(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の複合機においては、スキャナユニットが大型化するのに伴って、スキャナユニットを開閉する際の操作性が低下してしまう。
【0005】
本発明は、従来の複合機の問題点を解決して、開閉ユニットを開閉する際の操作性を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、本体ユニットに対して第1、第2の位置間で開閉自在に配設された開閉ユニットと、前記本体ユニットと前記開閉ユニットとを連結し、開閉ユニットの開閉に連動して動作する連結機構とを有する。
【0007】
そして、該連結機構は、複数の圧縮スプリング及び緩衝部材を備え、前記開閉ユニットが第1の位置に置かれたときに、前記複数の圧縮スプリングのうちの第1の圧縮スプリングによって開閉ユニットを付勢し、開閉ユニットが第1の位置と第2の位置との間の第3の位置に置かれたときに、前記複数の圧縮スプリングのうちの第1、第2の圧縮スプリングによって開閉ユニットを付勢し、開閉ユニットが第2の位置と第3の位置との間の第4の位置に置かれたときに、前記緩衝部材によって開閉ユニットの動きを緩衝する。
また、前記第2の圧縮スプリングは、前記第1の圧縮スプリングより径方向内方に配設される。
そして、前記緩衝部材は、前記第2の圧縮スプリングより径方向内方に配設される。
また、前記第2の圧縮スプリングの自由長は、前記第1の圧縮スプリングの自由長より短くされる。
そして、前記緩衝部材の自由長は、第2の圧縮スプリングの自由長より短くされる。
また、前記連結機構は、本体ユニットに対して揺動自在に配設された第1のケース、及び開閉ユニットに対して揺動自在に、かつ、第1のケースに対して移動自在に配設された第2のケースを備える。
そして、該第2のケース内に、フランジ部、及び前記第1の圧縮スプリングの内周に収まるように円柱状の形状を有し、フランジ部から突出させて形成された凸条部を備えた当接部材が配設される。
また、前記第1、第2の圧縮スプリング及び緩衝部材は第1、第2のケース内に配設される。
そして、前記第1のケース内に、第1、第2の圧縮スプリング及び緩衝部材の一方の端部を係合させるための第1の係合面が形成される。
また、前記第2のケース内において、前記フランジ部の端面に、第1の圧縮スプリングの他方の端部を係合させるための第2の係合面が、前記凸条部の端面に、第2の圧縮スプリング及び緩衝部材の他方の端部を係合させるための第3の係合面が形成される。
そして、前記第1の圧縮スプリングの他方の端部と第2の係合面とは常に係合させられる。
また、前記開閉ユニットを第1の位置から第2の位置に移動させる間において、第2の圧縮スプリングの他方の端部が第3の係合面と係合させられた後に、緩衝部材の他方の端部が第3の係合面と係合させられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置においては、本体ユニットに対して第1、第2の位置間で開閉自在に配設された開閉ユニットと、前記本体ユニットと前記開閉ユニットとを連結し、開閉ユニットの開閉に連動して動作する連結機構とを有する。
【0009】
そして、該連結機構は、複数の圧縮スプリング及び緩衝部材を備え、前記開閉ユニットが第1の位置に置かれたときに、前記複数の圧縮スプリングのうちの第1の圧縮スプリングによって開閉ユニットを付勢し、開閉ユニットが第1の位置と第2の位置との間の第3の位置に置かれたときに、前記複数の圧縮スプリングのうちの第1、第2の圧縮スプリングによって開閉ユニットを付勢し、開閉ユニットが第2の位置と第3の位置との間の第4の位置に置かれたときに、前記緩衝部材によって開閉ユニットの動きを緩衝する。
また、前記第2の圧縮スプリングは、前記第1の圧縮スプリングより径方向内方に配設される。
そして、前記緩衝部材は、前記第2の圧縮スプリングより径方向内方に配設される。
また、前記第2の圧縮スプリングの自由長は、前記第1の圧縮スプリングの自由長より短くされる。
そして、前記緩衝部材の自由長は、第2の圧縮スプリングの自由長より短くされる。
また、前記連結機構は、本体ユニットに対して揺動自在に配設された第1のケース、及び開閉ユニットに対して揺動自在に、かつ、第1のケースに対して移動自在に配設された第2のケースを備える。
そして、該第2のケース内に、フランジ部、及び前記第1の圧縮スプリングの内周に収まるように円柱状の形状を有し、フランジ部から突出させて形成された凸条部を備えた当接部材が配設される。
また、前記第1、第2の圧縮スプリング及び緩衝部材は第1、第2のケース内に配設される。
