特許第6508751号(P6508751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6508751-荷役車両 図000002
  • 特許6508751-荷役車両 図000003
  • 特許6508751-荷役車両 図000004
  • 特許6508751-荷役車両 図000005
  • 特許6508751-荷役車両 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6508751
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20190422BHJP
   B60K 26/04 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   B66F9/24 W
   B60K26/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-39795(P2018-39795)
(22)【出願日】2018年3月6日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲田 真基
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−050185(JP,A)
【文献】 特開昭61−258944(JP,A)
【文献】 特開2003−054899(JP,A)
【文献】 特開2002−186118(JP,A)
【文献】 特開平04−116245(JP,A)
【文献】 特開2002−114141(JP,A)
【文献】 特開平06−137205(JP,A)
【文献】 特開2004−293441(JP,A)
【文献】 特開平11−209098(JP,A)
【文献】 特開昭63−106147(JP,A)
【文献】 米国特許第04862362(US,A)
【文献】 実開平04−047149(JP,U)
【文献】 特開2007−099413(JP,A)
【文献】 特開2010−190063(JP,A)
【文献】 特開2010−116820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00─11/04
B60K 25/00─28/16
F02D 29/00─29/06
F02D 43/00─45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に走行可能な車両本体と、
前記車両本体の走行時の加速量を指示するために操作されるアクセル操作装置と、
前記アクセル操作装置の操作量を検出する操作量検出装置と、
前記操作量に応じて前記車両本体を走行させる走行制御装置と、
前記加速量を指示する以外の目的のために操作される他の操作装置と、
モード切替操作装置と、を備え、
前記走行制御装置が、前記操作量に応じて前記車両本体を走行させる通常モードと、前記他の操作装置の操作に基づいて前記車両本体を走行させる非常モードとに切り替え可能に構成され、前記モード切替装置は、前記通常モードと前記非常モードとを切り替えるために操作され、
前記走行制御装置は、前記操作量検出装置に異常が生じ、前記通常モードから前記非常モードに切り替えられたとき、前記操作量に応じた前記車両本体の走行を禁止し、前記他の操作装置の操作に基づいて前記車両本体を走行させ
前記他の操作装置は、前記車両本体を前進させるための前進指示状態と、前記車両本体を後進させるための後進指示状態と、前記車両本体を走行させないための中立状態とに切り替え可能に構成されたレバーにより構成され、
前記走行制御装置は、前記非常モードにおいて、前記レバーが前記前進指示状態であるとき前記車両本体を前進させ、前記レバーが前記後進指示状態であるとき前記車両本体を後進させ、
前記通常モードから前記非常モードへ切り替える操作が行われた時点で前記レバーが前記前進指示状態または前記後進指示状態であるとき、前記走行制御装置は、前記レバーが前記前進指示状態または前記後進指示状態から前記中立状態に移行するまでの間、前記車両本体の走行を停止させる
