特許第6509840号(P6509840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6509840管腔構造内に埋め込むための、波形構造要素と一体化した医療器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6509840
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】管腔構造内に埋め込むための、波形構造要素と一体化した医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/915 20130101AFI20190422BHJP
   A61F 2/89 20130101ALI20190422BHJP
【FI】
   A61F2/915
   A61F2/89
【請求項の数】34
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2016-524995(P2016-524995)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-533790(P2016-533790A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】US2014061831
(87)【国際公開番号】WO2015061492
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】61/895,957
(32)【優先日】2013年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/968,025
(32)【優先日】2014年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/060,012
(32)【優先日】2013年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518440682
【氏名又は名称】オーバスネイチ・メディカル・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コットーネ、ロバート、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジュマン、モハメド、アイク
(72)【発明者】
【氏名】パツィエンツァ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イッポリト、ジェニファー
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−531347(JP,A)
【文献】 特開2004−329789(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/052184(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82 − 2/945
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体管腔内に埋め込むための骨組み(scaffold)であって、この骨組みは、圧縮状態と拡張状態とを有し、
前記骨組みは、複数の周囲形成要素を有し、各周囲形成要素は交互に繰り返す山と谷の形状からなる複数の波状形状を有するものであり
前記複数の周囲形成要素は、長手方向の軸を有する概ね円筒形状を形成し、
前記波状形状の少なくとも1つは、連続的に直接連結する少なくとも6つの直線状セグメントを含む波形パターン(corrugated pattern)有し、前記少なくとも6つの直線状セグメントは、それぞれ実質的に同じ長さを有しており、
前記骨組みは、第1の周囲形成要素と第2の周囲形成要素とを連結する複数の第1の連結要素、及び第2の周囲形成要素と第3の周囲形成要素とを連結する複数の第2の連結要素を有し、
前記第1および第2の周囲形成要素は長手方向に沿って隣接し、且つ前記第2および第3の周囲形成要素は長手方向に沿って隣接しており、
前記第1、第2、及び第3の周囲形成要素のうちの少なくとも1つの周囲形成要素は、それぞれが前記波形パターンを有する少なくとも2つの連続した波状形状を含み、前記少なくとも2つの連続した波状形状は、前記少なくとも1つの周囲形成要素と連結した、2つの隣接する前記第1の連結要素の間又は2つの隣接する前記第2の連結要素の間において周囲方向に伸びるものである、
骨組み。
【請求項2】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記波形パターンは、〜36の直線状セグメントを含むものである骨組み。
【請求項3】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記少なくとも6つの連結する直線状セグメントは、前記骨組みが拡張状態にあるとき、正弦波の周期に近似しているものである骨組み。
【請求項4】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記少なくとも1つの周囲形成要素は複数の波状形状を有し、当該複数の波状形状の各々は、波形パターンを有するものである骨組み。
【請求項5】
請求項1記載の骨組みにおいて、各前記複数の周囲形成要素は複数の波状形状を有し、各周囲形成要素の複数の波状形状の各々は、波形パターンを有するものである骨組み。
【請求項6】
請求項1記載の骨組みにおいて、各前記複数の周囲形成要素は、6〜12の波状形状を有するものである骨組み。
【請求項7】
請求項1記載の骨組みにおいて、第1または第2の連結要素と前記周囲形成要素のうちの1つとが交差する、当該1の周囲形成要素に沿った位置に少なくとも1つのノッチが配置されるものである骨組み。
【請求項8】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記骨組みは、生体吸収性ポリマー材料を有するものである骨組み。
【請求項9】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記骨組みは、生体腐食性金属を有するものである骨組み。
【請求項10】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記複数の第1の連結要素は、少なくとも2つの連結要素を有するものである骨組み。
【請求項11】
請求項10記載の骨組みにおいて、前記複数の第1の連結要素は、3つの連結要素を有するものである骨組み。
【請求項12】
請求項1記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素は直線状である骨組み。
【請求項13】
請求項1記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素は曲線状である骨組み。
【請求項14】
請求項13記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素はS字状セグメントを有するものである骨組み。
【請求項15】
請求項1記載の骨組みにおいて、少なくとも1つの前記第1の連結要素は、マーカードットを含むものである骨組み。
【請求項16】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記第1の周囲形成要素の山と谷は、前記第2の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素の谷を前記第2の周囲形成要素の山と連結するものであり、前記第2の周囲形成要素の山は前記第2の周囲形成要素の谷に隣接し、前記第1の周囲形成要素の谷と長手方向に沿って整列しているものである骨組み。
【請求項17】
請求項16記載の骨組みにおいて、前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第2の連結要素は、一方の側において、第1の連結要素により前記第1の周囲形成要素に連結される前記第2の周囲形成要素の山に連結し、他方の側において、前記第3の周囲形成要素の山に隣接している前記第3の周囲形成要素の谷に連結しており、前記第3の周囲形成要素の山は前記第2の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列しているものである骨組み。
【請求項18】
請求項17記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素はS字状セグメントを有し、各前記第2の連結要素は直線状である骨組み。
【請求項19】
請求項17記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素および各前記第2の連結要素は、概ね同じ周囲方向に伸びるものである骨組み。
【請求項20】
請求項16記載の骨組みにおいて、
前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、
各前記第2の連結要素は、一方の側において前記第2の周囲形成要素の山に隣接する前記第2の周囲形成要素の谷に連結し、他方の側において、前記第3の周囲形成要素の谷に隣接する前記第3の周囲形成要素の山に連結しており、前記第2の周囲形成要素の山は前記第1の連結要素により前記第1の周囲形成要素に連結され、前記第3の周囲形成要素の谷は前記第2の周囲形成要素の谷と長手方向に沿って整列しているものであり、
各前記第1の連結要素は、前記第2の連結要素のいずれとも長手方向に沿って整列していないものである
骨組み。
【請求項21】
請求項20記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素は、S字状またはZ字状のセグメントを有し、各前記第2の連結要素は、S字状またはZ字状のセグメントを有するものである骨組み。
【請求項22】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記第1の周囲形成要素の山と谷は、前記第2の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素の山を、前記第1の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している前記第2の周囲形成要素の山と連結するものである骨組み。
【請求項23】
請求項22記載の骨組みにおいて、前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第1の連結要素と連結する山に隣接する前記第2の周囲形成要素の谷に連結しており、他方の側において、前記第2の周囲形成要素の谷と長手方向に沿って整列している前記第3の周囲形成要素の谷に連結するものである骨組み。
【請求項24】
請求項23記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素は直線状であり、各前記第2の連結要素は直線状である骨組み。
【請求項25】
請求項22載の骨組みにおいて、
前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、
各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第2の周囲形成要素の山に隣接する前記第2の周囲形成要素の山に連結し、他方の側において、前記第2の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している前記第3の周囲形成要素の山に連結しており、前記第2の周囲形成要素の山は前記第1の連結要素と連結するものである
骨組み。
【請求項26】
請求項25記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素は直線状であり、各前記第2の連結要素は直線状である骨組み。
【請求項27】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記第1の周囲形成要素の山と谷は、前記第2の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素の山を前記第2の周囲形成要素の谷と連結し、前記第2の周囲形成要素の谷は、前記第1の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している前記第2の周囲形成要素の山に隣接しているものである骨組み。
【請求項28】
請求項27記載の骨組みにおいて、
前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、
各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第2の周囲形成要素の谷に隣接している前記第2の周囲形成要素の山に連結し、他方の側において、前記第3の周囲形成要素の山に隣接している前記第3の周囲形成要素の谷に連結しており、前記第2の周囲形成要素の谷は前記第1の連結要素により前記第1の周囲形成要素に連結され、前記第3の周囲形成要素の山は前記第2の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列しているものであり、
各前記第1の連結要素は、前記第2の連結要素のいずれとも長手方向に沿って整列していないものである
骨組み。
【請求項29】
請求項28記載の骨組みにおいて、各前記第1の連結要素および各前記第2の連結要素は、概ね同じ周囲方向に伸びるものである骨組み。
【請求項30】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記複数の第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素および前記第2の周囲形成要素を前記第1の周囲形成要素の山または谷に一つおきごとに連結するものである骨組み。
【請求項31】
請求項1記載の骨組みにおいて、前記骨組みが拡張状態にあるとき、前記骨組みは、少なくとも1つの前記第1の連結要素および少なくとも1つの前記第2の連結要素を含む少なくとも1つの連続した螺旋状のパターンを有し、前記少なくとも1つの第1の連結要素および前記少なくとも1つの第2の連結要素の双方は、同一の山または谷で前記第2の周囲形成要素と連結するものである骨組み。
【請求項32】
請求項1記載の骨組みにおいて、
前記骨組みが拡張状態にあるとき、前記骨組みは、少なくとも1つの前記第1の連結要素および少なくとも1つの前記第2の連結要素を含む少なくとも1つの連続した螺旋状のパターンを有し、
前記少なくとも1つの第1の連結要素は、第1の連結位置において前記第2の周囲形成要素と連結しており、前記少なくとも1つの第2の連結要素は、前記第1の連結位置とは異なる第2の連結位置において前記第2の周囲形成要素と連結しており、
前記連続した螺旋状のパターンは、さらに、前記第1の連結位置と前記第2の連結位置との間に前記第2の周囲形成要素の一部を有するものである
骨組み。
【請求項33】
請求項1記載の骨組みにおいて、少なくとも1つの前記周囲形成要素が、連結要素および当該周囲形成要素が交差する位置にノッチを含むものである骨組み。
【請求項34】
身体管腔内に埋め込むための骨組みであって、この骨組みは、圧縮状態と拡張状態とを有し、
前記骨組みは、複数の周囲形成要素を有し、各周囲要素は交互に繰り返す山と谷の形状からなる複数の波状形状を有
前記複数の周囲形成要素は、長手方向の軸を有する概ね円筒形状を形成し、
前記波状形状の少なくとも1つは、連続的に直接連結する少なくとも6つの直線状セグメントを含む波形パターン有し、
前記骨組みは、第1の周囲形成要素と第2の周囲形成要素とを連結する複数の第1の連結要素、及び第2の周囲形成要素と第3の周囲形成要素とを連結する複数の第2の連結要素を有し、
前記第1および第2の周囲形成要素は長手方向に沿って隣接し、且つ前記第2および第3の周囲形成要素は長手方向に沿って隣接しており、
前記第1、第2、及び第3の周囲形成要素のうちの少なくとも1つの周囲形成要素は、波形パターンを有する1以上の波形形状を形成する、連続的に直接連結した少なくとも8つの直線状セグメントを含み、
前記少なくとも8つの直線状セグメントは、前記少なくとも1つの周囲形成要素と連結した、2つの隣接する前記第1の連結要素の間又は2つの隣接する前記第2の連結要素の間において周囲方向に伸びるものである、
骨組み。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2013年10月22日に出願された米国特許出願第14/060,012号、2013年10月25日に出願された米国仮出願第61/895,957号、および2014年3月20日に出願された米国仮出願第61/968,025号の優先権を主張する。これらの先に出願された出願それぞれの内容は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ステントに関する。特に、本発明は、高い径方向強度および柔軟性を示し、生体吸収性ポリマーから形成され得る、ステントの幾何学的設計に関する。
