特許第6510029号(P6510029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イラミーナ インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000003
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000004
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000005
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000006
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000007
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000008
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000009
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000010
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000011
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000012
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000013
  • 特許6510029-生化学的に作動する電子デバイス 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6510029
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】生化学的に作動する電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20190422BHJP
   C12Q 1/00 20060101ALN20190422BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20190422BHJP
【FI】
   C12M1/34 B
   C12M1/34 E
   !C12Q1/00 C
   !C12Q1/6869 Z
【請求項の数】15
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2017-502677(P2017-502677)
(86)(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公表番号】特表2017-521082(P2017-521082A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015040296
(87)【国際公開番号】WO2016010975
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2018年4月23日
(31)【優先権主張番号】62/069,198
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/171,523
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/161,709
(32)【優先日】2015年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/024,856
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ボヤン ボヤノフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジー マンデル
(72)【発明者】
【氏名】ジンウェイ バイ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エル ガンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤオ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル パーボスト
【審査官】 池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−513869(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/154999(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/056241(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0078622(US,A1)
【文献】 Nature (2011) vol.475, no.7356, p.348-352
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/00
C12Q 1/00−3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応成分を電荷センサに付着させる方法において、
(a) 複数個の電荷センサであって、前記電荷センサのそれぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分であって、前記複数の特定タイプの前記反応成分のそれぞれが核酸忌避部分に結合する、該複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、並びに
(c)以下の条件、すなわち、
(i) 前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、
(ii) 前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、
(iii) 前記流体から前記特定タイプの反応成分が、テザーによって、前記電荷センサに付着し、ここで、前記特定タイプの反応成分の1つが、1つの電荷センサに付着する、及び
(iv) 前記反応成分のそれぞれに結合した前記核酸忌避部分により、前記複数の反応成分における1つより多い数の反応成分が前記各電荷センサに付着するのを阻害する
という条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記反応成分のタイプは、核酸酵素とする、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記核酸忌避部分は核酸又は核酸ナノボールを有するものとする、方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、前記核酸酵素はポリメラーゼとする、方法。
【請求項5】
請求項2記載の方法において、前記反応成分は、少なくとも2つの異なるタイプのポリメラーゼを有するものとし、前記異なるタイプのポリメラーゼが、前記固体支持体の個別の電荷センサに付着する、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記異なるタイプのポリメラーゼは、同一タイプのヌクレオチドを新生核酸ストランドに取り込むとき、前記電荷センサが検出可能な相互に区別できるシグナルを生成する、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記反応成分のタイプは、受容体、リガンド、核酸、及び酵素からなるグループから選択されるものとする、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記核酸忌避部分は、
a)前記複数の反応成分のうち1つより多い数の反応成分が前記各電荷センサに付着するのを立体的に妨害する空間容積部を占め、又は
b)前記複数の反応成分のうち1つより多い数の反応成分が前記各電荷センサに付着するのを静電的に妨害する電荷極性を有する、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記各電荷センサは、前記特定タイプの反応成分のうち2つより多くの数の反応成分を付着する能力を有する、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、さらに、前記反応成分が前記電荷センサに付着した後に、結合した核酸忌避部分を前記反応成分から除去するステップを有する、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記結合した核酸忌避部分を前記反応成分から除去する前、かつ前記反応成分が前記電荷センサに付着した後に、前記流体を前記固体支持体から除去する、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記ステップ(c) の後に、少なくとも50%の前記電荷センサに、前記特定タイプの単一反応成分が付着する、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記特定タイプの反応成分は、電界を印加することによって前記電荷センサに能動的に輸送される、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記特定タイプの反応成分は、導電性テザーの形成によって前記流体から前記電荷センサに付着する、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記導電性テザーは、ドープしたポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、又はポリアゼピンを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2015年6月5日に出願された米国特許仮出願第62/171,523号、2015年5月14日に出願された米国特許仮出願第62/161,709号、2014年10月27日に出願された米国特許仮出願第62/069,198号及び2014年7月15日に出願された米国特許仮出願第62/024,856号に基づいて優先権を主張し、それぞれの出願の内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0002】
本発明は、バイオセンサに基づく検出、及びより具体的には、核酸シークエンシング(塩基配列決定)に使用できるバイオセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
DNAシークエンシングのための現在市場で入手可能なプラットフォームは比較的コストがかかる。これらプラットフォームの大部分は、いわゆる「シークエンシング・バイ・シンセシス」手法を使用するもので、これはすなわち、DNAポリマーを合成するとともに、成長するポリマー構造に対する各モノマー(すなわち、ヌクレオチド)の付加を検出するからである。鋳型DNAストランドが厳密に新たなDNAポリマーの合成を導くため、合成中に成長するストランドに付加された一連のヌクレオチドモノマーから鋳型DNAのシークエンス(塩基配列)を推測できる。反応をモニタリングするのに、比較的高額なハードウェア、例えば、レーザー、検出光学系、及び複雑な流体送給システムを使用する。現在最も成功している市販プラットフォームも、シークエンシング・バイ・シンセシス手法を開始する前に、DNA鋳型を増幅するために高額な試薬及びハードウェアを必要としている。これらプラットフォームの複雑さ及び出費が、DNAシークエンシング技術に明らかな必要性がある幾つかの臨床的及び研究的環境における使用の妨げとなっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、核酸シークエンシングのプラットフォームを改善して、より一層費用効果がよく、迅速かつ簡便にできるようにする必要性がある。本発明はこの必要性に対処し、また他の利点をも生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の核酸シークエンシング方法を提供する。この方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) 1つ又は複数の標識(ラベル)付けしたヌクレオチドを準備して、標識が電荷センサ近傍にあるとき標識の存在を電荷センサによって検出できるようにするステップと、及び(c) 鋳型核酸に対して相補的な新生ストランドへの標識付けしたヌクレオチドの組み込みを検出するステップと、を有することができる。
【0006】