ことを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記走行制御装置は、前記非常モードにおいて、前記通常モードであるときに比べて前記車両本体の走行速度を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル操作装置を備えた荷役車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フォークリフト等の荷役車両は、前後方向に走行可能な車両本体と、車両本体の走行時の加速量を指示するために操作されるアクセル操作装置と、アクセル操作装置の操作量を検出する操作量検出装置と、操作量に応じて車両本体を走行させる走行制御装置とを備えている。アクセル操作装置は、例えば、オペレータが足で踏み込むアクセルペダルにより構成され、走行制御装置は、アクセルペダルの操作量(すなわち踏込量)に応じて加速するように車両本体を走行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−209098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、操作量検出装置が故障した場合、すなわち操作量検出装置に異常が生じたことで操作量が検出できなくなった場合は、車両本体が暴走しないように、走行制御装置はアクセル操作装置の操作量に関係なく車両本体の走行を禁止することが一般的である。
【0005】
しかしながら、荷役車両の使用中に操作量検出装置が故障した場合、そのメンテナンス(修理)を行う者は、走行を停止している荷役車両の場所に赴く必要があり、メンテナンスを行うのに手間が掛かっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、操作量検出装置に異常が生じた場合のメンテナンスの容易性を向上させることができる荷役車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の荷役車両は、前後方向に走行可能な車両本体と、前記車両本体の走行時の加速量を指示するために操作されるアクセル操作装置と、前記アクセル操作装置の操作量を検出する操作量検出装置と、前記操作量に応じて前記車両本体を走行させる走行制御装置と、前記加速量を指示する以外の目的のために操作される他の操作装置と、モード切替操作装置と、を備え、前記走行制御装置が、前記操作量に応じて前記車両本体を走行させる通常モードと、前記他の操作装置の操作に基づいて前記車両本体を走行させる非常モードとに切り替え可能に構成され、前記モード切替装置は、前記通常モードと前記非常モードとを切り替えるために操作され、前記走行制御装置は、前記操作量検出装置に異常が生じ、前記通常モードから前記非常モードに切り替えられたとき、前記操作量に応じた前記車両本体の走行を禁止し、前記他の操作装置の操作に基づいて前記車両本体を走行させ、前記他の操作装置は、前記車両本体を前進させるための前進指示状態と、前記車両本体を後進させるための後進指示状態と、前記車両本体を走行させないための中立状態とに切り替え可能に構成されたレバーにより構成され、前記走行制御装置は、前記非常モードにおいて、前記レバーが前記前進指示状態であるとき前記車両本体を前進させ、前記レバーが前記後進指示状態であるとき前記車両本体を後進させ、前記通常モードから前記非常モードへ切り替える操作が行われた時点で前記レバーが前記前進指示状態または前記後進指示状態であるとき、前記走行制御装置は、前記レバーが前記前進指示状態または前記後進指示状態から前記中立状態に移行するまでの間、前記車両本体の走行を停止させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の荷役車両は、請求項1に記載の荷役車両において、前記走行制御装置は、前記非常モードにおいて、前記通常モードであるときに比べて前記車両本体の走行速度を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作量検出装置に異常が生じた場合のメンテナンスの容易性を向上させることができる荷役車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る荷役車両の概略構成を示す側面図である。
図2】同実施形態に係る荷役車両の概略構成を示すブロック図である。
図3】通常モードにおいて走行を開始する際の流れを示すフローチャートである。
図4】非常モードにおいて走行を開始する際の流れを示すフローチャートである。
図5】通常モードから非常モードに切り替える際の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、荷役車両1は、前後方向に走行可能な車両本体10と、車両本体10の前方に設けられた荷役装置20とを備えている。荷役車両1は、バッテリ式のカウンターバランスフォークリフトである。すなわち、荷役車両1は、電動モータの駆動によって走行および荷役に必要なエネルギーを得る。
【0015】
荷役車両1は、車両本体10に設けられる要素として、荷役車両1を運転するオペレータが着席する運転席11と、ステアリングハンドル12と、ブレーキペダル13と、アクセルペダル14と、ディレクショナルレバー15と、タッチパネルディスプレイ16とを備えている。
