特許第6509810号(P6509810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6509810
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】水晶発振器及び水晶発振器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20190422BHJP
【FI】
   H03B5/32 G
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-506500(P2016-506500)
(86)(22)【出願日】2015年3月3日
(86)【国際出願番号】JP2015056210
(87)【国際公開番号】WO2015133472
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-44712(P2014-44712)
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-44713(P2014-44713)
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-156876(P2014-156876)
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-156877(P2014-156877)
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】中岡 高司
(72)【発明者】
【氏名】赤池 和男
(72)【発明者】
【氏名】星上 浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 薫
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−176393(JP,A)
【文献】 特開昭52−147481(JP,A)
【文献】 特開2006−189312(JP,A)
【文献】 特開2007−103985(JP,A)
【文献】 特開2014−007678(JP,A)
【文献】 特開平10−065449(JP,A)
【文献】 特開2010−161437(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02106028(EP,A1)
【文献】 特開2006−148266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/32 − H03B 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子と、
前記水晶振動子を第1周波数で発振させる第1発振回路と、
前記水晶振動子と前記第1発振回路とを有する第1発振系統のインピーダンスを調整する第1インピーダンス調整回路と、
前記水晶振動子を前記第1周波数とは異なる第2周波数で発振させる第2発振回路と、
前記水晶振動子と前記第2発振回路とを有する第2発振系統のインピーダンスを調整する第2インピーダンス調整回路と、
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路を制御する制御回路と、
前記水晶振動子と前記第1発振回路との間に設けられており、前記第1周波数において前記第1発振系統に対して負性抵抗を生じさせる第1負性抵抗発生回路と、
前記水晶振動子と前記第2発振回路との間に設けられており、前記第2周波数において前記第2発振系統に対して負性抵抗を生じさせる第2負性抵抗発生回路と、
を備え、
前記第1周波数に対する所定範囲外の周波数においてほぼ短絡となり負性抵抗が発生せず、
かつ前記第2周波数に対する所定範囲外の周波数においてほぼ短絡となり負性抵抗が発生しない、水晶発振器。
【請求項2】
前記第1負性抵抗発生回路は、前記第1周波数においてハイインピーダンスとなり、前記第2負性抵抗発生回路は、前記第2周波数においてハイインピーダンスとなる、
請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項3】
前記水晶振動子と、前記第1発振回路及び前記第2発振回路の少なくともいずれかとの間に、発振回路間のアイソレーションを確保するためのアイソレーション調整回路をさらに備える、
請求項1又は2に記載の水晶発振器。
【請求項4】
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路は、複数の抵抗から構成される抵抗アレイを有し、
前記制御回路は、当該抵抗アレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路の少なくともいずれかの抵抗値の調整を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の水晶発振器。
【請求項5】
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路は、複数のコンデンサから構成されるコンデンサアレイを有し、
前記制御回路は、当該コンデンサアレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路の少なくともいずれかの容量値の調整を行う、
請求項1からのいずれか1項に記載の水晶発振器。
【請求項6】
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路は、可変容量ダイオードを有し、
