特許第6509897号(P6509897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6509897抗真菌化合物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6509897
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】抗真菌化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/38 20060101AFI20190422BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   C07D213/38CSP
   C07D401/10
【請求項の数】15
【全頁数】88
(21)【出願番号】特願2016-557968(P2016-557968)
(86)(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公表番号】特表2017-509644(P2017-509644A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015021491
(87)【国際公開番号】WO2015143172
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2018年3月5日
(31)【優先権主張番号】61/955,615
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514145497
【氏名又は名称】ヴィアメット ファーマスーティカルズ(エヌシー),インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514124403
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フックストラ,ウィリアム,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】イェーツ,クリストファー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベンケ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】アリマーダノフ,アサフ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド,スコット,エー.
(72)【発明者】
【氏名】フライ,ダグラス,フランクリン
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−525375(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/110002(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/109998(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/090210(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/177608(WO,A1)
【文献】 特表2017−509638(JP,A)
【文献】 特表2017−507993(JP,A)
【文献】 日本化学会,新実験化学講座1 基本操作I,日本,丸善,1985年 6月10日,第6刷,P.296-327
【文献】 日本化学会,第4版 実験化学講座1 基本操作I,日本,丸善,1996年 4月 5日,P.184-187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/38
C07D 401/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIの化合物:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
の調製方法であって、式Iの化合物:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシド開環により式IIの化合物を得る工程
(式中、Rは、
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
である)
を含む方法。
【請求項2】
アミノアルコール1−6または1−7:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、置換ピリジン4bまたは4c:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して化合物1−6または1−7またはその混合物を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法。
【請求項3】
鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化6】
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またはその混合物の調製方法であって、
(i)モルホリンアミド2b:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
をアリール化してアリールピリジン1−4:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)アリールピリジン1−4:
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド5:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)エポキシド5:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±1−6:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(v)アミノアルコール±1−6:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法。
【請求項4】
鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エポキシド5:
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±1−6:
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)アミノアルコール±1−6:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
を含む方法。
【請求項5】
鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)モルホリンアミド2b:
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法。
【請求項6】
鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エポキシド4:
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)アミノアルコール±4b:
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(iii)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法。
【請求項7】
化合物1または1a:
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エステル2:
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
のエステル部分を置換してケトン3:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成して化合物1または1a:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法。
【請求項8】
式XIまたはXIaの化合物:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物
(式中、
10はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
11はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
12はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
13はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
14はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、かつ
tはそれぞれ独立して、0、1、2または3である)。
【請求項9】
12はHであり、かつtは1である、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
10はHであり、R12はHであり、かつtは1である、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
11はOHまたはOC(O)R14であり、かつtは1である、請求項に記載の化合物。
【請求項12】
13はOHまたはOC(O)R14でありかつtは1である、請求項に記載の化合物。
【請求項13】
10はHであり、R11はOHであり、R12はHであり、R13はHまたはOHであり、かつtは1である、請求項に記載の化合物。
【請求項14】
13はOHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
1−6*または1−7*の化合物:
【化54】
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またはその混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年3月19日に出願された米国仮特許出願第61/955,615号の優先権を主張するものであり、その内容が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗真菌薬として有用な化合物1の調製方法に関する。特に、本発明は、化合物1およびその置換誘導体の新しい調製方法を提供することを目的とする。
【0003】
(政府支援に関する記載)
本発明は、アメリカ国立衛生研究所と保健福祉省との共同研究開発契約の遂行の下に行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
生体は、特異的に金属を取り込み、それらを細胞内貯蔵部位に輸送し、最終的にそれらを使用部位に輸送する厳重に規制されたプロセスを発達させた。生体系での亜鉛および鉄などの金属の最も重要な機能の1つは、金属酵素の活性を可能にすることである。金属酵素は、金属イオンを酵素活性部位に取り込み、触媒プロセスの一部として金属を利用する酵素である。特性が明らかな全ての酵素の1/3以上は金属酵素である。
【0005】
金属酵素の機能は、酵素の活性部位に金属イオンが存在するか否かに大きく依存している。活性部位の金属イオンに結合して不活性化させる物質が酵素の活性を著しく低下させることが十分に認識されている。体の自然機能は、酵素活性が望まれていない期間に特定の金属酵素の活性を低下させるためにこの同じ戦略を用いている。例えば、タンパク質TIMP(メタロプロテアーゼ組織阻害物質)は、様々なマトリックスメタロプロテアーゼ酵素の活性部位の亜鉛イオンに結合し、それにより酵素活性を停止させる。製薬業界は治療薬の設計に同じ戦略を使用している。例えば、アゾール系抗真菌薬フルコナゾールおよびボリコナゾールは、標的酵素ラノステロールデメチラーゼの活性部位に存在するヘム鉄に結合し、それによりその酵素を不活性化させる1−(1,2,4−トリアゾール)基を含む。
【0006】
臨床的に安全かつ有効な金属酵素阻害剤の設計では、特定の標的および臨床適応に最適な金属結合基の使用が必須である。弱く結合する金属結合基を利用すると、効力が最適以下になることがある。他方、非常に強固に結合する金属結合基を利用すると、関連する金属酵素に対する標的酵素の選択性が最適以下になることがある。最適な選択性の欠如は、これらの標的外の金属酵素の予期せぬ阻害による臨床毒性の原因になり得る。そのような臨床毒性の1つの例は、フルコナゾールおよびボリコナゾールなどの現在利用可能なアゾール系抗真菌薬によるCYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4などのヒトの薬物代謝酵素の予期せぬ阻害である。この標的外の阻害は、主に、CYP2C9、CYP2C19およびCYP3A4の活性部位において、現在利用されている1−(1,2,4−トリアゾール)が無差別に鉄に結合することによって生じると考えられている。この別の例は、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の多くの臨床試験で観察されている関節痛である。この毒性は、標的外の活性部位においてヒドロキサム酸基が無差別に亜鉛に結合することによる標的外の金属酵素の阻害に関連していると考えられている。
【0007】
従って、効力と選択性とのより良好なバランスを達成することができる金属結合基の探求は、なお重要な目標であり、疾患、障害およびその症状の治療および予防において、現在満たされていない必要性に対処するための治療薬および方法の実現において重要である。同様に、実験室規模および最終的には商業規模でのそのような治療薬の合成方法が必要とされている。金属系求核試薬(Zn、Zr、Ce、Ti、Mg、Mn、Li)のアゾールメチル置換ケトンへの添加がボリコナゾールの合成において行われている(M. Butters, Org. Process Res. Dev. 2001, 5, 28-36)。これらの例における求核試薬はエチルピリミジン基質であった。同様に、光学的に活性なアゾールメチルエポキシドがラブコナゾール合成の前駆体求電子試薬として調製されてきた(A. Tsuruoka, Chem. Pharm. Bull. 1998, 46, 623-630)。このような事実にも関わらず、効率および選択性が向上した方法の開発が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、1または1aの合成方法に関する。本方法は本明細書中の化合物を含むことができる。本発明の第1の態様は、式1の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、複合体もしくはプロドラッグの調製方法に関する。
【化1】
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【0009】
本明細書中の化合物は、金属に対する以下の種類の化学相互作用もしくは結合:シグマ結合、共有結合、配位共有結合、イオン結合、π結合、δ結合または逆結合相互作用のうちの1つ以上の形成によって、金属酵素との親和性を少なくとも部分的に達成するものとして特定されている化合物を含む。
【0010】
例えば、"Principles of Bioinorganic Chemistry" by Lippard and Berg, University Science Books, (1994)、"Mechanisms of Inorganic Reactions" by Basolo and Pearson John Wiley & Sons Inc; 2nd edition (September 1967)、"Biological Inorganic Chemistry" by Ivano Bertini, Harry Gray, Ed Stiefel, Joan Valentine, University Science Books (2007)、Xue et al. "Nature Chemical Biology", vol. 4, no. 2, 107-109 (2008)などの参考文献に例示されているような金属と配位子との結合相互作用を評価する方法が当該技術分野で知られている。
【0011】
以下の態様では、本明細書に詳述されている試薬および反応条件を含む本明細書中のスキームおよび化合物について言及する。他の態様は、本明細書中の実施例に(全体または部分的に)詳述されている化合物、試薬、その変換または方法のいずれかを含み、単一の要素(例えば、化合物または変換)を含む実施形態または複数の要素(例えば、化合物または変換)を含む実施形態を含む。
【0012】
一態様では、本発明は、式IIの化合物:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
の調製方法であって、式Iの化合物:
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシド開環により式IIの化合物を得る工程
(式中、Rは、
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
である)
を含む方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、アミノアルコール1−6または1−7:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、置換ピリジン4bまたは4c:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して化合物1−6または1−7またはその混合物を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、鏡像異性体化合物混合物の鏡像異性体純度を高める方法であって、
(i)好適な溶媒または溶媒混合物中で前記鏡像異性体化合物混合物をキラル酸で結晶化する工程と
(ここで、好適な溶媒または溶媒混合物は、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノール、水、メタノールまたはそれらの組み合わせから選択され、かつ
当該鏡像異性体化合物混合物は、
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
を含む)、
(ii)鏡像異性的に濃縮された化合物混合物を単離する工程と、
(iii)鏡像異性的に濃縮されたキラル塩混合物をスラリー化溶媒またはスラリー化溶媒混合物中で再スラリー化する工程と、
(iv)鏡像異性的に濃縮されたキラル塩混合物を遊離塩基化(free−base)して鏡像異性的に濃縮された化合物混合物を得る工程と
を含む方法を提供する。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、鏡像異性体化合物混合物の鏡像異性体純度を高める方法であって、
(i)好適な溶媒または溶媒混合物中で前記鏡像異性体化合物混合物をキラル酸で結晶化する工程と
(ここで、好適な溶媒または溶媒混合物は、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノール、水、メタノールまたはそれらの組み合わせから選択され、かつ
当該鏡像異性体化合物混合物は、
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
を含む)、
(ii)鏡像異性的に濃縮された化合物混合物を単離する工程と、
(iii)鏡像異性的に濃縮されたキラル塩混合物を遊離塩基化して鏡像異性的に濃縮された化合物混合物を得る工程と
を含む方法を提供する。
【0016】
別の態様では、本明細書に示されている任意の実施形態におけるキラル酸は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、リンゴ酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、アスコルビン酸およびジ−p−トルオイル酒石酸からなる群から選択される。
【0017】
別の態様では、本明細書に示されている任意の実施形態における好適な溶媒または溶媒混合物は、1−プロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、酢酸イソプロピル、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンまたはそれらの組み合わせである。
【0018】
別の態様では、本明細書に示されている任意の実施形態におけるスラリー化溶媒またはスラリー化溶媒混合物は、1−プロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、酢酸イソプロピル、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンまたはそれらの組み合わせである。
【0019】
別の態様では、本明細書に示されている任意の実施形態における好適な溶媒または溶媒混合物は、a)アセトニトリルまたは、b)アセトニトリルおよびイソプロパノールの混合物である。あるいは、別の態様では、アセトニトリルおよびメタノールの混合物は、80〜90%アセトニトリルおよび10〜20%イソプロパノールを含む。
【0020】
別の態様では、本明細書に示されている任意の実施形態におけるスラリー化溶媒またはスラリー化溶媒混合物は、a)アセトニトリルまたは、b)アセトニトリルおよびイソプロパノールの混合物である。あるいは、別の態様では、アセトニトリルおよびイソプロパノールの混合物は、80〜90%アセトニトリルおよび10〜20%イソプロパノールを含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、アミド2c:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
