(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、表示装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両20は、各種の運転状態を表示するためのメーターパネル21を有している。メーターパネル21には、車両20の走行速度(車速SPD)を表示するスピードメータ22と、燃料タンク内の燃料の残量(燃料残量RQ)を表示する燃料残量計23と、車載内燃機関の冷却水の温度(冷却水温THW)を表示する水温計24と、車載内燃機関の出力軸の回転速度(機関回転速度NE)を表示するタコメータ25とが設けられている。これらスピードメータ22、燃料残量計23、水温計24、およびタコメータ25としては、回動する指針27を有する指針型計器が採用されている。
【0016】
また、車両20には、スピードメータ22、燃料残量計23、水温計24、およびタコメータ25を操作する操作装置28が設けられている。操作装置28は、メーターパネル21と一体であり、ギア機構40と、同ギア機構40を作動させるための作動部(具体的には、電動機としてのモータ31およびスイッチ部33)とを有している。
【0017】
さらに車両20は、例えばマイクロコンピュータを有して構成される制御部としての制御装置30を備えている。この制御装置30には、車両20の運転状態を検出するための各種センサの検出信号が取り込まれている。各種センサとしては、車速SPDを検出するための車速センサ35や、燃料残量RQを検出するための燃料残量センサ36、冷却水温THWを検出するための水温センサ37、機関回転速度NEを検出するための回転速度センサ38等が設けられている。制御装置30は、各種センサの検出信号をもとに各種の演算を行い、その演算結果に基づいてモータ31の作動制御やスイッチ部33の作動制御を実行する。
【0018】
以下、ギア機構40の構造について詳しく説明する。なお以下の説明では、符号として同一の番号が付された構成要素についての指針型計器毎の区別が必要な場合には、スピードメータ22の構成要素には末尾に「A」を付し、燃料残量計23の構成要素には末尾に「B」を付し、水温計24の構成要素には末尾に「C」を付し、タコメータ25の構成要素には末尾に「D」を付して区別する。特に指針型計器毎の区別の必要のない場合には、符号として番号のみを付すこととする。
【0019】
図2に示すように、ギア機構40は、直線状に延びる回転体としての操作シャフト41を備えている。操作シャフト41は、その軸線Lと直交する方向における断面の外面が円形状になる形状であり、スピードメータ22の回転軸26A、燃料残量計23の回転軸26B、水温計24の回転軸26C、およびタコメータ25の回転軸26Dに平行に延びるように配設されている。なお上記軸線Lは、断面の外面が円形状になる形状の操作シャフト41の中心線である。また、スピードメータ22の回転軸26Aには指針27A(
図1参照)が一体に設けられており、燃料残量計23の回転軸26Bには指針27Bが一体に設けられており、水温計24の回転軸26Cには指針27Cが一体に設けられており、タコメータ25の回転軸26Dには指針27Dが一体に設けられている。
【0020】
操作シャフト41には、その軸線Lと前記モータ31の出力軸の回転軸心とが一致するように、同モータ31が連結されている。これにより、モータ31が回転駆動されると、操作シャフト41の軸線Lが回転軸心になる態様で操作シャフト41が回転駆動されるようになる。そして、このモータ31の作動制御を通じて、操作シャフト41の回転速度や回転位相が調節される。
【0021】
図3に示すように、操作シャフト41には、複数(本実施形態では4つ)の可動ピン43が取り付けられている。これら可動ピン43は、1つの指針型計器に対して1つずつ、軸線L方向において異なる位置に設けられている。具体的には、操作シャフト41におけるモータ31が連結された部分側(
図3の下方側)から、スピードメータ22に対応する可動ピン43A、燃料残量計23に対応する可動ピン43B、水温計24に対応する可動ピン43C、タコメータ25に対応する可動ピン43Dといった順に並ぶように配設されている。各可動ピン43は、軸線Lに近づく方向と離れる方向とに往復移動可能な状態で、操作シャフト41に支持されている。
【0022】
