(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フラッシングエアは、エア主管の下端に接続したエア供給手段の空気槽に貯留した圧縮空気からなり、空気槽内の空気圧で圧縮空気をフラッシングエア供給系に供給することを特徴とする請求項7に記載の膜ろ過装置の洗浄方法。
膜ろ過工程では、原水供給系を通して各膜分離ユニットの一次側に原水を供給し、洗浄工程で供給したフラッシングエアが満ちるフラッシングエア供給系のエアを押し出して、膜分離ユニットの一次側を原水で満たし、膜分離ユニットの一次側から二次側に透過した透過液を透過液取出系を通して取り出すことを特徴とする請求項7または8に記載の膜ろ過装置の洗浄方法。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水向けの膜ろ過装置には、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、
図5に示すようなものであり、膜モジュール1を複数個並列に接続して膜ろ過運転を行うための膜分離システムである。膜分離システムは、各膜モジュール1の被処理液供給口へ被処理液を供給するための被処理液供給枝管2と、各膜モジュール1の透過液取出口から取り出された透過液が流れる透過液枝管3と、各膜モジュール1のフラッシング用流体供給口へフラッシング用流体を供給するためのフラッシング用流体供給枝管4を有している。
【0003】
逆洗流体供給手段5が透過液枝管3に接続されており、透過液枝管3の内部を加圧して膜モジュール1の二次側から一次側へ逆洗用流体を流して逆圧洗浄する。
【0004】
フラッシング用流体供給手段6が、複数の膜モジュール1が並列接続したフラッシング用流体供給枝管4の一端に接続されており、フラッシング用流体をフラッシング用流体供給枝管4へ供給する。
【0005】
洗浄廃液の排出経路7が、複数の膜モジュール1が並列接続した被処理液供給枝管2の一端に接続されており、膜モジュール1の洗浄時に被処理液供給口から排出される洗浄廃液を排出する。
【0006】
洗浄廃液は、フラッシング用流体と逆洗用流体とが混合されてなる気液混相流体であり、フラッシング用流体としてフラッシング用圧縮空気が使用され、逆洗用流体として逆洗用水が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、膜ろ過工程において被処理液が、膜モジュール1の下方に配置した被処理液供給枝管2から膜モジュール1の一次側に流入し、膜モジュール1を通って膜モジュール1の上方に配置したフラッシング用流体供給枝管4を満たす状態となる。
【0009】
このため、フラッシング工程では、フラッシング用圧縮空気によってフラッシング用流体供給枝管4を満たす被処理液を膜モジュール1に向けて下方に押し出し、フラッシング用圧縮空気を各膜モジュール1に供給し、膜モジュール1から洗浄廃液を被処理液供給枝管2へ排出する。
【0010】
ここでは、複数の膜モジュール1は同じ高さ位置に配置し、並列接続している。このため、フラッシング用圧縮空気は、並列接続した複数の膜モジュール1にほぼ同時に行き渡り、各膜モジュールに過不足のない量のフラッシング用圧縮空気を各膜モジュールに供給することができる。
【0011】
しかし、複数の膜モジュールを上下多段に高さを違えて配置し、縦方向に配列した複数の膜モジュールを同時に洗浄する場合に、フラッシング用圧縮空気が高さの異なる複数の膜モジュールにほぼ同時に行き渡らない問題がある。
【0012】
各段のフラッシング用流体供給枝管を並列に接続する場合には、縦方向に伸びる縦管路で並列に接続する必要があり、同様に各段の被処理液供給枝管を並列に接続する場合には、縦方向に伸びる縦管路で並列に接続する必要がある。
【0013】
このため、フラッシング工程において縦管路に上方位置からフラッシング用圧縮空気を供給すると、縦管路に残留する被処理液が抵抗となって各段のフラッシング用流体供給枝管へのフラッシング用圧縮空気の流入を阻害する。
【0014】
