(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6508711
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】ネットワークシステム及びネットワーク設定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20190422BHJP
【FI】
H04L12/28 400
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-60836(P2015-60836)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-181795(P2016-181795A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】大久保 利一
【審査官】
森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−018597(JP,A)
【文献】
特開2009−290409(JP,A)
【文献】
特開2015−109608(JP,A)
【文献】
特開平04−223633(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0321893(US,A1)
【文献】
特開2015−153130(JP,A)
【文献】
特開2010−268238(JP,A)
【文献】
特開2003−337770(JP,A)
【文献】
特開2010−186332(JP,A)
【文献】
特開2008−191899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク設定の管理対象である副機器と、
前記副機器の前記ネットワーク設定を管理する主機器と、
を有し、
前記副機器が、
前段の前記主機器または前記副機器と通信可能に接続するための前段通信ポートと、
後段の前記副機器と通信可能に接続するための後段通信ポートと、
前記後段通信ポートと処理装置との間の通信を接続または切断するためのスイッチとを備え、
前記主機器と前記副機器とが通信可能にデイジーチェーンで接続され、
前記主機器は、予め前記副機器毎に固有に設定された前記ネットワーク設定の内容を示すネットワーク設定情報をそれぞれ取得して保存し、
前記副機器の前記ネットワーク設定を再設定するための再設定操作を検出すると、前記副機器毎の前記ネットワーク設定情報を順次送信し、
前記副機器は、前記主機器から受信した前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を行い、
前記副機器は、
前記主機器から前記再設定操作の開始を通知する再設定開始コマンドを受信すると、前記スイッチにより前記後段通信ポートと前記処理装置との間を切断し、
前記主機器から前記ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドを受信すると、該ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが異なる場合、該ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更し、前記スイッチにより後段通信ポートと前記処理装置との間を通信可能に接続し、
前記主機器は、
前記再設定開始コマンドに、該再設定開始コマンドを識別するための識別子である、前記再設定開始コマンド毎に異なる操作IDを付与すると共に、該再設定開始コマンドに続いて送信する前記ネットワーク設定コマンドに該再設定開始コマンドの操作IDを含め、
前記副機器は、
前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更した場合、または前記ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが一致する場合、該ネットワーク設定コマンドに含まれる操作IDに対応する前記ネットワーク設定の処理完了を記録し、以降、該ネットワーク設定の処理完了が記録された操作IDを含むネットワーク設定コマンドを受信しても、該コマンドに対する処理を実行しない、ネットワークシステム。
【請求項2】
ネットワーク設定の管理対象である副機器と、
前記副機器の前記ネットワーク設定を管理する主機器と、
を有し、
前記主機器と前記副機器とがデイジーチェーンで接続されたネットワークシステムにおける前記副機器のネットワーク設定方法であって、
前記副機器が、
前段の前記主機器または前記副機器と通信可能に接続するための前段通信ポートと、
後段の前記副機器と通信可能に接続するための後段通信ポートと、
前記後段通信ポートと処理装置との間の通信を接続または切断するためのスイッチとを備えておき、
前記主機器が、
予め前記副機器毎に固有に設定された前記ネットワーク設定の内容を示すネットワーク設定情報をそれぞれ取得して保存し、
前記副機器の前記ネットワーク設定を再設定するための再設定操作を検出すると、前記副機器毎の前記ネットワーク設定情報を順次送信し、
前記副機器が、
