【実施例】
【0125】
材料および方法
1.動物
Tel Aviv Universityの動物施設内で、月齢4〜8カ月(実験間で年齢は変動した)の雄および雌のFischer344(F344)ラットを、1ケージ当たり3〜4匹ずつ飼育し、12:12明暗サイクル、22±1℃で、食物および水は自由に入手できる状態にした。動物は、実験前、最低4回取り扱うことによって、潜在的な手順上のストレスを減少させた。体重、性別、および薬物投与は、すべての実験手順を通して釣り合いを取った。飼育の状態は、Tel Aviv UniversityのInstitutional Animal Care and Use Committeeによりモニターされ、この委員会はまた本明細書に記載されているすべての試験を承認した。
2.薬物
1.GLAおよびその投与
【0126】
安定エマルジョン(SE)(2000μg/ml)に溶解させたGLA(IDRI、Seattle、WA)を、3μg/ml〜200μg/mlの最終濃度(関連する実験による)となるようにPBSで希釈した。MADB106腫瘍細胞接種の直前、4h、12h、24h、48h、または96h前(関連する実験による)に、選択された濃度からの100μlを各動物(0.3μg〜20μg/動物)に皮下注射(s.c.)した。
2.安定エマルジョン(SE)/アジュバントエマルジョン
【0127】
SE(安定エマルジョン;IDRI、Seattle、WA)を希釈し、GLAのように正確な方式で投与した。
3.抗NKR−P1
【0128】
抗NKR−P1は、ラットにおいて、新鮮なIL−2−活性化したナチュラルキラー(NK)細胞上に、またずっと低い程度ではあるが、多形核球(PMN)細胞上に発現するNKR−P1表面抗原に結合するIGgモノクローナル抗体(mAb)(元はmAb3.2.3と呼ばれる)である。抗NKR−P1を用いたラットのin vivoでの処置は、NK細胞を選択的に枯渇させ、NK依存性および抗体依存性非MHC拘束性細胞傷害を排除する。T細胞機能およびT細胞のパーセンテージ、末梢血単核細胞(PBMC)、およびPMNは影響を受けない。この抗体は(アイソタイプ対照抗体ではそうではない)、投与すると直ちにin vivoでNK細胞を無効にし、1日のうちにNK細胞を選択的に枯渇させることが以前に示されている。抗体は、軽いイソフルラン麻酔下で、MADB106腫瘍細胞接種と同時にi.v.注射した。
3.腫瘍細胞株
1.MADB106
【0129】
MADB106は、F344ラットにおいて化学的に誘発させた乳房の腺癌(MADB100)の肺への転移から得た選択された変異細胞株である。MADB106腫瘍細胞は肺にしか転移せず、このモデルにおいて、肺腫瘍保持(LTR)(これは、数週間後に進行する転移の数を高度に示唆する)はNK細胞に依存する。さらに、MADB106の転移プロセスは、主に接種後最初の24hの間NK活性に対して感受性があるので、LTRは、実際の転移数よりもin vivoのNK活性レベルをより反映する。湿度100%、37℃、5%CO
2において、MADB106細胞株を、完全培地(10%加熱不活性ウシ胎児血清(FCS)、50μg/mLのゲンタマイシン、2mMのl−グルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸、および1mMのピルビン酸ナトリウムを補充したRPMI−1640培地)(Biological Industries、Kibbutz Biet Haemek、Israel)中の単層培養物中に維持した。トリプシン溶液(PBS中0.25%)により培養物フラスコから細胞を取り出し、完全培地で洗浄した。この細胞株を、肺腫瘍保持のin vivoでの評価と、NK細胞傷害性のin vitroでの試験の両方に使用した。
2.YAC−1
【0130】
YAC−1リンパ腫は、in vitroでのげっ歯類のNK細胞傷害性の評価のために使用される標準的な標的細胞株である。湿度100%、37℃、5%CO
2において、細胞株を完全培地中の懸濁培養物内で維持した。
4.MADB106腫瘍細胞の放射標識および肺腫瘍保持率の評価
【0131】
0.5μCi/mlの
125ヨウ化デオキシウリジン(
125IDUR、Danyel Biotech、Rehovot、Israel)を細胞培養物に24h添加することによって、LTRの評価のための腫瘍細胞のDNA放射標識を達成した。腫瘍細胞注射のため、ラットをイソフルランで軽く麻酔し、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する2ml/kgPBS中の4×10
