(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(C)成分が、ポリヘキサニド、クロルヘキシジン、及びそれらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
前記注出部が、前記液剤を液滴状で注出するノズルであり、当該ノズルの内部空間の壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている、請求項1又は2に記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
前記液剤において、前記(A)成分が0.00001〜0.005w/v%、前記(B)成分が0.005〜0.5w/v%、及び前記(C)成分が0.0000001〜0.05w/v%含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
前記(C)成分が、ポリヘキサニド、クロルヘキシジン、及びそれらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の安定化方法。
前記注出部が、前記液剤を液滴状で注出するノズルであり、当該ノズルの内部空間の壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている、請求項8又は9に記載の安定化方法。
前記液剤において、前記(A)成分が0.00001〜0.005w/v%、前記(B)成分が0.005〜0.5w/v%、及び前記(C)成分が0.0000001〜0.05w/v%含まれる、請求項8〜12のいずれかに記載の安定化方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を含む液剤の実用化を目指して検討を行ったところ、当該液剤を従来汎用されている容器に収容すると、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量の経時的な低下が顕著になるという新たな課題に直面した。また、特許文献2には、サルファ剤を配合することによって、プラノプロフェン及び/又はその塩とジブチルヒドロキシトルエンを含む水性組成物の熱に対する安定性を改善し、当該水性組成物の黄変を抑制できることが報告されているが、水性組成物の黄変とジブチルヒドロキシトルエン自体の熱不安定化とは異なる事象であり、特許文献2はジブチルヒドロキシトルエン自体の熱安定性を向上させる技術を開示するものではない。
【0008】
また、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を含む液剤において、ジブチルヒドロキシトルエンの添加量を増大させることによって、その含有量の経時的な低下を補うこともできるが、ジブチルヒドロキシトルエンの配合量の増加は、点眼剤等の粘膜に適用される液剤の場合では刺激の原因となるため、現実的ではない。そのため、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を含む液剤において、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量の低下を抑制できる技術の開発が必要とされている。
【0009】
そこで本発明は、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を含む液剤において、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量の経時的な低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を含む液剤に、ビグアニド化合物及び/又はその塩を配合し、且つ、収容する容器として、その内壁面(注出部の内部空間の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面等)を構成する樹脂として、ポリブチレンテレフタレートを含む樹脂を採用することにより、液剤中のジブチルヒドロキシトルエンの熱安定性を高めると共に、ジブチルヒドロキシトルエンの容器への吸着を抑制して、その含有量の経時的な低下を効果的に抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0011】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様のジブチルヒドロキシトルエン含有製品、及び安定化方法を提供する。
項1. (A)ジブチルヒドロキシトルエンと、
(B)プラノプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩と、
(C)ビグアニド化合物及び/又はその薬学的に許容される塩と、
を含有する液剤が、容器に収容されてなるジブチルヒドロキシトルエン含有製品であって、
前記容器が、前記液剤を収容する容器本体部と、前記容器本体部に収容された液剤を注出する注出口を有する注出部と、前記注出口をふさぐ蓋部とを備え、
前記注出部の内部空間の壁面、及び前記蓋部において前記注出口と対向する壁面の少なくとも一方が、ポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されていることを特徴とする、
ジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項2. 前記(C)成分が、ポリヘキサニド、クロルヘキシジン、及びそれらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項3. 前記注出部が、前記液剤を液滴状で注出するノズルであり、当該ノズルの内部空間の壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている、項1又は2に記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項4. 前記容器本体部が、ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている、項1〜3のいずれかに記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項5. 前記液剤が、更にホウ酸緩衝剤を含む、項1〜4のいずれかに記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項6. 前記液剤において、前記(A)成分が0.00001〜0.005w/v%、前記(B)成分が0.005〜0.5w/v%、及び前記(C)成分が0.0000001〜0.05w/v%含まれる、項1〜5のいずれかに記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項7. 前記液剤が点眼剤である、項1〜6のいずれかに記載のジブチルヒドロキシトルエン含有製品。
項8. (A)ジブチルヒドロキシトルエンと、
(B)プラノプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩と、
を含有する液剤におけるジブチルヒドロキシトルエンの安定化方法であって、
前記液剤に、(C)ビグアニド化合物及び/又はその薬学的に許容される塩を配合し、且つ
液剤を収容する容器本体部と、前記容器本体部に収容された液剤を注出する注出口を有する注出部と、前記注出口をふさぐ蓋部とを備え、前記注出部の内部空間の壁面、及び前記蓋部において前記注出口と対向する壁面の少なくとも一方がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている容器に、前記液剤を収容することを特徴とする、
安定化方法。
項9. 前記(C)成分が、ポリヘキサニド、クロルヘキシジン、及びそれらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、項8に記載の安定化方法。
項10. 前記注出部が、前記液剤を液滴状で注出するノズルであり、当該ノズルの内部空間の壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている、項8又は9に記載の安定化方法。
項11. 前記容器本体部が、ポリエチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている、項8〜10のいずれかに記載の安定化方法。
項12. 前記液剤が、更にホウ酸緩衝剤を含む、項8〜11のいずれかに記載の安定化方法。
項13. 前記液剤において、前記(A)成分が0.00001〜0.005w/v%、前記(B)成分が0.005〜0.5w/v%、及び前記(C)成分が0.0000001〜0.05w/v%含まれる、項8〜12のいずれかに記載の安定化方法。
項14. 前記液剤が点眼剤である、項8〜13のいずれかに記載の安定化方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を含んでいながら、ジブチルヒドロキシトルエンの熱安定性の改善とその容器への吸着抑制が可能になり、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量を安定に保持することができる。
【0013】
また、点眼剤や点鼻剤等では、ジブチルヒドロキシトルエンは、酸化防止作用の発揮に必要とされる閾値量に近い低含有量に設定されており、従来技術では、プラノプロフェン及び/又はその塩との共存下で、ジブチルヒドロキシトルエンの熱安定性が著しく損なわれ、その含有量の低下による酸化防止効果の喪失が顕著になる傾向があった。これに対して、本発明によれば、このような従来技術の欠点を克服して、点眼剤や点鼻剤等の液剤において、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェン及び/又はその塩を共存させた場合でも、その含有量低下を効果的に抑制させて、液剤中で酸化防止作用を有効に維持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、ジブチルヒドロキシトルエンの「安定化」又は「安定性」とは、ジブチルヒドロキシトルエンの分解や容器への吸着によって、液剤中での含有量が経時的に低下するのを抑制し、当該含有量を安定に保持させること、又はその特性を意味する。また、本明細書において、ジブチルヒドロキシトルエンの「熱安定性」とは、熱によるジブチルヒドロキシトルエンの分解を抑制する特性を意味する。更に、本明細書において、「ジブチルヒドロキシトルエン含有製品」は、後述する(A)〜(C)成分を含有する液剤が容器に収容された状態にあるものを意味し、「BHT含有製品」と略記することもある。また、本明細書において、単位「w/v%」とは、第十六改正日本薬局方における質量対容量百分率を指し、g/100mLと同義である。
【0016】
1.BHT含有製品
本発明のBHT含有製品は、(A)ジブチルヒドロキシトルエンと、(B)プラノプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩と、(C)ビグアニド化合物及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する液剤が、注出部の内部空間の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成された容器に収容されていることを特徴とする。以下、本発明のBHT含有製品について、詳述する。
