(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮蔽装置は、前記引張コードの支持側と操作側が前記ヘッドボックスから導出され、前記引張コード又は前記物体を引くことによって前記引張コードの前記支持側の導出長を変化させて前記遮蔽材を昇降させる遮蔽装置である、請求項1に記載の遮蔽装置。
前記ストッパ部は、前記ストッパ部がロック状態であるときに前記引張コードを引くことによって解除状態とすることが可能であり、前記ストッパ部が前記解除状態であるときに前記引張コードを引くことによって前記ロック状態となることが可能である、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の遮蔽装置。
前記昇降コードと前記抵抗コードは、溶着、接着、縫製、かしめ、結び留め、及び結び玉と孔との係合から選択される接続方法によって接続される、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0015】
(第1実施形態)
以下、この発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1〜
図12に示す横型ブラインドは、中空のヘッドボックス1から複数本のラダーコード2を介して複数段のスラット3が吊下支持され、同ラダーコード2の下端にはボトムレール4が吊下支持されている。ラダーコード2は、「スラット支持コード」の一形態である。「スラット支持コード」は、スラット3を支持及び回動可能なものであればその構成は限定されず、例えば、互いに分離された2本の縦糸を備え、一方の縦糸がスラットの一方の縁に取着され、他方の縦糸がスラットの他方の縁に取着されるような構成であってもよい。
【0016】
ヘッドボックス1内には支持部材5が複数個配設され、その支持部材5にはチルトドラム6が回転可能に支持される。ラダーコード2の上端部は、チルトドラム6に取着され、そのチルトドラム6の中心部には角度調節軸7が全てのチルトドラム6に嵌挿されている。従って、角度調節軸7が回転されると、全てのチルトドラム6が回転され、そのチルトドラム6の回転にともなって、ラダーコード2の縦糸の一方が引き上げられることにより、各スラット3及びボトムレール4が同位相で角度調節される。
【0017】
ヘッドボックス1の一端部には筒体からなる操作棒8が吊下支持されており、操作棒8の下端には支持ケース11が設けられている。支持ケース11を把持して操作棒8を回転操作すると、ヘッドボックス1内に配設されるギヤ機構を介して角度調節軸7が回転される。従って、操作棒8の回転操作により、各スラット3を角度調節可能となっている。支持ケース11は、後述する回転抵抗体15を支持するケースとして機能すると共に、操作棒8を回転操作しやすくするためのグリップとして機能する。
【0018】
ヘッドボックス1からは複数本(本実施形態では3本)の昇降コード9l,9c,9r(区別が不要な場合は単に「昇降コード9」と称する。)が吊下されており、各昇降コード9の一端はボトムレール4に取着される。各支持部材5には転向滑車21が前後方向の軸心23で軸支され、ヘッドボックス1に導入された昇降コード9がヘッドボックスの左右方向に転向案内可能となっている。また、各支持部材5は他の昇降コードを左右方向に通過可能な空間を有している。従って、
図2に示すように、右端の昇降コード9rの他端は支持部材5で転向案内され、非操作側の昇降コード(
図2では、左端及び中央の昇降コード9l,9c)は各支持部材5を経て、ヘッドボックス1内を操作棒8方向に案内される。そして、ヘッドボックス1内に設けられるストッパ部16及び案内ローラ31a(
図4に図示)を経て、筒状の操作棒8内に挿通される。
図9(a)に示すように、昇降コード9の他端は、接続部13において、ボールチェーン12の一端に接続されており、ボールチェーン12の他端が支持ケース11内の通路11dを通ってコードイコライザ10に取着される。昇降コード9とボールチェーン12の接続方法は特に限定されず、昇降コード9とベースコード12aの接続であっても、昇降コード9とボール12bとの接続であってもよい。昇降コード9とボールチェーン12の接続方法としては溶着、接着、縫製、かしめ、結び留め、結び玉と孔との係合などが挙げられる。ボールチェーン12は、ベースコード12aに沿って多数のボール12bが略等間隔に配置されて構成される。本実施形態では、
図3に示すように、昇降コード9とボールチェーン12が接続されたコードが引張コード19であり、ヘッドボックス1から導出されてボトムレール4に取着されている側が引張コード19の支持側19sであり、ヘッドボックス1から導出されてコードイコライザ10に取着されている側が引張コード19の操作側19oである。
