で保持部側に窪んで蓄電素子の並び方向に延びる凹部を備えており、凹部のうち蓄電素子の並び方向における両端部の少なくとも一部に、蓄電素子群の側方に向けて開口する開口部が設けられている構成としてもよい。
【0016】
このような構成によれば、カバーの上面に水分が付いた場合に、水分は凹部内に溜まるから、カバーの側縁から樹脂プロテクタの内部や蓄電素子の電極面に水分が流れ落ちることを抑制することができる。また、凹部に溜まった水分は、開口部から蓄電素子の側方(電極面にかからない部分)に排出することができる。
【0017】
また、開口部から下方に垂れ下がる下垂部が設けられるとともに、下垂部の両側縁に外側に向けて立ち上がる導出リブが設けられている構成としてもよい。このようにすると、開口部から排出された水分は下垂部および導出リブを伝って下方に流れ落ちるから、カバーの裏側に回り込んで樹脂プロテクタの内部に浸入することを抑制することができる。
【0018】
さらに、蓄電素子の並び方向におけるカバーの長さは、蓄電素子の並び方向における樹脂プロテクタの最大長さよりも長く設定されており、カバーのうち蓄電素子の並び方向における両端部は、樹脂プロテクタのうち蓄電素子の並び方向における両端部から離れた位置に配されている構成としてもよい。
【0019】
このような構成によれば、カバーの両端部から流れ落ちる水分が樹脂プロテクタの内部に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0020】
また本明細書に開示される技術は、蓄電素子群と、この蓄電素子群に取り付けられる上述した配線モジュールと、を備える蓄電モジュールである。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に開示される配線モジュールおよび蓄電モジュールによれば、カバーの樹脂プロテクタに対する係止状態を容易に視認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一実施形態を、
図1ないし
図13を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態に係る電池モジュール10(蓄電モジュールの一例)は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための電源として使用される。電池モジュール10は、正極および負極の電極端子13を備えた複数の単電池12(蓄電素子の一例)が並べて配された単電池群11(蓄電素子群の一例)を有する。複数の電極端子13間は、配線モジュール20によって電気的に接続されている(
図1および
図3参照)。
【0025】
なお、以下の説明においては、
図1ないし
図4の上側を上方、下側を下方とする。また、
図5の左側を左または側方、右側を右または側方とする。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0026】
(単電池12)
単電池12は扁平な略直方体形状をなしている。単電池12の内部には図示しない発電要素が収容されている。単電池12の上面には、長手方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子13,13が上方(
図1のY方向)に突出して形成されている。単電池12の上面は電極面12Aとされる。電極端子13の一方は正極端子であり、他方は負極端子である。正極端子を構成する電極端子13と、負極端子を構成する電極端子13とは同形、同大である。電極端子13は、金属製の端子台14から上方に向かって丸棒状に突出する電極ポスト15を備え、その電極ポスト15の外面にはねじ山(図示せず)が形成されている。単電池12は、隣り合う電極端子13が異なる極性となるように配置されている。複数の単電池12は
図5中左右方向(
図5のX方向)に並べられて単電池群11を構成している。
【0027】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は、単電池12の正極および負極の電極端子13の電極ポスト15にそれぞれ挿通されて接続される一対の端子貫通孔22,22を有する金属製の複数のバスバー21(
図6および
図7参照)と、バスバー21を保持するバスバー保持部32を有する合成樹脂製の樹脂プロテクタ30と、バスバー21に重ねて電気的に接続される電圧検知端子(図示せず)と、電圧検知端子に接続される検知電線(図示せず)と、樹脂プロテクタ30の開放面(上面)を覆うカバー70と、を備える。