そして、前記第1のケース内に、第1、第2の圧縮スプリング及び緩衝部材の一方の端部を係合させるための第1の係合面が形成される。
また、前記第2のケース内において、前記フランジ部の端面に、第1の圧縮スプリングの他方の端部を係合させるための第2の係合面が、前記凸条部の端面に、第2の圧縮スプリング及び緩衝部材の他方の端部を係合させるための第3の係合面が形成される。
そして、前記第1の圧縮スプリングの他方の端部と第2の係合面とは常に係合させられる。
また、前記開閉ユニットを第1の位置から第2の位置に移動させる間において、第2の圧縮スプリングの他方の端部が第3の係合面と係合させられた後に、緩衝部材の他方の端部が第3の係合面と係合させられる。
【0010】
この場合、連結機構は、複数の圧縮スプリング及び緩衝部材を備え、前記開閉ユニットが第1の位置に置かれたときに、第1の圧縮スプリングが開閉ユニットを付勢し、開閉ユニットが第3の位置に置かれたときに、第1、第2の圧縮スプリングが開閉ユニットを付勢し、開閉ユニットが第4の位置に置かれたときに、緩衝部材が開閉ユニットの動きを緩衝するので、開閉ユニットが勢いよく開かれたり、閉じられたりすることがない。
【0011】
したがって、開閉ユニットが大型化しても、開閉ユニットを開閉する際の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としての複合機について説明する。
【0014】
図2は本発明の実施の形態における複合機の斜視図、
図3は本発明の実施の形態における複合機の概念図である。
【0015】
図において、11は複合機、12は該複合機11の本体ユニットとしてのプリンタ部、13は、該プリンタ部12に対して第1の支持機構としてのヒンジhg1を介して揺動自在に、すなわち、開閉自在に配設された開閉ユニットとしてのスキャナユニットである。
【0016】
また、Csはプリンタ部12の筐体であり、該筐体Csは、ロワケースLc、該ロワケースLcに対して第2の支持機構としてのヒンジhg2を介して揺動自在に、すなわち、開閉自在に配設されたアッパカバーUc、及び前記ロワケースLcの両側においてロワケースLcに隣接させて、かつ、ロワケースLcより上方に突出させて配設され、筐体Csの側壁部を構成するサイドプレートPsから成る。
【0017】
前記プリンタ部12は、プリンタ部12の本体、すなわち、装置本体内の下部に、媒体としての用紙Pを収容する媒体収容部としての用紙カセット15、及び該用紙カセット15内の用紙Pを媒体搬送路Rt1に繰り出すための給紙ローラ16から成る給紙装置Kuを備える。前記用紙カセット15は、前端面Saを、ロワケースLcのフロントパネルWfに臨ませて配設され、前端面Saに、操作者が手を掛けて用紙カセット15を前方に引き出すことができるように、把手101が形成される。
【0018】
媒体搬送路Rt1は曲折して延在させられ、用紙Pの搬送方向に沿って、前記給紙ローラ16より下流側に、繰り出された用紙Pを搬送する第1の搬送ローラ対17が、該第1の搬送ローラ対17より下流側に、カラーの現像剤像としてのトナー像を形成するための画像形成部Guが、該画像形成部Guより下流側に、カラーのトナー像を用紙Pに定着させ、カラーの画像を形成する定着装置としての定着器19が、該定着器19より下流側に、カラーの画像が形成された用紙Pを搬送する第2の搬送ローラ対18が、該第2の搬送ローラ対18より下流側に、用紙Pを装置本体外に排出するための媒体排出部としての用紙排出部20が配設される。
【0019】
前記画像形成部Guは、媒体搬送路Rt1に沿って配設された、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像形成ユニット25、該各画像形成ユニット25に配設された像担持体としての感光体ドラム26と対向させて配設され、感光体ドラム26を露光して潜像としての静電潜像を形成する露光装置としての図示されないLEDヘッド、前記各画像形成ユニット25に配設され、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置としての図示されない現像器、各画像形成ユニット25の下方において感光体ドラム26と対向させて配設され、各感光体ドラム26に形成されたトナー像を用紙Pに順次重ねて転写し、カラーのトナー像を形成する転写部材としての転写ローラ27等を備える。なお、25aは現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジである。
【0020】
また、前記定着器19は、用紙P上のカラーのトナー像を加熱し、溶融させる第1の定着部材としての加熱ローラ28、及び溶融させられたトナー像を用紙Pに押し付ける第2の定着部材としての加圧ローラ29を備える。