また、操作シャフト41の内部には複数(本実施形態では4つ)の前記スイッチ部33A,33B,33C,33D(
図1参照)が設けられている。スイッチ部33は指針型計器(詳しくは、可動ピン43)毎に設けられており、1つのスイッチ部33に対して1つの可動ピン43が連結されている。そして、スイッチ部33(詳しくは、内蔵するリレー)がオフ操作されているときには、可動ピン43は軸線Lに近づく位置に移動して操作シャフト41の内部に没入した状態になる。また、スイッチ部33がオン操作されているときには、可動ピン43は軸線Lから離れる方向に移動して操作シャフト41の外面から突出した状態になる。
【0023】
図2および
図4に示すように、ギア機構40は、操作シャフト41の軸線L方向において異なる位置に、1つの指針型計器(可動ピン43)に対して1つずつ、合計4つのラックアンドピニオン機構44A,44B,44C,44Dを有している。具体的には、
図2に示すように、モータ31が連結された部分側から、スピードメータ22に対応するラックアンドピニオン機構44A、燃料残量計23に対応するラックアンドピニオン機構44B、水温計24に対応するラックアンドピニオン機構44C、タコメータ25に対応するラックアンドピニオン機構44Dといった順に配設されている。また
図4に示すように、これらラックアンドピニオン機構44A,44B,44C,44Dは、操作シャフト41の軸線Lを中心とするラックギアの設置角度が異なる態様で配置されている。
【0024】
以下、これらラックアンドピニオン機構44のうちのラックアンドピニオン機構44Aの具体構造を
図5を参照しつつ説明する。
図5に示すように、ラックアンドピニオン機構44Aは、スピードメータ22の回転軸26Aに一体のピニオンギア45Aと、同ピニオンギア45Aに常時噛合する2つのラックギア(移動ラックギア46Aおよび反転ラックギア47A)とを有している。
【0025】
移動ラックギア46Aは、操作シャフト41の回転に伴う可動ピン43Aの移動軌跡(詳しくは、軸線Lを中心に操作シャフト41の外面に沿う円環形状の部分)の接線方向(
図5に矢印A1で示す方向)に延びる形状であり、同接線方向において往復移動可能な状態で配置されている。移動ラックギア46Aは、スイッチ部33A(
図1参照)のオン操作を通じて軸線Lから離れた位置に移動して操作シャフト41の外面から突出した状態の可動ピン43Aとは噛合する一方で、スイッチ部33Aのオフ操作を通じて軸線Lに近づく位置に移動して操作シャフト41の内部に没入した状態の可動ピン43Aとは噛合しないように配置されている。
【0026】
反転ラックギア47Aは、操作シャフト41の回転に伴う可動ピン43の移動軌跡の接線方向(
図5に矢印A2で示す方向)に延びる形状であり、同接線方向において往復移動可能な状態で配置されている。反転ラックギア47Aは、移動ラックギア46Aとの間に操作シャフト41およびピニオンギア45Aを挟む位置に設けられる。この反転ラックギア47Aと操作シャフト41との間には、同反転ラックギア47Aに常時噛合する反転ギア48Aが配置されている。この反転ギア48Aは、スイッチ部33Aのオン操作を通じて操作シャフト41の外面から突出した状態の可動ピン43Aとは噛合する一方で、スイッチ部33Aのオフ操作を通じて操作シャフト41の内部に没入した状態の可動ピン43Aとは噛合しないように配置されている。
【0027】
なお、上述したラックアンドピニオン機構44Aの基本構造と他のラックアンドピニオン機構44B,44C,44Dの基本構造とは同一である。
すなわち
図4および
図6に示すように、ラックアンドピニオン機構44Bは、燃料残量計23の回転軸26Bに一体のピニオンギア45Bと、同ピニオンギア45Bに常時噛合する2つのラックギア(移動ラックギア46Bおよび反転ラックギア47B)と、反転ラックギア47Bに常時噛合する反転ギア48Bとを有している。
【0028】
また
図4および
図7に示すように、ラックアンドピニオン機構44Cは、水温計24の回転軸26Cに一体のピニオンギア45Cと、同ピニオンギア45Cに常時噛合する2つのラックギア(移動ラックギア46Cおよび反転ラックギア47C)と、反転ラックギア47Cに常時噛合する反転ギア48Cとを有している。
【0029】
さらに
図4および
