特許第6508807号(P6508807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6508807
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/12 20060101AFI20190422BHJP
   F04C 18/356 20060101ALI20190422BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20190422BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20190422BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   F04C29/12 C
   F04C18/356 G
   F04C23/00 F
   F04C29/00 S
   F04B39/00 102U
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-211810(P2014-211810)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-79886(P2016-79886A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】藥師寺 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】小川 真
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/078355(WO,A1)
【文献】 特開平09−137788(JP,A)
【文献】 特開2011−080377(JP,A)
【文献】 特開2010−275969(JP,A)
【文献】 特開2013−119817(JP,A)
【文献】 特開平08−219055(JP,A)
【文献】 特開昭61−046869(JP,A)
【文献】 特開2011−089448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/12
F04B 39/00
F04C 18/356
F04C 23/00
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサ本体とアキュムレータとを接続する圧縮機用ブラケットであって、
前記コンプレッサ本体の外周面に固定される基部と、
前記基部の両端部から、前記基部の外側に向かって傾斜して設けられた一対の腕部と、
前記腕部の、前記基部との接続側とは反対側に設けられ、前記アキュムレータに線接触又は点接触により接触する部分に位置する接触部と、
を備え、
前記接触部には、曲げ部が形成されるとともに、凸部が設けられ、
前記凸部は、
前記曲げ部と、前記腕部及び前記基部の角部と、に形成される膨出部と、
前記腕部の長さ方向に沿って延びる突条と、を備えていることを特徴とする圧縮機用ブラケット。
【請求項2】
前記曲げ部は、前記一対の腕部同士が離反する外側に向けて湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機用ブラケット。
【請求項3】
前記腕部には、リブが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮機用ブラケット。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の圧縮機用ブラケットを用いたロータリ圧縮機であって、
前記コンプレッサ本体と、前記アキュムレータとは、前記圧縮機用ブラケットと、前記圧縮機用ブラケットの曲げ部に接続されるとともに前記アキュムレータの外周面に巻き回される帯部材と、前記帯部材の内側に配置された弾性シートと、により接続されていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項5】
前記腕部は、前記アキュムレータの接線方向に接触する傾斜をもって前記基部に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のロータリ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機や冷凍機等に用いられるロータリ圧縮機として、例えば特許文献1に記載されるように、シリンダと、シリンダ内に設けられ、偏心軸部の偏心量によって偏心回転が与えられるピストンロータと、を備え、2つのシリンダをセパレータにより仕切っている構造のものが知られている。
【0003】
