(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カード発給制御部は、電源投入中において前記アクティブカセットに装填されたカードの数がゼロになったときに、同一種類のカセットが装填された他のカセットを前記アクティブカセットに設定する、
請求項1または2に記載のカード発給装置。
前記カード発給制御部は、前記カード発給部によるカードの発給対象である全てのカードカセットに装填されたカードの残数が無い場合、前記カードの残数が無いことを表すエンプティ情報を出力する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載のカード発給装置。
前記所定の規則は、同種類のカードカセットに通し番号を振った場合に、前記同種類のカードカセットにおいて、前記通し番号が最も若いカードカセットを前記アクティブカセットに再設定する、
請求項2に記載のカード発給装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態のカード発給装置を、図面を参照して説明する。カード発給装置は、例えば、ゴールドやグリーン、ブルーといった複数の種類を有する運転免許証等のカードを発給する。カード発給装置は、カード基材に対してユーザの顔画像を印刷したり、住所・氏名・運転免許番号などのユーザの情報を印字したりする。本実施形態におけるカードは、上述した運転免許証の他に、特定の技能を証明する証明書であってもよいし、学生証や社員証、クレジットカード、ポイントカード、交通系ICカード等であってもよい。本実施形態では、カード発給装置によって使用されるカードを、運転免許証として説明する。
【0009】
図1は、実施形態におけるカード発給装置1の構成の一例を示す概略図である。本実施形態におけるカード発給装置1は、例えば、カードホッパ部10と、画像形成部30と、搬送部40と、オーバーコート部50と、スタッカ部60と、制御部110とを備える。
【0010】
カードホッパ部10は、複数のカードカセット差込口20を有する。カードカセット差込口20には、複数のカードが装填されたカードカセット22が差し込まれる。カードホッパ部10は、制御部110による制御を受けて、カードカセット差込口20に差し込まれたカードカセット22から1枚ずつカードCを取り出し、後述する画像形成部30に搬送する。
【0011】
図2は、カードカセット22が差し込まれたカードカセット差込口20を中心とした構成図である。カードカセット22は、カセット筐体23内部に複数のカードCを、厚さ方向に積層した状態で装填する。例えば、カセット筐体23の一側面には、内部に装填されるカードCの種類を特定可能なように、カードCの種類に対応した凸部23aが設けられている。また、カセット筐体23の側面のうち、例えば凸部23aが設けられている側面と対向する側面の底部には、内部のカードCを外部に排出するために側面開口部24が設けられている。また、カセット筐体23の下面には、例えばピックアップローラ26が設けられている。ピックアップローラ26は、積層されている複数のカードCのうち、最も下方に位置するカードCを摩擦力によって側面開口部24から排出させる。このピックアップローラ26は、制御部110の制御によって駆動するアクチュエータ(不図示)により回転する。また、カセット筐体23の下面には、内部のカードCが残存しているか否かを検出するために下面開口部25が設けられている。
【0012】
カードカセット差込口20は、例えば、筐体21と、カバー部21aと、カセット形状検出センサS1からS3と、カード有無検出センサS4とを備える。図示のように筐体21は、例えば、内部にカードカセット22を載置可能とした中空構造の多面体や円柱の形状に形成される。なお、カードカセット差込口20は、装着部の一例である。
【0013】
カバー部21aは、筐体21を構成する側面の一端部において、筐体21に対して回動可能に枢支される。例えば、カバー部21aは、筐体21の内部にカードカセット22を載置する際に作業者の手によって開閉される。
【0014】
カセット形状検出センサS1からS3は、例えば、凹部状の遮光センサであり、凹部の一端部から他端部に向けて光を投光し、他端部において投光した光を受光する。カードカセット差込口20の筐体21の内部にカードカセット22が載置された場合、凸部23aは、カセット形状検出センサS1からS3のうちの一部または全部における凹部に嵌め込まれる。以下、カセット形状検出センサS1からS3を特段区別しない場合は、単にカセット形状検出センサSと称して説明する。カセット形状検出センサSの数は、上述したように3つに限らず、凸部23aの種類に応じて変更してもよい。
【0015】
図3は、凸部23aがカセット形状検出センサSの凹部に嵌め込まれる構造を模式的に表した図である。カセット形状検出センサS1からS3における凹部の一端部には、例えば、光を投光する投光部Saが設けられ、凹部の他端部には、例えば、光を受光する受光部Sbが設けられる。凸部23aが凹部に嵌め込まれる場合、投光部Saによって投光された光は、凸部23aによって遮られるため、他端部に設けられた受光部Sbにおいて受光されない。凸部23aの形状はカードCの種類に対応しているため、各カセット形状検出センサSの受光状態によってカードCの種類を特定することができる。例えば、種類AのカードCである場合、凸部23aは、カセット形状検出センサS1およびカセット形状検出センサS1において投光される光を遮る位置に設けられ、種類BのカードCである場合、凸部23aは、カセット形状検出センサS2およびカセット形状検出センサS3において投光される光を遮る位置に設けられる。このようにして、カセット形状検出センサSは、カードカセット22の形状を検出する。また、カセット形状検出センサSは、移動可能であってもよく、その場合、カセット形状検出センサSが各カードカセット22に移動してカードカセット22の形状を検出する。