図3に示すように、支持側19sと操作側19oは、ヘッドボックス1の別々の位置から導出されている。この例では、操作側19oを昇降コード9の導出位置とは異なる位置から導出させているが、いずれかの昇降コード9の導出位置と同じ位置から操作側19oを導出させても良い。ボトムレール4の上昇に伴って、引張コード19の支持側19sの導出長が短くなり、引張コード19の操作側19oの導出長が長くなる。なお、引張コード19の支持側19sと操作側19oは、ボトムレール4の高さ位置により変動する機能概念であり、引張コード19のどの範囲が支持側19sでどの範囲が操作側19oであるか線引きできるものでなく、引張コードの同じ部位が支持側19sにも操作側19oにもなり得る。
【0019】
ストッパ部16は、一例では、ハートカムストッパであり、以下、その具体的構成例を説明する。
図4に示すように、ヘッドボックス1内においてギヤボックス31の近傍には、ストッパ部16のケース32が支持部材5に固定されている。
【0020】
ケース32内には、台車33がヘッドボックス1の長手方向に移動可能に支持されている。台車33の下部には、昇降コード9を挿通するための挿通部34が形成されている。
【0021】
台車33の中央部には、ホールドバネ35が配設されている。このホールドバネ35は、
図5に示すように、弾性を有する金属板の中央部を抜いて、両端部を円筒状に屈曲して昇降コード9の押圧部36a,36bを形成し、その押圧部36a,36bが互いに対向するように二つ折りに屈曲した状態で、台車33内に配設されている。
【0022】
台車33にはホールドバネ35の押圧部36a,36b間に突出する山形部33aが設けられ、その山形部33aによりホールドバネ35が上下方向に位置決めされ、かつ台車33に対しヘッドボックス1の長手方向すなわち
図4において左右方向に移動不能に支持されている。
【0023】
また、押圧部36a,36bは、それぞれ山形部33aから離間する方向に撓み得るようになっている。ケース32のギヤボックス31側の端部には、第一の滑車38が回転可能に支持されている。ケース32の支持部材5側の端部には、第二の滑車39が回転可能に支持されている。
【0024】
昇降コード9はギヤボックス31から第一の滑車38の下方へ挿通され、ホールドバネ35の押圧部36a,36b間及び第二の滑車39上を経て各支持部材5内に案内される。そして、支持部材5内の滑車21を介して、ヘッドボックス1下方へ案内されている。
【0025】
ホールドバネ35は、そのばね力により押圧部36a,36bで昇降コード9を挟着している。従って、押圧部36a,36bと昇降コード9との間には所定の摩擦力が作用し、ケース32内で昇降コード9が移動すると、ホールドバネ35とともに台車33が移動されるようになっている。
【0026】
また、ケース32内で台車33の移動が阻止されると、ホールドバネ35の移動が阻止されるため、昇降コード9は押圧部36a,36bと摩擦しながら移動する。
【0027】
ケース32には、第二の滑車39の上方において、ストッパーカム40が回動可能に支持されている。すなわち、ストッパーカム40はその基端部がケース32に対し軸41を回動支点として回動可能に支持され、その軸41は第二の滑車39の上方に位置している。
【0028】
ストッパーカム40の先端部は、第二の滑車39の外周面に対向する曲面として形成され、その周面上には歯車状の凹凸が滑り止め42として形成されている。
【0029】
そして、ストッパーカム40が第二の滑車39に向かって回動すると、滑り止め42は第二の滑車39の外周面近傍に達し、滑り止め42と第二の滑車39の外周面との間隔は、昇降コード9の径より十分小さくなるように設定されている。
【0030】
従って、
図4に示すようにストッパーカム40と第二の滑車39との間に昇降コード9が挟まれた状態で、さらに昇降コード9がスラット下降方向に移動しようとしても、昇降コード9のそれ以上の移動が阻止されるようになっている。
【0031】
また、ストッパーカム40の両側面には係合突起43がそれぞれ形成されている。台車33のストッパーカム40側には、該ストッパーカム40の両側に延びる一対の支持片44が形成され、ストッパーカム40はその支持片44間において回動するようになっている。
【0032】
各支持片44の上縁部には、係合突起43が係合する係合凹部45が形成されている。係合凹部45は、各支持片44の上縁から下方に向かって形成されるとともに、ストッパーカム40側の側縁上部には斜面46が形成されて、同ストッパーカム40側に向かって幅広となっている。
【0033】
そして、
図4に示すように台車33がストッパーカム40に向かって前進すると、係合突起43が係合凹部45内を下方へ案内されて、ストッパーカム40が下方へ回動し、台車33がストッパーカム40から離れる方向に後退すると、