このようなロータリ圧縮機100では、図8に示すように、密閉容器を構成するハウジング101の外周面にブラケット102を介してアキュムレータ103を取り付けた構造がある。ブラケット102は、基部106と、基部106の両端部から、基部106の外側に向かって傾斜して設けられた一対の腕部104、104と、を備え、それぞれの腕部104には、アキュムレータ103の外周面103aに一致する係止面104aが設けられている。ブラケット102は、腕部104の係止面104aをアキュムレータ103の外周面103aに当接させて面接触させるとともに、アキュムレータ103の外周面103aを巻き掛けた帯部材105の端部を一対の腕部104の先端に係止させることで、アキュムレータ103をハウジング101に固定する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−250477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロータリ圧縮機では、圧縮機の運転による加振力がアキュムレータに伝わると、アキュムレータが振動し、騒音を放射するという問題があった。この加振力はモータ磁気加振力及び脈動加振力と推定され、吸入脈動以外はコンプレッサ本体から発生する加振力であり、コンプレッサ本体からの振動伝播を抑制する必要があった。
【0006】
そして、アキュムレータとコンプレッサ本体との結合部分は、前述の図8に示すようなブラケット102、及びL字形状に屈曲する吸入管しかなく、吸入管の構造を変更させることは困難となっていた。
また、図8に示すような従来構造では,アキュムレータ103の外周面103aに対して、ブラケット102の腕部104の係止面104aとが面接触させる構成であるので、双方の接触面積が大きく、コンプレッサ本体の振動伝達率が大きくなってしまうことから、その点で改良の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、圧縮機用ブラケットの接触面積を低減することで、アキュムレータからの振動や騒音の発生を有効に抑制することができる圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る圧縮機用ブラケットでは、コンプレッサ本体とアキュムレータとを接続する圧縮機用ブラケットであって、前記コンプレッサ本体の外周面に固定される基部と、前記基部の両端部から、前記基部の外側に向かって傾斜して設けられた一対の腕部と、前記腕部の、前記基部との接続側とは反対側に設けられ、前記アキュムレータに線接触又は点接触により接触する部分に位置する接触部と、を備え、前記接触部には、曲げ部が形成されるとともに、凸部が設けられ、前記凸部は、前記曲げ部と、前記腕部及び前記基部の角部と、に形成される膨出部と、前記腕部の長さ方向に沿って延びる突条と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明では、基部をコンプレッサ本体およびアキュムレータのいずれか一方に固定した状態で、他方の外周面に腕部の接触部に形成される曲げ部の先端を接触させて取り付けることができる。これにより曲げ部が前記外周面に対して線接触となり、面接触の場合に比べて接触面積を低減することができる。したがって、コンプレッサ本体からアキュムレータへの振動伝達率を小さく抑えることが可能となり、アキュムレータの振動を低減することができ、アキュムレータから発生される放射音を低減することができる。
また、この場合には、接触部に設けられる凸部を、コンプレッサ本体およびアキュムレータのいずれか一方の外周面に接触させて取り付けることができる。これにより凸部が前記外周面に対して点接触となり、接触面積を面接触の場合に比べて低減することができる。したがって、コンプレッサ本体からアキュムレータへの振動伝達率を小さく抑えることが可能となり、アキュムレータの振動を低減することができ、アキュムレータから発生される放射音を低減することができる。
【0010】
また、本発明に係る圧縮機用ブラケットでは、前記曲げ部は、前記一対の腕部同士が離反する外側に向けて湾曲していることが好ましい。
【0011】
この場合には、外側に湾曲させた曲げ部に例えばアキュムレータの外周面に巻き回される帯部材を接続することができ、アキュムレータに対してより確実に取り付けることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係るロータリ圧縮機では、前記腕部には、リブが設けられていることが好ましい。
【0017】
この場合には、リブによって腕部の剛性を大きくすることができ、とくに低周波の加振力に対応させることができる。
【0018】
また、本発明に係るロータリ圧縮機は、上述した圧縮機用ブラケットを用いたロータリ圧縮機であって、前記コンプレッサ本体と、前記アキュムレータとは、前記圧縮機用ブラケットと、前記圧縮機用ブラケットの曲げ部に接続されるとともに前記アキュムレータの外周面に巻き回される帯部材と、前記帯部材の内側に配置された弾性シートと、により接続されていることを特徴としている。
【0019】
本発明では、アキュムレータの外周面に巻き回される帯部材が圧縮機用ブラケットの曲げ部に接続されることで、この圧縮機用ブラケットがアキュムレータに固定される。この状態において、帯部材の内側に弾性シートが配置されているので、この弾性シートのせん断変形によりアキュムレータの振動を低減することができ、アキュムレータから発生される放射音を低減することができる。
