(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6509585
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】排熱回収システム
(51)【国際特許分類】
F01K 1/02 20060101AFI20190422BHJP
F01K 9/00 20060101ALI20190422BHJP
F01K 25/14 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
F01K1/02
F01K9/00 Z
F01K25/14
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-41095(P2015-41095)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-160848(P2016-160848A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 潤之助
【審査官】
北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−012221(JP,A)
【文献】
特開昭59−225203(JP,A)
【文献】
特開2002−106307(JP,A)
【文献】
特開昭60−069220(JP,A)
【文献】
特開昭59−226209(JP,A)
【文献】
特開昭58−013112(JP,A)
【文献】
米国特許第04164848(US,A)
【文献】
特開昭58−023206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 1/02
F01K 9/00
F01K 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動する蒸気タービンと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を貯留し、貯留された前記蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気貯留部と、
前記蒸気貯留部の内部に設置され、前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱する加熱部と、
前記蒸気貯留部で生成された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、
を備え、
前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水、又は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を熱源として利用する排熱回収システム。
【請求項2】
前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水を膨張させる膨張部と、
前記膨張部で前記凝縮水が膨張して生成された蒸気が供給される気液分離部と、
を更に備え、
前記気液分離部で分離された蒸気又は水を熱源として利用する請求項1に記載の排熱回収システム。
【請求項3】
排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動する蒸気タービンと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を貯留し、貯留された前記蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気貯留部と、
前記蒸気貯留部で生成された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、
前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水を膨張させる膨張部と、
前記膨張部で前記凝縮水が膨張して生成された蒸気が供給される気液分離部と、
を備え、
前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水、又は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を熱源として利用し、
前記気液分離部で分離された蒸気又は水を熱源として利用する排熱回収システム。
【請求項4】
前記膨張部は、膨張タービンであり、前記膨張タービンの回転軸が発電機の回転軸と接続される請求項2又は3に記載の排熱回収システム。
【請求項5】
前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱する加熱部を更に備える請求項3に記載の排熱回収システム。
【請求項6】
前記蒸気貯留部と前記凝縮水貯留部を結ぶ配管に設けられる開閉弁を更に備え、
前記加熱部が前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱するとき、前記開閉弁が閉鎖される請求項1又は5に記載の排熱回収システム。
【請求項7】
排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動する蒸気タービンと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を貯留し、貯留された前記蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気貯留部と、
前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱する加熱部と、
前記蒸気貯留部で生成された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、
前記蒸気貯留部と前記凝縮水貯留部を結ぶ配管に設けられる開閉弁と、
を備え、
前記加熱部が前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱するとき、前記開閉弁が閉鎖され、