【0021】
そして、前記用紙排出部20は排出ローラ対21を備え、媒体搬送路Rt1を搬送された用紙Pは、排出ローラ対21によって、アッパカバーUcに形成された排出口24から媒体積載部としてのスタッカ22に排出され、積載される。
【0022】
また、前記スキャナユニット13は、画像読取部としてのフラットベッド部31、及び該フラットベッド部31の上方に、フラットベッド部31に対して開閉自在に配設された原稿供給部としての自動原稿送り部32を備える。前記フラットベッド部31は、読取ユニットとしての図示されないイメージセンサユニット、原稿を載置するための第1の原稿載置部としての原稿台33等を備える。そして、前記自動原稿送り部32は、原稿を載置するための第2の原稿載置部としての原稿載置台34、該原稿載置台34から原稿を繰り出す図示されないピックアップローラ等を備える。
【0023】
また、フラットベッド部31には、前方に突出させて操作パネル35が配設され、該操作パネル35は、各種の情報を操作者に通知するための表示部38、及び操作者が操作するための操作部39を備える。
【0024】
次に、前記複合機11を複写機として使用し、スキャナユニット13において原稿の画像を読み取り、プリンタ部12において読み取った画像を用紙Pに印刷する際の複合機11の動作について説明する。
【0025】
操作者が、スキャナユニット13の原稿台33上に原稿を載置し、操作パネル35の操作部39を操作して複写部数、用紙Pの寸法の選択、拡大及び縮小の倍率等の各種の設定を行い、スタートキーを押すと、イメージセンサユニットが移動させられ、原稿の画像が読み取られ、画像データがプリンタ部12に送られる。
【0026】
該プリンタ部12においては、スキャナユニット13から送られた画像データが図示されない制御部において処理され、各色の信号がLEDヘッドに送られ、各画像形成ユニット25の感光体ドラム26が露光されて静電潜像が形成され、現像器によって静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
【0027】
一方、用紙カセット15から媒体搬送路Rt1に繰り出された用紙Pは、第1の搬送ローラ対17によって搬送されて画像形成部Guに送られ、該画像形成部Guにおいて各色のトナー像が用紙Pに重ねて転写されてカラーのトナー像が形成される。続いて、用紙Pは定着器19に送られ、該定着器19においてカラーのトナー像が用紙Pに定着させられてカラーの画像が形成される。
【0028】
そして、カラーの画像が形成された用紙Pは、第2の搬送ローラ対18によって搬送され、排出ローラ対21によって排出口24からスタッカ22に排出される。
【0029】
ところで、プリンタ部12において用紙詰まりが発生したり、トナーカートリッジ25a内のトナーがなくなり、トナーカートリッジ25aを交換したりする場合に、操作者は、ヒンジhg1を中心にしてスキャナユニット13を回動させて開き、続いて、ヒンジhg2を中心にしてアッパカバーUcを回動させて開き、用紙詰まりが発生した用紙Pを除去したり、トナーカートリッジ25aを交換したりした後、アッパカバーUcを閉じ、続いて、スキャナユニット13を閉じる。
【0030】
ところが、アッパカバーUcは、単に、ロワケースLcを覆うだけのものであり、軽いので、アッパカバーUcを開いたり、閉じたりする際に、複合機11に衝撃が加わることがないのに対して、スキャナユニット13は、フラットベッド部31、自動原稿送り部32等を備え、重いので、スキャナユニット13を開いたり、閉じたりする際に勢いが付き、開閉動作が終了するときに複合機11に衝撃が加わることがある。
【0031】
そこで、本実施の形態においては、スキャナユニット13の開閉に伴って複合機11に衝撃が加わるのを防止するために、プリンタ部12とスキャナユニット13との間に支持ユニットとしての、かつ、連結機構としてのスキャナ支持ユニットが配設されるようになっている。該スキャナ支持ユニットは、複合機11の両側において、プリンタ部12とスキャナユニット13とを連結するように配設され、スキャナユニット13の開閉に連動して動作させられる。
【0032】
図1は本発明の実施の形態におけるスキャナ支持ユニットの縦断面図、
図4は本発明の実施の形態におけるスキャナユニットを開いた状態の複合機の側面図、
図5は本発明の実施の形態におけるスキャナユニットを開いた状態の複合機の要部斜視図、
図6は本発明の実施の形態における下面側から見たスキャナ支持ユニットの斜視図、
図7は本発明の実施の形態におけるスキャナ支持ユニットの横断面図である。
【0033】