【0020】
また、本発明に係るロータリ圧縮機では、前記腕部は、前記アキュムレータの接線方向に接触する傾斜をもって前記基部に取り付けられていることが好ましい。
【0021】
この場合には、圧縮機用ブラケットの一対の腕部でアキュムレータの外周部を挟持するように接触させて取り付けることができる。この場合も前述のように弾性シートのせん断変形によりアキュムレータの振動を低減することができる。
腕部の傾斜部分がアキュムレータの接線方向に向けて延在しているので、アキュムレータの径方向に対して前記傾斜部分が直交することになる。そのため、アキュムレータの径方向の振動を効果的に抑制することができることから、とくに径方向の振動が大きな集中巻きモータにおいて振動の抑制効果を発揮することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機によれば、圧縮機用ブラケットの接触面積を低減することで、アキュムレータからの振動や騒音の発生を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態によるアキュムレータを備えた圧縮機の縦断面図である。
図2図1に示す圧縮機の要部斜視図である。
図3】圧縮機の構成を示す上面図である。
図4図3に示すブラケットの構成を示す斜視図である。
図5】第2の実施の形態による圧縮機の構成を示す上面図であって、図3に対応する図である。
図6】第3の実施の形態によるブラケットの構成を示した斜視図であって、図4に対応する図である。
図7】第4の実施の形態によるブラケットの構成を示した斜視図であって、図4に対応する図である。
図8】従来の圧縮機の要部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態による圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本実施の形態のロータリ圧縮機(以下、単に圧縮機1という)は、コンプレッサ本体10と、アキュムレータ2とを備えている。コンプレッサ本体10は、上下方向に中心軸を有した円筒状の密閉型のハウジング11内に、ディスク状のシリンダ20A、20Bが上下2段に設けられた、いわゆる2気筒タイプである。これら一対のシリンダ20A、20Bの中央部には、それぞれ、上下方向に軸線を有した円筒状のシリンダ内壁面20Sが形成されている。
【0026】
シリンダ20A、20Bの内方には、シリンダ内壁面20Sの内径よりも小さな外径を有した円筒状のピストンロータ21A、21Bが配置されている。ピストンロータ21A、21Bのそれぞれは、ハウジング11の中心軸に沿ったシャフト22の偏心軸部23A、23Bに挿入固定されている。これにより、シリンダ20A、20Bのシリンダ内壁面20Sとピストンロータ21A、21Bの外周面との間には、それぞれ三日月状の断面を有した空間Rが形成されている。
ここで、上段側のピストンロータ21Aと、下段側のピストンロータ21Bとは、その位相が互いに異なるように設けられている。
また、上下のシリンダ20A、20Bの間には、ディスク状のセパレータ24が設けられている。セパレータ24により、上段側のシリンダ20A内の空間Rと、下段側のシリンダ20Bの空間Rとが互いに連通せずに圧縮室R1と圧縮室R2とに仕切られている。
【0027】
上下のシリンダ20A、20Bには、圧縮室R1、R2を、それぞれ2つに区切るブレード(図示省略)が設けられている。このブレードは、シリンダ20A、20Bのそれぞれにおいて、シリンダ20A、20Bの径方向に延在して形成された挿入溝に、ピストンロータ21A、21Bに対して接近・離間する方向に進退自在に保持されている。そして、ブレードは、その後端部が、コイルバネによって押圧されており、先端部がピストンロータ21A、21Bに常に押し付けられている。
【0028】
図1に示したように、シャフト22は、上下のシリンダ20A、20Bにボルトによって固定された上下の軸受26A、26Bにより、その軸線周りに回動自在に支持されている。
そして、シャフト22には、ピストンロータ21A、21Bの内側に、シャフト22の中心軸から直交する方向にオフセットした偏心軸部23A、23Bが形成されている。偏心軸部23A、23Bは、ピストンロータ21A、21Bの内径よりもわずかに小さな外径を有している。これにより、シャフト22が回転すると、偏心軸部23A、23Bがシャフト22の中心軸周りに旋回し、上下のピストンロータ21A、21Bがシリンダ20A、20B内で、偏心転動する。このとき、ブレードは、コイルバネにより押圧されているため、先端部がピストンロータ21A、21Bの動きに追従して進退し、ピストンロータ21A、21Bに常に押し付けられる。
【0029】
シャフト22は、軸受26Aから上方に突出して延びており、その突出部には、シャフト22を回転させるためのモータ40のロータ41が設けられている。ロータ41の外周部に対向して、ステータ42が、ハウジング11の内周面に固定して設けられている。
【0030】