本発明は、さらに、反応成分を電荷センサに付着させる方法を提供する。この方法は、(a) 複数個の電荷センサであって、それぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、並びに(c) 以下の条件、すなわち、(i) 前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、(ii) 前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、及び(iii) 固体支持体において、各電荷センサに単一反応成分が付着する結果となる状態で、前記流体から前記特定タイプの反応成分が前記電荷センサに付着する、という条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、を有する。
【0007】
幾つかの実施形態において、反応成分を電荷センサに付着させる方法は、(a) 複数個の電荷センサであって、それぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分であって、それぞれが忌避部分に結合する、該複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、並びに(c)以下の条件、すなわち、(i)前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、(ii)前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、(iii)前記流体から前記特定タイプの反応成分が前記電荷センサに付着する、及び(iv)前記反応成分のそれぞれに結合した前記忌避部分により、前記複数の反応成分における1つより多い数の反応成分が前記各電荷センサに付着するのを阻害するという条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、を有することができる。
【0008】
反応成分を電荷センサに付着させる方法は、(a) 複数個の電荷センサであって、それぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、(c) 以下の条件、すなわち、(i)前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、(ii)前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、及び(iii)前記流体から前記特定タイプの反応成分が前記電荷センサに付着して、これにより、前記流体から複数反応成分が付着した変容電荷センサを形成する、という条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、並びに(d)前記各変容電荷センサから1つ又はそれ以上の前記特定タイプの反応成分を除去して、前記特定タイプの単一反応成分が前記各変容電荷センサに付着した状態にする除去ステップと、を有することができる。
【0009】
本発明は、核酸シークエンシング方法を提供する。この方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したヌクレオチド結合タンパク質(例えば、ポリメラーゼ)を準備するステップと、(b) 1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドを準備して、標識が前記電荷センサ近傍にあるとき前記標識の存在を前記電荷センサによって検出できるようにするステップと、及び(c)前記電荷センサを用いて、前記タンパク質への前記標識付けしたヌクレオチドの結合を検出する検出ステップと、を有することができる。
【0010】
特別な実施形態において、核酸シークエンシング方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) 1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドを準備して、標識が前記電荷センサ近傍にあるとき前記標識の存在を前記電荷センサによって検出できるようにするステップと、及び(c)前記電荷センサを用いて、鋳型核酸に対して相補的な新生ストランドへの前記標識付けしたヌクレオチドの取り込みを検出する検出ステップと、によって実施することができる。
【0011】
本発明により提供される核酸シークエンシング方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) 可逆的ターミネーター部分を有する1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドを準備して、標識が前記電荷センサ近傍にあるとき前記標識の存在を前記電荷センサによって検出できるようにするステップと、(c)前記電荷センサを用いて、鋳型核酸に対して相補的な新生ストランドへの前記1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドの取り込み、及びこれによる可逆的に終端した新生ストランドの形成を検出する検出ステップと、(d) 前記可逆的に終端した新生ストランドを変容させて、前記新生ストランドがヌクレオチドを一層取り込めるようにするステップと、及び(e) 前記ステップ(b) 〜(d) を繰り返して前記鋳型核酸の配列を取得するステップと、を有することができる。
【0012】
さらに、核酸シークエンシング方法を提供し、この方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) ポリメラーゼが1つ又はそれ以上のヌクレオチドタイプの付加を触媒して、核酸鋳型に相補的な核酸を形成する条件、及び1つ又はそれ以上の異なるヌクレオチドタイプが、前記電荷センサによって検出される立体配座のシグナル変化を前記ポリメラーゼから生成する条件の下で、前記ポリメラーゼを鋳型核酸及び1つ又はそれ以上の異なるヌクレオチドタイプに接触させるステップと、(c)前記電荷センサを用いて前記ポリメラーゼから前記シグナル変化を検出するステップと、及び(d)前記1つ又はそれ以上の異なるヌクレオチドタイプの付加に関して前記シグナル変化の割合、極性、大きさ又は持続時間を決定し、これにより鋳型核酸のヌクレオチド配列を決定するステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】テザー(係留紐状体)によって電荷センサに付着させたポリメラーゼを示す。
図2】核酸テザーにより電荷センサに付着させ、かつ電荷に基づいて又はセンサに近接することに基づいて区別できるヌクレオチドに結合したポリメラーゼを示す。
図3】核酸テザーにより電荷センサに付着させ、かつ電荷に基づいて区別できるヌクレオチドに結合したポリメラーゼを示す。
図4】電荷センサに係留させたポリメラーゼを示し、この場合、電荷センサがヌクレオチドにおける標識に結合可能な複数のオリゴヌクレオチドにも付着する状態を示す。
図5】標識のオリゴヌクレオチド部分の端部における2個の負に帯電した酸素を有するヌクレオチド標識を示す。
図6】電荷センサを用いて検出できる電荷タグを示す。
図7】クレノウ断片(PolIxx0)及びBsu-LF(Bsuxxx1)の整列したシークエンスを示し、この場合、クレノウ断片のO-螺旋フィンガ領域の位置及びBsu-LFにおける整列した位置をボックス表示する。さらに、右側の挿入図にはクレノウ断片のO−螺旋フィンガにおける数個の残基の3次元的位置をナノチューブのモデルに並置させた状態のモデルを示す。
図8】挟縮領域を有する電荷センサ及び挟縮領域で電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを示す。ポリメラーゼは核酸の鋳型ストランド及び新生ストランドと錯体を形成する。
図9】局所的酸化を用いてシリコンに挟縮部を導入する方法を提示する図表を示す。
図10】核酸シークエンス(10個のNのシークエンスとして包括的に表現した)を有するテザーによりポリメラーゼ(Pol)に付着した電荷センサを示す。ポリメラーゼは、標的核酸及び4つの異なるヌクレオチド(それぞれはATP, GTP, CTP及びTTP)に関連付けられる標識用の結合部位と錯体を形成する。
図11】核酸シークエンス(10個のNのシークエンスとして包括的に表現した)を有するテザーによりポリメラーゼ(Pol)に付着した電荷センサを示す。ポリメラーゼは、標的核酸及び標識付けしたCTP類似体(アナログ)と錯体を形成する。CTPアナログにおける標識は、イノシン(I)及びテザーにおける相補的領域(ABC)と交雑する特異性領域(A′B′C′)を有する核酸領域を含む。
図12】4つの異なるヌクレオチド類似体の結合によって電荷センサに対する4つの異なる位置状態におけるテザー係留したポリメラーゼを示す。各ヌクレオチド類似体は、他の3つのヌクレオチド類似体と同一長さのオリゴヌクレオチド部分を有するが、各ヌクレオチド類似体は、他のヌクレオチド類似体が結合する領域に比較するとテザーの異なる領域に結合する特異結合シークエンス(配列)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、概して、核酸シークエンシング手順で検出されるヌクレオチド取込み事象のような用途に有用な単独分子検出のための装置、組成物及び方法に関する。高い処理能力で長いシークエンシング読取りを行う改良した検出システムに対する要望がある。本明細書に記載する本発明の実施形態はこの要望を満たし、また他の利点も生ずる。
【0015】
相補的金属酸化物半導体(CMOS)に基づく感知スキームが核酸シークエンシングに用いられてきた。現行のCMOSに基づく感知スキームは、SBS反応で生ずるDNA重合化の副生成物(例えば、陽子又はピロリン酸塩のいずれか)の電気化学的検出を活用する。これら方法は、光が要らずまた標識無しでよいという利点がある。光が要らないことは、反応には検出用の高額な光学系が不要となる。標識無しでよい試薬を使用するとき、一般的に試薬を調合するコスト及び複雑さが削減される。しかし、現行のCMOSに基づく感知スキームにおける欠点は、検出すべき反応副生成物が移動性を有して、自然と反応ゾーンから拡散しがちであり、この結果、多重化シークエンシング反応を試行するとき、隣接部位間でのクロストークを生ずるおそれがある。多くのゲノムの大きなサイズ及び典型的シークエンシング反応の限定された読取り長さを考慮すると、シークエンシング技術における研究及び臨床的用途のための所望被度(カバレージ)レベルを得るのに極めて重要である。
【0016】
本発明は、概して核酸シークエンシング用に、並びに核酸検出及び他の解析用に使用できる独特な検出モダリティを提供する。例示的実施形態を図1に示す。簡単に言うと、ポリメラーゼ1は、テザー(係留紐状体)3により、シリコンナノワイヤ製の電界効果トランジスタ(FET)2におけるゲート5に対して不動化する。随意的に、ナノワイヤはシリコン以外の材料により形成できる、又はナノワイヤをナノチューブに代えることができる。随意的に、テザー3は導電性ポリマーストランドとすることができ、このことは、テザーのポリメラーゼ近傍端部における正電荷6、及びテザーのポリメラーゼから遠位であり、ゲート5に付着させた端部における負電荷7によって示す。シークエンシングすべきssDNA4は、ヌクレオチド及び他の試薬とともに、溶液内に導入した後に、ポリメラーゼ1に結合される。相補的ストランドが合成されるとき、FET2の近傍の電荷分布に乱れを生じ、この乱れは、ポリメラーゼ1の立体配座変化の結果として、又はFET2の近傍における電気的活性を有するタグで変更された可能性のあるヌクレオチドの存在に起因して生ずる。電荷分布におけるそれらの変更をナノワイヤFET2によって感知し、またFET相互コンダクタンス電流の変調として検出する。
【0017】
本明細書に記載したFETに基づく装置及び方法の幾つかの利点としては、(1) 単独分子感受性が適正スケールのFETにより得ることができる点、(2) 検出される電荷分布がポリメラーゼの近傍に限局し、したがって、隣接FET間でのクロストークが回避されることにより高度な並列化(いわゆる多重化可能性)が容易となる点、(3) 導電性テザーの随意的な使用により電荷分布をゲートに伝送するのを支援し、また生体液からの望ましくないスクリーニング効果を最小限にする点、及び(4) シリコン製のナノワイヤFETは、半導体製造設備と互換性のあるプロセスを用いて都合よく製造できる点がある。
【0018】
本明細書に使用する用語は、他に明記しない限り通常の意味でとるものと理解されたい。本明細書で使用する用語の数種類の例及びそれらの定義を以下に述べる。
【0019】