【背景技術】
【0003】
ステントは、病変のある管部分に配置され、管壁を支持する血管用骨組み(vascular scaffold)である。血管形成術中に、ステントは、血管を修復および再構築するために使用される。患部の動脈部分におけるステントの配置により、弾性収縮および動脈の閉塞が防止される。また、ステントは、中膜に沿った局所的な動脈解離も防止する。生理学的にいうと、ステントは、管腔内の任意の空間、例えば、動脈、静脈、胆管、尿管、消化管、気管気管支樹、中脳水道、または泌尿生殖器系の管腔内に配置される場合がある。ステントは、ヒト以外の動物、例えば、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、およびヒツジの管腔内に配置される場合もある。
【0004】
一般的に、血管用骨組みまたはステントには、自己拡張型およびバルーン拡張型の2種類がある。自己拡張型ステントは、それらが解放されると、自動的に拡張し、展開および拡張された状態になる。自己拡張型ステントは、患部領域、例えば、狭窄領域内に圧縮状態で挿入することにより管内に配置される。ステントの圧縮またはクリンピングは、クリンピング装置を使用して達成され得る(http://www.machinesolutions.org/stent_crimping.htm、April,2009を参照のこと。)。ステントは、患部の管領域の内径より小さい外径を有するチューブを使用して、圧縮される場合もある。圧縮力が除去されるか、または、温度が上がると、ステントは拡張して、管腔を満たす。ステントが、前記チューブ中での制限から解放されたとき、前記ステントは拡張して、その元の形状を取り戻し、この過程で、壁部に対して管内に確実に固定されるようになる。
【0005】
バルーン拡張型ステントは、膨張可能なバルーンカテーテルを使用して拡張される。バルーン拡張型ステントは、拡張していないまたはクリンプされた状態のステントを、カテーテルのバルーン部分に載せることにより埋め込まれ得る。前記クリンプされたステントを前記バルーン部分に配置した後、前記カテーテルは、管壁の孔を通して挿入され、前記カテーテルが、修復を必要とする管部分に達するまで、前記管を通って移動する。ついで、管内壁に対してバルーンカテーテルを膨張させることにより、前記ステントは拡張される。具体的には、ステントは、バルーンを膨張させることにより、可塑的に変形される。これにより、前記ステントの直径が大きくなり、前記ステントが拡張される。
【0006】
多くのステントには、共通する制限が存在する。例えば、本体がポリマー材料から形成されているステントは、多くの場合、過剰な収縮および低い径方向強度の問題がある。これらの問題に取り組む、改善されたステント設計についての必要性が存在する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2013/0268054号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2012/0220934号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2013/0261733号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2013/0238078号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2009/0182404号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一観点において、本発明は、身体管腔に埋め込むための拡張型骨組み、例えば、ステントを提供する。前記骨組みは、圧縮されたまたはクリンプされた状態と拡張状態とを有し、複数の周囲形成要素であって、各周囲形成要素は交互に繰り返す山と谷の形状からなる複数の波状形状を有する、前記複数の周囲形成要素を含む。前記複数の周囲形成要素は、長手方向の軸(または筒軸)を有する概ね円筒形状を形成している。前記複数の周囲形成要素は、第1の周囲形成要素と、第2の周囲形成要素と、第3の周囲形成要素とを有する。前記第1および第2の周囲形成要素は長手方向に沿って隣接し、且つ前記第2および第3の周囲形成要素は長手方向に沿って隣接している。前記第1および第2の周囲形成要素は、複数の第1の連結要素により連結されており、前記第2および第3の周囲形成要素は、複数の第2の連結要素により連結されている。少なくとも1つの前記周囲形成要素は、波形パターン(corrugated pattern)を有する少なくとも1つの波状形状を有する。前記波形パターンは、互いに連続的に連結する少なくとも6つの直線状セグメント(例えば、6〜64の直線状セグメント、6〜36の直線状セグメント等)を有し、前記骨組みが拡張状態にあるとき、各前記少なくとも6つの直線状セグメントは、隣接して連結する直線状セグメントとは共線上にない。前記連結する直線状セグメントは、前記骨組みが拡張状態にあるとき、正弦波の周期に近似し得る。各前記連結する直線状セグメントの長さは、同じであってもよく、または、互いに異なってもよい。前記波形パターンは、曲線状セグメントも含み得る。前記波形パターンは、周囲形成要素全体に、および/または、前記骨組み中の全ての周囲形成要素に採用され得る。
【0008】
一実施形態では、前記骨組みは、生体吸収性ポリマー材料、例えば、ポリ−L−ラクチド(poly−L−lactide:PLLA)を有し得る。別の実施形態では、前記骨組みは、生体腐食性金属を有する。
【0009】
前記複数の第1の(または第2の)連結要素は、少なくとも2つの連結要素、例えば、3つの第1の(または第2の)連結要素を有し得る。前記第1の連結要素は、直線状または曲線状、例えば、S若しくはZ字状であってもよい。マーカードットが、第1または第2の連結要素に含まれ得る。
【0010】
一実施形態では、前記骨組みは、マーカードットを含む。前記マーカードットは、連結要素に包含されるか、または、取り付けられ得る。前記マーカードットは、口部と底部とを有するカップ形状の構成を有することができ、前記カップの底部に孔部を含むことができる。
【0011】
前記骨組みの一実施形態では、前記第1の周囲形成要素の山と谷は、前記第2の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相(in−phase)である。各前記第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素の谷を前記第2の周囲形成要素の山と連結するものであり、前記第2の周囲形成要素の山は前記第2の周囲形成要素の谷に隣接し、前記第1の周囲形成要素の谷と長手方向に沿って整列している。更なる実施形態では、前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第2の連結要素は、一方の側において、第1の連結要素により前記第1の周囲形成要素に連結される前記第2の周囲形成要素の山に連結し、他方の側において、前記第3の周囲形成要素の山に隣接している前記第3の周囲形成要素の谷に連結しており、前記第3の周囲形成要素の山は前記第2の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している。他の実施形態では、各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第2の周囲形成要素の山に隣接する前記第2の周囲形成要素の谷に連結し、他方の側において、前記第3の周囲形成要素の谷に隣接している前記第3の周囲形成要素の山に連結されており、前記第2の周囲形成要素の山は前記第1の連結要素により前記第1の周囲形成要素に連結され、前記第3の周囲形成要素の谷は前記第2の周囲形成要素の谷と長手方向に沿って整列しているものであり、各前記第1の連結要素は、前記第2の連結要素のいずれとも長手方向に沿って整列していない。
【0012】
前記骨組みの一実施形態では、前記第1の周囲形成要素の山と谷は、前記第2の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素の山を、前記第1の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している前記第2の周囲形成要素の山と連結する。更なる実施形態では、前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相である。各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第1の連結要素と連結する山に隣接する前記第2の周囲形成要素の谷に連結しており、他方の側において、前記第2の周囲形成要素の谷と長手方向に沿って整列している前記第3の周囲形成要素の谷に連結する。別の実施形態では、前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第2の周囲形成要素の山に隣接する前記第2の周囲形成要素の山に連結し、他方の側において、前記第2の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している前記第3の周囲形成要素の山に連結しており、前記第2の周囲形成要素の山は前記第1の連結要素と連結する。
【0013】
前記骨組みの一実施形態では、前記第1の周囲形成要素の山と谷は、前記第2の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第1の連結要素は、前記第1の周囲形成要素の山を前記第2の周囲形成要素の谷と連結し、前記第2の周囲形成要素の谷は、前記第1の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列している前記第2の周囲形成要素の山に隣接している。更なる実施形態では、前記第2の周囲形成要素の山と谷は、前記第3の周囲形成要素の山と谷と実質的に同位相であり、各前記第2の連結要素は、一方の側において、前記第2の周囲形成要素の谷に隣接している前記第2の周囲形成要素の山に連結しており、他方の側において、前記第3の周囲形成要素の山に隣接している前記第3の周囲形成要素の谷に連結しており、前記第2の周囲形成要素の谷は前記第1の連結要素により前記第1の周囲形成要素に連結され、前記第3の周囲形成要素の山は前記第2の周囲形成要素の山と長手方向に沿って整列しているものであり、各前記第1の連結要素は、前記第2の連結要素のいずれとも長手方向に沿って整列していない。
【0014】
前記骨組みの一実施形態では、前記骨組みが拡張状態にあるとき、前記骨組みは、少なくとも1つの前記第1の連結要素および少なくとも1つの前記第2の連結要素を含む少なくとも1つの連続した螺旋状のパターンを有する。前記少なくとも1つの第1の連結要素および前記少なくとも1つの第2の連結要素の双方は、同一の山または谷で前記第2の周囲形成要素と連結する。前記骨組みの別の実施形態では、前記骨組みが拡張状態にあるとき、前記骨組みは、少なくとも1つの前記第1の連結要素および少なくとも1つの前記第2の連結要素を含む少なくとも1つの連続した螺旋状のパターンを有する。この場合、前記少なくとも1つの第1の連結要素は、第1の連結位置において前記第2の周囲形成要素と連結し、前記少なくとも1つの第2の連結要素は、第1の連結位置とは異なる第2の連結位置において前記第2の周囲形成要素と連結しており、前記連続した螺旋状のパターンは、さらに、前記第1の連結位置と前記第2の連結位置との間に前記第2の周囲形成要素の一部を有する。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの前記複数の周囲形成要素は、連結要素および当該周囲形成要素が交差する位置にノッチを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本骨組みの切断パターンを示す。
図2A図2Aは、変動する長さを有する周囲形成要素を含む本骨組みの切断パターンを示す。
図2B図2Bは、周囲形成要素の変動する振幅を示す。
図2C図2Cは、繰り返し正弦波パターンを示す。
図2D図2Dは、繰り返しでない正弦波パターンを示す。
図3図3は、隣接する周囲形成要素の詳細図を示す。
図4A図4Aは、本骨組みの一端における連結要素の詳細を示す。
図4B図4Bは、種々の連結要素の種々の実施形態を図示する。
図4C図4Cは、種々の連結要素の種々の実施形態を図示する。
図4D図4Dは、種々の連結要素の種々の実施形態を図示する。
図4E図4Eは、種々の連結要素の種々の実施形態を図示する。
図4F図4Fは、種々の連結要素の種々の実施形態を図示する。
図4G図4Gは、マーカードットの斜視図を示す。
図4H図4Hは、マーカードットの種々の実施形態の断面を示す。
図4J図4Jは、マーカードットの種々の実施形態の断面を示す。
図4K図4Kは、マーカードットの種々の実施形態の断面を示す。
図5A図5Aは、種々の角度からの本骨組みの三次元図を示す。
図5B図5Bは、種々の角度からの本骨組みの三次元図を示す。
図5C図5Cは、種々の角度からの本骨組みの三次元図を示す。
図6図6は、本骨組みの別の実施形態の切断パターンを示す。
図7図7は、交互に繰り返す螺旋状のパターンを含む本骨組みの切断パターンを示す。
図8図8は、種々の形状を有する各種の連結要素を含む本骨組みの切断パターンを図示する。
図9図9は、変動する長さの周囲形成要素と共に交互に繰り返す螺旋状のパターンを含む本骨組みの切断パターンを示す。
図10A図10Aは、クリンプされた状態における本骨組みの三次元斜視側面図を示す。
図10B図10Bは、クリンプされた状態における本骨組みの三次元斜視側面図を示す。
図11A図11Aは、交互に繰り返す螺旋状のパターンを含む本骨組みの切断パターンを図示する。
図11B図11Bは、交互に繰り返す螺旋状のパターンを含む本骨組みの切断パターンを図示する。
図12図12は、連結要素の機能性を図示する。
図13図13は、拡張時の本骨組みおよび連結要素(第1および第2の連結要素)の幾何形状を図示する。
図14A図14Aは、接続要素の幾何形状を図示する。
図14B図14Bは、接続要素の幾何形状を図示する。
図14C図14Cは、連結要素が隣接している周囲形成要素にどのようにして取り付けられ得るかの種々の実施形態を示す。
図15図15A〜Eは、連結要素が、波状形状に沿って取り付け得る箇所を図示する。
図16図16は、連結要素の隣接する波状形状への取付けの径方向置換を示す。
図17A1図17A1は、隣接している周囲形成要素における位相の例を示す。
図17A2図17A2は、隣接している周囲形成要素における位相の例を示す。
図17B図17Bは、隣接している周囲形成要素における位相の例を示す。
図18図18は、2つの周囲形成要素間に3つの第1の連結要素が存在している、本骨組みの別の実施形態の切断パターンを示す。
図19A図19Aは、周囲形成要素が複数の直線状セグメントから構成されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく骨組みを模式的に示す。
図19B図19Bは、図19Aに示されている本骨組みの拡大図である。
図19C図19Cは、図19Aおよび19Bに示されている波形パターンを模式的に示す。
図19D図19Dは、複数の曲線状セグメントから構成されている波形パターンを模式的に示す。
図20A図20Aは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく切断パターンを示す。
図20B図20Bは、図20Aにおける本骨組みの一部の詳細図を示す。
図20C図20Cは、図20Aにおける本骨組みの一部の詳細図を示す。
図20D図20Dは、図20Aにおける本骨組みの一部の詳細図を示す。
図20E図20Eは、図20Aにおける本骨組みの一部の詳細図を示す。
図20F図20Fは、図20Aにおけるマーカードットの断面を示す。
図20G図20Gは、図20Aにおける本骨組みの側面図を示す。
図21A図21Aは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく拡張した骨組みの一部の三次元側面図を示す。
図21B図21Bは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく拡張した骨組みの一部の三次元側面図を示す。
図21C図21Cは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく拡張した骨組みの一部の三次元側面図を示す。
図22A図22Aは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図22B図22Bは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図23図23は、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図24図24は、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図25A図25Aは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図25B図25Bは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図26A図26Aは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図26B図26Bは、図19A〜19Bに示されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。