【0028】
(バスバー21)
バスバー21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等からなる金属製の板材を2枚折りにして所定の形状にプレス加工することにより形成され、全体として略長方形状をなしている。バスバー21の表面には、スズ、ニッケル等の金属がメッキされていてもよい。バスバー21には、電極端子13の電極ポスト15が挿通される円形状をなす一対の端子貫通孔22,22が、バスバー21を貫通して形成されている。この端子貫通孔22は、電極ポスト15の径よりも若干大きく設定されている。端子貫通孔22内に電極ポスト15が貫通された状態でナット(図示せず)が螺合されて、ナットと端子台14との間にバスバー21が挟まれることにより、電極端子13とバスバー21とが電気的に接続される。
【0029】
(樹脂プロテクタ30)
樹脂プロテクタ30は連結ユニット31を複数個連結してなり、
図1および
図3に示すように、単電池12の並び方向に細長い形状をなしている。樹脂プロテクタ30は、上下方向に開口してバスバー21を収容し保持する複数のバスバー保持部32と、バスバー21に重ねて設けられる電圧検知端子(図示せず)に接続される検知電線(図示せず)を収容するための電線収容溝41とが、樹脂プロテクタ30の長手方向に沿って並んで設けられている(
図6参照)。
【0030】
バスバー保持部32は、バスバー21をその内側に保持して隣り合うバスバー21と絶縁状態に保持する保持壁33が上方に立ち上がって、バスバー21が収容可能な大きさに形成されている(
図6および
図7参照)。この保持壁33は、隣接する電極端子13の保護壁としても機能する。バスバー保持部32の底部には、バスバー21の周縁部および長手方向における中央部が載置される載置部34が設けられている。
【0031】
以下、保持壁33のうち電線収容溝41側に位置する壁部を溝側壁部33A、電線収容溝の反対側に位置する壁部を外側壁部33B、隣り合うバスバー保持部32の間に位置する壁部を隔壁33Cとする。
【0032】
保持壁33のうち溝側壁部33Aは、その一部が切り欠かれて電圧検知端子の電線接続部を保持するバレル保持溝(図示せず)に連なっており、バスバー保持部32から検知電線を電線収容溝41側に導出可能としている。
【0033】
また、溝側壁部33Aおよび外側壁部33Bには、上方側からバスバー21を係止してバスバー21の上方側への抜け止めを図るための一対の抜止片35が、各壁部33A,33Bを切り出して設けられている。
【0034】
一方、電線収容溝41は、一対の溝壁部42A,42Bおよび底部42Cを有して、バスバー保持部32の並び方向に沿って設けられている。
【0035】
一対の溝壁部42A,42Bのうちバスバー保持部32側の保持部側溝壁42Aはその一部が切り欠かれており、上述したバレル保持溝(図示せず)と連なって、バスバー保持部32側から検知電線を電線収容溝41内に導入可能としている。
【0036】
(連結ユニット31)
樹脂プロテクタ30は、一のバスバー保持部32毎に分割された複数の連結ユニット31を連結することにより構成されている。
【0037】
図5に示すように、一の連結ユニット31の外側壁部33Bのうち、樹脂プロテクタ30の延び方向における一端側(
図5の右側)は、内側が切り欠かれることにより肉薄とされた保持部側第1連結部36とされている。また、他端側は外側が切り欠かれることにより肉薄とされた保持部側第2連結部37とされているとともに、保持部側第2連結部37の上端には、外側に張り出すとともに下方に向けてL字形状に屈曲された係合片38が設けられている(
図6参照)。一の連結ユニット31の保持部側第1連結部36の内側に、隣接する連結ユニット31の保持部側第2連結部37が重ね合わされるとともに、保持部側第2連結部37に設けられた係合片38が上方および外側から保持部側第1連結部36に係合して保持部側第2連結部37とともに保持部側第1連結部36を挟持することにより、隣り合う連結ユニット31同士が連結される。
【0038】
なおこの時、係合片38は保持部側第1連結部36に対して樹脂プロテクタ30の延び方向において移動可能に係合する。換言すると、樹脂プロテクタ30はその延び方向において公差吸収可能とされている。
【0039】
また、一対の溝壁部42A,42Bのうちバスバー保持部32とは反対側の外側溝壁42Bは、その一端側(