を化合物1または1aまたはそれらの混合物に変換する工程
(式中、
は、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールであり、
AはN(OMe)Me、NRまたは
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
pは1、2、3または4であり、
qは1、2、3または4であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
を含む方法を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、アミド2c:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
を化合物1または1aまたはそれらの混合物に変換する工程
(式中、
は、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールであり、
BはN(OMe)Me、NRまたは
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
XはO、NRまたはSであり、
rは2、3または4であり、
sは2、3または4であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
を含む方法を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、モルホリンアミド2b:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
を化合物1または1aまたはそれらの混合物に変換する工程
(式中、Rは、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0024】
別の態様では、本発明は、モルホリンアミド2b:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
を、
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、MはMgまたはMgXであり、かつXはハロゲンである)
と反応させて化合物1または1a:
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程
(式中、Rは、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、モルホリンアミド2b:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
を、
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、MはMg、MgX、LiまたはAlXであり、かつXはハロゲン、アルキルまたはアリールである)
と反応させて化合物1または1a:
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程
(式中、Rは、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0026】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、エステル2:
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
をアミド化してモルホリンアミド2b:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含んでもよい。
【0027】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、エステル2d:
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
をアミド化してモルホリンアミド2b:
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程
(式中、
はそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールであり、かつ
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
を含んでもよい。
【0028】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、エステル2:
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
をモルホリンと反応させてモルホリンアミド2b:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含んでもよい。
【0029】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、
(i)モルホリンアミド2b:
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
をアリール化してアリールピリジン1−4:
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)アリールピリジン1−4:
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド5:
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)エポキシド5:
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±1−6:
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(v)アミノアルコール±1−6:
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成して化合物1または1a:
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含んでもよい。
【0030】
別の態様では、本発明は、1−6*または1−7*の化合物:
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*すなわち鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)モルホリンアミド2b:
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
をアリール化してアリールピリジン1−4:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)アリールピリジン1−4:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド5:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)エポキシド5:
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±1−6:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(v)アミノアルコール±1−6:
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0032】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*すなわち鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エポキシド5:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±1−6:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)アミノアルコール±1−6:
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0033】
別の態様では、本発明は、エポキシド5:
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
の調製方法であって、
(i)モルホリンアミド2b:
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
をアリール化してアリールピリジン1−4:
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)アリールピリジン1−4:
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド5:
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法提供する。
【0034】
別の態様では、本発明は、エポキシド5:
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
の調製方法であって、
(i)アリールピリジン1−4:
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド5:
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程を含む方法を提供する。
【0035】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、
(i)モルホリンアミド2b:
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成してテトラゾール6または6a:
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)テトラゾール6または6a:
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して化合物1または1a:
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含んでもよい。
【0036】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、
(i)モルホリンアミド2b:
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成して化合物1または1a:
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含んでもよい。
【0037】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*すなわち鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)モルホリンアミド2b:
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0038】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*すなわち鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エポキシド4:
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)アミノアルコール±4b:
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(iii)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)モルホリンアミド2b:
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0040】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エポキシド4:
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)アミノアルコール±4b:
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0041】
別の態様では、本発明は、鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)アミノアルコール±4b:
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0042】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、式I、VIIまたはVIIaの化合物:
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシド開環により式II、VIIIまたはVIIIaの化合物:
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0043】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
またはそれらの混合物の調製方法であって、置換ピリジン4dまたは4e:
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成してテトラゾール6cまたは6d:
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0044】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、アミノアルコール4bまたは4c:
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化してアミノアリールピリジン1−6*または1−7*:
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0045】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、式15の化合物:
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
を化合物1または1aに変換する工程
(式中、Rは、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0046】
別の態様では、本発明は、式IXまたはIXaの化合物:
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物
(式中、Zはそれぞれ独立して、アリール、置換アリール、アルキルまたは置換アルキルである)
を提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、式XIまたはXIaの化合物:
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物
(式中、
10はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
11はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
12はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
13はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
14はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、かつ
tはそれぞれ独立して、0、1、2または3である)
を提供する。
【0048】
別の態様では、R10はHであり、かつtは1である。
【0049】
別の態様では、R12はHであり、かつtは1である。
【0050】
別の態様では、R10はHであり、R12はHであり、かつtは1である。
【0051】
別の態様では、R11はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、かつtは1である。
【0052】
別の態様では、R13はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、かつtは1である。
【0053】
別の態様では、R11はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、R13はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、かつtは1である。
【0054】
別の態様では、R10はHであり、R11はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、R12はHであり、R13はH、OHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、かつtは1である。
【0055】
別の態様では、R10はHであり、R11はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、R12はHであり、R13はOHまたはOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、かつtは1である。
【0056】
別の態様では、R10はHであり、R11はOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、R12はHであり、R13はOC(O)R14(好ましくはOC(O)−p−トリル)であり、かつtは1である。
【0057】
別の態様では、R10はHであり、R11はOC(O)R14であり、R12はHであり、R13はOC(O)R14であり、R14はそれぞれ独立して、任意に置換されたアリールアルキルであり、かつtは1である。別の態様では、R14はそれぞれp−トリルである。
【0058】
別の態様では、R11はOHであり、R13はHであり、かつtは1である。
【0059】
別の態様では、R10はHであり、R11はOHであり、R12はHであり、R13はHであり、かつtは1である。
【0060】
別の態様では、本発明は、式IXまたはIXaの化合物:
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)化合物1または1a:
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物、スルホン酸:
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
および結晶化溶媒または結晶化溶媒混合物を組み合わせる工程と、
(ii)工程(i)で得られた混合物を結晶化共溶媒または結晶化共溶媒混合物で希釈する工程と、
(iii)式IXまたはIXaの化合物またはその混合物を単離する工程と
(式中、Zはそれぞれ独立して、アリール、置換アリール、アルキルまたは置換アルキルである)
を含む方法を提供する。
【0061】
別の態様では、本発明は、XまたはXaの化合物:
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を提供する。
【0062】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エステル2:
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
のエステル部分を置換してケトン3:
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成してテトラゾール6または6a:
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)テトラゾール6または6a:
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して化合物1または1a:
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0063】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エステル2:
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
のエステル部分を置換してケトン3:
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成して化合物1または1a:
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、Rはそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールである)
を含む方法を提供する。
【0064】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化171】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エステル2:
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
のエステル部分を置換してケトン3:
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)ケトン3:
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)エポキシド4:
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)アミノアルコール±4b:
