(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の明細書に記載され、又は図面に示された動作の詳細、若しくは構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、様々な他の実施形態で実施されるものであってもよいし、又は本明細書に明示的に開示されていない他の方法において実施又は実行されるものであってもよい。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであって、限定と見做されるべきものではないことを理解されたい。「含む」及び「備える」並びにそれらの変形例は、その後に列挙される項目及びそれらの均等物だけでなく、それらの付加的な項目及びそれらの均等物も包含していることを意味する。さらに、列挙は、様々な実施形態の説明において使用されてもよい。明示的に別段の定めをした場合を除き、列挙の使用は、如何なる特定の順序又は構成要素の数にも、本発明を限定するものとして解釈すべくではない。また、列挙の使用は、列挙された工程又は構成要素と組合せ可能な如何なる付加的な工程又は構成要素も、本発明の範囲から除外すべきものとして解釈すべきでもない。
【0025】
図1には、本発明の一実施形態に係る無線リモートセンサシステムが示されている。この実施形態において、無線リモートセンサシステム10は、誘導伝送器12と、無線リモートセンサ14とを概略含んでいる。この実施形態において、誘導伝送器12は、磁気誘導を使用して、無線電力を無線リモートセンサ14に送信することができる。誘導伝送器12は、無線リモートセンサ14に電力を無線で供給して、無線リモートセンサ14からセンサ情報を受信する。より具体的に、使用中、誘導伝送器12は、無線リモートセンサ14に電力を供給する。無線リモートセンサ14は、誘導伝送器12から受信した無線電力によって駆動される共振回路を含み、無線リモートセンサ14内の一又は複数の可変インピーダンス素子の値(複数可)に従って、応答する。
【0026】
この実施形態において、無線リモートセンサ14は、無線リモートセンサ14によって検知されるためのパラメータに応じて変化する複数の可変インピーダンス素子を含んでいる。例えば、無線リモートセンサ14は、温度に応じて変化する可変抵抗器を含んでもよい。無線リモートセンサ14は、無線リモートセンサ14によって検知されるためのパラメータ(複数可)に応じて変化する特性を有する振動波を生成するように構成されている。例えば、無線リモートセンサ14は、検知パラメータに応じて、その高低部の継続期間が変化する振動波を生成すればよい。
図1の実施形態において、無線リモートセンサ14は、二つのセンサと、センサに応じて継続期間が変化する高低部を備える略矩形波を生成する充電/放電回路とを含んでいる。第1センサは、測定されたパラメータに応じて変化する可変インピーダンス素子を有すればよい。第1センサの可変インピーダンス素子は、充電/放電回路の充電期間を変化させるように構成されればよい。第2センサは、測定された第2パラメータに応じて変化する可変インピーダンス素子を有すればよい。第2可変インピーダンス素子は、充電/放電回路の放電期間を変化させるように構成されればよい。
【0027】
開示のために、温度変化に応じて変化する可変抵抗器を有する温度センサを含む様々な無線リモートセンサに関して、本発明を説明される。本発明は、基本的に、例えば可変抵抗器又は可変コンデンサ等の可変インピーダンス素子を有するセンサを使用して測定可能な任意のパラメータを監視するための無線リモートアクセスセンサ内に、包含されればよい。例えば、本発明に係る無線リモートセンサは、温度、溶存酸素、塩分濃度、又は他の生体電気信号を測定することができる。本発明は、経皮医療センサ及び経口医療センサ、誘導加熱調理器、並びに製品包装にあるセンサを含む、これらのタイプのセンサを利用可能な現在及び将来の用途における使用によく適している。
【0028】
上述したように、無線リモートセンサシステム10は、誘導伝送器12と無線リモートセンサ14とを概略含んでいる。誘導伝送器12は、概して、電磁場を発生させるための伝達コイル16と、伝達コイル16に電力を供給するためのドライバ18と、誘導伝送器12における電力特性を検知するための伝送器センサ20とを有する従来型の誘導電力伝送器であればよい。伝達コイル16は、用途ごとに異なってもよいが、この実施形態においては、伝達コイル16を経由する電力の流れに応じて、適切な電磁場を発生可能な電線コイルである。伝達コイル16は、本実施形態においてコイルであるが、基本的に、適切な電磁場を発生可能な如何なる誘導子であってもよい。伝達コイル16は、タンク回路内に、より具体的には直列共振タンク回路内に包含されればよい。直列共振タンク回路は、固有共振周波数を有してもよく、又は異なる周波数を有するように調整可能な調整回路であってもよい。例えば、タンク回路は、選択的に変化可能なコンデンサ及び/又は選択的に変化可能な誘導子を有してもよい。ドライバ18は、所望の動作周波数で伝達コイル16に交流電力を供給するように構成されればよい。タンク回路に電力を供給する場合、ドライバ18は、タンク回路の共振周波数又はそれに近い周波数でタンク回路に電力を供給するように構成されればよい。この実施形態において、伝送器センサ20は、伝達コイル16における電流を測定するように構成された電流センサである。しかしながら、伝送器センサ20は、用途ごとに異なってもよい。他の実施形態において、電流センサは、無線リモートセンサ14の反射インピーダンスによって影響される誘導伝送器12における電力特性(複数可)を測定可能な他の如何なるセンサ(複数可)に、置き換えられてもよい。例えば、伝送器センサ20は、共振周波数、電流、電力、又は位相を検知するように構成されてもよい。
【0029】
無線リモートセンサ14は、受信コイル26と、整流器28と、充電/放電回路30とを概略含んでいる。受信コイル26は、伝達コイル16によって生成された電磁場によって電流が誘起される電線コイル又は他の誘導子であればよい。受信コイル26は、タンク回路内に、より具体的には直列共振タンク回路に包含されていればよい。直列共振タンク回路は、固有共振周波数を有してもよく、又は異なる周波数を有するように調整可能な調整回路であってもよい。整流器28は、基本的に、必要に応じてフルブリッジ整流器又はハーフブリッジ整流器であればよい。充電/放電回路30は、無線リモートセンサ14によって測定された一又は複数のパラメータの値に応じて、経時的に変化する可変負荷を示すような方法で、受信コイル26に結合されている。動作中、この可変負荷は、反射インピーダンスによって伝達コイル16に返送され、そこで、伝送器センサ20によって認識されることができる。この実施形態において、充電/放電回路30は、二つの検知パラメータの値に基づいて継続期間が変化する高低部を備える振動波を生成するために、変化する。この実施形態の無線リモートセンサ14は、二つのセンサ素子32、34を含んでいるが、必要に応じて、単一のセンサ素子32又は34を含んでもよい。