図4において、11は複合機、12はプリンタ部、13はスキャナユニット、Csはプリンタ部12の筐体、Lcはロワケース、Ucはアッパカバー、Psはサイドプレート、hg1はヒンジ、31はフラットベッド部、32は自動原稿送り部、33は原稿台、40はスキャナ支持ユニットである。なお、水平面に対してスキャナユニット13の下面(又は原稿台33の上面)が成す角度をスキャナユニット13の開き角度αとしたとき、
図4は、スキャナユニット13が開き角度αの最大の値αmax、本実施の形態においては、56〔°〕に開かれた状態を示す。
【0034】
前記スキャナ支持ユニット40は、スキャナユニット13の開閉に伴って、水平面に対する傾斜角度βを変化させながら伸縮させられ、プリンタ部12とスキャナユニット13とを連結し、スキャナユニット13を支持する。そのために、前記スキャナ支持ユニット40におけるプリンタ部12側の端部は、前記サイドプレートPsにおける所定の箇所、本実施の形態においては、排出口24より前方部分に配設された支持軸sh1によって揺動自在に支持され、前記スキャナ支持ユニット40におけるスキャナユニット13側の端部は、スキャナユニット13の下面における所定の箇所、本実施の形態においては、ヒンジhg1の近傍に、ヒンジhg1と所定の距離を置いて配設された支持軸sh2によって揺動自在に支持される。
【0035】
なお、前記スキャナ支持ユニット40は、スキャナユニット13が閉じられた状態で、水平面に対する傾斜角度βが所定の値、本実施の形態においては、16〔°〕になるように傾斜させられ、このとき、サイドプレートPsに上面を開放させて形成された収容部81内に収容される。
【0036】
前記スキャナ支持ユニット40は、第1のケースとしての内側ケース41、及び該内側ケース41を包囲し、内側ケース41に対して移動自在に、かつ、摺動自在に配設された第2のケースとしての外側ケース42を備え、前記内側ケース41及び外側ケース42の一方の端部83、84に、それぞれ後述される穴H1、H2が形成され、該各穴H1、H2にそれぞれ支持軸sh1、sh2を回動自在に貫通させることによって、プリンタ部12及びスキャナユニット13に対して揺動自在に支持され、前記内側ケース41の他方の端部85が、外側ケース42の他方の端部86内に嵌入された状態で伸縮させられる。内側ケース41及び外側ケース42は、いずれも、長手方向に延在する断面がほぼ「コ」字状の形状を有する。
【0037】
そして、スキャナユニット13が開かれるのに伴って、内側ケース41が外側ケース42から所定の量引き出され、スキャナ支持ユニット40が伸長させられ、スキャナユニット13が閉じられるのに伴って、内側ケース41が外側ケース42内に所定の量押し込められ、スキャナ支持ユニット40が収縮させられる。
【0038】
前記内側ケース41は、頂壁e1、該頂壁e1の両縁から垂下させられる側壁f1、g1、及び該側壁f1、g1の下端から互いに対向させて突出させられる突壁h1、i1を備える。また、前記外側ケース42は、頂壁e2、該頂壁e2の両縁から垂下させられる側壁f2、g2、及び該側壁f2、g2の下端から互いに対向させて突出させられる突壁h2、i2を備え、前記内側ケース41が外側ケース42に対して移動自在に、かつ、摺動自在に収容される。そして、内側ケース41及び外側ケース42内に、複数の、本実施の形態においては、第1、第2の付勢部材としてのスプリングS1、S2、及び緩衝部材としてのダンパDpが同軸上に配設される。なお、本実施の形態において、スプリングS1、S2は第1、第2の圧縮スプリングとして作動させられる。
【0039】
また、前記ダンパDpは、第1の緩衝要素としてのシリンダ部67、及び該シリンダ部67に対して相対的に移動自在に配設された第2の緩衝要素としてのピストン部68を備え、シリンダ部67内に収容された緩衝用の流体によってピストン部68の動きが緩衝させられ、これにより、スキャナユニット13の動きが緩衝させられる。
【0040】
さらに、前記内側ケース41の端部85における突壁h1、i1に、第1の開き角度規制部材としての係止部h1’、i1’が、前記外側ケース42の端部86における突壁h2、i2に、第2の開き角度規制部材としての係止部h2’、i2’が形成される。なお、係止部h1’、i1’は突壁h1、i1の幅を広くすることによって、係止部h2’、i2’は突壁h2、i2の幅を広くすることによって形成される。係止部h1’、i1’と係止部h2’、i2’とが係止させられたときに、スキャナユニット13の開き角度αが最大の値αmaxになるように、係止部h1’、i1’、h2’、i2’の位置が設定される。したがって、内側ケース41が外側ケース42からあらかじめ設定された最大の量引き出されると、係止部h1’、i1’と係止部h2’、i2’とが係止させられ、それ以上内側ケース41が外側ケース42から引き出されるのが阻止される。