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(v)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化182】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の塩を形成してXIまたはXIa:
【化183】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vii)XIまたはXIa:
【化184】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成して化合物1または1a:
【化185】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、
はそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールであり、
10はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
11はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
12はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
13はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
14はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、かつ
tはそれぞれ独立して、0、1、2または3である)
を含む方法を提供する。別の態様では、工程(vi)で得られた鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化186】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の塩は、マレイン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、ジベンゾイル酒石酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩およびマンデル酸塩からなる群から選択される。さらなる態様では、当該塩は、酒石酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩またはリンゴ酸塩である。別の態様では、当該塩は、L−酒石酸塩、D−ジ−p−トルオイル酒石酸塩またはD−リンゴ酸塩(好ましくは、L−酒石酸塩またはD−ジ−p−トルオイル酒石酸塩)である。
【0065】
別の態様では、本発明は、化合物1または1a:
【化187】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の調製方法であって、
(i)エステル2:
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
のエステル部分を置換してモルホリンアミド2b:
【化189】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(ii)モルホリンアミド2b:
【化190】
[この文献は図面を表示できません]
のモルホリノ部分を置換してケトン3:
【化191】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iii)ケトン3:
【化192】
[この文献は図面を表示できません]
のエポキシドを形成してエポキシド4:
【化193】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(iv)エポキシド4:
【化194】
[この文献は図面を表示できません]
を開環してアミノアルコール±4b:
【化195】
[この文献は図面を表示できません]
を得る工程と、
(v)アミノアルコール±4b:
【化196】
[この文献は図面を表示できません]
の鏡像異性体純度を高めて鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化197】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vi)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化198】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物をアリール化して鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化199】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(vii)鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール1−6*または1−7*:
【化200】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の塩を形成してXIまたはXIa:
【化201】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と、
(viii)XIまたはXIa:
【化202】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物のテトラゾールを形成して化合物1または1a:
【化203】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物を得る工程と
(式中、
はそれぞれ独立して、ハロ、−O(C=O)−アルキル、−O(C=O)−置換アルキル、−O(C=O)−アリール、−O(C=O)−置換アリール、−O(C=O)−O−アルキル、−O(C=O)−O−置換アルキル、−O(C=O)−O−アリール、−O(C=O)−O−置換アリール、−O(SO)−アルキル、−O(SO)−置換アルキル、−O(SO)−アリールまたは−O(SO)−置換アリールであり、
10はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
11はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
12はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、
13はそれぞれ独立して、H、OH、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシまたはOC(O)R14であり、
14はそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリールアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、かつ
tはそれぞれ独立して、0、1、2または3である)
を含む方法を提供する。別の態様では、工程(vii)で得られた鏡像異性的に濃縮されたアミノアルコール4bまたは4c:
【化204】
[この文献は図面を表示できません]
またはその混合物の塩は、マレイン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、ジベンゾイル酒石酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩およびマンデル酸塩からなる群から選択される。さらなる態様では、当該塩は、酒石酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩またはリンゴ酸塩である。別の態様では、当該塩は、L−酒石酸塩、D−ジ−p−トルオイル酒石酸塩またはD−リンゴ酸塩(好ましくは、L−酒石酸塩またはD−ジ−p−トルオイル酒石酸塩)である。
【0066】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかにおけるZは、フェニル、p−トリル、メチルまたはエチルである。
【0067】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかにおける結晶化溶媒または結晶化溶媒混合物は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エタノール、メタノール、アセトニトリルまたはそれらの組み合わせである。
【0068】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかにおける結晶化共溶媒または結晶化共溶媒混合物は、ペンタン、メチルt−ブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、トルエンまたはそれらの組み合わせである。
【0069】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、所望のレベルの鏡像異性体濃縮が達成されるまで鏡像異性体濃縮工程を繰り返す工程を含んでもよい。
【0070】
別の態様では、本明細書に示されている任意の実施形態におけるYは、メシラートまたはトシラートであってもよい。
【0071】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、モルホリンアミド2bをアミド2cで置換する工程を含んでもよい。
【0072】
別の態様では、本明細書に示されている実施形態のいずれかは、エチルエステル2をエステル2dで置換する工程を含んでもよい。
【0073】
他の態様では、本発明は、ラノステロールデメチラーゼ(CYP51)を阻害する(阻害するものと同定されている)本明細書中の式のいずれかの化合物を提供する。
【0074】
別の態様では、本発明は、本明細書中のいずれの式の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0075】
他の態様では、本発明は、金属酵素活性を調整するのに十分な量および条件下で対象に本明細書中のいずれの式の化合物を接触させる工程を含む、対象における金属酵素活性の調整方法を提供する。
【0076】
一態様では、本発明は、有効量の本明細書中のいずれの式の化合物または医薬組成物を対象に投与する工程を含む、金属酵素に関連する障害もしくは疾患に罹患しているか罹患しやすい対象の治療方法を提供する。
【0077】
別の態様では、本発明は、対象を金属酵素に関連する障害もしくは疾患の治療を必要としているものとして特定し、それを必要としている前記対象が前記疾患に対して治療されるように、前記対象に有効量の本明細書中のいずれの式の化合物または医薬組成物を投与する工程を含む、金属酵素に関連する障害もしくは疾患に罹患しているか罹患しやすい対象の治療方法を提供する。
【0078】
別の態様では、本発明は、対象を金属酵素媒介性障害もしくは疾患の治療を必要としているものとして特定し、それを必要としている前記対象における金属酵素活性が調整される(例えば、下方制御される、阻害される)ように、前記対象に有効量の本明細書中のいずれの式の化合物または医薬組成物を投与する工程を含む、金属酵素媒介性障害もしくは疾患に罹患しているか罹患しやすい対象の治療方法を提供する。別の態様では、本明細書に詳述されている化合物は、非形質転換細胞よりも癌細胞を選択的に標的とする。
【発明を実施するための形態】
【0079】
定義
「キラル」という用語は、鏡像相手と重ね合わせることができないという特性を有する分子を指し、「アキラル」という用語は、それらの鏡像相手に重ね合わせることができる分子を指す。
【0080】
「ジアステレオマー」という用語は、2つ以上の不斉中心を有し、かつそれらの分子が互いに鏡像でない立体異性体を指す。
【0081】
「鏡像異性体」という用語は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2種類の立体異性体を指す。2種類の鏡像異性体の等モル混合物は、「ラセミ混合物」または「ラセミ体」と呼ばれる。
【0082】
「異性体」または「立体異性体」という用語は、同一の化学組成を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0083】
「プロドラッグ」という用語は、生体内で代謝され得る部分を有する化合物を含む。一般にプロドラッグは、エステラーゼによって、あるいは活性薬物に対する他の機構によって生体内で代謝される。プロドラッグの例およびそれらの用途は当該技術分野でよく知られている(例えば、Berge et al.(1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製の間に原位置で、あるいは好適なエステル化剤によりその遊離酸形態の精製された化合物またはヒドロキシルを別に反応させることによって調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸による処理によってエステルに変換することができる。プロドラッグ部分の例としては、置換もしくは非置換の分岐鎖もしくは非分岐鎖状の低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ低級アルキルアミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、(例えば、メチル、ハロまたはメトキシ置換基によって)置換されたアリールおよびアリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ低級アルキルアミドおよびヒドロキシアミドが挙げられる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。生体内で他の機構によって活性型に変換されるプロドラッグも含まれる。いくつかの態様では、本発明の化合物は、本明細書中の式のいずれかのプロドラッグである。
【0084】
「対象」という用語は、限定されるものではないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットおよびマウスなどの哺乳類などの動物を指す。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0085】
「1つ(種)の(a)」「1つ(種)の(an)」および「前記(その)(the)」という用語は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「1つ(種)以上」を指す。従って、例えば、「1つ(種)の試料」について述べている場合、文脈が明らかにそれに反するようなこと(例えば、複数の試料でないこと)などを示していなければ、複数の試料を含む。
【0086】
本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、「含む(comprise)」「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」という言葉は、文脈が他の意味を求めている場合を除いて、排他的でない意味で使用されている。
【0087】
本明細書で使用される「約」という用語は、値について述べている場合、開示されている方法を実施するか開示されている組成物を用いるのに適当な変動になるように、指定されている量からの、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%、いくつかの実施形態では±0.1%の変動を包含するものとする。
【0088】
本明細書中での「阻害剤」という言葉の使用は、金属酵素を阻害するための活性を示す分子を意味するものとする。本明細書において「阻害する」とは、阻害剤の非存在下での金属酵素の活性と比較して、金属酵素の活性を低下させることを意味する。いくつかの実施形態では、「阻害する」という用語は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%の金属酵素活性の低下を意味する。他の実施形態では、「阻害する」とは、約5%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%または約75%〜100%の金属酵素活性の低下を意味する。いくつかの実施形態では、「阻害する」とは、約95%〜100%の金属酵素活性の低下、例えば、95%、96%、97%、98%、99%または100%の活性の低下を意味する。そのような低下は、当業者によって認識可能な各種技術を用いて測定することができる。個々の活性を測定するための特定のアッセイについては、以下に記載する。
【0089】
さらに、本発明の化合物は、いずれか一方の幾何学的形状(「Z」は、「シス」(同じ側)型と呼ばれるものを指し、「E」は、「トランス」(反対側)型と呼ばれるものを指す)を有するオレフィンを含む。キラル中心の命名法に関する「d」および「l」型という用語は、IUPAC勧告によって定義されているとおりである。ジアステレオマー、ラセミ体、エピマーおよび鏡像異性体という用語の使用に関して、これらの用語は、製剤の立体化学を説明するためにそれらの通常の文脈で使用される。
【0090】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐鎖状炭化水素基を指す。「低級アルキル」という用語は、C1〜C6アルキル鎖を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルおよびn−ペンチルが挙げられる。アルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0091】
「アルケニル」という用語は、2〜12個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合とを含む直鎖または分岐鎖であってもよい不飽和炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0092】
「アルキニル」という用語は、2〜12個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合とを含む直鎖または分岐鎖であってもよい不飽和炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0093】
アルケニル基およびアルキニル基のspまたはsp炭素はそれぞれ任意に、アルケニル基またはアルキニル基の結合点であってもよい。
【0094】
「アルコキシ」という用語は、−O−アルキルラジカルを指す。
【0095】
本明細書で使用される「ハロゲン」「hal」または「ハロ」という用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味する。
【0096】
「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハロ置換基で置換された−O−アルキルラジカルを指す。ハロアルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシおよび2,2,2−トリフルオロエトキシが挙げられる。
【0097】
「シクロアルキル」という用語は、少なくとも1つの飽和環または少なくとも1つの非芳香族環を有する、炭化水素の3〜8員の単環式または7〜14員の二環式の環系を指し、ここで、非芳香族環は、ある程度の不飽和を有していてもよい。シクロアルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。一実施形態では、シクロアルキル基の各環の0、1、2、3または4つの原子は、置換基で置換されていてもよい。シクロアルキル基の代表的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘキサジエニルなどが挙げられる。
【0098】
「アリール」という用語は、炭化水素の単環式、二環式または三環式の芳香族環系を指す。アリール基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。一実施形態では、アリール基の各環の0、1、2、3、4、5または6つの原子は、置換基で置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、インデニルおよびアズレニルなどが挙げられる。
【0099】
「ヘテロアリール」という用語は、単環式の場合1〜4つの環ヘテロ原子を有し、二環式の場合1〜6つのヘテロ原子を有し、三環式の場合1〜9つのヘテロ原子を有する5〜8員の単環式、8〜12員の二環式または11〜14員の三環式の芳香族環系を指し、前記ヘテロ原子は、O、NまたはSから選択され、残りの環原子は、(特に明記されていない限り適当な水素原子を有する)炭素である。ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。一実施形態では、ヘテロアリール基の各環の0、1、2、3または4つの原子は置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソキノリニルおよびインダゾリルなどが挙げられる。
【0100】
「窒素含有ヘテロアリール」という用語は、単環式の場合1〜4つの環窒素ヘテロ原子を有し、二環式の場合1〜6つの環窒素ヘテロ原子を有し、三環式の場合1〜9つの環窒素ヘテロ原子を有するヘテロアリール基を指す。
【0101】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単環式の場合1〜3つのヘテロ原子を含み、二環式の場合1〜6つのヘテロ原子を含み、三環式の場合1〜9つのヘテロ原子を含む3〜8員の単環式、7〜12員の二環式または10〜14員の三環式の非芳香族の環系を指し、前記ヘテロ原子は、O、N、S、B、PまたSiから選択され、ここでは、非芳香族の環系は完全飽和である。ヘテロシクロアルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。一実施形態では、ヘテロシクロアルキル基の各環の0、1、2、3または4つの原子は置換基で置換されていてもよい。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニルおよびチイレニル(thiirenyl)などが挙げられる。