【0016】
ステアリングハンドル12は、車両本体10の進行方向を調整するためにオペレータにより操作される操舵装置を構成している。
ブレーキペダル13は、車両本体10の走行時の減速量を指示するためにオペレータにより操作されるブレーキ操作装置を構成している。
アクセルペダル14は、車両本体10の走行時の加速量を指示するためにオペレータにより操作されるアクセル操作装置を構成している。
【0017】
ディレクショナルレバー15(以下、「Dレバー15」という)は、車両本体10の進行方向を切り替えるためにオペレータにより操作される前後進切替操作装置を構成している。Dレバー15は、当該Dレバー15の傾き角が変化するように操作されることによって、車両本体10を前進させるための前進指示状態と、車両本体10を後進させるための後進指示状態と、車両本体10を走行させないための中立状態とに切り替え可能に構成されている。Dレバー15は、前進指示状態および後進指示状態の一方から他方に移行する際、中立状態に一旦移行するように構成されている。
【0018】
タッチパネルディスプレイ16は、入力装置および出力装置を兼ねており、オペレータおよび荷役車両1をメンテナンスする者に種々の情報を表示する表示装置を構成するとともに、後述する通常モードと非常モードとを切り替えるために操作されるモード切替操作装置を構成している。通常モードから非常モードへの切り替えは、後述するアクセルセンサ31に異常が生じているときのみ可能とすることが好ましい。
【0019】
また、荷役車両1は、荷役装置20を構成する要素として、荷役用のフォーク21と、フォーク21を昇降させるリフト装置22と、リフト装置22およびフォーク21を後傾させるチルト装置23とを備えている。
【0020】
また、図2に示すように、荷役車両1は、車両本体10に設けられる要素として、アクセルセンサ31と、車両本体10の走行を制御する走行制御装置32とを備えている。
【0021】
アクセルセンサ31は、アクセルペダル14の操作量(踏込量)を検出する操作量検出装置を構成している。アクセルセンサ31が故障しているか否か、すなわちアクセルセンサ31が踏込量を検出できるか否かは、アクセルセンサ31の出力電圧に基づいて判定することが可能である。具体的には、アクセルセンサ31が故障していないとき、すなわちアクセルセンサ31が正常に動作しているとき、アクセルセンサ31は所定範囲内の電圧を出力するため、アクセルセンサ31の出力電圧が所定範囲に収まらない場合は、アクセルセンサ31が故障している、すなわち、アクセルセンサ31に異常が生じていると判定することができる。
【0022】
走行制御装置32は、アクセルセンサ31からの出力電圧(操作量の検出結果)に基づき、アクセルペダル14の操作量(踏込量)に応じて車両本体10を走行させる。走行制御装置32は、踏込量が大きいほど早く加速するように車両本体10を走行させる。また、走行制御装置32は、アクセルセンサ31に異常が生じているとき、アクセルペダル14の操作量に応じた車両本体10の走行を禁止し、Dレバー15の操作に基づいて車両本体10を走行させる。すなわち、走行制御装置32は、アクセルペダル14の操作量に応じて車両本体10を走行させる通常モードと、Dレバー15の操作に基づいて車両本体10を走行させる非常モードとに切り替え可能に構成されており、通常モードであるときは、踏込量に応じて車両本体10を走行させ、アクセルセンサ31に異常が生じ、通常モードから非常モードに切り替えられたとき、踏込量に応じた車両本体10の走行を禁止し、Dレバー15の操作に基づいて車両本体10を走行させる。
【0023】
また、走行制御装置32は、非常モードにおいて、通常モードであるときに比べて車両本体10の走行速度を制限する。具体的には、例えば、走行制御装置32は、通常モードでは走行速度が時速15kmを超えないように車両本体10の走行を制御し、非常モードでは走行速度が時速5kmを超えないように車両本体10の走行を制御する。
【0024】
図3を参照して、通常モードにおいて荷役車両1が走行を開始する際の動作の流れの一例を説明する。
まず、走行制御装置32は、Dレバー15の状態を検出し(ステップS1)、次いで、アクセルセンサ31が、アクセルペダル14の操作量(踏込量)を検出する(ステップS2)。そして、走行制御装置32は、ステップS1で検出したDレバー15の状態が、前進指示状態であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0025】
走行制御装置32は、Dレバー15の状態が前進指示状態であるとステップS3で判断した場合、ステップS2で検出した踏込量に応じて車両本体10を前進させる(ステップS4)。一方、走行制御装置32は、Dレバー15の状態が前進指示状態でないとステップS3で判断した場合、ステップS1で検出したDレバー15の状態が、後進指示状態であるか否かを判断する(ステップS5)。