図27A図27Aは、図19A〜19Bに示されている波形パターンおよびノッチを含む、本発明の実施形態に基づく骨組みの三次元図を示す。
図27B図27Bは、図19A〜19Bに示されている波形パターンおよびノッチを含む、本発明の実施形態に基づく骨組みの三次元図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、拡張型血管用骨組み、例えば、ステントに関する。前記骨組みの全体設計は、1若しくはそれ以上の連結要素(連結することおよび連結という用語は、本明細書において互換的に使用される。)により連結される周囲形成要素の対を有するモジュール設計に基づいている。モジュールアプローチを使用して、前記骨組みは、長さおよび設計において変動する、周囲形成要素と連結要素とからアッセンブリされ得る。拡張時に、前記連結要素は、螺旋状のパターンを形成する。同パターンは、らせん状であり得る。
【0018】
前記血管用骨組みは、生体吸収性ポリマー、生体腐食性若しくは生体吸収性金属、またはそれらの組み合わせから形成され得る。生体吸収性ポリマーの非限定的な例は、ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−D−ラクチド(PDLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(デスアミノチロシル−チロシンエチルエステル)カーボネート、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、およびポリ(無水エステル)サリチル酸を含む。生体腐食性/生体吸収性金属の非限定的な例は、鉄、鉄系合金、マグネシウム、希土類元素を含むか若しくは含まないマグネシウム系合金、例えば、Mg−Sr合金、Mg−Sr−Zn合金、Mg−Zn−Zr合金、Mg−Nd−Zn−Zr合金、Mg−Zn−Al合金、Mg−Zn−Ca合金、金属ガラス、例えば、ジルコニウム系金属ガラスを含む。
【0019】
前記骨組みは、金属およびポリマーの種々の組み合わせから形成されてもよい。米国特許第7,846,361号;同第7,897,224号、および同第8,137,603号明細書。米国特許出願公開第2010/0093946号明細書。Alexy,et al.,BioMed Research International,2013 Article ID 137985。
【0020】
一般的には、前記骨組みは、円筒の長さ方向に走る筒(または長手方向)軸を有する円筒状または管状の物体である。本発明のモジュール幾何学的設計は、高い柔軟性および顕著な径方向強度を示す。一般的には、前記骨組みは、複数の拡張型周囲形成要素を有する、主に円筒形状の本体を有する。前記周囲形成要素は、長さが変動し得る。少なくとも2つの周囲形成要素が連結して、周囲形成要素の対を形成し得る。前記周囲形成要素の対を形成する周囲形成要素間に、1若しくはそれ以上の連結要素が存在してもよい。前記連結要素は、直線状、曲線状、または前記2つの形状の組み合わせを含む、各種の幾何学的形状に見出され得る。周囲形成要素の各対は、少なくとも1つの連結要素により、周囲形成要素の隣接する対に連結する。対における周囲形成要素間または周囲形成要素対間の連結要素の数は変動し得る。
【0021】
本明細書で使用する場合、「周囲形成要素」という用語は、円筒状であり得る本骨組みの周囲を囲む構造要素を意味する。一実施形態では、前記周囲形成要素は、前記骨組みの筒軸に実質的に垂直な、2つの仮想の面に沿って結合している。周囲形成要素は、複数の波状形状を有してもよい(または、同形状から成ってもよい)。波状形状は、前記周囲形成要素内の繰り返し単位であり、山と谷を有し得る。前記周囲形成要素当たりの波状形状数は、2〜N個、例えば、2、3、4,5、6、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60個等で変動し得る。
【0022】
前記血管用骨組みが拡張状態にあるとき、少なくとも一部の前記連結要素が、対における前記周囲形成要素を連結し、および/または、前記連結要素が、隣接する対における前記周囲形成要素を連結して、連続した螺旋状のパターンを形成する。
【0023】
一実施形態では、前記連続した螺旋状のパターンは、前記骨組みの筒軸に対して、実質的に平行に方向付けられている。前記連続した螺旋状のパターンは、他の向きをとることもできる。前記連続した螺旋状のパターンは、らせんを形成してもよいし、特定の実施形態では、1若しくはそれ以上のらせん、例えば、二重若しくは三重らせん、または、4、5、6若しくはそれ以上の数のらせんでもよい。二重以上のらせんが存在する場合、隣接するらせんは、互いに対して実質的に平行であり得る。隣接するらせんは、互いに対して平行でなくてもよい。一実施形態では、前記骨組みの筒軸から等距離に2つ以上のらせんが存在する。
【0024】
前記周囲形成要素は、形状が均一であり得る。あるいは、周囲形成要素は、各種の形状から構成されてもよい。例えば、前記周囲形成要素は、正弦波パターン、ノコギリ歯パターン、方形波パターン、または任意の他の種類の繰り返し若しくは非繰り返しパターン、例えば、正弦波とノコギリ歯の組み合わせであり得る、一連の波状形状から形成されてもよい。前記波状形状の振幅は、1つの周囲形成要素内、または、2つの周囲形成要素間において変動し得る(振幅は、ゼロからの関数のピーク偏差である。)。前記波状形状の振幅および頻度も変動し得る。例えば、周囲形成要素は、変動する振幅である、2:1:2:1、2:1等の繰り返しパターンを有する正弦波パターンから構成され得る。この場合、前記波状形状の振幅の比は、示されている比により表現される。他の比、3:1、4:1、5:1等も可能である。前記周囲形成要素は、1若しくはそれ以上のセグメントから構成されてもよく、各セグメントは、その固有の波形形状パターンを有する。各周囲形成要素におけるセグメント数は、1〜N個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60個等で変動し得る。前記セグメントの形状は、直線状でもよいし、または、曲線状でもよい。このため、前記周囲形成要素は、同じかまたは異なり得る種々のセグメントからモジュール法においてアッセンブリされ得る。前記骨組みにおいて、全ての前記周囲形成要素の長さは、同じであってもよい。あるいは、前記周囲形成要素の長さは、例えば、複数の種々の方法において、変動してもよい。例えば、1つの対内の前記周囲形成要素の長さは同じでもよいが、前記骨組みの一端により近い前記周囲形成要素の長さは、前記骨組みの中央により近い前記周囲形成要素の長さより長いか、または、同長さ未満であり得る。
【0025】
隣接する周囲形成要素を連結する前記連結要素(第1の連結要素または第2の連結要素)の数は、1〜N個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の数、10〜20個の範囲であり得る。前記連結要素の形状は、直線状、曲線状、S字状、逆S字状、Z字状、逆Z字状、または、例えば、直線状と曲線状のセクションを含む任意の他の組み合わせ形状でもよい。同様に、周囲形成要素の隣接する対を連結する前記連結要素の数は、1〜N個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)の範囲でよく、このような連結要素の形状は、直線状、曲線状、S字状、逆S字状、Z字状、逆Z字状、またはそれらの任意の組み合わせでもよい。前記連結要素は、前記骨組みの筒軸に対して、各種の角度、例えば、0〜20°、20〜40°、40〜60°、または60〜80°をとり得る。さらに、これらの連結要素の角度は、前記骨組みの筒軸に対して、正でもよいし、または、負でもよい。前記連結要素が曲線状である場合、それらは、前記連結要素の選択された部分に存在する湾曲を有する凹凸でもよい。前記湾曲の度合いは、1つの連結要素内でも変動し得る。前記連結要素の数は、前記連結要素の数が増えた場合に一般的に現れる柔軟性の低下により、前記骨組みの柔軟性を修飾するのに採用され得る。
【0026】
前記連結要素が、S字状である場合、前記連結要素は、実質的にS字状構造を有し得る。一実施形態では、前記S字状の連結要素は、周囲形成要素間をより緩くすることができ、前記骨組みのより大きい拡張を可能にする、二重に曲がった構造を有する。このS字状セグメントが長いほど、より緩くなり、前記構造に存在する拡張性がより大きくなる。S字状の連結要素は、平滑でもよいし、または、角ばっていてもよい。別の実施形態では、S字状の連結要素は、少なくとも3つの実質的に直線状部分を含み、第1の直線状部分は、前記骨組みの筒軸に対して実質的に平行であり(例えば、前記骨組みの筒軸に対して約0度と約20度の間の角度を形成する)、第2の直線状部分は、前記軸に対して実質的に垂直であり(例えば、前記骨組みの筒軸に対して約70度と約90度の間の角度を形成する)、第3の直線状部分は、前記軸に対して実質的に平行である(例えば、前記骨組みの筒軸に対して約0度と約20度の間の角度を形成する)。さらに別の実施形態では、前記S字状の連結要素は、少なくとも3つの実質的に直線状部分を含み、第1の直線状部分は、前記骨組みの筒軸に対して実質的に平行であり(例えば、前記骨組みの筒軸に対して約0度と約20度の間の角度を形成する)、第2の直線状部分は、前記第1の直線状部分に対して実質的に垂直であり(例えば、前記第2の直線状部分は、前記第1の直線状部分に対して約70度と約90度の間の角度を形成する)、第3の直線状部分は、前記第1の直線状部分に対して実質的に平行である(例えば、前記第3の直線状部分は、前記第1の直線状部分に対して約0度と約20度の間の角度を形成する)か、または、前記第2の直線状部分に対して垂直である(例えば、前記第3の直線状部分は、前記第2の直線状部分に対して約70度と約90度の間の角度を形成する)。
【0027】
前記連結要素がZ字状である場合、前記連結要素は、実質的にZ字状構造を有する。
【0028】
隣接する周囲形成要素間に2つ以上の連結要素が存在する場合、前記連結要素は、前記骨組みの周囲に沿った径方向の位置に、対称的または非対称的に位置している。前記連結要素が、対称的に位置している場合、各対の連結要素間の放射距離、例えば、A−BとB−Cは等しい。
【0029】
前記連結要素についてここで列記されている径方向の位置は、例示目的のみのために提供され、前記連結要素は、過度の試行錯誤をすることなく、前記筒軸に対する前記骨組みの周囲に沿った任意の点において、当業者により配置され得る。例えば、前記連結要素の配置は、360°をn(ここで、nは、隣接する周囲形成要素間の連結要素の数である。)で割ることにより決定され得る。n=3の場合、前記連結要素は、前記ステントの周囲に約120°間隔で対称的に配置されてもよい。隣接する周囲形成要素間に2つの等しく間隔をあけた連結要素が存在する場合、それらは、互いに対して約180°に位置する。すなわち、前記2つの連結要素は、互いに対して反対側に向けられている。
【0030】
参照のみの目的で、各対において前記周囲形成要素を連結する前記連結要素は、第1の連結要素と呼ばれる。一方、周囲形成要素の隣接する対における前記周囲形成要素を連結する連結要素は、第2の連結要素と呼ばれる。前記第1および第2の連結要素は、同じ形状のものでもよく、または、異なる形状を有してもよい。加えて、周囲形成要素の対における周囲形成要素を連結する前記第1の連結要素の形状は、同じでもよいし、または、形状および長さの両方において変動してもよい。同様に、周囲形成要素の隣接する対を連結する前記連結要素は、同じでもよいし、または、形状および長さにおいて変動してもよい。以下でさらに検討されているように、前記第1および第2の連結要素は、血管用骨組みが、拡張後に前記周囲形成要素により形成される面の外に明らかに曲がった対を形成する前記周囲形成要素を生じさせることなく、拡張するのを可能にするように構成され得る。このため、周囲形成要素の隣接する対間の前記連結要素(例えば、第2の連結要素)は、前記骨組みの拡張に応じて伸びることができる。一実施形態では、これらの連結要素は、S字状を有し、または、曲線状である。
【0031】
前記骨組みが拡張状態にあるとき、前記対における前記周囲形成要素を連結する連結要素の少なくとも一部、および/または、隣接する対における前記周囲形成要素を連結する連結要素は、連続的な渦巻きまたは螺旋状のパターンを形成する。一実施形態では、前記渦巻きまたは螺旋状のパターンは、前記第1および第2の連結要素の少なくとも一部を有する。別の実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記第1の連結要素の少なくとも一部を有する。第3の実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記第2の連結要素の少なくとも一部を有する。第4の実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記第1および第2の連結要素の少なくとも一部ならびに前記周囲形成要素の少なくとも一部を有する。第5実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記第1の連結要素の少なくとも一部および前記周囲形成要素の少なくとも一部を有する。第6実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記第2の連結要素の少なくとも一部および前記周囲形成要素の少なくとも一部を有する。
【0032】
前記連結要素の長さは、前記連結要素の一端から開始して前記連結要素に沿って、前記連結要素の他端への距離に沿って移動する移動の絶対距離を意味する。
【0033】
前記第2の連結要素の長さは、第1の連結要素の長さより長くても、等しくても、または、同長さ未満でもよい。
【0034】
前記周囲形成要素の波状形状は、前記血管用骨組みの近位または遠位端のいずれかに対して、山と谷を形成し得る。前記第1の連結要素は、山から山、山から谷、または谷から谷への対において、前記周囲形成要素を結合し得る。同様に、前記第2の連結要素は、山から山、山から谷、または谷から谷への隣接する対間の前記周囲形成要素を連結し得る。前記山から山、山から谷、または谷から谷の連結は、同じ筒軸線にあるか、または、180°でシフトした周囲形成要素間にあり得る。他のシフトは、これに限定されるものではないが、前記同じ筒軸線から5°、60°、90°、および120°を含む。前記連結要素は、隣接する周囲形成要素の任意の点、例えば、これに限定されるものではないが、山、谷、波状形状の上昇部、または降下部における任意の点を連結し得る。
【0035】
対における一方の周囲形成要素の波状形状は、前記対における他方の周囲形成要素の波状形状と、同位相または不一致のいずれでもよい。前記2つの周囲形成要素が不一致である場合、位相差の度合いは、0°を超え180°の度合いの範囲であることができ、これに限定されるものではないが、5°、60°、90°、および120°の度合いを含むことができる。
【0036】
同様に、前記1つの対の波状形状は、前記隣接する対の波状形状に対して、同位相または代替的に不一致のいずれでもよい。前記2つの周囲形成要素が不一致である場合、位相差の度合いは、0°を超え180°の度合いの範囲であることができ、これに限定されるものではないが、5°、60°、90°、および120°の度合いを含むことができる。
【0037】
前記隣接する周囲形成要素の波状形状は、同位相または不一致のいずれでもよい。前記2つの周囲形成要素が不一致である場合、位相差の度合いは、0°を超え180°の度合いの範囲であることができ、これに限定されるものではないが、5°、60°、90°、120°、および180°の度合いを含むことができる。
【0038】
例えば、拡張型バルーンにより径方向の拡張力が前記骨組みに加わったとき、前記周囲形成要素は、径方向に拡張し、周囲方向に細長になる。逆に、外部圧縮力が前記骨組みに発揮されたとき、前記周囲形成要素は、径方向に収縮し、周囲方向に短くなる。径方向の拡張力が前記骨組みに加えられたとき、前記波状形状は、振幅が小さくなる。逆に、外部圧縮力が前記骨組みに発揮されたとき、前記波状形状は、振幅が大きくなる。
【0039】
別の実施形態では、前記骨組みは、複数の多角形を有する。前記多角形は、n面を有する。ここで、nは、任意の正の整数である。例えば、前記多角形は、3〜30の範囲の面を有し得る(より高いオーダーの多角形も、本発明の設計に包含される。)。例えば、n面以下の多角形、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29および30面の多角形である。前記多角形の面は、等しくても、または、等しくなくてもよい。前記多角形における反対側面は、前記骨組みがクリンプされているとき、互いに対して実質的に平行であり得る。多角形の反対側面は、互いに関して他の構成をとることもできる。