【0102】
「アルキルアミノ」という用語は、1つまたは2つのアルキル基でさらに置換されたアミノ置換基を指す。「アミノアルキル」という用語は、1つ以上のアミノ基でさらに置換されたアルキル置換基を指す。「ヒドロキシアルキル」または「ヒドロキシルアルキル」という用語は、1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換されたアルキル置換基を指す。アルキルアミノ、アミノアルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルコキシ、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、アルキルカルボニルおよびアルキルカルボニルアルキルのアルキル部分またはアリール部分は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0103】
本明細書中の方法において有用な酸および塩基は当該技術分野で知られている。酸触媒は任意の酸性化学物質であり、実際には、無機(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、三塩化アルミニウム)または有機(例えば、カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、イッテルビウムトリフラート)であってよい。酸は、化学反応を促進する触媒量または化学量論量のいずれかで有用である。塩基は任意の塩基性化学物質であり、実際には、無機(例えば、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム)または有機(例えば、トリエチルアミン、ピリジン)であってもよい。塩基は、化学反応を促進する触媒量または化学量論量のいずれかで有用である。
【0104】
アルキル化剤は、目的の官能基(例えば、アルコールの酸素原子、アミノ基の窒素原子)のアルキル化を達成することができるあらゆる試薬である。アルキル化剤は、本明細書に引用されている参考文献に記載されているものを含んで当該技術分野で知られており、ハロゲン化アルキル(例えば、ヨウ化メチル、臭化ベンジルまたは塩化ベンジル)、硫酸アルキル(例えば、硫酸メチル)または当該技術分野で知られている他のアルキル基と脱離基との組み合わせが挙げられる。脱離基は、反応(例えば、脱離反応、置換反応)中に分子から脱離することができるあらゆる安定な化学種であり、本明細書に引用されている参考文献に記載されているものを含んで当該技術分野で知られており、ハロゲン化物(例えば、I−、Cl−、Br−、F−)、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、−OMe、−O−t−Bu)、アシルオキシアニオン(例えば、−OAc、−OC(O)CF)、スルホン酸(例えば、メシル、トシル)、アセトアミド(例えば、−NHC(O)Me)、カルバミン酸(例えば、N(Me)C(O)Ot−Bu)、ホスホン酸(例えば、−OP(O)(OEt))、水またはアルコール(プロトン性条件)などが挙げられる。
【0105】
特定の実施形態では、任意の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルなど)にある置換基は、その基の任意の原子に位置していてもよく、ここでは、置換することができる任意の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルなど)を1つ以上の置換基(同じであっても異なっていてもよい)で任意に置換することができ、それぞれが水素原子を置換している。好適な置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、オキソ(すなわち、カルボニル)、カルボキシル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシカルボニル、チオ、メルカプト、メルカプトアルキル、アリールスルホニル、アミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルカルボニル、またはアリールアミノ置換アリール、アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノカルボニル、アミド、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、イミノ、カルバミド、カルバミル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、メルカプトアルコキシ、N−ヒドロキシアミジニルまたはN’−アリール,N’’−ヒドロキシアミジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の化合物は、当該技術分野で知られている有機合成手段によって調製することができる。反応条件を最適化し、必要であれば競合する副生成物を最小にする方法が当該技術分野で知られている。反応の最適化およびスケールアップは、高速平行合成装置およびコンピュータ制御マイクロリアクターを利用することができると有利である(例えば、Design And Optimization in Organic Synthesis, 2nd Edition, Carlson R, Ed, 2005; Elsevier Science Ltd.; Jahnisch, K et al, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2004 43: 406およびその中の参考文献)。さらなる反応スキームおよび手順は、市販の構造検索可能なデータベースソフトウェア、例えば、SciFinder(登録商標)(米国化学会のCAS部門)およびCrossFire Beilstein(登録商標)(Elsevier MDL社)を用いて、あるいはGoogle(登録商標)などのインターネット検索エンジンまたは米国特許商標庁テキストデータベースなどのキーワードデータベースを用いる適切なキーワード検索によって、当業者が決定してもよい。本発明は、限定されるものではないが本明細書中の実施例に具体的に記載されているものを含む、本明細書中の式の化合物を調製する際に使用される中間体化合物ならびにそのような化合物および中間体の調製方法を含む。
【0107】
また、本明細書中の化合物は、結合(例えば、炭素−炭素結合)を含んでいてもよく、ここでは、結合の回転はその特定の結合の周りで制限されており、例えば、環または二重結合の存在により制限が生じている。従って、全てのシス/トランスおよびE/Z異性体は、明示的に本発明に含まれる。本明細書中の化合物を複数の互変異性型で表してもよく、そのような場合、本発明は、単一の互変異性型のみを表わしていたとしても、本明細書に記載されている化合物の全ての互変異性型を明示的に含む。本明細書中のそのような化合物の全てのそのような異性型は、明示的に本発明に含まれる。本明細書に記載されている化合物の全ての結晶形および多形は、明示的に本発明に含まれる。本発明の化合物を含む抽出物および画分も具体化される。「異性体」という用語は、ジアステレオマー、鏡像異性体、位置異性体、構造異性体、回転異性体および互変異性体などを含むものとする。1つ以上の立体中心を含む化合物、例えばキラル化合物のために、鏡像異性的に濃縮された化合物、ラセミ体またはジアステレオマーの混合物を用いて本発明の方法を実施してもよい。
【0108】
好ましい鏡像異性的に濃縮された化合物は、50%以上の鏡像体過剰率を有し、より好ましくは、当該化合物は、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%以上の鏡像体過剰率を有する。好ましい実施形態では、本発明のキラル化合物の1種のみの鏡像異性体またはジアステレオマーが細胞または対象に投与される。
【0109】
医薬組成物
一態様では、本発明は、本明細書中のいずれの式の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、さらなる治療薬をさらに含む医薬組成物を提供する。さらなる実施形態では、さらなる治療薬は、抗癌薬、抗真菌薬、心血管作動薬、抗炎症薬、化学療法薬、抗血管新生薬、細胞毒性薬、抗細胞増殖薬、代謝性疾患薬、眼科系疾患薬、中枢神経系(CNS)疾患薬、泌尿器疾患薬または胃腸疾患薬である。
【0111】
一態様では、本発明は、癌、固形腫瘍、心血管疾患、炎症性疾患、感染症などの金属酵素媒介性疾患もしくは障害に罹患しているか罹患しやすい対象に本化合物を投与するための説明書と共に、単位剤形として有効量の本明細書中のいずれの式の化合物を含むキットを提供する。他の実施形態では、疾患、障害またはその症状は、代謝性疾患、眼科疾患、中枢神経系(CNS)疾患、泌尿器疾患または胃腸疾患である。
【0112】
「薬学的に許容される塩」または「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書に記載されている化合物に存在する特定の置換基に応じて、比較的毒性のない酸または塩基と共に調製される活性化合物の塩を含むものとする。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性型をそのままで、あるいは好適な不活性溶媒中で十分な量の所望の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノまたはマグネシウム塩あるいは同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性型をそのままで、あるいは好適な不活性溶媒中で十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸に由来する塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的毒性のない有機酸に由来する塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩およびグルクロン酸やガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19 (1977)を参照)。本発明の特定の具体的な化合物は、本化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれか一方に変換させることができる塩基性および酸性の官能基の両方を含む。当業者に知られている他の薬学的に許容される担体は本発明に適している。
【0113】
本化合物の中性形態は、その塩を塩基または酸と接触させ、かつ従来の方法で親化合物を単離することによって再生してもよい。化合物の親型は、極性溶媒中の溶解性などの特定の物理的特性において各種塩形態とは異なるが、それ以外の点ではその塩は本発明の目的のための化合物の親型と同等である。
【0114】
塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載されている化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を起こして本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、生体外環境で化学的または生化学的な方法によって本発明の化合物に変換させることができる。例えば、好適な酵素または化学試薬を含む経皮パッチ貯蔵部に入れた場合、プロドラッグを徐々に本発明の化合物に変換させることができる。
【0115】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態ならびに水和形態などの溶媒和形態で存在していてもよい。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲に包含されるものとする。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形または非晶形で存在してもよい。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって想定される使用にとって同等であり、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0116】
本発明は、有効量の本明細書に記載されている化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。一実施形態では、薬学的に許容される製剤、例えば、薬学的に許容される製剤を対象に投与してから少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間または4週間にわたって本化合物を対象に持続送達する薬学的に許容される製剤を用いて、化合物を対象に投与する。
【0117】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルおよび投与の時間的経過は、患者に対する毒性(または容認できない毒性)なしに、特定の患者、組成物および投与様式にとって望ましい治療応答を達成するのに効果的な量の有効成分を得るように変更してもよい。
【0118】
使用時には、静脈内、筋肉内、皮下もしくは脳室内注射あるいは経口投与または局所塗布によって、それを必要としている対象に薬学的に有効な量の少なくとも1種の本発明に係る化合物を医薬用担体に入れて投与する。本発明によれば、本発明の化合物を、単独または第2の異なる治療薬と併用して投与してもよい。「〜と併用して」とは、実質的に同時または連続的に一緒であることを意味する。一実施形態では、本発明の化合物は急性投与される。従って、約1日〜約1週間などの短期治療のために本発明の化合物を投与してもよい。別の実施形態では、慢性疾患を寛解させるために、治療される状態に応じて、例えば約1週間〜数ヶ月などのより長期間にわたって本発明の化合物を投与してもよい。
【0119】
本明細書で使用される「薬学的に有効な量」とは、適切な医学的判断の範囲内で、治療される病気を有意に改善させるのに十分に高量であるが、深刻な副作用を回避するのに十分に低量である(妥当な利益/リスク比の)本発明の化合物の量を意味する。本発明の化合物の薬学的に有効な量は、達成させる特定の目標、治療中の患者の年齢および健康状態、基礎疾患の重症度、治療期間、併用療法の性質および用いられる具体的な化合物によって異なる。例えば、小児または新生児に投与される本発明の化合物の治療的有効量は、適切な医学的判断に従って比例的に減少される。従って、有効量の本発明の化合物は、所望の効果を与える最小量である。
【0120】
本発明の決定的な実用上の利点は、本化合物を、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、経口または脳室内注射経路により、あるいはクリームまたはゲルなどの局所塗布により、好都合な方法で投与し得ることである。投与経路に応じて、本発明の化合物を含む有効成分を、酵素、酸および本化合物を不活性化させ得る他の自然条件の作用から本化合物を保護するための材料で被覆しなければならない場合もある。非経口投与以外の方法で本発明の化合物を投与するために、本化合物を、不活性化を防止するための材料で被覆するかそれと共に投与することができる。
【0121】
本化合物を非経口投与または腹膜内投与してもよい。例えば、グリセリン、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物ならびに油に入れて分散系を調製してもよい。
【0122】
医薬用担体として機能することができる物質のいくつかの例は、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類、コーンスターチおよびジャガイモ澱粉などの澱粉、セルロースやカルボキシルメチルセルロースナトリウム、酢酸エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、落花生油、綿実油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂などの植物油、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、寒天、アルギン酸、発熱性物質除去蒸留水、等張食塩水およびリン酸緩衝液、脱脂粉乳ならびにビタミンC、エストロゲンおよびエキナセアなどの医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質である。ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤および滑沢剤ならびに着色剤、着香料、滑沢剤、賦形剤、錠剤化剤、安定化剤、抗酸化剤および防腐剤も存在していてもよい。例えば、クレモフォアおよびβシクロデキストリンなどの可溶化剤も本明細書中の医薬組成物に使用することができる。
【0123】
ここに開示されている主題の活性化合物(またはそのプロドラッグ)を含む医薬組成物を、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠形成、研和(levigating)、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。活性化合物を薬学的に使用可能な製剤に加工するのを容易にする1種以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤を用いる従来の方法で本組成物を製剤化することができる。
【0124】
ここに開示されている主題の医薬組成物を、例えば、局所、眼、経口、口腔内、全身、経鼻、注射、経皮、直腸内、膣内などの実質的にあらゆる投与様式に適した形態あるいは吸入または吹送による投与に適した形態にすることができる。
【0125】
局所投与のために、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして1種以上の本活性化合物またはプロドラッグを製剤化することができる。
【0126】
全身用製剤としては、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、クモ膜下腔内または腹膜内注射による投与のために設計されたもの、ならびに経皮、経粘膜、経口または経肺投与のために設計されたものが挙げられる。
【0127】
有用な注射用製剤としては、水性もしくは油性媒体に入れた1種以上の本活性化合物の無菌懸濁液、溶液または乳濁液が挙げられる。本組成物は、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤も含有することができる。注射用製剤は、単位剤形(例えば、アンプルまたは複数回投与用容器)で提供することができ、添加防腐剤を含有することができる。
【0128】
あるいは、限定されるものではないが、滅菌発熱性物質除去蒸留水、緩衝液、デキストロース溶液などの好適な媒体を用いて使用前に再構成するための粉末形態で注射用製剤を提供することができる。この目的のために、1種以上の本活性化合物を凍結乾燥などの当該技術分野で知られている任意の技術で乾燥し、使用前に再構成することができる。
【0129】
経粘膜投与のために、本製剤では、浸透させる障壁に適した浸透剤を使用する。そのような浸透剤は当該技術分野で知られている。
【0130】
経口投与のために、本医薬組成物は、結合剤(例えば、α化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉またはデンプングリコール酸ナトリウム)または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に従来の手段によって調製される、例えば、トローチ剤、錠剤またはカプセル剤の形態にすることができる。錠剤は、当該技術分野でよく知られている方法によって、例えば、糖類または腸溶コーティング剤で被覆することができる。
【0131】
経口投与用液体製剤は、例えば、エリキシル、溶液、シロップまたは懸濁液の形態にすることも、使用前に水または他の好適な媒体を用いて構成するための乾燥製品として提供することもできる。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性媒体(例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別された植物油)および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加剤と共に従来の手段によって調製することができる。当該製剤は、必要に応じて、緩衝塩、防腐剤、着香料、着色料および甘味料も含有することができる。
【0132】
経口投与用製剤は、周知のように、活性化合物またはプロドラッグの制御放出を提供するように製剤化できることが好ましい。
【0133】
口腔内投与のために、本組成物を、従来の方法で製剤化される錠剤またはトローチ剤の形態にすることができる。
【0134】
直腸内および膣内投与経路のために、溶液(停留浣腸用)、坐薬、またはカカオ脂もしくは他のグリセリド類などの従来の坐薬主成分を含有する軟膏として、1種以上の本活性化合物を製剤化することができる。
【0135】
経鼻投与または吸入もしくは吹送による投与のために、1種以上の本活性化合物またはプロドラッグを、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素または他の好適なガスを用いる加圧パックまたは噴霧器からのエアゾールスプレーの形態で送達することができると有利である。加圧エアゾールの場合、測定量を送達するための弁を設けることによって単位投与量を測定することができる。吸入器または吹送器で使用されるカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンからなるカプセルおよびカートリッジ)は、本化合物とラクトースまたは澱粉などの好適な粉末主成分との粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0136】