カセット形状検出センサSは、カードカセット22の形状を認識可能な検出値(各カセット形状検出センサSによって測定された受光量)を、後述する制御部110に出力する。制御部110は、このカセット形状検出センサSの検出値に基づいて、カードカセット22の形状、すなわちカードカセット22内部のカードCの種類を特定する。また、カセット形状検出センサSは、測定した受光量を閾値と比較し、カードカセット22の形状を示す離散値信号を制御部110に出力してもよい。
【0016】
なお、カードカセット22の形状の検出は、以下の構成によって行われてもよい。例えば、内部のカードCの種類を特定することが可能な画像がカードカセット22に付されている場合、カード発給装置1は、この画像を読み取ることによってカードカセット22(カードC)の種類を特定してもよい。具体的には、カセット筐体23の表面に、カードCの種類を表す情報が暗号化されたQRコード(登録商標)やバーコードといった二次元コードが印刷されている場合、カセット形状検出センサSは、この二次元コードを読み取り、読み取った二次元コードを解析(復号)して制御部110に出力する。これによって、制御部110は、この解析された二次元コードに基づいてカードカセット22(カードC)の種類を特定する。
【0017】
また、カードカセット22ごとに凸部あるいは凹部が設けられている場合、カード発給装置1は、この凸部あるいは凹部までの距離を計測することによってカードカセット22(カードC)の種類を特定してもよい。例えば、カセット筐体23において、カードカセット22(カードC)の種類に応じて厚さ方向に突出した凸部が設けられている場合、カセット形状検出センサSは、この凸部の凸面に光を照射して反射光を受光することで凸部の厚さ方向に関する距離(変位)を測定する。この場合、カセット形状検出センサSは、例えば、レーザドップラ振動計等の測距センサである。カセット形状検出センサSは、測定した距離を示す信号を制御部110に出力する。これによって、制御部110は、この距離を示す信号に基づいてカードカセット22(カードC)の種類を特定する。なお、カセット形状検出センサSと後述する制御部110とを合わせたものは、検出部の一例である。
【0018】
カード有無検出センサS4は、例えば、カードカセット差込口20の筐体21の内部にカードカセット22が載置された場合、カセット筐体23の下面開口部25に対向する位置に設けられる。カード有無検出センサS4は、上述したカセット形状検出センサSと同様に、投光部および受光部を有する。カード有無検出センサS4の投光部は、下面開口部25を隔ててカセット筐体23の内部に光を投光する。この際は、カセット筐体23の内部にカードCが装填されている場合、カード有無検出センサS4の投光部によって投光された光は、下面開口部25を隔て、カセット筐体23の内部のカードCの表面において、カード有無検出センサS4側に向けて反射される。カード有無検出センサS4の受光部は、このカードCの表面にて反射された光を受光する。一方、カセット筐体23の内部にカードCが装填されていない場合、カード有無検出センサS4の投光部によって投光された光は、例えば、カセット筐体23内部の空気中において散乱する。この結果、カード有無検出センサS4の受光部は、カセット筐体23側で反射された光を受光せず、あるいはカードCの表面にて反射された光に比して強度の低い光を受光する。カード有無検出センサS4は、例えば、カードCの有無を認識可能な検出値(受光量の測定値)を、後述する制御部110に出力する。制御部110は、カード有無検出センサS4から入力された検出値に基づいて、カセット筐体23の内部のカードCの有無を判断する。また、カード有無検出センサS4は、測定した受光量を閾値と比較し、カードCの有無を示す2値信号を制御部110に出力してもよい。
【0019】
画像形成部30は、カードホッパ部により搬送されたカードCに対して画像を形成する。例えば、画像形成部30は、制御部110から入力された情報に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の複数の色剤(例えばインク)によりカードCの表面に画像を形成する。なお、画像形成部30は、熱転写方式で画像を形成してもよいし、インクジェット方式で画像を形成してもよく、画像を形成することができればどのような方式で画像を形成してもよい。
【0020】
また、画像形成部30は、複数の色剤により画像が形成されたカードCの表面に、紫外線吸収層(UVL)を形成する。これにより、画像形成部30は、例えば、カードCの表面に形成された画像が太陽光によって劣化するのを抑制したり、後述するオーバーコート部による紫外線照射によって劣化するのを抑制したりする。画像形成部30は、紫外線吸収層を形成したカードCを搬送部40に搬送する。
【0021】
搬送部40は、例えば、画像形成部30によって搬送されたカードCをエレベータにのせ、カードCの向きを変えることなく、カードCをオーバーコート部50に搬送する。
【0022】
オーバーコート部50は、搬送部40によって搬送されたカードCにオーバーコート膜を熱転写し、カードCの表面に樹脂を硬化させた保護層を形成する。オーバーコート部50は、保護層を形成したカードCをスタッカ部60に搬送する。
【0023】
スタッカ部60は、複数のカード集積部61を備える、このカード集積部61は、例えば、カードカセット差込口20の数と同数備えられる。例えば、スタッカ部60は、オーバーコート部50によって搬送されたカードCを、搬送順でカード集積部61に集積する。また、スタッカ部60は、例えば、上述した搬送部40においてカード詰まりを起こしたカードCを集積する専用のカード集積部61を備えていてもよい。
【0024】
以下、図面を参照して制御部110について説明する。