本明細書で使用する用語「アレイ」は、1つ又は複数の固相基板に付着される電荷センサ又は分子の集合体に言及するもので、電荷センサ又は分子は、それらの相対的場所にしたがってそれぞれが互いに区別できるものとする。アレイは、固相基板上の異なるアドレス指定可能な場所にそれぞれが位置する互いに異なる分子を含むことができる。それに代えて、アレイは、それぞれが異なる分子を支持する個別の固相基板を含むことができ、この場合、異なるプローブ分子は、固相基板が付着する表面上における固相基板の場所に従って、又は流体流のような液体内の固相基板の場所に従って、識別することができるものとする。アレイにおける分子は、核酸プライマー、核酸プローブ、核酸鋳型、又はポリメラーゼ及びエキソヌクレアーゼのような核酸酵素とすることができる。
【0020】
本明細書で使用する用語「付着した(attached)」は、互いに接合、固着、接着、連結又は結合している2つの物の状態に言及するものである。例えば、ポリメラーゼのような反応成分は、電荷センサのような固相成分に対して共有結合性又は非共有結合性の結合によって付着することができる。共有結合は原子間で電子対を共有することに特徴がある。非共有結合は、電子対の共有を伴わない化学的結合であって、また例えば、水素結合、イオン結合、ファン・デル・ワールス力、親水性相互作用、及び疎水性相互作用がある。
【0021】
本明細書で使用する用語「電荷センサ」は、その表面での又は包囲する電界内における摂動を電気信号に変換する検出デバイスを意味することを意図する。例えば、電荷センサは、反応成分の到来又は退去を電気信号に変換することができる。電荷センサは、さらに、2つの反応成分間の相互反応、又は単一反応成分における配座変化を電気信号に変換することもできる。典型的な電荷センサとしては、電界効果トランジスタ(FET)、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)に基づくFET、シリコンナノワイヤ(SiNW)に基づくFET、グラフェンナノリボンに基づくFET(及びMoS、シリセン等のような2次元材料から作製した関連のナノリボンFET)、トンネルFET(TFET)、及び急峻閾値下勾配デバイス(例えば、Swaminathan et al., Proceedings of the 51st Annual Design Automation Conference on Design Automation Conference, pg 1-6, ISBN: 978-1-4503-2730-5 (2014)、及びIonescu et al., Nature 479, 329-337 (2011)参照)がある。本発明による方法及び装置に使用することができるFETセンサ及びSWNTセンサの例としては、米国特許出願公開第2013/0078622号に記載されているものがあり、この文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0022】
本明細書で使用する用語「開裂可能テザー(cleavable tether)」は、化学的又は物理的処理によって選択的に破壊できる結合を有する化学的リンカー(結合体)を意味することを意図する。概して、この結合破壊は、化学的又は物理的処理に対して選択的であり、存在する他の反応成分に大きな悪影響を及ぼさない。開裂可能テザーは、限定しないが、光、塩基、酸、熱、酵素及び化学試薬のような、作用物質で選択的結合破壊を受け易い。電界及び物理的アジテーションも使用してテザーを開裂することができる。好適な実施形態において、このリンカーはヌクレオチドリンカーである。幾つかの事例において、このリンカーは、配列特異的制限エンドヌクレアーゼによる開裂部位を有する。しかし、配列特異的開裂部位は、本明細書に記載の方法に従って使用される幾つかのリンカーには存在する必要はない。
【0023】
本明細書で使用する用語「鎖状体的反復(concatameric repeat)」は、単一核酸分子における特定ヌクレオチド配列の連続的に反復する列(ストリング)を意味することを意図している。鎖状体的反復は、例えば、ローリング・サークル増幅(RCA:rolling circle amplification)によって生ずることができ、これにより反復されるヌクレオチド配列は、RCAによって複製される鋳型の相補体となる。
【0024】
本明細書で使用する用語「導電性テザー」は、電気を導通できる化学的リンカーを意味することを意図し、これにより電界の電気的効果を伝送することができる。導電性テザーを使用して、反応成分を電荷センサに化学的に結合し、また反応成分と電荷センサとの間で電気を導通させることができる。典型的な導電性テザーとしては、限定しないが、ドープしたポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、又はポリアゼピンの構造がある。導電性テザーとして有用なリンカーは、米国特許出願公開第2010/0073847号にも記載されており、この文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0025】
本明細書で使用する用語「(立体)配座シグナル変化」は、分子の一部における構造、形状、又は構成の変化に応じて分子からの検出可能なシグナルの発現、消失、又は変更を意味する。例えば、このシグナル変化は、分子の第1部分と相互作用する分子の第1部分に対する標識の相互作用における変化に起因することがあり得る。この用語は、特別に述べられるとき、分子と特異的に結合する反応物質に対する標識の相互作用における変化に起因して、又は分子の触媒活性から生ずる生成物に対する標識の相互作用における変化に起因して、分子の標識から生ずるシグナル変化から区別することを意図する。
【0026】
本明細書に使用する用語「(立体)配座的に標識付けした」は、分子につき使用されるとき、分子構造の変化、分子形状の変化、又は分子の一部における構成の変化に応答する少なくとも1つの標識を有することを意味する。分子は、例えば、ポリメラーゼ、逆転写酵素、エキソヌクレアーゼ、又は以下に説明するような他の核酸酵素とすることができる。分子の一部は、例えば、分子構造内における原子間に生ずる1つ又は複数の化学的結合部周りの回転に起因して相対位置が変化する原子とすることができる。分子の一部は、当業界で一般的に知られているような巨大分子の領域とすることができる。例えば、ポリメラーゼは、フィンガ(指)領域、パーム(掌)領域、及びサム(親指)領域と称される領域を含んでいる。タンパク質の場合、その一部は、第2級、第3級又は第4級の構造領域とすることができる。標識は、例えば、共有結合によって分子に付着させることができる。しかし、標識は、分子に付着させる必要はなく、例えば、分子の近傍に位置させるだけでもよい。特別な実施形態において、標識は、ヌクレオチド又は核酸のような分子の反応物質又は生成物に付着させない。
【0027】
本明細書で使用する用語「異なる(different)」は、核酸につき使用するときには、核酸が互いに同一でないヌクレオチド配列を有することを意味する。2つ又は複数の異なる核酸は、それらの全長に沿って異なるヌクレオチド配列を有することができる。それに代えて、2つ又は複数の異なる核酸は、それらの長さの大部分に沿って異なるヌクレオチド配列を有することができる。例えば、2つ又は複数の異なる核酸は、2つ又は複数の分子にとって互いに異なる標的ヌクレオチド配列を有するとともに、2つ又は複数の分子にとって互いに同一の普遍的配列部分を有することができる。用語「異なる」は、ポリメラーゼ及び核酸酵素のような他の分子にも同様に適用することができる。
【0028】
本明細書で使用する用語「各(each)」は、事項の集合につき使用するときには、集合における個別事項を識別することを意図するが、必ずしも集合におけるすべての事項について言及するものではない。例外は、明確な記述又は文脈がそうでないと明言する場合に起こる。
【0029】
本明細書で使用する用語「流体連通(fluidic communication)」は、流体内の分子及び流体に接触する部位につき使用するときには、流体に接触するよう、又は部位に進入するよう流体内で移動できる分子の能力に言及する。この用語はさらに、部位から分離又は退去して溶液に進入できる分子の能力にも言及する。流体連通は、分子が、部位に進入する、部位に接触する、部位から分離する及び/又は部位から退去するのを阻止するバリアがないとき生ずる。しかし、流体連通は、流体連通は、アクセスが完全に阻止されない限り、拡散が遅延する、減少する、又は変動する場合でも存在すると理解されたい。
【0030】
本明細書で使用する用語「標識(label)」は、反応成分につき使用するときには、検出可能な反応成分又は反応成分の検出可能な部分を意味することを意図する。有用な標識は、電荷センサが検出できる電荷標識(電荷タグとも称する)である。標識は、検出すべき反応成分に固有のもの(例えば、ポリメラーゼの荷電アミノ酸)とすることができる、又は標識は、反応成分に固有でないのもの(例えば、アミノ酸の非天然的に生じた修飾)とすることができる。幾つかの実施形態において、標識は、個別の機能を有する複数部分を含むことができる。例えば、標識はリンカー成分(例えば、核酸)及び電荷タグ成分を含むことができる。
【0031】
本明細書で使用する用語「非天然(non-natural)」は、分子部分につき使用するときには、人間による技術的介入によって摂動を受けない自然の環境又は生体系における分子に付着することが見られない部分に言及することを意図する。一般的に、非天然部分は分子の合成的修飾部であり、これにより分子は、非修飾分子又は天然修飾部を有する分子とは構造的又は化学的に区別される。本明細書で使用する用語「非天然(non-natural)」は、プロセスで用いる類似体(アナログ)につき使用されるときには、プロセスを生ずる自然環境内では見られない類似体を意味することを意図する。一般的に非天然類似体は、類似体が属する分類における別タイプの分子とは構造的又は化学的に区別される合成類似体である。
【0032】
本明細書で使用する用語「核酸(nucleic acid)」は、従来技術で使用されている構成成分であることを意図し、また自然発生的核酸又はその機能類似体(アナログ)を含む。とくに有用な機能類似体は、配列特異的に核酸と交雑することができる、又は特定ヌクレオチド配列を複製するための鋳型として使用できるものである。自然発生的核酸は、概してリン酸ジエステル結合を含む主鎖を有する。類似体構造は、ペプチド核酸(PNA)又はロックト核酸(LNA:locked nucleic acid)のような従来既知の様々な構造のうち任意なものを含む代替的主鎖結合があり得る。自然発生的核酸は、概して、デオキシリボース糖(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)に見られる)、又はリボース糖(例えば、リボ核酸(RNA)に見られる)を有する。
【0033】
核酸は、従来既知のこれら糖部分における様々な類似体のうち任意なものを含むことができる。核酸は、天然又は非天然の塩基を含むことができる。この点に関して、天然デオキシリボ核酸は、アデニン、チアミン、シトシン、又はグアニンからなるグループから選択される1つ又は複数の塩基を有することができ、またリボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシン、又はグアニンからなるグループから選択される1つ又は複数の塩基を有することができる。核酸に含めることができる有用な非天然の塩基は従来既知である。
【0034】
本明細書で使用する用語「ヌクレオチド」は、天然のヌクレオチド、その類似体、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ジデオキシリボヌクレオチド、及びヌクレオチドとして知られた他の分子を含むことを意図する。この用語は、ポリマー内に存在するモノマー(単量体)のユニットに言及するのに使用して、DNA又はRNAのストランドに存在するサブユニットを識別する。この用語は、さらに、必ずしもポリマーに存在する必要はない、例えば、ポリメラーゼによって鋳型依存でポリヌクレオチドに取り込むことができる分子に存在する必要はない分子に言及するのにも使用できる。この用語は、例えば、5′炭素に0,1,2,3個又はそれ以上のリン酸塩有するヌクレオシドユニットに言及することができる。例えば、四リン酸塩ヌクレオチド及び五リン酸塩ヌクレオチドが特に有用であり得る。典型的な天然ヌクレオチドとしては、限定しないが、ATP,UTP,CTP,GTP,ADP,UDP,CDP,GDP,AMP,UMP,CMP,GMP,dATP,dTTP,dCTP,dGTP,dADP,dTDP,dCDP,dGDP,dAMP,dTMP,dCMP,及びdGMPがある。
【0035】
