(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択部は、前記複数の表示部の中から、前記位置推定部により推定された前記ユーザの移動方向を示すベクトルが、前記表示部を起点とした前記所定の角度範囲内のいずれかのベクトルと反対ベクトルとなる表示部を選択する、
請求項3記載の案内表示システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の案内表示システム、および案内表示制御装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、案内表示システム1を中心とした構成図である。案内表示システム1は、例えば、複数の表示装置10−1から10−nと、複数の通信装置20−1から20−mと、制御装置30とを備える。「n」と「m」は、それぞれ任意の自然数である。制御装置30は、駅構内に限らず、任意の場所に設置される。
【0009】
複数の表示装置10−1から10−n、及び複数の通信装置20−1から20−mは、ネットワークNW1を介して制御装置30と通信する。ネットワークNW1は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等を含む。以下、いずれの表示装置か区別しないときは、ハイフン以下を省略して単に表示装置10と表記する。また、いずれの複数の通信装置か区別しないときは、ハイフン以下を省略して単に通信装置20と表記する。なお、図中のAからFおよび1から7は、表示装置10や通信装置20、施設等の位置情報を特定するために用いられる仮想的なエリア分けのための座標である。
【0010】
表示装置10は、例えば通信部と、表示部とを有する。表示部は、例えばプラズマディスプレイや複数のLEDのセグメントを有するデジタル表示装置、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)表示装置等である。表示装置10は、制御装置30から送信された信号に基づいて、映像や情報等を表示するデジタルサイネージ(Digital Signage)である。
【0011】
表示装置10は、例えば駅構内の柱の側面に、複数配置される。
図2は、表示装置10の配置の一例を示す図である。例えば4つの側面を有する四角形の柱の場合、表示装置10N、10E、10S、および10Wは、4つの側面に配置される。配置された表示装置10の表示面が対面する向きである表示面の向き(法線方向)は、それぞれ異なる方向となる。図示する例では、表示装置10の表示面の向きは、北向き、東向き、南向き、西向きの4方向である。
【0012】
通信装置20は、駅構内に複数配置される。通信装置20は、ネットワークNW1を介して制御装置30と通信する他、例えばbluetooth(登録商標)や、無線LAN等の各種の無線通信方式を利用して、ユーザ端末(後述)と通信する。通信装置20は、例えば所定周期で、通信可能なユーザ端末を検索し、応答が得られたユーザ端末と通信を行う。
【0013】
図3は、制御装置30を中心とした機能構成図である。制御装置30は、例えば、ユーザ情報処理部32と、乗換情報記憶部34と、ユーザ情報記憶部36と、ユーザ位置情報記憶部38と、装置情報記憶部40と、施設情報記憶部42と、制御部50と、制御側通信部60とを備える。これらの機能部のうち、ユーザ情報処理部32および制御部50の各機能部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することで実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現されてもよい。
【0014】
乗換情報記憶部34には、乗換情報テーブル35が記憶される。ユーザ情報記憶部36には、ユーザ行先情報テーブル37が記憶される。ユーザ位置情報記憶部38には、ユーザ位置情報テーブル39が記憶される。装置情報記憶部40には、装置位置情報テーブル41が記憶される。施設情報記憶部42には、施設情報テーブル43(出口情報テーブル43Aおよび乗換位置情報テーブル43B)が記憶される。
【0015】
乗換情報記憶部34、ユーザ情報記憶部36、ユーザ位置情報記憶部38、装置情報記憶部40、および施設情報記憶部42は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置により実現される。
【0016】
制御側通信部60は、表示装置10および通信装置20とネットワークNW1を介して通信するための通信インターフェースである。
【0017】