【0030】
図1は、無線リモートセンサ14が、誘導伝送器12にフィードバックするためにヒステリシス制御可変タイミング回路を使用する充電/放電回路30を含む本発明の実施形態を示している。この実施形態において、充電/放電回路30は、充電サブ回路36と、放電サブ回路38と、トリガ40とを概略含んでいる。この実施形態の充電サブ回路36は、充電コンデンサC
tと充電抵抗器R1
tとを有するRC回路を含んでいる。この実施形態において、充電抵抗器R1
tは、センサ素子32であり、その抵抗値は、検知パラメータに応じて変化する。例えば、充電抵抗器R1
tは、温度に応じて変化する抵抗値を有するサーミスタであればよい。使用中、RC回路は、整流器の電圧出力が上昇する速度を決定する。本実施形態の放電サブ回路38は、変調抵抗器R
mと、可変抵抗器R2
tと、電流ラッチ42と、変調レッグ44とを含んでいる。変調抵抗器R
mは、振動波に所望の振幅を提供するように選択された固定抵抗値を有する抵抗器であればよい。可変抵抗器R2
tは、センサ素子34であり、その抵抗値は、第2検知パラメータに応じて変化すればよい。例えば、このセンサ素子34は、第2温度測定値に応じて変化する抵抗値を有するサーミスタであればよい。電流ラッチ42は、電流を充電コンデンサC
tから放電するように配置されたトランジスタQ1及びQ2を含んでいる。この実施形態において、トリガ40は、放電回路38のタイミングを制御し、電流ラッチ42が“オン”及び“オフ”する電圧を決定する一対のダイオードD1及びD2を含んでいる。図示の実施形態において、ダイオードD1は、電流ラッチ42が“オン”する電圧を決定するツェナーダイオードであればよく、ダイオードD2は、電流ラッチ42が“オフ”する電圧を決定するツェナーダイオードであればよい。RC回路に十分な電圧が蓄えられると、ダイオードD1の逆方向ブレイクダウン電圧に達して電流がダイオードD1を流れる。この電流は、トランジスタQ1のベースの電圧を上昇させてトランジスタQ1をオンする。一旦オンされると、トランジスタQ1のコレクタに流れる電流は、トランジスタQ2及びトランジスタQ3のベースから引き出され、トランジスタQ2及びトランジスタQ3の両方も同様にオンする。トランジスタQ2がオンされているので、電流は、放電抵抗器R2
tとダイオードD2とを流れてトランジスタQ1のベースに流入し、ダイオードD2の逆方向ブレイクダウン電圧に達するまで、トランジスタQ1をオンし続ける。電流ラッチ42がオンした電圧よりも低い電圧でオフすることを確実にするために、このダイオードD2の逆方向ブレイクダウン電圧は、ダイオードD1の逆方向ブレイクダウン電圧よりも低くなっている。必要であれば、放電サブ回路38は、変調抵抗器R
mを有する変調レッグ44を含んでもよい。変調レッグ44は、オンの間、電流を変調抵抗器R
mに流すトランジスタQ3を含んでいる。この実施形態において、電流ラッチ42がオンのときにトランジスタQ3がオンし、電流ラッチがオフのときにトランジスタQ3がオフするように、トランジスタQ3は、電流ラッチ42に結合されている。この実施形態において、変調抵抗器R
mの抵抗値は、伝送ベースにおける電流を上昇させるのに十分に小さくなっている。
【0031】
したがって、充電サブ回路が充電される時間は、結合係数と、ダイオードD1の逆方向ブレイクダウン電圧と、充電抵抗器R1
tの抵抗値とによって決定される。充電抵抗器R1
tの抵抗値が増加するにつれて、充電サブ回路を充電するのに要する時間は減少する。充電サブ回路が放電される時間は、主として、変調抵抗器R
m及び放電抵抗器R2
tの抵抗値と、ダイオードD1及びD2の逆方向ブレイクダウン電圧とによって決まる。放電抵抗器R2
tの抵抗値が減少するにつれて、充電サブ回路が放電される時間は減少する。可変抵抗器が同一に製造され、無線リモートセンサ14で同じ速度で変化する場合、デューティサイクル(放電期間対充電期間)は、二乗関数として変化し、誘導伝送器12により優れた測定分解能を与える。誘導伝送器12は、コイル電流の変化を測定することによって、結合を決定できればよい。
【0032】
例えば、
図2は、二つの異なる状況下での、充電/放電回路によって生成される振動波と、伝達コイルにおける電流とを表す波形W1〜W4を示している。上側の波形W1、W2のセットは、約50%のデューティサイクルを備える振動波を示し、下側の波形W3、W4のセットは、著しく低いデューティサイクルを有する振動波を示している。より具体的に、一番上の波形W1は、充電/放電回路によってある状況下で生成された振動波を表している。二番目の波形W2は、反射インピーダンスを経由して振動波W1の影響を受けたときの伝達コイル16における電流を表している。下側の波形のセットは、異なる状況下での振動波W3と、伝達コイル電流W4とを示している。この状況下では、ディーティーサイクルが著しく低く、それに応じて、振動波W3と、伝達コイル電流W4とが変化している。図示するように、充電期間P1、P1’(すなわち、振動波の低部)と、放電期間P2、P2’(すなわち、振動波の高部)とは、状況ごとに変化し、この変化は、伝達コイル電流W2、W4(又は、無線リモートセンサの反射インピーダンスの影響を受ける誘導伝送器12における他の電力特性)を見ることによって、誘導伝送器12において容易に検出できる。充電抵抗器R1
tがセンサ素子32である実施例において、センサ素子32によって検知されるパラメータの値は、充電期間の継続期間に影響を与えることができる。同様に、放電抵抗器R2
tがセンサ素子34である実施例において、センサ素子34よって検知されるパラメータの値は、放電期間の継続期間に影響を与えることができる。したがって、他の全ての要因が一定のままである場合には、伝達コイル電流における減少振幅部分S1、S1’の継続期間から、誘導送信部12においてセンサ素子32の値を決定することができ、伝達コイル電流における増加振幅部分S2、S2’の継続期間から、誘導送信部12においてセンサ素子34の値を決定することができる。一例として、上側の波形W1、W2で表される状況から下側の波形W3、W4で表される状況に、センサ素子32の値が増加し、センサ素子34の値が減少したと決定されればよい。検知値の変化量は、減少振幅部分及び増加振幅部分S1、S1’、S2、S2’の具体的な継続期間によって正確に決定されればよい。
【0033】
上述したように、放電サブ回路38は、変調抵抗器R
mを備える変調レッグ44を含んでもよい。変調レッグ44は、トランジスタQ3が、変調抵抗器R
mの値に応じた増幅器又はスイッチとして機能するように構成されればよい。トランジスタQ3が増幅器として機能している場合、放電抵抗器R2
tの比較的小さな変化は、変調振幅と充電/放電回路30の放電期間との大きな変化を引き起こす。変調抵抗器R
mが大きなインピーダンスであるため、全体的な振幅偏移を小さくすることができる。その結果、トランジスタQ3が増幅器として動作している場合には、誘導伝送器12による第2センサ素子R2