よって、フラッシング用圧縮空気は、縦管路から上段の膜モジュールに優先的に流入して消費され、下段側のフラッシング用流体供給枝管への流入が遅れる。また、洗浄廃液は、上段の被処理液供給枝管から優先的に縦管路へ流入し、下段側の被処理液供給枝管から縦管路への流入が遅れる。このことは、下段側のフラッシング用流体供給枝管へのフラッシング用圧縮空気の流入がさらに遅延する要因となる。
【0015】
この状態が中段から下段へ徐々に進行し、フラッシング用圧縮空気が最下段のフラッシング用流体供給枝管に到達するまでに時間を要し、フラッシング用圧縮空気が高さの異なる複数の膜モジュールにほぼ同時に行き渡らない。また、フラッシング用圧縮空気が最下段のフラッシング用流体供給枝管に到達したときには、フラッシング用圧縮空気を貯留する空気槽における空気圧も低下しているので、最下段のフラッシング用流体供給枝管に接続した膜モジュールの洗浄効果も低下する。
【0016】
本発明は上記課題を解決するものであり、複数の膜モジュールを上下多段に配置し、フラッシング用の圧縮空気を各段の膜モジュールにほぼ同時に行き渡らせる膜ろ過装置および膜ろ過装置の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の膜ろ過装置は、複数の膜分離ユニットを上下多段に配置し、各膜分離ユニットは、原水が供給される一次側が逆洗排水系とフラッシングエア供給系に連通し、透過液が取り出される二次側が逆洗水供給系に連通し、逆洗水供給系は、逆洗水が流れる逆洗水主管と、逆洗水主管に並列に接続し、各段の膜分離ユニットに向けて逆洗水を送り込む複数の逆洗水枝管を有し、
逆洗水主管に上方から下方に向けて供給する逆洗水が複数の逆洗水枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて送り込まれ、逆洗排水系は、各段の膜分離ユニットから逆洗排水が流れ込む複数の逆洗排水枝管と、各段の逆洗排水枝管が並列に接続し、逆洗排水が上方から下方に向かって流れる逆洗排水主管を有し、フラッシングエア供給系は、下方から上方に向かってフラッシングエアが流れるエア主管と、エア主管に並列に接続し、各段の膜分離ユニットに向けてフラッシングエアを送り込む複数のエア枝管を有
し、フラッシングエアがエア主管の原水中を上昇し各エア枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて送り込まれることを特徴とする。
本発明の膜ろ過装置は、複数の膜分離ユニットを上下多段に配置し、各膜分離ユニットは、原水が供給される一次側が逆洗排水系とフラッシングエア供給系に連通し、透過液が取り出される二次側が逆洗水供給系に連通し、逆洗水供給系は、逆洗水が流れる逆洗水主管と、逆洗水主管に並列に接続し、各段の膜分離ユニットに向けて逆洗水を送り込む複数の逆洗水枝管を有し、逆洗水主管に下方から上方に向けて供給する逆洗水が複数の逆洗水枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて送り込まれ、逆洗排水系は、各段の膜分離ユニットから逆洗排水が流れ込む複数の逆洗排水枝管と、各段の逆洗排水枝管が並列に接続し、逆洗排水が上方から下方に向かって流れる逆洗排水主管を有し、フラッシングエア供給系は、下方から上方に向かってフラッシングエアが流れるエア主管と、エア主管に並列に接続し、各段の膜分離ユニットに向けてフラッシングエアを送り込む複数のエア枝管を有し、フラッシングエアがエア主管の原水中を上昇し各エア枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて送り込まれることを特徴とする。
【0018】
本発明の膜ろ過装置において、逆洗排水系は、逆洗排水主管を縦方向に配置し、逆洗排水枝管を横方向に配置してなり、フラッシングエア供給系は、エア主管を縦方向に配置し、エア枝管を横方向に配置してなることを特徴とする。
【0019】
本発明の膜ろ過装置において、各段に複数の膜分離ユニットを配置し、各段の逆洗水枝管と逆洗排水枝管とエア枝管のそれぞれに各膜分離ユニットが並列接続することを特徴とする。
【0020】