ユーザ情報処理部32は、ユーザ端末70−1から70−pを用いて入力された情報を、ネットワークNW2を介して取得する。以下、いずれのユーザ端末か区別しないときは、ハイフン以下を省略して単にユーザ端末70と表記する。ネットワークNW2は、例えば、例えば、LANやWANの他、公衆回線、インターネット等を含む。
【0018】
ユーザ端末70は、ユーザが情報を入力するための端末であって、例えば、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン等である。ユーザ端末70は、ユーザによる行先情報の入力を受け付ける。行先情報とは、ユーザの鉄道利用における行先を含む情報である。ユーザ情報処理部32は、行先情報の入力を受け付けたユーザ端末70から行先情報を取得する。ユーザ情報処理部32は、乗換情報記憶部34に記憶された情報を参照して、ユーザ端末70から取得した行先情報を処理し、ユーザ端末70から取得した情報および処理結果を示す情報をユーザ情報記憶部36に記憶させる。
【0019】
なお、ユーザ端末70として、携帯可能な端末装置を列挙したが、ユーザによる行先の入力に関しては、据え置き型のデスクトップパソコン等が用いられてもよい。
【0020】
図4は、ユーザが行先情報を入力するインターフェース画像IMの一例を示す図である。インターフェース画像IMは、ユーザ名、ユーザ端末識別情報、出発駅、経由駅、行先駅、および行先駅で利用する予定の出口を入力する入力欄を有する。ユーザ名とは、ユーザの登録名であり、ユーザ自身が自分の登録名であることを認識可能な情報である。ユーザ名を、ユーザ自身以外の者からは認識可能でない情報(例えば、ユーザ自身が選択したニックネーム等)にすると、個人情報保護の観点から好適である。ユーザ端末識別情報は、ユーザ端末70を識別可能な情報であり、通信識別情報等が用いられる。例えば、ユーザ端末70が有する通信部の無線通信の方式がbluetoothである場合、ユーザ端末識別情報は、bluetooth固有の識別情報である。また、インターフェース画像IMは、経由駅を出発駅および行先駅に基づいて制御装置30に自動算出させるか否かを決定するためのチェックボックスCBを有する。以下、インターフェース画像IMの入力欄に入力される情報をユーザ情報という。
【0021】
ユーザ端末70に、音声を認識するアプリケーションプログラムがインストールされている場合、ユーザ端末70は、ユーザの音声によって行先情報の入力を受け付けてもよい。この場合、取得された行先情報は、ユーザ端末70のアプリケーションプログラムの処理によって、自動でインターフェース画像IMの入力欄に入力されてもよい。
【0022】
図5は、ユーザ情報処理部32により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、ユーザ情報処理部32が、ユーザ端末70からユーザ情報を取得する(ステップS100)。
【0023】
次に、ユーザ情報処理部32は、チェックボックスCBにチェックがなされていたか否かを判定する(ステップS102)。チェックボックスCBにチェックがなされていた場合、ユーザ情報処理部32は、乗換情報記憶部34に記憶された乗換情報テーブル35を参照し、ユーザの出発駅から行先駅までの経路を抽出する(ステップS104)。
図6は、乗換情報テーブル35の一例を示す図である。乗換情報テーブル35は、例えば、出発駅、行先駅、乗換駅、列車を乗り換えるホーム、および利用する路線が、互いに対応付けられた情報である。ユーザ情報処理部32は、乗換情報記憶部34に記憶された乗換情報テーブル35を参照し、ユーザ情報に対する出発駅から行先駅までの経路を抽出する。なお、ユーザ情報処理部32は、出発駅から行先駅までの経路を複数抽出した場合、ユーザ端末70に抽出結果を送信して、ユーザ端末70の表示部に抽出結果を提示させ、ユーザに経路を選択させてもよい。一方、チェックボックスCBにチェックがなされていなかった場合、ユーザ情報処理部32は、ステップS104をスキップする。
【0024】
次に、ユーザ情報処理部32は、ステップS100で取得したユーザ情報、およびステップS102で抽出した経路である経路情報を結合させて、ユーザ行先情報テーブル37としてユーザ情報記憶部36に記憶させる(ステップS106)。これによって本フローチャートの処理が終了する。
図7は、ユーザ行先情報テーブル37の一例を示す図である。ユーザ行先情報テーブル37は、ユーザ情報および経路情報を含む情報である。ユーザ行先情報テーブル37は、例えば、ユーザ名、ユーザ端末識別情報、出発駅、行先駅、行先駅で利用する予定の出口、乗換駅、乗換駅で利用するホーム、および利用する路線が、互いに対応付けられた情報である。
【0025】
以上説明した処理により、ユーザ情報処理部32は、ユーザ端末70から入力されたユーザ情報、および乗換情報テーブル35に記憶された情報に基づいて、ユーザ行先情報テーブル37を生成する。
