【実施例1】
【0011】
図1(a)は、実施例1の灯具10の構成を示す断面図である。灯具10は、光源部20と灯体部30とからなる。本実施例においては、灯具10が車両用前照灯である場合について説明する。
図1(b)は、灯具10を側面から見た場合の灯体部30内の光路を模式的に示す図である。光源部20は、白色化されかつ空間的又は時間的にコヒーレントな入力光WLを生成する光源21を有している。光源21には、入力光WLを出力する出力部22と、光源21から発生する熱を放熱する放熱部23とが設けられている。また、光源21には、電源(図示せず)及び制御部(図示せず)などに接続された配線CBが設けられている。また、入力光WLは、導光部24によって灯体部30に導光される。
【0012】
灯体部30は、光源21からの入力光WLを拡散及び反射して拡散光DLを生成する拡散反射部材31と、拡散反射部材31からの拡散光DLを集光して集光光FLを生成する集光ミラー32と、集光ミラー32からの集光光FLを投影して投影光PLを生成する投影レンズ33と、を有している。
【0013】
拡散反射部材31は、例えば平板形状を有し、例えば可視光に対して高い反射率を有する(例えば90%以上)の白色アルミナ板、酸化チタン板、酸化ケイ素板など、又はアルミを主成分としたアルミナ板、酸化チタンを主成分とした酸化チタン板、酸化ケイ素を主成分とした酸化ケイ素板などのセラミック部材からなる。また、拡散反射部材31は、可視光に対して高い反射率を有する反射型の回折光学素子部材、又はセラミック粒子や金属粒子を含む高い可視光反射率(例えば90%以上)の樹脂板などから構成されていてもよい。また、拡散反射部材31は、金属、セラミック及びエポキシ樹脂などの材料からなる基板(図示せず)上に固定又は埋設されていてもよい。また、拡散反射部材31の側面に高い光反射性を有する部材が設けられていても良い。
【0014】
集光ミラー32は、例えば樹脂などで成型された成型体の表面にアルミや銀などの高い光反射性を有する膜を成膜することによって形成することができる。また、集光ミラー32は、保護膜によって覆われていても良い。投影レンズ33は、例えばガラス、ポリカーボネート、アクリルなど、入力光WLに対して透光性を有する材料からなる。
【0015】
導光部24によって光源部20から導光された入力光WLは、導光部24の出射端部LPから拡散反射部材31に向けて出射される。本実施例においては、集光ミラー32には貫通孔が設けられ、出射端部LPから出射された入力光WLは、当該貫通孔を通って拡散反射部材31に入射する。拡散反射部材31は、例えば平板形状を有し、その一方の主面(以下、受光面と称する)31Sにおいて入力光WLを受光する。拡散反射部材31の受光面31Sにおける入力光WLの受光部分は、灯体部30における集光ミラー32の第1の焦点F1として機能する。拡散反射部材31に入射した入力光WLは、第1の焦点F1において拡散及び反射され、拡散光DLとなる。
【0016】
拡散光DLは、
図1(b)に示すように、第1の焦点F1から放射状に進み、集光ミラー32に入射する。拡散光DLは、集光ミラー32によって他の焦点(第2の焦点)F2に集光される。すなわち、拡散反射部材31は、集光ミラー32の第1の焦点F1において入力光WLを受光して拡散光DLを生成する。また、集光ミラー32は、拡散光DLを集光ミラー32の第2の焦点F2に集光する。なお、第1及び第2の焦点F1及びF2は、それぞれ集光ミラー32の一次焦点及び二次焦点として機能する。また、第2の焦点F2は、投影レンズ33の焦点として機能する。
【0017】
なお、灯体部30は、自動車用前照灯におけるすれ違い用配光(いわゆるロービーム)を形成するためのシェードSHを有する。具体的には、シェードSHは、投影レンズ33に向けて集光光FLを部分的に反射するように構成されている。シェードSHは、その端部に第2の焦点F2が位置するように灯体部30内に配置されている。シェードSHは、例えば耐熱性を有する耐熱体に高い反射性を有する金属(例えばアルミや銀など)が成膜された構造を有する。
【0018】
