【実施例】
【0030】
つぎに本発明の実施例による孔開きラベル連続体の製造装置および製造方法を
図1ないし
図5にもとづき説明する。ただし、
図6ないし
図8と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、孔開きラベル連続体29の製造装置20の概略側面図であって、孔開きラベル連続体29の製造装置20は、前記ラベル原紙8の供給部21と、表面印刷部22と、台紙分離部23と、裏面印刷部24と、貼り合わせ部25と、ダイカット部26と、外方ラベルカス取り部27と、内方ラベルカス取り部28と、孔開きラベル連続体29の巻取り部30と、を有する。
図2は、内方ラベルカス取り部28の部分を示す斜視図である。
【0031】
ラベル原紙8は、既述のように帯状の台紙2に粘着剤層5を介して帯状のラベル基材4を仮着しており、供給部21からガイドローラー31を経て、表面印刷部22にこれを供給する。
【0032】
表面印刷部22は、表面印刷機32および紫外線照射器33を有し、ラベル原紙8(ラベル基材4)の表面側に所定の情報を印刷する。
【0033】
台紙分離部23は、分離ローラー34により、台紙2と、ラベル基材4および粘着剤層5による積層体35と、を分離し、それぞれの移送路に移送可能とする。
【0034】
裏面印刷部24は、裏面印刷機36および紫外線照射器37を有し、ラベル原紙8(積層体35)の裏面側における粘着剤層5の所定領域に印刷を施す。
この所定領域とは、内方ラベルカス51(
図2において後述)を形成する領域である。
すなわち、当該所定領域は、ラベル原紙8の厚さ方向における、貫通孔38(
図2)の周縁が囲む内方領域39に相当する粘着剤層5の領域であって、この所定領域にメジームその他任意のインキを印刷することにより、粘着剤層5の活性を少なくとも低減する粘着不活性化層40(
図1の拡大部を参照)を形成する。
ただし、粘着不活性化層40の形成により、ラベル原紙8の移送方向下流側のダイカット部26における切り抜き作用によって内方ラベルカス51が直ちにはがれて周辺の装置部分に付着してしまわないような程度にすることは必要である。
また、内方ラベルカス51の粘着性は、粘着不活性化層40の印刷インキの種類あるいはその印刷面積や、格子状、多列状あるいは網目状などの印刷パターンを選択することにより任意にこれを設定可能である。
なお、粘着不活性化層40は、内方領域39よりわずかに外方側にこれを広げてあることにより、ダイカット部26における切り抜き作用が粘着不活性化層40の領域内で確実に行われることを保証する。
【0035】
貼り合わせ部25は、貼り合わせローラー41を有し、台紙分離部23においてラベル原紙8から分離されてガイドローラー42、43によりガイドされてきた台紙2と、裏面印刷を施された積層体35と、を再度貼り合わせ積層し、ガイドローラー44、45、46を経てダイカット部26に供給する。
【0036】
ダイカット部26は、ダイカットローラー47およびアンビルローラー48を有し、ダイカットローラー47は、ラベル基材4側からラベル基材4および粘着剤層5を切り込み可能な抜き刃49を有する。
抜き刃49により、ラベル原紙8に孔開きラベル54(
図2)の外方側に位置する外方ラベルカス50を形成するとともに、内方領域39における内方ラベル基材4および粘着剤層5を内方領域39の外形線に沿って切断して孔開きラベル54の内方側に内方ラベルカス51を形成可能としている。
すなわち、抜き刃49は、従来の雄抜き型6における抜き刃9(内方抜き刃9A、外方抜き刃9B、
図8)とは異なり、外方ラベルカス50および内方ラベルカス51を形成するために同じ切込み長さを有している。
【0037】
外方ラベルカス取り部27は、カス取りローラー52およびカス巻取りローラー53を有し、抜き刃49により切り抜かれた外方ラベルカス50をカス巻取りローラー53が巻き取る。
【0038】
とくに
図2に示すように、内方ラベルカス取り部28の下流側において、孔開きラベル54を台紙2上に仮着した状態の前記孔開きラベル連続体29が製造される。
孔開きラベル54は、内方ラベルカス51を取り除かれて、その内方領域39に貫通孔38を有する。
すなわち、内方ラベルカス取り部28は、剥離板55と、吸引機構56と、押さえロール57と、を有する。
【0039】
剥離板55は、ダイカット部26の抜き刃49の下流側において台紙2の下面側に位置する。
剥離板55により、内方ラベルカス51を台紙2から剥離して、貫通孔38を形成した孔開きラベル54を台紙2上に仮着した状態で残存可能とする。
【0040】
既述のように、内方ラベルカス51は、その裏面側に粘着不活性化層40を形成しているので、台紙2に対する粘着性を、孔開きラベル54の台紙2に対する粘着性より小さくしている。
【0041】
さらに剥離板55は、内方ラベルカス51が積層している台紙2の一部を内方ラベルカス51に向かって変形可能である。
図3は、内方ラベルカス取り部28の平面図、
図4は、剥離板55および押さえロール57部分の拡大側面図である。
とくに
図4に示すように、剥離板55には、その剥離先端部に内方ラベルカス51ないし貫通孔38の幅と同等の幅を有する転向用フィルム58を貼り付けている。