図4は、実施形態における制御部110を中心としたカード発給装置1の構成の一例を示す図である。カード発給装置1は、上述した構成に加え、さらに入力部102、表示部104、インターフェース部106、記憶部120、および電源装置130を備える。カードホッパ部10、画像形成部30、搬送部40、オーバーコート部50、スタッカ部60、入力部102、表示部104、インターフェース部106、制御部110、記憶部120、および電源装置130は、内部バスIBによって互いに接続される。
【0025】
入力部102は、例えば、スイッチ、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等のユーザインターフェースである。なお、表示部104がタッチパネルの場合、入力部102は、表示部104の一部機能であってもよい。入力部102は、例えば、カード発給装置1を操作する作業者から、カード発給装置1の電力の供給を停止する電力停止要求、または電力の供給を開始する電力開始要求を指定する入力を受け付ける。また、入力部102は、赤外線リモコン等によって照射された赤外線を受信して、電力停止要求または電力開始要求を受け付けてもよい。入力部102は、電力停止要求または電力開始要求を受け付けるのに応じて、受け付けた要求を示す信号を制御部110に出力する。
【0026】
また、入力部102は、上述した作業者等から、カードCの発給を要求するカード発給要求を指定する入力を受け付けてもよい。入力部102は、受け付けたカード発給要求を示す信号を制御部110に出力する。
【0027】
表示部104は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を含む。表示部104は、制御部110によって出力される情報に基づいて、画像を表示する。
【0028】
インターフェース部106は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やイーサネット(登録商標)に対応したインターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークNWに接続される。制御部110は、インターフェース部106と接続されたネットワークNWを介して、運転免許証に印刷する運転者の顔画像を撮像する撮像装置200−1から200−nと通信する。撮像装置200−1から200−nは、運転免許の取得または更新を行う人の顔画像を撮像し、撮像した顔画像のデータを、ネットワークNWを介して制御部110に出力する。
【0029】
制御部110は、取得部112と、記憶制御部114と、カード発給制御部116と、電源制御部118とを備える。上述した制御部110の機能部のうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部120に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。プログラムは、例えば、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバからダウンロードされてもよいし、SDカードなどの可搬型記憶媒体に格納されたものがカード発給装置1にインストールされてもよい。また、制御部110の機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0030】
取得部112は、各種センサなどから検出値や信号を取得する機能を実現するものである。
取得部112は、入力部102から電力停止要求を示す停止要求信号、または電力開始要求を示す開始要求信号を取得する。また、取得部112は、上記ネットワークNWを介して外部装置から停止要求信号または開始要求信号を取得してもよいし、図示しない無線通信装置によるBluetooth(登録商標)等の無線通信によって外部装置から停止要求信号または開始要求信号を取得してもよい。
【0031】
また、取得部112は、上述した各種センサから検出値を取得する。具体的には、取得部112は、カセット形状検出センサSの各々からカードカセット22の形状を認識可能な検出値を取得し、カード有無検出センサS4からカードCの有無を認識可能な検出値を取得する。
【0032】
また、取得部112は、入力部102からカード発給要求を示す発給要求信号を取得する。なお、取得部112は、ネットワークNWを介して接続される外部装置から発給要求信号を取得してもよい。また、取得部112は、上述した撮像装置200−1から200−nのいずれか1つ以上から画像データが出力された場合、この画像データの出力をもってカード発給要求と見做してもよい。
【0033】
記憶制御部114は、取得部112によって停止要求信号が取得された場合、電力供給が再度開始されたときに現在使用しているカードカセット22の使用状態を復元するために、現在のカードカセット22の使用状態を表す情報(以下、カセット使用状態セーブ情報と称する)を、後述する記憶部120の不揮発性記憶部122に記憶させる。具体的には、記憶制御部114は、カセット使用状態セーブ情報として、現在のカードカセット差込口20に差し込まれているカードカセット22の形状(カードCの種類)を表す情報と、カードカセット差込口20のそれぞれを識別する識別情報と、カード発給の対象であるカセット(アクティブカセット)であるか否かを表すアクティブ情報とを対応付けて不揮発性記憶部122に記憶させる。例えば、カードカセット差込口20の識別情報は、他のカードカセット差込口20の識別情報と重複しないように割り振られた一連の情報である。以下、この一連の情報を差込口番号と称して説明する。
【0034】
図5は、不揮発性記憶部122に記憶されるカセット使用状態セーブ情報の一例を示す図である。図示のように、カードカセット差込口20の識別情報である差込口番号には、カードカセットの形状(カードの種類)を表す情報と、アクティブ情報とが対応付けられている。アクティブ情報を表す項目には、現在カードカセット差込口20に差し込まれており、且つカードカセット22からカードCが取り出されている、あるいは取り出されようとしている状態である場合、“アクティブ”という情報が書き込まれ、それ以外の状態である場合、“ノンアクティブ”という情報が書き込まれる。