前記制御回路は、当該可変容量ダイオードを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路の少なくともいずれかの周波数特性の調整を行う、
請求項1からのいずれか1項に記載の水晶発振器。
【請求項7】
前記第1発振回路、前記第2発振回路、前記第1インピーダンス調整回路、前記第2インピーダンス調整回路、及び前記制御回路は集積回路内に設けられている、
請求項1からのいずれか1項に記載の水晶発振器。
【請求項8】
前記水晶振動子と前記第1発振回路との間に設けられ、前記第2周波数の発振信号を遮断する第1フィルタ回路と、
前記水晶振動子と前記第2発振回路との間に設けられ、前記第1周波数の発振信号を遮断する第2フィルタ回路との少なくともいずれかをさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の水晶発振器。
【請求項9】
前記第1周波数及び前記第2周波数を検出し、前記第1周波数と前記第2周波数との差に基づいて、前記水晶振動子の近傍の温度を制御する温度制御回路をさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の水晶発振器。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の水晶発振器の製造方法であって、
前記第1インピーダンス調整回路を調整して前記第1発振系統のインピーダンスを調整する第1ステップと、
前記第2インピーダンス調整回路を調整して前記第2発振系統のインピーダンスを調整する第2ステップと、
を備える水晶発振器の製造方法。
【請求項11】
前記第1ステップは、
前記第1インピーダンス調整回路の抵抗アレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路を流れる電流値を調整するステップと、
前記第1インピーダンス調整回路のコンデンサアレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路の周波数特性を調整するステップと、
を有し、
前記第2ステップは、
前記第2インピーダンス調整回路の抵抗アレイを制御することにより、前記第2インピーダンス調整回路を流れる電流値を調整するステップと、
前記第2インピーダンス調整回路のコンデンサアレイを制御することにより、前記第2インピーダンス調整回路の周波数特性を調整するステップと、
を有する、
請求項10に記載の水晶発振器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振器及び水晶発振器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の水晶振動子を備え、第1周波数の発振信号と、第1周波数とは異なる第2周波数の発振信号とを出力可能な水晶発振器が知られている。例えば、特許文献1には、外部装置に出力する第1発振信号と、温度センサ用に用いられる第2発振信号とを出力することができる温度補償型の水晶発振器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−135342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12は、2つの周波数の信号を出力する従来の水晶発振器100の構成を示す図である。図12に示すように、従来の水晶発振器100は、第1水晶振動子101と、第1水晶振動子101を第1周波数で発振させる第1発振回路102と、第2水晶振動子103と、第2水晶振動子103を第2周波数で発振させる第1発振回路104とを備える。しかしながら、従来の水晶発振器100は、2つの水晶振動子を備えるため、実装面積が大きくなるという問題がある。
【0005】
このような問題に対応するため、一の水晶振動子を異なる周波数で同時に発振させる方法がある。図13は、一の水晶振動子を異なる周波数で同時に発振させる水晶発振器110の構成を示す図である。水晶発振器110は、水晶振動子111と、水晶振動子111を第1周波数で発振させる第1発振回路112と、水晶振動子111を第2周波数で発振させる第2発振回路113とを備える。しかしながら、水晶発振器110は、それぞれの発振回路が相互に影響し、安定して出力信号を発振させることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、実装面積を小さくするとともに、出力信号を安定して発振させることができる水晶発振器及び水晶発振器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水晶発振器は、水晶振動子を第1周波数で発振させる第1発振回路と、前記水晶振動子と前記第1発振回路とを有する第1発振系統のインピーダンスを調整する第1インピーダンス調整回路と、前記水晶振動子を前記第1周波数とは異なる第2周波数で発振させる第2発振回路と、前記水晶振動子と前記第2発振回路とを有する第2発振系統のインピーダンスを調整する第2インピーダンス調整回路と、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記水晶発振器は、前記水晶振動子と、前記第1発振回路及び前記第2発振回路の少なくともいずれかとの間に、前記第1周波数及び前記第2周波数のいずれかにおいて前記第1発振系統又は前記第2発振系統に対して負性抵抗を生じさせる負性抵抗発生回路をさらに備えてもよい。
前記負性抵抗発生回路は、前記第1周波数及び前記第2周波数のいずれかにおいてハイインピーダンスとなることが好ましい。前記負性抵抗発生回路は、前記第1周波数に対する所定範囲外の周波数及び前記第2周波数に対する所定範囲外の周波数においてほぼ短絡となり負性抵抗が発生しないことが好ましい。