前記主機器から受信した前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を行い、
前記副機器が、
前記主機器から前記再設定操作の開始を通知する再設定開始コマンドを受信すると、前記スイッチにより前記後段通信ポートと前記処理装置との間を切断し、
前記主機器から前記ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドを受信すると、該ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが異なる場合、該ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更し、前記スイッチにより後段通信ポートと前記処理装置との間を通信可能に接続し、
前記主機器が、
前記再設定開始コマンドに、該再設定開始コマンドを識別するための識別子である、前記再設定開始コマンド毎に異なる操作IDを付与すると共に、該再設定開始コマンドに続いて送信する前記ネットワーク設定コマンドに該再設定開始コマンドの操作IDを含め、
前記副機器が、
前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更した場合、または前記ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが一致する場合、該ネットワーク設定コマンドに含まれる操作IDに対応する前記ネットワーク設定の処理完了を記録し、以降、該ネットワーク設定の処理完了が記録された操作IDを含むネットワーク設定コマンドを受信しても、該コマンドに対する処理を実行しない、ネットワーク設定方法。
【請求項3】
ネットワークシステムを構成する、ネットワーク設定の管理対象である副機器と通信可能にデイジーチェーンで接続された、前記副機器の前記ネットワーク設定を管理する主機器であって、
前記副機器毎に予め固有に設定された前記ネットワーク設定の内容を示すネットワーク設定情報をそれぞれ取得して保存し、前記副機器の前記ネットワーク設定を再設定するための再設定操作を検出すると、前記副機器毎の前記ネットワーク設定情報を順次送信する処理装置を有し、
前記処理装置は、
前記再設定操作を検出すると、前記ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドを前記副機器へ送信し、
前記再設定開始コマンドに、該再設定開始コマンドを識別するための識別子である、前記再設定開始コマンド毎に異なる操作IDを付与すると共に、該再設定開始コマンドに続いて送信する前記ネットワーク設定コマンドに該再設定開始コマンドの操作IDを含める、主機器。
【請求項4】
ネットワークシステムを構成する、ネットワーク設定を管理する主機器と通信可能にデイジーチェーンで接続された、前記ネットワーク設定の管理対象である副機器であって、
前記副機器毎に固有に設定された前記ネットワーク設定の内容を示すネットワーク設定情報を前記主機器から受信すると、該ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を行う処理装置と、
前段の前記主機器または前記副機器と通信可能に接続するための前段通信ポートと、
後段の前記副機器と通信可能に接続するための後段通信ポートと、
前記後段通信ポートと処理装置との間の通信を接続または切断するためのスイッチと、
を有し、
前記処理装置は、
前記主機器から前記再設定操作の開始を通知する再設定開始コマンドを受信すると、前記スイッチにより前記後段通信ポートと前記処理装置との間を切断し、
前記主機器から前記ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドを受信すると、該ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが異なる場合、該ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更し、前記スイッチにより後段通信ポートと前記処理装置との間を通信可能に接続し、
前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更した場合、または前記ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが一致する場合、該ネットワーク設定コマンドに含まれる、前記再設定開始コマンドを識別するための識別子である操作IDに対応する前記ネットワーク設定の処理完了を記録し、以降、該ネットワーク設定の処理完了が記録された操作IDを含むネットワーク設定コマンドを受信しても、該コマンドに対する処理を実行しない、副機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の機器が通信可能に接続されたネットワークシステム及びそのネットワーク設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや各種の機器を通信可能に接続したLAN(Local Area Network)が、一般家庭、企業のオフィスや研究所、工場等で広く利用されている。LANには、様々な方式があるが、物理的な通信規格であるイーサネット(登録商標)と、通信プロトコルであるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)とを組み合わせた方式が一般的である。また、LANを形成するネットワーク構成(トポロジー)には様々な形態が知られているが、その中の一つとして複数の機器を数珠繋ぎに接続するデイジーチェーンがある。例えば、複数の表示装置を垂直方向及び水平方向に配列して大きな画面を形成するマルチディスプレイシステムでは、各表示装置がデイジーチェーンで接続されて映像信号や制御信号等が分配される。