【0026】
以下、制御部50の各機能部について説明する。制御部50は、例えば、位置推定部52と、選択部54と、表示制御部56とを備える。位置推定部52は、複数の通信装置20の位置情報を参照し、複数の通信装置20のうちユーザ端末70が通信した通信装置20の位置およびその通信装置20の通信履歴に基づいて、ユーザの位置および移動方向を、ユーザ毎に推定する。
【0027】
図8は、位置推定部52により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定周期で繰り返し実行される。まず、位置推定部52が、現在の位置情報を前回の位置情報として、ユーザ位置情報テーブル39に記憶させる(ステップS200)。
図9は、ユーザ位置情報テーブル39の一例を示す図である。ユーザの位置を示すユーザ位置情報テーブル39は、例えば、ユーザ端末識別情報、ユーザ名、現在の位置情報、および前回の位置情報が、互いに対応付けられた情報である。「位置情報」とは、例えばX座標(
図1におけるA,B,C,・・・)およびY座標(
図1における1,2,3,・・・)で表される座標である。位置推定部52は、例えばユーザ位置情報テーブル39の前回の位置情報を削除し、現在の位置情報を前回の位置情報として記憶させる。
【0028】
次に、位置推定部52は、全ての通信装置20の通信結果を取得し、通信装置20から取得した通信結果に基づいてユーザ端末70を検索する(ステップS202)。位置推定部52は、以下の処理を、ステップS202で検索された全てのユーザ端末70に対して実行する(ループ1)。
【0029】
まず、位置推定部52は、ステップS202の検索により検出されたユーザ端末70のうち1つのユーザ端末70を選択し、選択したユーザ端末70が、ユーザ行先情報テーブル37に登録されたユーザ端末70であるか否かを判定する(ステップS204)。位置推定部52は、ユーザ端末70の通信相手である通信装置20の通信履歴を参照し、ユーザ端末70のユーザ端末識別情報を取得する。そして位置推定部52は、通信装置20から取得したユーザ端末識別情報が、ユーザ行先情報テーブル37に登録されたユーザ端末識別情報であるか否かを判定することで、選択したユーザ端末70が、ユーザ行先情報テーブル37に登録されたユーザ端末70であるか否かを判定する。
【0030】
ユーザ端末70が、ユーザ行先情報テーブル37に登録されたユーザ端末70でない場合、位置推定部52は、ステップS206の現在の位置を推定する処理をスキップする。ユーザ端末70が、ユーザ行先情報テーブル37に登録されたユーザ端末70である場合、位置推定部52は、ユーザ端末70の現在の位置を推定し、推定結果をユーザ位置情報テーブル39の現在の位置情報として記憶させる(ステップS206)。
【0031】
ここで、通信装置20の通信履歴を参照してユーザの位置を推定する手法について説明する。対象領域における各通信装置20の位置情報は、通信装置位置情報テーブル41Aに記憶されている。
図10は、通信装置位置情報テーブル41Aの一例を示す図である。通信装置位置情報テーブル41Aは、通信装置20の識別情報(例えば通信装置20におけるbluetooth固有の識別情報)と、通信装置20の対象領域における仮想的な座標(X座標およびY座標)とが、互いに対応付けられた情報である。
【0032】
位置推定部52は、直近にユーザ端末70と通信した通信装置20の位置情報に基づいて、ユーザの位置を推定する。
図11は、対象領域に配置された通信装置20−1から20−8の一例を示す図である。通信装置20−1から20−8は、例えば各通信装置20を中心としてそれぞれ円状の通信範囲(図中、C1からC8で境界線を示す)を有する。
【0033】
位置推定部52は、装置情報記憶部40に記憶された通信装置20の通信装置位置情報テーブル41Aを参照し、通信装置20と通信したユーザの位置を推定する。例えば1つの通信装置20が、現在または直近の時刻において(以下同様)ユーザ端末70と通信した場合、位置推定部20は、ユーザ端末70と通信した通信装置20の配置された位置に、ユーザが位置していると推定する。また、例えば2つの通信装置20がユーザ端末70と通信した場合、位置推定部20は、ユーザ端末70と通信した2つの通信装置20の通信範囲が重複する位置に、ユーザが位置していると推定する。また、3つ以上の通信装置20がユーザ端末70と通信した場合、位置推定部20は、ユーザ端末70と通信した3つ以上の通信装置20の通信範囲が重複する位置にユーザ端末70が位置していると推定する。
【0034】