tの値の検出を容易にすることができる。
【0034】
トランジスタQ3が電流増幅器となるように構成されている場合、変調抵抗器R
mを流れる電流は、次式によって定義される。
【0036】
ここで、β3は、トランジスタQ3のゲインである。
【0037】
しかしながら、電流が閾値に達すると、トランジスタQ3は、飽和状態となって、もはや電流を増幅しない。むしろ、トランジスタQ3は、一定の電圧降下として機能する。したがって、いくつかの実施例においては、トランジスタQ3が飽和する閾値に電流が達しないように、変調抵抗器R
mの値を設定するのが好ましい。
【0038】
図1の回路において、変調抵抗器R
mの値は、次式によって定義される。
【0040】
ここで、VD2は、ダイオードD2の両端間の電圧降下であり、VCExは、各トランジスタの両端間の電圧降下である。
【0041】
トランジスタQ3を電流増幅器として動作させるために、変調抵抗器R
mの値は、次式によって定義される。
【0043】
上述したように、Vinが最大である場合でも依然として、トランジスタQ3は、増幅モードである必要がある。この回路において、Vinは、VD1である場合に最大となる。その結果、変調抵抗器R
mは、電流が最大値に達するのを防止するために、閾値よりも大きい必要があることが分かる。
【0044】
上述したように、トランジスタQ3が増幅器として機能している場合、センサ素子34(R2
t)の検知値の小さな変化は、充電サブ回路36の放電期間の大きな変化だけでなく、変調振幅の大きな増加も引き起こす。変調抵抗器R
mが大きなインピーダンスであるため、全体的な振幅偏移は、小さくなる。
【0045】
或いは、トランジスタQ3をスイッチとして動作させるために、変調抵抗器R
mの値は、次式で定義される。
【0047】
Vinは、最小である場合にVD2と等しくなる。この時点でも依然として、トランジスタQ3は、スイッチとして機能し続ける飽和モードである必要がある。これを確実にするために、変調抵抗器R
mは、電流が飽和閾値に達するのを防止するために、閾値未満である必要がある。トランジスタQ3がスイッチとして機能している場合、放電抵抗器R2
tの変化は、変調振幅の大きな増加を引き起こさないが、依然として放電期間の僅かな変化を引き起こす可能性がある。変調抵抗器R
mが小さなインピーダンスであるため、全体的な振幅偏移は、依然として大きい。
【0048】
いくつかの実施例において、誘導伝送器12と無線リモートセンサ14との間に結合係数が変化する可能性がある。例えば、結合の変化は、誘導伝送器と無線リモートセンサとの距離又は方向が変化した場合、若しくは金属品が電磁場に位置している場合に、発生する可能性がある。結合係数の変化は、無線リモートセンサに送信される電力量に影響を与える可能性があり、ひいては充電/放電回路の充電期間に影響を与える可能性がある。例えば、無線リモートセンサ14の結合が不十分で受けた電力が少ない場合には、充電サブ回路36を、トリガ40を駆動して放電を開始するのに十分に充電するために、より長い時間がかかる可能性がある。その結果、不十分な結合は、振動波の変化を引き起こす可能性がある。結合が変化する可能性がある実施例においては、一定の電圧基準に、受信電圧を正規化することによって結合の変化を補償する充電/放電回路を実装することが好ましい。
図3は、無線リモートセンサ114が正規化サブ回路145を含む代替的な無線リモートセンサシステム110の概略図である。この代替的な実施形態において、無線リモートセンサシステム110は、図示又は記載される場合を除いて、無線リモートセンサシステム10と基本的に同一である。便宜的に、
図3は、参照番号の前方に「1」が付されたことを除いて、
図1の参照文字及び参照番号に一致する参照文字及び参照番号を含んでいる。図示するように、この実施形態の正規化サブ回路145は、
電位を固定するものとして機能する追加抵抗器R3と追加ツェナーダイオードD3とを含んでいる。抵抗器R3とダイオードD3とは、基本的に他の如何なる種類の一定の電圧基準に、代替的に置き換えられてもよい。充電サブ回路132を充電するために基準電圧を使用することによって、受電サブ回路132が充電する速度は、受信電圧がダイオードD3の逆方向ブレイクダウン電圧よりも高いと仮定した場合、もはや結合に依存しない。
【0049】
図4は、充電期間の変化が生じることから、結合の変化を防止するように構成されている他の代替的な無線リモートセンサシステム210を示している。この実施形態において、無線リモートセンサシステム210は、誘導伝送器212と、受信コイル226と整流器228と充電/放電回路230とを有する無線リモートセンサ214とを概略含んでいる。この実施形態の充電/放電回路230は、充電サブ回路236と、放電サブ回路238と、トリガ240とを含んでいる。この実施形態において、トリガ240は、受信電力の変化を補償するように構成されている。より具体的に、トリガ240は、充電から放電に遷移させるためのトリガポイントが受信電圧に応じて変化するように配置された分圧器260と比較器262とを経由して、受信電力の変化を排除又は最小化するように構成されている。図示するように、本実施形態の分圧器260は、整流器228と充電サブ回路236との間に接続され、抵抗器R1、R2を含んでいる。比較器262は、充電サブ回路232の両側のノードに接続された二つの入力を含んでいる。例えば、この実施形態において、一方の入力は、分圧器260の出力に接続され、他方の入力は、電荷サブ回路236と放電サブ回路238との間のノードに接続されている。この実施形態において、充電コンデンサC
tが充電される速度は、受信電圧に応じて変化するが、比較器262に入力される基準電圧も、受信電圧に応じて変化する。これらの構成要素の値は、充電速度の変化が基本的に、対応する比較器262の基準電圧の変化によって相殺されるように、選択される。その結果、充電期間の継続期間は、受信電圧に関わらず、基本的に同一のままとなる。その結果、充電期間の継続期間は、基本的にセンサ素子232(R
t1)の変化に応じてのみ変化し、上述したように、振動波の低部の継続期間から誘導伝送器212において、検知パラメータの値を決定することができる。使用中、トリガ240は、充電サブ回路236における電圧(充電コンデンサC
tにおける大部分の電圧)と、分圧器260の出力電圧との比較に基づいて動作する。より具体的に、充電サブ回路236の電圧が分圧器260の出力電圧と同一の電圧に達すると、比較器262は、ダイオードD1を経由して電流ラッチ(トランジスタQ1及びQ2)をオンにすることによって、放電サブ回路238を有効にする。この電流ラッチは、変調抵抗器R
mを印可し、センサ素子234R
t2を経由して充電コンデンサC
tに流れ出る。変調抵抗器R
mが印加されると直ぐに、充電サブ回路236における電圧は、比較器閾値を下回り、比較器262の出力を再度引き下げる。ダイオードD1は、バイアス抵抗器R