図7に示すように、係合突起43が係合凹部45の斜面上に案内されて、ストッパーカム40が上方へ回動するようになっている。
【0034】
台車33とケース32との間にはカム機構47が形成されている。すなわち、第一の滑車38の下方において、ケース32の底面上にはカム軸48がヘッドボックス1の前後方向にのみ移動可能に支持されている。
【0035】
台車33の下面には、カム軸48を案内する案内溝49が形成されている。
図6に示すように、案内溝49は台車33の移動にともなって、カム軸48を第一〜第四の位置P1〜P4の順に順次周回させながら、各位置P1〜P4で停止させ、あるいは保持するようになっている。
【0036】
次に、上記のように構成されたストッパ部16の動作を説明する。
図4に示すように、昇降コード9がストッパーカム40と第二の滑車39との間に挟着された状態では、昇降コード9のスラット下降方向の移動が阻止される。このとき、案内溝49内においてカム軸48は第一の位置P1に位置する。
【0037】
この状態から、昇降コード9をヘッドボックス1から引き出すと、昇降コード9が矢印A方向に移動して、台車33が同方向へ移動する。すると、カム軸48は第一の位置P1から第二の位置P2に移動して、台車33の同方向へのそれ以上の移動が阻止される。
【0038】
この時、台車33の移動にともなってストッパーカム40が上方へ回動し、
図7に示すように、ストッパーカム40は昇降コード9の挟着を解除した状態となる。
【0039】
この状態から、昇降コード9を手放すと、スラット3及びボトムレール4の重量により、昇降コード9が矢印B方向に移動し、台車33が同方向に移動する。
【0040】
すると、カム軸48は第二の位置P2から第三の位置P3に移動して、それ以上の移動が阻止される。従って、台車33は矢印B方向に僅かに移動した後、同方向へのそれ以上の移動が阻止され、
図8に示す状態で停止する。
【0041】
この状態では、ストッパーカム40による昇降コード9の挟着は解除された状態に維持されるため、昇降コード9はスラット3及びボトムレール4の重量に基づいて、ホールドバネ35との摩擦に抗して矢印B方向に移動する。従って、スラット3及びボトムレール4が自重により下降する。
【0042】
図8に示す状態で、スラット3を所望位置まで下降させた後、昇降コード9を引き出すと、台車33は矢印A方向に移動し、カム軸48は第三の位置P3から第四の位置P4に移動する。
【0043】
すると、台車33の同方向へのそれ以上の移動が阻止され、
図7に示すように、ストッパーカム40は昇降コード9の挟着を解除した状態に維持される。この状態では、昇降コード9をヘッドボックス1から引き出して、スラット3を所望位置まで引上げ可能である。
【0044】
また、カム軸48が第四の位置P4に位置する状態から、昇降コード9を手放すと、スラット3及びボトムレール4の重量により、昇降コード9が矢印B方向に移動し、台車33が同方向に移動する。
【0045】
すると、
図4に示すように、ストッパーカム40が下方へ回動して第二の滑車39との間に昇降コード9を挟着して、同方向への昇降コード9の移動を阻止するので、スラット3及びボトムレール4の自重降下が防止される。
【0046】
このとき、カム軸48は第四の位置P4から第一の位置P1まで移動して、停止する。
【0047】
以上のように、ストッパ部16は、引張コード19(昇降コード9)の従動を阻止するロック状態と、引張コード19(昇降コード9)の移動を許容する解除状態とが切り替え可能に構成されている。また、ストッパ部16は、ボトムレール4の自重下降中に前記解除状態を維持する解除状態維持機能を備える。さらに、ストッパ部16は、ストッパ部16がロック状態であるときに引張コード19を引くことによって解除状態となり、ストッパ部16が前記解除状態であるときに引張コード19を引くことによって前記ロック状態となるように構成されている。特許文献1のようなヘッドボックスのコード出口に設けられる移動コロ式のストッパの場合は、引張コードを斜めに引くことによってストッパ部を解除状態してボトムレールを自重下降させることができるが、ボトムレールの自重下降中に引張コードがばたついて移動コロに触れてしまうとストッパ部が再度ロック状態となってボトムレールの自重下降が停止してしまう場合がある。一方、本実施形態のストッパ部16は、ストッパ部16を解除状態にした後は引張コードを再度引くまではストッパ部16はロック状態にならない。従って、ボトムレール4の自重下降中に意図せずしてストッパ部16がロック状態になることを回避することができる。
【0048】
次に、支持ケース11及びその内部の部材の構成について、
図9〜
図12を用いて詳細に説明する。
