(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による半導体装置の実施の形態1の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図2は、
図1に示す半導体装置100のA−A断面の概略断面図であり、
図3は、
図1に示す半導体装置100のB−B断面の概略断面図である。尚、
図1では、簡単のため、後述するパッシベーション膜109等を省略している。
【0009】
図1に示すように、長板状の基板101(
図2)上には、発光素子としてのLED102が、所定の間隔で基板101の長手方向に沿って直線状に複数形成されている。基板101上に形成された各LED102は、複数層からなり、
図2、
図3に示すように、カソード層120、カソード層120上に形成された発光部121及びカソード電極105を有する。発光部121は、下から順にNクラッド層121a、活性層121b、Pクラッド層121cを積層して形成している。
【0010】
基板101上には、LED102が形成された領域を除いて下地絶縁膜103(
図2、
図3)が形成され、下地絶縁膜103上には、基板101の長手方向に配列された複数のLED102(以後、LED列と称す場合がある)に沿って、基板上配線104が4列平行に形成されている。
【0011】
同じく下地絶縁膜103上において、基板上配線104のLED列とは反対側にワイヤボンド用の4つの個別電極パッド131(
図1)が隣接して形成され、LED列の基板上配線104とは反対側に、4つのLED102毎にそれぞれ対応して配置されたワイヤボンド用の共通電極パッド130が複数形成されている。
【0012】
各LED102には、配線としての共通電極配線107及び個別電極配線108が電気的に接続されるが、これらの配線を形成する前に、その下地層として有機絶縁膜106が形成される。有機絶縁膜106は、
図2、
図3の各断面図に示すように、各LED102のカソード層120及び発光部121に生じた段差を覆って緩和し、また基板上配線104との絶縁を確保するために、各LED102の表面の所定箇所、個別電極パッド131及び共通電極パッド130の表面、そして後述する所定の接続部を除いた領域に形成される。
【0013】
尚、
図1では、各LED102の外形を点線で示し、LED102上に開口部106cを有する有機絶縁膜106が、各LED102の外縁部を覆っている構成を示している。
【0014】
各LED102のPクラッド層121cには、アノード電極を兼ねた共通電極配線107を電気的に接続するが、この共通電極配線107は、
図2に示すように段差が緩和された有機絶縁膜106上に形成され、
図1に示すように、グループ化された隣接する4つのLED102の各Pクラッド層121cと、対応する1つの共通電極パッド130とを電気的に接続している。
【0015】
一方、各LED102のカソード電極105には、それぞれ個別電極配線108を電気的に接続するが、各個別電極配線108は、
図2に示すように段差が緩和され且つ基板上配線104とは絶縁された有機絶縁膜106上に形成され、
図1に示すように、LED102のカソード電極105と、対応する所定の基板上配線104との間のみを、有機絶縁膜106に形成された開口部106aを介して電気的に接続している。
【0016】
4つの個別電極パッド131には、それぞれ接続配線132を電気的に接続するが、各接続配線132は、有機絶縁膜106上に形成され、有機絶縁膜106に形成された開口部106bを介してそれぞれ対応する基板上配線104のみに接続するように構成されている。
【0017】
半導体装置100の上面には、ごみ等によるショートを防止するために、個別電極パッド131及び共通電極パッド130の表面を除いてパッシベーション膜109(
図2、
図3)が形成されている。
【0018】
そして
図1に示すように、半導体装置100のLED列の配列方向(長手方向)の両端部において、短手方向全域にわたって有機絶縁膜106が所定の幅で除かれ、有機絶縁膜106の端部には、後述する第1の切り立ち部としての切り立ち部106dが形成されている。
【0019】
以上の構成により、所望のLED102の、アノード電極(共通電極配線107)からカソード電極105に電流を流すことによりその発光部121の活性層121bを発光することができる。
【0020】
次に、半導体装置100の製造方法について説明する。