【0041】
また、前記内側ケース41の端部83における側壁f1、g1に、前記支持軸sh1を貫通させるための穴H1が、前記外側ケース42の端部84における側壁f2、g2に、前記支持軸sh2を貫通させるための穴H2が形成される。前記穴H1、H2間の距離をLhとしたとき、該距離Lhは、スキャナユニット13が開かれた状態で最大の値Lhmaxを採り、スキャナユニット13が閉じられた状態で最小の値Lhminを採る。
【0042】
なお、前記内側ケース41の端部83は、頂壁e1から垂下させられた端部壁j1によって、前記外側ケース42の端部84は、頂壁e2から垂下させられた端部壁j2によって覆われる。
【0043】
次に、前記スプリングS1、S2及びダンパDpの配設状態について説明する。
【0044】
この場合、前記内側ケース41及び外側ケース42内にスプリングS1が配設され、スプリングS1より径方向内方にスプリングS2が配設され、該スプリングS2より径方向内方にダンパDpが配設される。したがって、内側ケース41の頂壁e1と突壁h1、i1との間の距離をδ1とし、内側ケース41の側壁f1、g1間の距離をδ2とし、外側ケース42の頂壁e2と突壁h2、i2との間の距離をδ3とし、外側ケース42の側壁f2、g2間の距離をδ4とし、スプリングS1の外径をD1とし、スプリングS1の内径をd1とし、スプリングS2の外径をD2とし、スプリングS2の内径をd2とし、ダンパDpの最大径をD3とすると、
D1<δ1=δ2<δ3=δ4
D2<d1
D3<d2
になる。
【0045】
前記内側ケース41内には、前記端部壁j1に隣接させて、第1の係合部材としての当接部材61が配設される。該当接部材61は、内側ケース41内に収まるように角柱状の形状を有し、端部85側の端面に、前記スプリングS1、S2及びダンパDpの一方の端部を係合させ、固定するための第1の係合面m1が形成される。
【0046】
また、前記外側ケース42内には、前記端部壁j2に隣接させて、第2の係合部材としての当接部材62が配設される。該当接部材62は、端部壁j2に近接させて形成された第1の係合部位としてのフランジ部63、及び該フランジ部63から端部86側に向けて突出させて形成された第2の係合部位としての凸条部64を備え、前記フランジ部63は外側ケース42内に収まるように矩形の形状を有し、前記凸条部64はスプリングS1内に収まるように円柱状の形状を有する。そして、前記フランジ部63の端部83側の端面に、前記スプリングS1の他方の端部を係合させ、当接させるための第2の係合面m2が形成され、前記凸条部64の端部83側の端面に、前記スプリングS2及びダンパDpの他方の端部を係合させ、当接させるための第3の係合面m3が形成される。
【0047】
前記スキャナユニット13が開かれ、前記穴H1、H2間の距離Lhが最大の値Lhmaxを採るとき、前記スプリングS1は、第1、第2の係合面m1、m2と係合させられ、第1、第2の係合面m1、m2間で圧縮された状態に置かれる。なお、前記穴H1、H2間の距離Lhが最大の値Lhmaxを採るとき、係止部h1’、i1’と係止部h2’、i2’とが係止させられ、内側ケース41は外側ケース42に対して所定量引き出された状態を維持する。このとき、前記スプリングS2及びダンパDpは、第1の係合面m1とだけ係合させられ、第3の係合面m3とは係合させられない。
【0048】
すなわち、スプリングS1の無負荷時の長さ、すなわち、自由長をLS1とし、スプリングS2の自由長をLS2とし、ダンパDpの自由長をLdとし、前記穴H1、H2間の距離Lhが最大の値Lhmaxを採るときの、第1、第2の係合面m1、m2間の長さ、すなわち、最大長をLm1とし、第1、第3の係合面m1、m3間の最大長をLm2としたとき、
Lm1<LS1
Lm2<Lm1
LS2<Lm2
Ld<LS2
にされる。
【0049】
次に、前記スキャナユニット13を開閉したときのスキャナ支持ユニット40の各状態について説明する。
【0050】
図8は本発明の実施の形態におけるスキャナ支持ユニットの第1の状態を示す図、
図9は本発明の実施の形態におけるスキャナ支持ユニットの第2の状態を示す図、
図10は本発明の実施の形態におけるスキャナ支持ユニットの第3の状態を示す図、
図11は本発明の実施の形態におけるスキャナ支持ユニットの第4の状態を示す図である。なお、
図8〜11において、一点鎖線NLは、傾斜角度βが最小の値、すなわち、16〔°〕を採ったときのキャナ支持ユニット40の中心線を表す。
【0051】
図において、40はスキャナ支持ユニット、41は内側ケース、42は外側ケース、S1、S2はスプリング、Dpはダンパである。