BIASと共に、トランジスタQ1のゲートがローになるのを防止し、トランジスタQ1の順方向バイアス電圧に達するまで、電流ラッチに充電コンデンサC
tを放電させ続ける。トランジスタQ1の順方向バイアス電圧に達すると、電流ラッチは、放電サブ回路238をオフして無効にし、充電サブ回路236は、充電フェーズを再開する。この実施形態において、抵抗器R
t2の値は、充電コンデンサC
tを放電するために必要な時間に影響を与えるので、放電期間の継続期間に直接影響を与える。したがって、上述したように、振動波の高部の持続時間から誘導伝送器212において、第2センサ素子234(R
t2)によって検知されたパラメータの値を決定することができる。
【0050】
本発明の代替的な実施形態において、無線リモートセンサシステムは、振動波を発生させる電圧制御発振器(「VCO」)を使用してもよい。可変インピーダンス素子の値の変化がVCOの発振周波数の変化をもたらすように、VCOは、可変インピーダンス素子を結合されればよい。
図18には、VCO型無線リモートセンサシステム10’の一実施形態が示されている。図示するように、
図18の無線リモートセンサシステム10’は、
図3の選択回路素子がVCO170に包含されていることを除いて、基本的に
図3のものと同一である。無線リモートセンサシステム10は、受信コイル126’と、整流器128’と、正規化サブ回路145’と、VCO170’とを含んでいる。VCO170は、ノードNの右側にある回路部品の全てを含んでいる。この実施形態において、センサ素子132’及び134’は、VCO170’の発振特性に影響を与え、その結果として、反射インピーダンスによって伝達コイルにおいて受信される信号に影響を与える可変インピーダンス素子(例えば図示の可変抵抗器等)であればよい。図示するように、
図18は、VCO型無線リモートセンサシステムを提供するように、
図3の回路を特徴付けることができる方法を明示している。
図20は、VCO型無線リモートセンサシステムによって提供される出力波形の種類の一例である。図示するように、
図20は、
図2と同一であり、VCO型無線リモートセンサシステムが、そのように構成される場合、基本的に上述と同一の種類の波形を提供可能であることを明示している。
【0051】
図19には、VCO型無線リモートセンサシステム10”の代替的な実施形態が示されている。この実施形態において、無線リモートセンサシステム10”は、可変インピーダンス素子132”に結合されたVCO170”を使用する。可変インピーダンス素子132”は、VCO170”の出力周波数を変化させるもので、可変抵抗器、可変コンデンサ、可変インダクタンスであればよい。加えて、可変インピーダンス素子170”は、例えば、PN接合の変化特性がインピーダンス又は電圧の変化として検知されるダイオード又はトランジスタ等の半導体であってもよい。そして、この信号は、正弦波から矩形波に変換するためにバッファリングされる。この実施形態において、VCO170”の出力は、VCO170”によって出力される正弦波を矩形波に変換するために使用されるMOSFET172”のゲートに印加され、また、変調負荷174”を整流器128”に印加する電圧オフセットは、MOSFET172をオンする閾値を変化させるために使用されればよい。例えば、可変インピーダンス素子(図示せず)は、基準を制御するために使用されればよい。この電圧オフセットが可変インピーダンス素子によって制御される場合、この可変インピーダンス素子は、変調のデューティサイクルを変化させる。これは、オフセット電圧が上昇するにつれて、周波数が同一のままであるにも関わらず、閾値を超える正弦波の一部が減少するという事実による。これは、信号のデューティサイクルを減少させ、ベースセンサに付加情報を返送する。より具体的に、この代替的な実施形態においては、可変インピーダンス素子132”の値を、信号の周波数によって決定することができ、電圧オフセットを制御する可変インピーダンス素子の値を、信号のデューティサイクルによって決定することができる。
図19の実施形態の変形例として、VCO170”は、負荷を直接駆動してもよいし、フィルタがかけられても、増幅されても、バッファリングされてもよいし、又は適切な信号を提供するための代表的な信号調節の他の如何なる形態を使用してもよい。
【0052】
本発明は、基本的に如何なる種類のVCOで実施されてもよい。
図21と
図26と
図27には、使用可能なVCOの例が示されている。
図21においては、可変インピーダンス素子R3を備えるウィーンブリッジ発振器が、可変インピーダンス素子R3のインピーダンスの変化に基づいて周波数を変化させる正弦波を生成するために使用されている。
図26には、並列T発振器が示され、並列T発振器の出力周波数を変化させるために、抵抗器R3及びR4がコンデンサC1と共に変化される。
図27には、位相シフト発振器が示され、位相シフト発振器の出力周波数を変化させるために、抵抗器R2、R3、又はR4がコンデンサC1、C2、及びC3と共に使用されればよい。VCOに加えて、本発明は、基本的に如何なる種類の発信機を使用して実施されてもよく、振動特性(例えば周波数又は振幅等)は、抵抗値、インピーダンス、電気容量、及び/又はインダクタンスの変化を示すセンサによって制御されればよい。Jerome E. Oleksyによる“Practical Solid-State Circuit Design”(1974年)の参照によって、これらの発信器及び他の発振器をより完全に理解ができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
図5〜
図10には、本発明の他の観点が示されている。この実施形態において、無線リモートセンサシステム310は、無線リモートセンサ314を含み、無線リモートセンサ314は、一又は複数の検知パラメータの値を示す電磁場を発生させる内部共振回路372を備えるホイートストンブリッジ構成370を包含している。この実施形態においては、内部共振回路372によって発生される電磁場を、検知パラメータ(複数可)の値を決定するための別個の検知コイル374を経由して、誘導伝送器312において受信して解析することができる。使用中、ホイートストンブリッジ構成370は、ホイートストンブリッジ構成370内に包含されているセンサ素子332の値に基づいて、電流が内部共振回路372内を流れるように構成されている。その結果、無線リモートセンサ314は、一又は複数の検知値を示す特性を有する電磁場を生成する。
【0054】
図5は、無線リモートセンサ31が、二組の一致する抵抗器(R1及びR
t、R2及びR3)を利用するホイートストンブリッジ構成を励磁するために、第1受信コイル326を使用する実施形態を示し、抵抗器R
tは、検知パラメータの値に応じて変化する可変抵抗器を有するセンサ素子332である。例えば、無線リモートセンサ314が温度を測定するように構成されている場合、抵抗器R
tは。サーミスタであればよい。ホイートストンブリッジ構成の可変抵抗器を利用することによって、抵抗器C