図4(a)〜(d)は、半導体装置100の製造過程の説明に供する図で、各製造段階における要部断面図であり、半導体装置100の短手方向の、
図1のB−B断面に対応する断面位置での断面図である。
【0021】
同図(a)に示すように、基板101上に、カソード層120、Nクラッド層121a、活性層121b、及びPクラッド層121cを積層した半導体積層構造を形成し、同図(b)に示すように、基板101上に、エッチング、スパッタ等の加工により複数のLED102、下地絶縁膜103を形成し、下地絶縁膜103上に
図1に示す基板上配線104、共通電極パッド130、及び個別電極パッド131を形成する。
【0022】
次に、同図(c)に示すように、その上に、スピンコートやスプレーコート等でエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機絶縁膜106をコートし、フォトリソグラフィ等でパターニングする。その後、高温で処理することにより、パターンが丸まり段差が緩和される。この際、有機絶縁膜106は発光部を一部覆うことから、発光部から発生する光に対して高い透過率を有することが望ましい。
【0023】
パターニングにより、開口部106a,106b,106c
(図1)を形成し、個別電極パッド131及び共通電極パッド130(
図1)の表面の絶縁膜を除く。以上のようにしてパターニングされた有機絶縁膜106上に、アノード電極を兼ねた共通電極配線107、個別電極配線108、及び接続配線132(
図1)を形成し、各LED102と、ワイヤボンド用の共通電極パッド130及び個別電極パッド131を電気的に接続する。電極および配線は、AuやAl等の金属であり、蒸着やスパッタ等により形成したものをエッチングやリフトオフプロセスによってパターニングする。
【0024】
尚、ここでは、アノード電極を兼ねた共通電極配線107を直接Pクラッド層121cに接続したが、Pクラッド層121cにアノード電極を形成し、このアノード電極に共通電極配線107を接続するように構成してもよい。
【0025】
配線工程が終了した後に、同図(d)に示すように、パッシベーション膜109を形成する。パッシベーション膜109は、有機絶縁膜或いは無機絶縁膜で形成し、パターニングにより個別電極パッド131及び共通電極パッド130の表面の絶縁膜を除く。パッシベーション膜109は薄い方が好ましいが、デバイスのショートを防止するために、配線、電極、及びLED102がショートしない程度の膜厚とする。
【0026】
最後に、有機絶縁膜106のアレイ方向(LED102の配列方向)のパターン端部をドライエッチング等により加工することにより切り立ち部106dを形成する。この切り立ち部106dは、
図1に示すように、半導体装置100の短手方向の全域にわたって形成されるものである。尚、ここでは、パッシベーション膜109も一緒に加工したが、切り立ち部106dを形成したのち、この切り立ち部106dを覆うようにパッシベーション膜109を後から成膜してもよい。
【0027】
この切り立ち部106dは、有機絶縁膜106内を伝搬した光が、切り立ち部106dから、少なくとも上方(LED102の上面から離間する方向)に向かないように形成され、ここでは略平面状に形成され、基板101の上平面との角度θが90度以下となるように形成されている。
【0028】
以上のように構成された半導体装置100において、ワイヤボンド用の個別電極パッド131及び共通電極パッド130の内、選択された電極パッド間に駆動電流を流すことにより、指定されたLED102を発光することができ、その活性層121bで発光した光は、半導体装置100の上方に照射されるが、一部は有機絶縁膜106によって導波される。しかしながら、導波によってアレイ方向の切り立ち部106dに至った光は、少なくとも基板101から離間する方向に向かうことはない。
【0029】
尚、本実施の形態では、有機絶縁膜106のアレイ方向(LED102の配列方向)のパターン端部のみに切り立ち部106dを形成した例を示したが、これに限定されるものではなく、アレイ方向と直交する方向のパターン端部に同様の切り立ち部を形成しても良い。
【0030】
以上のように本実施の形態の半導体装置100によれば、有機絶縁膜106のアレイ方向のパターン端部をドライエッチング等の加工により切り立たせることにより、LED102の光が、発光部位と異なる位置で印刷品質を低下させる方向に漏れ出すことを防ぐことができる。
【0031】
実施の形態2.