【0052】
図8は、スキャナユニット13(
図2)の開き角度αが最大の値αmax、すなわち、56〔°〕にされ、傾斜角度βが38〔°〕にされたときのスキャナ支持ユニット40の状態を示す。
【0053】
この場合、内側ケース41が外側ケース42から最大の量引き出され、係止部h1’、i1’(
図6)と係止部h2’、i2’とが係止させられる。そして、スプリングS1は、第1、第2の係合面m1、m2と係合させられ、第1、第2の係合面m1、m2間で圧縮された状態に置かれる。このとき、スプリングS2及びダンパDpは第3の係合面m3と係合させられない。
【0054】
したがって、スプリングS1は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS1−1で、外側ケース42をスキャナユニット13側に向けて移動させる方向に付勢するとともに、スキャナユニット13を開く方向に付勢する。
【0055】
図9は、スキャナユニット13の開き角度αが15〔°〕にされ、傾斜角度βが28〔°〕にされたときのスキャナ支持ユニット40の状態を示す。
【0056】
この場合、内側ケース41が外側ケース42内に所定の量押し込まれ、スプリングS1は、第1、第2の係合面m1、m2と係合させられ、第1、第2の係合面m1、m2間で圧縮された状態に置かれ、スプリングS2は、第1、第3の係合面m1、m3と係合させられ、第1、第3の係合面m1、m3間で圧縮された状態に置かれる。このとき、ダンパDpは第3の係合面m3と係合させられない。
【0057】
したがって、スプリングS1は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS1−2で、スプリングS2は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS2−2で、外側ケース42をスキャナユニット13側に向けて移動させる方向に付勢するとともに、スキャナユニット13を開く方向に付勢する。なお、スプリングS1の付勢力FS1−1、FS1−2は、
FS1−1<FS1−2
である。
【0058】
図10は、スキャナユニット13の開き角度αが5〔°〕にされ、傾斜角度βが20〔°〕にされたときのスキャナ支持ユニット40の状態を示す。
【0059】
このとき、内側ケース41が外側ケース42内に更に押し込まれ、スプリングS1は、第1、第2の係合面m1、m2と係合させられ、第1、第2の係合面m1、m2間で圧縮された状態に置かれ、スプリングS2は、第1、第3の係合面m1、m3と係合させられ、第1、第3の係合面m1、m3間で圧縮された状態に置かれ、ダンパDpは第1、第3の係合面m1、m3と係合させられる。
【0060】
したがって、スプリングS1は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS1−3で、スプリングS2は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS2−3で、外側ケース42をスキャナユニット13側に向けて移動させる方向に付勢するとともに、スキャナユニット13を開く方向に付勢する。なお、スプリングS1の付勢力FS1−2、FS1−3は、
FS1−2<FS1−3
であり、スプリングS2の付勢力FS2−2、FS2−3は、
FS2−2<FS2−3
である。
【0061】
また、ダンパDpは、シリンダ部67内の緩衝用の流体が定常状態になるまで、付勢力FDp−3で、外側ケース42をスキャナユニット13側に向けて移動させる方向に付勢するとともに、スキャナユニット13を開く方向に付勢する。
【0062】
図11は、スキャナユニット13の開き角度αが0〔°〕にされ、傾斜角度βが16〔°〕にされたとき、すなわち、スキャナユニット13が閉じられたときのスキャナ支持ユニット40の状態を示す。
【0063】
この場合、内側ケース41が外側ケース42内に更に押し込まれ、スプリングS1は、第1、第2の係合面m1、m2と係合させられ、第1、第2の係合面m1、m2間で圧縮された状態に置かれ、スプリングS2は、第1、第3の係合面m1、m3と係合させられ、第1、第3の係合面m1、m3間で圧縮された状態に置かれ、ダンパDpは第1、第3の係合面m1、m3と係合させられる。
【0064】
したがって、スプリングS1は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS1−4で、スプリングS2は、圧縮させられた量に応じた付勢力FS2−4で、外側ケース42をスキャナユニット13側に向けて移動させる方向に付勢するとともに、スキャナユニット13を開く方向に付勢する。なお、スプリングS1の付勢力FS1−3、FS1−4は、
