(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電極端子間を接続するためのバスバーには水滴等の液体が付着することがある。例えば、車両の停車時等にバスバーの温度が低下すると、バスバーに結露が発生することがある。このようにバスバーに付着した水滴等の液体が電圧検知端子に接続された電線に至ると不具合が生じることが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子に付着した液体が電線側に移動することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端子は、蓄電素子の電極端子に接続する接続部と、前記接続部と一体に設けられ、電線に接続される電線接続部と、を備え、前記接続部と前記電線接続部との間には、前記接続部側に付着した液体の前記電線接続部側への移動を規制する規制部が設けられており、前記接続部は、板状の板状部に設けられ
て複数の前記電極端子の間を接続するものであり、前記規制部は、前記電線接続部の一方の側方側における前記板状部の端縁から他方の側方側における前記板状部の端縁に連続的に延びて
おり、前記規制部の全体が前記接続部に対して前記電線接続部側に設けられている。
本構成によれば、規制部により、接続部側から電線接続部側への液体の移動が規制されるため、接続部側に付着した液体の電線側への移動を抑制することが可能になる。
また、簡素な構成で、効率的に液体の電線側への移動を抑制することが可能になる。
本発明の配線モジュールは、蓄電素子の電極端子に接続する接続部と電線に接続される電線接続部とを備える端子と、前記端子を収容する絶縁プロテクタと、を備えた配線モジュールであって、前記端子は、前記接続部と前記電線接続部との間に、前記接続部側に付着した液体の前記電線接続部側への移動を規制する規制部が設けられており、前記絶縁プロテクタは、前記端子の板面と対向する底板部と、前記底板部から起立して前記端子を仕切る仕切り壁とを備え、前記底板部及び前記仕切り壁の少なくとも一方には、前記液体を排出する排出孔が形成されている。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい
。
【0010】
前記端子と、前記端子を収容する絶縁プロテクタとを備えた配線モジュールであって、前記絶縁プロテクタは、前記端子の板面と対向する底板部と、前記底板部から起立して前記端子を仕切る仕切り壁とを備え、前記底板部及び前記仕切り壁の少なくとも一方には、前記液体を排出する排出孔が形成されている配線モジュールとしてもよい。
このようにすれば、規制部により電線側への移動が規制された液体を外部に排出することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、端子に付着した液体が電線側に移動することを抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
実施形態1を
図1〜
図11を参照しつつ説明する。
本実施形態の配線モジュール10は、蓄電モジュールに装着される。蓄電モジュールは、例えば電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両に搭載され、電源として使用される。以下では、X方向を右方、Y方向を前方、Z方向を上方として説明する。
【0014】
蓄電モジュールは、左右一列に並んだ複数の蓄電素子BC(
図5参照)を備え、複数の蓄電素子BCの前面(側面)に配線モジュール10が取り付けられている。各蓄電素子BCは、蓄電要素が収容された扁平な直方体状の本体部を有し、この本体部の端部に設けられた台座部PEから突出するボルト状の電極端子BPを備える。図示しないナット及び電極端子BPを締結部材としてナットと台座部PEの間にバスバー端子20(「端子」の一例)を挟んで締結される。複数の蓄電素子BCは、異極の電極端子BPが隣り合う向きで配置されることにより直列接続されている。直列接続の端部に位置する電極端子BPは、図示しない電線を介して外部のインバータ等の機器に接続される。
【0015】
(配線モジュール10)
配線モジュール10は、
図1に示すように、複数のバスバー端子20と、複数のバスバー端子20を収容する絶縁プロテクタ40とを備えて構成されている。
【0016】
(バスバー端子20)
バスバー端子20は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属で形成されており、
図9に示すように、板状の板状部21と、板状部21と一体に形成されて電線38の端末部に接続される電線接続部33とを備えている。
【0017】
板状部21は、左右方向に長い略長方形状であって、隣り合う電極端子BP間を接続する極間接続部22(「接続部」の一例)と、極間接続部22と電線接続部33との間に連なる連結部25とを備えている。板状部21の下端部における左右の端部寄りの位置には、長方形状に切り欠いた形状の凹部30が形成されている。
【0018】
板状部21は、厚みの薄い一対の平板状の平板部28A,28Bを重ねて形成され、平板部28A,28B間は、ヒンジ部31で接続されている。なお、平板部28A,28Bを薄くするのは、電線接続部33を一体に形成するために、圧着のための曲げが可能な程度の厚みとするためである。平板部28A,28Bを2枚重ねるのは、極間接続部22の厚みを厚くすることで電気抵抗を小さくするためである。平板部28Aには、一対の保持片29が角部に設けられており、この保持片29を曲げて平板部