前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水、又は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を熱源として利用する排熱回収システム。
【請求項8】
前記凝縮水貯留部は、貯留された前記凝縮水を前記排熱回収ボイラに給水として供給する請求項1から7のいずれか1項に記載の排熱回収システム。
【請求項9】
前記凝縮水貯留部は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を前記蒸気タービンに供給する請求項1から8のいずれか1項に記載の排熱回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱を利用して蒸気を生成する排熱回収ボイラが設けられた排熱回収システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラント等において発生した排熱を利用する技術として、排熱回収ボイラを用いた蒸気タービン発電や、熱カスケード利用などがある。これらの技術では、一般に、排熱の排出状況と、電気需要又は熱需要が合致しない場合において、排熱エネルギーが需要に対して余剰であるとき、排熱が有効利用されず、無駄に捨てられてしまう。
【0003】
下記の特許文献1では、ガスタービンの保温方法に関する技術であって、ガスタービンが停止している期間中、燃焼器及びガスタービン回転機器に高温気体を流通させ、停止中の温度降下を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−1723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
変動する需要と供給を合致させるため、排熱エネルギーを蓄えることが可能な蓄熱機器をプラントに設置することが考えられる。例えば、500℃程度以上の高温に対応できる蓄熱媒体として、溶融塩などの検討がなされているが、実用段階には至っていない。
【0006】
一方、エネルギー貯蔵媒体として飽和蒸気を用い、スチームアキュムレータ(飽和蒸気気蓄器)に飽和蒸気を貯蔵する場合がある。この場合、スチームアキュムレータに貯蔵された飽和蒸気によって、ランキンサイクルによる蒸気タービン発電が行われる。しかし、スチームアキュムレータでの放熱による温度低下によって貯蔵エネルギー密度が低下するという問題や、蒸気タービンを通過して生成される凝縮水が有するエネルギーを活用せずに無駄に捨てているという問題があり、排熱利用率の向上を図ることができていない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、蒸気を貯留できるスチームアキュムレータが設けられた構成において、排熱エネルギーを更に有効に利用することが可能な排熱回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の排熱回収システムは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明
の第1態様に係る排熱回収システムは、排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を貯留し、貯留された前記蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気貯留部と、
前記蒸気貯留部の内部に設置され、前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱する加熱部と、前記蒸気貯留部で生成された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部とを備え、前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水、又は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を熱源として利用する。
【0009】
この構成によれば、蒸気貯留部において蒸気が貯留され、必要に応じて貯留された蒸気を蒸気タービンに供給できることから、排熱エネルギーの供給を需要に合致させることができる。また、蒸気貯留部で生成された凝縮水が、凝縮水貯留部において貯留され、凝縮水貯留部で貯留された凝縮水、又は、凝縮水貯留部内の蒸気が熱源として利用される。したがって、蒸気貯留部で生成された凝縮水が有するエネルギーが、無駄に捨てられることなく、有効に利用される。
また、この構成によれば、蒸気貯留部内の蒸気が加熱されるため、貯留された蒸気が必要に応じて蒸気タービンに供給されたとき、蒸気タービンの出力を上げることができる。加熱部は、燃料の燃焼エネルギー、又は、排熱源の熱エネルギーによって、蒸気を加熱する。
【0010】
上記
第1態様において、前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水を膨張させる膨張部と、前記膨張部で前記凝縮水が膨張して生成された蒸気が供給される気液分離部とを更に備え、前記気液分離部で分離された蒸気又は水を熱源として利用する。
本発明の第2態様に係る排熱回収システムは、排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を貯留し、貯留された前記蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気貯留部と、前記蒸気貯留部で生成された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水を膨張させる膨張部と、前記膨張部で前記凝縮水が膨張して生成された蒸気が供給される気液分離部とを備え、前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水、又は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を熱源として利用し、前記気液分離部で分離された蒸気又は水を熱源として利用する。