市販の経鼻スプレー装置を用いる経鼻投与に適した水性懸濁液製剤の具体的な例は、以下の成分:活性化合物またはプロドラッグ(0.5〜20mg/ml)、塩化ベンザルコニウム(0.1〜0.2mg/mL)、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80、0.5〜5mg/ml)、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくは微結晶性セルロース(1〜15mg/ml)、フェニルエタノール(1〜4mg/ml)およびデキストロース(20〜50mg/ml)を含む。最終懸濁液のpHは、約pH5〜pH7の範囲に調整することができ、約5.5のpHが典型的である。
【0137】
長期送達のために、埋め込みまたは筋肉内注射による投与のためのデポ剤として1種以上の本活性化合物またはプロドラッグを製剤化することができる。有効成分は、好適なポリマーもしくは疏水材料(例えば、許容される油中乳濁液として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいはやや溶けにくい誘導体として、例えば、やや溶けにくい塩として製剤化することができる。あるいは、経皮吸収のために1種以上の本活性化合物を徐々に放出する接着盤または接着パッチとして製造された経皮送達システムを使用することができる。この目的のために、浸透促進剤を使用して、1種以上の本活性化合物の経皮浸透を促進させることができる。好適な経皮パッチは、例えば、米国特許第5,407,713号、米国特許第5,352,456号、米国特許第5,332,213号、米国特許第5,336,168号、米国特許第5,290,561号、米国特許第5,254,346号、米国特許第5,164,189号、米国特許第5,163,899号、米国特許第5,088,977号、米国特許第5,087,240号、米国特許第5,008,110号および米国特許第4,921,475号に記載されており、各開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
あるいは、他の医薬送達システムを用いることができる。リポソームおよび乳濁液は、1種以上の活性化合物またはプロドラッグを送達するために使用することができる送達媒体の周知の例である。ジメチルスルホキシド(DMSO)などの特定の有機溶媒も用いることができる。
【0139】
所望であれば、1種以上の本活性化合物を含有する1種以上の単位剤形を含むことができるパックまたはディスペンサ装置に入れて本医薬組成物を提供することができる。上記パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含むことができる。上記パックまたはディスペンサ装置には、投与のための説明書を添付することができる。
【0140】
ここに開示されている主題の1種以上の本活性化合物またはプロドラッグあるいはその組成物は一般に、目的の結果を達成するのに有効な量で、例えば治療中の特定の疾患を治療または予防するのに有効な量で使用される。1種以上の本化合物を治療的に投与して、治療効果を達成するか予防的に投与して予防効果を達成することができる。治療効果とは、患者がなお基礎疾患に罹患している可能性があるにも関わらず患者が感覚または状態の改善を報告するような、治療中の基礎疾患の根絶または寛解および/または基礎疾患に伴う1つ以上の症状の根絶または寛解を意味する。例えば、アレルギーに罹患している患者への化合物の投与によって、原因となるアレルギー応答が根絶または寛解された場合だけでなく、アレルゲンへの曝露後にアレルギーに伴う症状の重症度または持続期間の減少を患者が報告した場合にも治療効果が得られる。他の例では、喘息の状況での治療効果としては、喘息発作の開始後の呼吸の改善または喘息の症状の発現の頻度もしくは重症度の減少が挙げられる。治療効果としては、改善が認められるか否かに関わらず、疾患の進行が停止または遅くなることも挙げられる。
【0141】
予防的投与のために、先に述べた疾患のうちの1つを発症するリスクのある患者に本化合物を投与することができる。疾患を発症するリスクのある患者は、適切な医療の専門家もしくはグループによって定義されている指定されたリスク患者群に分類される特徴を有する患者であってもよい。リスク患者は、一般的または日常的に、本発明に係る金属酵素阻害剤の投与によって治療することができる基礎疾患の進行が生じ得る環境にある患者であってもよい。言い換えると、リスク患者は、一般的または日常的に疾患または病気を引き起こす状況に曝されているものまたは限られた時間で急性的に曝され得るものである。あるいは、基礎疾患を診断された患者における症状の発症を回避するために、予防的投与を行うことができる。
【0142】
投与される化合物の量は、例えば、治療中の特定の適応症、投与様式、所望の効果が予防であるか治療であるか、治療中の適応症の重症度および患者の年齢や体重、特定の活性化合物の生物学的利用能などの様々な要因によって決まる。有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0143】
有効な投与量は、最初に生体外アッセイから推定することができる。例えば、生体外での真菌のMICすなわちMFCなどの生体外アッセイおよび実施例の箇所に記載されている他の生体外アッセイのように測定された特定の化合物のIC50と同程度かそれ以上の活性化合物の循環血中もしくは血清中濃度を達成するように、動物に使用される初期用量を処方することができる。特定の化合物の生物学的利用能を考慮してそのような循環血中または血清中濃度を達成する投与量を計算することは、十分に当業者の能力の範囲内である。指針として、Fingl & Woodbury, "General Principles," In: Goodman and Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Chapter 1, pp. 1-46, latest edition, Pagamonon Pressおよび本明細書に引用されている参考文献を参照されたく、それらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
動物モデルなどの生体内データから初期用量を推定することもできる。上記各種疾患を治療または予防するための化合物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当該技術分野でよく知られている。
【0145】
投与量は典型的に、約0.0001または0.001または0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であるが、とりわけ、本化合物の活性、その生物学的利用能、投与様式および上記各種要因に応じて増減することができる。治療もしくは予防効果を維持するのに十分な1種以上の本化合物の血漿中濃度を得るために、投与量および投与間隔を個々に調整することができる。局所局部投与などの局所投与または選択的取り込みの場合、1種以上の本活性化合物の有効な局所濃度を血漿中濃度に関連づけることはできない。当業者であれば、過度な実験をすることなく有効な局所用量を最適化することができるであろう。
【0146】
1種以上の本化合物を、とりわけ治療中の適応症および処方医師の判断に応じて、1日1回、1日数回、さらには1日複数回投与することができる。
【0147】
好ましくは、1種以上の本化合物によって、実質的な毒性を引き起こすことなく治療もしくは予防効果が得られる。標準的な製薬手順を用いて1種以上の本化合物の毒性を決定することができる。毒性作用と治療(または予防)効果との用量比は治療指数である。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
【0148】
本明細書中の可変部分に関する任意の定義における化学基の列挙の記載は、列挙されている基の任意の単一の基または組み合わせとしてのその可変部分の定義を含む。本明細書中の可変部分に関する実施形態の記載は、任意の単一の実施形態として、あるいは任意の他の実施形態またはその部分と組み合わせたその実施形態を含む。本明細書中の実施形態の記載は、任意の単一の実施形態として、あるいは任意の他の実施形態またはその部分と組み合わせたその実施形態を含む。
【0149】
本発明の別の目的は、金属酵素媒介性障害もしくは疾患の治療に使用される薬の製造における本明細書に記載されている化合物(例えば、本明細書中のいずれかの式の化合物)の使用である。本発明の別の目的は、金属酵素媒介性障害もしくは疾患の治療に使用される本明細書に記載されている化合物(例えば、本明細書中のいずれかの式の化合物)の使用である。本発明の別の目的は、農業または農地環境における金属酵素媒介性障害もしくは疾患の治療または予防に使用される農業用組成物の製造における本明細書に記載されている化合物(例えば、本明細書中のいずれかの式の化合物)の使用である。
【0150】
農業用途
本明細書中の化合物および組成物は、本明細書中の化合物(または組成物)を植物(例えば、種子、苗、草、雑草、穀物)に接触させる工程を含む植物の表面にいる微生物における金属酵素活性の調整方法で使用することができる。本明細書中の化合物または組成物を、対象の植物、圃場または他の農業領域に投与する(例えば、接触させる、塗布する、噴霧する、霧吹きする、散布するなど)ことによって、本化合物および組成物を(例えば、除草剤、殺虫剤、成長調整剤などとして)使用して、植物、圃場または他の農業領域を治療することができる。この投与は出芽前または出芽後であってもよい。この投与は治療もしくは予防投与計画のいずれかであってもよい。
【実施例】
【0151】
以下、具体的な実施例を用いて本発明について説明するが、それらの実施例は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0152】
一般的な実験手順
本明細書中のスキームにおける構造の可変部分に関する定義は、本明細書に詳述されている式の中の対応する位置の可変部分の定義に対応している。
【0153】
1または1aの合成
【化205】
[この文献は図面を表示できません]
【0154】
鏡像異性的に純粋な化合物1または1aの調製方法を開示する。1または1aの合成は、以下に示す合成例(スキーム1〜4)を用いて達成してもよい。2,5−ジブロモピリジンと2−ブロモジフルオロ酢酸エチルとの反応で開始してエステル2−Brを生成することにより、前駆体ケトン3−Brの調製を行う。このエステルをモルホリンと反応させてモルホリンアミド2b−Brを得、次いでアリール化してケトン3−Brを得ることができる。あるいは、スキーム1に示すように、エステル2−Brから直接ケトン3−Brを得ることができる。
【0155】
スキーム1:ケトン3−Brの合成
【化206】
[この文献は図面を表示できません]
【0156】
ケトン3は、対応する置換2−ブロモピリジンから開始するスキーム1に記載されている類似した方法で調製してもよく、当該技術分野で知られ、かつ本明細書に引用されている参考文献に含まれている合成変換(スキーム2)に従って調製することができる。
【0157】
スキーム2:ケトン3の合成
【化207】
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【0158】
あるいは、スキーム3に従い、アミノアルコール±4bまたは±1−6を用いて、化合物1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)を調製することができる。好適な溶媒または溶媒混合物(例えば、DMSOまたはTHF)中、塩基(例えば、カリウムt−ブトキシド)の存在下で、ケトン3および1−4をトリメチルスルホキソニウムヨージド(TMSI)と反応させることにより、エポキシド4および5を調製することができる。また、スキーム3に示すように、好適な溶媒系(例えば、有機/水性溶媒混合物)中、遷移金属触媒(例えば、(dppf)PdCl、dppf=1,1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)の存在下および塩基(例えば、KHCO、KCO、CsCOまたはNaCOなど)の存在下で、4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(または対応するボロン酸アルキルまたはボロン酸など)とクロスカップリングさせることにより、ピリジン化合物3、4、±4b、4bまたは6のいずれかを対応する4−CFCHO−Ph類似体(例えば、1−4、5、±1−6、1−6*または1、対応する鏡像異性体またはそれらの混合物)に変換することができる。次いで、好適な溶媒(例えば、MeOH、EtOHまたは水)中でのアンモニアを用いるアンモニア媒介エポキシド開環により、エポキシド4および5をアミノアルコール±4bおよび±1−6に変換することができる。次いで、好適な溶媒(例えば、アセトニトリル、イソプロパノール、EtOHまたはそれらの混合物あるいはこれらのいずれかと水またはMeOHとの混合物、好ましくはアセトニトリルまたはアセトニトリルとMeOHまたはイソプロパノールとの混合物、例えば、90:10、85:15または80:20混合物)中でキラル酸(例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸またはジ−p−トルオイル酒石酸など)に曝露して化合物4b(または4c、4bの鏡像異性体またはそれらの混合物)あるいは1−6*(または1−7*、1−6*の鏡像異性体またはそれらの混合物)を得ることにより、ラセミのアミノアルコール±4bおよび±1−6を鏡像異性的に濃縮することができる。その後のオルトギ酸トリメチルおよび酢酸ナトリウムの酢酸溶液の存在下でのTMS−アジドでの処理によって、化合物6(または6a、6の鏡像異性体またはそれらの混合物)あるいは1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)を得る(米国特許第4,426,531号)。
【0159】
スキーム3:TMSIエポキシ化法による1または1aの合成
【化208】
[この文献は図面を表示できません]
【0160】
スキーム4に示すように、本明細書に示されている方法のいずれかにより調製した化合物1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)を、式IX(またはIXa、IXの鏡像異性体またはそれらの混合物)のスルホン酸塩に変換することができる。これは、a)化合物1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)、結晶化溶媒または結晶化溶媒混合物(例えば、EtOAc、iPrOAc、EtOH、MeOH、アセトニトリルまたはそれらの組み合わせ)およびスルホン酸:
【化209】
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(例えば、Z=Ph、p−トリル、MeまたはEt)を組み合わせる工程、b)混合物を適当な結晶化共溶媒または結晶化共溶媒混合物(例えば、ペンタン、メチルt−ブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、トルエンまたはそれらの組み合わせ)で希釈する工程、およびc)混合物を濾過して式IX(またはIXa、IXの鏡像異性体またはそれらの混合物)のスルホン酸塩を得る工程により達成することができる。
【0161】
スキーム4:化合物1または1aのスルホン酸塩の合成
【化210】
[この文献は図面を表示できません]
【0162】
以下では、以下に示す実施例および中間体のHPLC純度を評価する際に使用したHPLC法について述べる。
カラム:Waters XBridge Shield RP18、4.6×150mm、3.5μm
移動相:A=0.05%TFA/HO、B=0.05%TFA/ACN
オートサンプラ洗浄:1:1のACN/H
希釈液:1:1のACN/H
流速:1.0ml/分
温度:45℃
検出器:UV275nm
【表1】
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【0163】
実施例1:2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2−ジフルオロ酢酸エチル(2−Br)の調製
【化211】
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【0164】
綺麗な多口丸底フラスコの中で、銅粉末(274.7g、2.05当量)を20〜35℃でジメチルスルホキシド(3.5L、7体積)に懸濁した。ブロモジフルオロ酢酸エチル(449g、1.05当量)を20〜25℃で反応混合物にゆっくりと添加し、1〜2時間撹拌した。2,5−ジブロモピリジン(500g、1当量)を反応混合物に添加し、温度を35〜40℃に上昇させた。反応混合物をこの温度で18〜24時間維持し、反応の進行をGCで監視した。
【0165】
反応が完了した後、酢酸エチル(7L、14体積)を反応混合物に添加し、20〜35℃で60〜90分間撹拌し続けた。反応混合物をセライト床で濾過した(100g、0.2倍量(w/w)のセライトおよび1L、2体積の酢酸エチル)。反応器を酢酸エチル(6L、12体積)で洗浄し、この洗浄液をセライト床で濾過した。最後にセライト床を酢酸エチル(1L、2体積)で洗浄し、濾過した母液を全て1つにまとめた。貯留した酢酸エチル溶液を8〜10℃に冷却し、15℃未満の緩衝液(5L、10体積)で洗浄した(注記:緩衝液の添加は本質的に発熱性である。反応混合物温度を15℃未満に維持するために緩衝液の制御添加が必要であった)。水層が無色のままになるまで、酢酸エチル層を緩衝液(7.5L、3×5体積)で再度洗浄した。有機層を10%w/w塩化ナトリウム水溶液および緩衝液の1:1溶液(2.5L、5体積)で洗浄した。次いで、有機層を乾燥した反応器に移し、酢酸エチルを減圧蒸留して粗製の2−Brを得た。
【0166】
粗製の2−Brを高真空分留で精製し、93%超の2−Br純度を有する蒸留した画分(2%以下のジアルキル化物および0.5%未満の出発物質を含む)を一緒に貯留して2−Brを得た。蒸留後の収率は、93%超のGC純度で47.7%であった(淡黄色の液体)。不純な画分の再蒸留により別に10%の収率が得られ、約55〜60%の全収率が得られた。
1H NMR: TMSに対するδ値 (DMSO-d6; 400 MHz): 8.85 (1H, d, 1.6 Hz), 8.34 (1H, dd, J = 2.0 Hz, 6.8 Hz), 7.83 (1H, d, J = 6.8 Hz), 4.33 (2H, q, J = 6.0 Hz), 1.22 (3H, t, J = 6.0 Hz). 13C NMR: 162.22 (t, -C=O), 150.40 (Ar-C-), 149.35 (t, Ar-C), 140.52 (Ar-C), 123.01 (Ar-C), 122.07 (Ar-C), 111.80 (t, -CF2), 63.23 (-OCH2-), 13.45 (-CH2CH3).
【0167】
実施例2:2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2−ジフルオロエタノン(3−Br)の調製
A.一段階法
【化212】
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【0168】
1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(268.7g、1.3当量)を20〜35℃でメチルtertブチルエーテル(MTBE、3.78L、12.6体積)に溶解し、アセトン/ドライアイス浴を用いて反応混合物を−70〜−65℃に冷却した。次いで、反応温度を−65℃未満に維持しながらn−ブチルリチウム(689mL、1.3当量、2.5M)を反応混合物に添加した(注記:反応混合物の温度を−65℃未満に維持するために反応混合物へのn−ブチルリチウムの制御添加が必要であった)。反応混合物をこの温度で30〜45分間維持した後、MTBE(900mL、3体積)に溶解した2−Br(300g、1当量)を−65℃未満で反応混合物に添加した。反応混合物をこの温度で60〜90分間撹拌し続け、反応の進行をGCで監視した。
【0169】
20%w/w塩化アンモニウム溶液(750mL、2.5体積)を−65℃でゆっくりと添加して反応系を失活させた。反応混合物を20〜35℃に徐々に温め、さらなる量の20%w/w塩化アンモニウム溶液(750mL、2.5体積)を添加した。水層を分離し、有機層を10%w/w重炭酸ナトリウム溶液(600mL、2体積)で洗浄し、次いで5%塩化ナトリウム洗浄液(600mL、2体積)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム(60g、0.2倍量(w/w))で乾燥し、濾過し、硫酸ナトリウムをMTBE(300mL、1体積)で洗浄した。溶媒が受け器に回収されなくなるまで有機層を洗浄液と共に45℃未満で減圧蒸留した。蒸留温度を55〜60℃に上昇させ、真空下に3〜4時間維持し、かつ20〜35℃に冷却して、275g(73.6%の収率、72.71%のHPLC純度)の3−Brを淡黄色の液体として得た。
1H NMR: TMSに対するδ 値 (DMSO-d6; 400 MHz):8.63 (1H, d, 1.6 Hz, Ar-H), 8.07 - 8.01 (2H, m, 2 x Ar-H), 7.72 (1H, d, J = 6.8 Hz, Ar-H), 7.07 - 6.82 (1H, m, Ar-H), 6.81 - 6.80 (1H, m, Ar-H). 13C NMR: 185.60 (t, -C=O), 166.42 (dd, Ar-C-), 162.24 (dd, Ar-C), 150.80 (Ar-C), 150.35 (Ar-C), 140.02 (Ar-C), 133.82 (Ar-C), 123.06 (Ar-C), 1122.33 (Ar-C), 118.44 (Ar-C), 114.07 (-CF2-), 122.07 (Ar-C), 105.09 (Ar-C).