支持ケース11は、支持ベース11aと、支持ベース11aに固定されるカバー11b(
図1に図示)で構成される。支持ベース11aのプーリー軸受部11eに回転伝達プーリー14の円筒部14fが挿入されて、回転伝達プーリー14が支持ベース11aに対して回転可能に支持される。また、回転伝達プーリー14の嵌合孔14eには、回転抵抗体15の断面非円形の中心軸15bが嵌合されて、中心軸15bが回転伝達プーリー14と一体回転するようになっている。回転伝達プーリー14の収容部14dには回転抵抗体15のケース15aが収容されるようになっている。
【0049】
回転伝達プーリー14には、環状の本体部14gから径方向に突出する複数の(本実施形態では6個の)係合突起14aが周方向に等間隔に配置されており、隣接する2つの係合突起14aの間の凹部14cの内面は、ボール12bが係合される形状になっている。本体部14g及び係合突起14aは、支持ベース11aのプーリー収容部11g内に配置される。この状態で、ボールチェーン12が通路11dを通過するように移動すると、ボール12bが凹部14cに係合されて回転伝達プーリー14が回転するようになっている。また、支持ケース11の側壁11a1で、ボール12aの径方向への逃げが抑えられている。また、各係合突起14aには、昇降コード9やボールチェーン12のベースコード12aが挿通可能なコード挿通溝14bが設けられている。
図10(b)に示すように、コード挿通溝14bの幅Wは、ベースコード12aの直径よりも大きくなっていて、支持ケース11の側壁11a1と回転伝達プーリー14の間にも隙間があり、ベースコード12aがコード挿通溝14bに係合されないようになっている。コード挿通溝14bに昇降コード9を係合させない場合には、コード挿通溝14bの幅Wは、複数本の昇降コード9の直径の和より大きいことが好ましい。但し、
図10(c)に示すように、コード挿通溝14bの幅Wが複数本(本実施形態では3本)の昇降コード9の直径の和よりも小さい場合でも、コード挿通溝14bの内面と昇降コード9の間の摩擦によって発生するトルクが回転伝達プーリー14の回転に必要な最小トルクよりも小さくなるようにすることによって、昇降コード9をコード挿通溝14bに対して滑らせることができる。
【0050】
回転抵抗体15は、ケース15aと、ケース15aから軸方向に突出する中心軸15bと、ケース15aから径方向に突出する回転規制突起15cを備える。回転抵抗体15は、回転規制突起15cがカバー11bに係合されることによって、カバー11bに対して回転不能に固定される。なお、ケース15aとカバー11bが別体でなく一体としてもよい。また、回転規制突起15cとカバー11bの嵌合凹部を省略してもよい。回転抵抗体15は、中心軸15bがケース15aに対して相対回転することによって回転抵抗を発生させるように構成されているので、回転伝達プーリー14の回転に伴って中心軸15bが回転すると回転抵抗が発生する。
【0051】
回転抵抗体15としては、中心軸15bがケース15aに対して相対回転することによって回転抵抗を発生させるものであれば、その構成は特に限定されず、ケース15a内に粘性流体(例:オイル)が収容されていて中心軸15bの回転に伴って粘性流体内を移動部材(例:ピストン、羽、スクリュー)が移動(例:回転移動、直線移動;直線移動は中心軸の回転をネジ送りなどによりケース内部で直線移動に変換する機構を介する)することによって回転抵抗が発生するように構成されているものや、中心軸15bの回転に伴って、中心軸15bと共に回転するように構成された摩擦部材(例:ゴム・ガバナメタル)が遠心力によってケース15aの内面又はケース内に固定された面に押し付けられて摩擦抵抗が発生することによって回転抵抗が発生するように構成されているもの、相対移動又は回転する磁性体と金属、回転羽による空気抵抗ダンパが挙げられる。中心軸に対する回転入力がブラインドの上昇方向の場合、回転抵抗を減少させる又は生じさせないワンウェイ機能を備えることが好ましい。ワンウェイ機能は、回転抵抗体15の外部、例えば、中心軸15bとプーリーの間にワンウェイクラッチを設けて構成してもよく、回転規制突起15cとカバー11bの嵌合が上昇回転時に嵌合しない構成(共回り)としてもよい。また、回転抵抗体15が、中心軸に対する回転入力の回転位置(又は所定の状態からの回転回数)に依存して抵抗値が変化する形式のもの(例えば、回転抵抗体15の内部にある抵抗体が回転入力に伴って移動することによって抵抗値が変化するもの)である場合、遮蔽材の下降方向に回転するときに、回転回数の増大に伴って抵抗値が小さくなるよう変化するよう設定することが好ましい。
【0052】