転向用フィルム58の厚さTを任意に選択することにより、内方ラベルカス51が積層している台紙2の一部の転向角度を調整可能としている。
すなわち、転向用フィルム58による段差により台紙2を介して内方ラベルカス51の部分だけに局部的に剥離方向に突き上げる力が作用し、内方ラベルカス51を孔開きラベル54の他の領域より剥離しやすくしている。
【0042】
剥離板55の幅方向において、内方ラベルカス51の貫通孔38の形成位置に合うように転向用フィルム58の貼付け位置を調整することにより、孔開きラベル54内での貫通孔38の位置にある内方ラベルカス51を的確に剥離可能である。
また、転向用フィルム58の幅を調整することにより、孔開きラベル54内での貫通孔38にある内方ラベルカス51が積層する台紙2に合った剥離転向部を形成可能である。
もちろん、転向用フィルム58を設けずに、内方ラベルカス51の幅および位置に合わせた幅を有する剥離板(図示せず)をその位置に配置することにより(すなわち、内方領域39ないし貫通孔38のみにこの剥離板を設けることにより)、上述の作用と同様に、内方ラベルカス51のみを剥離除去することもできる。
【0043】
換言すれば、内方ラベルカス51が積層する台紙2の一部は、剥離板55に対するその転向角度を、孔開きラベル54の剥離板55に対する転向角度より小さくすることにより、内方ラベルカス51が台紙2から剥離しやすくするとともに、孔開きラベル54の本体領域部分は台紙2から剥離しないようにしている。
【0044】
図5は、剥離板55における転向角度の相違を説明するための概略側面図であって、
図5(1)は、転向用フィルム58に相当する段差部59を設けた場合を多少誇張して示し、
図5(2)は、段差部59を設けていない場合を示す。
すなわち、
図5(1)のように、段差部59ないし転向用フィルム58を設けている場合には、剥離板55において、段差部59ないし転向用フィルム58が台紙2の下面から内方ラベルカス51側に突出していることとなる。
したがって、内方ラベルカス51の転向角度αは、孔開きラベル54における内方ラベルカス51以外の領域の転向角度βより小さくなり(α<β、いわば、より鋭角方向にセットされ)、内方ラベルカス51の方がより剥離しやすくなる。
また、
図5(2)のように、転向角度が同じであっても、内方ラベルカス51の底面における粘着不活性化層40の形成により、内方ラベルカス51を台紙2からより剥離しやすくすることはできる。
要するに、粘着不活性化層40による内方ラベルカス51の粘着低減度と、内方ラベルカス51が積層する台紙2の一部の転向角度と、を任意に選択することにより、内方ラベルカス51の剥離精度を制御可能である。
【0045】
なお、ラベル原紙8の移送と同期する必要があるが、内方ラベルカス51と同形の剥離板を内方ラベルカス51の方向に出没するように駆動制御することにより、内方ラベルカス51を除去するようにすることもできる。
【0046】
吸引機構56は、真空引きによる吸引パイプ60を有し、剥離板55により台紙2から剥離された内方ラベルカス51を吸引して除去可能である。
かくして、ラベル原紙8の移送にともない、孔開きラベル54の外方ラベルカス50、および孔開きラベル54の内方ラベルカス51を順次、台紙2から除去する。
【0047】
押さえロール57は、剥離板55の下流側において、ラベル基材4側から台紙2側に向かってラベル原紙8を押し付ける。
ラベル原紙8の移送方向において押さえロール57の据付け位置を選択調整することにより、内方ラベルカス51が積層する台紙2の一部の転向角度を調節可能である。
また、
図1に仮想線の矢印で示すように、押さえロール57を上下動させて孔開きラベル連続体29(ラベル原紙8)に接離するように制御することにより、内方ラベルカス51の剥離動作の開始および終了のタイミングを調節することができる。同様に、仮想線の矢印で示すように、剥離板55を上下動させることにより上記タイミングを調節することもできる。
【0048】
こうした構成の孔開きラベル連続体29の製造装置20、とくに内方ラベルカス取り部28において、既述のように、貫通孔38の周縁が囲む内方領域39に相当する内方ラベルカス51の粘着剤層5の領域に裏面印刷部24において粘着不活性化層40を形成しておく。
ダイカット部26において、抜き刃49により、内方領域39における内方ラベル基材4および粘着剤層5を内方領域39の外形線に沿って切断して内方ラベルカス51を形成し、さらに、内方ラベルカス取り部28において、台紙2の下面側に位置させる剥離板55により、内方ラベルカス51のみを台紙2から剥離して、貫通孔38を形成した孔開きラベル54を台紙2上に仮着した状態で残存させるようにしたので、台紙2から確実に内方ラベルカス51を剥離し、台紙2に従来のような貫通孔2A(
図7)などを開けることなく(すなわち、応力集中による台紙切れなどを発生させることなく)、安定して孔開きラベル連続体29を製造することができる。
かくして製造された孔開きラベル連続体29を、その巻取り部30(
図1)により巻き取る。
【0049】
なお、内方ラベルカス取り部28は、これをダイカット部26の下流側であって、外方ラベルカス取り部27の上流側に設けてもよい。
また、孔開きラベルとして外方ラベルカス50が形成されない場合には、外方ラベルカス取り部27を設ける必要はない。