【0017】
液剤
本発明のBHT含有製品において、容器に収容する液剤は、ジブチルヒドロキシトルエン((A)成分と表記することもある)を含有する。ジブチルヒドロキシトルエンは、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、BHT、DBPCとも称され、抗酸化剤として公知の化合物である。当該液剤において、ジブチルヒドロキシトルエンは、プラノプロフェン及び/又はその塩の熱安定性向上を図ると共に、液剤中で酸化防止作用を発揮し、必要に応じて添加される薬理成分や添加剤等の安定性の向上にも寄与する成分である。
【0018】
当該液剤における(A)成分の含有量については、特に制限されず、当該液剤の用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.00001〜0.005w/v%、好ましくは0.00005〜0.005w/v%、更に好ましくは0.0001〜0.005w/v%が挙げられる。
【0019】
本発明に使用される液剤は、更にプラノプロフェン及び/又はその塩((B)成分と表記することもある)を含有する。当該液剤において、プラノプロフェン及び/又はその塩は、ジブチルヒドロキシトルエンによって、光に対する安定性の向上が図られている。
【0020】
プラノプロフェンとは、α−メチル−5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]ピリジン−7−酢酸とも称され、眼科分野では消炎作用を有することが知られている公知の化合物である。
【0021】
また、プラノプロフェンの塩としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩;トリエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩等の有機塩基塩等が挙げられる。これらのプラノプロフェンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明に使用される液剤において、(B)成分として、プラノプロフェン及びその塩の中から、1種を選択して単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(B)成分の中でも、好ましくはプラノプロフェンが挙げられる。
【0023】
当該液剤における(B)成分の含有量については、特に制限されず、当該液剤の用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.005〜0.5w/v%、好ましくは0.05〜0.1w/v%、更に好ましくは0.05w/v%が挙げられる。
【0024】
本発明に使用される液剤は、更にビグアニド化合物及び/又はその塩((C)成分と表記することもある)を含有する。本発明に使用される液剤において、当該(C)成分を配合し、且つ後述する特定の容器に収容することによって、プラノプロフェン及び/又はその塩の存在下で引き起こされるジブチルヒドロキシトルエンの含有量の著しい低下を効果的に抑制することが可能になる。
【0025】
ビグアニド化合物とは、分子中に下記式(1)で表される構成単位を1つ以上有する化合物である。
【0027】
本発明で使用されるビグアニド化合物としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、好適な例として、ポリヘキサニド、クロルヘキシジンが挙げられる。クロルヘキシジンとは、N,N''−ビス(4−クロロフェニル)−3,12−ジイミノ−2,4,11,13−テトラアザテトラデカンジイミドアミドとも称され、医薬分野では防腐作用を有することが知られている公知の化合物である。また、ポリヘキサニドとは、ポリヘキサメチレンビグアニド、PHMBとも称され、界面活性作用と防腐作用を有することが知られている公知の化合物である。
【0028】
また、ビグアニド化合物の塩は、薬学的に許容されることを限度として特に制限されず、有機酸塩、無機酸塩等のいずれであってもよい。
【0029】
より具体的には、クロルヘキシジンの塩として、グルコン酸塩、酢酸等の有機酸塩;塩酸塩等の無機酸塩等が挙げられる。これらのクロルヘキシジンの塩の中でも、好ましくは有機酸塩、更に好ましくはグルコン酸塩が挙げられる。これらのクロルヘキシジンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
また、ポリヘキサニドの塩として、具体的には、塩酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸、グルコン酸等の有機酸塩等が挙げられる。これらのポリヘキサニドの塩の中でも、好ましくは無機酸塩、更に好ましくは塩酸塩が挙げられる。これらのポリヘキサニドの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
本発明に使用される液剤において、(C)成分として、ビグアニド化合物及びその薬学的に許容される塩の中から、1種を選択して単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの(C)成分の中でも、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量低下をより一層効果的に抑制させるという観点から、好ましくは、ポリヘキサニド、クロルヘキシジン、及びその薬学的に許容される塩、更に好ましくは、ポリヘキサニド、及びその薬学的に許容される塩、特に好ましくは、ポリヘキサニドの塩酸塩が挙げられる。
【0032】
本発明に使用される液剤における(C)成分の含有量としては、例えば、0.0000001〜0.05w/v%、好ましくは0.000001〜0.005w/v%が挙げられる。より具体的には、(C)成分の種類毎の含有量としては、以下の範囲が挙げられる。