ハウジング11の側方には、シリンダ20A、20Bの外周面に対向する位置に、開口部12A、12Bが形成されている。シリンダ20A、20Bには、開口部12A、12Bに対向した位置に、シリンダ内壁面20Sの所定位置まで連通する吸入ポート30A、30Bが形成されている。
【0031】
ハウジング11の外部に、コンプレッサ本体10に供給するに先立ち冷媒を気液分離するためのアキュムレータ2が、圧縮機用ブラケット(以下、単にブラケット3という)を介してハウジング11に固定されている。
アキュムレータ2には、アキュムレータ2内の冷媒をコンプレッサ本体10に吸入させるための吸入管2A、2Bが設けられている。吸入管2A、2Bの先端部は、開口部12A、12Bを通して、吸入ポート30A、30Bに接続されている。
【0032】
このような圧縮機1においては、吸入口2aからアキュムレータ2内に冷媒を取り込み、アキュムレータ2内で冷媒を気液分離して、その気相を吸入管2A、2Bからシリンダ20A、20Bの吸入ポート30A、30Bを介し、シリンダ20A,20Bの内部空間である圧縮室R1、R2に供給する。
そして、ピストンロータ21A、21Bの偏心転動により、圧縮室R1、R2の容積が徐々に減少して冷媒が圧縮される。シリンダ20A、20Bの所定の位置には、冷媒を吐出する吐出穴(図示省略)が形成されており、この吐出穴にはリード弁(図示省略)が備えられている。これにより、圧縮された冷媒の圧力が高まると、リード弁を押し開き、冷媒をシリンダ20A、20Bの外部に吐出する。吐出された冷媒は、ハウジング11の上部に設けられた吐出管27から外部の図示しない配管に排出される。
【0033】
次に、コンプレッサ本体10(ハウジング11)の外周面にアキュムレータ2を固定するためのブラケット3の構造について、図面に基づいて詳細に説明する。
図2図4に示すように、ブラケット3は、略ハット形状からなる板状部材であって、ハウジング11の外周面に固定される基部31と、基部31の両端部から基部31の外側に向かって傾斜して設けられた一対の腕部32A、32Bと、腕部32A、32Bの、基部31との接続側とは反対側に設けられた接触部33と、を備えている。
接触部33は、一対の腕部32A、32B同士が離反する外側に向けて湾曲する曲げ部33A、33Bが形成されている。曲げ部33Aからさらに延びる先端部分には、継手部34A、34Bが設けられている。
【0034】
継手部34A、34Bには、アキュムレータ2の外周面を周方向に巻き回すベイルストラップ35(帯部材)の端部35A、35Bが接続される。ベイルストラップ35の一方の端部35Aは、カギ状の係止部をなし、他方の端部35Bがボルト36を挿通可能で、かつ第2継手部34Bに互いの面同士を重ね合わせ可能に形成されている。
【0035】
曲げ部33A、33Bは、一方の第1継手部34A側の曲げ部33Aが他方の第2継手部34B側の曲げ部33Bよりも曲げが大きく(曲率半径が小さく)なっている。第1継手部34Aには、ベイルストラップ35の第1端部35Aが係止され、第2継手部34Bには、同じく第2端部35Bが重ね合わせて係止され、ボルト36で固定されている。
【0036】
そして、一対の曲げ部33A、33Bのそれぞれ先端がアキュムレータ2の外周面に接触している。つまり、図3に示すように、ブラケット3は、腕部32A、32Bがアキュムレータ2の外周面に対して線接触した状態でアキュムレータ2に取り付けられている。
【0037】
また、図4に示すように、腕部32A、32Bの内側には、それぞれ腕部32A、32Bの延在方向に沿って延びる一対の縦リブ32aと、腕部32A、32Bから基部31にわたって設けられる角リブ32bと、が設けられている。これらリブ32a、32bを設けることで、ブラケット3の剛性が向上され、とくに低周波の加振力に対応させることができる。
【0038】
この場合、アキュムレータ2を取り付けたコンプレッサ本体10を運転することにより、その加振力がブラケット3を介してアキュムレータ2に伝播する。
【0039】
次に、上述した構成の圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機の作用について、図面に基づいて具体的に説明する。
図2及び図3に示すように、本実施の形態では、ブラケット3の基部31をコンプレッサ本体10に固定した状態で、アキュムレータ2の外周面に腕部32A、32Bの接触部33に形成される曲げ部33A、33Bの先端を接触させて取り付けることができる。これにより曲げ部33A、33Bがアキュムレータ2の外周面に対して線接触となり、面接触の場合に比べて接触面積を低減することができる。
したがって、コンプレッサ本体10からアキュムレータ2への振動伝達率を小さく抑えることが可能となり、アキュムレータ2の振動を低減することができ、アキュムレータ2から発生される放射音を低減することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、外側に湾曲させた曲げ部33A、33Bに対して、アキュムレータ2の外周面に巻き回されるベイルストラップ35を接続することができ、アキュムレータ2に対してより確実に取り付けることが可能となる。