【0009】
前記水晶発振器は、前記水晶振動子と、前記第1発振回路及び前記第2発振回路の少なくともいずれかとの間に、発振回路間のアイソレーションを確保するためのアイソレーション調整回路をさらに備えてもよい。
【0010】
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路は、複数の抵抗から構成される抵抗アレイを有し、前記制御回路は、当該抵抗アレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路の少なくともいずれかの抵抗値の調整を行ってもよい。
【0011】
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路は、複数のコンデンサから構成されるコンデンサアレイを有し、前記制御回路は、当該コンデンサアレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路の少なくともいずれかの容量値の調整を行ってもよい。
【0012】
前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路は、可変容量ダイオードを有し、前記制御回路は、当該可変容量ダイオードを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路及び前記第2インピーダンス調整回路の少なくともいずれかの周波数特性の調整を行ってもよい。
前記第1発振回路、前記第2発振回路、前記第1インピーダンス調整回路、前記第2インピーダンス調整回路、及び前記制御回路は集積回路内に設けられていてもよい。
【0013】
前記水晶発振器は、前記水晶振動子と前記第1発振回路との間に設けられ、前記第2周波数の発振信号を遮断する第1フィルタ回路と、前記水晶振動子と前記第2発振回路との間に設けられ、前記第1周波数の発振信号を遮断する第2フィルタ回路との少なくともいずれかをさらに備えてもよい。
【0014】
また、前記水晶発振器は、前記第1周波数及び前記第2周波数を検出し、前記第1周波数と前記第2周波数との差に基づいて、前記水晶振動子の近傍の温度を制御する温度制御回路をさらに備えてもよい。
【0015】
本発明の製造方法は、水晶発振器の製造方法であって、前記第1インピーダンス調整回路を調整して前記第1発振系統のインピーダンスを調整する第1ステップと、前記第2インピーダンス調整回路を調整して前記第2発振系統のインピーダンスを調整する第2ステップと、を備える。
【0016】
また、前記第1ステップは、前記第1インピーダンス調整回路の抵抗アレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路を流れる電流値を調整するステップと、前記第1インピーダンス調整回路のコンデンサアレイを制御することにより、前記第1インピーダンス調整回路の周波数特性を調整するステップと、を有し、前記第2ステップは、前記第2インピーダンス調整回路の抵抗アレイを制御することにより、前記第2インピーダンス調整回路を流れる電流値を調整するステップと、前記第2インピーダンス調整回路のコンデンサアレイを制御することにより、前記第2インピーダンス調整回路の周波数特性を調整するステップと、を有してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実装面積を小さくするとともに、出力信号を安定して発振させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る水晶発振器の回路構成図である。
図2A】第1の実施形態に係る第1インピーダンス調整回路における容量値を固定し、抵抗値を変化させたときの負性抵抗特性を示す図である。
図2B】第1の実施形態に係る第1インピーダンス調整回路における抵抗値を固定し、容量値を変化させたときの負性抵抗特性を示す図である。
図3】第2の実施形態に係る水晶発振器の回路構成図である。
図4】第3の実施形態に係る水晶発振器の回路構成図である。
図5】第3の実施形態に係る第1負性抵抗発生回路及び第2負性抵抗発生回路の回路構成の一例を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る第1負性抵抗発生回路及び第2負性抵抗発生回路の回路構成の他の例を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る第1発振系統及び第2発振系統における負性抵抗特性と水晶振動子のインピーダンス特性とを示す図である。
図8】第4の実施形態に係る水晶発振器の内部の回路構成図である。
図9】水晶発振器における信号経路を示す図である。
図10】第4の実施形態に係る水晶発振器の回路インピーダンスの周波数特性を示す図である。
図11】第5の実施形態に係る水晶発振器の内部の回路構成図である。
図12】2つの周波数の信号を出力する従来の水晶発振器の構成を示す図である。
図13】一の水晶振動子を異なる周波数で同時に発振させる水晶発振器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
[水晶発振器1の構成]
図1は、第1の実施形態に係る水晶発振器1の回路構成図である。
水晶発振器1は、水晶振動子12と、第1発振回路13と、第2発振回路14と、第1インピーダンス調整回路17と、第2インピーダンス調整回路18と、制御回路19と、第1アイソレーション調整回路20と、第2アイソレーション調整回路21とを備える。
【0020】
水晶振動子12は、例えば、ATカットの水晶振動子又はSCカットの水晶振動子である。