R2と内部コイル373(RXコイル)とよって生成される内部共振回路372の両端の電圧は、可変抵抗器R
tの値に応じて変化する。抵抗器R
tの抵抗値が増加するにつれて、内部共振回路372の両端に誘起される電圧によって、電流が内部コイル373内に流れる。この電流は、検知コイル374によって受信可能な電磁場を発生させ、検知コイル374と結合されたセンサ378によって、その特性を測定することができる。検知コイル374は、誘導伝送器312、又は検知パラメータの無線検出が所望される他の位置に配置されればよい。図示していないが、検知コイル374は、共振タンク回路を提供するコンデンサと結合させていてもよい。加えて、抵抗器R
tの抵抗値が減少すると、内部共振回路372の両端に誘起される電圧によって、電流が内部コイル373内に流れるが、受信コイル326とは逆位相となる。この位相差は、伝達コイル316と検知コイル374との電流の位相を比較することによって、検出可能である。抵抗器R
tの抵抗値が抵抗器R1の抵抗値と一致すると、その後、電圧は、内部共振回路372の両端に誘起されなくなって、電流は、内部コイル373を流れなくなる。
【0055】
電力を誘導伝送器312から無線リモートセンサ314に無線で伝送するために生成されて使用される磁場からの干渉を受けることなく、低レベルの電流を検知できるように、内部コイル及び検知コイルは、伝達コイル316及び受信コイル326と非常に不十分に結合されている可能性があることに注目すべきである。例えば、内部コイル373と検知コイル374とは、伝達コイル316と受信コイル326とから離れて配置されればよい。他の例として、内部コイル373と検知コイル374とは、伝達コイル316と受信コイル326とに直交して配置されてもよい。
【0056】
主用途において改善された性能を提供するために、内部コイル373及び内部コンデンサC
R2は、受信コイル326及び受信コンデンサC
R1と同一の周波数に調整されてもよいし、また、例えば高調波等の異なる周波数に調整されてもよい。そうすることによって、誘導伝送器312は、例えば矩形波、のこぎり波、又はその上部に変調信号を備える搬送波等の多周波信号を印加することができ、内部共振回路372の共振周波数に関連する検知コイル374の周波数成分を読み取ることができる。
【0057】
図6は、(上側の図面及びシミュレーションに示すような)従来の無線リモート温度センサと、(下側の図面及シミュレーションに示すような)
図5のシステムに係る無線リモート温度センサ314とを比較する回路図及びシミュレーションを示している。上側のシミュレーションは、センサ素子の抵抗値の0.5%の変化に対して取られた三つの電流測定値M1、M2、M3を示している。図示するように、0.5%の抵抗値の変化は、約2%の電流振幅の変化に相当する約0.2アンペアの電流の変化をもたらす。下側のシミュレーションは、センサ素子の抵抗値の0.1%の変化に対して取られた五つの電流測定値N1、N2、N3、N4及びN5を示している。このシミュレーションにおいては、電流のパーセンテージの変化がかなり大きくなっている。例えば、N1のピーク値間のパーセンテージの変化は、N5のピーク値よりも600%以上大きくなっている。その結、抵抗値の小さな変化は、上側のシミュレーションにおいて検出することがより困難に、下側のシミュレーションにおいて検出することが非常に容易であることが理解できる。
【0058】
図7には、ホイートストンブリッジ構成470を備える無線リモートセンサ414を有する無線リモートセンサシステム410の代替的な実施形態が示されている。この実施形態において、ACホイートストンブリッジ構成470は、内部共振回路472によって発生される電磁界に更に影響を与えるために使用可能な追加可変インピーダンス素子を含んでいる。この実施形態の無線リモートセンサシステム410は、図示又は記載される場合を除いて、無線センサシステム310と基本的に同一である。便宜的に、
図7は、参照番号の前方に「3」に代えて「4」が付されたことを除いて、
図5の参照文字及び参照番号に概略一致する参照文字及び参照番号を含んでいる。この実施形態において、内部コンデンサC
R2は、内部共振回路472の共振周波数を変化させることができる可変コンデンサである。一実施形態では、内部コンデンサC
R2は、検知されるパラメータに応じて変化する可変コンデンサを有するセンサ素子であればよい。例えば、内部コンデンサC
R2は、温度に応じて変化する誘電率を有する誘電材料を備えるコンデンサであればよい。さらに、本実施形態においては、ホイートストンブリッジ構成470内に追加可変抵抗器が存在している。例えば、各抵抗器は、例えば温度等の測定されたパラメータに応じて変化する抵抗器を有するセンサ素子であればよい。図示の実施形態において、抵抗器R1
t及びR4
tは、同一の材料であり、抵抗器R1
t及びR4
tが略同一速度で、互いに同一方向に変化することを意味している。加えて、この実施形態において、抵抗器R2
t及びR3
tsは、互いに同一の材料から作られているが、抵抗R1
t及びR4
tとは反対方向に変化する。このように、二対の抵抗器は、検知パラメータの変化の影響を増大させるように協働する。このことによって、任意の一つの抵抗値の1%の変化ごとに、内部共振回路472の全体の電位差が四倍に増えるため、システムの分解能が上がる。さらに、検知コイル476によって検知可能な内部共振回路472のQを変化させるための可変抵抗器(R5
t)を、内部共振回路472に加えることができる。
【0059】
図8は、無線リモートセンサ414において種々の変化があった場合の、伝達コイル416と検知コイル476とにおける電流を示している。この図において、曲線T1は、伝達コイル416における電流を表し、曲線SC1は、内部抵抗器R
5tが第1値を有する場合の検知コイル476における電流を表し、曲線SC2は、内部抵抗器R
5tが第2値を有する場合の検知コイル476における電流を表している。この実施形態では、SC1及びSC2とT1との比較から、共振周波数がシフトされていることが分かる。この実施形態において、共振周波数は、内部コンデンサ(C
R2)の変化によってシフトされる。加えて、Qは、内部抵抗器R
5tの抵抗値の変化に起因して、SC2にSC1から変化している。図示していないが、抵抗(R
1t、R
2t、R
3t、及びR
4t)によって形成された可変抵抗ブリッジの変化を示すために、検知電流の振幅をシフトさせることができる。図示するように、無線リモートセンサ414内に包含される一又は複数の可変インピーダンス素子の変化は、検知コイル476において検知された電流に反映される。電流センサに関連して説明したが、これらの変化は、代替的に、例えば周波数、電圧、電力及び/又は位相等の検知コイル476における他の電力特性を測定することによって決定されてもよい。
【0060】
電力伝達コイル(例えば、伝達コイル416及び受信コイル426)と帰還コイル(例えば、内部コイル473及び検知コイル474)とは、二つのコイルセット間の干渉を最小化するように構成されてもよい。