図5は、本発明による半導体装置の実施の形態2の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図6は、
図5に示す半導体装置200のA−A断面の概略断面図であり、
図7は、
図5に示す半導体装置200のB−B断面の概略断面図である。この半導体装置200が、前記した
図1〜
図4に示す実施の形態1の半導体装置100と主に異なる点は、各LED間に切り立ちスリット201を形成した点である。従って、この半導体装置200が、前記した実施の形態1の半導体装置100と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて詳細な説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0032】
図5、
図7に示すように、ここでは、所定の間隔で基板101の長手方向に沿って直線状に複数形成されている各LED102間に、それぞれ第1のスリットとしての切り立ちスリット201が形成されている。この切り立ちスリット201は、基板101の短手方向において、LED102の形成領域を越えるようにLED102よりも長く、少なくとも有機絶縁膜106に形成される。尚、ここでの切り立ちスリット201は、
図7に示すように、後述する製造過程の都合により、有機絶縁膜106及びパッシベーション膜109に連続的に形成されている。
【0033】
各切り立ちスリット201における有機絶縁膜106の第2の切り立ち部としての切り立ち部106fは、有機絶縁膜106内を伝搬した光が、切り立ち部106fから、少なくとも上方(LED102の上面から離間する方向)に向かないように形成され、ここでは略平面状に形成され、基板101の上平面との角度θ(
図4(c)参照)が90度以下となるように形成されている。
【0034】
本実施の形態の半導体装置200の製造方法において、
図4(a)〜(d)を参照して説明した実施の形態1の半導体装置100と異なる点は、
図4(d)を参照する工程、即ち、有機絶縁膜106のアレイ方向(LED102の配列方向)のパターン端部をドライエッチング等により加工することにより切り立ち部106dを形成するタイミングで、各切り立ちスリット201を形成する点である。その他の製造方法は、
図4(a)〜(d)を参照して説明した実施の形態1の半導体装置100の製造方法と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0035】
尚、ここでは、パッシベーション膜109も一緒に加工したが、切り立ち部106fを形成したのち、この切り立ち部106fを覆うようにパッシベーション膜109を後から成膜してもよい。
【0036】
本実施の形態の半導体装置200によれば、LED列の各LEDの周囲に、切り立ち部が略同一条件で形成されるため、各LEDの発光に及ぼす導波の影響が略均一となり、例えば両端部のLEDが導波による影響を他より大きく受けて発光量が不均一になるといった不都合を防ぐことができる。
【0037】
実施の形態3.
図8は、本発明による半導体装置の実施の形態3の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図9は、
図8に示す半導体装置300のA−A断面の概略断面図であり、
図10は、
図8に示す半導体装置300のB−B断面の概略断面図である。この半導体装置300が、前記した
図1〜
図4に示す実施の形態1の半導体装置100と主に異なる点は、基板上配線104とLED列との間に、LED列に沿って切り立ちスリット301を形成した点である。従って、この半導体装置300が、前記した実施の形態1の半導体装置100と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて詳細な説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0038】
図8、
図9に示すように、ここでは、基板上配線104とLED列との間に、LED列に沿って第2のスリットとしての切り立ちスリット301が形成されている。この切り立ちスリット201は、基板101の長手方向において、有機絶縁膜106に、その全形成領域にわたって形成されている。
【0039】
切り立ちスリット301における有機絶縁膜106の第3の切り立ち部としての切り立ち部106gは、有機絶縁膜106内を伝搬した光が、切り立ち部106gから、少なくとも上方(LEDが形成された面から離間する方向)に向かないように形成され、ここでは略平面状に形成され、基板101の上平面との角度θ(
図4(c)参照)が90度以下となるように形成されている。
【0040】
本実施の形態の半導体装置300の製造方法において、
図4(a)〜(d)を参照して説明した実施の形態1の半導体装置100と異なる点は、
図4(c)を参照する工程、即ち、有機絶縁膜106をコートしパターニングした後、ドライエッチング等により加工することにより切り立ちスリット301を形成する点である。その他の製造方法は、
図4(a)〜(d)を参照して説明した実施の形態1の半導体装置100の製造方法と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
尚、ここでは、各配線を形成する前工程で切り立ちスリット301を形成するように説明したが、実施の形態2と同様に、
図4(d)を参照する工程、即ち、有機絶縁膜106のアレイ方向(LED102の配列方向)のパターン端部をドライエッチング等により加工することにより切り立ち部106dを形成するタイミングで、同時に各切り立ちスリット301を形成するようにすることも可能である。この場合、個別電極配線108の下部に、有機絶縁膜106が残留することになるが、個別電極配線108によって上方への光の漏れを防止できる。
【0042】
本実施の形態の半導体装置300によれば、LED列と基板上配線104との間に、切り立ち部が形成されるため、有機絶縁膜106によって導波された光が、例えば有機絶縁膜106の開口部106a,106b等から漏れて、印刷品質を低下させるのを防止できる。
【0043】
実施の形態4.