また、シェードSHは、ロービームのカットオフラインを形成するような形状を有する。集光ミラー32によって集光された集光光FLは、所定の形状及びサイズを有する。また、集光光FLは、その一部がシェードSHによって反射することによって、全体としてロービームの形状に成形されて投影レンズ33に入射される。なお、シェードSHは可動式であってもよい。シェードSHは、例えば実線で示した集光光FLの光路内位置と破線で示した集光光FLの光路外位置との間で移動可能なように構成されている。従って、灯体部30は、シェードSHを集光光FLの光路外に移動することで、ロービームだけでなく、前照灯の走行用配光(いわゆるハイビーム)を形成することができる。
【0019】
灯体部30は、拡散反射部材31、集光ミラー32、投影レンズ33及びシェードSHを収容するハウジングHSを有している。また、拡散反射部材31、集光ミラー32、投影レンズ33及びシェードSHは、支持部SUによって灯体部30内において支持されている。また、ハウジングHSのうち、投影レンズ33から投影光PLが出射する側の領域にはアウターレンズOLが設けられている。投影光PLは、アウターレンズOLを介して外部に取出される。また、灯体部30は、灯体部30の光軸を調整する光軸調整部AJを有している。光軸調整部AJは、支持部SUを介して、拡散反射部材31、集光ミラー32、投影レンズ33及びシェードSHを移動させる機能を有している。
【0020】
図2(a)は、光源部20の構成を示す図である。まず、光源21は、パルス発振した励起光ELを生成するレーザ装置LSRと、励起光ELに基づいて入力光WLを生成する非線形な材料からなる非線形部材NLMとを有している。ここで、光源21について説明する。例えばフェムト秒のパルス幅を有するパルス化されたレーザ光を非線形媒体に入射させると、レーザ光のスペクトル幅が連続的に拡大する現象が知られている。これはスーパーコンティニウム現象と言われ、これによって得られた光は、広帯域なスペクトルを有するような特性を示す。また、このスーパーコンティニウム光は、自然光よりも高い空間的及び時間的コヒーレント性を有する。
【0021】
光源21は、このスーパーコンティニウム光を生成するスーパーコンティニウム光源である。すなわち、入力光WLは、広帯域(ブロード)なスペクトル、例えば可視域の全域に亘るスペクトル幅を有するスーパーコンティニウム光である。具体的には、非線形材料NLMは、レーザ装置LSRからの励起光ELを受けて、スーパーコンティニウム光を生成する。このスーパーコンティニウム光は、太陽光に近い光であり、高い演色性を有している。従って、灯具10は、蛍光体を必要とせず、また、蛍光体を用いて白色化された場合よりも高い演色性を有する白色光を生成及び照射する。
【0022】
なお、拡散反射部材31は、空間的又は時間的にコヒーレントな入力光WLを拡散反射することで、入力光WLの空間的及び時間的なコヒーレント性が低減された拡散光DLを生成(入力光WLを変換)する。例えば、拡散反射部材31として多結晶の白色アルミナ板を用いた場合、その複数かつ複雑な粒界面によって、入力光WLにおけるアルミナ板に入射してから再出射するまでの距離である反射経路長が多距離化する。また、入力光WLのアルミナ板における反射方向が多方向化する。これによって、入力光WLの空間的及び時間的コヒーレント性は低減される。従って、拡散反射部材31を設けることで、空間的又は時間的にコヒーレントな入力光WLは、より自然光化される。
【0023】
出力部22は、入力光WLにおける紫外成分UV(
図2(b)参照)を除去する紫外成分除去部22Aと、入力光WLにおける赤外成分IRを除去する赤外成分除去部22Bとを有している。紫外成分除去部22Aは、例えば紫外線カットフィルタやダイクロイックミラーなどからなる。赤外成分除去部22Bは、例えば赤外線カットフィルタやダイクロイックミラーなどからなる。なお、紫外成分除去部22A及び赤外成分除去部22Bの構成は一例に過ぎず、例えば双方同様な構成を有していても良く、また、図示した反対の構成及び配置を有していても良い。すなわち、入力光WLの紫外成分UV及び赤外成分IRが紫外及び赤外成分除去部22A及び22Bによって除去されればよい。
【0024】
光源21からのスーパーコンティニウム光は、可視域のみならず紫外及び赤外領域に亘るスペクトル幅を有する場合がある。出力部22が紫外及び赤外成分除去部22A及び22Bを有することによって、紫外線及び赤外線が灯具10から外部に取出されることが抑制される。従って、照射に不要な紫外及び赤外成分を除去することができる。また、紫外線は、投影レンズ33やアウターレンズOLなどに用いられる樹脂などを劣化させるため、紫外線を除去することによって灯具10が長寿命化する。