図8に示すように、ラックアンドピニオン機構44Dは、タコメータ25の回転軸26Dに一体のピニオンギア45Dと、同ピニオンギア45Dに常時噛合する2つのラックギア(移動ラックギア46Dおよび反転ラックギア47D)と、反転ラックギア47Dに常時噛合する反転ギア48Dとを有している。
【0030】
各スイッチ部33(
図1)には、
図2および
図3に示すように、一対の導線34が接続されており、それら導線34は操作シャフト41のモータ31側の端部の開口を介して同操作シャフト41の外部まで延設されている。
【0031】
また、操作シャフト41とモータ31との間には接続基板50が配置されている。この接続基板50は、その中央部分にモータ31の出力軸が貫通した状態で、メーターパネル21の盤面に対して相対回転しないように取り付けられている。そのため、モータ31によって駆動されて操作シャフト41が回転する場合には、同操作シャフト41は接続基板50に対して相対回転するようになる。そして、接続基板50における操作シャフト41側の面には、各スイッチ部33に接続された導線34の先端が接触して摺動するようになっている。
【0032】
図3および
図9に示すように、接続基板50における操作シャフト41側(
図3の上方側)の面には、導電性の材料(例えば、銅)からなるパターン配線51が形成されている。これらパターン配線51は、導線34の移動方向に沿って延びる円弧形状に形成されており、1つのスイッチ部33に接続された一対の導線34に対して2本ずつ配設されている。各パターン配線51は各別に制御装置30に接続されている。
【0033】
各パターン配線51の形状は、操作シャフト41の回転位相が移動ラックギア46(あるいは反転ギア48)と可動ピン43とが対向する位相範囲であるときに同可動ピン43に連結されたスイッチ部33の導線34が接続基板50のパターン配線51に接触して接続されるようになる形状である。
図9は、操作シャフト41の回転位相が移動ラックギア46A(あるいは反転ギア48A)と可動ピン43Aとが対向する位相になったときにおける各導線34A,34B,34C,34Dと各パターン配線51A,51B,51C,51Dとの位置関係を示している。
図9に示すように、このときには、可動ピン43Aに連結されたスイッチ部33Aの導線34Aが接続基板50のパターン配線51Aに接触して接続されるようになる。
【0034】
また、操作シャフト41の回転位相が移動ラックギア46B(あるいは反転ギア48B)と可動ピン43Bとが対向する位相になったときには、導線34Bがパターン配線51Bに接続される。操作シャフト41の回転位相が移動ラックギア46C(あるいは反転ギア48C)と可動ピン43Cとが対向する位相になったときには導線34Cがパターン配線51Cに接続される。また、操作シャフト41の回転位相が移動ラックギア46D(あるいは反転ギア48D)と可動ピン43Dとが対向する位相になったときには導線34Dがパターン配線51Dに接続される。
【0035】
本実施形態では、移動ラックギア46(あるいは反転ギア48)と可動ピン43とが対向する位置になってスイッチ部33の導線34と接続基板50のパターン配線51とが接続されたときに、それらパターン配線51および導線34を介して制御装置30からスイッチ部33に指令信号を入力して可動ピン43を操作することが可能になっている。
【0036】
本実施形態では、
図10(a)〜
図10(h)から明らかなように、可動ピン43と移動ラックギア46とが噛合するようになる操作シャフト41の回転位相(モータ31の回転位相)、および、可動ピン43と反転ギア48とが噛合するようになる操作シャフト41の回転位相の全てが異なっている。
【0037】
図10(a)は可動ピン43Aと移動ラックギア46Aとが噛合した状態を示し、
図10(b)は可動ピン43Aと反転ギア48Aとが噛合した状態を示し、
図10(c)は可動ピン43Bと移動ラックギア46Bとが噛合した状態を示し、
図10(d)は可動ピン43Bと反転ギア48Bとが噛合した状態を示している。また、
図10(e)は可動ピン43Cと移動ラックギア46Cとが噛合した状態を示し、
図10(f)は可動ピン43Cと反転ギア48Cとが噛合した状態を示し、
図10(g)は可動ピン43Dと移動ラックギア46Dとが噛合した状態を示し、
図10(h)は可動ピン43Dと反転ギア48Dとが噛合した状態を示している。また、
図10(a)〜
図10(h)には、操作シャフト41の回転位相の把握を容易にするために、可動ピン43Aが配置されている部分を基準位相として矢印で示している。