【0003】
複数の機器から構成されるLANにおいて、故障等の理由で一部の機器を交換した場合、交換後の機器をLANへ組み込むには、該交換後の機器のネットワーク設定を変更(再設定)する必要がある。ネットワーク設定は、該ネットワークを管理する管理者や機器の管理者等が手作業で変更することも可能である。しかしながら、手作業による変更は煩雑であり、誤設定等が発生するおそれもある。また、上記マルチディスプレイシステム等では、交換後の表示装置の位置によっては、該表示装置のネットワーク設定を変更するのが困難な場合があるため、交換前にネットワーク設定を変更する等の処置が必要になる。したがって、ネットワーク設定の再設定は自動で行うことが好ましい。
【0004】
ネットワーク設定を自動で行うための手法は、例えば特許文献1(特開平10−098480号公報)で提案されている。
特許文献1に記載の技術では、設定対象となる全てのクライアント機器毎に、予め該クライアント機器を識別するための名称や識別子とネットワーク設定のための情報とを関連付けてサーバで保存しておく。そして、新たなクライアント機器を設置すると、該クライアント機器により自身のネットワーク設定に必要な情報をサーバから取得するための手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−098480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載された技術では、クライアント機器毎に、その名称や識別子とネットワーク設定に必要な情報とを関連付けて保存しておく必要がある。したがって、それらの情報を保存するために比較的大容量のデータベースをサーバに構築しなければならない。特許文献1では、クライアント機器から情報提供を要求されたサーバが該クライアント機器のネットワーク設定に必要な情報を保存していない場合、他のサーバから該クライアント機器へ情報を提供するための手法を提案している。その場合、1台当たりのサーバが備えるデータベースの容量を低減できる。しかしながら、ネットワーク設定に必要な情報を複数のサーバで分散して保存する構成では、それら複数のサーバで保存する情報を管理するための仕組みが必要となる。そのため、システム全体の処理が複雑になってしまう。
【0007】
本発明は上述したような背景技術の問題を解決するためになされたものであり、ネットワーク設定に必要な情報量を増大させることなく、機器毎のネットワーク設定を自動で簡易に再設定できるネットワークシステム及びネットワーク設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明のネットワークシステムは、ネットワーク設定の管理対象である副機器と、
前記副機器の前記ネットワーク設定を管理する主機器と、
を有し、
前記副機器が、
前段の前記主機器または前記副機器と通信可能に接続するための前段通信ポートと、
後段の前記副機器と通信可能に接続するための後段通信ポートと、
前記後段通信ポートと処理装置との間の通信を接続または切断するためのスイッチとを備え、
前記主機器と前記副機器とが通信可能にデイジーチェーンで接続され、
前記主機器は、予め前記副機器毎に固有に設定された前記ネットワーク設定の内容を示すネットワーク設定情報をそれぞれ取得して保存し、
前記副機器の前記ネットワーク設定を再設定するための再設定操作を検出すると、前記副機器毎の前記ネットワーク設定情報を順次送信し、
前記副機器は、前記主機器から受信した前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を行
い、
前記副機器は、
前記主機器から前記再設定操作の開始を通知する再設定開始コマンドを受信すると、前記スイッチにより前記後段通信ポートと前記処理装置との間を切断し、
前記主機器から前記ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドを受信すると、該ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが異なる場合、該ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更し、前記スイッチにより後段通信ポートと前記処理装置との間を通信可能に接続し、
前記主機器は、
前記再設定開始コマンドに、該再設定開始コマンドを識別するための識別子である、前記再設定開始コマンド毎に異なる操作IDを付与すると共に、該再設定開始コマンドに続いて送信する前記ネットワーク設定コマンドに該再設定開始コマンドの操作IDを含め、