【0035】
カード発給制御部116は、取得部112によって発給要求信号が取得された場合、カードホッパ部10、画像形成部30、搬送部40、オーバーコート部50、およびスタッカ部60を制御して、取得部112により発給要求信号が取得された順番でカードCを発給させる。具体的には、カード発給制御部116は、カードホッパ部10を制御して、カードカセット差込口20に差し込まれたカードカセット22から1枚ずつカードCを取り出させ、後段の画像形成部30に搬送させる。カード発給制御部116は、例えば、画像形成部30を制御して、撮像装置200−1から200−nのうち、最も早く画像データを出力した撮像装置を優先的に扱い、この撮像装置によって出力された画像データに基づく画像をカードCに形成させ、画像が形成されたカードCに紫外線吸収層を形成させた後にカードCを搬送部40に搬送させる。これによって、カード発給装置1は、カード発給要求を受け付けた順番でカードCに画像を形成する。
【0036】
また、カード発給制御部116は、搬送部40を制御して、画像形成部30によって搬送されたカードCをオーバーコート部50に搬送させる。カード発給制御部116は、オーバーコート部50を制御して、搬送部40によって搬送されたカードCにオーバーコート膜を熱転写させ、カードCの表面に保護層を形成させた後、カードCをスタッカ部60に搬送させる。カード発給制御部116は、スタッカ部60を制御して、オーバーコート部50によって搬送されたカードCを、搬送された順番でカード集積部61に集積させる。以下、カードホッパ部10、画像形成部30、搬送部40、オーバーコート部50、およびスタッカ部60を合わせたものを、カード発給部と称して説明する。
【0037】
電源制御部118は、取得部112によって開始要求信号が取得された場合、電源装置130を制御して、各機能部に電力を供給させる。また、電源制御部118は、取得部112によって停止要求信号が取得された場合、電源装置130を制御して、各機能部への電力の供給を停止させる。
【0038】
記憶部120は、例えば、不揮発性記憶部122と、揮発性記憶部124とを備える。不揮発性記憶部122は、例えば、SDカード、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶媒体によって実現される。不揮発性記憶部122は、プロセッサが実行するプログラムを格納する。また、不揮発性記憶部122は、カセット使用状態セーブ情報を格納する。
【0039】
揮発性記憶部124は、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体によって実現される。揮発性記憶部124は、プロセッサが処理した結果を一時的に格納する。また、揮発性記憶部124は、カードCに画像を形成する際に参照される画像データを一時的に格納する。例えば、揮発性記憶部124は、ネットワークNWを介して撮像装置200−1から200−nによって出力された顔画像データを一時的に格納する。
【0040】
電源装置130は、例えば、コンセントとプラグを介して商用電源に接続され、商用電源によって供給される電力を、各機能部に合わせた形式の電力に変換する。例えば、電源装置130は、商用電源の交流電力を直流電力に変換し、所望の電圧で出力する。電源装置130は、変換した直流電力を、電力供給ケーブルを介して各機能部に供給する。以下、電源装置130により各機能部に電力が供給されている状態(電源投入中)を電源オン状態と称し、各機能部に電力が供給されていない状態を電源オフ状態と称して説明する。なお、入力部102には、電源オフ状態であっても、専用のスタンバイ回路によってある程度の電力が供給され、常時電力停止要求、電力開始要求、カード発給要求といった入力が受け付けられるものとする。
【0041】
以下、カード発給装置1によるカード発給の動作について説明する。
図6は、複数のカードカセット差込口20に差し込まれたカードカセット22が消費されていく様子を模式的に表した図である。図示の例では、説明を簡略化するために、カードカセット22の種類は、全て同じものとして説明する。カード発給装置1は、所定の規則に従ってカードカセット22からカードCを消費していく。例えば、カード発給装置1は、同種類のカードカセット22において、カードカセット差込口20の差込口番号の若い順からカードCを消費(発給)させていく。図示の例では、記憶制御部114は、差込口番号1のカードカセット22が空になると、差込口番号1のアクティブ情報を“アクティブ”から“ノンアクティブ”に書き換え、差込口番号2のアクティブ情報を“ノンアクティブ”から“アクティブ”に書き換える。これによって、カード発給制御部116は、カードCの取り出し対象であるカードカセット22を、差込口番号1のものから差込口番号2のものに変更し、差込口番号2のカードカセット22から順にカードCを発給させる。例えば、ある程度の量のカードCを発給させた後、作業者等のユーザによって入力部102に電力停止要求が入力された場合、電源制御部118は、電源装置130を制御して電源オフ状態にする。このような場合、例えば、以下の3つの使用状態が考えられる。
【0042】
図7は、
図6のカセット使用状態において、カードカセット22が交換されない場面の一例を表す図である。図示の例では、電源オフ状態時に、空になった差込口番号1のカードカセット22が、カードCが装填された新しいカードカセット22に交換されていない。このような場合、カード発給装置1は、電源オフ状態から電源オン状態に復帰した場合、同種類のカードカセット22において、カードカセット差込口20の差込口番号の若い順からカードCを消費させていくという上述した規則に従って、差込口番号2のカードカセット22からカードCの発給を開始する。