5/kgのMADB106腫瘍細胞をこれらの尾静脈に注射した。一部の実験ではまた、肺におけるMADB106保持の増幅のために、徐放性エマルジョン(4部のPBS、3部の鉱油(Sigma、Rehovot、Israel)、および1部のマンナイド−モノオレエート(非特異的表面活性乳化剤、Sigma、Rehovot、Israel))中に溶解したエピネフリン(雌には1.8mg/kgおよび雄には0.6mg/kg)の追加の0.5mlのs.c.注射を利用し、より優れた群識別を可能にした。LTRの評価のために、動物をCO
2で屠殺し、
125IDUR−標識した腫瘍細胞の接種の24h後にこれらの肺を取り出し、γ−カウンターに配置して、この器官内に保持される放射能のパーセントを評価した。以下の式を使用してLTRを計算した:(肺の放射能カウント−バックグラウンド放射能)×100/(注射した全細胞懸濁液の放射能カウント−バックグラウンド放射能)。
5.NK細胞傷害性のEX vivo評価
1.NK細胞傷害性の評価のための循環白血球、肺の辺縁(MP)白血球、および肝臓の辺縁(MH)白血球の収集および調製
【0132】
ラットを過量のイソフルランで屠殺し、腹腔および胸腔を開放した。5〜8mlの血液(それぞれ雌および雄)を心臓の右心室からヘパリン処置したシリンジに採取した。1mlの血液を3mlのPBSで1回(400gで10min)そして3mlの完全培地で2回洗浄し、その元の体積へ再構成した。心臓に30U/mlのヘパリン処置したPBSを潅流させることでMP白血球を収集した。PBSを右心室に注射し、潅流液を左心室から採取した。血液が混入した最初の3mlの潅流液は廃棄し、その後の25mlを採取し、1mlに濃縮した。これは、潅流液を遠心分離し(400gで10min)、上清を廃棄し、ペレットを3mlの完全培地中に懸濁させ、潅流液を再び遠心分離し(400gで10min)、潅流液を1mlに濃縮することによって達成した。肝臓に30U/mlのヘパリン処置したPBSを潅流させることによって、MH白血球を同様に収集した。PBSを肝門脈に注射し、潅流液を大静脈から採取した。血液が混入した最初の5mlの潅流液を廃棄し、その後の25mlを採取し、MP白血球について記載したものと同じ方法で濃縮した。
2.NK細胞傷害性の評価
【0133】
標準的全血
51Cr放出アッセイを使用した。この手順では、試験する白血球集団(末梢血単核細胞、MPまたはMH白血球)を事前に精製することなく、1mlのエフェクター細胞当たりの抗腫瘍NK細胞の細胞傷害性(NKCC)を評価する。この手順を使用して測定した細胞傷害性は、NK細胞の選択的枯渇がすべての標的細胞の死滅を廃絶することから、他の細胞型または可溶性因子ではなく、NK細胞に起因することが以前の試験で示された。この手順の利点として、持続時間がより短いこと、エフェクター細胞の干渉がより少ないこと、および細胞組成物の元のin vivoでの環境がより良好に代表されることが挙げられる。
【0134】
6種の異なるエフェクター対標的(E:T)比を、150μlアリコートのエフェクター細胞調製物をマイクロタイタープレート内で連続希釈することによって形成した。次いで、100μlの完全培地中の5000個の放射標識した標的細胞(MADB106またはYAC−1)を各ウェルのエフェクター細胞調製物の上に添加した。100μlの生理食塩水、100μlのFCS、および50μlの完全培地中で、100μCiの
51Cr(Rotem Taassiot、Dimona、Israel)と共に1hインキュベートすることによって、標的細胞の放射標識を行った。このインキュベーション後、標的細胞を完全培地内で3回洗浄し(300gで10min)、これらの濃度を5×10
4/mlに調節した。エフェクター細胞を完全培地またはTriton−X100(Sigma、Rehovot、Israel)と置換することによって、放射能の自然および最大放出をそれぞれ決定した。4hのインキュベーション期間(湿度100%、37℃、5%CO
2)の前および後に、プレートを遠心分離した(400gで10min、それぞれ25および4℃)。これによって、赤血球の表面上に白血球および腫瘍細胞の「バフィーコート」を作製し、効率的なエフェクターと標的の相互作用を可能にした。最後に、γ−カウンターでの放射能の評価のために100μlの上清の試料を回収した。具体的な死滅を、100×[(試料の放出×HCF−自然放出)/(最大放出−自然放出)]として計算した。ヘマトクリット値補正率(HCF)は、異なるE:T比に対してヘマトクリット値−上清体積における変化を補正する。放出された放射性分子が分散する無細胞培地の体積の変化を考慮するようにこの補正率が含まれている。
6.フローサイトメトリー
【0135】
標準的手順を使用して、フローサイトメトリー解析のための細胞を調製した。両方の血液、肺潅流液および肝臓潅流液の中のNK細胞をCD161