本明細書においてヌクレオチド類似体とも称される非天然ヌクレオチドは、自然生体系で存在しない、又は自然環境、例えば、ポリメラーゼを発現させる非組み換え型細胞内のポリメラーゼによってはポリヌクレオチド内にほとんど取り込まれないヌクレオチドを含む。特に有用な非天然ヌクレオチドとしては、同一ワトソン・クリック相補的塩基を有する天然ヌクレオチドのような他のヌクレオチドがポリメラーゼによってストランド内に取り込まれる速度よりも相当速い又は遅い速度で、ポリメラーゼによってストランド内に取り込まれるヌクレオチドがある。例えば、非天然ヌクレオチドは、天然ヌクレオチドの取り込み速度に比べると、少なくとも2倍差、5倍差、10倍差、25倍差、50倍差、100倍差、1000倍差、10000倍差、又はそれ以上の倍差の速度で取り込まれることがあり得る。非天然ヌクレオチドは、ポリヌクレオチド内に取り込まれた後、さらに拡張可能となり得る。例としては、3′水酸基を有するヌクレオチド類似体、又は3′側にターミネーター部分を有し、この部分は、ヌクレオチド類似体を取り込んだポリヌクレオチドの更なる拡張を可能にするよう除去できるものであるヌクレオチド類似体がある。使用できる可逆的ターミネーターの例は、例えば、米国特許第7,427,673号、同第7,414,116号、及び同第7,057,026号、並びに国際公開第91/06678号及び同第07/123744号があり、これら文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。幾つかの実施形態において、3′ターミネーター部分を有するヌクレオチド類似体、又は3′水酸基がないヌクレオチド類似体(例えば、ジデオキシヌクレオチド類似体)を使用することができ、この使用は、ヌクレオチド類似体を取り込んだポリヌクレオチドがそれ以上拡張しない条件の下で行うことができる。幾つかの実施形態において、ヌクレオチドは可逆的ターミネーター部分を含まない、又はヌクレオチドは非可逆的ターミネーターを含まない、又はヌクレオチドは何らターミネーター部分を含まないものとする。5′側に一時的変異(モディフィケーション)を有するヌクレオチド類似体も有用である。
【0036】
本明細書で使用する用語「保護部分(protection moiety)」は、反応成分が特定反応を受けるのを防止するよう反応成分に付着する化合物又は化合物の一部を意味することを意図する。例えば、核酸分子は核酸酵素に結合することができ、これにより、核酸分子は核酸酵素が処理によって分解又は一時的変異をするのを防止し、さもないとその処理が酵素の分解又は一時的変異を引き起こすことになる。抗体も反応成分に結合して、反応成分の分解、不活性化、又は他の反応を防止するよう作用する。
【0037】
本明細書で使用する用語「反応成分(reaction component)」は、反応に関与する分子を意味する。その例としては、例えば、反応で消費される反応物質、反応のよって生ずる生成物、反応を促進する酵素、溶媒、塩、緩衝液、及び他の分子がある。
【0038】
本明細書で使用する用語「忌避部分(repellant moiety)」は、或る空間を占有して他の分子がその空間を占めるのを阻害若しくは抑制する分子、又はその空間の近傍に他の分子が併存するのを抑制する分子を意味することを意図する。忌避部分は、立体排除力、電荷斥力、疎水性−疎水性反発力、又は他の力により作用することができる。
【0039】
本明細書で使用する用語「ターミネーター部分(terminator moiety)」は、ヌクレオチドにつき使用するとき、ヌクレオチドの一部であって、そのヌクレオチドが第2ヌクレオチドと共有結合を形成するのを抑制又は阻害する、該ヌクレオチドの一部を意味する。例えば、ペントース部分を有するヌクレオチドの場合では、ターミネーター部分は、ヌクレオチドの3′酸素と第2ヌクレオチドの5′リン酸塩との間にリン酸ジエステル結合が形成されるのを阻害することができる。ターミネーター部分は、核酸ポリマーに存在するモノマー単位であるヌクレオチドの一部とする、又は遊離ヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド三リン酸)の一部とすることができる。ヌクレオチドの一部であるターミネーター部分は可逆的なものとすることができ、これにより、ターミネーター部分は、ヌクレオチドが第2ヌクレオチドと共有結合を形成できるものになるよう修飾することができる。特別な実施形態において、ターミネーター部分、例えば、可逆的ターミネーター部分は、ヌクレオチド類似体におけるペントース部分の3′側又は2′側に付着することができる。
【0040】
本明細書で使用する用語「固体支持体(solid support)」は、水性液体内で不溶性である剛性基板に言及する。この基板は、非多孔質又は多孔質とすることができる。基板は、随意的に、液体を吸収できるものとする(例えば、多孔性に起因して)ものの、基板は、液体を吸収するときほとんど膨張せず、また液体を乾燥によって除去したときほとんど収縮しない十分な剛性を有するのが一般的である。非多孔質固体支持体は、概して液体又はガスに対して不浸透性である。典型的な固体支持体としては、限定するものではないが、ガラス及び改質若しくは機能化したガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、スチレン及び他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、環状オレフィン、ポリイミド等々を含む)、ナイロン、セラミックス、樹脂、ゼオノア、シリカ若しくはシリコン及び改質シリコンを含むシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバ束、及びポリマーがある。幾つかの実施形態にとって特に有用な固体支持体はフローセル装置内に配置する。典型的なフローセルを以下に詳細に説明する。
【0041】
本明細書で使用する用語「タイプ(又は「種」)」は、同一化学構造を共有する分子を認識するのに使用する。例えば、ヌクレオチドの混合物には、数種類のdCTP分子を含むことができる。これらdCTP分子は、互いに同一タイプ又は種であると理解されたい。同様に、同一ヌクレオチド配列を有する個別DNA分子は同一タイプ又は種である。
【0042】
以下に記載する及び特許請求の範囲に記載する実施形態は、上述の定義を考慮することによって理解できる。
【0043】
本発明は、核酸シークエンシング手順で検出されるヌクレオチド取り込み事象のような用途における単一分子検出に有用な装置、組成、及び方法を提供する。本明細書で記載する装置、組成、及び方法は、例えば、シークエンシング・バイ・シンセシスのような単一分子核酸シークエンシング反応に特に有用である。しかし、当然のことながら、本明細書に記載する装置、組成、及び方法は、限定しないが単一分子検出を含む任意な他の適当な検出スキームに使用することができる。
【0044】
本発明は、第1の核酸シークエンシング方法を提供する。この方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) 1つ又は複数の標識(ラベル)付けしたヌクレオチドを準備して、標識が電荷センサ近傍にあるとき標識の存在を電荷センサによって検出できるようにするステップと、及び(c) 鋳型核酸に対して相補的な新生ストランドへの標識付けしたヌクレオチドの組み込みを検出するステップと、を有することができる。
【0045】
第1の核酸シークエンシング方法に使用するポリメラーゼは、核酸を含むテザーにより固体支持体型の電荷センサにテザー係留することができる。例えば、テザーは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)又はタンパク質核酸(PNA)を含むことができる。
【0046】
第1の核酸シークエンシング方法の幾つかの実施形態において、前記標識付けしたヌクレオチドは、ヌクレオチドのγ-リン酸塩側の位置で標識付けする。この標識は、オリゴヌクレオチドから成るものとすることができ、また随意的に、このオリゴヌクレオチドは、不動化された核酸に対して交雑できるものとする。
【0047】
さらに、随意的に、第1の核酸シークエンシング方法に使用する不動化された核酸はテザーの一部であり、このテザーはポリメラーゼを固体支持体型の電荷センサに対して不動化する。
【0048】
第1の核酸シークエンシング方法の幾つかの実施形態において、ポリメラーゼは、前記電荷センサに対して、10,9,8,7,6,5,4,3,2,1nmよりも短い近傍位置に保持される。
【0049】
第1の核酸シークエンシング方法の幾つかの実施形態において、前記標識は、取り込み後に、例えば、ポリメラーゼによって前記ヌクレオチドから開裂する。
【0050】
随意的に、第1の核酸シークエンシング方法の幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の標識付けしたヌクレオチドは、複数の電荷タグを有する。例えば、1つ又はそれ以上の標識付けしたヌクレオチドは、4タイプのヌクレオチドそれぞれに対して固有の電荷タグを有することができる。電荷タグは、負の電荷タグを有することができ、例えば、リン酸基、DMT、及び/又はFMOCのうち1つ又はそれ以上からなるものとすることができる。代案として、前記電荷タグは、正の電荷タグとすることができ、随意的に、第1級アミンから成るものとすることができる。
【0051】
第1の核酸シークエンシング方法における1つ又はそれ以上の標識付けしたヌクレオチドは、複数の不動化されたテザー配列に対して交雑できる複数の異なるオリゴヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド部分)を含むことができる。代替的又は付加的に、複数の異なるオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼを不動化するのに使用する特定テザー内の複数の異なる場所で交雑できる。
【0052】
第1の核酸シークエンシング方法の幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の標識付けしたヌクレオチドは4つの異なる電荷タグを含むことができ、また前記標識付けしたヌクレオチドそれぞれは、同一の不動化されたテザー配列に対して交雑できるオリゴヌクレオチドを含むものとする。
【0053】
第1の核酸シークエンシング方法の幾つかの実施形態において、ポリメラーゼテザー及び標識付けしたヌクレオチドにおける標識は、互いに相補的に結合するデオキシリボヌクレオチド、互いに相補的に結合するリボヌクレオチド、リボヌクレオチドに相補的に結合するデオキシリボヌクレオチドを含む。例えば、ポリメラーゼテザー及び標識付けしたヌクレオチドにおける標識は、DNA:DNA二本鎖、RNA:RNA二本鎖、DNA:RNAヘテロ二本鎖を形成することができる。デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドは、二本鎖の安定性を増加又は変容させるヌクレオチド類似体とすることができる。例えば、2’-O-メチル(2’-O-Me)又は2’-フッ素(2’-F)で修飾したリボヌクレオチドを使用することができる。2’-O-Me及び2’-FのRNA修飾は、RNA:RNA二本鎖の溶融温度を1塩基対あたり0.5℃〜1℃だけ上昇するが、DNA:RNAの安定性には僅かな変化しか生じないことが知られている((Majlessi et al., Nucleic Acids Res. 26:2224-9 (1998)を参照されたく、この参照により本明細書に組み入れられるものとする)。修飾されたRNA:RNA塩基対の安定性増加を使用して、以下に詳述するようにタグをRNAテザーに沿って正確に位置決めすることができる。
【0054】
さらに、第1の核酸シークエンシング方法において、前記電荷センサは、捕捉オリゴヌクレオチドで官能化し、また前記標識付けしたヌクレオチドは、1つ又はそれ以上の捕捉ヌクレオチドに対して交雑するオリゴヌクレオチド標識を含むことができる。
【0055】
第1の核酸シークエンシング方法に使用する電荷センサは、ナノワイヤFETとすることができる。随意的に、電荷センサは、カーボンナノチューブとすることができる。
【0056】
第1の核酸シークエンシング方法における電荷センサは、電荷センサアレイの一部とすることができる。
【0057】
第1の核酸シークエンシング方法における検出ステップは、順次の複数の取り込み事象を検出するステップを含むことができる。
【0058】
本明細書に記載の方法及び装置によれば、長い核酸シークエンシングの読取り、迅速な読取り、シークエンシングの高い処理能力、及びシークエンシングの拡張性のあるプラットフォームを提供することができる。幾つかの実施形態において、1回の読取り精度におけるいかなる低下も、本明細書記載の方法及び装置の並列的に行う多数の読取り処理能力に起因する多重の重複読取りを行うことによって軽減することができる。
【0059】
例示的センサを図1に示す。この図において、ポリメラーゼ1は、準備ができたDNA鋳型4にヌクレオチドを取り込むことができる反応部位を生ずる。ポリメラーゼ1はテザー3によりナノワイヤFET2に付着する。この装置は単一分子感度をもたらす。反応部位における電荷分布の変化(例えば、ポリメラーゼ立体配座変化、ヌクレオチド取込み、電荷タグの到着又は離脱、ポリメラーゼの電荷センサに対する近接度変化、等々)をゲートに伝達し、また検出することができる。
【0060】