【0043】
図8は、
図6のカセット使用状態において、カードカセット22が交換される場面の従来例を表す図である。図示の例では、電源オフ状態時に、空になった差込口番号1のカードカセット22が、カードCが装填された新しいカードカセット22に交換されている。このとき、従来例においては、電源オフ状態になる前にカードカセット22の使用状態が保存されておらず、カードカセット22の使用状態がリセットされていたため、カード発給装置1は、上述した規則に従って、電源オフ状態から電源オン状態に復帰した場合に電源オフ状態になる前に使用していた差込口番号2のカードカセット22からカードCの発給を行わず、上述した規則に従って最も番号の若い差込口番号1のカードカセット22からカードCを発給していた。
このような使用形態である場合、番号の最も若い差込口番号1に差し込まれるカードカセット22の消費サイクルは短くなりやすく、差込口番号が大きくなるにつれてカードカセット22の消費サイクルは長くなりやすい。従って、差込口番号が大きいカードカセット差込口20に差し込まれたカードカセット22において、完全にカードCが消費されずに使い残された場合、このカードカセット22はカードホッパ部10内に長い期間使用されずに存在する可能性が高くなる。この結果、カード発給装置1において製造ロットの異なる複数のカードカセット22が使用される場合、製造ロット間の差異によってカードCに形成する画像に斑が生じたり、搬送部40等においてカード詰まりが生じたりする問題が発生する。また、上記問題を解消するために、製造ロットごとに画像形成時のカードCの搬送速度やローラ圧力等の画像形成に係るパラメータを調整する必要があり、調整の負荷が大きくなる傾向がある。
【0044】
一方で、本発明の実施形態によれば、上述した課題が解消される。
図9は、
図6のカセット使用状態において、カードカセット22が交換される場面の本発明の実施形態における一例を表す図である。
図9の例では、上述した
図8の例と同様に、電源オフ状態時に、空になった差込口番号1のカードカセット22が、カードCが装填された新しいカードカセット22に交換されている。このとき、実施形態のカード発給装置1においては、電源オフ状態になる前にカードカセット22の使用状態が保存される。電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、カードカセット22の種類は変更しておらず、カード発給装置1は、電源オフ状態になる前に使用していたカードカセット22から順番にカードCを発給していく。
この結果、カード発給装置1は、カードカセット22の消費サイクルを均一に保つことができ、カードカセット22の運用効率を向上させることができる。また、カード発給装置1は、製造ロットの異なる複数のカードカセット22を使用する場合であっても、一つのカードカセット22から順番にカードCを発給していくため、製造ロットの異なる複数のカードカセット22にまたがって使用する機会を低減することができる。この結果、カード発給装置1は、画像形成に係るパラメータの調整負荷を小さくすることができるとともに、カードCに形成する画像の精度を向上させることができる。
なお、
図16の説明で後述するように、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、いずれかのカードカセット22の種類が変更している場合は、カード発給装置1は、上述した規則に従って最も番号の若い差込口番号1のカードカセット22からカードCを発給する。
【0045】
以下、制御部110の処理内容について、フローチャートを参照して説明する。
図10は、実施形態における制御部110により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、カード発給装置1が電源オフ状態から電源オン状態に切り替わったときに開始される。
【0046】
まず、取得部112は、カードカセット差込口20ごとに設けられた各種センサから検出値を取得する(ステップS100)。次に、カード発給制御部116は、取得部112によって取得された各種センサの検出値に基づいて、現在カードカセット差込口20に差し込まれているカードカセットの使用状態を特定する(ステップS102)。
【0047】
具体的には、カード発給制御部116は、カセット形状検出センサSの検出値に基づいて、カードカセット差込口20ごとに、カードカセット22が差し込まれているか否かを判定する。例えば、カセット形状検出センサSのいずれにおいてもカードカセット22の形状が検出されない場合、カード発給制御部116は、カセット形状検出センサSが設けられたカードカセット差込口20に、カードカセット22が差し込まれていないと判定する。また、カード発給制御部116は、カードカセット22が差し込まれているカードカセット差込口20ごとに、カードカセット22の形状を特定する。また、カード発給制御部116は、カード有無検出センサS4の検出値に基づいて、カードカセット22が差し込まれているカードカセット差込口20ごとに、カセット筐体23の内部のカードCの有無を判定する。
【0048】
次に、記憶制御部114は、カード発給制御部116により特定された、カードカセット22の差込の有無と、カードカセット22の形状と、カードカセット22内のカードCの有無とを、カードカセット差込口20の差込口番号ごとに対応付けて揮発性記憶部124に一時的に記憶させる(ステップS104)。以下、カードカセット22の差込の有無と、カードカセット22の形状と、カードカセット22内のカードCの有無とを、カードカセット差込口20の差込口番号ごとに対応付けた情報を、カセット使用状態モニタリング情報と称して説明する。
図11は、揮発性記憶部124に記憶させるカセット使用状態モニタリング情報の一例を示す図である。
【0049】