第1発振回路13は、水晶振動子12に接続されており、水晶振動子12を第1周波数で発振させて第1発振信号を発生する。
第2発振回路14は、水晶振動子12に接続されており、水晶振動子12を第1周波数とは異なる第2周波数で発振させて第2発振信号を発生する。
【0021】
ここで、水晶振動子12と第1発振回路13とを有し、第1発振信号を発生させる回路を第1発振系統といい、水晶振動子12と第2発振回路14とを有し、第2発振信号を発生させる回路を第2発振系統という。
【0022】
水晶振動子12がATカットの水晶振動子である場合、第1周波数は、水晶振動子12を第1次数で発振させたときの周波数であり、第2周波数は、水晶振動子12を第1次数とは異なる第2次数で発振させたときの周波数である。ここで、第1次数及び第2次数は、水晶振動子12のオーバートーン次数であるが、第1周波数及び第2周波数のいずれかが基本周波数であってもよい。
【0023】
また、水晶振動子12がSCカットの水晶振動子である場合、第1周波数は、水晶振動子12を第1のモード(例えば、Bモード)で発振させたときの周波数であり、第2周波数は、水晶振動子12を第2のモード(例えば、Cモード)で発振させたときの周波数である。
【0024】
第1インピーダンス調整回路17は、水晶振動子12と、第1発振回路13との間に設けられており、第1発振系統のインピーダンスを調整する。
第2インピーダンス調整回路18は、水晶振動子12と、第2発振回路14との間に設けられており、第2発振系統のインピーダンスを調整する。
第1インピーダンス調整回路17及び第2インピーダンス調整回路18は、複数の抵抗から構成される抵抗アレイと、複数のコンデンサから構成されるコンデンサアレイとを有している。
【0025】
制御回路19は、第1インピーダンス調整回路17と、第2インピーダンス調整回路18とに接続されており、第1インピーダンス調整回路17及び第2インピーダンス調整回路18を制御する。制御回路19は、水晶発振器1の製造時に、第1インピーダンス調整回路17を調整して第1発振系統のインピーダンスを調整する第1ステップと、第2インピーダンス調整回路18を調整して第2発振系統のインピーダンスを調整する第2ステップとを実行する。
【0026】
具体的には、制御回路19は、第1ステップに係る制御として、第1インピーダンス調整回路17の抵抗アレイを制御することにより、第1インピーダンス調整回路17を流れる電流値を調整するステップと、第1インピーダンス調整回路17のコンデンサアレイを制御することにより、第1インピーダンス調整回路17の周波数特性を調整するステップとを実行する。
【0027】
また、制御回路19は、第2ステップに係る制御として、第2インピーダンス調整回路18の抵抗アレイを制御することにより、第2インピーダンス調整回路18を流れる電流値を調整するステップと、第2インピーダンス調整回路18のコンデンサアレイを制御することにより、第2インピーダンス調整回路18の周波数特性を調整するステップとを実行する。
【0028】
以下、制御回路19による具体的な制御方法について、制御回路19が第1インピーダンス調整回路17を制御する例を用いて説明する。なお、制御回路19は、第1インピーダンス調整回路17を制御する場合と同様の制御方法によって第2インピーダンス調整回路18を制御するため、制御回路19が第2インピーダンス調整回路18を制御する例については説明を省略する。
【0029】
まず、制御回路19は、第1インピーダンス調整回路17内の容量値を固定し、抵抗アレイを制御することにより、第1インピーダンス調整回路17内の抵抗値を変化させ、第1発振系統の負性抵抗特性を変化させる。具体的には、制御回路19は、第1インピーダンス調整回路17の抵抗アレイの抵抗値と、第1インピーダンス調整回路17を流れる電流とを関連付けたテーブルを記憶するレジスタを有している。そして、制御回路19は、当該テーブルに基づいて抵抗アレイの抵抗値のステップ切換を行うことによって、第1インピーダンス調整回路17を流れる電流値を切り換える。そして、制御回路19は、第1発振系統において、第1周波数の信号が発振するように、負性抵抗特性を調整する。
【0030】
図2Aは、第1の実施形態に係る第1インピーダンス調整回路17における容量値を固定し、抵抗値を変化させたときの負性抵抗特性を示す図である。図2Aにおいて実線で示される特性は、第1インピーダンス調整回路17の抵抗値を第1の抵抗値としたときの負性抵抗特性、破線で示される特性は第2の抵抗値としたときの負性抵抗特性、点線で示される特性は第3の抵抗値としたときの負性抵抗特性、一点鎖線で示される特性は第4の抵抗値としたときの負性抵抗特性を示す。図2Aに示されるように、抵抗値を変化させることにより、負性抵抗がマイナス値となる周波数が変化していることが確認できる。
【0031】
例えば、第1発振回路13から出力する第1発振信号の第1周波数が20MHz付近である場合、制御回路19は、20MHzにおいて負性抵抗の値がマイナス値を示している第1の抵抗値に対応する抵抗の組み合わせを特定する。このようにすることで、制御回路19は、第1周波数付近で負性抵抗がマイナス値になるように調整することができる。
【0032】
続いて、制御回路19は、特定した抵抗の組み合わせで抵抗アレイを固定し、コンデンサアレイを制御することにより、第1インピーダンス調整回路17内の容量値を変化させ、負性抵抗の周波数特性を変化させる。具体的には、制御回路19は、第1インピーダンス調整回路17のコンデンサアレイの容量値と、第1インピーダンス調整回路17を流れる電流とを関連付けたテーブルをレジスタに記憶している。そして、制御回路19は、当該テーブルに基づいてコンデンサアレイの容量値のステップ切換を行うことによって、第1インピーダンス調整回路17の容量値を切り換える。これにより、制御回路19は、第1周波数付近における第1発振系統の負性抵抗の深さを調整する。