【0025】
なお、出力部22は、
図2(a)に示すように、赤外線を吸収する赤外線吸収部ABを有する。例えば赤外成分除去部22Bがダイクロイックミラーから構成される場合、ダイクロイックミラーによって分離された赤外線を吸収する赤外線吸収部ABが設けられることが好ましい。また、出力部22は、集光レンズLZ1を有していても良い。集光レンズLZ1は、赤外線及び紫外線が除去された入力光WLを集光して導光部24に導く。導光部24は、例えば光ファイバからなる。導光部24は例えばマルチモード光ファイバからなり、コアの断面は例えば円形又は矩形の形状を有する。
【0026】
図2(b)は、入力光WLのスペクトルを示す図である。図の横軸は波長を、縦軸は光出力を示している。
図2(b)に示すように、入力光WLは、可視域の全体を含む400nm〜1600nmの波長範囲に亘るスペクトル幅を有する。例えば、スーパーコンティニウム光は、可視域の全域に亘って所定の光出力を有する可視光スペクトルを有する。具体的には、例えば、光の最大出力を示す波長領域における出力強度を光出力Aとし、最小出力を示す波長領域における出力強度を光出力Bとした場合のB/Aを出力強度比とした場合、スーパーコンティニウム光は可視域において例えば0.5以上の出力強度比を有する。すなわち、ほぼ全ての発光色の光が満遍なくかつ互いに同程度の光量で生成される。従って、得られた入力光WLは白色光として認識され、白色光を得るために蛍光体を用いる必要がない。
【0027】
また、灯体部30には、紫外及び赤外成分除去部22A及び22Bによって紫外成分UV及び赤外成分IRが除去された入力光WLが導光される。また、入力光WLは、レーザ発振した励起光ELを用いているため、高い光出力を有している。従って、高い光出力及び高い演色性を有する入力光WLが生成される。
【0028】
図3(a)は、灯体部30に設けられた入力光WLの出射端部LP及び拡散反射部材31に入射した入力光WLのビーム形状(入力ビームの断面形状)を模式的に示す図である。まず、光源21は、その出射端部LPから入力光WLを出射する。本実施例においては、出射端部LPには、拡散反射部材31の第1の焦点F1(焦点面FS)における入力光WLのビーム形状を成形する集光レンズLZ2が設けられている。
【0029】
本実施例においては、集光レンズLZ2は、入力光WLのビーム形状を長方形に成形して第1の焦点F1に入射させるように構成されている。第1の焦点F1に長方形のビーム形状を有する入力光WLが入射すると、前照灯の配光形状の成形が容易になる。具体的には、まず、第1の焦点F1に入射させる入力光WLを1点に集光させるのではなく、ある程度のサイズを有する面として入射させた場合、投影光PLには光の強度分布が生ずる。前照灯には照射領域に応じた強度分布が定められているため、入力光WLに生じた強度分布を利用することで、他の部材である集光ミラー32などの設計が容易となるのである。
【0030】
なお、集光レンズLZ2は、
図3(b)及び(c)に示すように、入力光WLのビーム形状(入力ビームの断面形状)を楕円形又は円形に成形するように構成されていてもよい。なお、車両用前照灯を構成する場合、集光レンズLZ2は、入力光WLのビーム形状を長方形又は楕円形に成形して第1の焦点F1(焦点面FS)に入射させるように構成されていることが好ましい。また、導光部24が光ファイバから構成されている場合、そのコアの断面は矩形(例えば長方形又は正方形)の形状を有していることが好ましい。光ファイバ(導光部24)のコアが矩形の断面形状を有している場合、集光レンズLZ2によって、容易に入力光WLの出射端部LPでのビーム形状を長方形又は楕円形に成形することができるからである。すなわち、入力光WLを出射端部LPまで導光する光ファイバは、矩形のコア形状を有することが望ましい。
【0031】
次に、
図4(a)及び(b)を用いて、拡散反射部材31によって生成された拡散光DLの強度分布について説明する。
図4(a)及び(b)は、灯体部30の側面及び上面をそれぞれ模式的に示す図である。まず、入力光WLの出射端面LPにおける入力光WLの出射点EPは、第1及び第2の焦点F1及びF2を通る線ALを通り、かつ拡散反射部材31の受光面31Sに垂直な面AS内に設けられている。すなわち、