【0170】
B.2b−Brを介した二段階法
【化213】
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【0171】
2−Br(147.0g)をn−ヘプタン(1.21L)に溶解し、オーバーヘッドスターラー、熱電対、凝縮器および添加漏斗を備えた5Lの反応器に移した。モルホリン(202ml)を添加した。この溶液を60℃に加熱し、一晩撹拌した。HPLC分析(0.2%の2−Br、94.7%の2b−Br)では反応は完了していた。反応系を室温に冷却し、1.21LのMTBEを添加した。この溶液を約4℃に冷却し、30%クエン酸(563ml)をゆっくりと添加して失活させて内部温度を15℃未満に維持した。1時間撹拌した後、層を安定させて分離した(水性層のpH=5)。有機層を30%クエン酸(322ml)および9%NaHCO(322ml、分離後の水性層のpH=7+)で洗浄した。有機層をロータリーエバポレーター(注記1)で454gまで濃縮した(すぐに若干の沈殿が始まり、濃縮中に増加した)。室温で撹拌した後、懸濁液を濾過し、生成物ケークをn−ヘプタン(200ml)で洗浄した。固体を真空オーブンにて室温で乾燥して129.2g(77%)の高密度な粉末を得た。HPLC分析による純度は96.5%であった。
【0172】
オーバーヘッドスターラー、熱電対、凝縮器および添加漏斗を備えた1Lのフラスコに削り状マグネシウム(14.65g)、THF(580ml)および1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(30.2g、0.39当量)を添加した。反応が開始するまで混合物を撹拌し、自己加熱により反応温度を44℃に上昇させた。残りの1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(86.1g、1.11当量)を35〜40℃の内部温度で約30分かけて添加する際に、この温度を冷却浴で制御した。徐々に室温に冷却しながら反応系を2時間撹拌した。暗黄色の溶液を12℃にさらに冷却した。
【0173】
グリニャール形成の間、オーバーヘッドスターラー、熱電対および添加漏斗を備えたジャケット付きの2Lのフラスコにモルホリンアミド2b−Br(129.0g)およびTHF(645ml)を入れた。固体が溶解するまで混合物を室温で撹拌し、次いで、この溶液を−8.7℃に冷却した。添加漏斗によりグリニャール溶液を−5〜0℃の温度で約30分かけて添加した。反応系を0℃で1時間撹拌し、HPLC分析により終点を確認した。反応混合物を−5℃に冷却し、2NのHClを10℃以下で1時間かけてゆっくりと添加して失活させた。混合物を0.5時間撹拌した後、層を安定させて分離した。水層をMTBE(280ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を9%NaHCO(263g)および20%NaCl(258ml)で洗浄した。有機層をTHF洗浄液と共にロータリーエバポレーターで濃縮して溶液を全て蒸留フラスコに移した。さらなるTHF(100ml)およびトルエン(3×100ml)を添加し、蒸留して、残留する水を生成物から除去した。真空下で乾燥した後の残留物は159.8gの暗褐色の蝋状固体であった(理論値を超える)。HPLC分析による純度は約93%であった。
【0174】
グリニャール形成/カップリング反応2
マグネシウム(0.022kg、0.903モル)、1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(0.027kg、0.14モル)およびテトラヒドロフラン(THF)(1.4L)を窒素入口/出口、0.25Lの滴下漏斗、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた2Lの反応器に入れた。22℃で約40分間撹拌した後、反応が開始し、35℃に到達させた。冷却を行い、さらなる1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(0.153kg、0.79モル)を35〜40℃で0.5時間かけて添加した。添加が完了したら、反応系を35〜40℃でさらに1時間撹拌した後、グリニャール試薬溶液を1時間かけて20〜25℃に冷却した。1時間の冷却期間中に、2b−Br(0.2kg、0.62モル)およびTHF(0.8L)を窒素入口/出口、0.5Lの滴下漏斗、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた5Lの反応器に入れ、15〜20℃で撹拌して溶液を得た後、−5〜0℃に冷却した。
【0175】
グリニャール試薬をモルホリンアミドのTHF溶液に−3〜2℃で50分かけて添加し、この溶液を約0℃で1時間撹拌した。反応混合物の試料をGC分析に供した。1mlの試料を2Mの塩酸溶液(5ml)に入れて失活させ、MTBE(2ml)で抽出した。有機層を分析に供し、この分析により0.76%モルホリンアミドの残留が確認された。
【0176】
2Mの塩酸溶液(1L)を10℃未満で0.75時間かけて添加して反応系を失活させ、さらに0.5時間撹拌した。撹拌を停止し、相を分離した。下側の水層を除去し、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)(0.4L)で抽出した。1つにまとめた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(0.4L)および飽和塩化ナトリウム溶液(0.4L)で洗浄した。溶媒を真空下50℃未満で蒸発させ、カール・フィッシャー(KF)分析による水分が0.1%未満になるまでトルエンの一部(0.2L)と共蒸留した。
【0177】
トルエン(0.37L)およびn−ヘプタン(0.37L)をSilicaFlash P60(40〜63ミクロン)(0.11kg)と共に残留物に添加し、反応系を20〜25℃で1時間撹拌した。反応系を濾過し、トルエン/n−ヘプタン(1:1)(2L)で洗浄した。溶媒を50℃未満で蒸発させ、溶媒をTHFに交換して約36wt%の3−Br溶液を得た。蒸発前のトルエン/n−ヘプタン溶液の試料の重量分析では、0.21kg(98.5%)の質量収率が確認された。この材料のGCアッセイは95.34%であり、93.9%の含有収率を得た。蒸発させた試料のGC(AVC)分析は94.5%であり、HPLC(AVC)は97.1%であった。
【0178】
実施例3:5−ブロモ−2−((2−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル)ジフルオロメチル)ピリジン(4−Br)の調製
【化214】
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【0179】
トリメチルスルホキソニウムヨージド(TMSI、37.93g、1.2当量)をジメチルスルホキシド(300mL、5体積)およびテトラヒドロフラン(500mL、10体積)の混合物に20〜35℃で添加した(淡黄色の懸濁液が観察された)。次いで、カリウムtert−ブトキシドのTHF溶液(172.5mL、1.2当量)を反応混合物に添加し、20〜35℃で60〜90分間撹拌し、透明な溶液を得た。次いで、反応混合物を0〜5℃に冷却し、反応混合物の温度を15℃未満に維持しながら3−Br(50g、1当量)のテトラヒドロフラン(150mL、3体積)溶液を添加した。反応の進行をGCで監視した。反応混合物のpHが3未満になるように、1Mの塩酸(500mL、10体積)を0〜15℃で添加して反応系を失活させた。反応混合物をこの温度で10〜15分間維持し、次いで、10%重炭酸ナトリウム溶液(300mL、6体積)を添加して、この溶液のpHを7超にした。反応混合物を10〜15℃で約15分間維持した後、反応混合物をMTBE(770mL、13.5体積)で希釈し、20〜30℃にした。有機層を分離し、水(100mL、2体積)で2回洗浄し、次いで10%塩化ナトリウム(200mL、4体積)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム(12.5g、0.25w/w)で乾燥し、濾過し、硫酸ナトリウムをMTBE(100mL、2体積)で洗浄した。濾液および洗浄液を一緒に貯留し、溶媒を45℃未満で減圧蒸留して35g(収率:88%、GC純度:60%超)の粗製の4−Brを得た。
【0180】
粗製の4−BrをMTBEに溶解し、シリカゲルに吸着させ、5〜10%酢酸エチル/ヘプタンを移動相として用いるシリカゲルクロマトグラフィで精製した。4−Brを含む画分を一緒に貯留し、溶媒を蒸留して比較的純粋な4−Brを得た。室温の5%酢酸エチルのヘプタン溶液(4体積)中でスラリー化して4−Brをさらに精製した。次いで、純粋な4−Br化合物を40℃未満で減圧乾燥して15g(37%の収率、95%超)の4−Brを淡褐色の固体として得た。
1H NMR: TMSに対するδ値 (DMSO-d6; 400 MHz): 8.82 (1H, d, J = 1.6 Hz, Ar-H), 8.21 (1H, dd, J = 6.8 Hz, 1.6 Hz, Ar-H), 7.50 (1H, d, J = 6.8 Hz, Ar-H), 7.43 - 7.38 (1H, m, Ar-H), 7.27 - 7.23 (1H, m, Ar-H), 7.11 - 7.07 (1H, m, Ar-H), 3.39 (1H, d, J = 3.6 Hz, -OCHAHB-), 3.14 (1H, d, J = 2.0 Hz, -OCHAHB-). 13C NMR: 163.87 -159.78 (dd, 2 x Ar-C-), 150.19 (Ar-C), 149.45 (t, Ar-C), 140.14 (Ar-C), 132.80 (Ar-C), 123.18 (Ar-C), 122.50 (Ar-C), 117.41 (t, -CF2-), 116.71 (Ar-C), 111.58 (Ar-C), 104.04 (t, Ar-C), 57.03 (-C-O-CH2-), 49.57 (-CH2-O-).
【0181】
第2の例
窒素入口/出口、温度プローブおよび滴下漏斗を備えた5Lの反応器に窒素下でカリウムtert−ブトキシド(0.061kg、0.54モル、1.05当量)、トリメチルスルホキソニウムヨージド(0.125kg、0.566モル、1.1当量)、THF(1.56L)およびジメチルスルホキシド(DMSO)(1.03L)を入れた。混合物を約20℃で1時間撹拌した後(約0.25時間後に溶液が得られた)、0℃に冷却した。3−BrのTHF溶液(0.18kg、0.515モルが0.53kgの溶液に含まれていた、溶液のGCアッセイ:33.6%)を0〜2℃で1時間かけて添加し、この温度でさらに1時間撹拌した。反応混合物の試料からGC分析のために試料を採取し、この分析により99.5%超の出発物質の変換が確認された。
【0182】
1Mの塩酸溶液(0.29L)を0〜5℃で添加して反応系を失活させ、さらに0.5時間撹拌し続けた。撹拌を停止し、相を分離した。下側の水層をMTBE(0.58L)で抽出し、1つにまとめた有機相を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.33kg)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(0.58L)および飽和塩化ナトリウム溶液(0.58L)で洗浄した。この溶液の重量分析では4−Brの定量的質量収率が確認された。GC(AVC)分析は89.1%であり、HPLC(AVC)は81.5%であった。溶媒を真空下50℃未満で蒸発させ、溶媒を1.4kgの添加によりメタノールに交換した。真空下50℃未満でさらに蒸発を行って固体の残留物(0.189kg)を得、これを次の反応で使用した。
【0183】
実施例4:3−アミノ−1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール(±4b−Br)の調製
【化215】
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【0184】
10〜20℃のオートクレーブにおいて4−Br(200g、1当量)をメタノール性アンモニア(8.0L、40体積、アンモニア含有量:15〜20%w/v)に添加した。反応混合物を密閉条件下3〜4kg/cmで徐々に60〜65℃に10〜12時間加熱した。反応の進行をGCで監視した。反応が完了した後、反応混合物を20〜30℃に冷却し、徐々に圧力を解放した。溶媒を50℃未満で減圧蒸留し、得られた粗製物質をメタノール(2×600mL、6体積)、次いでイソプロパノール(600mL、2体積)と共沸混合して、203g(収率:96.98%、HPLC純度:94.04%)の±4b−Brを得た。
【0185】
第2の例
4−Brの固体(0.18kg、0.493モル)およびメタノール(1.4kg)を窒素入口/出口、温度プローブおよび凝縮器を備えた5Lの反応器に入れた。濃縮したアンモニア溶液(1.62kg)を20〜25℃で添加し、反応系を45〜50℃にゆっくりと加熱した(アンモニアガス排出)。加熱期間中に反応混合物により溶液が得られた。この溶液をさらに18時間加熱し、その後、試料をHPLC分析に供し、この分析により出発物質の変換が確認された。
【0186】
反応混合物を約5体積まで濃縮し、MTBE(1.3L)を添加した。20%炭酸カリウム水溶液(0.14kg)を添加し(溶液のpH:11.5〜12)、相を分離した。上側の有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(0.29L)で洗浄した。MTBE溶液(1.09kg)の重量分析により±4b−Brを含む0.186kgの粘性の油を得た。この油のHPLC(AVC)分析は79.5%であり、HPLC(w/w)アッセイは82.3%であった。
【0187】
実施例5:3−アミノ−1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール(4b−Brまたは2c−Br)の調製
【化216】
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【0188】
アミノアルコール±4b−Br(150g、1当量)をイソプロパノール/アセトニトリル混合物(1.5L、8:2の比、10体積)に溶解し、ジ−p−トルオイル−L−酒石酸(L−DPTTA)(84.05g、0.55当量)を20〜30℃で反応器に添加した。反応混合物を45〜50℃に1〜1.5時間加熱した(注記:反応混合物は透明になり、次いで不均質になった)。反応混合物を徐々に20〜30℃に冷却し、16〜18時間撹拌した。分割の進行をキラルHPLC分析で監視した。
【0189】
分割が完了した後、反応混合物を徐々に20〜35℃に冷却した。反応混合物を濾過し、濾過した固体をアセトニトリルおよびイソプロパノールの混合物(8:2混合物、300mL、2体積)で洗浄し、乾燥して75gのL−DPTTA塩(95.37%のee)を得た。得られたL−DPTTA塩をイソプロパノール/アセトニトリル(8:2混合物、750mL、5体積)に45〜50℃で24〜48時間懸濁して、この塩をキラル的に濃縮した。キラル濃縮をキラルHPLCで監視し、この溶液を徐々に20〜25℃に冷却し、濾過し、イソプロパノール/アセトニトリル混合物(8:2混合物、1体積)で洗浄した。精製プロセスを繰り返し、濾過後、この塩により96%ee超のキラル純度が得られた。濾過した化合物を35〜40℃で減圧乾燥して、62gの鏡像異性的に濃縮されたL−DPPTA塩を97.12%のeeでオフホワイトの固体として得た。
【0190】
鏡像異性的に濃縮されたL−DPTTA塩(50g、1当量)を20〜30℃でメタノール(150mL、3体積)に溶解し、炭酸カリウム溶液(18.05gのKCOを150mLの水に溶解)を撹拌しながら20〜30℃でゆっくりと添加した。反応混合物をこの温度で2〜3時間維持した(この溶液のpHを9に維持した)。さらなる漏斗により水(600mL、12体積)を反応混合物に添加し、反応混合物を20〜30℃で2〜3時間撹拌した。固体を濾過し、水(150mL、3体積)で洗浄し、40〜45℃で真空乾燥して、26.5gのアミノアルコール4b−Brまたは4c−Brを99.54%の化学的純度および99.28%のeeでオフホワイトの固体として得た(キラルアミノアルコールの水分は0.10%w/w未満である)。
1H NMR: TMSに対するδ値 (DMSO-d6; 400 MHz): 8.68 (1H, d, J = 2.0 Hz, Ar-H), 8.16 (1H, dd, J = 8.0 Hz, 2.0 Hz, Ar-H), 7.49 - 7.43 (1H, m, Ar-H), 7.40 (1H, d, J = 8 Hz, Ar-H), 7.16 - 7.11 (1H, m, Ar-H), 7.11 - 6.99 (1H, m, Ar-H), 3.39 - 3.36 (1H, m, -OCHAHB-), 3.25 - 3.22 (1H, m, -OCHAHB-). 13C NMR: 163.87 -158.52 (dd, 2 x Ar-C-), 150.88 (Ar-C), 149.16 (Ar-C), 139.21 (Ar-C), 132.39 (Ar-C), 124.49 (Ar-C), 122.17 (Ar-C), 121.87 (d, Ar-C), 119.91 (t, -CF2-), 110.68 (Ar-C), 103.97 (t, Ar-C), 77.41 (t,-C-OH), 44.17 (-CH2-NH2).