前記副機器は、
前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更した場合、または前記ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが一致する場合、該ネットワーク設定コマンドに含まれる操作IDに対応する前記ネットワーク設定の処理完了を記録し、以降、該ネットワーク設定の処理完了が記録された操作IDを含むネットワーク設定コマンドを受信しても、該コマンドに対する処理を実行しない構成である。
【0009】
一方、本発明のネットワーク方法は、ネットワーク設定の管理対象である副機器と、
前記副機器の前記ネットワーク設定を管理する主機器と、
を有し、
前記主機器と前記副機器とがデイジーチェーンで接続されたネットワークシステムにおける前記副機器のネットワーク設定方法であって、
前記副機器が、
前段の前記主機器または前記副機器と通信可能に接続するための前段通信ポートと、
後段の前記副機器と通信可能に接続するための後段通信ポートと、
前記後段通信ポートと処理装置との間の通信を接続または切断するためのスイッチとを備えておき、
前記主機器が、
予め前記副機器毎に固有に設定された前記ネットワーク設定の内容を示すネットワーク設定情報をそれぞれ取得して保存し、
前記副機器の前記ネットワーク設定を再設定するための再設定操作を検出すると、前記副機器毎の前記ネットワーク設定情報を順次送信し、
前記副機器が、
前記主機器から受信した前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を行
い、
前記副機器が、
前記主機器から前記再設定操作の開始を通知する再設定開始コマンドを受信すると、前記スイッチにより前記後段通信ポートと前記処理装置との間を切断し、
前記主機器から前記ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドを受信すると、該ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが異なる場合、該ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更し、前記スイッチにより後段通信ポートと前記処理装置との間を通信可能に接続し、
前記主機器が、
前記再設定開始コマンドに、該再設定開始コマンドを識別するための識別子である、前記再設定開始コマンド毎に異なる操作IDを付与すると共に、該再設定開始コマンドに続いて送信する前記ネットワーク設定コマンドに該再設定開始コマンドの操作IDを含め、
前記副機器が、
前記ネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更した場合、または前記ネットワーク設定コマンドと共に受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが一致する場合、該ネットワーク設定コマンドに含まれる操作IDに対応する前記ネットワーク設定の処理完了を記録し、以降、該ネットワーク設定の処理完了が記録された操作IDを含むネットワーク設定コマンドを受信しても、該コマンドに対する処理を実行しない方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワーク設定に必要な情報量を増大させることなく、機器毎のネットワーク設定を自動で簡易に再設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のネットワークシステムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した機器の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示したネットワークシステムの変更例を示す模式図である。
【
図4】本発明のネットワーク設定方法の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明について図面を用いて説明する。
図1は本発明のネットワークシステムの一構成例を示すブロック図であり、
図2は
図1に示した機器の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明のネットワークシステムは、n(nは正の整数)台の機器1〜nが、通信ケーブルにより、互いに通信可能にデイジーチェーンで接続された構成である。デイジーチェーンとは、上述したように複数の機器を数珠繋ぎに接続することであり、縦続接続とも呼ばれる。通信ケーブルとしては、例えばLANケーブルを用いればよい。
【0013】
図2に示すように、機器1〜nは、前段通信ポート11、後段通信ポート12、CPU13及びスイッチ14をそれぞれ備え、前段通信ポート11及び後段通信ポート12を介して他の機器とそれぞれ通信が可能な構成である。前段通信ポート11及び後段通信ポート12には、例えばLANポートを用いればよい。なお、
図2は、機器nの構成例を代表して示している。
機器1〜nは、前段通信ポート11、後段通信ポート12、CPU13及びスイッチ14を備え、CPU13の処理によって後述する本発明のネットワーク設定方法を実現できればどのような構成でもよく、同一の機器である必要はない。