本発明の膜ろ過装置において、フラッシングエア供給系は、エア供給手段がエア主管の下端に接続してなることを特徴とする。
【0021】
本発明の膜ろ過装置において、逆洗排水系が原水供給系を兼ね、逆洗水供給系が透過液取出系を兼ねることを特徴とする。
【0022】
本発明の膜ろ過装置の洗浄方法は、複数の膜分離ユニットを上下多段に配置し、各膜分離ユニットは、原水が供給される一次側が逆洗排水系とフラッシングエア供給系に連通し、透過液が取り出される二次側が逆洗水供給系に連通し、膜ろ過工程と洗浄工程を行う膜ろ過装置の洗浄方法において、洗浄工程では、逆洗水供給系を通して各膜分離ユニットの二次側に逆洗水を供給しつつ、フラッシングエア供給系を通して各膜分離ユニットの一次側にフラッシングエアを供給し、気液混相流の逆洗排水を膜分離ユニットの一次側から逆洗排水系を通して排出し、逆洗水は、逆洗水供給系の逆洗水主管に上方から下方に向けて供給し、逆洗水主管に並列に接続した複数の逆洗水枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて送り込み、フラッシングエアは、膜ろ過工程で供給した原水が満ちるフラッシングエア供給系のエア主管に下方から上方に向けて供給し、フラッシングエアがエア主管の原水中を上昇してエア主管に並列に接続した複数のエア枝管に流入し、各エア枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて送り込まれ、逆洗排水は、各段の膜分離ユニットから各段の逆洗排水枝管に排出し、各段の逆洗排水枝管が並列に接続する逆洗排水主管を上方から下方に向かって流下することを特徴とする。
【0023】
本発明の膜ろ過装置の洗浄方法において、フラッシングエアは、エア主管の下端に接続したエア供給手段の空気槽に貯留した圧縮空気からなり、空気槽内の空気圧で圧縮空気をフラッシングエア供給系に供給することを特徴とする。
【0024】
本発明の膜ろ過装置の洗浄方法において、膜ろ過工程では、原水供給系を通して各膜分離ユニットの一次側に原水を供給し、洗浄工程で供給したフラッシングエアが満ちるフラッシングエア供給系のエアを押し出して、膜分離ユニットの一次側を原水で満たし、膜分離ユニットの一次側から二次側に透過した透過液を透過液取出系を通して取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上の本発明によれば、フラッシング工程において、フラッシングエアをフラッシングエア供給系のエア主管に下方から上方に向けて供給することで、フラッシングエアはエア主管の原水中を上昇する。このため、エア主管においてフラッシングエアが速やかに移動し、エア主管に並列に接続した複数のエア枝管に、到達時間の差異が少ない状態でほぼ同時に流入する。このため、フラッシングエアが各エア枝管を通して各段の膜分離ユニットに向けて到達時間の差異が少ない状態でほぼ同時に流入し、上下多段に配置した膜分離ユニットをほぼ同時に洗浄する。
【0026】
よって、フラッシングエアが特定の段の膜分離ユニットに対して大量に流入して消費されることがなくなり、少量のフラッシングエアでエアパージを行え、フラッシングエアを供給する空気槽における空気圧が高い状態においてエアパージを行うことにより洗浄力に優れた高圧力下の洗浄を行える。
【0027】
また、各段の膜分離ユニットから排出する逆洗排水がほぼ同時に逆洗排水主管に流入するので、各段の逆洗排水枝管における排水抵抗が均等になり、結果としてフラッシングエアが各段の膜分離ユニットへ均一に供給される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、膜ろ過装置10は、膜分離ユニット11を上下多段に配置している。ここでは3段に配置し、各段には複数の膜分離ユニット11が並列に配置されている構成を例示するが、膜分離ユニット11は2段以上あればよく、各段に膜分離ユニット11が1以上あればよい。
【0030】
各膜分離ユニット11は、原水が供給される一次側が逆洗排水系12とフラッシングエア供給系13に連通している。逆洗排水系12は原水供給系14を兼ねている。各膜分離ユニット11は、透過液が取り出される二次側が逆洗水供給系15に連通しており、逆洗水供給系15が透過液取出系16を兼ねている。