例えば位置推定部52は、ユーザ端末70が直近に通信装置20−4のみと通信した場合、ユーザの位置は、通信装置20−4の位置である座標(X座標D,Y座標4)の位置であると推定する。また、位置推定部52は、ユーザ端末70が直近に通信装置20−3および通信装置20−4と通信した場合、ユーザの位置は、通信装置20−3の通信範囲と通信装置20−4の通信範囲の重複する位置である座標(X座標C,Y座標4)の位置であると推定する。このように位置推定部52は、ユーザ端末70が直近に通信した通信装置20の位置に基づいて、通信装置20と通信したユーザの位置を推定する。
【0035】
なお、制御装置30は、通信装置20の通信結果と、ユーザの位置とを対応付けた位置推定テーブルT1を保持し、これを検索することでユーザの位置を推定してもよい。
図12は、位置推定テーブルT1の一例を示す図である。位置推定テーブルT1は、ユーザ端末70と直近に通信した通信装置20の識別情報の組み合わせと、ユーザの推定位置情報とを対応付けた情報である。例えば位置推定部52は、位置推定テーブルT1を参照し、ユーザ端末70が直近に通信した通信装置20に対応する推定位置情報を抽出する。これによって、位置推定部52は、簡易にユーザの位置を推定することができる。
【0036】
通信装置20により検索された全てのユーザ端末70について、ユーザの位置を推定する処理が終了すると、位置推定部52は、ステップS206で推定した現在の位置情報を選択部54に出力する(ステップS208)。これにより本フローチャートの処理が終了する。
【0037】
また、位置推定部52は、例えばユーザ位置情報テーブル39を参照し、
図8のフローチャートが繰り返し実行される中で、前回のルーチンで推定されたユーザの位置から今回のルーチンで推定されたユーザの位置の方向に向かう移動ベクトルを仮想的に生成し、生成した移動ベクトルの方向に向かってユーザが移動していると推定する。
図13は、ユーザの移動方向を推定する処理について説明するための図である。図示するように、位置推定部52は、ユーザの前回の推定位置Upから今回の推定位置Uの方向に向かう移動ベクトルVを仮想的に生成し、生成した移動ベクトルVの方向にユーザUが移動していると推定する。
【0038】
選択部54は、複数の表示装置10の位置情報を参照し、位置推定部52により推定されたユーザの位置および移動方向に基づいて、複数の表示装置10の中から、ユーザの移動方向の先にある表示装置10を選択する。
【0039】
表示装置10の位置は、表示装置位置情報テーブル41Bとして装置情報記憶部40に記憶されている。
図14は、表示装置位置情報テーブル41Bの一例を示す図である。表示装置10の表示装置位置情報テーブル41Bは、表示装置10を識別するための表示装置10の識別情報、表示装置10の対象領域における仮想的な座標(X座標およびY座標)、および表示装置10の表示面の向きが、互いに対応付けられた情報である。選択部54は、表示装置位置情報テーブル41Bを参照し、位置推定部52により推定されたユーザの位置と、ユーザの移動方向とに基づいて、複数の表示装置10の中から、ユーザの移動方向の先にある表示装置10を選択する。
【0040】
ここで、選択部54が、表示装置10を選択する処理について説明する。選択部54は、例えば、位置推定部52により推定されたユーザの位置が、表示装置10の表示方向に対して所定角度(例えば180度)以内であり、位置推定部52により推定されたユーザの移動方向(移動ベクトル)が、表示装置10の表示方向に対して所定角度(例えば180度)以内のベクトルの反対向きであり、且つ、ユーザと表示装置10との距離が一定距離以内の表示装置10を選択する。なお、上記の条件のうち一部を省略してもよい。例えば、ユーザと表示装置10との距離が一定距離以内であるか否かを判定するのを省略してもよい。
【0041】
図15は、選択部54による選択処理について説明するための図である。例えば表示装置10Sの表示面DSが平面である場合、表示装置10の表示方向NDは、例えば表示面DSの法線方向と定義される。また、表示装置10の表示面が平面でない場合、表示装置10の表示方向NDは、例えば表示面の中心部における光軸方向と定義される。表示装置10の表示方向に対する所定角度は、例えば表示方向NDに対してプラスマイナス90度の範囲(180度の範囲)に設定される。
【0042】
選択部54は、位置推定部52により推定されたユーザの位置が、表示装置10Sの表示面DSを中心とした180度の角度範囲ARに収まっているか否かを判定する。例えば、選択部54は、位置推定部52により推定されたユーザUの位置が、図示する位置である場合、ユーザUは180度の角度範囲ARに収まっていると判定する。
【0043】