FS1−3<FS1−4
であり、スプリングS2の付勢力FS2−3、FS2−4は、
FS2−3<FS2−4
である。
【0065】
また、ダンパDpは、シリンダ部67内の緩衝用の流体が定常状態になるまで、付勢力FDp−4で、外側ケース42をスキャナユニット13側に向けて移動させる方向に付勢するとともに、スキャナユニット13を開く方向に付勢する。
【0066】
なお、開き角度αが56〔°〕にされたときのスキャナユニット13の位置を開き位置としての第1の位置とし、開き角度αが0〔°〕にされたときのスキャナユニット13の位置を閉じ位置としての第2の位置とし、開き角度αが15〔°〕にされたときのスキャナユニット13の位置を第3の位置とし、開き角度αが5〔°〕にされたときのスキャナユニット13の位置を第4の位置とする。したがって、スキャナユニット13は、第1、第2の位置間で開閉自在に配設され、第1の位置から第3、第4の位置を経由して第2の位置に移動して閉じられ、第2の位置から第4、第3の位置を経由して第1の位置に移動して開かれる。
【0067】
そして、前記スプリングS1は、前記第1、第2の位置間で常に圧縮された状態に置かれ、スキャナユニット13を付勢し、スキャナユニット13が第3の位置に置かれたときに、前記スプリングS1、S2によってスキャナユニット13が付勢され、スキャナユニット13が第4の位置に置かれたときに、前記スプリングS1、S2によってスキャナユニット13が付勢されるとともに、緩衝部材Dpによってスキャナユニット13の動きが緩衝され、スキャナユニット13が第2の位置に置かれたときに、前記スプリングS1、S2によってスキャナユニット13が付勢される。
【0068】
次に、スキャナユニット13を開閉するときのスキャナ支持ユニット40の動作について説明する。
【0069】
図11に示されるように、スキャナユニット13が閉じられ、第2の位置に置かれると、スキャナ支持ユニット40の傾斜角度β(
図1)は初期角度である16〔°〕にされ、スキャナユニット13の開き角度αも0〔°〕にされ、スプリングS1、S2は付勢力FS1−4、FS2−4でスキャナユニット13を開く方向に付勢する。付勢力FS1−4、FS2−4によってスキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントと、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントとを比較したとき、スキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントが、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントよりわずかに小さくなるように、スプリングS1、S2のバネ定数が設定される。したがって、スキャナユニット13は、外力が加わらない限り、閉じた状態を維持する。
【0070】
そして、プリンタ部12(
図2)において、用紙詰まりが発生したり、トナーカートリッジ25a(
図3)を交換したりする場合、操作者がスキャナユニット13に手を掛けて、開く方向に力を加えると、スキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントが、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントより大きくなり、スキャナユニット13をわずかな力で開くことができる。
【0071】
続いて、
図10に示されるように、スキャナユニット13が開かれ、第4の位置に置かれると、スキャナ支持ユニット40の傾斜角度βが大きくなり、スキャナユニット13の開き角度αが5〔°〕にされ、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントが小さくなる。また、
図9に示されるように、スキャナユニット13が更に開かれ、第3の位置に置かれると、スプリングS2と第3の係合面m3との係合が解除され、スプリングS1だけが付勢力FS1−4でスキャナユニット13を開く方向に付勢するようになる。これにより、スキャナユニット13が開く方向に発生するモーメントが小さくなる。
【0072】
そして、