図9〜
図10の実施形態において、電力伝達コイル416、426は、帰還コイル473、474の外側に配置され、帰還コイルは、逆巻き形状に配置されている。
図9に示すように、伝達コイル416と検知コイル474とは、近接して配置されている。例えば、両コイルは、誘導伝送器412に包含されればよい。この実施形態において、伝達コイル416は、検知コイル474を受け入れるように構成された内部空間を有する螺旋巻コイルである。この実施形態の検知コイル474は、逆方向に巻かれた二つのコイル部478、480を含んでいる。二つのコイル部478、480は、略対称的で、電力伝達コイル416及び426から略同一であるが反対の影響を受けるように、大きさ、形状、及び構成の点で略同一であればよい。
図10を参照すると、受信コイル426は、内部コイル473を受けるように構成された内部空間を有する螺旋巻コイルである。この実施形態の内部コイル473は、検知コイル476と同様に、逆方向に巻かれた二つのコイル部482、484を含んでいる。二つのコイル部482、484は、略対称的で、電力伝達コイルから略同一であるが反対の影響を受けるように、大きさ、形状、及び構成の点で略同一であればよい。この実施形態において、電力伝達コイルと帰還コイルとは、相互に略同一の広がりを持つ、対応するコイルと相互に直接隣接して配置されることを目的としている。その結果、対応するコイルは、基本的に同一の大きさ、形状、及び構成を有している。より具体的に、この実施形態において、伝達コイル416と受信コイル426とは、ほとんどの場合、基本的に同一の大きさ及び形状を有する矩形コイルである。同様に、検知コイル474と内部コイル473とは両方共、基本的に同一の大きさ及び形状のコイル部分を備える逆巻コイルである。帰還コイルの逆巻の働きのため、電力伝達コイルによって誘導される電流は、検知コイル474に結合された電流コイル478によって測定されたときに、基本的に相殺する。しかしながら、検知コイル474と内部コイル373との逆巻部分間の物理的近接のため、内部コイル473からの磁場は、検知コイル474に効果的に伝達される。図示の実施形態に示すコイル配置は、一例に過ぎない。コイルは、用途ごとに大きさ、形状、及び構成が変化してもよい。例えば、帰還コイル473、474は、電力伝達コイル416、426内に配置される必要はない。代わりに、帰還コイルのセットは、電力伝達コイルからの干渉を更に最小限にするために分離されてもよい。
【0061】
無線リモートセンサ414に関連して説明したが、干渉を最小限とするために二組のコイルを近接して配置することが好ましい他の用途にも、このコイル構成を使用することができる。例えば、電力を送信するための第1組のコイルと、信号、データ、又は他の種類の情報を送信するための第2組のコイルとを有することが好ましい他の用途に、このコイル配置を使用してもよい。
【0062】
他の観点において、本発明は、基準LEDと一又は複数のセンサLEDとを有する光フィードバックネットワークを包含する無線リモートセンサシステム510を提供する。
図11の実施形態において、無線リモートセンサシステム510は、誘導伝送器512と、無線リモートセンサ514と、光学センサネットワーク598とを概略含んでいる。光学センサネットワーク598は、誘導伝送器512内に配置されてもよいし、必要に応じて、遠隔に配置されてもよい。要約すると、無線リモートセンサ514は、誘導伝送器512から電力を受信して一又は複数のパラメータの値(複数可)を示す光フィードバックを提供する。無線リモートセンサシステム510に結合の変化と、例えば回路ドリフト等の取り除かれるべき他の変化とを補償するために、無線リモートセンサ514は、基準回路580と、センサ回路582とを含んでいる。基準回路580は、その基準LED588が、受信電力の変化(例えば、結合の変化)と、例えば経時的な回路ドリフト等の検知パラメータの値を決定するときに取り除かれるべき他の変化とのみに応じて、強度変化するように、固定部品を含んでいる。センサ回路582は、LEDセンサ530が、受信電力と同様に、可変インピーダンス素子の値に基づいて強度変化するように構成された、少なくとも一つの可変インピーダンス素子を含んでいる。光学センサネットワーク598は、基準LED588とセンサLED530との強度を別々に検知し、検知値は、検知パラメータの値を決定するために使用される。基準LED588が、結合の変化と、例えば回路ドリフト等のセンサLED530の強度から取り除かれるべき他の変化とのみに応じて変化するため、結合の変化と、例えば回路ドリフト等の可変インピーダンス素子の変化に関連しない他の要因とに起因するものから、可変インピーダンス素子に起因するセンサLED530の強度差を分離するために、基準LED588を使用することができる。例えば、いくつかの用途において、LEDは、経時的に自然減衰するので、経時的な輝度における固有の減少を有している。基準LED588とセンサLED530とが経時的に略同一の自然減衰を起こすことを考えれば、センサLED530の強度からLEDの減衰を取り除くために、基準LED530を使用することができる。LEDの減衰は、経時的な回路ドリフトを引き起こし得る要因の一例に過ぎない。経時的な回路ドリフトは、例えば電源電圧の変化、光の検出感度、及び回路部品の減衰/劣化等の他の要因に起因し得る。
【0063】
上述したように、無線リモートセンサ514は、基準回路580とセンサ回路582とを含んでいる。しかしながら、センサ回路の数は、必要に応じて用途ごとに異なってもよい。例えば、無線リモートセンサ514は、二つの異なるパラメータの値を検知することが好ましい場合、第2パラメータの値に応じて強度変化する第2センサLEDを有する第2センサ回路(図示せず)を備えればよい。例えば、第2センサ回路は、検知されるパラメータに応じて変化するインピーダンスを有する可変インピーダンス素子を含んでもよい。
図11を再度参照すると、この実施形態の基準回路580は、誘導伝送器512から電力を受信するための直列共振タンク回路を包含している。タンク回路は、受信コイル584と受信コンデンサ586とを含めばよい。本実施形態の基準回路580は、基準LED588と基準抵抗590とを含んでいる。使用中、基準LED588の強度は、誘導伝送器510から受信された電力量の変化に応じて変化する。結合が誘導伝送器510と基準回路580との間で変化する場合、基準LED588は、強度変化する。この強度変化は、例えばセンサ592等の光学センサを経由して遠隔で(例えば、誘導伝送器510から)、測定することができる。
【0064】
