(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作ボタンのスライド方向の前記一端は、前記操作ボタンの一部が前記蓋体の上面と重なる位置にあり、前記操作ボタンのスライド方向の前記他端は、前記操作ボタンが前記ガイド孔と重なる位置にあることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のキャップユニット。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられるキャップユニットがある(例えば、特許文献1,2を参照。)。キャップユニットの上部には、飲み口又は注ぎ口を開閉する蓋体がヒンジ部を介して回動自在に取り付けられている。蓋体は、ヒンジ部に設けられた付勢部材によって開方向に付勢されている。キャップユニットには、蓋体が飲み口又は注ぎ口を閉塞する位置にて蓋体を固定する蓋ロック機構が設けられている。蓋ロック機構では、操作ボタンを押圧操作することによって、蓋体のロック状態を解除し、付勢部材の付勢により蓋体を開方向に回動させることが可能となっている。
【0003】
ところで、上述した従来の蓋ロック機構では、操作ボタンの不用意な押圧操作によって、蓋体のロック状態が解除されると、容器本体に収容された飲料(内容物)が飲み口又は注ぎ口から外部へと不意に飛び出してしまう虞れがある。
【0004】
特に、真空断熱構造を有する容器本体(いわゆる魔法瓶)によって保温・保冷機能を持たせた飲料用容器(いわゆる水筒)では、保温又は保冷された飲料が不意に外部に飛び出すことがないように、上述した操作ボタンの誤操作を防ぐ必要がある。
【0005】
例えば、引用文献1に記載の飲料用容器では、容器本体の口頸部の内側に中栓が螺合により着脱自在に取り付けられると共に、この中栓を覆うようにコップが容器本体の口頸部の外側に螺合により着脱自在に取り付けられている。このような構成の場合、コップによって中栓の上部に設けられた操作ボタンの誤操作を防ぐことができる。一方、飲用時には、コップを取り外してから、操作ボタンを操作する必要があるため、使い勝手の面で不便を感じることがある。
【0006】
一方、引用文献2に記載の飲料用容器では、蓋ロック機構の誤操作を阻止するため、蓋ロック機構とは別に安全ストッパーが設けられている。しかしながら、このような構成の場合、飲用時に蓋ロック機構を解除する操作とは別に、安全ストッパーを解除する操作が必要となる。したがって、この場合も、使い勝手の面で不便を感じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、不用意な操作によって蓋体が開くことを防止しつつ、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えた飲料用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、上部に飲み口又は注ぎ口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けられると共に、前記ヒンジ部に設けられた付勢部材によって前記飲み口又は注ぎ口を開放する方向に付勢された状態で、前記飲み口又は注ぎ口を開閉する蓋体と、
前記付勢部材の付勢に抗して、前記蓋体が前記飲み口又は注ぎ口を閉塞する位置にて前記蓋体を固定する蓋ロック機構とを備え、
前記蓋ロック機構は、
前記蓋体の上部に位置する操作ボタンと、
前記操作ボタンを押し下げる方向に案内するガイド孔と、
前記ガイド孔の内側に配置されると共に、前記操作ボタンをスライド方向の一端と他端との間でスライド自在に案内する操作部材と、
前記操作ボタンをスライド方向の前記一端側に向かって付勢する第1のバネ部材と、
前記蓋体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けられると共に、一端側に設けられた一方の係止部が前記キャップ本体側に設けられた他方の係止部に係止されるロック位置と、前記一方の係止部と前記他方の係止部との係止状態が解除されるロック解除位置との間で回動されるロック部材
と、
前記ロック部材を回動方向の前記ロック位置側に向かって付勢する第2のバネ部材とを有し、
前記操作ボタンを前記第1のバネ部材の付勢に抗して前記一端側から前記他端側までスライドさせる操作をした後に、前記操作ボタンを前記操作部材と共に前記第2のバネ部材の付勢に抗して前記ガイド孔の内側に向かって押し下げる操作を行うことによって、前記操作部材が前記ロック部材の他端側を押圧しながら、前記第2のバネ部材の付勢に抗して前記ロック部材を前記ロック解除位置まで回動させるものであって、
前記ロック部材が前記ロック位置にあるとき、前記蓋体の周壁部に設けられたスリットの内側に前記一方の係止部が位置し、前記ロック部材が前記ロック解除位置にあるとき、前記一方の係止部が前記スリットの間から外側に突き出されることを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記周壁部の前記ヒンジ部とは反対側に前記スリットが設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット
。
〔
3〕 前記蓋ロック機構は、前記操作部材を押し上げる方向に向かって付勢する第3のバネ部材を有することを特徴とする前記
〔1〕又は〔2〕に記載のキャップユニット
。
〔
4〕 前記操作ボタンのスライド方向の前記一端は、前記操作ボタンの一部が前記蓋体の上面と重なる位置にあり、前記操作ボタンのスライド方向の前記他端は、前記操作ボタンが前記ガイド孔と重なる位置にあることを特徴とする前記
〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔
5〕 前記蓋ロック機構は、前記操作ボタンをスライドさせる方向に案内するガイド溝を有し、
前記ガイド孔は、前記ガイド溝の内側に位置することを特徴とする前記
〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔
6〕 前記操作ボタンをスライドさせる方向の他端側に前記ヒンジ部が位置することを特徴とする前記〔
1〕〜〔
5〕の何れか一項に記載のキャップユニット。
〔
7〕 前記〔1〕〜〔
6〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備える飲料用容器。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、不用意な操作によって蓋体が開くことを防止しつつ、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップユニット、並びに、そのようなキャップユニットを備えた飲料用容器を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば
図1〜
図6に示す飲料用容器1について説明する。なお、
図1は、飲料用容器1の外観を示す斜視図である。
図2は、飲料用容器1が備えるキャップユニット3の閉状態を示す斜視図である。
図3は、飲料用容器1が備えるキャップユニット3の開状態を示す斜視図である。
図4は、飲料用容器1が備えるキャップユニット3の閉状態を示す断面図である。
図5は、飲料用容器1が備えるキャップユニット3の開状態を示す断面図である。
図6は、飲料用容器1が備えるキャップユニット3の滑り止め部材38の取付位置を示す分解斜視図である。
【0013】
飲料用容器1は、
図1に示すように、容器本体2と、容器本体2に着脱自在に取り付けられるキャップユニット3とを備えている。飲料用容器1は、真空断熱構造を有する容器本体2によって、容器本体2に収容された飲料(内容物)を保温又は保冷することが可能となっている。
【0014】
具体的に、この容器本体2は、
図4及び
図5に示すように、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器4及び内容器5を有し、外容器4の内側に内容器5を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。また、外容器4と内容器5との間には、真空断熱層6が設けられている。真空断熱層6は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器4の底面中央部に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0015】
容器本体2は、
図1、
図4及び
図5に示すように、略円形状の底面部2aと、底面部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。また、口頸部2cの内側には、リング状の段差部7が全周に亘って突出して設けられている。
【0016】
なお、本実施形態の飲料用容器1は、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、飲料用容器1の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0017】
キャップユニット3は、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット3は、
図2〜
図5に示すように、キャップ本体8と、キャップ本体8に回動自在に取り付けられた蓋体9と、キャップ本体8に対して蓋体9を固定する蓋ロック機構10とを備えている。なお、以下の説明では、キャップ本体8に対して蓋体9がヒンジ部24を介して取り付けられる側を飲料用容器1の「後側」とし、それとは反対側を飲料用容器1の「前側」として説明する。
【0018】
キャップ本体8は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。キャップ本体8は、容器本体2の胴部2bと連続するように略円筒状に形成された周壁部8aと、周壁部8aの上部に周壁部8aよりも縮径された開口部8bが形成された上壁部8cとを有している。