【0038】
以下、モータ31および各スイッチ部33の作動制御の実行態様について説明する。なお、モータ31および各スイッチ部33の作動制御の実行態様は、基本的に、いずれの指針型計器の指針27を操作する場合においても同様であるため、以下では、その代表例としてスピードメータ22の指針27Aを操作する場合におけるモータ31および各スイッチ部33の作動制御について説明する。
【0039】
図11(a)および
図11(b)に示すように、スピードメータ22の指針27Aを正方向(同図における時計回り方向)に回転させる場合には、モータ31の作動制御を通じて、操作シャフト41が所定の方向(同図における時計回り方向)に回転駆動される。
【0040】
そして、操作シャフト41の回転に伴って操作シャフト41における可動ピン43Aの配設位置が移動ラックギア46Aに近づくと、スイッチ部33Aに接続された導線34A(
図9)と接続基板50のパターン配線51Aとが接続された状態になり、制御装置30とスイッチ部33Aとが接続された状態になる。そして、この状態で制御装置30からスイッチ部33Aにオン信号が出力される。これにより、スイッチ部33Aがオン操作されて、可動ピン43Aが操作シャフト41の外面から突出するようになる。
【0041】
さらに、この状態で操作シャフト41が回転すると、
図11(a)に示すように、可動ピン43Aと移動ラックギア46Aとが噛合した状態で操作シャフト41が回転して、移動ラックギア46Aが正方向(図中の右方向)に移動するようになる。これにより、ピニオンギア45Aが正方向に回転して、同ピニオンギア45Aと一体のスピードメータ22の回転軸26Aおよび指針27A(
図1参照)が正方向に回転するようになる。なお、このとき反転ラックギア47Aは、ピニオンギア45Aと噛合しているために、正方向(図中の左方向)に移動する。
【0042】
また、このようにしてスピードメータ22の指針27Aを正方向に回転させるべく操作シャフト41を所定の方向に回転させる際には、操作シャフト41における可動ピン43Aの配設位置が反転ギア48Aに近づいたときにも、スイッチ部33Aに接続された導線34A(
図9)と接続基板50のパターン配線51Aとが接続された状態になる。ただし、このときにはスイッチ部33Aがオフ操作されて、
図11(b)に示すように、可動ピン43Aが操作シャフト41の内部に没入するようになる。そのため、この状態で操作シャフト41が回転したところで、可動ピン43Aと反転ギア48Aとは噛合せずに操作シャフト41が空回りするため、同反転ギア48Aが回転したり反転ラックギア47Aが移動したりすることはない。したがって、このときピニオンギア45Aや、同ピニオンギア45Aと一体のスピードメータ22の指針27A(
図1参照)は回転しない。
【0043】
このように本実施形態では、スピードメータ22の指針27Aを正方向に回転させる場合には、モータ31が所定の方向に回転駆動される。そして、モータ31の回転位相が可動ピン43Aと移動ラックギア46Aとが対向する位相範囲であるときには同可動ピン43Aが操作シャフト41の外面から突出した状態にされる一方で、可動ピン43Aと反転ギア48Aとが対向する位相範囲であるときには同可動ピン43Aが操作シャフト41の内部に没入した状態にされる。これにより可動ピン43Aが移動ラックギア46Aに噛合するようになるとともに反転ギア48Aには噛合しなくなるため、スピードメータ22の指針27Aが正方向に回転するようになる。
【0044】
そして本実施形態では、モータ31の作動制御を通じて操作シャフト41の回転速度や回転位相を調節したり、スイッチ部33Aの作動制御を通じて可動ピン43Aが操作シャフト41の外面から突出した状態になる期間を調節したりすることにより、スピードメータ22の指針27Aを任意の速度で任意の角度だけ正方向に操作することができる。
【0045】
一方、
図12(a)および
図12(b)に示すように、スピードメータ22の指針27Aを逆方向(同図における反時計回り方向)に回転させる場合には、モータ31の作動制御を通じて、操作シャフト41が前記所定の方向(同図における時計回り方向)に回転駆動される。
【0046】
そして、操作シャフト41の回転に伴って操作シャフト41における可動ピン43Aの配設位置が反転ギア48Aに近づくと、スイッチ部33Aに接続された導線34A(