CPU13(処理装置)は、不図示の記憶装置で保存されたプログラムにしたがって処理を実行することで機器1〜n固有の機能を実現する。また、CPU13は、TCP/IP等の通信プロトコルにしたがって処理を実行することで他の機器と情報の送受信が可能である。通信プロトコルの処理は、CPU4で実行する必要はなく、その他の処理装置や専用のハードウェア等で実行してもよい。
前段通信ポート11は、デイジーチェーンで接続される前段の主機器または副機器と通信可能に接続するための通信ポートであり、後段通信ポート12は後段の副機器と通信可能に接続するための通信ポートである。前段通信ポート11及び後段通信ポート12は、隣接する機器と情報を送受信するための、例えばイーサネット(登録商標)に準拠した通信インタフェースである。CPU13は、前段通信ポート11及び後段通信ポート12を介して他の機器と情報の送受信が可能である。
スイッチ14は、CPU13の指示にしたがってCPU13と後段通信ポート12との間の通信を接続または切断する。スイッチ14は、CPU13と後段通信ポート12との間の通信を接続または切断できればよく、CPU13と後段通信ポート12とを物理的に接続または切断する必要はない。通信プロトコルの処理をCPU13に代えてその他の処理装置や専用のハードウェアで実行する場合、スイッチ14はCPU13の指示にしたがって該処理装置やハードウェアと後段通信ポート12との間の通信を接続または切断すればよい。
【0014】
図1に示したn台の機器1〜nのうち、機器1は機器2〜nのネットワーク設定を管理する主機器として動作し、機器2〜nはネットワーク設定の管理対象である副機器として動作する。
図1に示すネットワークを構築するとき、該ネットワークの管理者等は、通信ケーブルを用いて各機器1〜nをデイジーチェーンで接続し、それぞれのネットワーク設定を実行する。機器1は、管理者等によって機器2〜nに設定されたIPアドレスを含むネットワーク設定の内容(以下、ネットワーク設定情報と称す)を予め取得してそれぞれ保存する。機器2〜nのネットワーク設定情報は、例えばリミテッドブロードキャスト等で機器1から機器2〜nへネットワーク設定情報の提供を要求するパケットを送信することで取得すればよい。その場合、機器2〜nは、自機のネットワーク設定情報を含む応答パケットを機器1へ返送するため、機器1は該応答パケットにより機器2〜nのネットワーク設定情報をそれぞれ取得できる。リミテッドブロードキャストとは、IPアドレスとしてブロードキャストアドレスを用いて機器1が管理する全ネットワーク端末(ここでは機器2〜n)へ同一のパケットを送信する処理を指す。
【0015】
以降、副機器である機器2〜nのいずれかが交換されると、交換された副機器のネットワーク設定を変更するための再設定操作が管理者等によって外部から主機器に指示される。主機器(機器1)は、管理者等が指示したネットワーク設定の再設定操作を検出すると、交換された副機器を含む各副機器へそれぞれに対応するネットワーク設定情報を順次送信する。但し、交換後の副機器には交換前の副機器に対応するネットワーク設定情報を送信する。このとき、交換されていない副機器は、ネットワーク設定情報に変更がないため、自機のネットワーク設定を変更しない。一方、交換後の副機器は、自機のネットワーク設定を主機器から受信した交換前の副機器のネットワーク設定情報にしたがって変更する。すなわち、交換された副機器は、交換前の副機器のネットワーク設定情報を引き継いで動作する。なお、主機器を交換した場合、交換後の主機器のネットワーク設定は、管理者等が再度実行すればよい。また、交換後の主機器は、ネットワーク設定の再設定操作を検出すると、上記リミテッドブロードキャスト等を利用して各副機器からそれぞれのネットワーク設定情報を取得すればよい。
【0016】
このような構成において、次に
図1に示したネットワークシステムの機器1〜nのうち、機器3を機器3’に交換する場合を例にして、本発明のネットワーク設定方法について説明する。
図3は
図1に示したネットワークシステムの変更例を示す模式図であり、
図4は本発明のネットワーク設定方法の一例を示すシーケンス図である。
図3(b)に示す交換後の機器3’は、機器1〜nと同様に、前段通信ポート11、後段通信ポート12、CPU13及びスイッチ14を備えた構成(
図2参照)である。また、以下に記載する機器1、機器2、機器4〜n及び機器3’の処理は、各々が備えるCPU13で実行されるものとする。
【0017】
図3(a)及び(b)に示すように、例えばネットワークを構成する機器3を機器3’に交換すると、該ネットワークを管理する管理者等は、主機器(機器1)の設定メニュー等を利用してネットワーク設定の再設定操作を指示入力する。設定メニューとしては、例えば周知のOSD(On-Screen Display)メニューがある。
【0018】
図4に示すように、主機器(機器1)は、ネットワーク設定の再設定操作を検出すると、該再設定操作の開始を通知する再設定開始コマンドをリミテッドブロードキャスト等により各副機器(機器2、3’、4〜n)へ送信する。再設定開始コマンドには、該再設定開始コマンドを識別するための識別子(以下、操作IDと称す)を付与する。操作IDは、再設定操作(再設定開始コマンド)毎に異なる数値であればよく、例えばネットワーク設定の再設定操作回数等のようなユニークな番号を用いればよい。