【0019】
キャップ本体8は、容器本体2の口頸部2cに螺合により着脱自在に取り付けられている。このため、周壁部8aの内周面には、雌ネジ部11が設けられている。一方、口頸部2cの外周面には、雌ネジ部11と螺合される雄ネジ部12が設けられている。
【0020】
キャップ本体8の開口部8bには、飲み口又は注ぎ口(本実施形態では飲み口)を形成する口形成部材13が着脱自在に取り付けられている。口形成部材13は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。口形成部材13は、通液口14及び通気口15が形成された底壁部13aと、底壁部13aの周囲から上方に向かって立ち上がる筒状の周壁部13bと、底壁部13aの外周面の下端側からリング状に突出された下側フランジ部13cと、周壁部13bの外周面の上端側から互いに反対方向(左右方向)に突出された一対の上側フランジ部13dと、周壁部13bの上端から斜めカット状に突出された飲み口部13eとを有している。
【0021】
このうち、飲み口部13eは、口形成部材13の前側に位置している。通液口14は、底壁部13aに形成された凹部14aの底面を貫通して設けられている。通気口15は、凹部14aよりも高い位置にある底壁部13aを貫通して設けられている。また、通液口14は、通気口15よりも飲み口部13e側(前側)に位置し、丸孔を形成する通気口15よりも前後方向に大きく略楕円状に開口している。
【0022】
キャップ本体8と口形成部材13との間には、キャップ本体8の開口部8bに口形成部材13を着脱自在に取り付けるための脱着機構16が設けられている。脱着機構16は、口形成部材13の前側に第1の爪部17と、口形成部材13の後側に第2の爪部18が設けられたストッパー19とを有している。
【0023】
第1の爪部17は、周壁部13bの外周面の上端側から前方に突出して設けられている。ストッパー19は、口形成部材13の後側の外周面に沿って配置されている。また、ストッパー19の下端(基端)部は、口形成部材13に設けられたヒンジ部13fに回動自在に支持されている。第2の爪部18は、ストッパー19の上端(先端)側から後方に向かって突出して設けられている。第2の爪部18の先端部は、傾斜面18aを形成している。
【0024】
口形成部材13とストッパー19との間には、例えばゴムやエラストマー等からなる弾性部材20が配置されている。弾性部材20は、ストッパー19の口形成部材13と対向する面に取り付けられている。弾性部材20は、ストッパー19の先端側を前方に向かって回動させたときに、ストッパー19と口形成部材13との間で圧縮される(弾性変形する)ことによって、ストッパー19を後方に向かって付勢する。また、ストッパー19の上端(先端)部には、このストッパー19を指で回動操作し易くするための凹部又は凸部を有した操作部19aが設けられている。
【0025】
一方、脱着機構16は、キャップ本体8の前側に第1の被係止部21と、キャップ本体8の後側に第2の被係止部22とを有している。第1の被係止部21及び第2の被係止部22は、上壁部8cの開口部8bに沿った前後位置に、それぞれ設けられた段差部からなる。
【0026】
以上のような構成を有する脱着機構16では、第1の被係止部21に対して第1の爪部17を位置決めした状態で、キャップ本体8の開口部8bの内側に、口形成部材13を下側から嵌め込む。このとき、キャップ本体8の上壁部8cの下面に一対の上側フランジ部13dが当接された状態となる。また、第1の爪部17が第1の被係止部21に係止される。さらに、第2の爪部18の傾斜面18aがキャップ本体8の開口部8bの縁に当接しながら、第2の爪部18が開口部8bの縁を乗り越えるのに伴って、ストッパー19の先端側が前方に向かって回動した後に、ストッパー19の先端側が後方の元の位置へと復帰すると同時に、第2の爪部18が第2の被係止部22に係止される。
【0027】
これにより、口形成部材13は、キャップ本体8の開口部8bに装着された状態となる。また、口形成部材13が装着されると同時に、キャップ本体8の開口部8bから飲み口部13eが外方(上方)に向かって突き出した状態となる。
【0028】
一方、脱着機構16では、ストッパー19の先端側を前方に向かって回動させる操作によって、第2の被係止部22に対する第2の爪部18の係止状態を解除する。これにより、第1の被係止部21に対する第1の爪部17の係止状態を解除しながら、キャップ本体8の開口部8bの下側から口形成部材13を取り外すことが可能である。
【0029】
口形成部材13が装着されたキャップ本体8は、容器本体2の口頸部2cに取り付けられることによって、口形成部材13が上部開口部2dの内側に嵌め込まれた状態で、容器本体2の上部開口部2dを閉塞する。
【0030】