【0033】
図2Bは、第1の実施形態に係る第1インピーダンス調整回路17における抵抗値を固定し、容量値を変化させたときの負性抵抗特性を示す図である。図2Bにおいて実線で示される特性は、第1インピーダンス調整回路17の容量値を第1の容量値としたときの負性抵抗特性、破線で示される特性は第2の容量値としたときの負性抵抗特性、点線で示される特性は第3の容量値としたときの負性抵抗特性、一点鎖線で示される特性は第4の容量値としたときの負性抵抗特性を示す。図2Bに示されるように、容量値を変化させることにより、負性抵抗がマイナス値となる周波数がほとんど変化せずに、負性抵抗の値の大きさが変化していることが確認できる。図2Bでは、容量値を変化させることで、20MHz付近における負性抵抗の大きさが大きく変化していることが確認できる。
【0034】
例えば、第1発振回路13から出力する第1発振信号の第1周波数が20MHz付近である場合、制御回路19は、20MHzにおいて周波数が変化しても負性抵抗が急激に変化しないように、第2の容量値に対応するコンデンサの組み合わせを特定する。このようにすることで、制御回路19は、第1周波数付近で負性抵抗が大きく変化しないように調整することができる。なお、制御回路19は、コンデンサアレイを制御することにより、第1周波数において安定的に発振する容量の組み合わせを複数特定し、特定した容量の組み合わせから一の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0035】
また、第1インピーダンス調整回路17及び第2インピーダンス調整回路18は、コンデンサアレイを備えることとしたが、これに限らず、可変容量ダイオードを有していてもよい。この場合、制御回路19は、当該可変容量ダイオードを制御することにより、第1インピーダンス調整回路17及び第2インピーダンス調整回路18の少なくともいずれかのインピーダンスを調整する。
【0036】
第1アイソレーション調整回路20は、水晶振動子12と、第1インピーダンス調整回路17との間に設けられており、発振回路間のアイソレーションを確保する。
具体的には、第1アイソレーション調整回路20は、コンデンサ201と、抵抗202と、コンデンサ203と、抵抗204とを備える。コンデンサ201と抵抗202とは直列に接続されており、水晶振動子12の一端と、第1インピーダンス調整回路17の一端とに接続されている。コンデンサ203と抵抗204とは直列に接続されており、水晶振動子12の他端と、第1インピーダンス調整回路17の他端とに接続されている。
【0037】
第2アイソレーション調整回路21は、水晶振動子12と、第2インピーダンス調整回路18との間に設けられており、発振回路間のアイソレーションを確保する。
具体的には、第2アイソレーション調整回路21は、コンデンサ211と、抵抗212と、コンデンサ213と、抵抗214とを備える。コンデンサ211と抵抗212とは直列に接続されており、水晶振動子12の一端とコンデンサ201との間の接続点と、第2インピーダンス調整回路18の一端とに接続されている。コンデンサ213と抵抗214とは直列に接続されており、水晶振動子12の他端とコンデンサ203との間の接続点と、第2インピーダンス調整回路18の他端とに接続されている。
【0038】
ここで、第1アイソレーション調整回路20及び第2アイソレーション調整回路21の容量値及び抵抗値は、第1発振信号及び第2発振信号の用途に応じて調整される。例えば、第1の実施形態において、第1発振信号が外部に出力する発振信号であり、高安定性が求められる場合、第1アイソレーション調整回路20の容量値を調整することでアイソレーションを確保する。この場合において、第1アイソレーション調整回路20には、抵抗を設けないようにしてもよい。また、第2発振信号が、特性の劣化を許容できる発振信号である場合、第2アイソレーション調整回路21の抵抗値を調整することでアイソレーションを確保する。
【0039】
このように、第1アイソレーション調整回路20及び第2アイソレーション調整回路21を設けることにより、それぞれの発振系統において、他の発振系統の影響を受けにくくし、安定して発振信号を出力させることができる。
【0040】
[第1の実施形態の効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る水晶発振器1は、第1発振系統のインピーダンスを調整する第1インピーダンス調整回路17と、第2発振系統のインピーダンスを調整する第2インピーダンス調整回路18と、第1インピーダンス調整回路17及び第2インピーダンス調整回路18を制御する制御回路19とを備える。このようにすることで、それぞれの発振系統における負性抵抗を適切な値に調整し、一の水晶振動子12を2つの周波数で同時に安定して発振させることができる。また、一の水晶振動子12により出力信号を発振させるので、実装面積を小さくすることができる。
【0041】
<第2の実施形態>
[発振回路、インピーダンス調整回路及び制御回路を集積回路化する]
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、発振回路、インピーダンス調整回路及び制御回路を集積回路に設けた点で第1の実施形態と異なり、その他の点では同じである。
【0042】
図3は、第2の実施形態に係る水晶発振器1の回路構成図である。第2の実施形態において、水晶発振器1は、集積回路30をさらに備える。第2の実施形態において、第1発振回路13、第2発振回路14、第1インピーダンス調整回路17、第2インピーダンス調整回路18及び制御回路19は、集積回路30内に設けられている。