センサ回路582は、受信コイル526及び受信コンデンサ528を有する直列共振タンク回路と、センサLED530と、抵抗器532とを有する点においても、基準回路580と類似している。しかしながら、センサ回路582においては、一又は複数の受信コイル526と受信コンデンサ528と抵抗器532とを、第2パラメータの値の変化に応じて変化するインピーダンス素子とすることができる。例えば、抵抗器532は、温度に応じて変化する抵抗値を有するサーミスタであればよい。さらに、受信コイル526は、可変インダクタであればよく、及び/又は受信コンデンサ528は、可変コンデンサであればよい。その結果、センサLED530の強度は、受信電力の変化のみならず、可変インピーダンス素子(複数可)の変化に応じて、変化する。センサLED530の強度は、例えばセンサ594等の光学センサを経由して遠隔で(例えば、誘導伝送器510から)、測定することができる。
【0065】
この実施形態においては、基準LED588を使用することによって、可変インピーダンス素子(複数可)の変化に起因するセンサLED530の強度変化を、結合の変化と経時的な回路ドリフトとに起因する変化から分離することができる。より具体的に、結合と経時的な回路ドリフトとに起因する変化を効果的に排除するために、検出されたセンサLED530の強度変化から、検出された基準LED588の強度変化を取り除くことによって、可変インピーダンス素子(複数可)の変化に起因する変化を分離する。例えば、光学センサ594によって測定されたセンサLED530の強度変化から、光学センサ592によって測定された基準LED588の強度変化を引けばよい。
【0066】
この実施形態において、好ましくは、誘導伝送器512に対する無線リモートセンサ514の位置及び/又は方向の変化、並びに/若しくはコイルを取り巻く環境の変化が、伝達コイル561と二つの受信コイル526、584との間の結合に基本的に同一の影響を与えるように、受信コイル526及び584を構成すればよい。そのために、2つの受信コイル526、584は、伝達コイル516から略同一の磁束を受けるように、配置されることが好ましい。
図12〜
図14に示す実施形態において、受信コイル526、584は、略同一平面上の略同一軸の周囲に一緒に巻き付けられている。本実施形態のコイル526、584は、略円形であるが、必要に応じて用途ごとに、大きさ及び形状を変化させてもよい。
図12は、残りの電気回路から分離された二つのコイル526、584を示している。図示するように、コイル526、584は、略同一平面上で略同一軸の周囲に伸びる略平行な巻線で包まれている。この構成のために、二つのコイルは、ほぼ全て状況下で、誘導伝送器512から略同量の磁束を受ける。
図13は、コイルに残りの回路部品を結合する一つの方法を図示している。この実施形態において、残りの回路部品は、対応するコイルの両端に単に結合されている。LEDの位置は、用途ごとに変化すればよい。しかしながら、
図14に示す実施形態において、基準LED588とセンサLED530とは、コイル526、584の中心に配置されている。
【0067】
誘導伝送器512の設計及び構成は、用途ごとに異ならせることができる。
図15は、
図14に示す無線リモートセンサ514を使用するために構成された実施形態を示している。この実施形態において、誘導伝送器512は、円形であり、大きさと形状とにおいて受信コイル526、584に一致する伝達コイル526を含んでいる。伝達コイル526は、コイルドライバ534によって駆動されればよい。図示するように、誘導送信器512は、伝達コイル526の中心に位置する光学センサ592、594を有する光検出回路536を含むことができ、光学センサ592、594は、基準LED588及びセンサLED530と略同一位置に位置している。
【0068】
第4の観点において、本発明は、無線リモートセンサ614を有する無線リモートセンサシステムを含み、無線リモートセンサ614においては、受信コイル626が比較的高い熱膨張係数を有する回路基板650上に配置されている。この観点において、回路基板650の大きさの変化は、受信コイル626の大きさ及び形状の変化を引き起こす。受信コイル626の変化は、誘導伝送器(図示せず)において検知可能な、受信コイル626の、対応する反射インピーダンスの変化をもたらす。例えば、受信コイル626の形状の変化は、反射インピーダンスによって影響される電力特性を誘電伝送器において検知することによって認識されればよい。検知された特性は、例えば、電流、電圧、位相、又は共振周波数であればよい。
【0069】
無線リモート温度センサ614の構成では、用途ごとに異なればよい。最も簡単な実施形態において、無線リモートセンサ614は、回路基板650と、受信コイル626と、コンデンサ(図示せず)とを含めばよい。
図16に示されていないが、コンデンサは、共振タンク回路を形成するために、コイル626の両端に結合されればよい。回路基板650は、基本的に、受信コイル626を支持し、温度の予測変化が、誘電伝送器612の電力特性を検知することによって認識可能な反射インピーダンスの変化をもたらすのに十分大きな熱膨張係数を有することができる任意の材料であればよい。代替的な実施形態において、回路基板は、温度変化に応じて、より恒久的に変形する材料であってもよい。例えば、回路基板は、所望の温度に加熱されたときに収縮する熱収縮材料であればよい。材料の熱収縮は、材料上に支持されたコイルの大きさ及び/又は形状を変化させることができる。この大きさ及び/又は形状の変化は、誘導伝送器において検知されればよい。熱収縮材料は、例えば、ポリオレフィン、フッ素重合体(例えば、FEP、PTFE、又はカイナ等)、PVC、ネオプレン、シリコンエラストマ、又はバイトン等の熱可塑性材料から製造されればよい。
【0070】
受信コイル626とコンデンサとの特性は、誘導伝送器の動作周波数と同一又はそれに近い共振周波数を備える共振タンク回路を提供するように、選択されればよい。図示の実施形態において、受信コイル626は、印刷可能なインクから製造されている。例えば、受信コイル626は、回路基板650上に印刷されればよい。この実施形態において、受信コイル626は、基板上に直接印刷されているが、無線リモートセンサ614は、必要に応じて、中間材料を含んでもよい。
【0071】
受信コイル626の大きさと形状と構成とは、用途ごとに異なっていてもよい。
図16の実施形態において、受信コイル626は、回路基板650と共に伸縮不能な材料から製造されている。受信コイル626が、それでもなお回路基板650と共に形状が変化することを可能とするために、受信コイル626には、複数の起伏が形成されている。使用中、起伏は、回路基板650が伸縮するにつれて、曲げられ、又は収縮される。この曲り及び収縮は、受信コイル626の全体的な大きさ及び/又は形状において大きな変化をもたらす。受信コイル626は、代替的に、下地回路基板と共に伸縮可能な材料から製造されてもよい。例えば、受信コイル626は、印刷された銀インク導体から製造されればよい。受信コイル626が伸縮可能な用途においては、例えば単純な螺旋巻等のより規則的な形状を備えてもよい。
【0072】