bright細胞としてAPC−コンジュゲート抗CD161mAb(Biolegend、San Diego、CA)により同定した。この判定基準は、NK活性を示す細胞の95%超を排他的に同定することが示されている。PE−コンジュゲート抗CD5mAb(eBioscience、San Diego)を使用してT細胞を同定し、NKT細胞をCD161+CD5+リンパ球として同定した。NK活性化マーカーを、FITC−コンジュゲートNKp46(BiossUSA、Woburn、MA)およびCy7−コンジュゲートLAMP−1(BiossUSA、Woburn、MA)で同定した。顆粒球およびリンパ球を前方散乱および側方散乱に基づき同定した。FACScan(Becton Dickinson)を使用してフローサイトメトリー分析を行った。試料1μl当たりの細胞の絶対数(または具体的な細胞サブタイプ)を評価するために、試料1μl当たり300個のポリスチレンマイクロビーズ(20μm、Duke Scientific、Palo Alto)を各試料に添加し、以下の式を使用した:(試料中の細胞数/試料中のマイクロビーズ数)×300。
7.統計解析
【0136】
0.05を所定の有意レベルとして、一元または二元配置分散分析(ANOVA)を行った。有意な群間差が認められた場合、フィッシャーの制約つき最小有意差(フィッシャーのPLSD)対比を実施して、先天的仮定に基づき、群の特定の対を比較した。
(実施例1)
雄のラットにおけるMADB106 LTRに対するGLAの効果の用量曲線
【0137】
将来の実験のためのGLA投与についての強力な投薬量を確立するために実験を行った。
手順:
【0138】
75匹の月齢3カ月のF344雄のラットを、7つの実験群のうちの1つにランダムに分け、PBS、SE、またはGLAを、0.3μg、0.7μg、2.5μg、10μg、および20μgの用量/動物で投与した。群の割り当てに従って、各動物に100μlの薬物をs.c.注射し、24h後、MADB106細胞を播種した(上記セクション4に詳述する通り)。これら7つの群のそれぞれを2つの別々の群にさらに細分化した。1つの群には腫瘍接種中にエピネフリン注射し、第2の群にはビヒクルを注射した。24時間後、動物を屠殺し、肺をLTR評価のために取り出した(セクション4に詳述する通り)。
結果:
【0139】
LTRに対する処置(SE、およびGLA用量)の有意な主要な効果は、エピネフリン群(F(6,31)=14.375、p<0.0001)およびビヒクル群(F(6,30)=3.354、p<0.05)の両方で明らかであった。これは、肺からがん細胞を排除する宿主の能力の改善(LTRの低減)を示している。
図1Aおよび1Bを参照されたい。
【0140】
エピネフリン群におけるフィッシャーのPLSD事後比較では、PBSに対するSE(p<0.001)について、およびPBSに対するすべてのGLA用量(p<0.0001)について有意な改善が示された。SEに対するGLAの相加効果について調査すると(GLAはもともとSE中に溶解し、SEは部分的にその効果に関与しているという事実のため)、有意な改善が0.7μg、2.5μg、10μg、および20μgの用量について発見された(それぞれ、p<0.05、p<0.01、p<0.01、およびp<0.001)。
【0141】
ビヒクル群内では、フィッシャーのPLSD事後比較で、SE単独については効果が生じず、PBSに対するGLAについては、0.7μg、2.5μg、10μg、および20μgの用量(それぞれ、p<0.05、p<0.01、p<0.05、およびp<0.01)において有意な改善が生じた。
【0142】
これらの結果は、LTRに対するGLAの有利な効果においてSE構成物質が果たす部分的関与、および動物1匹当たり0.7μgと等しいまたはそれ超の投薬量について、SE効果に対するGLAの相加効果を示す。この実験後、動物1匹当たり2μgのGLAの作業投薬量が決定されたが、これは、SE−関連効果を超えるGLA−関連効果に基づいた最小であり、しかも有効な薬物用量を可能にする。
【0143】
また、すでに以前に報告された通り、MADB106細胞接種と共にエピネフリンを投与することは、宿主に対してより過酷な条件を導き、LTRレベルを増加させることによって、群間のより優れた識別を可能にする。エピネフリンを与えたPBS動物と、ビヒクルを与えた動物との間の差を分析することによって、LTRに対する特異的なエピネフリン効果、およびエピネフリン群内においてGLAにより引き起こされる関連減少効果(これはその投薬量と正の相関を示す)を計算することが可能であった。
(実施例2)
GLA効果の開始および持続時間についての時間経過
【0144】