粘性流体内で移動部材が移動する際に生じる抵抗力を利用する構成のものは、構成がシンプルであるので、小型化が容易であるという利点がある。一方、遠心力を利用する構成のものは、中心軸15bの回転速度が小さいときには回転抵抗が非常に小さくなるので、ボトムレール4が下限位置に近づいて下降速度が低下したときのブレーキ力が非常に小さくなる。このため、ボトムレール4が下限位置まで降りないという問題の発生を抑制することができる。
【0053】
ここで、本実施形態の横型ブラインドの動作について説明する。
図1に示すように、ボトムレール4が下限位置にある状態では、
図1〜
図3(a)及び
図9(a)に示すようにコードイコライザ10が支持ケース11の下面に当接されており、ボールチェーン12のボール12bが回転伝達プーリー14の凹部14cに係合されている。この状態で、引張コード19の操作側19oを引き下げると回転伝達プーリー14が
図9(a)の反時計回りに回転すると共に、ヘッドボックス1からの昇降コード9の導出長(つまり、引張コード19の支持側19sの導出長)が短くなって、
図3(b)に示すように、ボトムレール4が上昇する。回転伝達プーリー14の回転に伴って回転抵抗体15の中心軸15bが回転するので、回転抵抗が発生する。このとき前述のワンウェイ機能を設ければ上昇時の回転抵抗を減じるか又は作用させないため、ワンウェイ機能を設けないときより上昇操作力を軽減させることができる。
【0054】
引張コード19の操作側19oを引き続き引き下げ、接続部13が回転伝達プーリー14を通過した後は、昇降コード9が回転伝達プーリー14のコード挿通溝14bを通過する。本実施形態では、昇降コード9は、コード挿通溝14bに係合されないので、昇降コード9の移動に伴って回転伝達プーリー14は回転されない。
【0055】
引張コード19の操作側19oが引き下げられてボトムレール4が上限位置付近にまで到達した後の状態を
図3(b)及び
図9(b)に示す。この状態で引張コード19から手を離すとストッパ部16が作動してボトムレール4が自重下降しないようにストッパ部16が昇降コード9を保持する。
【0056】
この状態で、引張コード19の操作側19oを少し引き下げるとストッパ部16での昇降コード9のロック状態が解除されて、ボトムレール4が自重下降する。
【0057】
ボトムレール4の自重下降に伴ってボールチェーン12がヘッドボックス1に向かう方向に移動し、ボールチェーン12が回転伝達プーリー14に到達すると回転伝達プーリー14が回転し始める。そして、回転伝達プーリー14の回転に伴って回転抵抗体15の中心軸15bが回転すると回転抵抗が発生するので、ボールチェーン12の移動にブレーキ力が加えられ、ボトムレール4の自重下降の速度が低減される。また一括してボールチェーン12にブレーキ力が作用するため複数の昇降コード9に対し均等に抵抗が加わりボトムレール4が平行に下降する。回転速度依存の回転抵抗体を用いた場合には遮蔽材の自重(本実施形態の場合はボトムレール4の重量と、ボトムレール4上に支持されているスラット3の重量の合計)が減少し、ボトムレール4の下降速度が減少するにつれ回転抵抗が減少し、ボトムレール4が下限まで降下する。回転位置依存の回転抵抗体を用いた場合には、ボトムレール4の位置が下がるにつれて(チェーンの係合位置が変化し)、回転抵抗体内部の抵抗体の位置が移動し、それに伴い中心軸の回転抵抗が減少してボトムレール4が下限まで降下する。
【0058】
ところで、ストッパ部16が昇降コード9を通過させるがボールチェーン12を通過させないように構成されている場合、ボトムレール4の下降に伴ってボールチェーン12がヘッドボックス1内に引きこまれてストッパ部16に到達すると、ボールチェーン12がストッパ部16と干渉し、ボトムレール4の下降が停止してしまう。そこで、本実施形態では、ボトムレール4が下限位置に到達するまでにボールチェーン12がストッパ部16に到達しないように、好ましくはボールチェーン12がヘッドボックス1に到達しないようにボールチェーン12を配置している。このため、回転抵抗体15を回転させることができる領域は、ボールチェーン12の最初のボール12bs(
図9(a)に図示)が回転伝達プーリー14に到達してからストッパ部16又はヘッドボックス1に到達するまでのボールチェーン12の移動距離に依存する。そして、この移動距離を長くするには、回転抵抗体15をヘッドボックス1からできるだけ離れた位置に配置すればよく、このため、本実施形態では、回転抵抗体15は、操作棒8の先端部に取着された支持ケース11に設けている。
【0059】
既に設置されている横型ブラインドに対して、本実施形態の構成を適用する場合には、その横型ブラインドの操作棒、グリップ、昇降コードを本実施形態の操作棒8、支持ケース(ダンパ・プーリ・アッセンブリー)11及び引張コード19(昇降コード9とボールチェーン12が接続されたコード)に交換すればよく、ヘッドボックス1内に新たな部品を配置する必要がない。従って、本実施形態の構成は、既に設置されている横型ブラインドに対して容易に適用することができる。また、ヘッドボックス1内には新たな部品を配置しないので、ヘッドボックス1が大型化されない。