図5の右側)が外側に向けてクランク状に屈曲されており、外側に張り出した部分が溝部側第1連結部46とされるとともに、他端側が溝部側第2連結部47とされている。一の連結ユニット31の溝部側第1連結部46の内側に隣接する連結ユニット31の溝部側第2連結部47が嵌まり込むことにより、隣り合う連結ユニット31同士が連結された状態となる(
図2参照)。
【0040】
なお、溝部側第2連結部47は溝部側第1連結部46内において、樹脂プロテクタ30の延び方向に移動可能とされている。換言すると、樹脂プロテクタ30はその延び方向において、公差吸収可能とされている。
【0041】
さらに、各連結ユニット31の外側壁部33Bの上端縁には第1カバー係止部39が立設されるとともに、外側溝壁42Bの上端縁には第2カバー係止部49が立設されている。これら第1カバー係止部39および第2カバー係止部49は、外側壁部33Bおよび外側溝壁42Bの上端縁から上方(
図1のY方向、電極端子13の突出方向と同一方向)に向けて立ち上がるように突出するとともに、その先端に、樹脂プロテクタ30の内側に向けて突出する係止爪39A,49Aを備えてなる。係止爪39A,49Aは、下端が段差状に突出し、上方側が外側に向けて傾斜状に突出寸法が小さくなる形状をなす。この第1カバー係止部39および第2カバー係止部49の各係止爪39A,49Aが後述するカバー70の上面の被係止リブ81に係止することにより、バスバー保持部32および電線収容溝41をカバー70により閉塞可能としている。
【0042】
(端部連結ユニット51,61)
複数の連結ユニット31が連結された樹脂プロテクタ30の両端部には、固定側端部連結ユニット51および自由側端部連結ユニット61が連結されている。
【0043】
固定側端部連結ユニット51は、例えば
図1および
図2の左端に連結された連結ユニットであって、その樹脂プロテクタ30の延び方向における一端側(内側に配された連結ユニット31と連結される側、
図1および
図2の右側)は上述した連結ユニット31の第1連結部36,46と同形状をなして隣接する連結ユニット31と連結可能とされている。また他端側(
図1および
図2の左側)は、上述した連結ユニット31より長尺に延びて、その端部に後述するカバー70を固定するカバー固定部52を備えてなる。カバー固定部52は、配線モジュール20が単電池群11に組み付けられた状態において、単電池群11の上面より外側に張り出す位置に設けられている(
図5参照)。
【0044】
固定側端部連結ユニット51の上述した他端側の端部(
図1および
図2の左側の端部)は、
図9に示すように、樹脂プロテクタ30の幅方向における両端部において隔壁33Cの下端縁から樹脂プロテクタ30の延び方向に沿って水平方向に延出された一対の底壁53と、底壁53から上方に向けてL字形状に立ち上がった支持壁54とを備えている。支持壁54は、樹脂プロテクタ30の幅方向の全域にわたって設けられている。支持壁54は、バスバー保持部32の隔壁33Cと同等高さとされている。なお、固定側端部連結ユニット51の外側壁部33Bおよび外側溝壁42Bは、支持壁54と一体に連なる位置まで延出されている。
【0045】
支持壁54のうち、一対の底壁53の間に設けられた領域の上端には、
図7に示すように、バスバー保持部32側に向けて斜め下方に延びる弾性係止片55が設けられている。後述するカバー70が樹脂プロテクタ30に取り付けられる際には、カバー70の固定片77の係止爪77Aが弾性係止片55とバスバー保持部32の隔壁33Cとの間に挿入され、弾性係止片55の下端縁に係止することにより、カバー70の一端側が樹脂プロテクタ30に対して固定されるようになっている。
【0046】
一方、自由側端部連結ユニット61は、例えば
図3および
図4の右端に連結された連結ユニットであって、樹脂プロテクタ30の延び方向における一端側(内側に配された連結ユニット31と連結される側、
図3および
図4の左側)は上述した連結ユニット31の第2連結部37,47と同形状をなして隣接する連結ユニット31と連結可能とされている。また他端側(
図3および
図4の右側)は、上述した連結ユニット31に設けられた第1連結部36,46を備えていない構成とされている。
【0047】
また、上述した連結ユニット31において外側壁部33Bに設けられた第1カバー係止部39および外側溝壁42Bに設けられた第2カバー係止部49の位置が相違しており、自由側端部連結ユニット61では、第1カバー係止部39および第2カバー係止部49は、上述した他端側(
図3および
図4の右側)の端部付近に設けられている。
【0048】
(カバー70)