コンデンサ(図示せず)は、例えば印刷されたインクコンデンサ又は従来のコンデンサ等、基本的に如何なる容量性素子であってもよい。印刷されたインクコンデンサが含まれている場合には、必要があれば、回路基板650上に印刷されてもよい。いくつかの用途において、受信コイル626の内部容量は、共振タンク回路を形成するために十分あればよい。このような用途では、別個のコンデンサが含まれていなくてもよい。
【0073】
図17に示す代替的な実施形態において、無線リモートセンサ614は、受信コイル626’に隣接して配置された再共振コイル690’を含んでいる。図示するように、再共振コイル690’は、二つのコイルが略共通の軸を共有し、略同一平面を経由して伸びながら、受信コイル626の周囲に巻き付けられればよい。この実施形態において、再共振コイル690’は、誘導伝送器(図示せず)から電力を受信し、受信電力を増幅して受信コイル626に伝送する。再共振コイル690’は、コンデンサ692と結合していてもよい。コンデンサ692’は、必要に応じて、印刷されたインクコンデンサであってもよい。
【0074】
図16の実施形態と同様に、受信コイル626’は、コンデンサ(図示せず)と直列に結合されればよい。コンデンサは、例えば印刷されたインクコンデンサ又は従来のコンデンサ等、基本的に如何なるコンデンサであってもよい。受信コイル626の内部容量が共振タンク回路を形成するために十分である場合、別個のコンデンサは、取り除かれてもよい。
【0075】
第5の観点において、無線リモートセンサシステム710は、可変インピーダンス素子732の値によって決まる信号を生成するVCO770を含んでもよい。信号は、ベースセンサ790(
図22参照)に信号を伝送するアンテナ780に印加される。この信号は、アンテナ780に直接印加されてもよいし、バッファ、増幅器、フィルタ、又は信号調整回路の任意の組合せを経由してからアンテナ780に印加されてもよい。ベースセンサ790は、アンテナ780から信号を受信するように構成されたアンテナ792を含んでもよい。別個のアンテナ780を使用することによって、信号は、電力を伝送するために主に磁場を使用する電力伝送信号との相互作用を少なくすることができる。アンテナ780によって生成される電磁波は、ほぼ電場であり、磁力線が電気力線に垂直であるので、信号間のベクトル領域の分離もたらす。ベースセンサ790は、信号の周波数を監視して基準周波数と比較、又はセンサ(又は可変インピーダンス素子732)に関する情報を決定するために、他の信号特性を使用する。例えば、周波数は、内科患者の脈拍数を示す周波数の変化速度に応じて、経時的に変化する。
図23は、
図21のホイートストンブリッジVCOから可変抵抗器R3の異なる値に対する周波数応答の一例を示している。
図23の左側のプロットは、互いに重ね合された一連の三つの異なる波形A1、A2、及びA3を示している。各波形は、可変インピーダンス素子R3の異なる値に起因する。
図23の左側においては見にくいが、各波形A1、A2及びA3は、異なる周波数を有している。これは、FFTを使用して生成された三つの波形の周波数応答F1、F2及びF3のプロットである、
図23の右側のプロットにおいて、より明確に示されている。(右側の信号のFFT表現のピーク値によって示される)信号の周波数は、可変インピーダンス素子732の抵抗値に応じて変化することが分かる。
【0076】
第6の観点において、無線リモートセンサシステム810は、別個のコイル880に印加されてベースセンサ890に伝送される信号を生成するVCO870を含んでもよい。この信号は、コイル880に直接印加されてもよいし、バッファ、増幅器、フィルタ、又は信号調整回路の任意の組合せを経由してからコイル880に印加されてもよい。ベースセンサ890は、コイル880から信号を受信するように構成された、対応する受信コイル892を含んでもよい。別個のコイル880を使用することによって、信号は、電力伝送信号との相互作用を少なくすることができる。電力伝送信号よりもはるかに高い又は低い周波数で帰還信号を生成することによって、別個のコイル880によって生成される電磁波を、周波数において電力伝送信号から分離することができる。コイルを遠隔に位置することによって、若しくは信号コイルを逆巻又は「八の字」トポロジに巻くことによって、領域を電力伝送信号から更に分離することができる。
図25は、伝送側の逆巻又は「八の字」トポロジの一例を示している。図示するように、伝達コイル816は、ベースセンサコイル892の外側に物理的に配置され、ベースセンサコイル892は、
図9に関連して上述したように、逆巻にされている。ベースセンサ890は、信号の周波数を監視して基準周波数と比較、センサ又は可変インピーダンス素子832に関する情報を決定するために、他の信号特性を使用する。VCO870は、可変インピーダンス素子のインピーダンスを正確に測定するために、正及び負の電圧供給を必要としてもよい。これを提供するために、受信器810の電力伝達コイル826は、中心タップが中性端子、又は受信器のゼロボルト基準に取り付けられた中心タップ構成であればよく、ダイオードブリッジ828は、コイルの両端を正及び負の電圧に結合する。例えば
図22に示す回路等の二つのダイオードブリッジ728を使用することによって、電流は、一方向に流れ、エネルギーは、電力転送サイクルの半分だけのために受信される。例えば
図24に示す回路等の四つのダイオードブリッジ828を使用することによって、電流は、両方向に流れ、エネルギーは、全電力転送サイクルのために受信される。
【0077】
上記の説明は、本発明の現在の実施形態のものである。均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるべき特許請求の範囲において定義された本発明の精神と、より広い観点とから逸脱しない範囲で、種々の変形及び変更が可能である。本開示は、例示ために示されたもので、本発明の全ての実施形態の網羅的な説明として、若しくはこれらの実施形態に関連して例示又は説明された特定の要素に請求項の範囲を制限するように解釈されるべきではない。例えば、限定することなく、記載された発明の任意の個々の要素(複数可)を、実質的に同様の機能を提供、又は他の方法で適切な動作を提供する代替的な要素によって置き換えてもよい。これは、例えば当該分野において当業者が現在知り得る要素等、現在知られている代替的要素と、例えば当該分野における当業者が開発上、代替手段として認識し得る要素等、将来において開発され得る要素とを含んでいる。さらに、開示された実施形態は、同時に記載され、利益の一群を協働的に提供し得る複数の特徴を含んでいる。本発明は、発行された特許請求の範囲において他の方法で明示的に記載された範囲を除き、これらの特徴の全てを含む、又は記載の利益を全て提供する、これらの実施形態のみに限定されるものではない。例えば冠詞“a”、“an”、“the”、又は“said”を使用すること等、単数の特許請求の範囲の要素への如何なる言及も、要素を単数に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0078】
独占的な財産又は特権が主張される本発明の実施形態は、以下のように、定義される。