【0040】
前記多角形は、複数の連結要素により連結される複数の波状形状から形成され得る。例えば、前記多角形は、2つの連結要素により連結される、2つの波状形状から形成されている六角形でもよい。六角形は、第1の波状形状と第2の波状形状とを有する場合があり、同波状形状は、第1のセグメントと第2のセグメントとにより連結される。各六角形における前記第1および第2の波状形状を有するフィラメントは、異なるまたは同一の幅、長さ、および厚みを有してもよい。前記多角形は、連結要素なしに複数の波状形状から形成されていてもよい。例えば、前記多角形は、2つの波状形状から成る四角形でもよい。より高いオーダーの多角形、例えば、n=8〜30において、前記波状形状は、複数の連結要素により連結していてもよい。
【0041】
波状形状は、1つのセグメントまたは少なくとも2つのセグメント(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、N個のセグメント)を有し得る。前記セグメントは、直線状でも、または、曲線状でもよい。セグメントが曲線状である場合、湾曲度合いは変動し得る。セグメントは、凹または凸でもよい。セグメントは、互いに連結する直線状部分のみを含んでもよいし、または、互いに連結する曲線状部分のみを含んでもよい。あるいは、セグメントは、互いに連結する直線状部分および曲線状部分の両方を含んでもよい。前記セグメントは、その長さに沿って選択された点に配置されている、少なくとも1つの曲がりを有してもよい。例えば、セグメントは、n、C、U、V等に様式化された形状をとってもよい。セグメントは、ループの形状であってもよい。この場合、前記ループは、円形でもよく、または、半円形でもよい。前記セグメントは、本質的に、任意の適切な構成をとり得る。前波状形状のセグメントの長さ、幅、および厚みは、等しくてもまたは等しくなくてもよい。各周囲形成コンポーネントにわたる各多角形の2つの波状形状は、同一でもよいし、または、変動してもよい。前記多角形および前記多角形の面を表す種々のセグメントについての広い各種の構成は、本発明に包含される。例えば、前記多角形の面を表すセグメントは、直線状でも、または、曲線状でもよい。1つの多角形において、1つの波状形状を有する前記セグメントの長さは、反対向きの波状形状の前記セグメントの長さと等しくても、または、同長さより長くてもよい。前記多角形は、凸状(すなわち、その全ての内角が180°未満である。)でもよいし、または、非凸状(すなわち、多角形が少なくとも1つの180°を超える内角を含む。)でもよい。前記多角形は、前記骨組みの本体にわたって、連続的、断続的な構造を形成し得る。周囲形成要素(または周囲形成要素の対)は、異なるかまたは実質的に同一の多角形を含み得る。異なる周囲形成要素の多角形は、異なってもよいし、または、実質的に同一でもよい。隣接する多角形の表面積は、等しくてもまたは等しくなくてもよい。前記多角形の表面積、すなわち、前記面により包含される面積は、前記多角形の面の長さから数学的に算出され得る。http://mathworld.wolfram.com/PolygonArea.html、April,2009。
【0042】
本発明の骨組みの一実施形態は、図1に図示されている。前記周囲形成要素の対は、1〜4として示されている。対1〜4についての前記骨組みにおける前記周囲形成要素は、丸括弧中に1(5、6)、2(7、8)、3(9、10)、および4(11、12)で表示されている。1つの対である1における2つの周囲形成要素間の前記連結要素(第1の連結要素)は、13〜18として示されている。一方、周囲形成要素の隣接する対1と2間の前記連結要素(第2の連結要素)は、19〜21として示されている。前記骨組みは、マーカードット22を含んでもよい。前記骨組みの波状形状および連結要素により形成されている多角形は、23および24のボックスにより図示されている。
【0043】
本骨組みの別の実施形態は、図2Aに示されている。ここでは、本骨組みの周囲形成要素は、長さが変動する。前記周囲形成要素の周囲長は、A>B>Cである。ただし、長さのこの順序は、例示目的のためにのみ示されている。前記周囲形成要素A、B、Cにより形成された波状形状の振幅は、部分的にクリンプされたまたは完全にクリンプされた状態において、A'>B'>C'の長さまたは高さも有する(図2B)。示されている実施形態において、変動する長さを有する前記周囲形成要素が、以下のように、前記骨組みの本体に沿って分布されている。A−B(25、26)、C−C(27、28)、C−C(29、30)、C−B(31、32)、B−B(33、34)、B−B(35、36)、およびB−A(37、38)。ただし、数多くの他の組み合わせおよび分布も可能である。図2Cは、前記波状形状の振幅が、前記周囲形成要素にわたって一定である、繰り返しの正弦波パターンを示す。図2Dは、繰り返しでない正弦波パターンを示す。繰り返しでない正弦波パターンにおいて、前記波状形状の振幅および/または通常の頻度は、前記周囲形成要素の周囲に沿って、対称的またはランダムのいずれかに変動し得る。
【0044】
前記周囲形成要素の長さは、前記周囲形成要素上の人工点から開始して、同じ人工点に戻る前記周囲形成要素に沿った移動の絶対距離を意味する。
【0045】
周囲形成要素の2つの隣接する対を形成する前記波状形状の一部の詳細図は、図3に示されている。前記周囲形成要素は、39、40として示されている。それらは、連結要素(第2の連結要素)により連結しており、前記連結要素は、2つの直線状部分41、4101と、S字状部分42とを有する。周囲形成要素40の波状形状は、振幅43および44を有する。示されている実施形態では、44は、43より大きい。
【0046】
図4Aは、前記骨組みの一端における連結要素(第1の連結要素)の詳細を示す。周囲形成要素46、47は、連結要素(第1の連結要素)48〜55により連結される。図4B〜4Fは、連結要素53に沿った種々の点において、例えば、直線状、複数のセグメント、または曲がった若しくは曲線状の連結要素の側面に沿った(および、同側面を中断している)点、または、同側面上に、マーカードット54が連結要素56〜59に取り付けられている、種々の実施形態を図示する。図4Gは、マーカードット251の斜視図を示す。図4H、4J、および4Kは、マーカードット252の種々の実施形態の断面を示す。マーカードットについての骨組みの断面は、種々の形状をとることができ、同形状は、これに限定されるものではないが、シースルーの空間(図4H)、入口253、底254、および前記底にある孔255を有するカップ型構造(図4J)、ならびに入口253aおよび底254aを有するカップ型構造(図4K)を含む。
【0047】
図5A〜5Cは、直交図(5A)、側面図(5B)および端面図(5C)における前記骨組みを示す。前記周囲形成要素は、60〜64および65〜70で表示されている。前記周囲形成要素の対間の前記連結要素は、71、72、74、75(第1の連結要素)として示されている。一方、2つの対間の前記連結要素は、73で表示されている。前記螺旋形状の設計は、76〜78として示されており、周囲形成要素の対間の前記連結要素および前記対を形成する周囲形成要素間の連結要素(それぞれ、第1および第2の連結要素)を含む。前記対を形成する周囲形成要素は、強調線63、64で示されている。
【0048】
図6は、本骨組みの別の実施形態の切断パターンを示す。79、80;81、82;83、84;85、86;87、88;89、90、および91、92として示されている前記周囲形成要素の対を共に、前記周囲形成要素は、79〜92で表示されている。前記螺旋状のパターンは、93〜103として示されており、対を形成する周囲形成要素間の連結要素(第1の連結要素)94、96、98、100、および102と共に、周囲形成要素の対間の連結要素(第2の連結要素)93、95、97、99、101、および103の交互に繰り返すパターンを有する。図6への挿入図において、本骨組みの部分的に圧縮された図が示されている。前記周囲形成要素は、107、107'で表示されている。一方、前記連結要素は、105、106で表示されている。前記図に示されている本骨組みは、互いに対して実質的に平行であり得る、2つ以上の螺旋状のパターン108〜110を含む。
【0049】
図7は、交互に繰り返す螺旋状のパターンを有する本骨組みの切断パターンを示す。この実施形態では、前記螺旋状のパターンは、周囲形成要素の対間の連結要素(第1の連結要素)112、115、118、121と、前記周囲形成要素の波状形状の一部113、117、120と、周囲形成要素の2つの隣接する対を連結する連結要素(第2の連結要素)111、114、116、119、122との交互に繰り返すパターンから形成されている。この実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記骨組みの一端から開始する下記繰り返し配列:第1の連結要素、第2の連結要素、前記波状形状の一部、第1の連結要素、第2の連結要素、前記波状形状の一部を有する。この繰り返し配列は、前記骨組みにわたって繰り返されている。他の繰り返し配列は、これに限定されるものではないが、(a)前記骨組みの本体にわたってn回繰り返されている、第1の連結要素、前記波状形状の一部、第1の連結要素;(b)前記骨組みの本体にわたってn回繰り返されている、第1の連結要素、前記波状形状の一部;(c)前記骨組みの本体にわたってn回繰り返されている、第2の連結要素、前記波状形状の一部;または、(d)前記骨組みの本体にわたってn回繰り返されている、第2の連結要素、前記波状形状の一部、第2の連結要素を含み得る。
【0050】
図8は、前記連結要素が各種の形状を有し、前記連結要素のパターンの分布が前記骨組みの本体にわたって変動する、実施形態を示す。具体的には、示されている実施形態において、周囲形成要素の対間の前記連結要素は直線状124〜126および130〜132であり、または、曲線状127〜129、134〜136、および137〜139である。周囲形成要素の対間の前記曲線状の連結要素の1つは、直線状および曲線状の部分の両方127〜129を有する。図示から明らかであるように、前記連結要素のパターンは、前記骨組みの本体にわたって変動し得る。曲線状137〜139、134〜136、直線状130〜132、曲線状127〜129、および直線状124〜126。他の可能性のある配置および幾何学的形状は、本発明に包含される。当業者であれば、血管に要求される柔軟性および空間的要求に適合する、連結要素の配列および種類を選択することができる。
【0051】
図9は、変動する長さの周囲形成要素と共に交互に繰り返す螺旋状のパターンを本骨組みの切断パターンを示す。この実施形態は、異なる長さの周辺形成要素および各種の連結要素が、2種類の螺旋状のパターンを有する骨組みを形成するように組み合わせられている、骨組みのモジュール設計の性質を図示する。前記周辺形成要素は、長さA、B、およびCを有する。例えば、一実施形態では、前記周辺長さは、A>B>Cである。具体的には、図9に示されている順序で、A1およびA0(140、144)は、B〜B(141、143)と組み合わせられ、次に、C〜C(142)と組み合わせられる。この実施形態には、2種類の螺旋状のパターン145〜147および153〜154が存在する。147における前記螺旋状のパターンは、対を形成する周囲形成要素間の連結要素(第1の連結要素)148、150、152と、周辺形成要素の対間の連結要素(第2の連結要素)149、151とを有する。他の螺旋状のパターン154は、対を形成する周囲形成要素間の連結要素(第1の連結要素)155、158と、周囲形成要素の波状形状の一部157、160と、周辺形成要素の対間の連結要素(第2の連結要素)156、159とを有する。
【0052】
図10Aおよび10Bは、クリンプされたまたは圧縮された状態における、本骨組みの三次元斜視側面図を示す。前記周辺形成要素の対は、172、173として示されている。周囲形成要素161、167の一部を形成する1つの波状形状は、前記周囲形成要素の対間の連結要素162、166(第2の連結要素)に隣接している。この連結要素は、隣接する対における周囲形成要素163、171の波状形状の上部に位置するか、または、同波状形状に沿う/重なるが、同波状形状と接触している必要はない。対において前記周囲形成要素を連結する前記連結要素(第1の連結要素)は、169、170として示されている。この配置は、周囲形成要素175、186の一部を形成する1つの波状形状が、周囲形成要素間の連結要素176、185(第2の連結要素)に隣接している、図10Bにおいても明確に見ることができる。この連結要素は、隣接する対における周囲形成要素180、184の波状形状の上部に位置するか、または、同波状形状に沿う/重なっている。対において周囲形成要素を連結する前記連結要素(第1の連結要素)は、182として示されている。周囲形成要素の対は、183と表示されている。
【0053】
図11Aは、交互に繰り返す螺旋状のパターンを有する本骨組みの切断パターンを示す。458、459、460、461、および462、463として示されている周囲形成要素の対と共に、前記周囲形成要素は、458〜464で表示されている。この実施形態では、前記螺旋状のパターンは、周囲形成要素の対間の連結要素(第1の連結要素)451、455、前記周囲形成要素の波状形状の一部452、454、456、および周囲形成要素の2つの隣接する対を連結する連結要素(第2の連結要素)453、457の交互に繰り返すパターンから形成されている。この実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記骨組みの一端から開始する下記繰り返し配列:第1の連結要素、前記波状形状の一部、第2の連結要素、前記波状形状の一部を有する。前記繰り返し配列は、前記骨組みにわたって繰り返される。図11Aにおいて、前記第1および第2の連結要素は両方とも直線状である。
【0054】
図11Bは、別の螺旋状のパターンを有する本骨組みの切断パターンを示す。465、466;467、468;469、470、および471、472として示されている周囲形成要素の対と共に、前記周囲形成要素は、465〜472で表示されている。この実施形態では、前記螺旋状のパターンは、周囲形成要素の2つの隣接する対を連結する連結要素(第2の連結要素)473、477、周囲形成要素の波状形状の一部474、476、478、および周囲形成要素の対間の連結要素(第1の連結要素)475、479の交互に繰り返すパターンから形成されている。この実施形態では、前記螺旋状のパターンは、前記骨組みの一端から開始する下記繰り返し配列:第2の連結要素、前記波状形状の一部、第1の連結要素、前記波状形状の一部を有する。前記繰り返し配列は、前記骨組みにわたって繰り返される。図11Bにおいて、前記第1および第2の連結要素は両方とも、S字状である。
【0055】
従来技術設計が抱える問題の1つは、骨組みが拡張する際、隣接する周囲形成要素を形成する波状形状がねじれることである。本設計では、改善されている。
【0056】
図12は、周囲形成要素の隣接する対間の連結要素の機能性を図示する。199および200は、周囲形成要素の対である。3種類の連結要素、直線状201および曲線状202、203が図示されている。前記骨組みが拡張する際、連結要素201は拘束性であり、前記周囲形成要素の拡張を調節できないが、連結要素203または203のいずれかがほとんど拘束性でなく、隣接する対における周囲形成要素が面197、198の外にねじれることなく、拡張を調節する。
【0057】
図13は、拡張時における、本骨組みおよび連結要素の幾何形状を図示する。前記周囲形成要素の対は、206、207として示されている。前記周囲形成要素の対を形成する前記波状形状間の連結要素(第1の連結要素)は、208〜210で表示されている。前記対間の連結要素は、213で表示されている。拡張時の幾何形状は、211、212を使用して213と共に三角形を形成することにより図示されている。208および210についての筒軸に対して形成されている角度は、215、216で表示されている。211、212および213により形成されている角度は、214で表示されている。拡張後、角度214'、215'、および216'は全て大きくなる。
【0058】
図14Aおよび14Bは、対における周囲形成要素間(第1の連結要素)、または、周囲形成要素の隣接する対間(第2の連結要素)であり得る、連結要素の構造的幾何形状の種々の実施形態を図示する。前記連結要素は、S字状、217、217'、401、404〜409、直線状218、410、218'、413(曲がり)、凹/凸219、219'、411、412、曲線状402、403、414であり得る。前記連結要素は、隣接する周囲形成要素上の任意の点、例えば、山(426、428)、谷(425、427)、または、波状形状の上昇部(415、416、419、420、421、422、423、424、429、430、433)若しくは下降部(417、418、431、432、434)の任意の点を接続し得る。
【0059】