クロルヘキシジン及び/又はその塩を使用する場合:好ましくは0.0001〜0.05w/v%、更に好ましくは0.0005〜0.01w/v%、特に好ましくは0.001〜0.005w/v%。
ポリヘキサニド及び/又はその塩を使用する場合:好ましくは0.0000001〜0.002w/v%、更に好ましくは0.0000005〜0.001w/v%、特に好ましくは0.000001〜0.0005w/v%。
【0033】
本発明に使用される液剤には、前記成分の他に、緩衝作用を備えさせるために緩衝剤が含まれていてもよい。緩衝剤としては、特に制限されないが、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、Tris緩衝剤、アミノ酸(グルタミン酸等)等が挙げられる。これらの緩衝剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤は、プラノプロフェン及び/又はその塩を溶解可能なpH域で緩衝能を有しており、本発明において好適に使用される。
【0034】
本発明に使用される液剤中での緩衝剤の含有量については、使用する緩衝剤の種類に応じて所望の緩衝作用を付与できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、0.001〜5w/v%、好ましくは0.05〜3w/v%、更に好ましくは0.1〜2w/v%が挙げられる。
【0035】
更に、本発明に使用される液剤には、前記成分の他に、キレート剤が含まれていてもよい。キレート剤を含有させることによって、より一層効果的にジブチルヒドロキシトルエンの含有量の低下を抑制することが可能になる。
【0036】
キレート剤としては、具体的には、エデト酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、それらの薬学的に許容される塩等が挙げられる。これらのキレート剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのキレート剤の中でも、より一層効果的にジブチルヒドロキシトルエンの含有量低下を抑制するという観点から、好ましくはエデト酸及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。また、エデト酸の薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0037】
本発明に使用される液剤がキレート剤を含有する場合、その含有量については、当該液剤の用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.0005〜0.5w/v%、好ましくは0.001〜0.2w/v%、更に好ましくは0.005〜0.13w/v%が挙げられる。
【0038】
本発明に使用される液剤には、上記成分の他に、当該液剤の用途に応じて、薬理成分を含有することができる。使用される薬理成分については、特に制限されないが、例えば、血管収縮剤、抗コリンエステラーゼ剤、抗炎症薬、角膜上皮障害治療薬、消炎鎮痛薬、化学療法薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、ホルモン薬、ビタミン薬、アミノ酸類、抗白内障薬、血管新生抑制薬、免疫抑制薬、プロテアーゼ阻害薬、アルドース還元酵素阻害薬、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、不安薬、抗精神薬、抗生物質、抗腫瘍薬、抗高脂血症薬、鎮咳・去痰薬、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗潰瘍薬、抗うつ薬、強心薬、不整脈治療薬、血管拡張薬、高圧利尿薬、糖尿病治療薬、抗結核薬、麻酔拮抗薬、皮膚疾患用薬、歯科口腔用薬、診断用薬、公衆衛生用薬等の従来公知の薬理成分から適宜選択して用いることができる。
【0039】
これらの薬理成分の中でも、点眼剤、洗眼剤、点鼻剤、点耳剤等の眼科又は耳鼻科分野で使用される製剤である場合、具体的には、グリチルリチン酸二カリウム、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸、ブロムフェナク、ケトロラクトロメタミン、ネパフェナク、ベルベリン塩化物、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム塩酸塩等の消炎剤;クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩等の抗ヒスタミン剤;クロモグリク酸ナトリウム、ケトチフェンフマル酸塩、アシタザノラスト、アンレキサノクス、ペミロラストカリウム、トラニラスト、イブジラスト等の抗アレルギー剤;ノルフロキサシン、オフロキサシン、ロメフロキサシン、レボフロキサシン、ゲンタマイシン、ガチフロキサシン等の抗菌剤;アスコルビン酸、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、ピリドキシン塩酸塩、トコフェロール酢酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等のビタミン類;アスパラギン酸、タウリン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のアミノ酸類;ネオスチグミンメチル硫酸塩等の抗コリンエステラーゼ剤;ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、エピネフリン、エフェドリン、フェニレフリン、dl−メチルエフェドリン等の血管収縮剤;ヒアルロン酸ナトリウム等の角結膜上皮障害治療薬;スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファジメトキシン、スルファメトキシピリダジン、スルファメトキサゾール、スルファエチドール、スルファメトミジン、スルファフェナゾール、スルファグアニジン、フタリルスルファチアゾール、スクシニルスルファチアゾール等のサルファ剤等が挙げられる。ここで例示する化合物は、薬学的に許容されることを限度として、塩の形態であっても、他の塩の形態であってもよい。