図9)と接続基板50のパターン配線51Aとが接続された状態になり、制御装置30とスイッチ部33Aとが接続された状態になる。そして、この状態で制御装置30からスイッチ部33Aにオン信号が出力される。これにより、スイッチ部33Aがオン操作されて、可動ピン43Aが操作シャフト41の外面から突出するようになる。
【0047】
さらに、この状態で操作シャフト41が回転すると、
図12(a)に示すように、可動ピン43Aと反転ギア48Aとが噛合した状態で操作シャフト41が回転するようになる。これにより、反転ギア48Aが操作シャフト41の回転方向と反対の方向(同図における反時計回り方向)に回転して、反転ラックギア47Aが逆方向(図中の右方向)に移動するようになる。これにより、ピニオンギア45Aが逆方向に回転して、同ピニオンギア45Aと一体のスピードメータ22の回転軸26Aおよび指針27A(
図1参照)も逆方向に回転するようになる。なお、このとき移動ラックギア46Aは、ピニオンギア45Aと噛合しているため、逆方向(図中の左方向)に移動する。
【0048】
また、このようにしてスピードメータ22の指針27Aを逆方向に回転させるべく操作シャフト41を所定方向に回転させる際には、操作シャフト41における可動ピン43Aの配設位置が移動ラックギア46Aに近づいたときにも、スイッチ部33Aに接続された導線34A(
図9)と接続基板50のパターン配線51Aとが接続された状態になる。ただし、このときにはスイッチ部33Aがオフ操作されて、
図12(b)に示すように、可動ピン43Aが操作シャフト41の内部に没入するようになる。そのため、この状態で操作シャフト41が回転したところで、可動ピン43Aと移動ラックギア46Aとは噛合せずに操作シャフト41が空回りする。そのため、このとき移動ラックギア46Aは移動せずに、ピニオンギア45Aや同ピニオンギア45Aと一体のスピードメータ22の指針27A(
図1参照)は回転しない。
【0049】
このように本実施形態では、スピードメータ22の指針27Aを逆方向に回転させる場合には、モータ31が所定の方向に回転駆動される。そして、モータ31の回転位相が可動ピン43Aと移動ラックギア46Aとが対向する位相範囲であるときには同可動ピン43Aが操作シャフト41の内部に没入した状態にされる一方で、可動ピン43Aと反転ギア48Aとが対向する位相範囲であるときには同可動ピン43Aを操作シャフト41の外面から突出した状態にされる。このとき可動ピン43Aが移動ラックギア46Aに噛合しなくなるとともに反転ギア48Aには噛合するようになるため、スピードメータ22の指針27Aが逆方向に回転するようになる。
【0050】
そして本実施形態では、モータ31の作動制御を通じて操作シャフト41の回転速度や回転位相を調節したり、スイッチ部33Aの作動制御を通じて可動ピン43Aが操作シャフト41の外面から突出した状態になる期間を調節したりすることにより、スピードメータ22の指針27Aを任意の速度で任意の角度だけ逆方向に操作することができる。
【0051】
本実施形態によれば、以下に記載する作用効果が得られるようになる。
(1)4つの指針型計器のいずれか(特定の指針型計器)に対応するスイッチ部33をオン操作して可動ピン43を操作シャフト41の外面から突出した状態にするとともに、各指針型計器において共用のモータ31を所定の方向に回転駆動するといった操作を行うことにより、特定の指針型計器の指針27を操作することができる。そして、そうした特定の指針型計器に対する操作を各指針型計器(スピードメータ22、燃料残量計23、水温計24、およびタコメータ25)について適宜のタイミングで個別に行うことにより、それら指針型計器の指針27を各別に操作することができる。このように本実施形態によれば、共通のモータ31を用いて、スピードメータ22、燃料残量計23、水温計24、およびタコメータ25を操作することができる。そのため指針型計器毎に電動機を設ける場合と比較して、電動機の設置数を少なくすることができ、その分だけメーターパネル21の製造コストの低減や重量の低下を図ることができる。
【0052】
(2)可動ピン43と移動ラックギア46とが噛合するようになる操作シャフト41の回転位相(
図10(a)、
図10(c)、
図10(e)、
図10(g)参照)、および可動ピン43と反転ギア48とが噛合するようになる操作シャフト41の回転位相(