図14Cは、周囲形成要素の波状形状上の点に取り付けられている連結要素の一端と共に、前記連結要素の他端が、隣接する周囲形成要素の直接対応する山若しくは谷に、または、1、2、3、4、5、6、7、8、9...N個(Nは、任意の正の整数であり得る。)の波状形状によりシフトしている点(前記シフトは、いずれの方向に向かってもよい。)に取り付けられ得ることを示す。図14Cにおいて、前記連結要素の2つの端部は、480(山)、481(谷);482(山)、483(1つの波状形状によりシフトしている谷);484(山)、485(1つの波状形状によりシフトしている谷);486(谷)、487(山)である。
【0060】
図15A〜Eは、連結要素が、波状形状に沿って取り付けられ得る箇所を図示する。ここでは、前記連結要素は、直線状として示されているが、この形状は、例示目的のためにのみ示されており、前記連結要素は、曲線状若しくはS字状、または、本発明に包含される任意の他の形状であることができる。ここで示されている実施形態は、前記第1および第2の連結要素の両方に適用できる。本骨組みの筒軸も示されている。連結要素220は、1つの波状形状221の谷と、別の波状形状222の山とに取り付けられ得る(図15A)。あるいは、連結要素224は、2つの波状形状223、225の谷または山の両側に取り付けられ得る(図15B)。連結要素227は、2つの波状形状の谷226、228に取り付けられ得る(図15C)。連結要素230は、2つの波状形状の山229および谷231にも取り付けられ得る(図15D)。連結要素234は、2つの波状形状の上昇部232、235にも取り付けられ得る(図15E)。ここで示されている図は、反対向きの波状形状に取り付けられている連結要素を図示しているが、前記連結要素は、前記筒軸に対して径方向にシフトした波状形状に取り付けられ得る(図16)(236〜238)。
【0061】
本骨組みの近位端および遠位端は、大動脈弁に最も近い近位端として、心臓に対して表示され得る。前記山および谷という用語は、本骨組みの近位端および遠位端に関して、任意に規定される。
【0062】
図17A1、17A2、および17Bは、隣接する周囲形成要素における位相の例を示す。図17A1において、周囲形成要素239、240は、(243および244についての筒軸線を比較して)互いに一致している。図17A2において、周囲形成要素239、250は、部分的に不一致である。対照的に、図17Bにおいて、周囲形成要素242、247は、(245および248を比較して)互いに180°不一致である。
【0063】
図18は、本骨組みの別の実施形態の切断パターンを示す。301、302;303、304;305、306;および307、308として示されている周囲形成要素の対と共に、前記周囲形成要素は、301〜308で表示されている。前記螺旋状のパターンは、309〜317として示されており、周囲形成要素の対間の連結要素(第2の連結要素)309、311、313、315、および317と、対を形成する前記周囲形成要素間の連結要素(第1の連結要素)310、312、314、および316との交互に繰り返すパターンを有する。前記図に示されている骨組みは、2つ以上の螺旋状のパターン318〜320を含む。
【0064】
図19Aは、本発明の一実施形態に基づく骨組みの切断図を模式的に示す。前記骨組みは、3つの長手方向に隣接する周囲形成要素2010、2020、および2030を含む。この場合、周囲形成要素2010および2020の対は、第1の連結要素2012により連結される。第1の連結要素2012は直線状である。周囲形成要素2020および2030の対は、第2の連結要素2022により連結される。第2の連結要素2022はS字状である。周囲形成要素2010および2030は、ノコギリ歯状の波状形状パターンを含むように図示されている。同パターンは、複数の直線状要素から構成されている。周囲形成要素2020は、波形パターン2050(陰影部/より暗い部分)を含み得る。同パターンは、図19Bに関連して以下にさらに図示されている。例示目的のために、波形パターン2050は、図19Aにおいて、架空のノコギリ歯パターンに重ねられている。
【0065】
図19Bは、図19Aの一部の拡大図である。同図は、波形パターン2050の詳細な構造をさらに図示する。図19Bに示されている波形パターン2050では、各波状形状(すなわち、1つの山およびその隣接する谷を含む、周囲形成要素における波状形状パターンの繰り返し単位)は、互いに連続して連結する、数多くの直線状セグメント2051、2052、2053、2054、2055、2056を含む。前記骨組みが、拡張状態にあるとき、前記直線状セグメントはそれぞれ、隣接して連結する直線状セグメントとは共線的でない。1つの波状形状内の前記直線状セグメントは、正弦波の周期にまとめて近似する。
【0066】
前記波形パターンが、図19Aおよび図19Bにおいて、波状形状当たりに6個の直線状セグメントを含むように示されているが、波状形状当たりにより多くの数のセグメント、例えば、8、10、12、16、20、24、32、36、48、64個等が使用され得る。前記直線状セグメントはそれぞれ、おおよそ同じ長さであることができ(変量、10%未満)、または、所望若しくは必要に応じて、長さを変動させることができる。一連の連結する曲線状セグメントは、前記波形パターンを形成するのにも使用され得る。例えば、本骨組みの各波状形状は、図19Dに図示されているように、一連の部分的な波状形状または小波を含む。この場合、波状形状を構成する6つの曲線状セグメントは、2051a、2052a、2053a、2054a、2055a、および2056aで表示されている。(図19Cは、図19Bに示されているのと同じ波形パターンを示す。図19Dに示されている周囲形成要素についての中心線として機能する波状の中心線を付している。)。前記波形パターンを形成する前記曲線状セグメントの数は、6個より多い、例えば、8、10、12、16、20、24、32、36、48、64個等であり得る。図19Dにおける1つの波状形状内の前記曲線状セグメントも、正弦波の周期にまとめて近似している。
【0067】
このような波形パターンは、従来の骨組み設計における波状形状での2つの局所応力点(通常、山および谷の頂点にある)とは対照的に、前記骨組み、特に、前記骨組みの拡張による結晶化を誘導可能なポリマー材料から形成されたものが、更なる局所応力点を有することを可能にする。このため、前記波形パターンは、前記骨組みの径方向拡張による応力が、前記周囲形成要素に沿ってより均等に分布されるのを可能にし、前記ポリマー材料の誘導された結晶化のより均一な分布を可能にする。結果として、記載されている波形パターンを含む骨組みは、より高い径方向強度、配置後の低下した急速な収縮、および低下したクリープを有し得る。
【0068】
図19Aおよび19Bに示されている連結要素は、直線状またはS字状である。他の実施形態では、前記連結要素は、互いに連結する、複数の直線状セグメントまたは曲線状セグメントを有する波形パターンも含み得る。
【0069】
図19Aおよび19Bは、周囲形成要素2020での2つの連続した波状形状の波形パターンを図示しているが、別の実施形態では、このような波形パターンは、周囲形成要素2020全体に広がり得る。他の実施形態では、前記周囲形成要素は全て、図20〜27に図示されているように、繰り返しの波形パターンから形成され得る。
【0070】
図20Aは、各周囲形成要素が繰り返し波形パターンから構成されている、本発明の骨組みの実施形態を示す。321、322;323、324;325、326;327、328、および329、330として示されている周囲形成要素の対と共に、前記周囲形成要素は、321〜330で表示されている。前記骨組みの山と谷は、概ね同位相である。3つの連結要素が、各2つの長手方向に隣接する周囲形成要素間に使用され、各周囲形成要素における2つの波状形状当たりに1つが使用される。前記長手方向に隣接する周囲形成要素321、322の対は、真っ直ぐな(または直線状の)第1の周囲形成要素332により連結しており、前記長手方向に隣接する周囲形成要素322、323の対は、S字状の第2の周囲形成要素333により連結されている。第1の連結要素332は、周囲形成要素321の山3211を、周囲形成要素322の谷3222と連結する。第2の連結要素333は、谷3222を、谷3232に隣接する周囲形成要素323の山3234と連結する(谷3232は、谷3222と長手方向に整列している)。上記連結パターンは、前記ステントにわたって繰り返し、連結要素331〜340を含む螺旋形状を形成する。2つのマーカードット1902および1904は、(周囲形成要素の最初の対間および周囲形成要素の最後の対間の連結要素における)前記骨組みの各端部に位置している。
【0071】
図20Aにおける前記骨組みの一部の詳細図は、図20B〜20Eに示されている。図20Dにおいて、図20Aの一部の拡大図は、繰り返し波形パターンをさらに図示するように示されている。この実施形態では、2つの長手方向に隣接する周囲形成要素は、353、354として示されている。それらは、連結要素(第1の連結要素)355および356により連結される。前記繰り返し波形パターンを構成する直線状セグメントは、341〜352として示されている。
【0072】
図20Fは、マーカードット1904の断面図を示す。マーカードット1904は、放射線不透過性マーカーを収容するために、中心に窪みを有するカップ形状をとる。図20Gは、図20Aに示されている骨組みの側面図である。前記周囲形成要素は、361〜368で表示されており、対374〜377を形成している。対内の周囲形成要素間の前記連結要素(第1の連結要素)は、369、371、373として示されている。一方、周囲形成要素の2つの対間の前記連結要素は、370、372で表示されている。螺旋形状は、連結要素369〜373により形成されている。
【0073】
図21Aは、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンを含む、本発明の一実施形態に基づく拡張した骨組みの一部の三次元側面図を示す。3つの長手方向に隣接する周囲形成要素は、2110、2120、および2130として示されている。周囲形成要素2110および2120は、真っ直ぐな第1連結要素2115により連結される。周囲形成要素2120および2130は、S字状の第2の連結要素2125により連結される。前記骨組みにおける種々の要素の典型的な寸法は、以下の通りであり得る。示されているように、前記第1の連結要素の幅w1は、約100〜200μm、例えば、140〜160μmであることができ、前記第1の連結要素の厚みd1は、約100〜200μm、例えば、120〜150μmであることができ、S字状の第2の連結要素2125の幅w2は、約100〜200μm、例えば、150〜180μmであることができ、前記波形パターンを構成している直線状セグメントの幅w3は、約100〜250μm、例えば、160〜200μmであることができる。図21Bは、図21Aに示されている拡張した骨組みにおける別の部分の三次元側面図である。図21Cは、図21Aに示されている拡張した骨組みのさらに別の三次元図であり、前記骨組みの一方の長手方向端に位置している2つの周囲形成要素2140および2150を連結する連結要素2145の中央に位置しているマーカードット2148を示す。前記マーカードットは、図19Fに示されているように、カップ型をとり得る。
【0074】
図22Aは、各周囲形成要素が、図19Aおよび19Bに関連して記載されている波形パターンから完全に構成されている、本発明の一実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。前記骨組みは、周囲形成要素2210、2215、2220、2225、2230、2235、2240、2245、2250、2255、2260、2265、および2270を含む。各周囲形成要素は、6つの波状形状(示されているように、u1、u2、u3、u4、u5、u6)を含み、これらの周囲形成要素の交互に繰り返す山と谷は全て、概ね同位相である。次に、各2つの長手方向に隣接する周囲形成要素、中でも、2215、2220、2225、2230、2235、2240、2245、2250、2255、2260、2265は、前記周囲形成要素における全ての他の谷について山−谷で、S字状連結要素2217、2222、2227、2232、2237、2242、2247、2252、2257により連結される。
【0075】
前記周囲形成要素それぞれについての波状形状の振幅は、同じであることができ、または、異なることができる。S字状連結要素2217、2222、2227、2232、2237、2242、2247、2252、2257は、長さも変動し得る。一実施形態では、2つの長手方向に隣接する周囲形成要素の波状形状の振幅およびそれらの間に配置されているS字状連結要素は、前記ステントがクリンプされた際に、前記S字状連結要素は、前記周囲形成要素により形成される管状表面の外に曲がることなく、前記波状形状の輪郭内に位置し得るように設計され得る。
【0076】
前記骨組みの近位端における周囲形成要素2210および2215は、各波状形状について谷−谷で、真っ直ぐな連結要素2212により連結し得る。周囲形成要素2210および2215の近位対は、連結要素2212と共に、近位端ゾーンを形成している。前記骨組みの遠位端における周囲形成要素2260および2270は、各波状形状について山−山で、真っ直ぐな連結要素2262により連結し得る。周囲形成要素2260および2270は、連結要素2262と共に、遠位端ゾーンを形成している。前記近位端ゾーンおよび前記遠位端ゾーンは両方とも、概ね同位相である2つの周囲形成要素を含むように示されているが、前記ゾーンのいずれかまたは両方が、代替的に、位相変化している、例えば、180度不一致、例えば、図25Aおよび図26Aに図示されている実施形態のものである、2つの周囲形成要素を含み得る。マーカードット2282および2284はそれぞれ、周囲形成要素2210および2215の近位対を連結する連結要素と、周囲形成要素2260および2270の遠位対を連結する連結要素とにそれぞれ位置している。
【0077】
図22Aに示されている骨組みにおいて、隣接する周囲形成要素間の連結要素および前記周囲形成要素の一部は、前記骨組みを横切る螺旋状のパターンを形成している。例示のために、長手方向に隣接する周囲形成要素2250、2255について、連結要素2252は、谷2251と谷2253に隣接している山2256とを連結する(谷2253は、谷2251と長手方向に整列している。)。同様に、長手方向に隣接する周囲形成要素2255、2260について、連結要素2257は、谷2258と谷2264に隣接している山2261とを連結する(谷2264は、谷2258と長手方向に整列している。)。このため、連結要素2247、山2246と谷2251間の周囲形成要素2250の一部、連結要素2252、山2256と谷2258間の周囲形成要素2255の一部、ついで、連結要素2258は、連続した螺旋形状を形成している。
【0078】
図22Bは、各周囲形成要素が、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンから完全に構成されている、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。この切断パターンは、このパターンにおける各周囲形成要素が、図22Aに示されている6つの波状形状に代えて、8つの波状形状(示されているように、u1、u2、u3、u4、u5、u6、u7、u8)を含むことを除いて、図22Aに示されているパターンと実質的に同じである。
【0079】
図23は、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。前記骨組みは、周囲形成要素2310、2320、2330、2340、2350、2360、2370、2380を含み、次に、同周囲形成要素は、連結要素2312、2322、2332、2342、2352、2362、2372により連結される。周囲形成要素2300および2370間の設計パターンは、図22における、前記連結要素(周囲形成要素の隣接する対を山−谷で連結するS字状連結要素)に関する周囲形成要素2200〜2255間のパターンに類似している。周囲形成要素2310および2320の近位対は、斜めに真っ直ぐな連結要素2312により連結し得る(谷−山)。周囲形成要素2370および2380の遠位対は、斜めに真っ直ぐな連結要素2372により連結し得る(谷−山)。マーカードット2385および2387はそれぞれ、周囲形成要素2310および2320の近位対を連結する連結要素、および、周囲形成要素2370および2380の遠位対を連結する連結要素それぞれに位置している。
【0080】