口形成部材13の下側フランジ部13cには、止水パッキン23が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン23は、段差部7(容器本体2)と口形成部材13(キャップ本体8)との間を密閉するためのリング状のシール部材である。止水パッキン23は、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。止水パッキン23は、下側フランジ部13cの外周部に嵌め付けられている。
【0031】
止水パッキン23は、容器本体2の上部開口部2dの内側に嵌め込まれた際に、弾性変形しながら容器本体2の段差部7に全周に亘って密着した状態となる。これにより、段差部7と口形成部材13との間を密閉することが可能となっている。
【0032】
蓋体9は、口形成部材13が形成する飲み口又は注ぎ口を開閉するものであり、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。蓋体9は、キャップ本体8の周壁部8aと連続するように略円筒状に形成された周壁部9aと、周壁部9aの天面を覆う天壁部9bとを有している。
【0033】
蓋体9は、キャップ本体8にヒンジ部24を介して回動自在に取り付けられている。蓋体9は、ヒンジ部24の内側に設けられた付勢部材(図示せず。)によって、飲み口又は注ぎ口を開放する方向(開方向)に付勢された状態となっている。なお、付勢部材については、捻りコイルバネなどのバネ部材や、ゴム又はエラストマー等の弾性部材などを用いることができる。
【0034】
蓋体9の内側には、口形成部材13が形成する飲み口又は注ぎ口を閉塞する閉栓部材25が設けられている。蓋体9は、天壁部9bの下面側の略中央部から立ち下がる略筒状の内壁部9cを有している。閉栓部材25は、この内壁部9cの内側に嵌合により取り付けられている。閉栓部材25の内側には、後述する蓋ロック機構10が収容される収容空間が設けられている。
【0035】
閉栓部材25が取り付けられた蓋体9は、閉栓部材25が口形成部材13の内側に嵌め込まれた状態で、口形成部材13が形成する飲み口又は注ぎ口を閉塞する。
【0036】
閉栓部材25の外周部には、飲み口又は注ぎ口を密閉する蓋パッキン26が着脱自在に取り付けられている。蓋パッキン26は、口形成部材13と閉栓部材25との間を密閉するための栓状のシール部材である。なお、蓋パッキン26には、止水パッキン23と同じ材質のものが用いられている。蓋パッキン26は、閉栓部材25を覆うように閉栓部材25に嵌め付けられている。また、蓋パッキン26には、通液口14に当接される略ドーム状の第1の栓部26aと、通気口15に当接される略円柱状の第2の栓部26bとが設けられている。
【0037】
蓋パッキン26は、口形成部材13の内側に嵌め込まれた際に、弾性変形しながら第1の栓部26aが通液口14の周囲に密着した状態で通液口14を閉塞すると共に、第2の栓部26bが通気口15の周囲に密着した状態で通気口15を閉塞する。これにより、口形成部材13と閉栓部材25との間を密閉することが可能となっている。
【0038】
蓋ロック機構10は、ヒンジ部24に設けられた付勢部材の付勢に抗して、蓋体9が飲み口又は注ぎ口を閉塞する位置にて蓋体9を固定するものである。また、蓋ロック機構10は、蓋体9の上部に操作ボタン27を有し、操作ボタン27をヒンジ部24に向かう方向にスライドさせる操作をした後に、操作ボタン27を押し下げる方向に操作することによって、蓋体9のロック状態を解除し、付勢部材の付勢により蓋体9を開方向に回動可能とする。
【0039】
具体的に、この蓋ロック機構10は、操作ボタン27をスライドさせる方向に案内するガイド溝28と、操作ボタン27を押し下げる方向に案内するガイド孔29とを有している。
【0040】
操作ボタン27は、略円板状に形成されると共に、その下面にガイド凸部27aと、ガイド凸部27aから下方に向かって突出した規制凸部(一方の規制部材)27bとを有している。また、操作ボタン27の上面には、この操作ボタン27を指でスライド操作し易くするための凹部又は凸部を有した操作部27cが設けられている。
【0041】
ガイド溝28は、蓋体9(天壁部9b)の上面側の略中央部を操作ボタン27に対応した幅で前後方向に切り欠くように形成されている。ガイド孔29は、ガイド溝28の内側に位置して、操作ボタン27の外形に合わせて天壁部9bを貫通している。
【0042】
また、蓋ロック機構10は、ガイド孔29の内側に配置された操作部材30と、蓋体9にヒンジ部31を介して回動自在に取り付けられたロック部材32とを有している。
【0043】
操作部材30は、ガイド孔29の内形に合わせて略円板状に形成されると共に、その外周部から突出したフランジ部(図示せず。)がガイド孔29の周囲と当接されることによって、ガイド孔29よりも上方への移動が規制されている。また、操作部材30は、フランジ部に設けられたガイドスリット(図示せず。)に、内壁部9cの内側に設けられたガイドリブ(図示せず。)が係合されることによって、上下方向に昇降自在に支持されている。
【0044】