このようにすることで、水晶発振器1は、第1実施形態に比べてさらに小型化を実現することができる。
【0043】
<第3の実施形態>
[負性抵抗発生回路を備える]
続いて、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、各発振系統に対して負性抵抗発生回路を備える点で第1の実施形態と異なり、その他の点では同じである。
図4は、第3の実施形態に係る水晶発振器1の回路構成図である。第3の実施形態において、水晶発振器1は、第1負性抵抗発生回路22と、第2負性抵抗発生回路23とをさらに備える。なお、水晶発振器1は、第1負性抵抗発生回路22及び第2負性抵抗発生回路23のいずれかを備えるようにしてもよい。
【0044】
また、水晶発振器1は、第1発振回路13、第2発振回路14、第1インピーダンス調整回路17、第2インピーダンス調整回路18及び制御回路19を第2の実施形態と同様に集積回路に設けてもよい。また、水晶発振器1は、第1負性抵抗発生回路22及び第2負性抵抗発生回路23を集積回路に設けてもよい。このようにすることで、実装面積をさらに小さくすることができる。
【0045】
第1負性抵抗発生回路22は、水晶振動子12と第1発振回路13との間に設けられ、第1周波数においてハイインピーダンスとなり、第1発振系統に負性抵抗を生じさせる。また、第1負性抵抗発生回路22は、第1周波数に対する所定範囲外の周波数においてほぼ短絡状態となる。これにより、第1発振系統では、第1周波数に対する所定範囲外の周波数において負性抵抗がほとんど発生しない。
【0046】
第2負性抵抗発生回路23は、水晶振動子12と第2発振回路14との間に設けられ、第2周波数においてハイインピーダンスとなり、第2発振系統に負性抵抗を生じさせる。また、第2負性抵抗発生回路23は、第2周波数に対する所定範囲外の周波数においてほぼ短絡状態となる。これにより、第2発振系統では、第2周波数に対する所定範囲外の周波数において負性抵抗がほとんど発生しない。
【0047】
図5は、第3の実施形態に係る第1負性抵抗発生回路22及び第2負性抵抗発生回路23の回路構成の一例を示す図である。第1負性抵抗発生回路22は、コンデンサ221と、コンデンサ222と、コンデンサ223と、抵抗224と、インダクタ225とを有する。コンデンサ221、コンデンサ222及びコンデンサ223は、直列に接続されており、一端が、水晶振動子12の一端と第1インピーダンス調整回路17の一端との間に接続されており、他端が、水晶振動子12の他端と第1インピーダンス調整回路17の他端との間に接続されている。抵抗224及びインダクタ225は、コンデンサ222に並列に接続されている。第2負性抵抗発生回路23は、第1負性抵抗発生回路22と同様の構成であるため説明を省略する。
【0048】
なお、第1負性抵抗発生回路22及び第2負性抵抗発生回路23は、図5に示す回路構成と異なる回路構成であってもよい。図6は、第3の実施形態に係る第1負性抵抗発生回路22及び第2負性抵抗発生回路23の回路構成の他の例を示す図である。図6に示す例において、第1負性抵抗発生回路22は、コンデンサ221と、コンデンサ223と、コンデンサ226と、コンデンサ227と、インダクタ228と、抵抗229とを有する。コンデンサ227、インダクタ228及び抵抗229は直列に接続されている。コンデンサ226と、直列に接続されたコンデンサ227、インダクタ228及び抵抗229とは並列回路を形成している。この並列回路は、一端が、コンデンサ221に接続されており、他端が、コンデンサ223に接続されている。また、コンデンサ221は、水晶振動子12の一端と第1インピーダンス調整回路17の一端との間に接続されており、コンデンサ223は、水晶振動子12の他端と第1インピーダンス調整回路17の他端との間に接続されている。
【0049】
図5及び図6に示すように、第1負性抵抗発生回路22がインダクタ225又はインダクタ228を有していることから、各発振回路のアイソレーションをさらに高めることができる。これにより、水晶発振器1は、水晶振動子12がSCカットであっても、Cモードに対応する第1発振信号及びBモードに対応する第2発振信号を安定的に出力することができる。
【0050】
図7は、第3の実施形態に係る第1発振系統及び第2発振系統における負性抵抗特性と、水晶振動子12のインピーダンス特性とを示す図である。図7において、実線で示される特性は、水晶振動子12から見たときの回路側の合成インピーダンスの特性を示し、破線で示される特性は、同じく水晶振動子12から見たときの回路側の負性抵抗特性を示している。ここでは、第1発振系統において出力される第1発振信号の第1周波数が、30MHz付近の破線で囲まれた範囲の周波数であり、第2発振系統において出力される第2発振信号の第2周波数が、14MHz付近の破線で囲まれた範囲の周波数であるものとする。
【0051】
図7に示すように、30MHz付近では、負性抵抗がマイナス値を示し、さらに、水晶振動子12のインピーダンスがハイインピーダンスとなり発振条件を満たしていることが確認できる。また、第1周波数に対する所定範囲以外の周波数で負性抵抗がほとんど発生しないことが確認できる。
【0052】
また、14MHz付近でも、負性抵抗がマイナス値を示し、さらに、水晶振動子12のインピーダンスがハイインピーダンスとなり発振条件を満たしていることが確認できる。また、第2周波数に対する所定範囲以外の周波数で負性抵抗がほとんど発生しないことが確認できる。
【0053】
[第3の実施形態の効果]