【0031】
逆洗水供給系15および透過液取出系16は、共通の管路として縦管21と複数の横管22を有している。
【0032】
逆洗水供給系15では、縦管21は逆洗水主管151となり、逆洗水が上方から下方に向かって流れる。各横管22は、逆洗水枝管152となり、逆洗水主管151に並列に接続し、各段の膜分離ユニット11に向けて逆洗水を送り込む。
【0033】
透過液取出系16では、各膜分離ユニット11を透過した透過液が横管22を通して縦管21に流入し、透過液が縦管21を下方から上方に向かって流れる。
【0034】
縦管21の上端には、逆洗水供給系15の逆洗水供給装置153と、透過液取出系16の透過液取出口部161が接続している。逆洗水供給装置153は、アキュームレータ154と、アキュームレータ154に圧縮空気を供給するコンプレッサ155と、アキュームレータ154の液相側となる底部と横管22を連通する逆洗水供給口部156を備えている。
【0035】
透過液取出口部161は第1バルブ162を有し、逆洗水供給口部156は第2バルブ157を有している。
【0036】
逆洗排水系12および原水供給系14は、共通の管路として縦管31と複数の横管32を有している。逆洗排水系12では、縦管31は逆洗排水主管121となり、逆洗排水が上方から下方に向かって流れる。各横管32は、逆洗排水枝管122となり、逆洗排水主管121に並列に接続している。
【0037】
逆洗排水系12では、各膜分離ユニット11から逆洗排水が横管32を通して縦管31に流入し、逆洗排水が縦管31を上方から下方に向かって流下する。
【0038】
原水供給系14では、原水が縦管31を通して下方から上方へ向かって流れ、縦管31から横管32に流入した原水が各膜分離ユニット11に供給される。
【0039】
縦管31の下端には、逆洗排水系12の逆洗排水取出口部123と、原水供給口部141が接続している。原水供給口部141は、原水を供給する原水ポンプ142と、第3バルブ143を備えている。逆洗排水取出口部123は第4バルブ124を有している。
【0040】
フラッシングエア供給系13は、下方から上方に向かってフラッシングエアが流れる縦管41のエア主管131と、エア主管131に並列に接続し、各段の膜分離ユニット11に向けてフラッシングエアを送り込む複数の横管42のエア枝管132を有する。
【0041】
エア主管131は、上端側に第5バルブ133を有し、下端に第6バルブ134を介してエア供給管135が接続し、エア供給管135の上流端がコンプレッサ155と、アキュームレータ154の気相側となる天部に接続している。
【0042】
本実施の形態において、洗浄排水は、フラッシングエアと逆洗水とが混合されてなる気液混相流体であり、フラッシングエアはアキュームレータ154に貯留した圧縮空気であり、逆洗水はアキュームレータ154に貯留した透過液である。
【0043】
以下、上記構成の作用を説明する。
(膜ろ過工程)
第2バルブ157、第5バルブ133、第6バルブ134を閉栓する状態で、第4バルブ124を閉栓し、第1バルブ162、第3バルブ143を開栓した状態で原水ポンプ142を駆動する。
【0044】
原水は、原水供給口部141から原水供給系14に流入し、縦管31を下方から上方に向かって流れ、各横管32を通って各膜分離ユニット11の一次側に流入する。
【0045】
原水供給の開始時には、第5バルブ133を開栓する状態で、原水をフラッシングエア供給系13のエア枝管132およびエア主管131に通水し、管内のエアを排出してエア枝管132およびエア主管131に原水を満管に満たす。
【0046】
原水は膜分離ユニット11のろ過膜111でろ過され、透過液が膜分離ユニット11の二次側から透過液取出系16に流れ出る。透過液は、各膜分離ユニット11から横管22に流れ出て、縦管41を通って透過液取出口部161から系外へ取り出す。
(洗浄工程)