図4(b)に示すように、入力光WLの光軸OAは、第1及び第2の焦点F1及びF2を通りかつ拡散反射部材31における入力光WLの受光面31Sに垂直な面AS内に設けられている。
【0032】
このように出射端部LPを配置することで、前照灯における配光形状及び強度分布の設計が容易となる。具体的には、まず、入力光WLは、コヒーレント性を有するため、高い指向性を持った状態で拡散反射部材31に向かって進む。従って、拡散光DLは、
図4(a)及び(b)に示すように、第1の焦点F1から非対称的な強度分布を有し、部分的に強度の大きい領域(高強度領域)が形成される。なお、
図4(a)及び(b)における拡散光DLの矢印の大きさは拡散光DLの強度を模式的に示している。入力光WLの光軸OAを面AS内に配置することで、その高強度領域を面AS内に形成することができる。
【0033】
そして、集光ミラー32によって生成された集光光FL、及び第2の焦点F2に集光された後に投影レンズ33によって投影された投影光PLは、拡散光DLと同様に、その高強度領域は面AS内に形成される。
【0034】
さらに、
図4(a)に示すように、出射端部LPは、入力光WLの光軸OAが、拡散反射部材31の受光面31S上に下ろした第1の焦点F1を通る垂線(第1の焦点F1を通る受光面31への垂線)FVに対して投影レンズ33側に傾斜するように構成されている。入力光WLの光軸OAが垂線FVに対して投影レンズ33側に傾斜していることで、拡散光DLにおける高強度領域を集光ミラー32の投影レンズ33から遠い側に形成することができる。
【0035】
このように形成された拡散光DLの高強度領域は、集光ミラー32によって低い(小さい)入射角度で第2の焦点F2に入射する(集光される)。また、集光光FLの高強度領域は低い出射角度で第2の焦点F2から出射する。従って、集光光FLは、投影レンズ33に低い入射角度で入射し、投影レンズ33から低い出射角度で出射される。このように投影レンズ33に対する集光光FLの高強度領域の入射角度及び出射角度を小さくすることで、投影光PLの反射損失及び屈折損失を抑制することができ、入力光WLの光束利用性が向上する。また、面AS上においても投影光PLの中心領域(線ALの近傍に対応する領域)は高強度領域となるため、入力光WLの光束利用性はさらに向上することとなる。
【0036】
図5は、灯具10を車両VEに搭載した場合の投影光PLの構成を模式的に示す図である。投影光PLは、車両遠方を照射する領域であるホット領域HRと、車両近傍を広い角度で照射する領域であるワイド領域WRと、及びその中間の照射領域であるミドル領域MRとを有している。
図3(a)〜(c)を用いて説明した集光レンズLZ2による入力光WLのビーム形状を長方形又は楕円形に成形すること、及び
図4(a)及び(b)を用いて説明した入力光WLの光軸OAを面AS内に配置することによって、長方形又は楕円形の入力光WLのビームの長辺が線ALに直交するように配置され、
図5に示すような投影光PLを容易に形成することができる。
【0037】
具体的には、まず、集光レンズLZ2によって入力光WLのビーム形状を成形することで、投影光PL内に強度分布を生じさせることができる。具体的には、投影光PLのうち、第1の焦点F1の近傍に対応する照射領域の中心部は比較的高い強度を有し、外縁に近づくほど強度は小さくなる。そして、入力光WLの光軸OAを面AS内に設けることによって、投影光PLの中心領域は入力光WLの高強度領域に対応した大きな強度を有することとなる。従って、ホット領域HRの照射可能距離、すなわち遠方視認性が大きくなる。なお、シェードSHを集光光FLの光路内に移動させた場合であっても(すなわちロービームを形成した場合であっても)、同様の照射強度分布を生じさせることができる。このようにして、灯具10を用いることで、複雑な光学設計を簡略化することが可能となる。
【0038】