更に、選択部54は、ユーザUの移動方向を示すベクトルVが、表示装置10Sを起点とした所定の角度範囲AR内のいずれかのベクトルと反対ベクトルであるか否かを判定する。図示する例では、ユーザUの移動方向を示すベクトルVは、表示装置10Sの表示方向に対する所定角度の範囲内のベクトルVоに対して反対ベクトルである。これらの関係を満たす場合、表示装置10Sは、「ユーザの移動方向の先にある」と判定される。
【0044】
表示制御部56は、ユーザの位置およびユーザ情報処理部32により取得された行先情報に基づいて、ユーザの行先の方向を示す情報を選択部54により選択された表示装置10に表示させる。
【0045】
図16は、制御装置30により実行される案内表示の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートにおけるステップS300からS316の処理は、ユーザの現在の位置情報が記憶されているユーザ位置情報テーブル39の各レコードを順次選択しながら実行される(ループ2)。レコードとは、ユーザ位置情報テーブル39に含まれる、各ユーザ端末識別情報に対応付けられた情報である。
【0046】
まず、位置推定部52が、ユーザ位置情報テーブル39に記憶された現在の位置情報と前回の位置情報とに基づいて、ユーザの移動方向を推定する(ステップS300)。次に、表示制御部56が、当駅(表示装置10および通信装置20が設置された駅)が、ユーザ行先情報テーブル37に登録されている行先駅であるか否かを判定する(ステップS302)。当駅がユーザ行先情報テーブル37に登録されている行先駅でない場合、表示制御部56は、ステップS310に処理を進める。
【0047】
当駅がユーザ行先情報テーブル37に登録されている駅である場合、表示制御部56は、施設情報記憶部42に記憶されている施設情報(例えば駅の出口の位置情報)、ユーザの現在の位置情報、およびユーザ行先情報テーブル37に記憶されている出場駅の出口の情報に基づいて、ユーザの現在の位置から出口までの距離と、ユーザの現在の位置から出口の方向とを算出し、ユーザの現在の位置から出口までの距離および出口の方向を示す情報を、表示装置10に表示させる情報として生成する(ステップS304)。
【0048】
例えば駅構内には、駅構内から駅構外に出るための複数の出口が配置されている。駅構内に配置されている表示装置10や通信装置20、出口等の位置は、表示装置10、通信装置20、およびユーザの位置を表すのと同様の座標により特定される。施設情報である駅の出口の位置情報は、施設情報記憶部42の出口情報テーブル43Aに記憶されている。
図17は、出口情報テーブル43Aの一例を示す図である。出口情報テーブル43Aは、出口を特定するための出口識別情報に対して、出口の位置情報であるX座標およびY座標が対応付けられた情報である。表示制御部56は、ユーザ行先情報テーブル37に記憶されている出場駅の出口の情報、出口情報テーブル43Aの座標、およびユーザ位置情報テーブル39のユーザの現在の位置に基づいて、ユーザの現在の位置から出口までの距離、現在の位置から出口に向かう方向を算出する。
【0049】
次に、選択部54が、表示装置10の表示装置位置情報テーブル41Bを参照し、ユーザの現在の位置情報と、ステップS300で推定したユーザの移動方向とに基づいて、複数の表示装置10の中から、ユーザの移動方向の先にあり、ユーザとの距離が一定距離以内にある表示装置10を選択する(ステップS306)。次に、表示制御部56が、ステップS306で選択された表示装置10に、ステップS304で生成した情報を表示させる(ステップS308)。
【0050】
次に、表示制御部56が、当駅がユーザ行先情報テーブル37に登録されている乗換駅であるか否かを判定する(ステップS310)。当駅がユーザ行先情報テーブル37に登録されている乗換駅でない場合、表示制御部56は、処理対象の次のレコードに対して処理を実行する。処理対象の次のレコードが存在しない場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0051】
当駅がユーザ行先情報テーブル37に登録されている乗換駅である場合、表示制御部56は、施設情報記憶部42に記憶されている施設情報である乗換ホーム位置情報、現在の位置情報、およびユーザ行先情報テーブル37に記憶されている乗換情報に基づいて、ユーザの現在の位置から乗換える列車が到着する乗換ホームまでの距離と、ユーザの現在の位置から乗換ホームの方向とを算出し、ユーザの現在の位置から乗換ホームまでの距離および乗換ホームの方向を示す情報を表示装置10に表示させる情報として生成する(ステップS312)。乗換ホーム位置情報は、施設情報記憶部42の乗換ホーム位置情報テーブル43Bに記憶されている。