第1バルブ162、第3バルブ143、第5バルブ133、第6バルブ134を閉栓する状態で、第2バルブ157、第4バルブ124を開栓する。逆洗水供給装置153は、アキュームレータ154の気相部の空気圧で、アキュームレータ154の内部の逆洗水を、逆洗水供給口部156を通して逆洗水供給系15に押し出す。
【0047】
逆洗水は、逆洗水主管151を通って各段の逆洗水枝管152に流入し、各段の各膜分離ユニット11に流入する。
【0048】
各膜分離ユニット11の二次側に流入した逆洗水は、ろ過膜111の二次側から一次側へ逆流し、ろ過膜111の一次側に付着した異物を洗い流す。逆洗排水は、各膜分離ユニット11から各段の逆洗排水枝管122を通して逆洗排水主管121に流入し、逆洗排水主管121を上方から下方に流下し、逆洗排水取出口部123から系外へ流れ出る。
(フラッシング工程)
第1バルブ162、第3バルブ143、第5バルブ133を閉栓する状態、かつ第2バルブ157、第4バルブ124を開栓する状態で、第6バルブ134を開栓する。逆洗水供給装置153は、アキュームレータ154の気相部の空気圧で、アキュームレータ154の内部の逆洗水を、逆洗水供給口部156を通して逆洗水供給系15に押し出すとともに、アキュームレータ154の内部の圧縮空気をフラッシングエアとして、エア供給管135を通してフラッシングエア供給系13に供給する。
【0049】
逆洗水は、逆洗水主管151を通って各段の逆洗水枝管152に流入し、逆洗水枝管152から各段の各膜分離ユニット11に流入し、ろ過膜111の二次側から一次側へ逆流し、ろ過膜111の一次側に付着した異物を洗い流す。
【0050】
フラッシングエアは、エア主管131を通って各エア枝管132に流入し、各エア枝管132から各段の各膜分離ユニット11の一次側に流入する。
【0051】
各膜分離ユニット11の一次側に流入したフラッシングエアとろ過膜111を透過した逆洗水は、気液混相流となって膜分離ユニット11の一次側を洗浄する。気液混相の逆洗排水は、各膜分離ユニット11から各段の逆洗排水枝管122を通して逆洗排水主管121に流入し、逆洗排水主管121を上方から下方に流下し、逆洗排水取出口部123から系外へ流れ出る。
【0052】
このフラッシング工程では、フラッシングエアがフラッシングエア供給系13のエア主管131に下方から上方に向けて供給される。エア主管131にはろ過工程時に充水された原水が満管に満ちている。
【0053】
フラッシングエアは、エア主管131の原水中を上昇することで、速やかに移動してエア主管131に並列に接続した複数のエア枝管132に、到達時間の差異が少ない状態でほぼ同時に流入する。
【0054】
このため、フラッシングエアが各エア枝管132を通して各段の膜分離ユニット11に向けて到達時間の差異が少ない状態でほぼ同時に流入し、上下多段に配置した膜分離ユニット11をほぼ同時に洗浄する。
【0055】
よって、フラッシングエアが特定の段の膜分離ユニットに対して大量に流入して消費されることがなくなり、少量のフラッシングエアでエアパージを行え、フラッシングエアを供給するアキュームレータ154における空気圧が高い状態においてエアパージを行うことにより洗浄力に優れた高圧力下の洗浄を行える。
【0056】
また、各段の膜分離ユニット11から排出する逆洗排水がほぼ同時に逆洗排水主管151に流入するので、各段の逆洗排水枝管152における排水抵抗が均等になり、結果としてフラッシングエアが各段の膜分離ユニット11へ均一に供給される。
【0057】
上記実施の形態では、逆洗水を逆洗水主管151の上端から供給し、逆洗水が逆洗水主管151内を上方から下方に向かって流れながら、各段の膜分離ユニット11に流入している。しかしながら、逆洗水供給系は常に処理した透過液で満たされており、さらにはろ過膜111を透過する際の圧損が大きい。
【0058】
このため、フラッシング工程において、逆洗水を逆洗水主管151の下端から供給しても、途中から供給しても、フラッシングエアが各段の膜分離ユニット11に到達して各段の洗浄排水枝管122から排水されるまでの時間に影響しない。
【0059】
すなわち、逆洗水は、逆洗水主管151のどこから供給してもよい。
(比較例1)
図2は本発明に関する比較例1を示すものであり、