次に、カード発給制御部116は、揮発性記憶部124に記憶されたカセット使用状態モニタリング情報と、不揮発性記憶部122に記憶されたカセット使用状態セーブ情報とを比較して、各差込口番号に対応付けられているカセット形状が両情報間において一致するか否か、すなわち、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、いずれかのカードカセット22の種類が変更されたか否かを判定する(ステップS106)。
【0050】
カセット使用状態モニタリング情報とカセット使用状態セーブ情報とにおいて各差込口番号に対応付けられているカセット形状が一致する場合、すなわち、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、カードカセット22の種類が変更されていない場合、カード発給制御部116は、カセット使用状態セーブ情報に含まれるアクティブ情報を参照して、電源オフ状態になる前のアクティブカセットを継続して設定する(ステップS108)。例えば、カード発給制御部116は、カセット使用状態セーブ情報において、“アクティブ”と書き込まれている差込口番号のカードカセット22をカードCの発給対象として継続して設定する。
【0051】
一方、カセット使用状態モニタリング情報とカセット使用状態セーブ情報とにおいて各差込口番号に対応付けられているカセット形状が一致しない場合、すなわち、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、カードカセット22の種類が変更された場合、カード発給制御部116は、所定の規則に従ってアクティブカセットを再設定する(ステップS110)。再設定するアクティブカセットは、例えば、同種類のカードカセット22において、最も若い差込口番号のカードカセット差込口20に装着されたカードカセット22である。
【0052】
次に、カード発給制御部116は、取得部112によって発給要求信号が取得されているか否かを判定する(ステップS112)。取得部112によって発給要求信号が取得されている場合、カード発給制御部116は、カード発給部を制御して、カードCを発給させる(ステップS114)。
【0053】
取得部112によって発給要求信号が取得されていない場合、或いはステップS114の処理の後に、カード発給制御部116は、設定したカードカセット22内のカードの残数がゼロであるか否かを判定する(ステップS116)。例えば、カード発給制御部116は、ステップS114の処理の最中または処理後において取得部112によって取得されたカード有無検出センサS4の検出値に基づいて、カードの残数がゼロであるか否かを判定する。設定したカードカセット22内のカードの残数がゼロでない場合、カード発給制御部116は、上述したステップS112の処理に戻る。
【0054】
一方、設定したカードカセット22内のカードの残数がゼロである場合、カード発給制御部116は、カセット使用状態モニタリング情報を参照して、設定したカードカセット22と同種類のカードカセット22が他のカードカセット差込口20に差し込まれているか否かを判定する(ステップS118)。
【0055】
同種類のカードカセット22が他のカードカセット差込口20に差し込まれていない場合、カード発給制御部116は、カードカセット22内のカードCが空であることを表すエンプティ情報を出力し(ステップS124)、本フローチャートの処理を終了する。例えば、カード発給制御部116は、このエンプティ情報を表示部104に出力する。これにより、表示部104には、カードカセット22内のカードCが空であることが表示される。
【0056】
一方、同種類のカードカセット22が他のカードカセット差込口20に差し込まれている場合、カード発給制御部116は、この同種類のカードカセット22内のカードの残数がゼロであるか否かを判定する(ステップS120)。同種類のカードカセット22内のカードの残数がゼロである場合、カード発給制御部116は、上述したステップS124の処理を行って本フローチャートの処理を終了する。
【0057】
一方、同種類のカードカセット22内のカードの残数がゼロでない場合、記憶制御部114は、現在設定しているアクティブカセットの差込口番号に対応付けられたアクティブ情報を“アクティブ”から“ノンアクティブ”に書き換え、同種類のカードカセット22が差し込まれている差込口番号に対応付けられたアクティブ情報を“ノンアクティブ”から“アクティブ”に書き換えて、上述したステップS112の処理に戻る。これによって、カード発給制御部116は、新たに“ノンアクティブ”から“アクティブ”に変更した差込口番号のカードカセット22をアクティブカセットに再設定し、このアクティブカセットから順次カードCを取り出して発給させる。
【0058】
図12は、
図10に示したフローチャートの処理が実施されている最中に割込みで行わせる処理を表したフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、
図10に示したフローチャートの処理と並列で行われ、所定周期で繰り返される。
【0059】
まず、制御部110は、取得部112によって停止要求信号が取得されたか否かを判定する(ステップS200)。取得部112によって停止要求信号が取得されていない場合、制御部110は、本フローチャートの処理を終了する。
【0060】
一方、取得部112によって停止要求信号が取得された場合、記憶制御部114は、カセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させる(ステップS202)。次に、電源制御部118は、電源装置130を制御して電源オフ状態にし、カード発給処理を停止させる(ステップS204)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0061】
以下、本実施形態の適用例として、カードカセット差込口20の数が5つ、使用するカードカセットの形状(カードCの種類)が3パターンである場合について説明する。