図18は、乗換ホーム位置情報テーブル43Bの一例を示す図である。乗換ホーム位置情報テーブル43Bは、ホームの識別情報に対して、ホームのX座標およびY座標が対応付けられた情報である。なお、X座標およびY座標は、ホームの位置に代えて、ホームに通ずる階段やエスカレータ等の位置に対応していてもよい。
【0052】
次に、選択部54が、ユーザの現在の位置情報と、ステップS300で推定したユーザの移動方向とに基づいて、複数の表示装置10の中から、ユーザの移動方向の先にあり、ユーザとの距離が一定距離以内にある表示装置10を選択する(ステップS314)。次に、表示制御部56が、ステップS314で選択された表示装置10に、ステップS312で生成した情報を表示させる(ステップS316)。これにより本フローチャートの処理は終了する。
【0053】
以下、表示装置10により表示される画像の一例について説明する。
図19は、表示画像IM1の一例を示す図である。表示制御部56は、例えば複数のユーザに対して、ユーザの現在の位置から出口までの距離と方向とを示す場合、表示装置10の表示画面にそれぞれのユーザに対応した画像を表示させる。表示制御部56は、二人のユーザに対応する画像を表示装置10に表示させる場合、例えば表示画面を2分割し、二人のユーザに対応する画像を表示装置10に表示させる。表示装置10に表示させる案内表示の画像には、例えばユーザの現在の位置、ユーザの移動方向V、目的の出口(目的の乗換ホーム)、およびユーザ名が表示される。
【0054】
上述した処理の結果、利用者は、表示装置10に表示された情報を参照し、乗換駅の乗換ホームや行先駅の出口の方向を認識することができる。例えばユーザが、ある乗換駅を経由して行先駅の目的とする出口に向かう場合について説明する。
図20は、乗換駅における処理の内容を説明するための図である。例えば、当駅がユーザ行先情報テーブル37に記憶されている乗換駅である場合、制御装置30が、通信装置20の通信結果に基づいてユーザの位置(図中、C,14)を推定する。制御装置30は、複数の表示装置10の中から、推定したユーザの位置に基づいてユーザの移動方向の先にあり、ユーザとの距離が一定距離以内にある表示装置10−14(10−14Wおよび10−14S)を選択し、選択した表示装置10に乗換ホーム(例えば1番ホーム)を示す情報を表示させる。これによりユーザは、表示装置10−14に表示された情報を参照して、目的の乗換ホームに向かうことができる。
【0055】
図21は、行先駅における処理の内容を説明するための図である。例えば、当駅がユーザ行先情報テーブル37に記憶されている行先駅である場合、制御装置30が、通信装置20の通信結果に基づいてユーザの位置(図中、C,4)を推定する。制御装置30は、複数の表示装置10の中から、推定したユーザの位置に基づいてユーザの移動方向の先にあり、ユーザとの距離が一定距離以内にある表示装置10−3(10−3Eおよび10−3S)を選択し、選択した表示装置10に行先駅の出口を示す情報を表示させる。これによりユーザは、表示装置10−3に表示された情報を参照して、目的の行先駅の出口(例えば2番出口)に向かうことができる。
【0056】
また、多くのユーザが駅構内に存在する場合であっても、案内表示システム1は、複数の表示装置10の中から、ユーザ毎に、ユーザの移動方向の先にあり、ユーザとの距離が一定距離以内にある表示装置10を選択して、行先案内表示を表示させることができる。すなわち、制御装置30の位置推定部52は、複数の通信装置20が通信する複数のユーザ端末70を携帯する複数のユーザについて、それぞれ位置および移動方向を推定し、選択部54は、ユーザ毎に、位置推定部52により推定されたユーザの位置および移動方向に基づいて、複数の表示装置10の中からユーザの移動方向の先にある表示装置10を選択し、表示制御部56は、ユーザ毎に、位置推定部52により推定されたユーザの位置およびユーザ情報記憶部36に記憶されたユーザ行先情報テーブル37に基づいて、行先の方向を示す情報を、選択部54により選択された表示装置10に表示させる。これによって、案内表示システム1は、複数のユーザに対して、各ユーザの移動方向の先にある表示装置10を選択し、同時並行して行先の方向を示す情報を表示することができる。また、案内表示システム1は、駅構内が混雑している場合であっても、1つの表示装置10に多数のユーザの行先駅の出口や乗換ホーム等を示す情報が表示されることを抑制することができる。この結果、案内表示システム1は、複数の利用者に対して利便性の高い行先案内表示を行うことができる。
【0057】
なお、本実施形態では乗換駅と出場駅において制御装置30が、選択した表示装置10に案内表示を表示させる例について説明したが、制御装置30は、ユーザが出発する駅において、選択した表示装置10に乗換駅または行先駅に向かう列車が到着するホーム等を示す情報を表示させてもよい。