特別な実施形態において、本発明装置又は方法は、単一分子電荷センサとして極度に縮小したFinFETトランジスタを使用する。FinFETセンサは、最先端半導体製造業者の開発の下で既にテクノロジーから恩恵を受けている。さらに、既に公表されたコンポーネントを使用することができ、これらコンポーネントとしては、限定しないが、(1) 酵素処理能力をリアルタイムで観測するようCNTに対するリゾチームの不動化に使用するコンポーネント(Choi et al, Science, 335, 319 (2012) 参照)、(2) DNA処理能力をリアルタイムで観測するようCNTに対するPol1クレノウ断片の不動化に使用するコンポーネント(Olsen et al, J. Amer. Chem. Soc., 135, 7885 (2013) 参照)、 (3) タンパク質のアロステリックな挙動に起因して電荷残基を移動させる変換メカニズムの解明に使用するコンポーネント(Chi et al, NanoLett 13, 625 (2013) 参照)がある。さらに、本発明方法は、米国特許出願公開第2013/0078622号に記載の装置、装置コンポーネント、及び方法を採用することもできる。これら参照文献それぞれは、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0061】
米国特許出願公開第2013/0078622号に記載の装置及び方法は、50〜100mMのNaCl内に1〜2nmのデバイ遮蔽距離を提供する。この装置において、アロステリックな挙動は、トランジスタに対するポリメラーゼの付着ポイントの近傍でなければならない。さらに、アロステリックな挙動は、異なるタイプのヌクレオチドをリアルタイムに区別できるよう塩基依存でなければならない。この解像度は、以前には実証されていなかった。
【0062】
アロステリックな挙動に基づく検出を利用する幾つかの装置における限界を克服するのに用いることができる実施形態を図2で示す。ここで、ポリメラーゼは、単一壁カーボンナノチューブFET、シリコンナノワイヤFET、又はFinFETのような電荷センサに対して不動化することができる。この不動化は、DNA、RNA、PNA、又はそれらの類似体を含むテザーにより行うことができる。説明を簡便にするため、図は、電荷センサにテザー係留した4つのポリメラーゼを示し、各ポリメラーゼは、異なるγリン酸塩で標識付けしたヌクレオチドタイプに結合している。図示のように、ヌクレオチドは、γリン酸塩に付着したオリゴヌクレオチド部分を有する。標的核酸の鋳型ストランドに適正に合致するβ又はγ型のリン酸塩で標識付けしたヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド部分がテザーに対して一時的に交雑する(例えば、ワトソン・クリック塩基対相補性によって)のに十分長く鋳型に結合されもするポリメラーゼによって所定位置に保持される。交雑はオリゴヌクレオチド部分に作用して、電荷センサを流れるトランジスタ電流の変化に起因する検出可能なシグナルを生成する電荷センサ周りの電場を撹乱させる。図表は、電荷センサの1〜2nm以内の電場に進出するオリゴヌクレオチド部分を示す。適正に合致したβ-又はγ-のリン酸塩で標識付けされたヌクレオチドは、鋳型核酸に対して交雑された新生ストランドに取り込まれる。このことは、次にβリン酸塩と新たに取り込まれたヌクレオチドとの間の結合を破壊する。この結果、オリゴヌクレオチド部分(ヌクレオチドのβ又はγのいずれかの位置に付着される)は、テザーから自由に脱交雑して電荷センサから拡散し、これにより電荷センサ周りの電場を非撹乱状態に復帰する。それぞれ撹乱状態にする及び非撹乱状態に戻す電荷センサ周りの電場としてのシグナルの発現及び消失は、標的核酸の新生ストランドへのヌクレオチド取込みに相関することができる。
【0063】
特別な実施形態は、γ-リン酸塩で標識付けしたヌクレオチドのポリメラーゼ及びテザーとの相乗的結合を活用することができる。オリゴヌクレオチド:テザー錯体の安定的は比較的低く、したがって、この錯体は、ポリメラーゼにも結合しないγ-リン酸塩で標識付けしたヌクレオチドを形成しない(すなわち、溶液内で自由なγ-リン酸塩標識付けヌクレオチドはテザーにほぼ結合しない)。しかし、ポリメラーゼに対するヌクレオチド部分の親和性とテザーに対するオリゴヌクレオチド部分の親和性との相乗効果が合算して、大きな全体結合親和力を可能にする。幾つかの実施形態において、この相乗効果は、ヌクレオチド標識とテザーとの間の特異結合親和性の、非特異結合相互作用によって生ずる弱い親和性に対する組合せを活用することができる。例えば、特異結合は、標準ワトソン・クリック塩基対の結果として生ずることができ、また非特異結合相互作用は、雑多な塩基(例えば、イノシン)の天然ヌクレオチドに対する相互作用の結果として生ずることができる。したがって、γ-リン酸塩標識付けヌクレオチドが取込み中にポリメラーゼと結合するとき、オリゴヌクレオチド部分とテザーとの間における相互作用の安定性を相当増加させる相乗的結合を生ずる。γ-リン酸塩がポリメラーゼによって開裂した後、相乗効果は喪失し、またオリゴヌクレオチド部分はテザーから解離する。
【0064】
鋳型ストランドの各位置における新生ストランドに取り込まれるヌクレオチドのタイプは、各ヌクレオチドタイプ内に取り込まれる標識の固有特性に基づいて決定することができる。例えば、dNTPの4つのタイプは、オリゴヌクレオチド部分がテザーに対して交雑する位置、オリゴヌクレオチド部分の長さ、及び/又は標識における荷電部分の存在、によって区別することができる。図2は、2つの電荷タグ(オリゴヌクレオチド部分の負帯電リン酸塩以外)及び2つのテザー交雑位置を用いて、4状態識別を得る例を提示する。とくに、dCTPは負帯電した外因性部分により一意的に標識付けされ、dTTPは正帯電した外因性部分により一意的に標識付けされ、dATP及びdGTPはいかなる電荷部分もないことに基づいて他の2つのヌクレオチドタイプと区別され、またdATPはdGTPから区別され、それらdATP及びdGTPがテザーに交雑されるときのオリゴヌクレオチド部分の電荷センサに対する異なる近接度に基づいて区別することができる。
【0065】
異なるヌクレオチドタイプは、正電荷部分、負電荷部分及び/又はテザー交雑位置の様々な組合せのうち任意なものに基づいて区別することができると理解されたい。代替的又は付加的に、異なるヌクレオチドタイプの区別に使用される電荷部分は、電荷が同一の符号を有する場合であっても電荷強度は異なることがあり得る。図3に示す例示的形態は、単一テザー交雑位置に基づいて4状態識別及び4つの異なる電荷部分を示す。とくに、dGTP及びdCTPの双方とも、dATP及びdTTPから区別される負の帯電部分を含み、またdGTPは、dCTPにおける電荷よりも識別可能に高い電荷に起因してdCTPから区別することができる。同様に、dATP及びdTTPは、dTTP部分におけるのと比べてdATP部分におけるより高い正電荷により互いに区別することができる。
【0066】
上述したように、テザーに沿う特異交雑位置におけるタグ配置の精度は、リボヌクレオチドを有するテザー及び2′-O-Me及び2′F修飾RNA塩基を有するヌクレオチド標識を用いて高めることができる。代替的形態は、リボヌクレオチドを有する2′-O-Me及び2′F修飾リボヌクレオチドを含むテザーを使用することができる、又はテザー及び標識の双方とも、天然リボヌクレオチドと、2′-O-Me及び2′F修飾リボヌクレオチドの混合物を含むことができる。テザー及び/又は主にRNAから成るオリゴヌクレオチド部分を使用することができるが、DNA由来又はPNA由来のテザー及び/又はオリゴヌクレオチドを使用して、RNAに関連するヌクレアーゼ感受性を回避するのが望ましいことがあり得る。例えば、DNA由来又はPNA由来のテザー及び/又はオリゴヌクレオチドは、天然リボヌクレオチド又は非天然リボヌクレオチド類似体を含み、上述した結合の利点を得るとともに、望ましくないヌクレアーゼ消化のリスクを軽減することができる。他の実施形態において、テザーは、ヌクレオチド標識におけるリボヌクレオチドに対して相補的な1つ又はそれ以上のデオキシリボヌクレオチドを含むことができる、又は代案として、テザーは、ヌクレオチド標識におけるデオキシリボヌクレオチドに対して相補的な1つ又はそれ以上のリボヌクレオチドを含むことができる。
【0067】
ポリメラーゼを電荷センサに付着させるテザーは、本明細書で上述した例示的実施形態のように、異なるヌクレオチド類似体に関して異なる結合位置を有することができる。2つ以上のヌクレオチド類似体の結合位置はオーバーラップすることができる、又はオーバーラップすることなく個別の位置とすることができる。例えば、図10に示すように、ATP及びGTP類似体の結合部位は、2つ分のヌクレオチドだけテザー上でオーバーラップする(すなわち、2つの結合部位間にオフセットした1個のヌクレオチドが存在する)。説明目的のため、テザー配列は、総称的に「N」で示した一連のヌクレオチドとして示す。相補性、所望交雑強度及び特異性のルールに基づいて、様々な配列のうち任意なものを使用することができる。さらに、図10に示すように、テザーにおけるATP及びTTPの結合部位はオーバーラップ部分がなく個別であり、1個分のヌクレオチドだけ離散している。テザーの長さ、結合部位の長さ、及びヌクレオチド類似体におけるオリゴヌクレオチド部分の長さに基づいて、テザーの結合部位のすべてがオーバーラップすることができ、又はオーバーラップしないようにすることができる。
【0068】
ヌクレオチド類似体のオリゴヌクレオチド部分は、テザーにおける相補的配列に特異的に交雑するヌクレオチド配列を有することができる。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド部分は、テザーに対して非特異的に結合する雑多なヌクレオチド位置を含むことができる。このような位置は、オリゴヌクレオチド部分とテザーとの間に特異的交雑構造の形成を促進する弱い相互作用を生ずることができる。例えば、図11に示すように、オリゴヌクレオチド部分は、弱くではあるが、DNAの4つの天然ヌクレオチドすべてと雑多に結合することが知られている数個のイノシン(I)を含むことができる。オリゴヌクレオチド部分及びテザーは、オリゴヌクレオチド部分におけるイノシンとテザーにおける天然ヌクレオチドとの間における相互作用により弱い錯体を形成することができる。このことは、シーケンス(配列)の特異的部分(図でABC及びそれらに相補的なA′B′C′として示す)を、弱い錯体の不在形成を拡散するのに必要とされていたよりもより迅速に関連付けることができる。さらに、特異的錯体が形成された後には、イノシンは一層安定性を付与することができる。
【0069】
図11における例示的オリゴヌクレオチド部分は、特異的配列の両側の側面に隣接する雑多なヌクレオチド位置を含む。しかし、1又はそれ以上の雑多なヌクレオチド位置は、特異的配列の5′又は3′側にのみ位置することができる。雑多なヌクレオチド位置の他の例としては、オリゴヌクレオチド合成を縮重することによって形成される位置、又は2つ以上のタイプのヌクレオチドと雑多に交雑するのが従来既知である他のヌクレオチド類似体で形成される位置がある。
【0070】
図10及び図11に示す実施例、並びに上述した他の実施例において、テザーは、ヌクレオチド類似体のオリゴヌクレオチド部分と交雑する核酸である。他の結合パートナーを、テザー及び標識部分として核酸の代わりに使用することができると理解されたい。結合部位は、上述したように、核酸に対して個別のもの又はオーバーラップするものとすることができる。さらに、結合部位は、弱い非特異的相互作用パートナーの、強い特異的相互作用パートナーとの組合せを含むことができる。
【0071】
上述した数種類の実施形態は、異なる長さのオリゴヌクレオチド部分を有する複数の異なるヌクレオチド類似体の使用を例示した。このような実施形態において、異なるヌクレオチドタイプは、オリゴヌクレオチド部分の異なる長さに基づいて区別することができる。代案として、異なるヌクレオチド類似体は同一長さのオリゴヌクレオチド部分を有することができる。しかし、各ヌクレオチド類似体は、他のヌクレオチド類似体が結合する領域ではなく、テザーの異なる領域に結合する特異結合配列を有することができる。図12に、異なるヌクレオチド類似体に対するポリメラーゼの結合が、4つの識別可能な部位のうち1つにポリメラーゼを配置する例示的形態を示す。ATP類似体のオリゴヌクレオチド部分は、テザーのポリメラーゼに対する付着ポイントに最も近接するテザー上の場所に結合し、TTP類似体のオリゴヌクレオチド部分は、テザーのポリメラーゼに対する付着ポイントに最も遠いテザー上の場所に結合し、またGTP及びCTP類似体のオリゴヌクレオチド部分は、他の2つのヌクレオチド類似体に関する結合位置から中間的距離にあるテザー上の明確に区別できる場所にそれぞれ結合する。このようにして、ポリメラーゼに対する異なるヌクレオチド類似体の結合は、電荷センサから異なる距離にポリメラーゼを位置決めする(例えば、図に示すように、異なるサイズのループをテザーに形成させる)。異なるヌクレオチドタイプは、電荷センサからのポリメラーゼの異なる距離で生ずるシグナルの差に基づいて区別することができる。1つ又はそれ以上のヌクレオチド類似体が電荷タグ又は他の検出可能な部分(例えば、ヌクレオチド部分に対して遠位にあるオリゴヌクレオチド部分の末端に付着する)を有する実施形態において、オリゴヌクレオチド部分とテザーとの間における結合は、電荷センサから異なる距離に検出可能な部分を位置決めする。この場合、異なるヌクレオチドタイプは、電荷センサの検出可能な部分の異なる距離で生ずるシグナルにおける相違に基づいて区別することができる。