【0062】
図13は、カードカセット22の使用状態を模式的に表した図である。
図13の例では、差込口番号1から5には、順に種類Aのカードカセット22、種類Bのカードカセット22、種類Cのカードカセット22、種類Aのカードカセット22、種類Cのカードカセット22が差し込まれている。差込口番号1のカードカセット22内のカードCは、全て消費され、同種類のカードカセット22が差し込まれた差込口番号4にアクティブが移り変わっており、差込口番号4のカードカセット22内のカードCはある程度消費されている。また、差込口番号2のカードカセット22内のカードCは、幾分か消費されている。また、差込口番号3のカードカセット22内のカードCは、全て消費され、同種類のカードカセット22が差し込まれた差込口番号5にアクティブが移り変わっており、差込口番号5のカードカセット22内のカードCはある程度消費されている。
【0063】
このようなカードカセット22の使用状態時に、取得部112によって停止要求信号が取得された場合、記憶制御部114は、
図14に示すようなカセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させる。
図14は、
図13のカードカセット22の使用状態時に記憶されるカセット使用状態セーブ情報の一例を表す図である。
【0064】
上述した
図13のカードカセット22の使用状態時に電源オフ状態になり、その後電源オン状態になった場合、例えば、以下のようなカードカセット22の使用状態が存在する。
【0065】
図15は、
図13のカードカセット22の使用状態時に電源オフ状態になり、その後電源オン状態になった際のカードカセット22の使用状態の一例を表す図である。
図15の例では、空になった差込口番号1および3のカードカセット22には、それぞれ電源オフ状態になる前に使用していたカードカセット22と同種類(種類AおよびC)のカードカセット22が差し込まれている。また、差込口番号2、4、5には、電源オフ状態になる前のカードカセット22と同じものが差し込まれている。
【0066】
このような場合、制御部110は、
図14に示すように、電源オフ状態になる前の差込口番号とカードカセット22の形状との対応関係に、現在の差込口番号とカードカセット22の形状との対応関係が一致するため、電源オフ状態になる前にアクティブにしていた差込口番号2、4、5のカードカセット22から引き続きカードCを発給させることができる。
【0067】
図16は、
図13のカードカセット22の使用状態時に電源オフ状態になり、その後電源オン状態になった際のカードカセット22の使用状態の他の例を表す図である。
図16の例では、空になった差込口番号1のカードカセット22には、電源オフ状態になる前に使用していたカードカセット22と同種類(種類A)のカードカセット22が差し込まれているが、空になった差込口番号3のカードカセット22には、電源オフ状態になる前に使用していたカードカセット22と異なる種類(種類A)のカードカセット22が差し込まれている。さらに、差込口番号2および5には、電源オフ状態になる前のカードカセット22と同じものが差し込まれているが、差込口番号4のカードカセット22には、電源オフ状態になる前に使用していたカードカセット22と異なる種類(種類C)のカードカセット22が差し込まれている。
このように、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間に、
図13と異なる種類のカードCが装填されたカードカセット22が
図13のカードカセット22の位置に差し込まれることがある。すなわち、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、カードカセット22の種類が変更される場合がある。
【0068】
このような場合、制御部110は、
図14に示すように、電源オフ状態になる前の差込口番号とカードカセット22の形状との対応関係に、現在の差込口番号とカードカセット22の形状との対応関係が一致しないため、同種類のカードカセット22において、カードカセット差込口20の差込口番号の若い順からカードCを消費させていくという上述した規則に従い、種類Aのなかで最も番号の若い差込口番号1のカードカセット22をアクティブにし、種類Bのなかで最も番号の若い差込口番号2のカードカセット22をアクティブにし、種類Cのなかで最も番号の若い差込口番号4のカードカセット22をアクティブにする。これによって、制御部110は、アクティブにした差込口番号1、2、4のカードカセット22からカードCを発給させる。
【0069】
以上説明した実施形態におけるカード発給装置1によれば、カードCが装填されるカードカセット22が装着される複数のカードカセット差込口20と、複数のカードカセット差込口20のそれぞれに装着されたカードカセット22の形状を検出するカセット形状検出センサSと、電源装置130により供給される電力によって、カードカセット22からカードCを取り出して発給するカード発給部と、停止要求信号と開始要求信号とを取得する取得部112と、取得部112によって停止要求信号が取得された場合に、カセット形状検出センサSの検出値により特定したカードカセットの種類と、カード発給部がカードを取り出しているアクティブカセットが装着されたカードカセット差込口20の差込口番号とを含むカセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させる記憶制御部114と、取得部112によって開始要求信号が取得された場合に、カセット形状検出センサSの検出値により特定したカードカセットの種類と、不揮発性記憶部122に記憶されたカセット使用状態セーブ情報に含まれるカードカセット22の種類とを比較し、複数のカードカセット差込口20にそれぞれ装着されたカードカセット22の種類が変更されていない場合に、アクティブカセットを変更せず、複数のカードカセット差込口20にそれぞれ装着されたいずれかのカードカセット22の種類が変更されている場合に、所定の規則に従ってアクティブカセットを再設定するカード発給制御部116と、を備えることにより、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、カードカセット22の種類が変更されていない場合に、電源オフ状態にした場合であっても、電源オフ状態になる前にアクティブにしていたカードカセット22から引き続きカードCを発給させることができる。この結果、カード発給装置1は、カードCが残存したカードカセット22の使い残しを低減させることができ、カードカセット22の運用効率を向上させることができる。