図24は、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。前記骨組みは、周囲形成要素2410、2420、2430、2440、2450、2460、2470を含み、次に、同周囲形成要素は、連結要素2412、2422、2432、2442、2452、2462により連結される。各周囲形成要素は、6つの波状形状を含み、これらの周囲形成要素の交互に繰り返す山と谷は全て、前記筒軸に対して概ね同位相である。各2つの長手方向に隣接する周囲形成要素は、斜めに真っ直ぐな連結要素により、前記周囲形成要素における他の全ての山(または谷)について、山−谷で連結される。前記連結要素は全て、互いに対して実質的に平行であり、前記周囲形成要素の一部と共に、前記骨組みを横切る螺旋状のパターンを形成している。例示のために、長手方向に隣接する周囲形成要素2420、2430について、連結要素2422は、山2421と山2433に隣接している谷2431とを連結する(山2433は、谷2421と長手方向に整列している。)。同様に、長手方向に隣接する周囲形成要素2430、2440について、連結要素2432は、山2435と、山2435と長手方向に整列している山2443に隣接している谷2445とを連結する。このため、連結要素2422、谷2431と山2435間の周囲形成要素2430の一部、連結要素2432、谷2445と山2446間の周囲形成要素2440の一部、ついで、連結要素2242は、連続した螺旋形状を形成している。
【0081】
図25Aは、各周囲形成要素が、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンから完全に構成されている、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。前記骨組みは、周囲形成要素2510、2515、2520、2525、2530、2535、2540、2545、2550、2555、2560、2565、2570、2575、2580を含み、次に、同周囲形成要素は、連結要素2512、2517、2522、2527、2532、2537、2542、2547、2552、2557、2562、2567、2572、2577により連結される。各周囲形成要素は、6つの波状形状(示されているように、u1、u2、u3、u4、u5、u6)を含み、これらの周囲形成要素の交互に繰り返す山と谷は全て、最初の周囲形成要素2510および最後の周囲形成要素2580を除いて、概ね同位相である。最初の周囲形成要素2510および最後の周囲形成要素2580は、残りの周囲形成要素に対して180度不一致(または、反対向き)である。最初の2つの周囲形成要素2510、2515および最後の2つの周囲形成要素2575、2580(これらの周囲形成要素は、長手方向に整列している直線状連結要素2512および2577により、各波状形状について山−谷で連結し得る。)を除いて、残りの長手方向に隣接する周囲形成要素対はそれぞれ、長手方向に整列している直線状連結要素により、全ての2つの波状形状について谷−谷(または山−山)で連結し得る。周囲形成要素2510および2515の近位対は、連結要素2512と共に、近位端ゾーンを形成している。周囲形成要素2575および2580の遠位対は、連結要素2577と共に、遠位端ゾーンを形成している。前記近位端ゾーンおよび前記遠位端ゾーンは両方とも、概ね180度不一致な(または互いに反対向きである)2つの周囲形成要素を含むように示されているが、前記ゾーンのいずれかまたは両方が、代替的に、例えば、図22Aに図示されている実施形態のように、概ね同位相である2つの周囲形成要素を含み得る。
【0082】
図25Aに示されている骨組みにおいて、前記連結要素は、前記周囲形成要素の一部と共に、前記骨組みを横切る螺旋状のパターンを形成している。例示のために、長手方向に隣接する周囲形成要素2525、2530について、連結要素2527は、谷2524と山2529に隣接している谷2531とを連結する(山2529は、山2523と長手方向に整列している。)。同様に、長手方向に隣接する周囲形成要素2530、2535について、連結要素2532は、山2533と谷2538に隣接している山2534とを連結する(谷2538は、谷2531と長手方向に整列している。)。このため、連結要素2527、谷2431と山2435間の周囲形成要素2530の一部、連結要素2432、谷2531と山2533間の周囲形成要素2440の一部、ついで、連結要素2532は、連続した螺旋形状を形成している。前記螺旋形状は、連結要素2537、2542、2547、2552、2557、2562、2567、ならびに、前記周囲形成要素が前記連結要素を横切る、前記周囲形成要素それぞれの山とその隣接している谷との間の一部を含むように続いている。
【0083】
図25Bは、各周囲形成要素が、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンから完全に構成されている、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。この切断パターンは、このパターンにおける各周囲形成要素が、図22Aに示されている6つの波状形状に代えて、8つの波状形状(示されているように、u1、u2、u3、u4、u5、u6、u7、u8)を含むことを除いて、図25Aに示されているパターンと実質的に同じである。
【0084】
図26Aは、各周囲形成要素が、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンから完全に構成されている、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。前記骨組みは、周囲形成要素2610、2615、2620、2625、2630、2635、2640、2645、2650、2655、2660、2665、2670、2675、2680を含み、次に、同周囲形成要素は、連結要素2612、2617、2622、2627、2632、2637、2642、2647、2652、2657、2662、2667、2672、2677により連結される。各周囲形成要素は、6つの波状形状(示されているように、u1、u2、u3、u4、u5、u6)を含み、これらの周囲形成要素の交互に繰り返す山と谷は全て、最初の周囲形成要素2610および最後の周囲形成要素2680を除いて、概ね同位相である。最初の周囲形成要素2610および最後の周囲形成要素2680は、残りの周囲形成要素に対して180度不一致(または、反対向き)である。最初の2つの周囲形成要素2610、2615および最後の2つの周囲形成要素2675、2680(これらの周囲形成要素は、長手方向に整列している直線状連結要素2612および2617によりそれぞれ、各波状形状について山−谷で連結される。)を除いて、残りの長手方向に隣接する周囲形成要素対はそれぞれ、長手方向に整列している直線状連結要素により、全ての2つの波状形状について谷−谷(または山−山)で連結される。周囲形成要素2610および2615の近位対は、連結要素2612と共に、近位端ゾーンを形成している。周囲形成要素2675および2680の遠位対は、連結要素2677と共に、遠位端ゾーンを形成している。前記近位端ゾーンおよび前記遠位端ゾーンは両方とも、概ね180度不一致な(または互いに反対向きである)2つの周囲形成要素を含むように示されているが、前記ゾーンのいずれかまたは両方が、代替的に、例えば、図22Aに図示されている実施形態のように、概ね同位相である2つの周囲形成要素を含み得る。
【0085】
前記連結要素および前記周囲形成要素の一部が、連続した螺旋形状を形成している、図25に示されている設計パターンと比較して、この実施形態の前記第1の連結要素(2617、2627、2637、2647、2657、2667)は、それらの中で長手方向に整列している。前記第2の連結要素(2612、2622、2632、2642、2652、2662、2672)も、それらの中で長手方向に整列している。一方、前記第1の連結要素および前記第2の連結要素は、千鳥状であり、1つの完全な波状形状について相殺する。マーカードット2685および2687はそれぞれ、周囲形成要素2610および2615の近位端対を連結する連結要素、ならびに、周囲形成要素2675および2680の遠位端対を連結する連結要素それぞれに位置している。
【0086】
図26Bは、各周囲形成要素が、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンから完全に構成されている、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの切断パターンを示す。この切断パターンは、このパターンにおける各周囲形成要素が、図22Aに示されている6つの波状形状に代えて、8つの波状形状(示されているように、u1、u2、u3、u4、u5、u6、u7、u8)を含むことを除いて、図26Aに示されているパターンと実質的に同じである。
【0087】
図27Aは、図19A〜19Bに関連して記載されている波形パターンを含む、本発明の別の実施形態に基づく骨組みの一部の三次元図である。図27Bは、図27Aに示されている本骨組みの拡大背面図である。図27Aには、周囲形成要素2710の山2712と周囲形成要素2720の谷2722との間を、直線状連結要素2715により連結される2つの周囲形成要素2710および2720が示されている。谷2722は、山2712と180度位相シフトしている。周囲形成要素2710は、S字状連結要素2705により、前の周囲形成要素(図示せず)にも連結する。連結要素2705および2715は両方とも、同じ山2712において、周囲形成要素2710を連結する。連結要素2715および山2712は、角度2730および鋭角2730に対向する大きな角度2735を形成するように連結する。角度2735は、鈍角でもよく(90度より大きく、180度より小さい)、または、180度より大きくてもよい。ノッチは、連結要素2715とピーク2712との交差および角度2735内に配置されている(ノッチは、前記連結要素または前記周囲形成要素の厚みにおけるわずかなへこみまたは減少であることができ、種々の形状、例えば、V字状、U字状等をとることができる。)。このようなノッチは、前記波形パターンの直線状セグメントを、折り畳みまたはクリンピング点における低下した疲労または折込で折り畳むのを可能にすることにより、クリンピングおよび拡張を容易にする。ノッチは、周囲形成要素の両側にも配置されることができ、前記連結要素と前記周囲形成要素とが交差する周囲形成要素に沿った他の点に配置されることができる。ノッチは、前記周囲形成要素に沿って、任意の他の方法においても分布され得る。ノッチは、前記波形パターン、例えば、図1に示されている骨組みを含まない従来の周囲形成要素と共にも使用され得る。
【0088】
前記骨組みは、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーをさらに有してもよい。同マーカーは、本明細書に記載されているように、前記マーカードットに収容され得る。前記放射線不透過性マーカーは、各種のサイズおよび形状をとり得る。前記放射線不透過性マーカーは、高電子密度またはX線屈折マーカー、例えば、金属粒子または塩であり得る。適切なマーカー金属の非限定的な例は、純粋形、または、有機化合物としてのいずれかにおいて、鉄、金、コロイド状銀、亜鉛、およびマグネシウムを含む。他の放射線不透過性材料は、タンタル、タングステン、白金/イリジウム、または白金である。重金属および重希土類元素は、各種の化合物、第一鉄塩、有機ヨウ素物質、ビスマスまたはバリウム塩等に有用である。利用され得る更なる実施形態は、架橋剤によりさらに架橋され得る、天然に封入された鉄粒子、例えば、フェリチンを包含し得る。フェリチンゲルは、低濃度(0.1〜2%)のグルタルアルデヒドによる架橋により構成され得る。前記放射線不透過性マーカーは、1若しくはそれ以上の生物分解性ポリマー、例えば、PLLA、PDLA、PLGA、PEG等の結合剤により構成され得る。放射線不透過性マーカーを有する一実施形態では、鉄含有化合物または鉄粒子は、PLLAポリマーマトリクスに封入されて、ペースト状の物質を産生する。同物質は、前記ステント周囲に含まれている中空容器に注入または他の方法で堆積され得る。別の実施形態では、前記マーカーは、生物分解性または生体吸収性材料から形成され得る。
【0089】
前記骨組みは、端部ゾーンと本体間に移行ゾーンも有し得る。前記移行ゾーンは、複数の波状形状から形成されることができ、各波状形状は、前記移行ゾーンにわたって変動するループ幅を有するループにより連結される、2つの隣接する連結要素を有する。前記移行ゾーンは、前記移行ゾーン中の隣接する多角形の表面積が、周囲方向に大きくなる、複数の多角形を有し得る。米国特許出願公開第20110125251号明細書。前記移行ゾーンは、他の適切な構成をとり得る。
【0090】
前記骨組みの寸法は、長さが約10mm〜約300mm、長さが20mm〜約300mm、長さが約40mm〜約300mm、長さが約20mm〜約200mm、長さが約60mm〜約150mm、または長さが約80mm〜約120mmで変動し得る。前記ステントの内径(internal diameter:I.D.)は、約2mm〜約25mm、約2mm〜約5mm(例えば、冠動脈用)、約4mm〜約8mm(例えば、CNSにおける神経のための空間、血管および非血管両方)、約6mm〜約12mm(例えば、腸骨大腿用)、約10mm〜約20mm(例えば、腸骨動脈用)、および約10mm〜約25mm(例えば、大動脈用)の範囲であり得る。
【0091】
本発明の器具は、自己拡張型ステントとして、または、米国特許第6,168,617号、同第6,222,097号、同第6,331,186号、および同第6,478,814号明細書に記載されているバルーンカテーテルステント送達システムを含む任意のバルーンカテーテルステント送達システムと共に使用され得る。一実施形態では、本器具は、米国特許第7,169,162号明細書に開示されているバルーンカテーテルシステムと共に使用される。
【0092】
本発明の骨組みは、任意の適切なカテーテルと共に使用され得る。その直径は、約0.8mm〜約5.5mm、約1.0mm〜約4.5mm、約1.2mm〜約2.2mm、または約1.8mm〜約3mmの範囲であり得る。一実施形態では、前記カテーテルは、直径が約6French(2mm)である。別の実施形態では、前記カテーテルは、直径が約5French(1.7mm)である。
【0093】
前記骨組みは、その内腔断面を拡張する、任意の管腔または体腔内に挿入され得る。本発明は、任意の動脈、静脈、導管、または他の管、例えば、尿管若しくは尿道に配置されてもよく、冠動脈、鼠径下動脈、大動脈腸骨動脈、鎖骨下動脈、腸間膜動脈、または腎動脈を含む任意の動脈の狭窄化または狭窄を処置するのに使用されてもよい。他の種類の管閉塞、例えば、解離性動脈瘤により生じるものも、本発明に包含される。本発明の骨組みおよび方法を使用して処置され得る対象は、哺乳類、例えば、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ウサギ、げっ歯類、サル等である。
【0094】
本発明の骨組みは、結晶化可能な広い範囲の種々のポリマーを提供する、少なくとも1つの生体吸収性ポリマーから形成されてもよい。典型的には、生体吸収性ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーとして、ラクチド骨格に基づく脂肪族ポリエステル、例えば、ポリL−ラクチド(PLLA)、ポリD−ラクチド(PDLA)、ポリD,L−ラクチド、メソラクチド、グリコリド、ラクトン、および、コモノマー、例えば、トリメチレンカーボネート(TMC)またはε−カプロラクトン(ε−caprolactone:ECL)を伴うコポリマー部分(moiety)に形成された脂肪族ポリエステルを有する。米国特許第6,706,854号および同第6,607,548号明細書;欧州特許第0401844号明細書;ならびに、Jeon et al.Synthesis and Characterization of Poly(L−lactide)-Poly(ε−caprolactone)Multiblock Copolymers Macromolecules 2003:36,5585−5592。前記コポリマーは、前記コポリマーが結晶化することができ、グリコリド、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、またはモノメトキシ基を末端に有するPEG(monomethoxy−terminated PEG:PEG−MME)の存在により立体的に障害されない、十分な長さのL−ラクチドまたはD−ラクチド等の部分(moiety)を有する。例えば、特定の実施形態において、10個より多い、100または250個のLまたはD−ラクチドが、前記ポリマー中に連続して整列してもよい。前記ステントは、生体吸収性ポリマー組成物、例えば、米国特許第7,846,361号;同第7,897,224号、および同第8,137,603号明細書;ならびに、出願人の同時係属中の米国特許出願公開第2010/0093946号明細書に開示されているものからも構成される。
【0095】
前記モノマー種の存在に基づいて、下記ポリマー命名法が使用される。
【0096】
【表1】
【0097】
本発明の実施形態では、組成物は、ポリ(L−ラクチド)またはポリ(D−ラクチド)のベースポリマーを有する。他のベースポリマー組成物は、ポリ(L−ラクチド)とポリ(D−ラクチド)とのブレンドを含む。他の有益なベースポリマー組成物は、10〜30%のモル比でのD,L−ラクチドコモノマーを含むポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)またはポリ(D−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、および、10〜20%のモル比でのグリコリドコモノマーを含むポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)またはポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)を含む。