なお、仮に青色光を出射するレーザ光を蛍光体によって黄色光に変換して白色光を得る場合、上記したように灯具を構成しても配光設計は容易にならない。具体的には、例えば直進性の高いレーザによる青色光と放射パターンがランバーシアン分布となる蛍光体による黄色光とは、拡散反射された光としての強度分布が異なる。従って、拡散されるうちに青色成分や黄色成分の偏った領域が形成される。例えば黄色光よりも青色光の強度が大きい部分が生じた部分を含んだまま投影すると、その部分に対応する照射領域は周辺部よりも青色成分の多い光(青っぽい光)として認識される。また、紫外レーザを励起光として、青色蛍光体、黄色蛍光体及び赤色蛍光体による蛍光を混色して白色光を得る場合、その光の放射パターンはランバーシアン分布となる。従って、上記した灯具構成は、広帯域なスペクトルを有するコヒーレントな入力光WLと組み合わせることで大きな効果を得ることができる。
【0039】
なお、本実施例においては、出射端部LPは、
図4(a)及び(b)に示すように、面AS内において受光面31Sに対して傾斜した向きで入力光WLを出射する構成を有している。しかし、入力光WLの光軸OAは、面AS内に設けられていれば、受光面31Sに垂直な方向に設けられていてもよい。また、必ずしも入力光WLの光軸OAが面AS内に設けられる必要は無い。
【0040】
図6は、実施例1の変形例に係る灯具10Aにおける灯体部30Aの構成を示す図である。なお、
図6においては、ハウジングHS、アウターレンズOL及び支持部SUの図示を省略している。灯具10Aは、灯体部30Aの構成を除いては灯具10と同様の構成を有している。
図6に示すように、本変形例においては、灯体部30Aは、入力光WLに対して透光性を有する透光性部材BDと、透光性部材BDに固定された反射拡散部材31A、集光ミラー32A及び投影レンズ33Aと、を有している。透光性部材BDは、入力光WL、拡散光DL、集光光FLの光路を含む空間を充填するように設けられている。
【0041】
また、シェードSHは透光性部材BDに回動自在に取り付けられている。透光性部材BDは、シェードSHを集光光FLの光路外に移動するように構成された移動機構MVを有している。すなわち、移動機構MVが回転することでシェードが集光光FLの光路外となる位置(
図6の破線で示す位置)に移動する。従って、シェードSHの位置を移動することによって、ハイビーム及びフロービームの両方を形成することができる。なお、ここでは移動機構MV及びシェードSHが回転移動する場合について説明したが、移動機構MV及びシェードSHは、回転移動のみならず、直線移動を行うように構成されていても良い。
【0042】
拡散反射部材31Aは、その透光性部材BDに接する部分以外が被覆部COによって埋設されている。透光性部材BDは、例えばガラスやポリカーボネート又はアクリルなどの材料からなる。被覆部COは、例えばガラス、アルミナ、酸化ケイ素などのセラミックや樹脂、又は金属などからなる。
【0043】
本変形例においては、入力光WL、拡散光DL、集光光FLの光路を含む空間を充填する透光性部材BDを有する。従って、拡散光DL及び集光光FLは、透光性部材BD内において生成される。また、入力光WL、拡散光DL及び集光光FLは、透光性部材BD内を進んだ後、投影光PLとして投影される。本変形例においては、入力光WLが透光性部材BDに入射する入射面を集光レンズとして用いる(形成する)ことができ、出射端部LPの集光レンズLZ2(
図3(a))を省略することができる。
【0044】
なお、上記においては、光源21としてスーパーコンティニウム光源を用いた場合について説明したが、蛍光体を用いることなく空間的又は時間的にコヒーレントで広帯域なスペクトルが得られる光源を、スーパーコンティニウム光源に代えて用いることができる。例えば赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ出射するレーザを光源としてそれぞれの光を重ね合わせることで白色光を得ることが可能である。すなわち、光源21は、互いに異なる発光色を有する複数のレーザからなるレーザ装置LSRを有していても良い。この場合、非線形材料NLMが設けられる必要は無い。また、スーパーコンティニウム光を生成する他の装置をレーザ装置LSR及び非線形材料NLMに代えて用いても良い。
【0045】
また、光源部20及び灯体部30(30A)の構成は一例に過ぎない。また、シェードSHは、必ずしも設けられる必要は無い。出力部22は紫外及び赤外成分除去部22A及び22Bを有していなくても良い。また、放熱部23が設けられていなくても良い。