図11は、本発明による半導体装置の実施の形態4の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図12は、
図11に示す半導体装置400のA−A断面の概略断面図であり、
図13は、
図11に示す半導体装置400のB−B断面の概略断面図である。
【0044】
この半導体装置400が、前記した
図5〜
図7に示す実施の形態2の半導体装置200と主に異なる点は、後述するように半導体薄膜を用いて装置を形成しているため、LED列の下部に平坦化膜が配設されている点である。従って、この半導体装置400が、前記した実施の形態1の半導体装置100と共通する部分には同符号を付して詳細な説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0045】
図11〜
図13に示すように、ここでは、LED列の下層に平坦化膜410が形成されている。但し、
図11では、平坦化膜410の外形のみを点線で示している。
【0046】
半導体装置400のLED列の配列方向(長手方向)の両端部において、短手方向全域にわたって有機絶縁膜106及び平坦化膜410が所定の幅で除かれ、有機絶縁膜106の端部には切り立ち部106dが、そして平坦化膜410の端部には切り立ち部410a(
図14(e))がそれぞれ形成されている。
【0047】
所定の間隔で基板101の長手方向に沿って直線状に複数形成されている各LED102間に、それぞれ切り立ちスリット401が形成されている。この切り立ちスリット401は、基板101の短手方向において、LED102の形成領域を越え、平坦化膜410の幅と略同等となる長さで、少なくとも有機絶縁膜106及び平坦化膜410に形成される。尚、ここでは、切り立ちスリット401が、
図13に示すように、後述する製造過程の都合によりパッシベーション膜109も含めて連続的に形成されている。
【0048】
各切り立ちスリット401における有機絶縁膜106の切り立ち部106h及び平坦化膜410の第4の切り立ち部としての切り立ち部410aは、各層内を伝搬した光が、切り立ち部106h及び410aから、少なくとも上方(LEDが形成された面から離間する方向)に向かないように形成され、ここでは略平面状に形成され、基板101の上平面との角度θ(
図4(c)参照)が90度以下となるように形成されている。
【0049】
次に、半導体装置400の製造方法について説明する。
図14(a)〜(e)は、半導体装置400の製造過程の説明に供する図で、各製造段階における要部断面図であり、半導体装置400の短手方向の、
図11のB−B断面に対応する断面位置での断面図である。
【0050】
同図(a)に示すように、半導体装置400の基板101とは別に、成長基板501上に剥離可能な犠牲層を介して、カソード層120、Nクラッド層121a、活性層121b、及びPクラッド層121cを積層した半導体積層構造を備えた半導体薄膜502を形成する。
【0051】
一方、同図(b)に示すように、半導体装置400の基板101上には下地絶縁膜103を成膜した後、
図11に示すようにLED列が位置する所定領域に平坦化膜410を形成する。尚、平坦化膜410は、例えば塗布することにより成膜可能なポリイミド樹脂、或いはノボラック系樹脂などの有機絶縁膜より成膜することができ、それらの材料を感光性材料にすることで、任意の領域のみに平坦化膜410を形成することができる。
【0052】
次に、成長基板501から半導体薄膜502を分離し、基板101に形成した平坦化膜410上の所定位置にボンディングする。
【0053】
次に同図(c)に示すように、基板101上に、エッチング、スパッタ等の加工により複数のLED102を形成し、下地絶縁膜103上に
図11に示す基板上配線104、共通電極パッド130、及び個別電極パッド131を形成する。
【0054】
次に、同図(d)に示すように、その上に、スピンコートやスプレーコート等でエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機絶縁膜106をコートし、フォトリソグラフィ等でパターニングする。その後、高温で処理することにより、パターンが丸まり段差が緩和される。この際、有機絶縁膜は発光部を一部覆うことから、発光部から発生する光に対して高い透過率を有することが望ましい。
【0055】
パターニングにより、開口部106a,106b,106cを形成し、個別電極パッド131及び共通電極パッド130の表面の絶縁膜を除く。以上のようにしてパターニングされた有機絶縁膜106上に、アノード電極を兼ねた共通電極配線107、個別電極配線108、及び接続配線132を形成し、各LED102と、ワイヤボンド用の共通電極パッド130及び個別電極パッド131を電気的に接続する。電極および配線は、AuやAl等の金属であり、蒸着やスパッタ等により形成したものをエッチングやリフトオフプロセスによってパターニングする。