【0041】
上述した本実施の形態による圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機では、ブラケット3の接触面積を低減することで、アキュムレータ2からの振動や騒音の発生を有効に抑制することができる効果を奏する。
【0042】
次に、本発明の圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機による他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
【0043】
(第2の実施の形態)
図5に示すように、第2の実施の形態による圧縮機1は、ブラケット3Aを接続するためのベイルストラップ35(帯部材)の内側に弾性シート37が貼着により配置された構成となっている。
また、本実施の形態のブラケット3Aでは、腕部32A、32Bがアキュムレータ2の接線方向(図5に示す二点鎖線E)に接触する傾斜をもって基部31に取り付けられている。
【0044】
第2の実施の形態では、アキュムレータ2の外周面に巻き回されるベイルストラップ35がブラケット3Aの継手部34A、34Bに接続されることで、このブラケット3Aがアキュムレータ2に固定される。この状態において、ベイルストラップ35の内側の弾性シート37のせん断変形によりアキュムレータ2の振動を低減することができ、アキュムレータ2から発生される放射音を低減することができる。
なお、ベイルストラップ35の幅を狭くすることにより、接触面積を低減する効果が得られる。
【0045】
また、ブラケット3Aの一対の腕部32A、32Bでアキュムレータ2の外周部を挟持するように接触させて取り付けることができる。そして、腕部32A、32Bの傾斜部分がアキュムレータ2の接線方向Eに向けて延在しているので、アキュムレータ2の径方向rに対して前記傾斜部分が直交することになる。そのため、アキュムレータ2の径方向の振動を効果的に抑制することができることから、とくに径方向の振動が大きな集中巻きモータにおいて振動の抑制効果を発揮することができる。
【0046】
以上、本発明による圧縮機用ブラケット及びロータリ圧縮機の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0047】
例えば、本実施の形態では、ブラケット3の基部31をコンプレッサ本体10側に、接触部33(曲げ部33A、33B)をアキュムレータ2の外周部側に接触させて取り付けているが、反対に取り付けることも可能である。つまりコンプレッサ本体10およびアキュムレータ2のいずれか一方の外周面に接触部33を接触させて取り付けることができる。
【0048】
また、ブラケット3において、図6に示すように、腕部32A、32Bの内側でアキュムレータ2と接触する部分(接触部33)に凸部38を設けることも可能である。図6に示す凸部38は、腕部32A、32Bの長さ方向に沿って延びる突条38Aと、膨出部38B、38Cと、からなり、それぞれの凸部38がアキュムレータ2の外周部に対して点接触となるように設けられている。
この場合には、接触部に設けられる凸部38(38A、38B、38C)を、アキュムレータ2の外周面に接触させて取り付けることができる。これにより凸部38が前記外周面に対して点接触となり、接触面積を面接触の場合に比べて低減することができる。したがって、コンプレッサ本体10からアキュムレータ2への振動伝達率を小さく抑えることが可能となり、アキュムレータ2の振動を低減することができ、アキュムレータ2から発生される放射音を低減することができる。
【0049】
また、図7に示すように、ブラケット3において、接触部33に切欠き39が設けられていてもよい。この場合には、切欠き39によって残った部分33aを、アキュムレータ2の外周面に接触させて取り付けることができる。これにより前記外周面に対する接触面積を面接触の場合に比べて低減することができる。したがって、コンプレッサ本体10からアキュムレータ2への振動伝達率を小さく抑えることが可能となり、アキュムレータ2の振動を低減することができ、アキュムレータ2から発生される放射音を低減することができる。
【0050】
なお、ブラケット3の基部31及び腕部32A、32Bの長さ寸法、曲げ部33A、33Bの曲率、ブラケット3の板厚、材質などの構成は、コンプレッサ本体10やアキュムレータ2の形状、振動の大きさ等の条件に合わせて適宜変更可能である。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 圧縮機(ロータリ圧縮機)
2 アキュムレータ
3、3A ブラケット(圧縮機用ブラケット)
10 コンプレッサ本体
11 ハウジング
20A、20B シリンダ
31 基部
32A、32B 腕部
32a、32b リブ
33 接触部
33A、33B 曲げ部
34A、34B 継手部
35 ベイルストラップ(帯部材)
37 弾性シート
38、38A、38B、38C 凸部
39 切欠き
E 接線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8