(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6508794
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】傘
(51)【国際特許分類】
A45B 25/22 20060101AFI20190422BHJP
A45B 25/02 20060101ALI20190422BHJP
A45B 25/18 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
A45B25/22
A45B25/02 A
A45B25/18 F
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-217198(P2018-217198)
(22)【出願日】2018年11月20日
【審査請求日】2018年11月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518413273
【氏名又は名称】湯浅 義裕
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 義裕
【審査官】
遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−197511(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3121439(JP,U)
【文献】
実開昭56−073415(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3190780(JP,U)
【文献】
特開2003−079415(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3110995(JP,U)
【文献】
米国特許第09538819(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0137682(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102105079(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 25/22
A45B 25/02
A45B 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中棒と、持ち手と、第1の下ろくろと、第2の下ろくろと、第1の上ろくろと、第2の上ろくろと、石突と、を有し、
前記中棒の一方の端部側から他方の端部側へと、前記持ち手、前記第1の下ろくろと、前記第2の下ろくろと、前記第1の上ろくろと、前記第2の上ろくろと、前記石突とが配置され、
前記第1の上ろくろは、前記中棒に固定され、
前記第1の下ろくろ、前記第2の下ろくろ及び前記第2の上ろくろは、前記中棒に対して摺動可能に設けられ、
前記第2の下ろくろと前記第1の上ろくろとの間に第1の圧縮スプリングが配置され、
前記第2の上ろくろと前記石突との間に第2の圧縮スプリングが配置されており、
前記第1の下ろくろには、第1の受骨が接続され、
前記第1の上ろくろには、第1の親骨が接続され、
前記第1の受骨は、第1のダボを介して前記第1の親骨に接続され、
前記第1の親骨には、前記第1のダボより下方側に第1の傘布が張られており、
前記第2の下ろくろには、第2の受骨が接続され、
前記第2の上ろくろには、第2の親骨が接続され、
前記第2の受骨は、第2のダボを介して前記第2の親骨に接続され、
前記第2の親骨の全面に、第2の傘布が張られており、
前記第2の傘布が前記中棒方向から風を受けた場合に、前記第1の圧縮スプリング136及び前記第2の圧縮スプリング138が縮み、前記第1の傘布と前記第2の傘布との間に間隙ができる、
傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘、特に強風時でも壊れにくい傘に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、風が強い日に傘を差していると、突風により傘の骨が曲がったり折れたりして使用不能になることがあった。
【0003】
そのため、傘の骨を折れにくい構造にする傘の開発が進められている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−023211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現行品の傘は、特に傘の中棒側から入ってきた風圧を、カバーが上手く逃がすことができず、親骨や受骨の負担が大きくなり、結果傘が破損するという問題点を有していた。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、その目的として、一つの側面では、傘の中棒側から強風を受けた際にも、傘の骨が折れにくい傘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る傘は、中棒と、持ち手と、第1の下ろくろと、第2の下ろくろと、第1の上ろくろと、第2の上ろくろと、石突と、を有し、前記中棒の一方の端部側から他方の端部側へと、前記持ち手、前記第1の下ろくろと、前記第2の下ろくろと、前記第1の上ろくろと、前記第2の上ろくろと、前記石突とが配置され、前記第1の上ろくろは、前記中棒に固定され、前記第1の下ろくろ、前記第2の下ろくろ及び前記第2の上ろくろは、前記中棒に対して摺動可能に設けられ、前記第2の下ろくろと前記第1の上ろくろとの間に第1の圧縮スプリングが配置され、前記第2の上ろくろと前記石突との間に第2の圧縮スプリングが配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、一つの側面では、傘の中棒側から強風を受けた際にも、傘の骨が折れにくい傘を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態に係る傘の主要部の通常時の状態を説明するための概略正面図である。
【
図3】本実施形態に係る傘の主要部の強風受け時の状態を説明するための概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図を参照して本実施形態に係る傘について詳細に説明する。
図1に、本実施形態に係る傘の概略正面図を示す。なお、本明細書においては、傘の下方とは、傘を差した場合に地面側を、傘の上方とは傘を差した場合の空側を意味する。
【0011】
(傘の概略構成)
図1に示すように、本実施形態に係る傘100は、中棒を有する。中棒は、その下方端部側から順に、ハンドル102(持ち手)と、第1の下ろくろ104と、第2の下ろくろ106と、第1の上ろくろ108と、第2の上ろくろ110と、が設けられ、中骨の上方端部には、石突112が設けられている。