【0072】
図4に図式化した実施形態で示すように、ポリメラーゼを電荷センサに付着させるテザーは、ヌクレオチドに存在するタグに交雑できるものである必要はない。その代わりに、電荷センサを、検出しようとする1つ又はそれ以上のヌクレオチドタイプに相補的である1つ又はそれ以上のオリゴヌクレオチドに付着するよう機能化することができる。異なるヌクレオチドの識別は、電荷の正負符号、電荷強度、表面付着したオリゴヌクレオチドに対して交雑するオリゴヌクレオチド部分の長さ、若しくはオリゴヌクレオチド部分が交雑する表面付着したオリゴヌクレオチドの近接度/場所、又はそれらの組合せに基づいて得ることができる。
【0073】
上述の数種類の形態の利点は、例えば、原子精度でゲートの1〜2nm以内の電荷配置によってスクリーニング問題を克服する点、電荷タグの使用による高いレベルの電流変調が得られる能力、及び塩基特異的なアロステリック挙動が検出にとって不要であることを理由としてポリメラーゼに利用可能な空間が広がる点である。
【0074】
上述の装置及び方法で有用な例示的電荷タグは、例えば、核酸部分の5′末端に位置するリン酸塩部分である。この部分は、利用可能なオリゴヌクレオチド合成プロトコール中に容易に添加することができ、また図5に示すように、オリゴヌクレオチド部分の末端における2つの負に帯電した酸素となる。オリゴヌクレオチド合成中の化学的リン酸化反応は、DMT保護基を、2-[2-(4,4’ジメトキシトリチルオキシ)エチルスルフォニル]エチル-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホラミダイト(グレン・リサーチから入手可能、スターリングVA、カタログ番号CPR10-1900)を用いて5′リン酸基に変換することによって得ることができる。異なる個数の負電荷を有する一連の電荷タグは、トリス-2,2,2-[3-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(グレン・リサーチから入手可能、スターリングVA、カタログ番号CPR10-1922-xx)、1,3-ビス-[5-(4,4’ -ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル-2-[(2-シアノエチル)-( N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(グレン・リサーチから入手可能、スターリングVA、カタログ番号CPR10-1920-xx)、1-[5-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]-3-[5-フルオレノメトキシカルボニルオキシペンチルアミド]-プロピル-2-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(グレン・リサーチから入手可能、スターリングVA、カタログ番号CPR10-1921-xx)、又はグレン・リサーチから入手可能な若しくは図6に示すような、様々な数のDMT(4,4’-ジメトキシトリチル)若しくはFmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニル)部分を含むオリゴヌクレオチドデンドリマーを使用して形成することができる。有用な正帯電タグは、2-[2-(4-モノメトキシトリチル)アミノエトキシ]エチル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(グレン・リサーチから入手可能、スターリングVA、カタログ番号CPR10-1905-xx)である。他の有用な正帯電タグは5′第1級アミンであり、これは適正pHで単一の正電荷を有する。
【0075】
表1は、本明細書に記載の装置又は方法に標識として使用できる有用な修飾(改質)剤及び電荷のリストを示す。
【表1】
【0076】
本発明は、反応成分を電荷センサに付着させる方法を提供する。この方法は、(a) 複数個の電荷センサであって、それぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、並びに(c) 以下の条件、すなわち、(i) 前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、(ii) 前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、及び(iii) 固体支持体において、各電荷センサに単一反応成分が付着する結果となる状態で、前記流体から前記特定タイプの反応成分が前記電荷センサに付着する、という条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、を有する。
【0077】
幾つかの実施形態において、反応成分を電荷センサに付着させる方法は、(a) 複数個の電荷センサであって、それぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分であって、それぞれが忌避部分に結合する、該複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、並びに(c)以下の条件、すなわち、(i)前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、(ii)前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、(iii)前記流体から前記特定タイプの反応成分が前記電荷センサに付着する、及び(iv)前記反応成分のそれぞれに結合した前記忌避部分により、前記複数の反応成分における1つより多い数の反応成分が前記各電荷センサに付着するのを阻害するという条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、を有することができる。
【0078】
反応成分を電荷センサに付着させる方法は、(a) 複数個の電荷センサであって、それぞれが複数の反応成分を付着させる能力を有する、該複数個の電荷センサを備える固体支持体を準備するステップと、(b) 複数の特定タイプの反応成分を含む流体を準備するステップと、(c) 以下の条件、すなわち、(i)前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通する、(ii)前記固体支持体における前記電荷センサの個数より多い数の前記特定タイプの反応成分が前記流体内に存在する、及び(iii)前記流体から前記特定タイプの反応成分が前記電荷センサに付着して、これにより、前記流体から複数反応成分が付着した変容電荷センサを形成する、という条件下で、前記固体支持体に前記流体を接触させるステップと、並びに(d)前記各変容電荷センサから1つ又はそれ以上の前記特定タイプの反応成分を除去して、前記特定タイプの単一反応成分が前記各変容電荷センサに付着した状態にする除去ステップと、を有することができる。
【0079】
有用な電荷デバイスとしては、変換素子と直接空間接触する反応成分を取り込むことができ、反応事象を迅速かつ都合よく検出可能な信号に変換できる分析デバイスがある。電界効果トランジスタ(FET)に基づくデバイスは、反応成分(例えば、ポリメラーゼ)とトランジスタ表面との間の相互作用を読取り可能な電気信号に直接変換することができる。標準的FETにおいて、電流は2つの電極(ソース及びドレイン)に接続した導電経路に沿って流れる。ソースとドレインとの間のチャネル伝導性は、薄い誘電体層を介して容量結合することができる第3(ゲート)電極によってオン/オフ切り換えされる。
【0080】
特別な実施形態において、FETは、単一分子の検出を行うよう構成する。より具体的には、これら電荷センサは、単一分子反応の動力学をモニタリングするよう構成することができる。電界効果トランジスタにおいて一般的に見られる任意なタイプの導電チャネルを本明細書に記載の装置又は方法に使用することができる。典型的な導電チャネルは、金属、金属酸化物、半導体、又はナノワイヤ又はグラフェンのようなナノメートル規模の導体から形成される。
【0081】
単一分子の検出に特に有用な電荷センサは単一壁カーボン・ナノチューブ(SWNTs)である。例えば、Star et al., Nano. Lett. 3, 459 (2003)、Star et al., Org. Lett. 6, 2089 (2004)、Besterman et al., Nano. Lett. 3, 727 (2003)、Gruner, Anal. Biooanal. Chem. 384, 322 (2005)、Chen et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 4984 (2003))、及び米国特許出願公開第2013/0078622号を参照されたい(これら文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。SWNTは、一般的に直径が約1ナノメートルのオーダーの極めて小さい導体である。
【0082】
SWNTは、化学選択的ポリマー、金属、金属酸化物、ナノ粒子、又はタンパク質、核酸若しくは抗体のような反応成分でコーティングすることができる。例えば、Besterman et al., Nano. Lett. 3, 727 (2003)、及びChen et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 4984 (2003) を参照されたい。単一の反応成分は、本明細書に記載の方法を用いてこれらSWNT及び他の電荷センサに付着させることができる。
【0083】
幾つかの実施形態において、単一反応成分は、例えば、Goldsmith et al. Science 315, 77 (2007)に記載の技術を用いて(この文献は参照によって本明細書に組み入れられるものとする)、電荷センサ上に単独の共有結合欠損部を形成することによって電荷センサに付着させることができる。例えば、SWNTは単独の欠損部を有するよう生産し、様々な付着用の化学的構造を用いて、SWNTの残りの部分を付加的な反応成分でコーティングする必要なく、単一反応成分を反応性欠損部に選択的に結合できるようにする。SWNTは、例えば、Chen et al, J. Am. Chem. Soc. 123, 3838 (2001) に記載の技術を用いて(この文献は参照によって本明細書に組み入れられるものとする)、非共有結合手段により反応成分を付着することができる。これら方法は、本明細書に記載のように変更して、単一反応成分を非共有結合的にSWNTに信頼性高く結合することができる。
【0084】
SWNTは、1電子ボルトからゼロ電子ボルトまで効果的に変化させることができる電子バンドギャップを有する半導体である。SWNTは導電チャネルとして有用であり、これはすなわち、単一分子感知デバイスは、ゲート電極の有無に関係なく、任意なタイプのSWNTワイヤから、またガラス、プラスチック又はシリコンの基板上に作製することができる。単一分子の検出用に有用なSWNT及びその形態は、米国特許出願公開第2013/0078622号に記載されており、この文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0085】
本明細書に記載の装置又は方法に使用するよう変更できる他の電荷センサとしては、限定しないが、シリコンナノワイヤ(SiNW)に基づくFET、III-V材料で形成したFET、シリコンFinFET、グラフェンナノリボンFET並びにMoS、シリセン等のような2次元材料から作製したナノリボンFET、トンネルFET(TFET)、及び急峻閾値下勾配デバイス(例えば、Swaminathan et al., Proceedings of the 51st Annual Design Automation Conference on Design Automation Conference, pg 1-6, ISBN: 978-1-4503-2730-5 (2014)、及びIonescu et al., Nature 479, 329-337 (2011)参照)がある。カーボンナノチューブも有用であり得る。
【0086】