【0098】
別の実施形態は、その改変コポリマーと結合している、ポリ(L−ラクチド)部分(moiety)および/またはポリ(D−ラクチド)部分(moiety)を主とするベースポリマー、例えば、ブロックコポリマーまたはブロック型(blocky)ランダムコポリマーの状態での、ポリ(L−ラクチド−コ−トリ−メチレン−カーボネート)若しくはポリ(D−ラクチド−コ−トリ−メチレン−カーボネート)および(L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)またはポリ(D−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)(ここで、前記ラクチドの鎖長は、架橋部分(cross−moiety)結晶化を達成するのに十分である。)を具体化する。コポリマーを含む組成物の架橋部分(moiety)結晶化は、引張試験における向上した弾性率データを与え、前記ポリマーブレンド中の引張強度を低下させる方法を避ける。
【0099】
前記ポリマー組成物は、LとDの部分(moiety)間のラクチドラセミ体(ステレオ複合体)結晶構造の開発を可能にし、さらに、生体吸収性ポリマーの医療器具の機械的特性を向上させることができる。前記ラセミ体(ステレオ複合体)結晶構造の形成は、下記組み合わせ等の配合から生じ得る:
ポリL−ラクチドとポリD−ラクチドとポリL−ラクチド−コ−TMC;
ポリD−ラクチドとポリL−ラクチド−コ−TMC;
ポリL−ラクチドとポリD−ラクチド−コ−TMC;
ポリL−ラクチドとポリD−ラクチドとポリD−ラクチド−コ−TMC;
ポリL−ラクチド−コ−PEGとポリD−ラクチド−コ−TMC;および、
ポリD−ラクチド−コ−PEGとポリL−ラクチド−コ−TMC。
【0100】
ポリ−ラクチドラセミ体組成物は、さらに加熱することなく、「低温で成形可能または曲げ可能」であり得る。本発明の低温で曲げ可能な骨組みは、担体器具上にクリンプされるのに十分な柔軟性になるのに打ち延ばす必要がなく、不規則な形状の臓器空間に適応する。低温で曲げ可能な周囲温度は、30℃を超えない室温として定義される。低温で曲げ可能な骨組みは、埋め込まれた際に、臓器空間、例えば、脈動する血管腔において骨組み器具が拡張可能な、十分な柔軟性を提供し得る。例えば、ステントに関して、特に、前記骨組みが埋込み用のバルーン拡張に基づいて伸長することにより引っ張られる際に、二次入れ子状または末端配置された曲がりくねった連結要素を結晶化し得る、製造後にほとんど非結晶性ポリマー部分(moiety)を提供するポリマー組成物を利用するのが望ましい場合がある。このような低温で曲げ可能なポリマー骨組みの実施形態は、脆いものではなく、体内の輪郭表面空間上への埋込み前に、柔軟な状態に予熱しなくてもよい。低温での曲げ性は、クレージングなしに、これらのブレンドが室温でクリンプされるのを可能にする。さらに、前記ブレンドは、クレージングなしに、生理学的条件で拡張され得る。
【0101】
本明細書における実施形態のポリラクチドラセミ体組成物および非ラセミ体組成物は、前記ブレンド組成物に耐衝撃性改良剤を添加しても、架橋部分(moiety)結晶化を可能にするブロック型部分(moiety)を有するように処理されてもよい。このようなブレンドは、単独または二重のいずれかのTg(ガラス融解転移点)を生じることにより、ポリマー組成物またはブレンド固有の器具を設計する可能性を導く。
【0102】
この技術分野において理解されているように、本発明のポリマー組成物は、選択された医療器具の種々の要求に適応するようにカスタマイズされ得る。前記要求は、機械的強度、弾性、柔軟性、弾力性、ならびに生理学的および局所的解剖条件下での劣化率を含む。特定の組成の更なる効果は、代謝産物の溶解度、親水性および水の取り込み、そして付着するマトリクスまたは封入される医薬品の任意の放出率に関係する。
【0103】
前記ポリマーインプラントの有用性は、質量損失、分子量の減少、機械的特性の保持、および/または組織反応を測定することにより評価され得る。骨組みにより重要な性能は、加水分解安定性、熱転移、結晶化度、および配向である。骨組み性能にネガティブに影響を及ぼす他の決定要因は、これに限定されるものではないが、モノマー不純物、環式および非環式オリゴマー、構造的欠陥、ならびに老朽化を含む。
【0104】
上記ポリマー組成物から形作られた骨組みは、押出しまたは成形後に、明らかに非結晶性でもよい。前記骨組みは、制御された再結晶化に供されて、増加した結晶度および機械的強度の向上を誘導し得る。更なる結晶化は、器具配置時における張りの導入により誘導され得る。このような増加した再結晶化は、(例えば、レーザー切断による)二次または最終的な加工前、または、このような二次加工後のいずれかの骨組み「ブランク」に利用され得る。結晶化(およびこのため、機械的特性)も、張りの導入により、例えば、更なる加工前に、ポリマーチューブ、中空繊維、シート若しくはフィルム、またはモノフィラメントを「低温で」引っ張ることにより、最大化され得る。結晶化は、前記骨組みにおけるより高い剛性に寄与することが観察されている。したがって、前記骨組みのポリマー組成および立体複合体は、非結晶性およびパラ結晶部分(moiety)の両方を有する。最初に半結晶性のポリマー部分は、所与の装置の延伸または拡張作用により操作され得る。さらに、十分な量の非結晶性ポリマー特性が、前記ポリマー器具の柔軟性および弾性のために望ましい。有用なモノマー成分は、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、およびトリメチレンカーボネートを含む。前記骨組みは、局所組織または、循環し、生体吸収中にポリマー構造に作用する循環性生体活性因子および酵素に比較的均一に曝されるのが可能なように構築されてもよい。
【0105】
臓器空間インプラント、例えば、心血管ステントのポリマーマトリクスのin situ分解反応速度は、組織の過負荷、炎症反応、または他のより有害な結果を避けるために十分徐々にである。実施形態において、前記骨組みは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、または36か月残存するように製造される。
【0106】
医薬組成物は、例えば、前記ポリマーの活性部位へのグラフト化またはコーティングにより、前記ポリマー内に包含されてもよい。本発明に基づくポリマーの実施形態は、前記ポリマーマトリクスまたはポリマーコーティング中への生体治癒因子または他の薬剤の付着または包含を提供する。
【0107】
別の実施形態では、前記組成物は、前記ポリマーマトリクス中において、薬剤を構造的に封入、または、同薬剤に付着するように構築され得る。このような添加剤の目的は、例えば、ステントに関して、前記医療器具のポリマーと接触している心血管系または血管部位における処置を提供することであり得る。前記ポリマー中に薬剤を封入または付着させる種類は、前記骨組みからの放出速度を決定し得る。例えば、前記薬剤または他の添加剤は、種々の公知の方法、これに限定されるものではないが、共有結合、非極性結合、およびエステルまたは類似する生体可逆性結合手段により、前記ポリマーマトリクスに結合し得る。
【0108】
一実施形態では、生体吸収性埋込型医療器具は、前記ポリマーマトリクスが1若しくはそれ以上の前述の医薬物質を含有する、1若しくはそれ以上の障壁層を含有する生物分解性および生体吸収性コーティングにより覆われていてもよい。この実施形態では、前記障壁層は、これに限定されるものではないが、ポリエステル、例えば、PLA、PGA、PLGA、PPF、PCL、PCC、TMC、およびこれらの任意のコポリマー;ポリカルボン酸、無水マレイン酸ポリマーを含むポリ無水物;ポリオルトエステル;ポリアミノ酸;ポリエチレンオキシド;ポリホスファゼン;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物、例えば、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、50/50(DL−ラクチド−コ−グリコリド);ポリジオキサノン;ポリプロピレンフマラート;ポリデプシペプチド;ポリカプロラクトン、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物、例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)およびポリカプロラクトン コ−ブチルアクリレート;吉草酸ポリヒドロキシブチラートおよびブレンド;ポリカーボネート、例えば、チロシン由来のポリカーボネートおよびアリール化物(arylates)、ポリイミノカーボネート、およびポリジメチルトリメチル−カーボネート;シアノアクリレート;リン酸カルシウム;ポリグリコサミノグリカン;巨大分子、例えば、多糖類(ヒアルロン酸;セルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;デキストラン;アルギン酸塩とこれらの誘導体を含む)、タンパク質、およびポリペプチド;ならびに前述のいずれかの混合物およびコポリマーを含む適切な生物分解性ポリマーを含む、適切な生物分解性材料を有し得る。前記生物分解性ポリマーは、表面侵食可能なポリマー、例えば、ポリヒドロキシブチラートとそのコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ無水物(結晶性および非結晶性の双方)、無水マレイン酸コポリマー、およびリン酸亜鉛カルシウムであることもできる。器具上の前記ポリマー骨組みが有し得る前記障壁層の数は、患者に必要とされる治療により要求される治療的必要性の量により決まる。例えば、処置が長いほど、期間にわたって必要とされる治療物質が多くなり、適時に前記医薬物質を提供する前記障壁層が多くなる。
【0109】
別の実施形態では、前記ポリマー組成物中の添加剤は、例えば、初期新生内膜過形成/平滑筋細胞の遊走および増殖を阻害する持続放出性医薬剤、および、管の開存性を維持するための長時間作用型薬剤または血管径を拡大させる薬剤、例えば、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(endothelial nitric oxide synthase:eNOS)、一酸化窒素供与体とその誘導体、例えば、アスピリンまたはその誘導体、一酸化窒素生成ヒドロゲル、PPAR作動薬、例えば、PPAR−αリガンド、組織プラスミノーゲン活性化因子、スタチン、例えば、アトルバスタチン、エリスロポエチン、ダーベポエチン、セリンプロテイナーゼ−1(serine proteinase−1:SERP−1)、およびプラバスタチン、ステロイド、および/または抗生物質を放出する二次生体安定性マトリクスを含有する、マトリクス内の複数成分の医薬組成物の形態であり得る。
【0110】
医薬組成物は、前記ポリマー内に包含されることができ、または、噴霧、浸漬または塗装により混合および押出し後の前記ポリマー表面にコーティングされることができ、または、マイクロカプセル化され、ついで、前記ポリマーマトリクス内にブレンドされることができる。米国特許第6,020,385号明細書。前記医薬組成物が、前記ポリマーブレンドに共有結合している場合、それらは、ヘテロ−またはホモ−二官能性架橋剤により結合されてもよい(http://www.piercenet.com/products/browse.cfm?fldID=020306を参照のこと。)。
【0111】
前記骨組み内に包含されることができ、または、前記骨組みにコーティングされることができる医薬剤は、これに限定されるものではないが、(i)薬物、例えば、(a)抗血栓剤、例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニン・プロリン・アルギニン・クロロメチルケトン);(b)抗炎症剤、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラミン;(c)抗悪性腫瘍/抗増殖/有糸分裂阻害剤、例えば、パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞の増殖を阻害可能なモノクローナル抗体、チミジンキナーゼ阻害剤、ラパマイシン、40−0−(2−ヒドロキシエチル)ラパマイシン(エベロリムス)、40−0−ベンジル−ラパマイシン、40−0(4'−ヒドロキシメチル)ベンジル−ラパマイシン、40−0−[4'−(1,2−ジヒドロキシエチル)]ベンジル−ラパマイシン、40−アリル−ラパマイシン、40−0−[3'−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4(S)−イル−プロパ−2'−エン−1'−イル]−20ラパマイシン、(2':E,4'S)−40−0−(4',5'.:ジヒドロキシペンタ−2'−エン−1'−イル)ラパマイシン、40−0(2ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル−ラパマイシン、40−0−(3−ヒドロキシプロピル)−ラパマイシン、40−0−((ヒドロキシ)ヘキシル−ラパマイシン、40−0−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−0−[(3S)−2,2ジメチルジオキソラン−3−イル]メチル−ラパマイシン、40−0−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロパ−1−イル]−ラパマイシン、40−0−(2−アセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−0−(2−ニコチノイルオキシ)エチル−ラパマイシン、40−0−[2−(N−25モルホリノ)アセトキシエチル−ラパマイシン、40−0−(2−N−イミダゾリルアセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−0[2−(N−メチル−N'−ピペラジニル)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、39−0−デスメチル−3.9,40−0,0 エチレン−ラパマイシン、(26R)−26−ジヒドロ−40−0−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、28−O メチルラパマイシン、40−0−(2−アミノエチル)−ラパマイシン、40−0−(2−アセトアミノエチル)−ラパマイシン、40−0(2−ニコチンアミドエチル)−ラパマイシン、40−0−(2−(N−メチル−イミダゾ−2' イルカルボキサミド(ylcarbcthoxamido))エチル)−30 ラパマイシン、40−0−(2−エトキシカルボニルアミノエチル)−ラパマイシン、40−0−(2−トリルスルホンアミドエチル)−ラパマイシン、40−0−[2−(4',5'−ジカルボエトキシ−1',2';3'−トリアゾール−1'−イル)−エチル]ラパマイシン、42−エピ−(テルラゾリル)ラパマイシン(タクロリムス)、および42−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノアート]ラパマイシン(テムシロリムス)(国際公開第2008/086369号パンフレット);(d)麻酔薬、例えば、リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカイン;(e)抗凝固薬、例えば、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチド;(f)血管細胞成長促進剤、例えば、成長因子、転写アクチベータ、および翻訳プロモータ;(g)血管細胞成長阻害剤、例えば、成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制剤、翻訳抑制剤、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子および細胞毒素から成る二機能性分子、抗体および細胞毒素から成る二機能性分子;(h)タンパク質キナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i)プロスタサイクリン類似体;(j)コレステロール低下剤;(k)アンジオポイエチン;(l)抗菌剤、例えば、トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド、およびニトロフラントイン;(m)細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤、および細胞増殖影響因子;(n)血管拡張剤;ならびに(o)内因性血管作用機構を妨げる薬剤、(ii)アンチセンスDNAおよびRNAを含む遺伝子治療剤ならびに、(a)アンチセンスRNA、(b)tRNAまたは欠陥若しくは欠損した内因性分子を置き換えるrRNA、(c)成長因子、例えば、酸性およびアルカリ性繊維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、上皮成長因子、形質転換成長因子aおよびP、血小板由来の内皮成長因子、血小板由来の成長因子、腫瘍壊死因子、肝細胞成長因子、およびインスリン様成長因子を含む血管新生因子、(d)CD阻害剤を含む細胞周期阻害剤、ならびに(e)チミジンキナーゼ(「TK」)用のDNAコーディング、ならびに細胞増殖を妨げるのに有用な他の薬剤を含む。