28Bに係止させることで、平板部
28A,
28Bが重ねられた状態に保持される。
【0019】
極間接続部22は、電極端子BP間の間隔に応じて左右一対の通し孔23が貫通形成されている。通し孔23は、左右方向(電極端子BP間の接続方向)に長い長円形状をなしており、電極端子BPを左右方向に所定のクリアランスを有して挿通可能とされている。
【0020】
連結部25には、極間接続部22側に付着した液体Dの電線接続部33側への移動を規制する溝状の規制部26A〜26Cが形成されている。規制部26A〜26Cは、板状部21における一方の平板部28A(前面側の平板部)の前面に形成されており、3本(複数本)が平行に、山形状の経路で延びている。言い換えると、規制部26A〜26Cは、板状部21の下端縁のうち、電線接続部33の一方の側方と他方の側方のそれぞれから当該下端縁に対して傾斜した方向で、左右方向の中間部側に向けて延びている。規制部26A〜26Cの下端は、凹部30よりも内側に配されている。規制部26A〜26Cの深さは、それぞれ同じ深さであって、平板部28Aの厚みの約半分の深さとされている。
【0021】
電線接続部33は、
図11に示すように、連結部25に一体に接続される端子接続部34と、端子接続部34に連なるワイヤバレル部35と、ワイヤバレル部35に一体に連なるインシュレーションバレル部36とを有する。ワイヤバレル部35は、電線38の絶縁被覆38Bを除去して露出させた導体部38Aを圧着する。インシュレーションバレル部36は、電線38を絶縁被覆38Bの上から保持する。
【0022】
バスバー端子20は、金属板材にプレス機により打ち抜き加工を施すことで、一対の平板部28A,28Bがヒンジ部31で連結された展開形状となるとともに、規制部26A〜26Cが形成される。そして、ヒンジ部31を曲げて一対の平板部28A,28Bを重ね、平板部28Aから突出する保持片29を曲げて平板部28Bに係止させることにより、バスバー端子20が形成される。
【0023】
電線接続部33に接続される電線38は、図示しない外部のECU(Engine Control Unit)に接続される。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、蓄電素子BCの電圧・電流・温度等の検知、各蓄電素子BCの充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0024】
(絶縁プロテクタ40)
絶縁プロテクタ40は、絶縁性の合成樹脂からなり、
図1に示すように、バスバー端子20を収容する複数の収容部41を備えている。各収容部41は、
図3,
図4に示すように、板状部21の一方の面(蓄電素子BC側の面)が対向するように板状部21を載置可能な底板部42と、板状部21を角筒状に包囲する仕切り壁45とを備えている。底板部42には、
図5に示すように、電極端子BPが通る円形状の開口部43が左右一対形成されている。
【0025】
仕切り壁45は、
図2に示すように、蓄電素子BCの並び方向に沿って延びる一対の対向壁部46A,46Bと、一対の対向壁部46A,46B間を連結する一対の連結壁部49とを備えている。対向壁部46A,46Bは、バスバー端子20の前面側(蓄電素子BCとは反対側)からの離脱を規制する複数の離脱規制片47を備えている。複数の離脱規制片47は、仕切り壁45における一対の対向壁部46A,46Bの内面から内方に突出しており、底板部42及び仕切り壁45に切り欠きを設けることにより、片持ち状に延びて撓み変形可能な形状に形成することができる。離脱規制片47を撓ませて板状部21を底板部42の上に配置すると、離脱規制片47が復元変形してバスバー端子20の離脱が規制される。
【0026】
仕切り壁45の外側には、底板部42と同一平面に連なる複数の板状の延出部50が延びている。収容部41には、底板部42、対向壁部46A,46B、及び、延出部50を切り欠くことにより、水等の液体Dを排出する複数の排出孔51A,51Bが形成されている。排出孔51A,51Bは、直方体状の空間を形成する。外側の排出孔51Aは、連結壁部49に沿うように形成され、排出孔51Bよりも幅が細く、長さが長く形成されている。
図3に示すように、極間接続部22側に付着した液体Dは、下方の規制部26A〜26Cまで移動すると、規制部26A〜26Cを伝って斜め下方に移動して板状部21の端縁から落下し、排出孔51A,51Bから外部に排出される。
【0027】
配線モジュール10は、各収容部41にバスバー端子20を収容することで形成される(
図1)。そして、複数の蓄電素子BCに配線モジュール10を装着し、ナットを電極端子BPに締結することで蓄電モジュールが形成される。この蓄電モジュールが車両に搭載されると、配線モジュール10は、電線接続部33が下側となる向き(Z方向が上方となる向き)で配置される。
【0028】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
本実施形態によれば、バスバー端子20は、極間接続部22と電線接続部33との間に、極間接続部22側に付着した液体Dの電線接続部33側への移動を規制する規制部26A〜26Cが設けられているため、この規制部26A〜26Cにより、極間接続部22側から電線接続部33側への液体Dの移動が規制される。これにより、バスバー端子20に付着した液体Dが電線38に伝わることを抑制することが可能になる。