上述した樹脂プロテクタ30のバスバー保持部32および電線収容溝41は、カバー70により覆われる。
【0049】
図10および
図11に示すように、カバー70は長尺の板状部材であって、樹脂プロテクタ30を一括して被覆する。カバー70は略長方形の板状の本体部71を備えており、その長手方向の一端側(
図10の左側、固定側端部側)に、その幅方向における両端部から長手方向に沿って張り出す一対の張出部74が設けられている。すなわち、カバー70の一端側は、平面視略コ字形状とされている。この張出部74の先端側には、下方に向けて垂れ下がる下垂部75が設けられている(
図11参照)。
【0050】
本体部71の4つの側縁部には、下方に向けて延びる側壁部72が設けられている。これらの側壁部72のうち、本体部71の長手方向の側縁部から延びる一対の長尺側壁72Aは、カバー70が樹脂プロテクタ30に取り付けられた状態において、バスバー保持部32の外側壁部33B、および、電線収容溝41の外側溝壁42Bの内側に内嵌される(
図6参照)。
【0051】
なお、上述したバスバー保持部32の隔壁33Cのうち、外側壁部33B側かつ上側の角部は段差状に切り欠かれており、カバー70の長尺側壁72Aはこの段差部33Dに載置されるように互いの寸法が設定されている(
図6参照)。
【0052】
側壁部72のうち、自由側端部側(
図10の右側)に配される自由側壁72Bは、一対の長尺側壁72Aを連結している(
図4参照)。
【0053】
また側壁部72のうち、固定側端部側に配される固定側壁72Cは、長尺側壁72Aおよび自由側壁72Bよりその高さ寸法が高く設定されており、下方側に突出している(
図11参照)。
【0054】
固定側壁72Cの下方側約2/3の領域は、
図12に示すように、縦方向に延びる一対のスリット76により、その幅方向においてほぼ三等分割されている。このうち中央に配された部分は、一対の張出部74の間に位置する固定片77とされており、その先端部(下端部)に、上述した樹脂プロテクタ30の弾性係止片55の下端縁に係止する係止爪77Aが外側に向けて突出して設けられている(
図7および
図11参照)。なお、固定側壁72Cの3つに分割された各片の下端の角部は、全て斜めに切り欠かれている。
【0055】
また本体部71には、その長手方向の両側縁部に、上方に向けて突出する被係止リブ81(被係止部の一例)が設けられている。これらの一対の被係止リブ81の上面には、上述した複数の第1カバー係止部39および第2カバー係止部49の各係止爪39A,49Aが係止される。これら一対の被係止リブ81は、本体部71の長手方向の側縁部全体にわたって連続的に形成されている。
【0056】
カバー70は、一対の長尺側壁72Aおよび一対の被係止リブ81により、幅方向の断面が略H形状とされている(
図6参照)。換言すると、カバー70の上面は、その幅方向における中央部が下方(単電池群11側)に向けて窪んだ断面凹形状とされている。
【0057】
また、一対の張出部74の両側縁部には、上方に向けて立ち上がる止水リブ82が設けられている。これら止水リブ82のうち、カバー70の幅方向における両端部に配された一対の止水リブ82は、上述した被係止リブ81と一体に連なっている。
【0058】
また、一対の張出部74の間の連結部分の端縁部にも、本体部71から上方に向けて立ち上がる止水リブ82が設けられている。
【0059】
さらに、一対の下垂部75の両側縁部には、単電池群11の側方(
図11および
図12の左側)に向けて立ち上がる導出リブ83が設けられている。これらの導出リブ83は、止水リブ82と一体に連なっている。
【0060】
カバー70の固定側端部の上面(本体部71および張出部74)は、その周縁部が止水リブ82により囲まれるとともに、下垂部75に連なる領域において単電池群11の側方(左側)に向けて開口されている(第1開口部86とする)。
【0061】
一方、カバー70の長手方向の他端側(
図10の右側、自由側端部側)には、本体部71の端縁部に沿って上方に向けて立ち上がる止水リブ84が設けられている。この止水リブ84は、一対の被係止リブ81を連結するように被係止リブ81と一体に連なっている。この止水リブ84の中央部(カバー70の幅方向における中央部)は一部が切り欠かれており、単電池群11の側方(右側)に向けて開口する第2開口部87とされている。また、第2開口部87の両端部に連続して、カバー70の側壁部72(自由側壁72B)から側方(
図10および
図11の右側)に向けて立ち上がって上下方向に延びる一対の導出リブ85が設けられている(