複数個の電荷センサを電荷センサアレイの形式にして設けることができる。このアレイは、少なくとも10個、100個、1×10個、1×10個、又はそれ以上個数の電荷センサを含むことができる。各個別の電荷センサは、アレイにおける他の電荷センサから分離したアレイにおける離散場所で配置することができる。例えば、各電荷センサは、固体支持体におけるウェル又は窪みに設けることができる。互いに分離されているときでさえも、これら場所は、随意的に、バルク要件に接触する流体内に存在し得る。このような形態において、多重反応が電荷センサアレイ上で生ずることができ、このことは、共通試薬をバルク流体送給ですべての電荷センサに送給することによって行うことができる。例として核酸シークエンシング反応を考慮すると、ヌクレオチドはバルク溶液によりウェル(又は他の形体)のアレイに送給することができ、各ウェル(又は他の形体)は、個別のシークエンシング反応をホスティングする。ヌクレオチド送給によって、ウェル(又は他の形体)における並列的シークエンシング反応を生ずる結果となる。
【0087】
Siナノワイヤのような電荷センサは、10nmよりも小さい幅、及び100nmよりも長い長さの寸法を有することができる。Siナノワイヤ又は他の電荷センサは、10nm×10nm、50nm×100nm、又はそれより大きいウェル内に配置することができる。例えば、電荷センサが存在するウェルは、少なくとも100nm、1000nm、5000nm、1×10nm、又はそれより大きい表面上に開口を有することができる。電荷感知素子からの信号を読み出す回路は、固体支持体の1ミクロン×1ミクロン、又はそれより大きい面積を占めることができる。
【0088】
幾つかの実施形態において、電荷センサは全長に沿って均一幅を有する。代案として、電荷センサは全長に沿って実質的に可変幅を有することができる。例えば、電荷センサは、「挟縮」領域に類似の比較的狭小幅の領域を含むことができる。挟縮領域の幅は、例えば、電荷センサにおける比較的大きい幅の直径の75%、50%、40%、30%、20%、10%の直径とすることができる。この挟縮領域は、電荷センサにおけるポリメラーゼの帯電残基運動の効果を高める利点をもたらす。他の恩恵は、FETセンサの第1層誘電体不動態化におけるチャネル作製及び開口形成/整列の緩い公差である。例えば、10nmの挟縮領域を有する直径20nmの電荷センサが特に有用であり得る。挟縮領域を有する電荷センサの他の寸法としては、例えば、最大でも10、20、30、40又は50nmの長さの挟縮領域を有する、少なくとも25、30、35、若しくは40nm又はそれ以上の直径がある。それより小さい直径の電荷センサを使用することもでき、例えば、少なくとも5、10、15、又は20nmの直径の電荷センサが、典型的長さの挟縮領域を有することができる。幾つかの実施形態において、電荷センサの最大直径は、50、40、30、20若しくは10nm、又はそれより小さいものとする。
【0089】
ポリメラーゼ又は他の酵素のためのテザーは、挟縮領域又は挟縮領域近傍のポイントに付着させることができる。したがって、テザーは、ポリメラーゼ又はたの酵素を挟縮領域近傍に限局するよう配置することができる。
【0090】
挟縮領域を有する電荷センサの例示的実施形態を図8に示す。挟縮領域は、マスク形状が所望挟縮を生ずるものとなるよう、適正なリソグラフィマスク設計により作製することができる。代案として、リソグラフィパターン形成中に近接効果を利用して、挟縮すべき領域に密に近接させてセンサに直交するよう電極を配置することによって、電荷センサを局所的に挟縮することができる。所望挟縮を作成することの他に、近接電極を使用して、挟縮領域に酵素を位置決めする電気泳動力を発生させる。
【0091】
他の例示的実施形態を図9に示す。この場合、挟縮は局所的酸化を用いてシリコンに導入する。第1ステップにおいて、シリコンワイヤは、窒化ケイ素(SiNx)のような酸化バリアでコーティングする。局所的リソグラフィを用い、酸化バリアをエッチング除去してシリコンワイヤを露出させることができる。次に部分的にコーティングされたワイヤを酸化して、露出した領域でシリコンワイヤの幅を減少させる。さらにエッチングを行って化学的結合のためのシリコン挟縮部を露呈させることができる。
【0092】
当業者であれば、電荷センサにおける上述した挟縮部の作成方法は例示的なものであって限定的なものではなく、挟縮部は半導体製造に共通する多くの他の方法で作成することができ、例えば、とくに犠牲層、選択的堆積及びエッチング、又は付加的リソグラフィマスクを使用して作成することができる。
【0093】
アレイの密度は、1cmあたり2〜10億個以上にわたる異なる反応部位とすることができる。極めて高密度のアレイが本発明に有用であり、例えば、少なくとも約10,000,000反応部位/cmであり、例えば、少なくとも約100,000,000反応部位/cm、1,000,000,000反応部位/cm、約2,000,000,000反応部位/cmにも達する、又はそれ以上の密度もあり得る。高密度アレイは、例えば、約100,000反応部位/cm〜約10,000,000反応部位/cmの範囲にわたる密度にすることもできる。本発明に有用な穏当密度は、約10,000反応部位/cm〜約100,000反応部位/cmである。低密度アレイは、概して約10,000反応部位/cmよりも少ない密度である。
【0094】
様々な反応成分のうち任意な反応成分を電荷センサに付着させることができる。反応成分としては、例えば、抗体又はレクチンのような受容体、ヌクレオチド、エピトープ、炭水化物、又は薬剤候補のようなリガンド、標的核酸、テザー核酸、又は本明細書記載の反応セットにつき上述した他の核酸セットのような核酸、ポリメラーゼ若しくは他の核酸結合酵素、キナーゼ、リン酸塩、エキソヌクレアーゼ、プロテアーゼ、又は代謝酵素のような酵素がある。他の有用な反応成分としては、限定しないが、本明細書に記載した又は分子生物学若しくは生化学の分野で既知の反応成分がある。
【0095】
例えば、単一タイプの反応成分を各電荷センサに付着させるよう構成することができる電荷センサアレイを採用する実施形態を含む複数の実施形態がある。例えば、複数の実施形態におけるほぼすべての電荷センサにポリメラーゼを付着させることができる。さらに、同一種のポリメラーゼを各電荷センサに付着させることができる。この形態は各電荷センサから期待される均一出力を得ることができるが、各対応の電荷センサに接触することになる他の反応成分では相違する出力となる。このような構成は、ポリメラーゼを電荷センサに付着させるとき、単一タイプのポリメラーゼを有することに関して均質な流体を供給することによって得ることができる。
【0096】
様々なポリメラーゼのうち任意なものを本明細書に記載した方法又は組成に使用することができ、例えば、生体系から単離したタンパク質ベースの酵素及びその機能的変異体を含めて使用することができる。以下に例示するような特定ポリメラーゼに対する言及は、他に明示しない限り、それらの機能的変異体も含むと理解されたい。ポリメラーゼの特に有用な機能は、既存核酸を鋳型として使用して、核酸ストランドの重合化(ポリメリゼーション)を触媒する点である。有用な他の機能は、本明細書のいたるところに記載されている。有用なポリメラーゼの例としては、DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼがある。例示的DNAポリメラーゼとしては、構造的ホモロジーによってA,B,C,D,X,Y,及びRTとして示す族に分類されるものがある。A族におけるDNAポリメラーゼとしては、例えば、T7DNAポリメラーゼ、真核生物ミトコンドリアDNAポリメラーゼγ、大腸菌DNAPolI、サーマス・アクアチクスPolI、及び枯草菌ステアロ好熱性PolIがある。B族におけるDNAポリメラーゼとしては、例えば、真核生物DNAポリメラーゼα、δ及びε、DNAポリメラーゼζ、T4DNAポリメラーゼ、ファイ29DNAポリメラーゼ、及びRB69バクテリオファージDNAポリメラーゼがある。C族としては、例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIIIαサブユニットがある。D族としては、例えば、古細菌におけるユリ古細菌門サブドメイン由来のポリメラーゼがある。X族におけるDNAポリメラーゼとしては、例えば、真核生物DNAポリメラーゼPolβ、Polσ、Polλ及びPolμ、並びに出芽酵母Pol4がある。Y族におけるDNAポリメラーゼとしては、例えば、Polη、Polイオータ、Polκ、大腸菌Pol IV(DINB)、及び大腸菌PolV(UmuD’2C)がある。DNAポリメラーゼのRT族としては、例えば、レトロウイルス逆転写酵素及び真核生物テロメラーゼがある。典型的なRNAポリメラーゼとしては、限定しないが、T7RNAポリメラーゼのようなウイルスRNAポリメラーゼ;RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼIV、及びRNAポリメラーゼVのような真核生物RNAポリメラーゼ;及び古細菌RNAポリメラーゼがある。
【0097】
上述の分類は説明目的のために提示するものである。分類系の変形例もあり得ることを理解されたい。例えば、少なくとも1つの分類系C族ポリメラーゼはX族のサブカテゴリとして分類されていた。さらに、ポリメラーゼは、機能的か又は構造的か、すなわち、上述のように例示した構造的特徴とオーバーラップするかしないかの他の特徴に基づいて分類することができる。幾つかの典型的特徴を以下に詳細に説明する。
【0098】
固有の3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、幾つかの実施形態に有用であり得る。実質的に3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性を持たないポリメラーゼも、幾つかの実施形態において、例えば、多くのシークエンシング実施形態において有用である。エキソヌクレアーゼ活性がないことは、野生タイプ特徴、又は変異型若しくは人工改変型ポリメラーゼ構造によって与えられる特徴であり得る。例えば、外部マイナスクレノウ断片は、3'-5'校正エキソヌクレアーゼ活性を持たないクレノウ断片の突然変異型である。クレノウ断片及びその外部マイナス変異体は、本明細書に記載の方法又は組成に有用であり得る。他方、枯草菌(Bsu)DNAポリメラーゼI(Bsu-LF)のようなA族DNAポリメラーゼの大きい断片は、天然では3'-5'エキソヌクレアーゼ機能を持たない。
【0099】
3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、例えば、Lamichhane et al. J. Am. Chem. Soc. 135:4735-4742 (2013) に記載のような分子内スイッチング及び分子間スイッチングを受け、この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。幾つかの実施形態において、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を持たないポリメラーゼを使用するのが望ましい。例えば、幾つかの実施形態において、スイッチングは、ポリメラーゼ活性に起因して生ずる1つ以上の立体配座変化を区別するのが困難であり、またシークエンシング又は他の解析に利用される立体配座変化を生ずることができる。3'-5'エキソヌクレアーゼ活性は、3'-5'エキソヌクレアーゼ領域の全て若しくは一部を除去することによって、又は3'-5'エキソヌクレアーゼ領域に機能喪失変異を導入することによって除去することができる。
【0100】
枯草菌(Bsu)DNAポリメラーゼI(Bsu-LF)のようなA族DNAポリメラーゼは、さらに、本明細書に記載の方法に使用するために修飾することができる。天然Bsu-LFはシステイン(Cys)残基を持たない。1つ又はそれ以上(複数)のCys残基は、Bsu-LFの表面アクセスが可能な場所で人工改変して、テザー又はスルフヒドリル反応部分を有する他のリンカーのための都合のよい付着部位を許容することができる。Cys変異を導入するための候補部位は、Bsu-LF又はA族における他の同族ポリメラーゼの結晶構造を視察することによって決定することができる。
【0101】
さらに、Bsu-LFを人工改変して、電荷センサと好ましい相互作用する帯電残基を導入するのが望ましい場合がある。例えば、有益な修飾は、クレノウ断片のO-螺旋フィンガ領域からの1つ又は複数の残基をBsu-LFの同等位置に導入することであり、この最終結果として、より多く帯電したアミノ酸を変異Bsu-LFに導入することができる。クレノウ断片(図におけるPolIxx0)のO-螺旋フィンガ領域の位置及びBsu-LF(図におけるBsuxxx1)における置換すべき位置を示す図7を参照されたい。同様の変化を、TaqDNAポリメラーゼ又はBstDNAポリメラーゼのような他のA族ポリメラーゼでも行わせることができる。
【0102】