【0060】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
本発明は、遮蔽材がスラット以外である遮蔽装置にも適用可能である。この場合は、チルトドラムやシャフト、チルト回転伝達機構を省略すればよい。この場合、操作棒(本実施例ではチルト操作)ではなくなり、支持棒となる。
【0061】
・上記実施形態では、操作棒の中へ昇降コード及びチェーンを挿通したが、挿通しなくても良い。例えばヘッドボックスから回転抵抗体を支持するための非筒状の支持部材を吊下支持させ、この支持部材に回転抵抗体を支持させるように構成してもよい。
・また、遮蔽装置に隣接した壁面等の躯体・躯体に固定的に設置される物体(窓枠等)に回転抵抗体を支持させるように構成してもよい。具体的には、
図13に示す形態では、2本の昇降コード9l,9rの一端がボトムレール4に取着され、その他端がヘッドボックス1内を通って操作棒8の吊下位置に隣接した位置に設けられたコード出口26から導出されている。昇降コード9l,9rの他端にはボールチェーン12が接続されており、ボールチェーン12の先端にはつまみ27が取着されている。遮蔽装置である横型ブラインド30に隣接した壁面に固定的に設置された窓枠25には、支持ベース11aがビス29などで固定される。支持ベース11aには回転伝達プーリー14及び回転抵抗体15が装着されてダンパ・プーリ・アッセンブリーが構成され、カバーが支持ベース11aに取り付けられる。このような形態においても、上記実施形態と同様にボールチェーン12を回転伝達プーリー14に係合させることによってボトムレール4の自重下降に伴って回転抵抗体15に入力回転を加えて回転抵抗を発生させることができる。
・上記実施形態では、操作棒8の先端に取着された支持ケース11(つまり、支持棒の先端部)に回転抵抗体15を設けているが、回転抵抗体15は、支持棒の別の位置に設けてもよい。
・本発明は、ボトムレールを有さない遮蔽装置(たくし上げカーテン、ロールアップブラインドなど)にも適用可能である。このような遮蔽装置でも、引張コードの支持側の導出長を変化させることによって遮蔽材を昇降させることができるからである。
・上記実施形態では、回転抵抗体15のケース15aを固定し、中心軸15bを回転させているが、中心軸15bを固定してケース15aを回転させることによって回転抵抗を生じさせるように構成してもよい。また、この場合、回転伝達プーリー14を用いる代わりに、ボールチェーン12をケース15aの外周に係合させてケース15aを回転させることによって回転抵抗を発生させるようにしてもよい。
・上記実施形態ではボールチェーン12の部分でのみ回転抵抗体15に回転抵抗を発生させたが昇降コード9の回転抵抗体15を通過する部分でも回転抵抗を発生させるようにしてボトムレール4の降下範囲の全長に回転抵抗を発生させても良い。例えば、コード挿通溝14bの幅を狭くしたり、コード挿通溝14bをV字状にしたりすることによって、昇降コード9がコード挿通溝14bに係合して昇降コード9の移動に伴って回転伝達プーリー14が回転するように構成することができる。
【0062】
(第2実施形態)
図14を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0063】
図14は、ボトムレール4が下限位置近傍にまで下降したときの、コードイコライザ10と支持ケース(ダンパ・プーリ・アッセンブリー)11の位置関係を示す。この状態では、コードイコライザ10は、支持ケース11の下面11fの近くに配置されているが、下面11fには当接していない。
【0064】
自重下降式の遮蔽装置では、通常、ボトムレール4の下降に伴って遮蔽材の荷重をラダーコード2やヘッドボックス1が支持する割合が増大し昇降コード9に加わる荷重が減る。遮蔽装置には各部品の抵抗が必ずあり、プリーツスクリーンやハニカムスクリーンのように遮蔽材の屈曲状態を伸ばす方向に降下させる場合には遮蔽材自体の抵抗もあるため、その総抵抗に打ち勝つだけの荷重がボトムレール4に作用しないとボトムレール4が下限位置にまで降り切らないおそれがある。
【0065】
このような現象を生じさせないために、本実施形態では、
図14(a)に示すように、ボールチェーン12の一番下のボール12beが回転伝達プーリー14を通過する時点では、