【0191】
第2の例
ジ−p−トルオイル−L−酒石酸(0.069kg、0.178ml、0.3当量)を窒素下で窒素入口/出口を備えた5Lの反応器に入れた。±4b−BrのIPA溶液(1.718kg、含まれている質量:0.225kg、0.59モル、1当量)を添加し、次いでアセトニトリル(0.35kg)を添加した。反応混合物を約20℃で撹拌し、溶液を得た。反応系を50〜55℃(標的52℃)に加熱し、この温度で4時間撹拌し、その間に沈殿が生じた。試料の熱濾過およびIPA/アセトニトリル(4:1)での洗浄により、反応系のインプロセスキラルHPLC試料を採取した。これにより99%超のキラル純度が確認された。
【0192】
反応系を放冷し、16時間かけて20〜25℃で撹拌した。第2の試料をキラルHPLC分析に供し、この分析は99.5%であった。反応混合物を濾過し、IPA/アセトニトリル(4:1)(0.84L)の混合物で洗浄した。得られた固体を50℃で真空乾燥して、4b−BrのヘミL−DTTA塩(0.113kg)を白色の固体として得た。質量収率は33.2%であり、これは所望の異性体の66.35%である。キラルHPLCは99.6%であり、アキラルHPLCは99.7%であった。
【0193】
実施例6:1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−3−(1H−テトラゾール−1−イル)プロパン−2−オール(1−6*−Brまたは1−7*−Br)の調製
【化217】
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【0194】
4b−Brまたは4c−Br(20.0g、1当量)を25〜35℃で酢酸(50mL、2.5体積)に添加し、次いで、無水酢酸ナトリウム(4.32g、1当量)、オルトギ酸トリメチル(15.08g、2.7当量)を添加した。反応混合物をこの温度で15〜20分間撹拌し、トリメチルシリルアジド(12.74g、2.1当量)を反応混合物に添加した(冷水を凝縮器に循環させて蒸発による反応混合物からのトリメチルシリルアジドの損失を最小限に抑えた)。次いで、反応混合物を70〜75℃に加熱し、この温度で2〜3時間維持した。反応の進行をHPLCで監視した。反応が完了したら、反応混合物を25〜35℃に冷却し、水(200mL、10体積)を添加した。反応混合物を酢酸エチル(400mL、20体積)で抽出し、水層を酢酸エチル(100mL、5体積)で逆抽出した。1つにまとめた有機層を10%炭酸カリウム溶液(3×200ml、3×10体積)で洗浄し、次いで10%NaCl洗浄液(1×200mL、10体積)で洗浄した。有機層を45℃未満で減圧蒸留した。得られた粗製物質をヘプタン(3×200mL)と共沸混合して21.5g(94%の収率、99.265の純度)のテトラゾール1−6*または1−7*化合物を淡褐色の固体(低融点固体)として得た。
1H NMR: TMSに対するδ値 (DMSO-d6; 400 MHz NMR機器): 9.13 (1H, Ar-H), 8.74 (1H, Ar-H), 8.22 - 8.20 (1H, m, Ar-H), 7.44 (1H, d, J = 7.2 Hz, Ar-H), 7.29 (1H, Ar-H), 7.23 - 7.17 (1H, m, Ar-H), 6.92 - 6.88 (1H, Ar-H), 5.61 (1H, d, J = 11.2 Hz, -OCHAHB-), 5.08 (1H, d, J = 5.6 Hz, -OCHAHB-). 13C NMR: 163.67 -161.59 (dd, Ar-C-), 160.60 - 158.50 (dd, Ar-C-), 149.65 (Ar-C), 144.99 (Ar-C), 139.75 (Ar-C), 131.65 (Ar-C), 124.26 (Ar-C), 122.32 (d, Ar-C), 119.16 (t, -CF2-), 118.70 (d, Ar-C), 111.05 (d, Ar-C) 104.29 (t, Ar-C), 76.79 (t,-C-OH), 59.72 (Ar-C), 50.23 (-OCH2N-).
【0195】
実施例7:2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−3−(1H−テトラゾール−1−イル)−1−(5−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(1または1a)の調製
【0196】
A.1−6*−Brまたは1−7*−Brを介した1または1aの調製
【化218】
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【0197】
4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロランの合成
炭酸カリウム(59.7g、2.2当量)をDMF(190mL、3.8体積)、4−ブロモフェノール(37.4g、1.1当量)および2,2,2−トリフルオロエチルトシラート(50.0g、1.0当量)のスラリーに不活性雰囲気下20〜35℃で添加した。反応混合物を115〜120℃に加熱し、この温度で15〜18時間維持した。反応の進行をGCで監視した。次いで、反応混合物を20〜35℃に冷却し、トルエン(200mL、4.0体積)および水(365mL、7.3体積)を同じ温度で添加し、10〜15分間撹拌し、層を分離した。水層をトルエン(200mL、4.0体積)で抽出した。有機層を1つにまとめ、2Mの水酸化ナトリウム溶液(175mL、3.5体積)で洗浄した後、20%塩化ナトリウム溶液(175mL、3.5体積)で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。トルエン層をアルゴンガスで少なくとも1時間パージした綺麗な反応器に移した。ビス(ピナコラト)ジボラン(47g、1.1当量)、酢酸カリウム(49.6g、3.0当量)および1,4−ジオキサン(430mL、10体積)を20〜35℃で添加し、反応混合物をアルゴンガスで少なくとも1時間パージした。Pd(dppf)Cl(6.88g、0.05当量)を反応混合物に添加し、アルゴンパージを10〜15分間続けた。反応混合物の温度を70〜75℃に上昇させ、この温度をアルゴン雰囲気下で15〜35時間維持し、反応の進行をGCで監視した。反応混合物を20〜35℃に冷却し、反応混合物をセライトパッドで濾過し、酢酸エチル(86mL、2体積)で洗浄した。濾液を水(430mL、10体積)で洗浄した。水層を酢酸エチル(258mL、6体積)で抽出し、1つにまとめた有機層を10%塩化ナトリウム溶液(215mL、5体積)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム(43g、1倍量(w/w))で乾燥し、濾過し、45℃未満で減圧濃縮して粗製の4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(65g、71%の収率、85.18%のGC純度)を得た。粗製の4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(65g、1当量)を10%酢酸エチル−n−ヘプタン(455mL、7体積)に溶解し、20〜35℃で30〜50分間撹拌した。この溶液をセライト床で濾過し、10%酢酸エチル−n−ヘプタン(195mL、3体積)で洗浄した。濾液および洗浄液を一緒に貯留し、45℃未満で真空濃縮して4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロランを濃いシロップとして得た(45.5g、70%の回収)。次いで、これを3%酢酸エチル−n−ヘプタン(4体積)に溶解し、100〜200Mのシリカゲルに吸着させ(2回)、3%酢酸エチル−n−ヘプタンを用いてシリカで溶離した(4回)。生成物を多く含む画分を一緒に貯留し、真空濃縮した。カラムで精製した画分(85%超の純度)を蒸留装置を備えた丸底フラスコに移した。この化合物を高真空下180℃未満で蒸留し、複数の画分に分けて回収した。画分の純度をGCで分析した(98%超であり、単一の最大不純物が1.0%未満でなければならない)。より純度の低い画分(85%超かつ98%未満の純粋な画分)を一緒に貯留し、蒸留を繰り返して19g(32%の収率)の4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロランを淡黄色の液体として得た。
1H NMR: TMSに対するδ値 (DMSO-d6; 400 MHz): 7.64 (2H, d, 6.8 Hz), 7.06 (2H, d, J = 6.4 Hz), 4.79 (2H, q, J = 6.8 Hz), 1.28 (12H, s). 13C NMR: 159.46 (Ar-C-O-), 136.24 (2 x Ar-C-), 127.77 - 120.9 (q, -CF3), 122.0 (Ar-C-B), 114.22 (2 x Ar-C-), 64.75 (q, J = 27.5 Hz).
【0198】
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−3−(1H−テトラゾール−1−イル)−1−(5−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(1または1a)の合成
1−6*−Brまたは1−7*−Br(14g、0.03モル、1当量)を25〜35℃でテトラヒドロフラン(168mL、12体積)に添加し、得られた溶液を40〜45℃に加熱した。反応混合物をアルゴンを通気しながらこの温度で20〜30分間維持した。炭酸ナトリウム(8.59g、0.08モル、2.5当量)および水(21mL、1.5体積)を反応混合物に添加し、アルゴン通気をさらに20〜30分間続けた。テトラヒドロフラン(42mL、3体積)に溶解した4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(10.76g、1.1当量)を反応混合物に添加し、アルゴン通気を20〜30分間続けた。Pd(dppf)Cl(2.65g、0.1当量)をアルゴン通気下で反応混合物に添加し、20〜30分間撹拌した(反応混合物は暗赤色に変わった)。反応混合物を65〜70℃に加熱し、この温度で3〜4時間維持した。反応の進行をHPLCで監視した。反応混合物を40〜45℃に冷却し、溶媒を減圧蒸留した。トルエン(350mL、25体積)を反応混合物に添加し、10〜15分間撹拌した後、水(140mL、10体積)を添加した。反応混合物をHyfloで濾過し(42g、3回)、層を分離し、有機層を水(70mL、5体積)および20%w/w塩化ナトリウム溶液(140mL、10体積)で洗浄した。有機層を木炭で処理し(5.6g、0.4倍、中性の木炭)、Hyfloで濾過した。(1S)−10−カンファースルホン酸(7.2g、1当量)をトルエン層に添加し、得られた混合物を70〜75℃に2〜3時間加熱した。反応混合物を徐々に25〜35℃に冷却し、1〜2時間撹拌した。固体を濾過し、トルエン(2×5体積)で洗浄し、次いで45℃未満で真空乾燥して、18.0gのオフホワイトの固体を得た。固体(13.5g、1当量)をトルエン(135mL、10体積)に懸濁し、1MのNaOH溶液(1.48体積、1.1当量)を25〜35℃で添加して中和し、20〜30分間撹拌した。水(67.5mL、5体積)を反応混合物に添加し、10〜15分間撹拌し、次いで層を分離した。有機層を水(67.5mL、5体積)で洗浄して微量のCSAを除去した。トルエンを45℃未満で減圧除去して、粗製の1または1aを得た。エタノール(3×10体積)との共沸混合により微量のトルエンを除去し、その後、粗製の1または1a(7.5g、80%収率)の淡褐色の固体を得た。
【0199】
粗製の1または1a(5g)を20〜35℃でエタノール(90mL、18体積)に溶解し、40〜45℃に加熱した。水(14体積)を40〜45℃でこの溶液に添加し、この溶液をこの温度で30〜45分間維持し、次いで徐々に20〜35℃に冷却した。得られた懸濁液を20〜35℃で16〜18時間撹拌し続け、さらなる量の水(4体積)を添加し、3〜4時間撹拌し続けた。固体を濾過して4.0g(80%の回収)の1または1a(HPLC純度:98%超)をオフホワイトの固体として得た。
1H NMR: TMSに対するδ値 (DMSO-d6; 400 MHz): 9.15 (1H, s, Ar-H), 8.93 (1H, d, J = 0.8 Hz, Ar-H), .8.22 - 8.20 (1H, m, Ar-H), 7.80 (2H, d, J = 6.8 Hz, Ar-H), 7.52 (1H, d, J = 6.8 Hz, Ar-H), 7.29 (1H, d, J = 3.2Hz, Ar-H), 7.27 - 7.21 (1H, m, Ar-H), 7.23 - 7.21 (2H, d, J = 6.8 Hz, Ar-H), 7.19 (1H, d, J = 6.8 Hz, Ar-H), 6.93 - 6.89 (1H, m, Ar-H), 5.68 (1H, J = 12 Hz, -CHAHB), 5.12 (2H, d, J = 11.6 Hz, -CHAHB), 4.85 (2H, q, J = 7.6 Hz). 13C NMR: 163.93 - 158.33 (m, 2 x Ar-C), 157.56 (Ar-C), 149.32 (t, Ar-C), 146.40 (Ar-C), 145.02 (Ar-C), 136.20 (Ar-C), 134.26 (2 x Ar-C), 131.88 - 131.74 (m, AR-C), 129.72 (Ar-C), 128.47 (2 x Ar-C), 123.97 (q, -CF2-), 122.41 (Ar-C), 119.30 (-CF3), 118.99 (Ar-C), 115.65 (2 x Ar-C), 110.99 (d, Ar-C), 104.22 (t, Ar-C), 77.41 - 76.80 (m, Ar-C), 64.72 (q, -OCH2-CF3), 50.54 (-CH2-N-).