以上のとおり、第3の実施形態に係る水晶発振器1は、第1負性抵抗発生回路22及び第2負性抵抗発生回路23を備えることにより、それぞれの発振系統における発振周波数において負性抵抗を生じさせ、当該発振周波数に対応する所定範囲以外の周波数において負性抵抗を生じさせないようにすることができる。これにより、それぞれの発振系統において、さらに安定して発振信号を出力させることができる。
【0054】
<第4の実施形態>
[フィルタ回路を備える]
続いて、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の水晶発振器1は、各発振系統のそれぞれが、他の発振系統において出力される発振信号を遮断するフィルタ回路を備える点で第1の実施形態の水晶発振器1と異なり、その他の点では同じである。
【0055】
図8は、第4の実施形態に係る水晶発振器1の内部の回路構成図である。第4の実施形態において、水晶発振器1は、第1フィルタ回路24と、第2フィルタ回路25とをさらに備える。なお、水晶発振器1は、第1フィルタ回路24及び第2フィルタ回路25のいずれかを備えるようにしてもよい。
【0056】
また、水晶発振器1は、第2の実施形態と同様に、第1発振回路13、第2発振回路14、第1インピーダンス調整回路17、第2インピーダンス調整回路18及び制御回路19を集積回路内に設けてもよい。また、水晶発振器1は、第1フィルタ回路24及び第2フィルタ回路25を集積回路内に設けてもよい。
【0057】
第1フィルタ回路24は、水晶振動子12と、第1発振回路13との間に設けられ、第2周波数の第2発振信号を遮断する。具体的には、第1フィルタ回路24は、インダクタ241と、コンデンサ242と、インダクタ243と、コンデンサ244とを備える。インダクタ241と、コンデンサ242とは、水晶振動子12の一端と第1インピーダンス調整回路17の一端との間に設けられており、これらインダクタ241及びコンデンサ242は、並列に接続されている。インダクタ243と、コンデンサ244とは、水晶振動子12の他端と第1インピーダンス調整回路17の他端との間に設けられており、これらインダクタ243及びコンデンサ244は、並列に接続されている。第1フィルタ回路24は、共振周波数が第2周波数であり、第2周波数におけるインピーダンスが高いフィルタ回路である。
【0058】
第2フィルタ回路25は、水晶振動子12と、第2発振回路14との間に設けられ、第1周波数の第1発振信号を遮断する。具体的には、第2フィルタ回路25は、インダクタ251と、コンデンサ252と、インダクタ253と、コンデンサ254とを備える。インダクタ251と、コンデンサ252とは、水晶振動子12の一端と第2インピーダンス調整回路18の一端との間に設けられており、これらインダクタ251及びコンデンサ252は、並列に接続されている。インダクタ253と、コンデンサ254とは、水晶振動子12の他端と第2インピーダンス調整回路18の他端との間に設けられており、これらインダクタ253及びコンデンサ254は、並列に接続されている。第2フィルタ回路25は、共振周波数が第1周波数であり、第1周波数におけるインピーダンスが高いフィルタ回路である。
【0059】
図9は、水晶発振器1における信号経路を示す図である。図10は、水晶発振器1における回路インピーダンスの周波数特性を示す図である。なお、図9では、第1インピーダンス調整回路17、第2インピーダンス調整回路18、第1アイソレーション調整回路20、及び第2アイソレーション調整回路21を省略している。
【0060】
図9に示すように、水晶発振器1は、1つの水晶振動子12に対して第1発振回路13と第2発振回路14とが接続されていることから、水晶振動子12から見たときの信号経路として、第1経路及び第2経路が存在している。
【0061】
例えば、第1フィルタ回路24は、第2周波数f2におけるインピーダンスが高いので、第2発振回路14から第2周波数f2の第2発振信号が出力される場合には、第1経路には第2発振信号が流れない。これにより、水晶発振器1における信号経路のうち、第2経路が支配的となる。したがって、第1フィルタ回路24を第1発振回路13側に設けることにより、第1発振回路13が第2周波数f2で発振することを防止し、第1発振回路13における発振の安定度を向上させることができる。
【0062】
また、第2フィルタ回路25は、第1周波数f1におけるインピーダンスが高いので、第1発振回路13から第1周波数f1の第1発振信号が出力される場合には、第2経路には第1発振信号が流れない。これにより、水晶発振器1における信号経路のうち、第1経路が支配的となる。したがって、第2フィルタ回路25を第2発振回路14側に設けることにより、第2発振回路14が第1周波数f1で発振することを防止し、第2発振回路14における発振の安定度を向上させることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、第1フィルタ回路24は、インダクタ241、コンデンサ242、インダクタ243、及びコンデンサ244を備えることとしたが、これに限らない。第1フィルタ回路24は、インダクタ241及びコンデンサ242からなる並列回路、及びインダクタ243及びコンデンサ244からなる並列回路のいずれかを備えるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、第2フィルタ回路25は、インダクタ251、コンデンサ252、インダクタ253、及びコンデンサ254を備えることとしたが、これに限らない。第2フィルタ回路25は、インダクタ251及びコンデンサ252からなる並列回路、及びインダクタ253及びコンデンサ254からなる並列回路のいずれかを備えるようにしてもよい。
【0065】