図15(a)に示すようにボトムレール4が下限位置に到達していないようにボール12beを配置し、ボール12beとコードイコライザ10の間にボールを配置しない領域Rを設けている。このような構成によれば、第1実施形態と同様にボールチェーン12の多数のボール12bが回転伝達プーリー14を通過中に、ボトムレール4の下降速度が適切な速度にまで減速され、ボール12beが回転伝達プーリー14を通過し、
図14(b)に示すように、ボールを配置しない領域Rが回転伝達プーリー14を通過している間は回転伝達プーリー14が回転しないので回転抵抗が発生せず、
図15(b)に示すように、ボトムレール4が下限位置にまで到達しやすくなる。
【0066】
(第3実施形態)
図16を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は第2実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0067】
第2実施形態の構成では、ボール12beが回転伝達プーリー14を通過した後は回転抵抗が全く発生しないので、遮蔽装置の構成によってはボトムレール4の下降速度が大きくなりすぎる場合がある。
【0068】
そこで、本実施形態では、
図16に示すように、ボールチェーン12の特定のボール12bfが回転伝達プーリー14を通過する時点ではボトムレール4が下限位置に到達していないようにボール12bfを配置し、ボール12bfとコードイコライザ10の間はボール12bを設けるピッチを大きく(例えば2倍の間隔と)し、その間は回転伝達プーリー14と係合しないコード(例えばベースコード12a)としている。このような構成によれば、ボール12bfが回転伝達プーリー14を通過した後は回転伝達プーリー14の回転速度が低減されるので、回転抵抗体15が発生する回転抵抗が低減される。また、第2実施形態ではボール12beが回転伝達プーリー14を通過した後に回転抵抗が突然無くなったが、本実施形態では、ボール12bfが回転伝達プーリー14を通過した後もある程度の回転抵抗が残るので、ボトムレール4の下降速度が大きくなりすぎることがない。従って、本実施形態によれば、ボトムレール4の下降速度が大きくなりすぎることなく、ボトムレール4が下限位置にまで到達させることができる。
【0069】
本実施形態では、ボール12bfよりも下側でのボール12bを設けるピッチP
Lは、ボール12bfよりも上側でのピッチP
Uの2倍以上が好ましい。1倍よりも大きく2倍未満であると、隣接する2つのボール12bのうち1つのボール12bが回転伝達プーリー14の凹部14cに係合されると、もう一つのボール12bが凹部14cには係合されずに係合突起14aに衝突しやすいからである。ピッチP
Lは、ピッチP
Uの整数倍(2倍、3倍など)であることが好ましい。
【0070】
(第4実施形態)
図17を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0071】
本実施形態では、
図17(a)に示すように、ボールチェーン12の代わりに、柱状である柱状コード18が接続部13において、複数の昇降コード9に接続されている。また、回転伝達プーリー14としては、
図17(b)に示すように、柱状コード18と係合可能な構成のものが用いられる。柱状コード18は、昇降コード9よりも外径が大きいことが好ましい。この場合、柱状コード18と回転伝達プーリー14との接触面積が大きくなって、柱状コード18が回転伝達プーリー14に対して滑りにくくなるからである。
【0072】
柱状コード18は、一例では、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂などで形成された中芯をナイロンやポリエステル樹脂で編み込まれた外皮コードで被覆して構成される。この構成とすると、中芯により柱状コード18の直線性が確保されるとともに、伸び方向の耐久性が確保でき、さらに縮径方向のつぶれ防止になる。
【0073】
回転伝達プーリー14は、
図17(b)に示すように、径方向外側に突出する第1及び第2爪部117,118を備えており、爪部117,118の間に凹部17が設けられる。爪部117,118は、それぞれ、周方向に等間隔に多数設けられている。爪部117,118は、それぞれ、基部117a,118aから凹部17に向かって突出する突起117b,118bを備えており、突起117b,118bが柱状コード18に食い込むことによって、柱状コード18が回転伝達プーリー14に係合される。また、爪部117,118は、周方向に交互に並んでいるために、柱状コード18が蛇行しながら回転伝達プーリー14に係合し、これによって、柱状コード18と回転伝達プーリー14の係合の保持力が高められている。
【0074】
本実施形態では、ボトムレール4の自重下降に伴って柱状コード18がヘッドボックス1に向かって移動する際に、回転伝達プーリー14が回転され、その回転によって回転抵抗体15が回転されて回転抵抗が発生され、ボトムレール4の下降速度が低減される。