図10(b)、
図10(d)、
図10(f)、
図10(h)参照)の全てが異なる。これにより、モータ31の回転駆動中において、複数の可動ピン43が操作シャフト41の外面から突出した状態になる場合であっても、それら可動ピン43が移動ラックギア46や反転ギア48に同時に噛合した状態になることがないため、複数の指針型計器の指針27が異なるタイミングで操作されるようになる。したがって、モータ31によって複数の指針型計器の指針27が同時に操作される装置と比較して、モータ31を安定した状態で回転駆動するために必要な駆動トルク(詳しくは、そのピーク値)を小さくすることができ、同モータ31として小型の電動機を採用することができる。
【0053】
(3)移動ラックギア46を設けることに加えて、反転ラックギア47および反転ギア48を設けるようにした。そのため、各指針型計器の指針27を正方向に回転させる操作と逆方向に回転させる操作とを、モータ31を同一方向(前記所定の方向)に回転駆動した状態で行うことができる。これにより、モータ31の回転方向を切り替える操作が不要になるため、同モータ31の作動制御の制御構造を簡素にすることができる。
【0054】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・操作シャフト41とモータ31の出力軸とを複数の歯車を有する歯車機構を介して連結するようにしてもよい。
【0055】
・1つの指針型計器(具体的には、ラックアンドピニオン機構44)に対して、複数の可動ピンを設けるようにしてもよい。この場合には、それら可動ピンを、操作シャフト41の軸線L周りにおいて異なる位置に設けるようにすればよい。こうした装置では、操作シャフト41の外面から突出した状態になる可動ピンの数、言い換えれば、ラックアンドピニオン機構44に噛合する可動ピンの数が多いときほど、操作シャフト41の1回転当たりの指針型計器の指針27の操作量や操作回数が多くなる。したがって上記装置によれば、操作シャフト41の回転駆動に際して同操作シャフト41の外面から突出した状態になる可動ピンの数を切り替えることにより、指針型計器の指針27の操作速度や操作間隔を可変設定することができるため、同指針27を高い自由度で操作することができる。
【0056】
・1つの指針型計器に対して、ラックアンドピニオン機構と同機構に噛合する可動ピンとを2組設けるようにしてもよい。この場合には、一方のラックアンドピニオン機構と可動ピンとが噛合するようになる操作シャフト41の回転位相と、他方のラックアンドピニオン機構と可動ピンとが噛合するようになる操作シャフト41の回転位相とを異なる位相にすればよい。こうした装置によれば、操作シャフト41の回転駆動に際してラックアンドピニオン機構に噛合するようになる可動ピンの数を「1」および「2」のいずれかに切り替えることにより、指針型計器の指針27の操作速度や操作間隔を可変設定することができるため、同指針27を高い自由度で操作することができる。なお、1つの指針型計器に対して、ラックアンドピニオン機構と同機構に噛合する可動ピンとを3組以上設けることもできる。
【0057】
・複数のラックアンドピニオン機構44が同時に可動ピン43に噛合する態様で、各ラックアンドピニオン機構44と各可動ピン43を配置してもよい。
・各指針型計器の回転軸26とラックアンドピニオン機構44とを複数の歯車を有する歯車機構を介して常時連結するようにしてもよい。
【0058】
・各ラックアンドピニオン機構44から、反転ギア48と反転ラックギア47とを省略してもよい。こうした装置においても、モータ31の回転方向を切り替えることにより、指針型計器の指針27を正方向と逆方向とにそれぞれ操作することができる。
【0059】
・操作シャフト41の形状は、例えば軸線Lと直交する方向における断面が多角形状になる形状や同断面が楕円形状になる形状など、任意の形状に変更することができる。
・上記実施形態の表示装置は、2つの指針型計器の指針を操作する装置や、3つの指針型計器の指針を操作する装置、5つ以上の指針型計器の指針を操作する装置にも、その構成を適宜変更したうえで適用することができる。
【0060】
・上記実施形態の表示装置は、車載バッテリの電圧を表示する電圧計や、車載内燃機関の潤滑オイルの温度を表示する油温計、同潤滑オイルの圧力を表示する油圧計などの指針型計器を有する表示装置にも適用可能である。