【0200】
B.4b−Brまたは4c−Brを介した1または1aの調製
【化219】
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【0201】
3−アミノ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−1−(5−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(8aまたは8b)の合成
炭酸カリウム(30.4g)および水(53.3g)をオーバーヘッドスターラー、熱電対および窒素/真空入口弁を備えた1Lのフラスコに入れ、溶解するまで撹拌した。ボロン酸(19.37g)、4b−Brまたは4c−Brの2−ブタノール溶液(理論上103.5g、27.8gの4b−Brまたは4c−Br)および2−BuOH(147.1g)を添加し、撹拌して透明の混合物を得た。フラスコを空にし、窒素で3回再充填した。Pd(dppf)Cl(0.30g)を添加し、撹拌して淡橙黄色の溶液を得た。フラスコを空にし、窒素で4回再充填した。混合物を85℃に加熱し、一晩撹拌し、HPLC分析により終点を確認した。反応混合物を60℃に冷却し、層を安定させた。水層を分離した。有機層を30〜40℃の5%NaCl溶液(5×100ml)で洗浄した。有機層を濾過し、2−BuOHで洗い流した綺麗なフラスコに移した。1つにまとめた溶液は309.7gであり、KF分析による水分は13.6wt%であった。この溶液を2−BuOH(189g)および水(10g)で希釈した。理論上、この溶液は34.8gの生成物、522ml(15体積)の2−BuOHおよび52.2ml(1.5体積)の水を含んでいた。L−酒石酸(13.25g)を添加し、混合物を70〜75℃の標的温度に加熱した。加熱中、濃い懸濁液が得られた。70〜72℃で約15分後、懸濁液は流体になり、容易に撹拌した。懸濁液を10℃/時間の速度で25℃に冷却し、次いで25℃で約10時間撹拌した。生成物を真空フィルタで回収し、10:1(v/v)の2−BuOH/水(50ml)および2−ブタノール(40ml)で洗浄した。この塩を60℃の真空オーブンにて窒素パージにより2日間乾燥した。40.08gの8aまたは8bが綿毛状の灰色がかった白色の固体として得られた。KF分析による水分は0.13wt%であった。収率は99.48%のHPLC純度で87.3%であった。
【0202】
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−3−(1H−テトラゾール−1−イル)−1−(5−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(1または1a)の合成
350mlの耐圧瓶に、酢酸(73ml)、8aまたは8b(34.8g)、酢酸ナトリウム(4.58g)およびオルトギ酸トリメチル(16.0g)を入れた。均一な懸濁液が得られるまで混合物を室温で18分間撹拌した。アジドトリメチルシラン(8.88g)を添加し、瓶を密閉した。瓶を油浴に浸漬し、磁気撹拌した。油浴は最初に52℃であり、約1/2時間かけて62〜64℃に温めた。懸濁液を62〜64℃で一晩撹拌した。20.5時間後、懸濁液を室温に冷却し、試料を採取した。HPLC分析により反応を完了させた。反応系を同じ原料ロットおよび一般的な手順を使用した3種類の他の反応系と1つにまとめた(全部で3.0gのさらなる出発物質)。1つにまとめた反応系を酢酸エチル(370ml)および水(368ml)で希釈し、室温で約1/2時間撹拌した。層を安定させて分離した。有機層を10%KCO溶液(370ml/397g)および20%NaCl溶液(370ml/424g)で洗浄した。有機層(319g)を濃縮し、エタノール(202g)で希釈し、濾過し、エタノール(83g)で洗い流した。1つにまとめた濾液を74gの琥珀色の溶液になるまで濃縮した。
【0203】
粗製の1または1aのエタノール溶液(74gの溶液、理論上31.9gの1または1aを含む)を、オーバーヘッドスターラー、熱電対および添加漏斗を備えた2Lのフラスコに移した。1または1a溶液の移動を完了するために使用するものを含み、エタノール(335g)を添加した。この溶液を名目上50℃に加熱し、水(392g)を12分かけて添加した。得られた濁った溶液に1または1a結晶を種晶として加え、50℃で撹拌した。約1/2時間後、混合物を約1/2時間かけて40℃に放冷し、この間に結晶化が始まった。若干より暗めの色の分厚い固体を主懸濁液から分離した。41%KOH(1.7g)を用いて、結晶化している混合物のpHを4.5から6に調整した。約1時間後、良好な懸濁液が得られた。さらなる水(191g)を1/2時間かけてゆっくりと添加した。懸濁液を50℃に加熱し、5℃/分で室温に冷却した。一晩撹拌した後、懸濁液を水浴で16℃に冷却し、1時間後に濾過した。濡れたケークを55:45(v/v)の水/エタノール(2×50ml)で洗浄し、真空フィルタ漏斗上で一晩空気乾燥した。真空オーブンにて窒素を通気しながら40℃でさらに乾燥してもさらなる重量減少は生じなかった。30.2gのオフホワイトの微粉末および若干より暗い顆粒材料が得られた。インプロセスHPLC分析では、より暗い材料とより明るい材料の化学的純度において差は認められなかった。純度は99.4%であった。KF分析による水分は2.16wt%であった。残留するエタノールは、1H NMR分析による推定では1.7wt%であった。回収収率は29.0gであり、テトラゾール形成および結晶化のための全収率は91.0%であった。DSC分析による融点は65℃であった。
【0204】
C.4b−Brまたは4c−Brを介した1または1aの他の調製
窒素入口/出口を備えた5Lの反応器に、窒素下で4b−BrのヘミL−DTTA塩(0.145kg、0.253モル)およびMTBE(0.725L)を入れた。懸濁液を撹拌し、炭酸カリウム(0.105kg、0.759モル、3当量)の水(0.945kg)溶液を添加した。反応系を0.25時間撹拌し、この間に溶液が生じた。撹拌を停止し、相を分離した。下側の水層(pH10)を除去し、MTBE(0.725L)で抽出した。1つにまとめた有機層を50℃未満で真空蒸発させて油(0.105kg)を得た。2−ブタノール(0.276kg)を添加し、蒸留して残留するMTBEを除去した。2−ブタノール(0.39kg)を添加した。4b−Br(−)溶液の重量(0.502kg)は、理論上の遊離塩基(0.096kg)および2−ブタノール(0.406kg)を含むものと推定した。
【0205】
炭酸カリウム(0.104kg、0.759モル、3当量)の水(0.184kg)溶液を調製し、4−(トリフルオロエトキシ)フェニルボロン酸(0.067kg.0.304モル、1.2当量)と共に反応器に入れた。4b−Br(−)の2−ブタノール溶液を添加し、次いで2−ブタノール(0.364kg)をさらに入れた。透明な溶液を窒素で0.5時間パージした後、Pd(dppf)Cl触媒(1.03g、0.5モル%)を添加し、窒素パージをさらに0.5時間続けた。反応系を85℃に加熱し、18時間維持し、その後HPLC IPC分析では出発物質の消費が確認された。
【0206】
反応混合物を60℃に冷却し、下側の水相を分離した(低温で塩が沈殿する)。有機相を30〜40℃の5%塩化ナトリウム溶液(5×0.334kg)で洗浄し、小さい界面層を最終の水性洗浄液で除去した。有機相をガラス繊維フィルタで濾過し、2−ブタノール(0.065L)で洗浄した。溶液の総重量(0.921kg)は、KF分析では15.7%であり(0.145kgが含まれている)、推定される理論上の鈴木遊離塩基7a(0.120kg)および2−ブタノール(0.656kg)が含まれていた。さらなる2−ブタノール(0.793kg)および水(0.036kg)を添加した。理論上の反応組成は0.120kgの生成物、15体積の2−ブタノールおよび1.5体積の水であった。
【0207】
L−酒石酸(0.046kg、0.304モル、1.2当量)を添加し、反応系を70〜75℃に加熱した。加熱期間中に懸濁液は濃くなったが、温度で薄まって行った。加熱を1時間維持した後、約10℃/時間で20〜25℃に冷却し、約16時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、10:1(v/v)の2−ブタノール/水(0.17L)および2−ブタノール(0.14L)で洗浄した。固体を60℃で真空乾燥して8aの酒石酸塩(0.132kg、83%)をホフホワイト/灰色の固体として得た。KF分析による水分は2.75%であり、HPLCは99.5%であった。
【0208】
凝縮器、温度プローブおよび窒素入口/出口を備えた1Lの反応器に、窒素下で8aの酒石酸塩(0.13kg、0.208モル)、酢酸ナトリウム(0.017kg、0.208モル)および酢酸(0.273L)を入れた。オルトギ酸トリメチル(0.132kg、1.248モル、6当量)を添加し、懸濁液を20〜25℃で1.25時間撹拌した。アジドトリメチルシラン(0.033kg、0.287モル、1.4当量)を添加し、懸濁液を60〜65℃に加熱し、この温度で16時間維持した。試料をHPLC IPC分析に供し、この分析では0.2%の出発物質および2.9%のホルムアミド不純度が確認された。
【0209】
反応混合物を20〜25℃に冷却し、酢酸エチル(1.38L)および精製した水(1.38L)と共に5Lの反応器に入れた。二相溶液を0.5時間撹拌し、水相(pH:4〜5)を除去した。小さい相間層を有機層と共に保持した。有機相を10%炭酸カリウム水溶液(2.2kg)で洗浄し、分離した(水性層のpH:9.3)。有機相を20%塩化ナトリウム溶液(1.625kg)で洗浄し、小さい相間層を水性層と共に除去した。
【0210】
有機相をSiliaMetSチオールパラジウムスカベンジャー(9.2g)と共に窒素下で2Lの反応器に入れた。反応系を50〜55℃に加熱し、この温度で16時間維持した後、20〜25℃に冷却した。スカベンジャーを0.7ミクロンのフィルタによる濾過で除去し、酢酸エチルで洗浄し、濾液/洗浄液を100mLになるまで真空下50℃未満で蒸発させた。エタノール(100%、755g)を添加し、この溶液を377g(約440mL)になるまでさらに蒸発させた。この溶液(理論上の組成:109gの1および267gのエタノール)をさらなるエタノール(1.031kg)で希釈し、5Lの反応器に移した。この溶液を50℃に加熱し、精製した水(1.34kg)を0.25時間かけて45〜50℃で添加して濁った溶液を得た。これを0.5時間撹拌し、40%炭酸カリウム溶液(一滴)でpH6に調整した。40〜42℃でさらに1時間撹拌し続け、精製した水(0.65kg)の第2の添加を0.5時間かけてこの温度で行った。この温度を50℃に上昇させ、0.5時間維持した後、10℃/時間で20℃に冷却した。固体を濾過で単離し、エタノール/水(45:55)(2×0.17L)で洗浄し、45〜50℃で真空乾燥して、1×水和物(0.0937kg、85.3%)をオフホワイトの固体として得た。HPLC(AVC)分析は、99.62%+0.27%のホルムアミドおよび0.11%のRRT0.98であった。
【0211】
参照による組み込み
本出願の全体にわたって引用されている全ての参考文献(文献、取得済特許、公開特許出願および同時係属中の特許出願を含む)の内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0212】
均等物
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を知っているか、日常の実験のみを用いて確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。