【0075】
本実施形態のように柱状コード18を用いて回転伝達プーリー14を回転させる場合でも第2〜第3実施形態に示すように、ボトムレール4が下限位置に近づくに伴って回転抵抗が低減されるように構成することができる。
【0076】
(第5実施形態)
図18を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0077】
本実施形態は、ボールチェーン12の移動に伴って回転伝達プーリー14が回転し、その回転が回転抵抗体15に伝達されることによって回転抵抗が発生してボトムレール4の下降速度が低減される点は第1実施形態と共通している。一方、本実施形態では、回転伝達プーリー14及び回転抵抗体15は、ヘッドボックス1内に配置されている。回転伝達プーリー14は、ヘッドボックス1に対して回転可能に支持されており、回転抵抗体15のケース15aはヘッドボックス1に対して回転不能に支持されている。また、回転伝達プーリー14に隣接して、回転伝達プーリー14の外周面に沿った形状の内壁を有する押さえ体101が設けられている。ボールチェーン12は、回転伝達プーリー14と押さえ体101の間に挿通されている。ボトムレール4が自重下降する際にボールチェーン12には回転伝達プーリー14から離れる方向の力が加わるが、ボールチェーン12が押さえ体101の内壁に当接することによってボールチェーン12が径方向に逃げることが抑制され、ボールチェーン12の移動に伴って回転伝達プーリー14が確実に回転される。そして、回転伝達プーリー14の回転に伴って回転抵抗体15の中心軸15bが回転すると、回転抵抗が発生する。本実施形態では、操作棒8の下端にグリップ51が設けられている。グリップ51は、操作棒8を回転操作しやすくするために設けられている。
【0078】
また、ストッパ部16は、昇降コード9を保持するのに適した構成を有しているため、ボトムレール4の可動範囲においてボールチェーン12がストッパ部16に到達すると、ストッパ部16は、ボールチェーン12を適切に保持できず、ボトムレール4が自重下降してしまう。そこで、本実施形態では、引張コード19は、ボトムレール4の可動範囲(上限位置と下限位置の間)においてボールチェーン12がストッパ部16に到達しないようにヘッドボックス1内で引き回されている。ここで、
図18(a)を用いて、具体的な構成例を説明する。
図18(a)に示すように、ストッパ部16がヘッドボックス1の略左端に配置されており、ヘッドボックス1の左端側には転向プーリー20が配置され、回転伝達プーリー14及び回転抵抗体15がヘッドボックス1の右端側に配置されている。転向プーリー20は、回転伝達プーリー14と同様の構成を有する。引張コード19は、転向プーリー20及び回転伝達プーリー14に掛装され、その操作側19oが回転伝達プーリー14側から垂下され、その支持側19sがストッパ部16を経由して垂下されている。
【0079】
このような構成によれば、ストッパ部16と回転伝達プーリー14の間での引張コード19の長さが長くなるので、
図18(a)に示すようにボトムレール4が下限位置にある状態ではストッパ部16に昇降コード9が挿通され、且つ
図18(b)に示すようにボトムレール4が上限付近にまで上昇させたときにボールチェーン12が回転伝達プーリー14に掛装されている状態にすることができる。このため、ボトムレール4を下降させないときはストッパ部16でボトムレール4の自重下降を確実に防止しつつ、ボトムレール4を自重下降させる時はボトムレール4の下降速度を抑制することができる。
【0080】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、操作側19oが操作棒8内に挿通されているが、操作側19oは、操作棒8内に挿通させる必要がなく、操作棒8の吊下位置とは別の場所から垂下させてもよい。
【0081】
(第6実施形態)
図19を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は第5実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、ボールチェーン12の代わりに、柱状コード18が昇降コード9に接続されている。柱状コード18の構成は、第4実施形態において説明した通りである。また、回転伝達プーリー14としては、第4実施形態で説明したように、柱状コード18との係合に適した構成のものが用いられる。
本実施形態においても、第5実施形態と同様の原理によって、ボトムレール4を下降させないときはストッパ部16でボトムレール4の自重下降を確実に防止しつつ、ボトムレール4を自重下降させる時はボトムレール4の下降速度を抑制することができる。