さらに、操作部材30の下面には、ガイドピン30aが突出して設けられている。一方、閉栓部材25の内側の底面には、ガイド筒25aが突出して設けられている。そして、操作部材30は、ガイド筒25aの内側にガイドピン30aが係合されることによって、上下方向に昇降自在に支持されている。
【0045】
閉栓部材25の内側には、第3のコイルバネ(第3のバネ部材)33が配置されている。第3のコイルバネ33は、ガイド筒25aを内側に進入させることによって、閉栓部材25の底面から立設した状態で保持されている。第3のコイルバネ33は、操作部材30を押し下げたときに、操作部材30と閉栓部材25との間で圧縮される(弾性変形する)ことによって、操作部材30を押し上げる方向に向かって付勢する。また、第3のコイルバネ33を設けることによって、蓋ロック機構10による蓋体9のロック状態を確実に維持することが可能である。
【0046】
操作部材30には、ガイド凹部30bが設けられている。ガイド凹部30bは、操作部材30の前端から後端に向かって操作部材30を操作ボタン27のスライド量に応じた長さ分だけ切り欠くように形成されている。操作部材30は、このガイド凹部30bにガイド凸部27aを係合させた状態で、操作ボタン27を前後方向にスライド自在に案内(支持)している。
【0047】
また、ガイド凹部30bの内側には、第1のコイルバネ(第1のバネ部材)34が配置されている。第1のコイルバネ34は、規制凸部27bの後側の側面から突出したピン27dを内側に進入させた状態で、ガイド凸部27aとガイド凹部30bとの間で保持されている。
【0048】
第1のコイルバネ34は、操作ボタン27をスライド方向(前後方向)の一端側(前側)から他端側(後側)に向かってスライドさせたときに、操作ボタン27(ガイド凸部27a)と操作部材30(ガイド凹部30b)との間で圧縮される(弾性変形する)ことによって、操作ボタン27をスライド方向(前後方向)の一端側(前側)に向かって付勢する。
【0049】
ここで、操作ボタン27のスライド方向(前後方向)の一端(前端)は、この操作ボタン27の一部が蓋体9(天壁部9b)の上面と重なる位置(以下、第1の位置という。)にある。第1の位置では、操作ボタン27の一部が蓋体9(天壁部9b)の上面と当接されることによって、操作ボタン27の押圧操作を規制している。
【0050】
また、閉栓部材25の内側の底面には、操作ボタン27が第1の位置にあるとき、規制凸部27bと対向する規制ピン25b(他方の規制部材)が設けられている。第1の位置では、規制凸部27bが規制ピン25bの上方に位置している。この場合、仮に部品の変形等により操作ボタン27が落ち込み過ぎたとしても、規制凸部27bが規制ピン25bに当接されることによって、操作ボタン27の押圧操作を規制しながら、この操作ボタン27のスムーズなスライド操作が可能となっている。
【0051】
一方、操作ボタン27のスライド方向(前後方向)の他端(後端)は、操作ボタン27がガイド孔29と重なる位置(以下、第2の位置という。)にある。また、第2の位置では、規制ピン25bに対する規制凸部27bの位置が後側にずれることによって、規制ピン25bによる規制凸部27bの規制が解除される。これにより、第2の位置では、操作ボタン27の押圧操作が可能となっている。
【0052】
ロック部材32は、蓋体9の前側の周壁部9aと天壁部9bとの間に設けられたヒンジ部31に回動自在に支持されている。ロック部材32は、ヒンジ部31から周壁部9aの内面に沿って延長された第1のアーム部32aと、ヒンジ部31から天壁部9aの下面に沿って延長された第2のアーム部32bとを有している。
【0053】
第1のアーム部32aの先端(ロック部材32の一端)には、フック部(一方の係止部)35が設けられている。フック部35の先端は、後方に向かって突出し、更に、その突出した部分の下面側が傾斜している。
【0054】
蓋体9(周壁部9a)の前側には、フック部35を外方に臨ませるスリット9dが設けられている。スリット9dは、周壁部9aを下端側からフック部35に対応した幅で切り欠くように形成されている。一方、スリット9dから外方に臨むフック部35の外面は、蓋体9の周壁部9aと連続した外周面を形成している。
【0055】
キャップ本体8には、フック部35が係止される係止凹部(他方の係止部)36が設けられている。係止凹部36は、上壁部8cの前側をフック部35の形状に合わせて切り欠くように形成されている。
【0056】
ロック部材32は、フック部35が係止凹部36に係止されるロック位置と、フック部35と係止凹部36との係止状態が解除されるロック解除位置との間で回動される。
【0057】
閉栓部材25の内側には、第2のコイルバネ(第2のバネ部材)37が設けられている。第2のコイルバネ37は、閉栓部材25の内側の底面から突出したピン25cと、第2のアーム部32bの先端(ロック部材32の他端)から下方に向かって突出したピン32cとを、それぞれ内側に進入させることによって、閉栓部材25の底面から立設した状態で保持されている。第2のコイルバネ37は、第2のアーム部32bの先端と閉栓部材25との間で圧縮された状態で、ロック部材32を回動方向のロック位置側に向かって付勢している。