【0056】
配線工程が終了した後に、同図(e)に示すように、パッシベーション膜109を形成する。パッシベーション膜109は、有機絶縁膜或いは無機絶縁膜で形成し、パターニングにより個別電極パッド131及び共通電極パッド130の表面の絶縁膜を除く。パッシベーション膜109は薄い方が好ましいが、デバイスのショートを防止するために、配線、電極、及びLED102がショートしない程度の膜厚とする。
【0057】
最後に、有機絶縁膜106及び平坦化膜410のアレイ方向(LED102の配列方向)のパターン端部、及び各切り立ちスリット401の形成領域をドライエッチング等により加工することにより、有機絶縁膜106の切り立ち部106d,106h及び平坦化膜410の切り立ち部410aを形成する。尚、ここでは、パッシベーション膜109も一緒に加工したが、各切り立ち部を形成したのち、これを覆うようにパッシベーション膜109を後から成膜してもよい。
【0058】
これらの切り立ち部106d,106h,410aは、有機絶縁膜106及び平坦化膜410内を伝搬した光が、切り立ち部106d及び切り立ち部410aから、少なくとも上方(LEDが形成された面から離間する方向)に向かないように形成され、ここでは略平面状に形成され、基板101の上平面との角度θ(
図4参照)が90度以下となるように形成されている。
【0059】
尚、前記した各実施の形態では、実施の形態2の切り立ちスリット201と、実施の形態3の切り立ちスリット301とを別々の半導体装置に形成して説明したが、これらの各切り立ちスリット201、301を共に備えた半導体装置を構成しても良いし、実施の形態4では、平坦化膜410を実施の形態2の構成の半導体装置に用いた例を示したが、実施の形態1、実施の形態3、或いはこれらを組み合わせた半導体装置に採用することも可能である。
【0060】
以上のように本実施の形態の半導体装置400によれば、有機絶縁膜106及び平坦化膜のアレイ方向のパターン端部をドライエッチング等の加工により切り立たせることにより、LEDの光が、発光部位と異なる位置で印刷品質を低下させる方向に漏れ出すことを防ぐことができる。更に、LED列の各LEDの周囲に、切り立ち部が略同一条件で形成されるため、各LEDの発光に及ぼす導波の影響が略均一となり、例えば両端部のLEDが導波による影響を他より大きく受けて発光量が不均一になるといった不都合を防ぐことができる。
【0061】
実施の形態5.
図15は、本発明のLEDヘッドに基づく実施の形態5のLEDプリントヘッド1200を示す図である。
【0062】
同図に示すように、ベース部材1201上には、LEDユニット1202が搭載されている。このLEDユニット1202は、実施の形態1乃至4の何れかの半導体装置が実装基板上に搭載されたものである。
図16は、このLEDユニット1202の一構成例を示す平面配置図で、実装基板1202e上には、前記した各実施の形態で説明した半導体装置が、発光部ユニット1202aとして長手方向に沿って複数配設されている。実装基板1202e上には、その他に、発光部ユニット1202aを駆動制御する電子部品が配置されて配線が形成されている、電子部品実装、配線及び接続のためのエリア1202b、1202c、及び外部から制御信号や電源などを供給するためのコネクタ1202d等が設けられている。
【0063】
発光部ユニット1202aの発光部の上方には、発光部から出射された光を集光する光学素子としてのロッドレンズアレイ1203が配設されている。このロッドレンズアレイ1203は、柱状の光学レンズを発光部ユニット1202aの直線状に配列された発光部(例えば、
図1におけるLED102の配列)に沿って多数配列したもので、光学素子ホルダに相当するレンズホルダ1204によって所定位置に保持されている。
【0064】
このレンズホルダ1204は、同図に示すように、ベース部材1201及びLEDユニット1202を覆うように形成されている。そして、ベース部材1201、LEDユニット1202、及びレンズホルダ1204は、ベース部材1201及びレンズホルダ1204に形成された開口部1201a,1204aを介して配設されるクランパ1205によって一体的に挟持されている。従って、LEDユニット1202で発生した光は、ロッドレンズアレイ1203を通して所定の外部部材に照射される。このLEDプリントヘッド1200は、例えば電子写真プリンタや電子写真コピー装置等の露光装置として用いられる。
【0065】
以上のように、本実施の形態のLEDプリントヘッド1200によれば、発光部ユニット1202aとして、前記した実施の形態1乃至4の何れかの半導体装置が使用されるため、耐久性にすぐれ、高精度のLEDプリントヘッド1200を提供することができる。
【0066】
実施の形態6.