【0040】
これらの薬理成分の含有量については、薬理成分の種類や液剤の用途等に応じて適宜設定される。
【0041】
また、本発明で使用される液剤には、前記成分の他に、必要に応じて、等張化剤、溶解補助剤、粘性基剤、清涼化剤、pH調整剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤等の添加剤を含有してもよい。
【0042】
等張化剤としては、ソルビトール、グルコース、マンニトール等の糖類;グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類;塩化ナトリウム等の塩類;ホウ酸等が挙げられる。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
溶解補助剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、チロキサポール、プルロニック等の非イオン性界面活性剤;グリセリン、マクロゴール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの溶解補助剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
粘性基剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸又はその塩等の水溶性高分子;ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類等が挙げられる。これらの粘性基剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
清涼化剤としては、例えば、l−メントール、ボルネオール、カンフル、ユーカリ油等が挙げられる。これらの清涼化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ砂等のアルカリ;酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、酒石酸、ホウ酸等の酸が挙げられる。
【0047】
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸又はその塩、安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、ホウ酸、デヒドロ酢酸又はその塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化亜鉛、パラクロルメタキシレノール、クロルクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ポリドロニウム、チメロサール等が挙げられる。これらの防腐剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
安定化剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、亜硫酸塩、モノエタノールアミン、グリセリン、プロピレングリコール、シクロデキストリン、デキストラン、アスコルビン酸、エデト酸塩、タウリン、トコフェロール等が挙げられる。これらの安定化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
界面活性剤としては、例えば、チロキサポール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オクトキシノール等の非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤;アルキル硫酸塩、N−アシルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤;アルキルピリジニウム塩、アルキルアミン塩等の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0050】
これらの添加剤の濃度については、添加剤の種類や液剤の用途等に応じて適宜設定される。
【0051】
本発明で使用される液剤の形態としては、水を基剤として含むものであればよく、例えば、水溶液状、懸濁液状、乳液状等のいずれであってもよいが、好ましくは水溶液状が挙げられる。
【0052】
また、本発明で使用される液剤のpHについては、特に制限されず、当該液剤の用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば5.0〜9.0、好ましくは6.5〜8.5が挙げられる。
【0053】
本発明で使用される液剤の用途についても、特に制限されず、例えば、医薬、コンタクトレンズケア用品等が挙げられる。医薬としては、具体的には、点眼剤(コンタクトレンズ装用時でも点眼可能なコンタクトレンズ用点眼剤を含む)、洗眼剤等の眼科用液剤;点鼻剤、点耳剤等の耳鼻科用液剤;内服剤、注射剤、外用剤等が挙げられる。また、コンタクトレンズケア用品としては、具体的には、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用マルチパーパスソリューション等が挙げられる。これらの液剤の用途の中でも、好ましくは、眼科用液剤、耳鼻科用液剤、及びコンタクトレンズケア用品、更に好ましくは点眼剤が挙げられる。