【0012】
第1の下ろくろ104、第2の下ろくろ106及び第2の上ろくろ110は、通常、中棒に対して摺動自在に嵌合された筒状構造を有しており、各々、中棒が挿嵌されている。
【0013】
一方、第1の上ろくろ108は、中棒が挿嵌される筒状構造を有しているが、通常、中棒に対して固定されている。
【0014】
第1の下ろくろ104は、第1の受骨114が接続されており、また、第1の上ろくろ108は、第1の親骨116が接続されている。第1の受骨114は、第1の親骨116上に設けられた第1のダボ122(ジョイント)を介して第1の親骨116に接続されている。即ち、第1の下ろくろ104は、第1の親骨116と第1の受骨114からなるリンク機構を介して接続されており、第1の下ろくろ104と第1の上ろくろ108とは、所定の自由度の範囲内だけ間隔が変化できる。
【0015】
また、第2の下ろくろ106は、第2の受骨118が接続されており、また、第2の上ろくろ110は、第2の親骨120が接続されている。第2の受骨118は、第2の親骨120上に設けられた第2のダボ(ジョイント)を介して第2の親骨120に接続されている。即ち、第2の下ろくろ106は、第2の親骨120と第2の受骨118からなるリンク機構を介して接続されており、第2の下ろくろ106と第2の上ろくろ110とは、所定の自由度の範囲内だけ間隔が変化できる。
【0016】
第1の親骨116は、第1のダボ122から下方側に第1の傘布126が張られており、第1の親骨116の下方側端部には、露先130が設けられている。そして、第2の親骨120には、全面に亘って第2の傘布128が張られている。通常、第2の傘布が張られている第2の親骨120の長さは、第1の上ろくろ108と第1のダボ122までの長さよりも長く設計されており、これにより、第1の傘布及び第2の傘布が、傘100の防雨面全域を覆うこととなる。
【0017】
また、第2の下ろくろ106と第1の上ろくろ108との間には、第1の圧縮スプリング136が配置され、第2の上ろくろ110と石突112との間には、第2の圧縮スプリング138が配置されている。なお、第2圧縮スプリング138は、第2の上ろくろ110と石突112とを接続することが好ましい。第2の上ろくろ110と石突112とを接続するように第2圧縮スプリング138を配置することで、本実施形態に係る傘100を開いた際に、第2の上ろくろ110が、中棒を軸として回転することを抑制することができる。また、本実施形態に係る傘100全体の部品数を少なくすることもできる。
【0018】
また、中棒には通常、傘100を全閉状態及び全開状態を維持するためのストッパーとして、下方側から、下はじき132及び上はじき134が設けられている。
【0019】
(傘100の使用状態の説明)
次に、
図2及び
図3を参照して、本実施形態に係る傘100を使用する方法について、説明する。
図2に、本実施形態に係る傘100の主要部の通常時の状態を説明するための概略正面図を示す。また、
図3に、本実施形態に係る傘100の主要部の強風受け時の状態を説明するための概略正面図を示す。なお、通常時とは、傘100を使用している際に、無風状態又は実質的に無風の微風状態等を意味する。
【0020】
先ず、本実施形態に係る傘100を全閉状態から使用する場合、使用者は、第1の下ろくろ104を第2の下ろくろ106ごと押し上げることで、第1の傘布及び第2の傘布が押し広げられる。そして、第1の下ろくろ104及び第2の下ろくろ106は、上はじき134に係止され、本実施形態に係る傘100は、
図2に示されるような、通常時の前開状態となる。この際、第1の圧縮スプリング136の弾性力により第1の下ろくろ104の上面と、第2の下ろくろ106の下面とは接するように、第2の圧縮スプリング138の弾性力により第1の上ろくろ108の上面と、第2の上ろくろ110の下面とは接するように、位置される。
【0021】
ここで、
図2に示す通常時の傘100に対して、中棒方向から強風を受けた場合について
図3を参照して説明する。本実施形態に係る傘100は、第1の下ろくろ104、第1の上ろくろ108、第1の親骨116、第1の受骨114を含む傘100構造体と、第2の下ろくろ106、第2の上ろくろ110、第2の親骨120、第2の受骨118を含む傘100構造体とで、2分割されている。そして、前述したように、第1の上ろくろ108は、中棒に対して固定されている。そのため、本実施形態に係る傘100が中棒方向から強風を受けると、第2の傘布が風から受ける風圧により、風を逃がすために第1の圧縮スプリング136及び第2の圧縮スプリング138が縮む。これにより、第1の傘布126と第2の傘布128との間に間隙ができ、風圧を
図3に示す矢印方向に逃がすことができる。これにより、第1の親骨116、第2の親骨120、第1の受骨114及び第2の受骨118の負担を減らすことができ、傘100本体が壊れにくいという利点を有する。そして、風が止んだ場合には、第1の圧縮スプリング136及び第2の圧縮スプリング138の弾性力及び重力により、元の状態に戻る力が働き、
図2に示した通常時の状態へと戻る。
【0022】
以上、本実施形態に係る傘は、上述した構造を採用することにより、中骨側から強風を受けた場合であっても、第1の傘布と第2の傘布との間に間隙ができ、風圧を逃がすことができるため、傘布が風圧をまともに受けずに済み、傘の破壊等の事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0023】
100 傘
102 ハンドル
104 第1の下ろくろ
106 第2の下ろくろ
108 第1の上ろくろ
110 第2の上ろくろ
112 石突
114 第1の受骨
116 第1の親骨
118 第2の受骨
120 第2の親骨
122 第1のダボ
124 第2のダボ
126 第1の傘布
128 第2の傘布
130 露先
132 下はじき
134 上はじき
136 第1の圧縮スプリング
138 第2の圧縮スプリング
【要約】 (修正有)
【課題】傘の中棒側から強風を受けた際にも、傘の骨が折れにくい傘を提供する。
【解決手段】中棒と、持ち手102と、第1の下ろくろ104と、第2の下ろくろ106と、第1の上ろくろ108と、第2の上ろくろ110と、石突112と、を有し、前記中棒の一方の端部側から他方の端部側へと、前記持ち手102、前記第1の下ろくろ104と、前記第2の下ろくろ106と、前記第1の上ろくろ108と、前記第2の上ろくろ110と、前記石突112とが配置され、前記第1の上ろくろ108は、前記中棒に固定され、前記第1の下ろくろ104、前記第2の下ろくろ106及び前記第2の上ろくろ110は、前記中棒に対して摺動可能に設けられ、前記第2の下ろくろ106と前記第1の上ろくろ108との間に第1の圧縮スプリング136が配置され、前記第2の上ろくろ110と前記石突112との間に第2の圧縮スプリング138が配置されている。
【選択図】
図1