図17は、本発明の画像形成装置に基づく実施の形態6の画像形成装置1300の要部構成を模式的に示す要部構成図である。
【0067】
同図に示すように、画像形成装置1300内には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の画像を、各々に形成する四つのプロセスユニット1301〜1304が記録媒体1305の搬送経路1320に沿ってその上流側から順に配置されている。これらのプロセスユニット1301〜1304の内部構成は共通しているため、例えばシアンのプロセスユニット1303を例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0068】
プロセスユニット1303には、像担持体として感光体ドラム1303aが矢印方向に回転可能に配置され、この感光体ドラム1303aの周囲にはその回転方向上流側から順に、感光体ドラム1303aの表面に電気供給して帯電させる帯電装置1303b、帯電された感光体ドラム1303aの表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置1303cが配設される。更に、静電潜像が形成された感光体ドラム1303aの表面に、所定色(シアン)のトナーを付着させて顕像を発生させる現像装置1303d、及び感光体ドラム1303aの表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置1303eが配設される。尚、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源及びギアによって回転させられる。
【0069】
また、画像形成装置1300は、その下部に、紙等の記録媒体1305を重ねた状態で収納する用紙カセット1306を装着し、その上方には記録媒体1305を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ1307を配設している。更に、記録媒体1305の搬送方向における、このホッピングローラ1307の下流側には、ピンチローラ1308,1309と共に記録媒体1305を挟持することによって、記録媒体1305の斜行を修正し、プロセスユニット1301〜1304に搬送するレジストローラ1310,1311を配設している。これ等のホッピングローラ1307及びレジストローラ1310,1311は、図示しない駆動源及びギアによって連動回転する。
【0070】
プロセスユニット1301〜1304の各感光体ドラムに対向する位置には、それぞれ半導電性のゴム等によって形成された転写ローラ1312が配設されている。そして、感光体ドラム1301a〜1304a上のトナーを記録媒体1305に転写させるために、感光体ドラム1301a〜1304aの表面とこれらの各転写ローラ1312の表面との間に所定の電位差が生じるように構成されている。
【0071】
定着装置1313は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、記録媒体1305上に転写されたトナーを加圧、加熱することによって定着させる。また、排出ローラ1314,1315は、定着装置1313から排出された記録媒体1305を、排出部のピンチローラ1316,1317と共に挟持し、記録媒体スタッカ部1318に搬送する。尚、排出ローラ1314,1315は、図示されない駆動源及びギアによって連動回転する。ここで使用される露光装置1303cとしては、実施形態3で説明したLEDプリントヘッド1200が用いられる。
【0072】
次に、前記構成の画像形成装置の動作について説明する。
まず、用紙カセット1306に堆積した状態で収納されている記録媒体1305がホッピングローラ1307によって、上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて、この記録媒体1305は、レジストローラ1310,1311及びピンチローラ1308,1309に挟持されて、プロセスユニット1301の感光体ドラム1301a及び転写ローラ1312に搬送される。その後、記録媒体1305は、感光体ドラム1301a及び転写ローラ1212に挟持され、その記録画面にトナー画像が転写されると同時に感光体ドラム1301aの回転によって搬送される。
【0073】
同様にして、記録媒体1305は、順次プロセスユニット1302〜1304を通過し、その通過過程で、各露光装置1301c〜1304cにより形成された静電潜像を、現像装置1301d〜1304dによって現像した各色のトナー像がその記録画面に順次重ねて転写される。その後、定着装置1313によってトナー像が定着された記録媒体1305は、排出ローラ1314,1315及びピンチローラ1316,1317に挟持されて、画像形成装置1300の外部の記録媒体スタッカ部1318に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が記録媒体1305上に形成される。
【0074】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、前記した実施の形態5で説明したLEDプリントヘッド1200を採用するため、耐久性に優れて信頼性が高く、高品位の印刷が可能となる。
【0075】
また、前記した特許請求の範囲、及び実施の形態において、「上」、「下」と言った言葉を使用したが、これらは便宜上であって、各装置を配置する状態における絶対的な位置関係を限定するものではない。