【0054】
また、本発明で使用される液剤は、複数回分の使用量が充填され、繰返し使用されるマルチドーズ型容器に充填されてもよく、また単回分の使用量が充填され、1回で使い終わるユニットドーズ型容器に充填されてもよい。
【0055】
本発明で使用される液剤は、その形態や用途等に応じて、自体公知の調製法に従って製造すればよく、例えば、水、生理食塩水等の水性基剤に各成分を配合することによって調製できる。例えば、医薬である場合には、第十六改正日本薬局方 製剤総則に記載された方法を用いて製造することができる。
【0056】
容器
本発明のBHT含有製品では、前記液剤を収容するために、容器本体部と注出部と蓋部とを備え、前記注出部の内部空間の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されている容器が使用される。
【0057】
<容器の構造>
前記容器を構成する容器本体部とは、前記液剤を収容する部位である。当該容器本体部の形状、大きさについては、特に制限されず、収容する液剤の種類及び容量に応じて適宜設定される。
【0058】
前記容器を構成する注出部とは、容器本体部と容器外部との間を連通する内部空間を有し、容器本体部に収容された液剤を注出する注出口を備えており、前記注出口が容器本体部の開口部と連通するように設けられ、当該容器本体部に収容された液剤を、当該内部空間を介して当該注出口から容器外部に注出(排出)する部位である。当該注出部は、容器本体部に収容された液剤を注出口から容器外部に注出できるように構成されている限り、その構造については、特に制限されず、例えば、液剤が液滴状で注出されるように構成されていてもよく、また液剤が非液滴状で流出されるように構成されていてもよい。本発明の効果を一層有効に奏させるという観点から、前記注出部は、液剤が液滴状で注出されるように構成されているノズルであることが好ましい。また、当該注出部には、例えば、中栓ノズルや穴あき中栓のように中栓が設けられていてもよい。
【0059】
前記注出部の一部又は全部が、容器本体部と一体成型されたものであってもよい。また、前記注出部は、容器本体部の開口部の内腔に挿入又は外側に装着させて取り付けられたものであってもよい。
【0060】
また、前記容器を構成する蓋部は、前記注出口をふさぐ部位である。当該蓋部は、容器本体部及び/又は注出口と嵌合された構造を備えていればよい。より具体的には、本発明のBHT含有製品がマルチドーズ型である場合には、容器本体部及び/又は注出口と着脱可能に嵌合される構造であればよく、また本発明のBHT含有製品がユニットドーズ型である場合には、容器本体部及び/又は注出口から脱離可能に嵌合された構造であればよい。容器本体部及び/又は注出口と着脱可能に嵌合される構造の好適な一例として、容器本体部及び/又は注出部に対して、ネジ嵌合により着脱可能に取り付けられる蓋部が挙げられる。ネジ嵌合により、蓋部と容器本体部及び/又は注出部とを着脱可能に取り付ける場合、蓋部には、容器本体部及び/又は注出部のネジ部と螺合するネジ部が設けられていればよい。
【0061】
前記容器の形状は、収容するBHT含有製品の用途に応じて適宜設定される。具体的には、点眼容器、洗眼容器、点鼻容器等が挙げられる。
【0062】
本発明で使用される容器の具体的態様の例を
図1〜6に示す。
【0063】
図1は、点眼容器の一態様の断面図であり、
図2は、
図1に示す点眼容器の部分拡大断面図である。
図1に示す点眼容器では、容器本体部1の開口部の内腔に、前記液剤を液滴状で注出可能な注出部2が挿入されており、更に蓋部3が、容器本体部1にネジ嵌合により着脱可能に取り付けられ、注出部2の注出口がふさがれている。当該点眼容器では、容器本体部1に収容された液剤は、注出部2の内部空間4を介して注出口から容器外部に注出される。
図1に示す点眼容器は、ユニットドーズ型の液剤の収容に使用してもよいが、マルチドーズ型の液剤の収容に好適に使用される。
【0064】
図3は、点眼容器の一態様の断面図である。
図3に示す点眼容器では、容器本体部1と注出部2が、接着や機械的接合によらず、同一素材で一体となって形成されており、注出部2の内部空間4を介して注出口から容器外部に前記液剤を液滴状で注出可能になっている。
図3では、蓋部を省略しており、便宜上、仮想線(点線)を挿入している。
図3に示す点眼容器では、仮想線よりも下部の容器部材が容器本体部1に該当し、仮想線よりも上部の容器部材が注出部2に該当する。
図3に示す点眼容器は、ユニットドーズ型の液剤の収容に使用してもよいが、マルチドーズ型の液剤の収容に好適に使用される。
【0065】
図4は、点眼容器の一態様の断面図であり、
図5は、
図4に示す点眼容器の部分拡大断面図である。
図4に示す点眼剤では、容器本体部1、注出部2、及び蓋部3が一体成型されている。注出部2と蓋部3は連結した状態になっているが、用時にこれらを切り離すことにより、容器本体部1に収容された前記液剤は、注出部2の内部空間4を介して注出口から容器外部に注出可能になる。
図4及び5には、便宜上、仮想線(点線)を挿入している。
図4及び5において、2つの仮想線の間の容器部材が注出部2に該当し、2つの仮想線の間の空間が注出部2の内部空間4に該当する。
図4に示す点眼容器は、ユニットドーズ型の液剤の収容に好適に使用される。
【0066】
図6は、洗眼容器の断面図である。
図6に示す洗眼容器では、容器本体部1と注出部2の一部が一体成形されている。当該洗眼容器では、容器本体部1に収容された前記液剤は、注出部2の内部空間4を介して注出口から容器外部に注出される。
図6には、便宜上、仮想線(点線)を挿入している。
【0067】