GLA投与について効果の持続時間を決定するため、およびその使用について最適な時点を評価するために実験を行った。
手順:
【0145】
最初の実験では、75匹の月齢6カ月のF344雄のラットを、腫瘍接種前の5つの注射時点−0h、4h、12h、24h、および48hのうちの1つにランダムに分けた。各群を3つの実験薬物群、PBS、SE、および2μgのGLAのうちの1つにさらに細分化した。各動物には、その関連する薬物群に従い、その指定された時点で、100μlをs.c.注射した。0hの時間において、MADB106細胞をエピネフリンと共に注射した(セクション4に詳述する通り)。4匹の追加の雄のF344ラットをPBS群に加え、エピネフリンの効果を確立するためのアンカーとしての役目を果たすためにこれらにはエピネフリンを注射しなかった(ビヒクルを与えた)。24時間後、動物を屠殺し、LTR評価のため肺を取り出した(セクション4に詳述された通り)。
【0146】
第2の実験では、雌のラットにおいて同様の実験を行った。89匹の月齢6カ月の雌のF344ラットを6つの注射時点−0h、4h、12h、24h、48h、および96hのうちの1つにランダムに分けた。各群を3つの実験薬物群、PBS、SE、および2μgのGLAのうちの1つにさらに細分化した。他のすべての手順は、上記の雄の通りであった。
結果:
【0147】
両方の実験で、PBSおよびSE群内の異なる時点は、一貫したまたは有意な差を示さなかったので、これらの条件に十分な動物を蓄積するようにこれらを合わせた。
【0148】
最初の実験(雄)では、処置のLTRに対する有意な主要効果が明らかであり(F(7,71)=5.990、p<0.0001)、宿主の抵抗性を改善した。
図2Aを参照されたい。フィッシャーのPLSD事後比較は、SE単独については効果を示さず、時点4h、12h、24h、および48hにおけるGLAとPBSとの間で有意な差を示した(4hに対してp<0.05、他はp<0.0001)。
【0149】
第2の実験(雌)では、処置のLTRに対する有意な主要効果が明らかであった(F(8,84)=3.229、p<0.01)。
図2Bを参照されたい。フィッシャーのPLSD事後比較は、SE単独について効果を示さず、時点24hおよび48hにおけるGLAとPBSとの間で有意な差を示した(両方ともp<0.05)。
【0150】
これらの結果は、雄および雌の両方において、GLAの単一の低用量の注射について急速かつ長期持続の効果を示しているが、この用量での処置に対して雄においてより良好な応答を示唆している。
(実施例3)
肺におけるMADB106転移の実際の進行に対するGLA効果の評価のための3週間の試験
【0151】
この実験は、LTRというより短い指標に焦点を合わせるよりもむしろ、肺におけるがん転移の実際の進行に対するGLAのin vivoでの効果を評価するために行った。
手順:
【0152】
86匹の月齢6カ月のF344ラット(雌44匹)を3つの実験群に分けた(2μgのGLA、SE、およびPBS)。群の割り当てに従い、各動物に100μlをs.c.注射した。24hr後、動物をイソフルランで軽く麻酔し、0.5mlのPBS(0.1%BSAを補充)中の10
5個のMADB106腫瘍細胞(およそ4×10
5/kg)をこれらの尾静脈に注射した。3週間後、ラットを屠殺し、これらの肺を取り出し、ブアン液(72%ピクリン酸飽和溶液、23%ホルムアルデヒド(37%溶液)および5%氷酢酸)中に24h置いた。エタノールで洗浄した後、目視可能な表面の転移を、各肺の起源を知らされていない研究者がカウントした。
結果:
【0153】
処置の転移の数に対する有意な主要効果は明らかであった(F(2,83)=5.405、p<0.01)。
図3を参照されたい。
【0154】
フィッシャーのPLSD事後比較は、SE単独について効果を示さず、GLAとPBSとの間(p<0.05)およびGLAとSEとの間で(p<0.01)有意な差、すなわちGLAは転移の数を減少させたことを示した。明らかな有意な性別差はなかった。
(実施例4)
未処置およびNK枯渇した動物におけるMADB106のLTRに対するGLAの効果
【0155】
この実験は、LTRに対するGLA投与の有利な影響の媒介におけるNK細胞の役割を評価するために行った。
手順:
【0156】
54匹の月齢4カ月のF344雄のラットを2つの群(抗NKR−P1 mAbの投与によるNK枯渇、またはビヒクル投与)に分け、各群を3つ(2μgのGLA、SE、およびPBS)にさらに細分化した。その薬物条件の割当に従い、各動物に100μlをs.c.注射し、24h後にMADB106細胞を、抗NKR−P1 mAbまたはビヒクルのいずれかと同時に投与した。24時間後、動物を屠殺し、肺をLTR評価のために取り出した(セクション4に詳述する通り)。