【0011】
この構成によれば、凝縮水貯留部で貯留された凝縮水が、膨張部で膨張して、蒸気が生成される。気液分離部で分離された蒸気又は水は、熱源として利用される。したがって、蒸気貯留部で生成された凝縮水が有するエネルギーが、無駄に捨てられることなく、有効に利用される。気液分離部で分離された水は、排熱回収ボイラに給水として供給されてもよい。
【0012】
上記
第1及び第2態様において、前記膨張部は、膨張タービンであり、前記膨張タービンの回転軸が発電機の回転軸と接続される。
【0013】
この構成によれば、冷媒が膨張タービンを通過することによって、膨張タービンの回転軸が回転し、その回転力によって発電機が発電する。
【0014】
上記
第2態様において、前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱する加熱部を更に備える。
【0015】
この構成によれば、蒸気貯留部内の蒸気が加熱されるため、貯留された蒸気が必要に応じて蒸気タービンに供給されたとき、蒸気タービンの出力を上げることができる。加熱部は、燃料の燃焼エネルギー、又は、排熱源の熱エネルギーによって、蒸気を加熱する。
【0016】
上記
第1及び第2態様において、前記蒸気貯留部と前記凝縮水貯留部を結ぶ配管に設けられる開閉弁を更に備え、前記加熱部が前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱するとき、前記開閉弁が閉鎖される。
本発明の第3態様に係る排熱回収システムは、排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を貯留し、貯留された前記蒸気を前記蒸気タービンに供給する蒸気貯留部と、前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱する加熱部と、前記蒸気貯留部で生成された凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、前記蒸気貯留部と前記凝縮水貯留部を結ぶ配管に設けられる開閉弁とを備え、前記加熱部が前記蒸気貯留部内の蒸気を加熱するとき、前記開閉弁が閉鎖され、前記凝縮水貯留部で貯留された前記凝縮水、又は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を熱源として利用する。
【0017】
この構成によれば、蒸気貯留部内の蒸気が加熱されているとき、開閉弁が閉鎖されることから、蒸気貯留部と凝縮水貯留部を結ぶ配管を通じて、加熱された蒸気が漏れることがない。その結果、高エネルギーの蒸気を効率良く生成できる。
【0018】
上記
第1から第3態様において、前記凝縮水貯留部は、貯留された前記凝縮水を前記排熱回収ボイラに給水として供給する。
【0019】
この構成によれば、凝縮水貯留部で貯留された凝縮水が、排熱回収ボイラに給水として供給される。凝縮水の温度は、蒸気タービンに設けられる復水器からポンプに供給される復水の温度よりも高い。したがって、凝縮水を給水として使用しない場合に比べ、ポンプが排熱回収ボイラに給水を供給するときの供給圧を減らすことができ、ポンプ動力を低減できる。
【0020】
上記
第1から第3態様において、前記凝縮水貯留部は、前記凝縮水貯留部内の蒸気を前記蒸気タービンに供給する。
【0021】
この構成によれば、凝縮水貯留部内の蒸気が、蒸気タービンに供給されることから、蒸気タービンの出力を上げることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、蒸気を貯留できるスチームアキュムレータが設けられた構成において、排熱エネルギーを更に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る排熱回収システムを示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る排熱回収システムのドレントラップ及び気液分離器を示す構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態の変形例に係るスチームアキュムレータ及び加熱器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態に係る排熱回収システム1は、
図1に示すように、排熱回収ボイラ2と、蒸気タービン3と、復水器4と、ポンプ5と、スチームアキュムレータ6と、ドレントラップ7などを備える。
【0025】
排熱回収ボイラ2は、例えば、ガスタービンやプラントの加熱装置から排出される高温の排ガスを熱源として、蒸気を生成する。排ガス温度は、例えば600℃から900℃である。
図1では、煙道20から排ガスが排熱回収ボイラ2に導かれ、かつ、排熱回収ボイラ2から煙道20へ排出される例を示している。排熱回収ボイラ2には、ポンプ5やドレントラップ7から水が供給される。排熱回収ボイラ2で生成された蒸気は、蒸気タービン3及びスチームアキュムレータ6に供給される。
【0026】
蒸気タービン3は、排熱回収ボイラ2で生成され、排熱回収ボイラ2から供給される蒸気によって駆動される。また、需要側の必要に応じて、スチームアキュムレータ6から蒸気タービン3に蒸気が供給され、蒸気タービン3は、スチームアキュムレータ6から供給される蒸気と合わせて駆動される。
蒸気タービン3の回転軸には、発電機8の回転軸が接続され、発電機8は、蒸気タービン3の回転力によって発電する。
【0027】
蒸気タービン3の下部には、復水器4が設けられる。復水器4では、蒸気タービン3を通過した蒸気が凝縮し、水が生成され、生成された水は復水として回収される。復水器4で生成された復水は、ポンプ5へ送られる。
ポンプ5は、復水器4で生成された復水を加圧し、排熱回収ボイラ2に供給する。
【0028】