図4参照)。
【0062】
すなわち、カバー70の上面は、被係止リブ81および止水リブ82,84に囲まれることにより、周縁部が高く、内側が凹状に窪んだ凹部78とされている。またこの凹部78は、周縁部の一部が固定側端部の第1開口部86と自由側端部の第2開口部87により、単電池群11の側方に向けて開口されている。
【0063】
なお、カバー70の本体部71の長さ寸法は、複数の単電池12が最大公差で並べられて単電池群11として最大の長さ寸法とされた場合(
図8に示す状態)に、その最大の長さ寸法の単電池群11を覆っても、バスバー保持部32が外部に露出しない寸法に設定されている。
【0064】
(電池モジュール10の組立方法)
上述した本実施形態の電池モジュール10を組み立てる際には、まず複数の連結ユニット31、および、端部連結ユニット51,61を互いに連結する。具体的には、各連結ユニット31の保持部側第1連結部36を隣り合う連結ユニット31の保持部側第2連結部37および係合片38で挟持するとともに、溝部側第1連結部46の内側に溝部側第2連結部47を嵌め入れ、連結させる。これにより、樹脂プロテクタ30が完成し、電線収容溝41が連結状態とされる。
【0065】
次に、バスバー21を樹脂プロテクタ30のバスバー保持部32内に収容する。そして、図示しない検知電線を接続した状態の電圧検知端子を、樹脂プロテクタ30のバスバー保持部32内の所定位置に収容して、バスバー21に重ね合わせる。そして、バレル保持溝から導出された検知電線を電線収容溝41内に配設する。
【0066】
このようにして組み立てられた本実施形態の配線モジュール20は、電極端子13を上に向けた状態で並べられた単電池群11の上面(電極面12A)側に取り付けられる。すなわち、電極端子13をバスバー21の端子貫通孔22に挿通させつつ、配線モジュール20を単電池群11の上側に載置し、電極端子13に接続用のナット(図示せず)を締めつけて、隣り合う正極および負極の電極端子13を電気的に接続する。
【0067】
全ての接続が完了したら、最後に、カバー70の固定片77を、樹脂プロテクタ30の弾性係止片55とこれと隣り合う隔壁33Cとの間に挿入する。またこれと同時に、カバー70全体を樹脂プロテクタ30を覆うように上方から押圧する。
【0068】
すると、固定片77の係止爪77Aに押されて弾性係止片55が弾性変形されるとともに、複数の第1カバー係止部39および第2カバー係止部49がカバー70の縁部に押されて外側に向けて弾性変形される。これらはカバー70が正規の位置に至ると弾性復帰し、固定片77の係止爪77Aが弾性係止片55の先端部に係止するとともに、第1カバー係止部39および第2カバー係止部49が被係止リブ81に係止する。これにより、電池モジュール10が完成する。
【0069】
この状態においてカバー70は、
図6に示すように、バスバー保持部32側の側壁部72(長尺側壁72A)が隔壁33Cの段差部33Dに載置されるとともに、本体部71の下面が保持壁33および保持部側溝壁42A上に載置され、下方側から支持されている。すなわち、カバー70は樹脂プロテクタ30に上下方向から挟持されている。また、カバー70はカバー固定部52(弾性係止片55および固定片77)によりその一端側(固定側端部)が樹脂プロテクタ30に固定されるとともに、他端側(自由側端部)にかけて単電池12の並び方向に沿って移動可能に係止されている。
【0070】
(実施形態の作用、効果)
上述した本実施形態の配線モジュール20および電池モジュール10によれば、樹脂プロテクタ30の第1カバー係止部39および第2カバー係止部49と、カバー70の被係止リブ81とは、カバー70の上面側において係止している。これにより作業者は、カバー70と樹脂プロテクタ30との係止状態を、単電池群11のうち配線モジュール20が装着されている方向(Y方向)から視点を変えずに、容易に視認することができる。しかも、カバー70の縁部に係止構造を設けているから、例えばカバー70のうち縁部より内側の領域に係止孔を設けて係止させる構成と比較して、樹脂プロテクタ30に水分や埃等の異物が混入することを抑制することができる。
【0071】
また、被係止リブ81はカバー70の両側縁部に連続的に延びているから、カバー70側縁部のどの位置にでも第1カバー係止部39および第2カバー係止部49を係止することができる。すなわち、公差吸収可能である。
【0072】