図1の構成と同様の要素には同符号を付して説明を省略する。
【0060】
図1の構成と相違する点は、エア供給管135がエア主管131の上端に接続していることである。
【0061】
図2において、ろ過工程、洗浄工程は上記の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0062】
フラッシング工程では、フラッシングエアがエア主管131の上方から下方に向けて供給される。
【0063】
このため、フラッシングエアはエア主管131の管内を満たす原水に移動が阻害される。フラッシングエアがエア主管131の中を移動するためには、管内を満たす原水を下方に押し下げる必要がある。よって、原水の抵抗を受けるフラッシングエアは、最初に上段のエア枝管132に流入し、上段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0064】
フラッシングエアの空気圧を受けて上段の膜分離ユニット11から排出される気液混相流の洗浄排水が上段の洗浄排水枝管122から洗浄排水主管121を優先的に先行して流れることで、下方の中段、下段の洗浄排水枝管122から洗浄排水主管121に流れる洗浄排水が阻害される。
【0065】
結果として、下方の中段、下段の膜分離ユニット11のフラッシングによる洗浄が遅れ、上段、中段、下段の順序で膜分離ユニット11のフラッシング工程が進行し、フラッシングエアが下段のエア枝管132に到達するまでに時間を要し、フラッシングエアが高さの異なる複数の膜モジュール11にほぼ同時には行き渡らず、上段の膜分離ユニット11のフラッシング工程に多量のフラッシングエアが消費される。
【0066】
また、フラッシングエアが下段のエア枝管132に到達したときには、アキュームレータ154における空気圧も低下しているので、下段のエア枝管132に接続した膜モジュール11の洗浄効果も低下する。
【0067】
本発明に係る実施の形態と上述した比較例1との比較において、フラッシングエアが各段の膜分離ユニット11に到達して各段の洗浄排水枝管122から排出されるまでの時間を計測した結果を表1に示す。
【0069】
エア主管131において上方から下方に向けてフラッシングエアを供給する場合には、到達時間にばらつきがあり、エア主管131において下方から上方に向けてフラッシングエアを供給する場合には、到達時間の差異が少ない状態でほぼ同時に流入し、排出されることが明らかであり、上下多段に配置した膜分離ユニット11をほぼ同時に洗浄できる。
(比較例2)
図3は本発明に関する比較例2を示すものであり、
図1の構成と同様の要素には同符号を付して説明を省略する。
【0070】
図1の構成と相違する点は、原水供給口部141および逆洗排水取出口部123が逆洗排水主管121の上端に接続していることである。
【0071】
図3において、ろ過工程、洗浄工程は上記の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0072】
フラッシング工程では、フラッシングエアがエア主管131の下方から下方に向けて供給される。しかし、逆洗排水主管121は逆洗排水で満管状態にあり、下段の逆洗排水枝管122にはエア主管131の逆洗排水の水頭が作用する。このため、下段のエア枝管132に供給するフラッシングエアの空気圧では、下段の膜分離ユニット11から逆洗排水を押し出すことができず、フラッシングエアは、最初に上段のエア枝管132に流入し、上段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0073】
そして、上段の逆洗排水枝管122からエア主管131に気液混相流が流入する状態で、フラッシングエアが中段のエア枝管132に流入し、中段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0074】
そして、上段、中段の逆洗排水枝管122からエア主管131に気液混相流が流入する状態で、フラッシングエアが下段のエア枝管132に流入し、下段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0075】