図1〜6には、点眼容器及び洗眼容器の具体的態様を挙げたが、本発明では、これらの構造や形状に限定されるものではなく、また、点眼容器及び洗眼容器以外の容器でも所定の特徴を備える限り使用できる。
【0068】
<容器の構成素材>
前記容器は、前記注出部の内部空間の壁面、及び前記蓋部において前記注出口と対向する壁面の少なくとも一方が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含む樹脂によって構成される。ここで、「蓋部において前記注出口と対向する壁面」とは、蓋部を容器本体部及び/又は注出部に取りつけた際に注出口を覆う蓋部の内壁部分に該当する。具体的には、
図2を例に挙げると、符号5で示した面部分が「注出部の内部空間の壁面」に該当し、符号6で示した面部分が「蓋部において前記注出口と対向する壁面」に相当する。
【0069】
このようにポリブチレンテレフタレートを含む樹脂によって、注出部の内部空間の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面を構成することにより、前記液剤で採用される特定の組成と相俟って、ジブチルヒドロキシトルエンの当該注出部及び/又は蓋部への吸着、蓄積を効果的に抑制し、液剤中のジブチルヒドロキシトルエンの含有量を安定に保持させることが可能になる。
【0070】
前記注出部の内部空間の壁面及び/又は前記蓋部において注出部の注出口と対向する壁面を構成する樹脂は、ポリブチレンテレフタレート単独からなるものであってもよく、またポリブチレンテレフタレートと他のポリマーとのブレンドポリマーからなるものであってもよい。前記注出部の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面を構成する樹脂として、ポリブチレンテレフタレートと他のポリマーとのブレンドポリマーを使用する場合、本発明の効果を奏することを限度として、これらの混合比については特に制限されないが、当該ブレンドポリマーの総量当たり、ポリブチレンテレフタレートが50w/w%以上、好ましくは60w/w%以上、より好ましくは70w/w%以上、更に好ましくは80w/w%以上、特に好ましくは90w/w%以上を占めていることが望ましい。
【0071】
前記容器において、注出部の内部空間の壁面と、蓋部において注出部の注出口と対向する壁面のいずれか少なくとも一方が、ポリブチレンテレフタレートを含んでいればよい。例えば、液剤が液滴状で注出される注出部(例えば、液剤が液滴状で滴下されるように構成されているノズル)を採用する場合には、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量低下をより一層効果的に抑制するという観点から、少なくとも、注出部の内部空間の壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されていることが好ましく、注出部の内部空間の壁面と、蓋部において注出部の注出口と対向する壁面の双方がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されることが更に好ましい。また、例えば、液剤が非液滴状で流出される注出部を採用する場合には、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量低下をより一層効果的に抑制するという観点から、少なくとも、蓋部において注出部の注出口と対向する壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されていることが好ましく、注出部の内部空間の壁面と蓋部において注出部の注出口と対向する壁面の双方がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂から構成されることが更に好ましい。
【0072】
注出部の内部空間の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面が、ポリブチレンテレフタレートを含む樹脂によって構成されている限り、これらの壁面以外の部位の構成素材については特に制限されない。例えば、これらの壁面以外の部位は、ポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成されていてもよく、またポリブチレンテレフタレート以外の素材で構成されていてもよい。
【0073】
前記容器が、容器本体部と注出部と一体成型されている場合には、容器本体部は、注出部と同じ樹脂により構成される。
【0074】
また、前記容器が、前記容器本体部の開口部の内腔に前記注出部を挿入して取り付けている場合、又は前記容器本体部の開口部の外側に前記注出部を装着して取り付けている場合には、容器本体部は、ガラス製又はプラスチック製のいずれであってもよいが、好ましくはプラスチック製が挙げられる。かかる態様の容器において、容器本体部をプラスチック製にする場合には、容器本体部を形成する樹脂の種類については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートは、優れた成形性を備えつつ、ジブチルヒドロキシトルエンの吸着を抑制することができるので、容器本体部を形成する樹脂として好適に使用される。
【0075】
2.安定化方法
本発明のジブチルヒドロキシトルエンの安定化方法は、(A)ジブチルヒドロキシトルエンと、(B)プラノプロフェン及び/又はその薬学的に許容される塩を含有する液剤に、(C)ビグアニド化合物及び/又はその薬学的に許容される塩を配合し、且つ当該液剤を、ジブチルヒドロキシトルエンを含有する製剤が、注出部の内部空間の壁面及び/又は蓋部において注出部の注出口と対向する壁面がポリブチレンテレフタレートを含む樹脂で構成された容器に収容することを特徴とする。
【0076】