【0058】
以上説明した第1の実施形態によれば、選択部54が、複数の表示装置10の位置情報を参照し、位置推定部52により推定されたユーザの位置および移動方向に基づいて、複数の表示装置10の中から、ユーザの移動方向の先にある表示装置10を選択する。表示制御部56は、位置推定部52により推定されたユーザの位置およびユーザ情報記憶部36に記憶された行先情報に基づいて、ユーザ情報記憶部36に記憶された行先情報に含まれる行先の方向を示す情報である案内表示を、選択部54により選択された表示装置10に表示させる。これによって、案内表示システム1は、利用者に対し、利便性の高い行先案内表示を行うことができる。
【0059】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、表示制御部56は、専ら表示装置10に、ユーザ情報記憶部36に記憶された行先情報に対する案内表示させるものとした。これに対し、第2の実施形態では、表示制御部56Aは、案内表示以外の表示を表示装置10に表示させる。
【0060】
図22は、制御装置30Aの機能構成図である。案内表示システム1Aの制御装置30Aは、第1の実施形態の制御装置30が備える機能構成に加えて、更にコンテンツ情報記憶部46を備える。また、制御装置30Aは、第1の実施形態の制御装置30が備える表示制御部56に代えて、表示制御部56Aを備える。
【0061】
コンテンツ情報記憶部46には、表示装置10に表示させる画像や動画等が予め記憶されている。表示装置10に表示させる画像や動画等は、例えば広告や、ニュース、テレビジョン放送の動画、表示装置10が設置されている施設に関する情報、施設周辺の情報等であり、表示装置10を通行する人に対して提示するコンテンツ情報である。
【0062】
表示制御部56Aは、例えば、各表示装置10について、案内表示の対象となるユーザが存在しない場合、案内表示に代えてコンテンツ情報を表示させる。一方、案内表示の対象となるユーザが存在する表示装置10については、第1の実施形態で説明した案内表示を行わせる。この際に、コンテンツ情報と案内表示を同時に表示させてもよい。
【0063】
表示装置10は、例えば表示制御部56Aによる案内表示の指示が無い場合に、ユーザの行先の方向を示す情報以外の表示(例えばコンテンツ情報の表示)を行う。表示装置10は、例えば表示制御部56Aによる表示の指示があった場合に、案内表示、または案内表示とコンテンツ情報の表示を行う。この場合、表示制御部56Aは、ユーザと表示装置10との距離に応じて、表示画面に表示する情報を切り替えてもよい。
図23は、表示画面の画像が切り替わる場合の一例を示す図である。例えば表示制御部56Aは、広告ADの画像IM2−1を表示装置10に表示させている状態から、ユーザが近づいてきた場合、ユーザと表示装置10との距離が近づくにつれて、画像IM2−2、画像IM2−3、画像IM2−4の順に表示画面の画像を切り替えてもよい。表示制御部56Aは、例えば、ユーザが表示装置10に近づくほど、ユーザに対する案内表示を広告ADの画像に比して大きく表示させる。
【0064】
以上説明した第2の実施形態の案内表示システム1Aによれば、表示制御部56Aは、ユーザの位置に応じて、表示装置10に表示させる情報を変更にすることにより、表示装置10をより効率的に活用させることができる。
【0065】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、表示制御部56は、ユーザ端末70から入力された出口とユーザの現在の位置との距離等ついて表示装置10に案内表示を行うものとした。第3の実施形態では、表示制御部56Bは、ユーザ端末70から入力された訪問目的の施設(以下、目的施設)に接近しやすい出口を示す情報を表示装置10に表示させる。目的施設とは、駅の付近に存在する施設であって、ユーザが降車後に向かう施設である。
【0066】
図24は、制御装置30Bの機能構成図である。案内表示システム1Bの制御装置30Bは、乗換情報記憶部34に対応情報テーブル35Bを保持している。また、制御装置30Bは、第1の実施形態の制御装置30が備えるユーザ情報処理部32に代えて、ユーザ情報処理部32Bを備える。
【0067】
図25は、対応情報テーブル35Bの一例を示す図である。対応情報テーブル35Bは、駅の識別情報、駅の出口の識別情報、および目的施設の情報が互いに対応付けられた情報である。対応情報テーブル35Bでは、目的施設に対して、その目的施設に接近しやすい駅の出口が対応付けられている。接近しやすいとは、例えば目的施設と出口との距離が近いことや、目的施設と出口との移動時間が短いことを意味する。
【0068】