このように、中段、下段の膜分離ユニット11のフラッシングによる洗浄が遅れ、上段、中段、下段の順序で膜分離ユニット11のフラッシング工程が進行し、フラッシングエアが下段のエア枝管132に到達するまでに時間を要し、フラッシングエアが高さの異なる複数の膜モジュール11にほぼ同時には行き渡らず、上段の膜分離ユニット11のフラッシング工程に多量のフラッシングエアが消費される。
【0076】
また、フラッシングエアが下段のエア枝管132に到達したときには、アキュームレータ154における空気圧も低下しているので、下段のエア枝管132に接続した膜モジュール11の洗浄効果も低下する。
(比較例3)
図4は本発明に関する比較例3を示すものであり、
図1の構成と同様の要素には同符号を付して説明を省略する。
【0077】
図1の構成と相違する点は、エア供給管135がエア主管131の上端に接続し、原水供給口部141および逆洗排水取出口部123が逆洗排水主管121の上端に接続していることである。
【0078】
図4において、ろ過工程、洗浄工程は上記の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0079】
フラッシング工程では、フラッシングエアがエア主管131の上方から下方に向けて供給される。
【0080】
このため、フラッシングエアはエア主管131の管内を満たす原水に移動が阻害される。フラッシングエアがエア主管131の中を移動するためには、管内を満たす原水を下方に押し下げる必要がある。また、逆洗排水主管121は逆洗排水で満管状態にあり、下段の逆洗排水枝管122にはエア主管131の逆洗排水の水頭が作用する。このため、エア枝管132に供給するフラッシングエアの空気圧では、下段の膜分離ユニット11から逆洗排水を押し出すことができず、フラッシングエアは、最初に上段のエア枝管132に流入し、上段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0081】
そして、上段の逆洗排水枝管122からエア主管131に気液混相流が流入する状態で、フラッシングエアが中段のエア枝管132に流入し、中段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0082】
そして、上段、中段の逆洗排水枝管122からエア主管131に気液混相流が流入する状態で、フラッシングエアが下段のエア枝管132に流入し、下段の膜分離ユニット11を気液混相流で洗浄する。
【0083】
このように、中段、下段の膜分離ユニット11のフラッシングによる洗浄が遅れ、上段、中段、下段の順序で膜分離ユニット11のフラッシング工程が進行し、フラッシングエアが下段のエア枝管132に到達するまでに時間を要し、フラッシングエアが高さの異なる複数の膜モジュール11にほぼ同時には行き渡らず、上段の膜分離ユニット11のフラッシング工程に多量のフラッシングエアが消費される。
【0084】
また、フラッシングエアが下段のエア枝管132に到達したときには、アキュームレータ154における空気圧も低下しているので、下段のエア枝管132に接続した膜モジュール11の洗浄効果も低下する。
【解決手段】複数の膜分離ユニット11を上下多段に配置し、各膜分離ユニット11は、原水が供給される一次側が逆洗排水系12とフラッシングエア供給系13に連通し、透過液が取り出される二次側が逆洗水供給系15に連通し、逆洗水供給系15は、逆洗水が流れる逆洗水主管151と、逆洗水主管151に並列に接続し、各段の膜分離ユニット11に向けて逆洗水を送り込む複数の逆洗水枝管152を有し、逆洗排水系12は、各段の膜分離ユニット11から逆洗排水が流れ込む複数の逆洗排水枝管122と、各段の逆洗排水枝管122が並列に接続し、逆洗排水が上方から下方に向かって流れる逆洗排水主管121を有し、フラッシングエア供給系13は、下方から上方に向かってフラッシングエアが流れるエア主管131と、エア主管131に並列に接続し、各段の膜分離ユニット11に向けてフラッシングエアを送り込む複数のエア枝管132を有する。