スチームアキュムレータ6は、排熱回収ボイラ2で生成された蒸気が供給される。例えば、供給側の排熱エネルギーが需要側で必要とされるエネルギーを上回っているとき、すなわち、余剰の蒸気が存在するとき、弁12が開、弁13が閉となり、排熱回収ボイラ2からスチームアキュムレータ6に蒸気が供給される。また、スチームアキュムレータ6は、貯留された蒸気を蒸気タービン3に供給する。例えば、需要側で必要とされるエネルギーが供給側の排熱エネルギーを上回っているとき、すなわち、排熱回収ボイラ2で生成される蒸気が不足するとき、弁12が閉、弁13が開となり、スチームアキュムレータ6から蒸気タービン3に蒸気が供給される。
これにより、排熱を有効に利用しつつ、かつ、需要に応じた発電が可能となる。
【0029】
ドレントラップ7は、スチームアキュムレータ6の下部に設置され、スチームアキュムレータ6で生成された凝縮水(ドレン水)を回収し、貯留する。ドレントラップ7で貯留された凝縮水、又は、ドレントラップ7内の蒸気は熱源として利用される。したがって、スチームアキュムレータ6で生成された凝縮水が有するエネルギーが、無駄に捨てられることなく、有効に利用される。
【0030】
たとえば、ドレントラップ7で貯留された凝縮水は、排熱回収ボイラ2に給水として供給される。凝縮水の温度は、蒸気タービン3に設けられる復水器4からポンプ5に供給される復水の温度よりも高い。したがって、凝縮水を給水として使用しない場合に比べ、ポンプ5が排熱回収ボイラ2に給水を供給するときの供給圧を減らすことができ、ポンプ5動力を低減できる。
なお、ドレントラップ7で貯留された凝縮水は、排熱回収ボイラ2の給水に用いられる場合に限られず、他の用途(プラントの熱源など)に利用されてもよい。
【0031】
また、ドレントラップ7内の蒸気が、蒸気タービン3に供給されてもよい。これにより、排熱エネルギーが有効に利用され、かつ、蒸気タービン3の出力を上げることができる。なお、ドレントラップ7内の蒸気は、蒸気タービン3に用いられる場合に限られず、他の用途(プラントの熱源など)に利用されてもよい。
【0032】
ドレントラップ7の下部には、
図2に示すように、気液分離器9と接続される配管が設けられ、この配管には、膨張弁10が設置されてもよい。
膨張弁10は、ドレントラップ7で貯留された凝縮水を膨張させる。そして、気液分離器9には、膨張弁10で膨張して生成された蒸気が供給される。気液分離器9は、膨張弁10から供給された蒸気及び水を、蒸気と水に分離する。
【0033】
これにより、ドレントラップ7で貯留された凝縮水が、膨張弁10で膨張して、蒸気が生成される。気液分離器9で分離された蒸気又は水は、熱源として利用される。例えば、気液分離器9で分離された水は、排熱回収ボイラ2に給水として供給される。また、気液分離器9で分離された蒸気は、プラントの熱源などに利用される。したがって、スチームアキュムレータ6で生成された凝縮水が有するエネルギーが、更に有効に利用される。
【0034】
スチームアキュムレータ6には、加熱部11が設けられる。加熱部11は、スチームアキュムレータ6内の蒸気を加熱する。これにより、スチームアキュムレータ6で貯留された蒸気が、需要側の必要に応じて、蒸気タービン3に供給されたとき、加熱部11による蒸気の加熱がない場合に比べて、蒸気タービン3の出力を上げることができる。加熱部11は、燃料の燃焼エネルギー、又は、排熱源の熱エネルギーによって、蒸気を加熱する。加熱部11は、
図3に示すように、例えば燃料を燃焼するバーナを有する燃焼器14を有し、蒸気が燃焼ガスと熱交換することで加熱される。燃焼器14から排出される排ガスは、排熱回収ボイラ2へ供給されてもよい。又は、
図1に示すように、加熱部11は、ガスタービンやプラントの加熱装置から排出される高温の排ガスを熱源とし、蒸気が排ガスと熱交換することで加熱される。
【0035】
また、スチームアキュムレータ6とドレントラップ7を結ぶ配管には、
図1に示すように、開閉弁15が設けられてもよい。加熱部11がスチームアキュムレータ6内の蒸気を加熱するとき、開閉弁15は閉鎖される。加熱時以外では、開閉弁15は開放される。
【0036】
これにより、スチームアキュムレータ6内の蒸気が加熱されているとき、開閉弁15が閉鎖されることから、スチームアキュムレータ6とドレントラップ7を結ぶ配管を通じて、加熱された蒸気が漏れることがない。その結果、スチームアキュムレータ6内で、高エネルギーの蒸気を効率良く生成できる。
【0037】
以上、本実施形態に係る排熱回収システム1によれば、供給側の排熱エネルギーが需要側で必要とされるエネルギーを上回っているとき、すなわち、余剰の蒸気が存在するとき、排熱回収ボイラ2からスチームアキュムレータ6に蒸気が供給される。反対に、需要側で必要とされるエネルギーが供給側の排熱エネルギーを上回っているとき、すなわち、排熱回収ボイラ2で生成される蒸気が不足するとき、スチームアキュムレータ6から蒸気タービン3に蒸気が供給される。これにより、排熱を有効に利用しつつ、かつ、需要に応じた発電が可能となる。
【0038】
また、スチームアキュムレータ6で生成されてドレントラップ7で貯留された凝縮水、又は、ドレントラップ7内の蒸気は、熱源として利用されるため、スチームアキュムレータ6で生成された凝縮水が有するエネルギーが、無駄に捨てられることなく、有効に利用される。
【0039】
さらに、ドレントラップ7の後流側には、気液分離器9が設けられ、気液分離器9で分離された蒸気又は水が、熱源として利用されてもよい。スチームアキュムレータ6で生成された凝縮水が有するエネルギーが、更に有効に利用される。
【0040】
なお、上記実施形態では、ドレントラップ7で貯留された凝縮水を膨張させるため、膨張弁10が用いられる場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、膨張弁10の代わりに膨張タービンが設置されてもよい。膨張タービンは、回転軸を介して、発電機の回転軸と接続される。膨張タービンは、凝縮水が通過することによってブレード及び回転軸が回転し、発電機は、膨張タービンの回転力によって発電する。
【符号の説明】
【0041】
1 排熱回収システム
2 排熱回収ボイラ
3 蒸気タービン
4 復水器
5 ポンプ
6 スチームアキュムレータ
7 ドレントラップ
8 発電機
9 気液分離器
10 膨張弁
11 加熱部
12,13 弁
14 燃焼器
15 開閉弁
20 煙道