ユーザ情報処理部32Bは、行先情報および目的施設を示す施設指定情報の入力を受け付けたユーザ端末70から行先情報および施設指定情報を取得する。施設指定情報とは、目的施設を指定する情報である。
【0069】
図26は、ユーザが行先情報および施設指定情報を入力するインターフェース画像IM3の一例を示す図である。インターフェース画像IM3は、ユーザ名、ユーザ端末識別情報、出発駅、経由駅、行先駅、および目的施設(施設指定情報)を入力する入力欄を有する。また、経由駅を出発駅および行先駅に基づいて制御装置30Bに自動算出させるか否かを決定するためのチェックボックスCBを有する。また、ユーザ情報処理部32Bにより抽出された行先駅の出口が表示される出口情報表示欄Exを有する。
【0070】
ユーザ情報処理部32Bは、乗換情報記憶部34に記憶された対応情報テーブル35Bを参照して、行先駅および施設指定情報に対応する行先駅の出口を抽出する。ユーザ情報処理部32Bは、行先駅の出口を抽出した後、抽出した出口の情報をユーザ端末70に送信する。ユーザ端末70は、受信した出口の情報に基づいて自装置の表示部に表示されたインターフェース画像の出口情報表示欄Exに制御装置30Bから送信された出口の情報を表示する。
【0071】
ユーザ情報処理部32Bは、ユーザ端末70から取得したユーザ情報および抽出した行先駅の出口を示す情報を、ユーザ行先情報テーブル37の一部としてユーザ情報記憶部36に記憶させる。ユーザ行先情報テーブル37については
図7を参照することとし、説明を省略する。
【0072】
表示制御部56Bは、ユーザ行先情報テーブル37を参照し、目的施設に対応するものとしてユーザ情報処理部32Bにより抽出された出口の方向を示す情報を、選択部54により選択された表示装置10に表示をさせる。
【0073】
以上説明した第3の実施形態によれば、表示制御部56Bが、利用者が行先としている施設に接近しやすい出口を案内表示することにより、利用者は行先の施設を入力することで、表示装置10を介して行先の施設に近い出口の情報を取得することができる。この結果、案内表示システム1Bは、利用者に対し、より利便性の高い行先案内表示を行うことができる。
【0074】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、駅構内に配置され、ユーザが携帯するユーザ端末と通信する複数の通信部(20)と、駅構内に配置され、情報を表示する複数の表示部(10)と、ユーザの鉄道利用における行先を含む行先情報(37)を記憶するユーザ情報記憶部(36)と、複数の通信部の位置情報を参照し、複数の通信部のうち前記ユーザ端末が通信した通信部の位置および通信履歴に基づいて、ユーザの位置および移動方向を推定する位置推定部(52)と、複数の表示部の位置情報を参照し、位置推定部により推定されたユーザの位置および移動方向に基づいて、複数の表示部の中から、ユーザの移動方向の先にある表示部を選択する選択部(54)と、位置推定部により推定されたユーザの位置およびユーザ情報記憶部に記憶された行先情報に基づいて、行先の方向を示す情報を選択部により選択された表示部に表示させる表示制御部(56)とを持つことにより、利用者に対し、利便性の高い行先案内表示を行うことができる。
【0075】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
駅構内に配置され、ユーザが携帯するユーザ端末と無線により通信する複数の通信部と、
前記駅構内に配置され、情報を表示する複数の表示部と、
前記ユーザ端末または他の装置から取得された前記ユーザの鉄道利用における行先を含む行先情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
前記複数の通信部の位置情報を参照し、前記複数の通信部のうち前記ユーザ端末が通信した通信部の位置および通信履歴に基づいて、前記ユーザが前記ユーザ端末と通信した通信部の位置、或いは前記ユーザ端末と通信した複数の通信部の間の位置に存在すると推定すると共に、推定した前記ユーザの位置の履歴から前記ユーザの移動方向を推定する位置推定部と、
前記複数の表示部の位置情報を参照し、前記位置推定部により推定された前記ユーザの位置および移動方向に基づいて、前記複数の表示部の中から、前記ユーザの移動方向の先にある表示部を選択する選択部と、
前記位置推定部により推定された前記ユーザの位置および前記ユーザ情報記憶部に記憶された前記行先情報に基づいて、行先の方向を示す情報を、前記選択部により選択された表示部に表示させる表示制御部と、
備える案内表示システム。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。