【0070】
また、実施形態におけるカード発給装置1によれば、電源オフ状態にした場合であってもカセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させることにより、カードカセット22の使い残しを低減させることができる。この結果、ユーザは、カードカセット22の残数確認や、カードカセット22の保管容量の削減といった在庫管理を簡便に行うことができる。
【0071】
また、実施形態におけるカード発給装置1によれば、電源オフ状態にした場合であってもカセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させることにより、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、いずれかのカードカセット22の種類が変更されている場合に、例えば、同種類のカードカセット22において、カードカセット差込口20の差込口番号の若い順からカードCを消費させていくことを継続することができる。このため、製造ロットが互いに異なるカードCを同時に使用する機会を低減することができる。
【0072】
例えば、同じ種類のカードCであっても、カセットごとに異なる製造元から送られてくる場合があり、この場合、カードCの微妙な厚さやカード表面の粗さなどが異なる場合がある。カード発給装置1は、この相違に応じて微調整を行うため、異なる製造元から送られてくるカードCが装填されたカセットが入れ違いにアクティブカセットとして設定されると、微調整の負荷が大きくなる傾向がある。
これに対し、実施形態におけるカード発給装置1は、電源オフ状態にした場合であっても、カセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させることにより、製造ロットが互いに異なるカードCを交互に使用する機会を低減することができるため、画像形成に係る調整の負荷を低減すると共に、カードCに形成する画像の精度を向上させることができる。
【0073】
また、実施形態におけるカード発給装置1によれば、プロセッサが参照するプログラムを格納する揮発性記憶部124に最小限の情報、すなわちカセット使用状態セーブ情報のみを記憶させるため、揮発性記憶部124における書き換えデータ量を低減させることができる。この結果、カード発給装置1は、揮発性記憶部124の劣化を抑制することができる。また、カード発給装置1は揮発性記憶部124の記憶容量を小さくすることができる。
【0074】
以下、その他の実施形態について説明する。
上述した実施形態において、スタッカ部60は、カード発給制御部116の制御を受けて、撮像装置200−1から200−nと連動してカード集積部61を切り替えてもよい。例えば、スタッカ部60は、撮像装置200−1から入力された画像データに基づいて画像が形成されたカードCをカード集積部61aに集積し、撮像装置200−2から入力された画像データに基づいて画像が形成されたカードCをカード集積部61bに集積する。
【0075】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、カードCが装填されるカードカセット22が装着される複数のカードカセット差込口20と、複数のカードカセット差込口20のそれぞれに装着されたカードカセット22の形状を検出するカセット形状検出センサSと、電源装置130により供給される電力によって、カードカセット22からカードCを取り出して発給するカード発給部と、停止要求信号と開始要求信号とを取得する取得部112と、取得部112によって停止要求信号が取得された場合に、カセット形状検出センサSの検出値により特定したカードカセットの種類と、カード発給部がカードを取り出しているアクティブカセットが装着されたカードカセット差込口20の差込口番号とを含むカセット使用状態セーブ情報を不揮発性記憶部122に記憶させる記憶制御部114と、取得部112によって開始要求信号が取得された場合に、カセット形状検出センサSの検出値により特定したカードカセットの種類と、不揮発性記憶部122に記憶されたカセット使用状態セーブ情報に含まれるカードカセット22の種類とを比較し、複数のカードカセット差込口20にそれぞれ装着されたカードカセット22の種類が変更されていない場合に、アクティブカセットを変更せず、複数のカードカセット差込口20にそれぞれ装着されたいずれかのカードカセット22の種類が変更されている場合に、所定の規則に従ってアクティブカセットを再設定するカード発給制御部116と、を備えることにより、電源オフ状態から電源オン状態に遷移する期間において、カードカセット22の種類が変更されていない場合に、電源オフ状態にした場合であっても、電源オフ状態になる前にアクティブにしていたカードカセット22から引き続きカードCを発給させることができる。この結果、カード発給装置1は、カードCが残存したカードカセット22の使い残しを低減させることができ、カードカセット22の運用効率を向上させることができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。