結果:
【0157】
2×3ANOVA(枯渇×薬物注射)により、枯渇について有意な効果を明らかになり(F(1,46)=712.065、p<0.0001)、NK枯渇した動物におけるおよそ20倍高いレベルのLTR、したがって、肺からのMADB106の排除におけるNK細胞の突出した役割が示された。
図4Aを参照されたい。
【0158】
枯渇群および非枯渇群を別々に調査した場合、明らかな枯渇群間の差はなかった。このことは、この条件下でGLAまたはSEのいずれについても効果がないことを示すが、その一方で枯渇なしの条件下では群についての有意な効果が見出された(F(2,22)=6.447、p<0.01)。枯渇なしの条件についてのフィッシャーのPLSD事後比較は、SE単独について効果を示さず、GLAとPBSとの間で有意な差を示した(p<0.01)。
図4Bを参照されたい。これらの発見は、GLAの有利な効果は、NK細胞により顕著に媒介されることを示している。
【0159】
この実験手法を利用した以前の研究でもまた、他の操作がNK枯渇した動物においてLTRを増加または低減させることが示された。このことは、この実験手法における潜在的、方法論的障害、例えば、天井効果または床効果を否定している。
(実施例5)
手術後の自然転移のマウスモデルにおけるGLA、β遮断剤およびCOX2阻害剤の試験
【0160】
C57BL/6Jマウスに、同系B16F10.9−黒色腫またはLewis肺癌を足蹠内播種し、進行した腫瘍が100mlを上回った時点で足を切断する。GLA、ベータ−アドレナリン作動性アンタゴニストプロプラノロール、および/またはシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤エトドラクを切断術前に1回(またはそれ超)投与し、再発のない生存をモニターする。GLAが切断術前に1回投与され、プロプラノロールとエトドラクとが切断術後1回投与される、さらなる実験を行う。
【0161】
C57BL/6J雄および雌のマウスを週齢6週間で購入し、動物施設内で1ケージ当たり3〜4匹を飼育し、12:12明/暗のサイクル、22 6 1℃で食物および水は自由に入手できるようにしておく。10〜14週間の週齢で動物を使用し、各実験においてすべての群を通して週齢を一致させる。腫瘍投与および薬物投与の順序は、すべての実験群を通して釣り合いを取り、対照動物にはビヒクルを注射する。
【0162】
PBS、鉱油、およびArlacel(8:7:1)のエマルジョン中のプロプラノロールをs.c.注射(5mg/kg、10ml/kg)する。エトドラクをコーン油に溶解し、s.c.注射する(50mg/kg、10ml/kg)。0.1μ〜50μgの範囲の用量/動物でGLAをs.c.注射する。
【0163】
各マウスに、5×10
4個のB16F10.9黒色腫細胞またはd122 Lewis肺癌(0.1%BSAを含有する20mlのPBS中)を足蹠内注射し、腫瘍は目視により毎日検査する。腫瘍が100〜150mlの体積に到達したら、マウスを2%イソフルランで麻酔し、特定の薬物処置を施し、腫瘍を足切断術により切除する。指定された腫瘍体積を達成したマウスは、事前に決定した釣り合いをとる順序に基づき特定の薬物処置群に割り当て、したがって異なる薬物群間で、切除時点において腫瘍サイズおよび腫瘍年齢の等しい分布を確実にする。切断術を行う実験者は、薬物処置群について知らされていない。マウスは、その後、80dの期間の間(かつ最後の病的状態の出現から2wk以上)毎日病的状態の徴候についてモニターする。病気の挙動、または明らかながん再発を示すマウスにはイソフルランを過量投与し、解剖して悪性の病巣を決定する。病気の挙動は、遅い身体運動、環境刺激への無反応性、顕著な体重減少、または振戦により定義される。
【0164】
特定の実施形態の前述の記載は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、現在の知識を適用することによって、過度な実験を行うことなく、一般的概念から逸脱することなく、様々な用途のために、このような特定の実施形態を他者は容易に改変および/または適応させることができ、そのためこのような適応および改変は、開示された実施形態の同等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、理解されることを意図する。本明細書で利用されている語法または用語は、記載目的のためであり、制限する目的ではないことを理解されるべきである。様々な開示された機能を実行するための手段、材料、およびステップは、本発明から逸脱することなく様々な代替の形態を取ることができる。