【0029】
極間接続部22は、板状の板状部21に設けられ、規制部26A〜26Cは、電線接続部33の一方の側方側における板状部21の端縁から他方の側方側における板状部21の端縁に連続的に延びている。
このようにすれば、簡素な構成で、効率的に液体Dの電線38側への移動を抑制することが可能になる。
【0030】
また、極間接続部22と電線接続部33とは一体に形成されている。
このようにすれば、極間接続部22と電線接続部33とが別体の場合と比較して、部品点数を削減することができる。
【0031】
また、底板部42は、通し孔23に対応する位置に開口部43が貫通形成されているとともに、底板部42及び仕切り壁45の少なくとも一方には、開口部43及び離脱規制片47を形成するための切り欠き(離脱規制片47の近傍の切り欠き)とは異なる位置に設けられて液体Dを排出する排出孔51A,51Bが形成されている。
このようにすれば、規制部26A〜26Cにより電線38側への移動が規制された液体Dを外部に排出することが可能になる。
【0032】
<実施形態2>
実施形態2を
図12〜
図15を参照して説明する。
実施形態2は、バスバー端子60の規制部61をU字状に形成したものである。他の構成は、実施形態1と同一であるため、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図13に示すように、板状部64は、極間接続部22と連結部65とを有し、連結部65には規制部61が形成されている。規制部61は、ヒンジ部31で回動可能に連結された平板部63A,63Bのうちの一方の平板部63Aにプレス機により曲げ加工を施すことで、前方側(電線が底板に載置される側とは反対側)に山形に盛り上がるように形成されている。
【0034】
規制部61は、電線接続部33の一方の側方と他方の側方のそれぞれから平板部63A(板状部)の下端縁に対して直交する方向に延びる第1規制壁61A,61Bと、第1規制壁61A,61B間を連結し、平板部63Aの下端縁と平行に延びる第2規制壁61Cとを備える。極間接続部22側に付着した液体Dが極間接続部22側から規制部61側に移動すると、
図12に示すように、液体Dが規制部61の外縁側を伝って移動するため、液体Dの電線接続部33側への移動が規制される。
【0035】
<実施形態3>
実施形態3を
図16〜
図19を参照して説明する。
実施形態3のバスバー端子70は、規制部71の全体を極間接続部22よりも高くしたものである。他の構成は、上記実施形態と同一であるため、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図17に示すように、板状部74は、極間接続部22と連結部65とを有し、連結部65には規制部71が形成されている。規制部71は、ヒンジ部31で回動可能に連結された平板部73A,73Bのうちの一方の平板部73Aにプレス機により曲げ加工を施すことで、極間接続部22よりも高くなるように形成されている。極間接続部22側に付着した液体Dが極間接続部22側から規制部71側に移動すると、
図16に示すように、液体Dが規制部71の外縁側を伝って移動するため、液体Dの電線接続部33側への移動が規制される。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、バスバー端子20,60,70を電極端子BPとナットとで締結することとしたが、これに限られない。例えば、ナット状の電極端子BPに締結部材としてのボルトの軸部を通して締結してもよい。また、通し孔23を設けずに、例えば、レーザー溶接、超音波溶接、抵抗溶接等で電極端子に接続するようにしてもよい。
【0038】
(2)蓄電素子BCは電池としたが、これに限られず、キャパシタ等であってもよい。
(3)絶縁プロテクタ40は、絶縁性の合成樹脂からなる複数の連結ユニットを左右に連結して構成してもよい。
【0039】
(4)配線モジュール10の向きは、上記実施形態の向きに限られず、他の向きで配置することができる。例えば、バスバー端子の板面に水平な姿勢となるように配置してもよく、このようにしても規制部26A〜26C,61,71により、電線接続部33側への液体Dの移動を抑制することができる。
【0040】
(5)板状部21,64,74は、2枚の平板部を重ねる構成としたが、これに限られない。例えば、1枚の金属板材から板状部が形成されるようにしてもよい。
【0041】
(6)液体Dは水としたが、水以外の液体であってもよい。
【0042】
(7)バスバー端子における規制部26A〜26C,61,71の位置及び形状は、上記実施形態の構成に限られず、異なる位置や形状に変更可能である。例えば、上記実施形態のような収容部41における排出孔51A,51B側の位置に規制部を設ける構成に限られず、収容部41における排出孔51A,51B側とは反対側の位置に規制部を設けるようにしてもよい。
【0043】
(8)隣り合う電極端子BP間を接続するバスバー端子20,60,70としたが、これに限られず、他の端子としてもよい。例えば、電極端子BPに接続される電圧検知端子としてもよい。この場合、例えば、電極端子BP間を接続するバスバーが接続されていない1つの電極端子BP(例えば直列接続の端部の電極端子BP)に接続される電圧検知端子や、電極端子BP間を接続するバスバーに別体で重ねられる電圧検知端子としてもよい。