【0058】
以上のような構成を有する蓋ロック機構10では、操作ボタン27を第1のコイルバネ34の付勢に抗して第1の位置から第2の位置までスライドさせる操作をした後に、操作ボタン27を操作部材30と共に第2のコイルバネ37及び第3のコイルバネ33の付勢に抗してガイド孔29の内側に向かって押し下げる操作を行う。
【0059】
これにより、操作部材30が第2のアーム部32bの先端(ロック部材32の他端)を押圧しながら、第2のコイルバネ37の付勢に抗してロック部材32をロック解除位置まで回動させる。以上のような操作ボタン27の操作によって、蓋体9のロック状態を解除し、付勢部材の付勢により蓋体9を開方向に回動させることが可能である。
【0060】
ところで、蓋体9には、
図6に示すように、少なくとも側面(周壁部9a)の一部を覆う滑り止め部材38が設けられている。滑り止め部材38には、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどからなり、一部が開放されたリング形状(いわゆるC字状)を有している。また、滑り止め部材38の両先端側の内側には、抜け止め突起38aが突出して設けられている。
【0061】
一方、周壁部9aには、ヒンジ部24とヒンジ部31との間に亘って、滑り止め部材38に対応した形状の嵌合凹部39が設けられている。また、嵌合凹部39の内側には、抜け止め突起38aが嵌合される一対の嵌合孔40が設けられている。
【0062】
滑り止め部材38は、嵌合凹部39に嵌合された状態で、一対の抜け止め突起38aを一対の嵌合孔40に嵌合することによって、ヒンジ部24及びヒンジ部31とのそれぞれの端部を覆うように設けられている。また、滑り止め部材38の外面は、蓋体9の周壁部9aと連続した外周面を形成している。
【0063】
本実施形態の飲料用容器1では、このような滑り止め部材38を設けることによって、操作ボタン27の操作をし易くすることが可能である。また、滑り止め部材38がヒンジ部24,31の端部を覆うことで、これらヒンジ部24,31を保護しながら、ヒンジ部24,31の防水性を高めることが可能である。これにより、ヒンジ部24,31の破損や、ヒンジ部24,31での錆の発生などを防ぐことが可能である。
【0064】
以上のように、本実施形態のキャップユニット3では、操作ボタン27をスライドさせる操作の後に、操作ボタン27を押し下げる操作(いわゆる2アクションによる操作)を行うことによって、蓋体9のロック状態が解除される。このため、従来のような操作ボタンの不用意な押圧操作(いわゆる1アクションによる操作)によって、蓋体のロック状態が解除されるといったことを防ぐことが可能である。
【0065】
また、本実施形態のキャップユニット3では、従来のような安全ストッパーなどを設ける必要がないため、部品点数を増やすことなく、不用意な操作によって蓋体9が開くことを防止できる。
【0066】
また、本実施形態のキャップユニット3では、上述した操作ボタン27をスライドさせる操作と、操作ボタン27を押し下げる操作とを連続した操作で行うことができる。これにより、従来のようにコップを取り外してから操作ボタンを操作したり、安全ストッパーを解除してから操作ボタン27を操作したりする必要がないため、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0067】
また、本実施形態のキャップユニット3では、蓋体9のロック状態を解除したときのみ、スリット9dの間からフック部35が外側(前側)に突き出される構成のため、蓋体9をロックした状態では、フック部35がスリット9dの内側にあり、フック部35にロック状態を解除する方向の力が加わりにくくなっている。また、フック部35が破損しづらい構造となっている。
【0068】
以上のようにして、本実施形態のキャップユニット3を備える飲料用容器1では、不用意な操作によって蓋体9が開くことを防止しつつ、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記飲料用容器1については、上述した外観形状を有したものに限定されるものではなく、そのサイズや機能、デザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。
【0070】
また、本発明は、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせた飲料用容器1に好適に適用できるが、上述した真空断熱構造を有する容器本体2を用いたものに必ずしも限定されるものではない。すなわち、本発明は、キャップユニットが容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられる飲料用容器に対して幅広く適用することが可能である。