図8に示されるように、スキャナユニット13が更に開かれ、第1の位置に置かれると、スキャナユニット13の開き角度αが56〔°〕にされ、係止部h1’、i1’と係止部h2’、i2’とが係止させられ、スキャナユニット13がその状態で停止させられる。付勢力FS1−4によってスキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントと、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントとを比較したとき、スキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントが、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントよりわずかに大きくなるように、スプリングS1のバネ定数が設定される。したがって、スキャナユニット13は、外力が加わらない限り、開かれた状態を維持する。
【0073】
この場合、スキャナユニット13が開かれる際に、開き角度αが大きくなるほど、スキャナユニット13を開く方向に付勢する付勢力が小さくなるので、スキャナユニット13が勢いよく開かれることがない。
【0074】
続いて、
図8に示される状態で、操作者がスキャナユニット13に手を掛けて、閉じる方向に力を加えると、スキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントが、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントより大きくなり、スキャナユニット13をわずかな力で閉じることができる。
【0075】
スキャナ支持ユニット40の傾斜角度βが小さくなり、スキャナユニット13の開き角度αが小さくなるのに伴って、自重によってスキャナユニット13が閉じる方向に発生するモーメントが大きくなり、
図9に示されるように、スプリングS2が第3の係合面m3と係合させられ、スプリングS1、S2が付勢力FS1−4でスキャナユニット13を開く方向に付勢するようになる。これにより、スキャナユニット13を開く方向に発生するモーメントが大きくなる。
【0076】
さらに、スキャナ支持ユニット40の傾斜角度βが小さくなり、
図10に示されるように、スキャナユニット13の開き角度αが5〔°〕になると、ダンパDpが第3の係合面m3と係合させられ、スキャナユニット13の動きが緩衝させられる。
【0077】
この場合、スキャナユニット13が閉じられる際に、開き角度αが小さくなるほど、スキャナユニット13を開く方向に付勢する付勢力が大きくなるだけでなく、ダンパDpによってスキャナユニット13の動きが緩衝させられるので、スキャナユニット13が勢いよく閉じられることがない。
【0078】
このように、本実施の形態においては、スキャナ支持ユニット40が、スプリングS1、S2及びダンパDpを備え、前記スキャナユニット13が第1の位置に置かれたときに、スプリングS1によってスキャナユニット13が付勢され、スキャナユニット13が第3の位置に置かれたときに、スプリングS1、S2によって付勢力FS1−2、FS2−2でスキャナユニット13が付勢されるので、スキャナユニット13が勢いよく開かれたり、閉じられたりすることがなく、スキャナユニット13が第4の位置に置かれたときに、ダンパDpによってスキャナユニット13の動きが緩衝されるので、スキャナユニット13が勢いよく閉じられるのを確実に防止することができる。
【0079】
したがって、スキャナユニット13の開閉が終了するときに複合機11に衝撃が加わることがないので、スキャナユニット13が大型化しても、スキャナユニット13を開閉する際の操作性を向上させることができる。
【0080】
また、スキャナ支持ユニット40内にスプリングS1、S2及びダンパDpを配設するだけでよいので、スキャナユニット13を支持するための支持ユニットの構造を簡素化することができるだけでなく、複合機11を小型化することができる。
【0081】
さらに、本実施の形態においては、スプリングS1、S2が二重構造にされるので、スキャナユニット13を十分に支持することができ、ヒンジhg1(
図2)に加わる負荷を小さくすることができる。したがって、複合機11の耐久性を向上させることができる。
【0082】
本実施の形態においては、スキャナ支持ユニット40が複合機11の両側部に配設されるようになっているが、複合機11の一方の側部に配設することができる。
【0083】
また、本実施の形態においては、付勢部材として第1、第2のスプリングS1、S2が配設されるようになっているが、3個以上の複数の付勢部材を配設することができる。
【0084】
そして、本実施の形態においては、複合機11について説明したが、本発明をプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に適用することができる。
【0085】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。