副機器(機器2、3’、4〜n)は、再設定開始コマンドを受信すると、該再設定開始コマンドに付与された操作IDを抽出し、該操作IDを保存する。また、副機器(機器2、3’、4〜n)は、該操作IDに基づき、受信した再設定開始コマンドに対応するネットワーク設定処理が既に完了しているか否かを判定する。既に完了した設定処理でない場合、副機器(機器2、3’、4〜n)は、各々のスイッチ14を用いてCPU13と後段通信ポート12との通信をそれぞれ切断する。既に完了した設定処理である場合、副機器(機器2、3’、4〜n)は何も処理を実行しない。
【0019】
主機器(機器1)は、再設定開始コマンドを送信すると、該再設定開始コマンドの操作IDと機器2のネットワーク設定情報とを含む、ネットワーク設定を指示するネットワーク設定コマンドをリミテッドブロードキャスト等で送信する。このとき、機器2ではCPU13と後段通信ポート12との通信が切断されているため、該ネットワーク設定コマンドは機器3’、4〜nには送達せず、機器2のみが受信する。
機器2は、機器1からネットワーク設定コマンドを受信すると、該コマンドに含まれる操作IDを抽出し、該抽出した操作IDに対応するネットワーク設定処理が既に完了しているか否かを判定する。既に完了した設定処理でない場合、機器2は、ネットワーク設定コマンドと共に受信した機器2のネットワーク設定情報と自機が保存しているネットワーク設定情報とを比較する。この場合、機器1から受信したネットワーク設定情報と自機のネットワーク設定情報とが一致するため、ネットワーク設定を変更する必要が無い。したがって、機器2は、ネットワーク設定コマンドから抽出した操作IDに対応するネットワーク設定の処理完了を記録する。また、機器2は、スイッチ14を用いてCPU13と後段通信ポート12とを接続し、後段の機器3’との通信を可能にした後、機器1にネットワーク設定の処理完了を示す応答パケットを返送する。
【0020】
主機器(機器1)は、機器2からの応答パケットを受信すると、その後段の機器3のネットワーク設定情報と直前に送信した再設定開始コマンドの操作IDとを含むネットワーク設定コマンドをリミテッドブロードキャスト等で送信する。このネットワーク設定コマンドは機器2と機器3’とが受信する。
機器2は、機器1からネットワーク設定コマンドを受信すると、該コマンドに含まれる操作IDを抽出し、抽出した操作IDに対応するネットワーク設定処理が既に完了しているか否かを判定する。この場合、該操作IDに対応するネットワーク設定の処理完了が記録されているため、機器2は該コマンドに対する処理を実行しない。
【0021】
機器3’は、機器1からネットワーク設定コマンドを受信すると、機器2と同様に、該ネットワーク設定コマンドに含まれる操作IDを抽出し、抽出した操作IDに対応するネットワーク設定処理が既に完了しているか否かを判定する。既に完了した設定処理でない場合、機器3’は、ネットワーク設定コマンドと共に受信した機器3のネットワーク設定情報と自機が保存しているネットワーク設定情報とを比較する。この場合、受信した機器3のネットワーク設定情報と自機が保存しているネットワーク設定情報とが異なるため、機器3’は、自機のネットワーク設定を機器1から受信した機器3のネットワーク設定情報に基づいて変更する。また、機器3’は、受信したネットワーク設定コマンドの操作IDに対応するネットワーク設定の処理完了を記録する。さらに、機器3’は、スイッチ14を用いてCPU13と後段通信ポート12とを接続し、後段の機器4との通信を可能にした後、機器1にネットワーク設定の処理完了を示す応答パケットを返送する。
【0022】
以降、主機器(機器1)は、機器4から機器nに対して上記機器2及び機器3’と同様の処理を順次実行する。一方、各副機器(機器4〜n)は上記機器2及び機器3’と同様の処理をそれぞれ実行する。その結果、機器3’では交換前に設置されていた機器3のネットワーク設定に自動で変更される。
【0023】
本発明によれば、ネットワークシステムを構成する一部の副機器を交換した場合、交換後の副機器に交換前の副機器のネットワーク設定を引き継がせる。そのため、特許文献1に記載された技術のように、副機器として接続可能な全ての機器について、該機器を識別するための名称や識別子とネットワーク設定情報とを関連付けて保存する必要がない。
また、本発明では、主機器で各副機器のネットワーク設定情報を保存しておき、副機器を交換したとき、主機器から各副機器にそれぞれのネットワーク設定情報を順次送信し、各副機器にネットワーク設定の変更要否を判定させる。そのため、ネットワーク設定の変更(再設定)が必要な交換後の副機器は、交換前の副機器のネットワーク設定情報にしたがって自機のネットワーク設定を変更する。したがって、機器毎のネットワーク設定を自動で簡易に変更できる。
よって、ネットワーク設定に必要な情報量を増大させることなく、機器毎のネットワーク設定を自動で簡易に再設定できる。
【符号の説明】
【0024】
1〜n、3’ 機器
11 前段通信ポート
12 後段通信ポート
13 CPU
14 スイッチ