【0026】
走行制御装置32は、Dレバー15の状態が後進指示状態であるとステップS5で判断した場合、ステップS2で検出した踏込量に応じて車両本体10を後進させる(ステップS6)。一方、走行制御装置32は、Dレバー15の状態が後進指示状態でないとステップS5で判断した場合、Dレバー15の状態が中立状態であると判断し、車両本体10を走行させない。
【0027】
以上のように、通常モードの走行制御装置32は、アクセルペダル14が操作されると、Dレバー15によって指定された方向に車両本体10を走行させ、アクセルペダル14の操作量に応じて車両本体10を加速させる。
【0028】
図4を参照して、非常モードにおいて荷役車両1が走行を開始する際の動作の流れの一例を説明する。
まず、走行制御装置32は、Dレバー15の状態を検出する(ステップS11)。そして、走行制御装置32は、ステップS11で検出したDレバー15の状態が、前進指示状態であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0029】
走行制御装置32は、Dレバー15の状態が前進指示状態であるとステップS12で判断した場合、車両本体10を前進させる(ステップS13)。なお、このとき、走行制御装置32は、通常モードでアクセルペダル14の踏込量が最大であるときと同様に車両本体10を加速させる。一方、走行制御装置32は、Dレバー15の状態が前進指示状態でないとステップS12で判断した場合、ステップS11で検出したDレバー15の状態が、後進指示状態であるか否かを判断する(ステップS14)。
【0030】
走行制御装置32は、Dレバー15の状態が後進指示状態であるとステップS14で判断した場合、車両本体10を後進させる(ステップS15)。なお、このとき、走行制御装置32は、通常モードでアクセルペダル14の踏込量が最大であるときと同様に車両本体10を加速させる。一方、走行制御装置32は、Dレバー15の状態が後進指示状態でないとステップS14で判断した場合、Dレバー15の状態が中立状態であると判断し、車両本体10を走行させない。
【0031】
以上のように、非常モードの走行制御装置32は、アクセルペダル14の操作に関係なく、Dレバー15が中立状態から前進指示状態または後進指示状態に移行するように操作されたことに基づいて車両本体10を走行させる。
【0032】
図5を参照して、通常モードから非常モードに切り替える際の流れを説明する。
まず、走行制御装置32が、アクセルセンサ31の出力電圧に基づいて、アクセルセンサ31に生じている異常を検知し(ステップS21)、アクセルペダル14の操作に基づく車両本体10の走行を禁止する(ステップS22)。
【0033】
次いで、走行制御装置32は、タッチパネルディスプレイ16を用いて、通常モードから非常モードへ切り替えるためのモード切替操作が行われたか否かを判断する(ステップS23)。走行制御装置32は、モード切替操作が行われなかったとステップS23で判断した場合、車両本体10の走行を禁止することを維持する。
【0034】
一方、走行制御装置32は、モード切替操作が行われたとステップS23で判断した場合、Dレバー15が中立状態であるか否かを判断する(ステップS24)。走行制御装置32は、Dレバー15が前進指示状態または後進指示状態であるとステップS24で判断した場合、当該ステップS24の判断を繰り返す。すなわち、ステップS24の判断は、Dレバー15が中立状態に移行するまで繰り返される。一方、走行制御装置32は、Dレバー15が中立状態であるとステップS24で判断した場合、通常モードから非常モードに移行する(ステップS25)。
【0035】
以上のようにして、アクセルセンサ31の異常が検知され、タッチパネルディスプレイ16を用いて通常モードから非常モードへのモード切替操作が行われると、走行制御装置32は、通常モードから非常モードに移行する。また、走行制御装置32は、通常モードから非常モードへのモード切替操作が行われた時点でDレバー15が前進指示状態または後進指示状態であるとき、Dレバー15が前進指示状態または後進指示状態から中立状態に移行するまでの間、車両本体10の走行を停止させる。
【0036】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)アクセルセンサ31に異常が生じているとき、アクセルペダル14の操作量に応じた車両本体10の走行が禁止されることで、車両本体10が暴走を防止することができる。また、アクセルセンサ31に異常が生じているとき、Dレバー15の操作に基づいて車両本体10が走行することで、アクセルセンサ31のメンテナンス(修理)を行うのに利便性の良い場所まで、荷役車両1を移動させることができる。したがって、アクセルセンサ31に異常が生じた場合のメンテナンスの容易性を向上させることができる。また、アクセルセンサ31が故障した荷役車両1を任意の位置に退避させることができる。