また、第1フィルタ回路24及び第2フィルタ回路25の特性を、制御回路を用いて調整するようにしてもよい。例えば、コンデンサ242、コンデンサ244、コンデンサ252及びコンデンサ254のそれぞれに代えて、複数のコンデンサから構成されるコンデンサアレイをそれぞれ設け、当該制御回路によってこれらのコンデンサアレイを制御することにより第1フィルタ回路24及び第2フィルタ回路25における容量値を調整してもよい。このようにすることで、第1フィルタ回路24及び第2フィルタ回路25のQ値を調整することができる。
【0066】
[第4の実施形態の効果]
以上のとおり、第4の実施形態に係る水晶発振器1は、第1フィルタ回路24及び第2フィルタ回路25を備えることにより、それぞれの発振系統において発振信号が出力される場合に、他の発振系統に発振信号が流れることを防止し、それぞれの発振系統において、さらに安定して発振信号を出力させることができる。
【0067】
<第5の実施形態>
図11は、第5の実施形態に係る水晶発振器2の内部の回路構成図である。水晶発振器2は、第1の実施形態〜第4の実施形態のいずれかの水晶発振器1の回路が収容されている恒温槽11を有している。図11に示す水晶発振器2においては、恒温槽11に、第1の実施形態の水晶発振器1、温度制御回路31、及び記憶部32が収容され、恒温槽11の外部に、恒温槽11を加熱するヒータ回路33が設けられている。水晶発振器2は、第1発振回路13から出力される第1発振信号の第1周波数と第2発振回路14から出力される第2発振信号の第2周波数との差に基づいて、温度制御を行う点で、第1の実施形態〜第4の実施形態に係る水晶発振器1と異なる。
【0068】
温度制御回路31は、ヒータ回路33の加熱量を制御することにより、恒温槽11の温度を制御する。具体的には、温度制御回路31は、第1発振回路13及び第2発振回路14に接続されており、第1周波数及び第2周波数を検出し、第1周波数と第2周波数との差を特定する。温度制御回路31は、特定した周波数の差に基づいてヒータ回路33の加熱量を制御して恒温槽11を加熱し、恒温槽11内の水晶振動子12の近傍の温度を制御する。
【0069】
より具体的には、温度制御回路31は、第1周波数と第2周波数との差の実測値と、EEPROM等のメモリによって構成される記憶部32に記憶された、第1周波数と第2周波数との差の目標値と、を比較する。温度制御回路31は、実測値と目標値との差が小さくなるように、ヒータ回路33の加熱量を制御する。図11に示す例において、第1発振信号は、温度制御回路31に入力されるとともに、恒温槽11の外部に出力され、第2発振信号は、温度制御に用いるために温度制御回路31に入力される。このようにすることで、水晶発振器2は、第1発振信号の第1周波数の精度を向上させ、第1発振信号の周波数温度特性を向上させることができる。
【0070】
なお、水晶発振器2は、第2発振信号を恒温槽11の外部に出力してもよい。また、上記の説明においては、恒温槽11の内部に温度制御回路31及び記憶部32が設けられているものとしたが、温度制御回路31及び記憶部32は、恒温槽11の外部に設けられていてもよい。また、水晶発振器2は恒温槽11を備えていなくてもよい。
【0071】
[第5の実施形態の効果]
以上のとおり、第5の実施形態に係る水晶発振器2における温度制御回路31は、第1発振回路13から出力される第1発振信号の第1周波数と、第2発振回路14から出力される第2発振信号の第2周波数との差に基づいて、ヒータ回路33の発熱量を制御することにより、水晶振動子12付近の温度を制御し、第1周波数及び第2周波数を所望の周波数に合わせることができる。したがって、水晶発振器2は、実装面積を小さくするとともに、周囲温度が変動した場合であっても、出力信号を安定して発振させることができる。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0073】
1・・・水晶発振器、2・・・水晶発振器、11・・・恒温槽、12・・・水晶振動子、13・・・第1発振回路、14・・・第2発振回路、17・・・第1インピーダンス調整回路、18・・・第2インピーダンス調整回路、19・・・制御回路、20・・・第1アイソレーション回路、201・・・コンデンサ、202・・・抵抗、203・・・コンデンサ、204・・・抵抗、21・・・第2アイソレーション回路、211・・・コンデンサ、212・・・抵抗、213・・・コンデンサ、214・・・抵抗、22・・・第1負性抵抗発生回路、221・・・コンデンサ、222・・・コンデンサ、223・・・コンデンサ、224・・・抵抗、225・・・インダクタ、226・・・コンデンサ、227・・・コンデンサ、228・・・インダクタ、229・・・抵抗、23・・・第2負性抵抗発生回路、231・・・コンデンサ、232・・・コンデンサ、233・・・コンデンサ、234・・・抵抗、235・・・インダクタ、236・・・コンデンサ、237・・・コンデンサ、238・・・インダクタ、239・・・抵抗、24・・・第1フィルタ回路、241・・・インダクタ、242・・・コンデンサ、243・・・インダクタ、244・・・コンデンサ、25・・・第2フィルタ回路、251・・・インダクタ、252・・・コンデンサ、253・・・インダクタ、254・・・コンデンサ、30・・・集積回路、31・・・温度制御回路、32・・・記憶部、33・・・ヒータ回路、100・・・従来の水晶発振器、101・・・水晶振動子、102・・・第1発振回路、103・・・水晶振動子、104・・・第2発振回路、110・・・水晶発振器、111・・・水晶振動子、112・・・第1発振回路、113・・・第2発振回路
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13