本発明の安定化方法において、液剤に含有させる(A)〜(C)成分の種類や含有量、他に配合可能な成分の種類や含有量、液剤の用途等については、前記BHT含有製品で使用される液剤の場合と同様である。また、本発明の安定化方法において使用される容器についても、前記BHT含有製品で使用される容器の場合と同様である。
【0077】
本発明の安定化方法は、ジブチルヒドロキシトルエンと、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する液剤において、ジブチルヒドロキシトルエンの熱安定性を高めると共に、ジブチルヒドロキシトルエンの容器への吸着を抑制することにより、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量低下を効果的に抑制して、ジブチルヒドロキシトルエンの保存安定性を向上させることができるので、当該液剤の保存方法として実施することもできる。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0079】
試験例1:ジブチルヒドロキシトルエンの含有量の経時的変化の評価
表2に示す液剤を調製して各種容器に収容して保存した際のジブチルヒドロキシトルエンの含有量の経時変化を測定した。具体的には、表2に示す液剤を常法に従って調製して、表1に示す各容器に収容し、密閉して40℃、75%RH、遮光条件にて2週間静置することにより保存した。その際、容器2及び3の場合には液剤の収容量は10mLにし、容器1の場合には液剤の収容量は5mLにした。また、容器2及び3の場合には、蓋部分が上面、容器本体部の底部が下面となるように、容器を正立させた状態で静置した。保存開始前、保存開始から1週間後及び2週間後に、容器中の液剤をノズルに接液しないようにサンプリングし、液剤中のジブチルヒドロキシトルエンの含有量をHPLCにて測定することにより、ジブチルヒドロキシトルエンの熱安定性を評価した。ジブチルヒドロキシトルエンの安定性は、具体的には、保存前のジブチルヒドロキシトルエン含有量に対する保存後のジブチルヒドロキシトルエン含有量の割合を残存率(%)として算出した。なお、容器3は従来汎用されている点眼容器の例である。また、ガラスは一般的な薬物が吸着し難いことが知られており、容器1はジブチルヒドロキシトルエンが吸着し難い容器の例である。
【0080】
【表1】
【0081】
得られた結果を表2に示す。コントロールの結果から分かるように、液剤中にジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェンを共存させると、ジブチルヒドロキシトルエン含有量の低下が顕著になることが明らかとなった。また、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェンに、防腐剤であるソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、又はベンザコニウム塩化物を組み合わせても、ジブチルヒドロキシトルエン含有量の低下を十分に抑制できなかったり、却ってジブチルヒドロキシトルエンの含有量の低下を増大させたりする結果となった(比較例1〜3)。これに対して、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェンに、グルコン酸クロルヘキシジン又は塩酸ポリヘキサニドを組み合わせ、且つポリブチレンテレフタレート製ノズルを装着した容器2に収容した液剤では、ジブチルヒドロキシトルエン含有量の低下を効果的に抑制できていた(実施例1〜5)。
【0082】
【表2】
【0083】
試験例2:ジブチルヒドロキシトルエンの含有量の経時的変化の評価(低濃度ジブチルヒドロキシトルエンの場合)
表3及び4に示す液剤を常法に従って調製し、前記試験例1と同様の方法で、表1に示す各容器に収容して保存し、液剤中のジブチルヒドロキシトルエンの含有量をHPLCにて測定した。得られた測定値に基づいて、前記試験例1と同様の方法で、ジブチルヒドロキシトルエンの残存率(%)を算出した。
【0084】
得られた結果を表3及び4に示す。この結果から、ジブチルヒドロキシトルエンが0.0001w/v%又は0.00001w/v%の場合であっても、液剤に塩酸ポリヘキサニドを配合し、且つポリブチレンテレフタレート製ノズルを装着した容器2に収容することによって、プラノプロフェン共存下でのジブチルヒドロキシトルエンの含有量の低下を有効に抑制できることが確認された。
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
参考試験例1:ジブチルヒドロキシトルエンの含有量の経時的変化の評価
表5及び6に示す液剤を常法に従って調製し、前記試験例1と同様の方法で、表1に示す各容器に収容して保存し、液剤中のジブチルヒドロキシトルエンの含有量をHPLCにて測定した。得られた測定値に基づいて、前記試験例1と同様の方法で、ジブチルヒドロキシトルエンの残存率(%)を算出した。
【0088】
得られた結果を表5及び6に示す。この結果から、比較例4〜15では、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェンを共存させた場合に生じるジブチルヒドロキシトルエン含有量の低下を十分に抑制できていなかったり、ジブチルヒドロキシトルエン含有量を更に低下させたりすることが明らかとなった。即ち、本結果から、ジブチルヒドロキシトルエンとプラノプロフェンを共存させた場合に生じるジブチルヒドロキシトルエン含有量の低下抑制効果は、クロルヘキシジン、ポリヘキサニド、及び/又はそれらの薬学的に許容される塩を選択し、これを配合することによって認められる特有の効果であることが確認された。
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】