【0037】
(2)タッチパネルディスプレイ16を用いて通常モードから非常モードに切り替えられたとき、Dレバー15の操作に基づく車両本体10の走行が可能となるため、モード切替操作を知得した限られた者だけに、アクセルセンサ31の故障時に車両本体10を走行させることを許可することができる。
【0038】
(3)非常モードにおいて車両本体10を走行させるための操作装置は、Dレバー15であるため、非常モードにおいて車両本体10を走行させる者は、直感的に車両本体10を前後方向に走行させることができる。
【0039】
(4)通常モードから非常モードへのモード切替操作が行われた時点でDレバー15が前進指示状態または後進指示状態であるとき、Dレバー15が前進指示状態または後進指示状態から中立状態に移行するまでの間、走行制御装置32が、車両本体10の走行を停止させることで、モード切替操作の完了と同時に車両本体10が走行を開始することを防止することができる。
【0040】
(5)走行制御装置32は、非常モードにおいて、通常モードであるときに比べて車両本体10の走行速度を制限するため、非常モードであるときは車両本体10を低速で安全に走行させることができる。
【0041】
(6)走行制御装置32は、非常モードにおいて、通常モードでアクセルペダル14の踏込量が最大であるときと同様に車両本体10を加速させるため、車両本体10が走行するためのトルクを確実に確保することができる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を適宜組み合わせてもよい。
【0043】
・非常モードにおいて車両本体10を走行させるための操作装置は、Dレバー15に限定されず、加速量を指示する以外の目的のために操作される操作装置であればよく、例えば、Dレバー15に代えて、2つの押しボタンスイッチ、または、1つのロッカースイッチもしくはトグルスイッチを用いてもよい。具体的には、例えば、走行制御装置32は、非常モードにおいて、前照灯をオン/オフする押しボタンスイッチ(不図示)の操作に基づいて、車両本体10を前進させ、尾灯(不図示)をオン/オフする押しボタンスイッチの操作に基づいて、車両本体10を後進させてもよい。
【0044】
・アクセルセンサ31の異常が検知されたとき、通常モードから非常モードへ自動的に切り替わってもよい。すなわち、タッチパネルディスプレイ16を用いたモード切替操作を行うことなく、走行制御装置32が通常モードから非常モードに切り替わってもよい。また、タッチパネルディスプレイ16以外の操作装置により、モード切替操作装置を構成してもよい。
【0045】
・アクセルセンサ31に異常が検知されていないときにも、通常モードから非常モードへの切り替えを可能にしてもよい。すなわち、本発明は、走行制御装置32が、アクセルセンサ31に異常が生じていないときに、アクセルペダル14以外の他の操作装置に基づいて車両本体10を走行させることを否定するものではない。
【0046】
・リーチフォークリフトやエンジン式のフォークリフトに本発明を適用してもよい。また、フォークリフト以外の荷役車両(例えばピックアップリフト)に本発明を適用してもよい。すなわち、アクセル操作装置は、アクセルペダル14に限られず、例えばアクセルレバーにより構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 荷役車両
10 車両本体
14 アクセルペダル(アクセル操作装置)
15 ディレクショナルレバー(他の操作装置)
16 タッチパネルディスプレイ(モード切替操作装置)
31 アクセルセンサ(操作量検出装置)
32 走行制御装置
【要約】
【課題】操作量検出装置に異常が生じた場合のメンテナンスの容易性を向上させることができる荷役車両を提供する。
【解決手段】荷役車両1は、前後方向に走行可能な車両本体と、車両本体の走行時の加速量を指示するために操作されるアクセルペダル14と、アクセルペダル14の操作量を検出するアクセルセンサ31と、アクセルペダル14の操作量に応じて車両本体を走行させる走行制御装置32と、加速量を指示する以外の目的のために操作されるディレクショナルレバー15とを備える。走行制御装置32は、アクセルセンサ31に異常が生じているとき、アクセルペダル14の操作量に応じた車両本体の走行を禁止し、ディレクショナルレバー15の操作に基づいて車両本体を走行させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5