【0112】
前記骨組みに包含され得る他の医薬剤は、これに限定されるものではないが、アカルボース、抗原、β−受容体遮断薬、非ステロイド系抗炎症薬(non−steroidal antiinflammatory drugs:NSAID)、強心配糖体、アセチルサリチル酸、ウイルス抑制薬、アクラルビシン、アシクロビル、シスプラチン、アクチノマイシン、αおよびβ交感神経興奮剤(dmeprazole、アロプリノール、アルプロスタジル、プロスタグランジン、アマンタジン、アンブロキソール、アムロジピン、メトトレキサート、S−アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アモキシシリン、アナストロゾール、アテノロール、アザチオプリン、バルサルアジド、ベクロメタゾン、べタヒスチン、ベザフィブラート、ビカルタミド、ジアゼパムとジアゼパム誘導体、ブデソニド、ブフェキサマック、ブプレノルフィン、メタドン、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カンデサルタン、カルバマゼピン、カプトプリル、セファロスポリン、セチリジン、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、テオフィリンおよびテオフィリン誘導体、トリプシン、シメチジン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、コトリキサゾール、コデイン、カフェイン、ビタミンDおよびビタミンD誘導体、コレスチラミン、クロモグリク酸、クマリンおよびクマリン誘導体、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シプロテロン、シタバリン(cytabarine)、ダピプラゾール、デソゲストレル、デソニド、ジヒドララジン、ジルチアゼム、麦角アルカロイド、ジメンヒドリナート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ドンペリドンおよびドンペリドン誘導体(domperidone and domperidan derivatives)、ドーパミン、ドキサゾシン、ドキソルビジン(doxorubizin)、ドキシラミン、ダピプラゾール、ベンゾジアゼピン、ジクロフェナク、グリコシド抗生物質、デシプラミン、エコナゾール、ACE阻害剤、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エリスロポエチンおよびエリスロポエチン誘導体、モルフィナン、カルシウム拮抗薬、イリノテカン、モダフミル(modafmil)、オルリスタット、ペプチド抗生物質、フェニトイン、リルゾール、リセドロネート、シルデナフィル、トピラマート、マクロライド系抗生物質、エストロゲンおよびエストロゲン誘導体、プロゲストゲンおよびプロゲストゲン誘導体、テストステロンおよびテストステロン誘導体、アンドロゲンおよびアンドロゲン誘導体、エテンザミド、エトフェナメート、クロフィブラート、フェノフィブラート、etofylHne、エトポシド、ファムシクロビル、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェンタニル、フェンチコナゾール、ジャイレース阻害剤、フルコナゾール、フルダラビン、フルアリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フルタミド、フルバスタチン、ホリトロピン、フォルモテロール、ホスホマイシン(fosfomicin)、フロセミド、フシジン酸、ガロパミル、ガンシクロビル(ganciclovir)、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン(gentamicin)、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、グリベンクラミド、経口抗糖尿病剤としての尿素誘導体、グルカゴン、グルコサミンおよびグルコサミン誘導体、グルタチオン、グリセロールおよびグリセロール誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、ジャイレース阻害剤、グアネチジン、ハロファントリン、ハロペリドール、ヘパリンおよびヘパリン誘導体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジドおよびヒドロクロロチアジド誘導体、サリチレート、ヒドロキシジン、イダルビシン、イホスファミド、イミプラミン、インドメタシン、インドラミン(indoramine)、インスリン、インターフェロン、ヨウ素およびヨウ素誘導体、イソコナゾール、イソプレナリン、グルシトールおよびグルシトール誘導体、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、レボドパ、レボメタドン、甲状腺ホルモン、リポ酸およびリポ酸誘導体、リシノプリル、リスリド、
ロフェプラミド、ロムスチン、ロペラミド、ロラタジン、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナム酸、メフロクイン、メロキシカム、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスキシミド、メタミゾール、メトホルミン、メトトレキサート、メチルフェニデート、メチルプレドニゾロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミノシクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、マイトマイシン、ミゾラスチン、モエキシプリル、モルヒネおよびモルヒネ誘導体、マツヨウイグサ、ナルブフィン、ナロキソン、チリジン、ナプロキセン、ナルコチン、ナタマイシン、ネオスチグミン、ニセルゴリン、ニセタミド、ニフェジピン、ニフルム酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ニソルジピン、アドレナリンおよびアドレナリン誘導体、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン(novamine sulfone)、ノスカピン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オルサラジン、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オキサセプロール、オキサシリン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パントプラゾール、パラセタモール、パロキセチン、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、パーフェナジン、ペチジン、植物抽出物、フェナゾン、フェニラミン、バルビツール酸誘導体、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピモジド、ピンドロール、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピロキシカム、プラミペキソール、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオナミド、プロキシフィリン、クエチアピン、キナプリル、キナプリラト(quinaprilat)、ラミプリル、ラニチジン、レプロテロール、レセルピン、リバビリン、リファンピシン、リスペリドン、リトナビル、ロピニロール、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、ルスコゲニン、ルトシドおよびルトシド誘導体、サバジラ、サルブタモール、サルメテロール、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリオン(sertralion)、ケイ酸塩、シルデナフィル、シンバスタチン、シトステロール、ソタロール、スパグルム酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホナミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、塩化スキサメトニウム、タクリン、タクロリムス、タリオロール(taliolol)、タモキシフェン、タウロリジン、タザロテン、テマゼパム、テニポシド、テノキシカム、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テルリプレッシン、テルタトロール、テトラサイクリン、テリゾリン、テオブロミン、テオフィリン、ブチジン、チアマゾール、フェノチアジン、チオテパ、チアガビン、チアプリド、プロパン酸誘導体、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオキソロン、チロプラミド、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフテート、トルペリゾン、トポテカン、トラセミド、抗エストロゲン、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラゾドン、トリアムシノロンおよびトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリプレンナミン、トリプロリジン、トリホスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロキセルチン、ツロブテロール、チラミン、チロスリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、バラシクロビル、バルプロ酸、バンコマイシン、塩化ベクロニウム、バイアグラ、ベンラファクシン、ベラパミル、ビダラビン、ビガバトリン、ビロアジン(viloazine)、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビクイジル、ワルファリン、ニコチン酸キサンチノール、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ジドブジン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾプリコン、ゾチピン等を含む。
【0113】
例えば、米国特許第6,897,205号、同第6,838,528号、および同第6,497,729号明細書を参照のこと。
【0114】
前記ステントは、少なくとも一種類の抗体によりコーディングされていてもよい。例えば、前記ステントは、循環性内皮細胞を捕捉可能な抗体またはポリマーマトリクスによりコーティングされてもよい。米国特許第7,037,772号(米国特許出願公開第20070213801号、同第200701196422号、同第20070191932号、同第20070156232号、同第20070141107号、同第20070055367号、同第20070042017号、同第20060135476号、同第20060121012号明細書も参照のこと。)。
【0115】
本発明の骨組みは、ニッケル−チタン(Ni−Ti)等の金属からも形成され得る。前記器具を製造する金属組成および方法は、米国特許第6,013,854号明細書に開示されている。前記器具用の超弾性金属は、好ましくは、超弾性合金である。超弾性合金は、一般的には、「形状記憶合金」と呼ばれ、通常の金属が永久変形を受けるような程度に変形された後に、その元の形状に戻る。本発明に有用な超弾性合金は、Elgiloy(登録商標)およびPhynox(登録商標)スプリング合金(Elgiloy(登録商標)合金は、Carpenter Technology Corporation of Reading Pa.から入手でき、Phynox(登録商標)合金は、Metal Imphy of Imphy、Franceから入手できる。)、Carpenter Technology corporation and Latrobe Steel Company of Latrobe、Pa.から入手できる316ステンレス鋼およびMP35N合金、ならびにShape Memory Applications of Santa Clara、Calif.から入手できる超弾性Nitinol ニッケル−チタン合金を含む。米国特許第5,891,191号明細書。
【0116】
本発明の骨組みは、数多くの方法で製造され得る。前記器具は、チューブから、チューブ壁の種々の部分を除去して、本明細書に記載されているパターンを形成することにより形成され得る。このため、得られた器具は、材料の1つの連続した部品から形成され、種々のセグメントを互いに連結させる必要がないであろう。材料は、前記チューブ壁から、レーザー(例えば、YAGレーザー)、放電、化学エッチング、金属切断、これらの技術の組み合わせ、または他の周知技術を含む種々の技術を使用して除去され得る。米国特許第5,879,381号および同第6,117,165号明細書は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この方法においてステントを製造することにより、実質的に応力フリー構造を作製することができる。特に、長さは、前記ステントが配置されるべき管腔の疾患部分の長さに適応され得るこれにより、疾患領域全体をカバーするのに、別々のステントを使用するのを避けることができる。
【0117】
別の実施形態では、チューブ型ステントを作製する方法は、ラセミ体のポリ−ラクチド混合物を準備する工程と、前記ラセミ体のポリ−ラクチド混合物の生物分解性ポリマーチューブを作製する工程と、このような骨組みが形成されるまで、前記チューブをレーザー切断する工程とを含む。この実施形態では、前記骨組みの作製は、成形技術または押出し技術を使用して行われ得る。同成形技術は、実質的に溶媒を含まない。
【0118】
米国特許第7,329,277号、同第7,169,175号、同第7,846,197号、同第7,846,361号、同第7,833,260号、同第6,0254,688号、同第6,254,631号、同第6,132,461号、同第6,821,292号、同第6,245,103号、および同第7,279,005号明細書に対しても参照がなされ、この参照によりその全体が本出願に組み込まれる。加えて、米国特許出願第11/781,230号、同第12/507,663号、同第12/508,442号、同第12/986,862号、同第11/781,233号、同第12/434,596号、同第11/875,887号、同第12/464,042号、同第12/576,965号、同第12/578,432号、同第11/875,892号、同第11/781,229号、同第11/781,353号、同第11/781,232号、同第11/781,234号、同第12/603,279号、同第12/779,767号、および同第11/454,968号ならびに米国特許出願公開第2001/0029397号明細書も、その全体が組み込まれる。
【0119】
本発明の範囲は、上記で具体的に示され、記載されているものにより限定されない。当業者であれば、示されている実施例の材料、構成、構造、および寸法に対する適切な代替手段が存在することを認識するであろう。特許および種々の刊行物を含む数多くの参照文献が引用され、本発明の説明に検討されている。このような参考文献の引用および検討は、本発明の説明を明確するためだけに提供され、いずれの参考文献も本明細書に記載されている本発明に対する先行技術であると認めるものではない。この明細書において引用および検討されている全ての参考文献は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているものの変形例、改変、および他の実施が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。本発明の特定の実施形態が示され、説明されているが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更および改変がなされてもよいことは、当業者に自明であろう。前述の説明および添付の図面において説明されている事項は、例示としてのみ提供され、限定としては提供されない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4J
図4K
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17A1
図17A2
図17B
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B