また、樹脂プロテクタ30およびカバー70の一端(固定側端部)側に、樹脂プロテクタ30とカバー70とを固定するカバー固定部52(弾性係止片55および固定片77の係止爪77A)が設けられているから、カバー70を樹脂プロテクタ30に対して単電池12の並び方向に移動可能(公差吸収可能)としながら、樹脂プロテクタ30から外れないように一部を固定することができる。
【0073】
また、カバー70はバスバー保持部32を覆った状態でバスバー保持部32側に窪んで単電池12の並び方向に延びる凹部78を備えており、凹部78のうち単電池12の並び方向における両端部の一部に単電池群11の側方に向けて開口する第1開口部86および第2開口部87が設けられている。従って、カバー70の上面に水分が付いた場合に水分は凹部78内に溜まるから、カバー70の側縁から樹脂プロテクタ30の内部や単電池12の電極面12Aに水分が流れ落ちることを抑制することができる。また、凹部78に溜まった水分は、第1開口部86および第2開口部87から単電池群11の側方に排出することができる。
【0074】
しかも、第1開口部86から排出された水分は下垂部75を伝って下方に流れ落ち、第2開口部87から排出された水分は側壁部72(自由側壁72B)を伝って下方に流れ落ちるから、カバー70の裏側に水分が回り込んで樹脂プロテクタ30の内部に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0075】
さらに、カバー70の長手方向の長さは、樹脂プロテクタ30の並び方向における最大長さ(単電池12の並び公差が最大とされた場合)よりも長く設定されており、カバー70の長手方向における両端部は、樹脂プロテクタ30(単電池群11)の長手方向における両端部から離れた位置に配されている。従って、カバー70の両端部から流れ落ちる水分が樹脂プロテクタ30の内部に浸入することをより確実に抑制することができる。
【0076】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0077】
(1)上記実施形態では、カバー70に被係止リブ81を設け、ここに樹脂プロテクタ30の第1カバー係止部39および第2カバー係止部49を係止させる構成としたが、被係止リブ81は必ずしも設けなくてもよい。例えば、平板状のカバーの縁部に樹脂プロテクタに設けた係止部を直接係止させる構成としてもよい。あるいは、カバーの縁部を段差状に切り欠いて、その段差部に係止部を係止させる構成としてもよい。
【0078】
(2)上記実施形態では、被係止部(被係止リブ81)をカバー70の縁部に連続的に設ける構成としたが、被係止部は断続的に設けてもよい。要は、樹脂プロテクタ30の伸縮に伴って公差吸収可能に樹脂プロテクタと係止する構成であればよい。
【0079】
(3)樹脂プロテクタに設ける係止部は、上記実施形態に限るものではなく、例えば、カバーの縁部を上下方向から挟んだり、例えばレールのように、カバーの縁部に連続的に係止する形態としてもよい。
【0080】
(4)上記実施形態では、樹脂プロテクタ30を複数の連結ユニット31を連結させることにより構成したが、ヒンジ等の他の伸縮可能な構成を有する樹脂プロテクタとしてもよい。
【0081】
(5)上記実施形態では、カバー70の一端側を樹脂プロテクタ30に固定する形態としたが、必ずしも固定しなくてもよい。あるいは一端側でなく、長手方向の内側の領域で固定する構成としてもよい。また、固定構造は上記実施形態に限るものではない。
【0082】
(6)上記実施形態では、カバー70の上面に凹部78を設ける構成としたが、凹部は必ずしも設けなくてもよい。また上記実施形態では、凹部78を、一対の被係止リブ81および止水リブ84により構成したが、例えば、本体部71自体を凹形状に屈曲させることにより凹部を設ける構成としてもよい。
【0083】
(7)開口部の位置や数は、上記実施形態に限るものではない。また、上記実施形態のように開口部をカバーの両端部の一部に設けるのではなく、両端部全体を開口部としてもよい。
【0084】
(8)下垂部75は省略することもできる。また、下垂部75の長さ寸法を樹脂プロテクタ30より下方まで延びる寸法としてもよい。
【0085】
(9)上記実施形態では、カバー70の両端部は樹脂プロテクタ30(単電池群11)の両端部から離れた位置に配される構成としたが、カバーを樹脂プロテクタの少なくとも一方の端部と同位置に配される構成としてもよい。
【0086】
(10)上記実施形態においては、複数の単電池12は直列に接続される構成としたが、これに限られず、複数の単電池群11は並列に接続される構成としてもよい。