ポリメラーゼはその処理能力に基づいて特徴付けすることができる。ポリメラーゼは、少なくとも約50個のヌクレオチド、100個のヌクレオチド、1,000個のヌクレオチド、10,000個のヌクレオチド、100,000個のヌクレオチド、又はそれ以上の平均処理能力を有することができる。代替的又は付加的に、本明細書に記載のように使用されるポリメラーゼの平均処理能力は、例えば、多くとも100万個のヌクレオチド、100,000個のヌクレオチド、10,000個のヌクレオチド、1,000個のヌクレオチド、100個のヌクレオチド、又は50個のヌクレオチドであり得る。ポリメラーゼは、さらに、処理速度又はヌクレオチド取込み速度に基づいて特徴付けすることができる。例えば、多くの天然ポリメラーゼは、1秒あたり少なくとも1,000個のヌクレオチドの速度でヌクレオチドを取り込むことができる。幾つかの実施形態において、それより遅い速度が望ましい場合があり得る。例えば、適正なポリメラーゼ及び反応条件を使用して、最大でも1秒あたり500個のヌクレオチド、1秒あたり100個のヌクレオチド、1秒あたり10個のヌクレオチド、1秒あたり1個のヌクレオチド、10秒あたり1個のヌクレオチド、1分あたり1個のヌクレオチド、又はそれより遅い平均速度となるようにすることができる。本明細書の他の箇所でさらに詳細に説明するように、取込み速度が天然で発生するヌクレオチドよりも遅い又は速いヌクレオチド類似体を使用することができる。様々なソースのうち任意なものからのポリメラーゼは、平均処理能力又は平均処理速度(例えば、ヌクレオチド取込み平均速度)又はその双方を増加又は減少するよう修飾することができる。したがって、望ましい反応速度は、適切なポリメラーゼ、ヌクレオチド類似体、核酸鋳型、及び他の反応条件を使用して得ることができる。
【0103】
使用する実施形態に基づいて、ポリメラーゼは好熱性又は熱失活性のいずれかとすることができる。好熱性ポリメラーゼは、一般的に高温条件又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術に採用されるような熱サイクリング条件に有用である。好熱性ポリメラーゼとしては、9oN DNAポリメラーゼに限定することなく、Taq DNAポリメラーゼ、phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、RB69 DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、及びVentR(登録商標)DNAポリメラーゼがある。非好熱性有機物から単離した多くのポリメラーゼは熱失活性である。例としては、ファージからのDNAポリメラーゼである。様々なソースのうち任意なものからのポリメラーゼは、高温条件に対する耐性を増加又は低下するよう修飾することができる。ヒートスパイク(すなわち、短期間の上昇した温度)を使用して、アレイ内の1つ又はそれ以上の熱失活性ポリメラーゼは不活化するとともに、好熱性ポリメラーゼは、シークエンシング反応の後続反応又は後続サイクルを行うために、活性状態のままにする。
【0104】
代替的実施形態において、数種の異なるタイプの反応成分は電荷センサの多重集合体にわたり付着することができる。例えば、アレイにおける電荷センサの第1サブセットには第1の種であるポリメラーゼを付着させ、またアレイにおける電荷センサの第2サブセットには第2の種であるポリメラーゼを付着させることができる。2つ、3つ、又はそれ以上の種であるポリメラーゼを使用することができる。異なる種のポリメラーゼを使用することは、異なるタイプのヌクレオチド又は異なる鋳型配列に対する異なる選択性(特異度)又は感度を有するときに有用であり得る。例えば、異なるタイプのポリメラーゼは、同一タイプのヌクレオチドを核酸の新生ストランド内に取り込むとき、電荷センサが検出可能な相互に区別可能なシグナルを生成することができる。他の実施例において、異なるタイプのポリメラーゼは、少なくとも1個のDNAポリメラーゼ及び少なくとも1個のRNAポリメラーゼを含むことができる。このような構成は、ポリメラーゼを電荷センサに付着させるとき、複数タイプのポリメラーゼを有することに関して非均質な流体を準備することによって得ることができる。
【0105】
幾つかの形態において、電荷センサは、特定タイプの反応成分を1つより多く付着させる容量を有する。例えば、電荷センサは、ポリメラーゼを1つより多く付着させる容量を有することができる。電荷センサのサイズ及びポリメラーゼが占有する容積空間に基づいて、電荷センサは、少なくとも2,3,4,5,10,15,25個又はそれ以上のポリメラーゼを付着させる容量を有することができる。このことは、アレイに複数個の電荷センサがある場合にあり得る。以下にさらに詳細に説明するように、電荷センサの容量を減少する、又はポリメラーゼの立体バルクを増加させる、又はそれ以外に単一ポリメラーゼ(又は他の反応成分)の付着を助成する、という条件を、個別の電荷センサに一時的に課すことができる。さらに、これら条件は電荷センサアレイにも適用することができる。
【0106】
反応成分は、従来既知の様々な化学物質のうち任意なものを使用して電荷センサに付着することができる。例えば、化学的リンカーを使用することができる。多くの実施形態において、電荷センサの表面は、SiO、Al、HfO、Taのうち1つとする。他の酸化物、例えばランタニド系元素のグループからの酸化物を使用することもできる。リンカーに対する付着は、表面水酸基により都合よく行うことができる。特別な実施形態において、リンカー分子は、少なくとも第1及び第2の官能基を含む。概して、第1官能基は電荷センサと相互作用し、また第2官能基は反応成分と相互作用する。例示的な第1官能基としては、ピレン、ベンゼン、シクロヘキサン、及び2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンがある。例示的な第2官能基としては、マレイミドがある。タンパク質を表面又は他の部分に共有結合的に結合することが知られている他の化学物質は、サーモ・フィッシャー社(マサチューセッツ州ウォルサム)又はシグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)によって販売されているものを使用することができる。テザーに付着されるポリメラーゼにおける化学基は、チオール、アミン又はカルボキシル基とすることができる。導電チャネルがSWNTである若干の実施形態において、SWNTの表面は、厚さがおよそ原子1個分のグラファイト層である。リンカー分子は、1個又は数個の炭素原子に共有結合的に結合することができる、又はSWNTの側壁にπ-πスタッキングによって相互作用することができる。
【0107】
反応成分は、例えば、受容体とリガンドとの間に形成されるような非共有結合性の結合によって電荷センサに付着することができる。特に有用な結合は、ストレプトアビジン(又はその変異体若しくは類似体)とビオチン(又はその類似体)との間における結合、相補的核酸相互間における結合、抗体とエピトープとの間における結合、等々である。上述の対要素は、反応成分及び電荷センサにそれぞれ結合することができ、反応成分を含む流体が、電荷センサを有する固体支持体に接触する結果として、反応成分を電荷センサにテザー係留する非共有結合性の結合を成立させる。
【0108】
幾つかの実施形態において、流体からの反応成分は電荷センサに付着して導電性テザーを形成する。例示的導電性テザーとしては、ドープしたポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリカルバゾール、ポリインドール、又はポリアゼピンの構造がある。これらテザー構造の電荷ドーピングは、ポリマーの酸化によって得ることができる。導電性テザー及びそれらを生成する例示的な方法は、それぞれ参照によって本明細書に組み入れられる以下の文献に記載されている。すなわち、Vernitskaya et al. Russ. Chem. Rev. 66:443ff (1997)、MacDiarmid, Angew. Chem., Int. Ed. 40:2581-2590 (2001)又はMcNeill et al., Aust. J. Chem. 16:1056-75 (1963) 参照。
【0109】
特別な実施形態において、固体支持体は、ウェル、チューブ、チャンネル、キュベット、ペトリプレート、ボトル等のような容器内又は容器の一部とすることができる。特に有用な容器は、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768号又はBentley et al., Nature 456:53-59 (2008)に記載のようなフローセルであり、これら文献は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。代表的なフローセルは、イルミナ社(カリフォルニア州サンディエゴ)から市販されているものがある。フローセルは、反応成分の電荷センサへの付着中、又は電荷センサ上での反応成分で生ずるその後の反応中にバルク試薬を電荷センサのアレイに送給するのに都合がよい。核酸シークエンシング反応のような循環プロセスは、フローセルデバイスに特に適している。特に有用な他の容器は、多重ウェルプレート又はマイクロタイタープレートにおけるウェルである。
【0110】
本明細書に記載の方法は、複数個の電荷センサを、複数の特定タイプの反応成分を含む流体に接触させるステップであって、この接触は、前記複数の特定タイプの反応成分が前記複数個の電荷センサに流体連通し、また前記反応成分が電荷センサに付着するという条件の下で行う、該ステップを有することができる。この結果は、流体内における反応成分の数が、流体と接触する電荷センサの数よりも多いときでも、各電荷センサに単一の反応成分が付着することになり得る。特定タイプの反応成分のうち1つ、かつ唯一の反応成分が付着する電荷センサの割合は、ポアソン分布に従うと期待される。ポアソン分布は、反応成分がバルク流体内で電荷センサに送給されたとき、特定タイプの反応成分のうち単一に1つの反応成分が付着する電荷センサの割合を最大37%占有率に設定する。しかし、本明細書に記載の方法によれば、特定タイプの反応成分のバルク流体送給により、特定タイプの単一反応成分が占有する電荷センサは、電荷センサ個数の35%、40%、50%、75%、90%、95%、又は99%より多い結果となり得る。
【0111】
本発明方法の幾つかの実施形態において、反応成分は、例えば、拡散又は他の受動的プロセスによって、バルク溶液から電荷センサに輸送される。反応成分の電荷センサに対する付着は、例えば、本明細書に記載した又は従来既知の化学物質によって生ずることができる。代案として、反応成分は、例えば、電界(e-場)支援輸送により、電荷センサに能動的に輸送することができる。さらに、反応成分の電荷センサに対する付着は、本明細書に記載した又は従来既知の化学物質を使用する結果として生ずることができる。
【0112】
本明細書に記載した上述の方法は、電荷センサを含む部位への反応成分の電界(e-場)支援輸送を使用するよう変更することができる。例えば、固体支持体上の各電荷センサを、電源に電気的に接続した部位に存在させ、ポリメラーゼ又は他の反応成分をその部位に引き付ける、又はその部位における電荷センサの近傍に引き付ける電荷を生ずることができる。検体をアレイ部位に引き付けるようe-場を使用する代表的な方法及び装置は、参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2009/0032401号に記載されている。e-場支援は、例えば、複数の異なるポリメラーゼ(又は他の反応成分)が溶液内に存在し、これによりこれらポリメラーゼが複数個の電荷センサと流体連通するという条件の下で、本発明方法に使用することができる。各電荷センサ部位における電荷は、ポリメラーゼ(又は任意な他の特定タイプの反応成分)の所望輸送速度又は輸送量を達成するよう調整することができる。
【0113】
e-場支援輸送を使用する特別な実施形態において、e-場は、ポリメラーゼ(又は任意な特定タイプの反応成分)を電荷センサに付着させるのに使用される反応の全行程にわたり一定に印加することができる。代案として、e-場は、付着反応が進行し、また電荷センサがポリメラーゼ(又は任意な他の特定タイプの反応成分)で充填されるにつれて変化させる(増加又は減少する)ことができる。例えば、e-場増加は、ポリメラーゼが付着する電荷センサの数を増加する利点をもたらすことができる。e-場が増加する割合、及びこの増加のための強度範囲は、時間とともに増加する電荷センサへの反応成分の輸送速度と、同一時間の期間にわたりポリメラーゼが付着することになった増加する電荷センサの数とのバランスをとるよう選択することができる。e-場の変化割合は、ポリメラーゼ付着の予想される又は期待される割合に基づくようにすることができる。代案として、e-場は、本明細書でさらに詳細に説明するように、電荷センサに対するポリメラーゼ付着の経験上の検出に応じて変化させることができる。
【0114】
特別な実施形態において、e-場は、電荷センサを有するアレイの部位全体にわたりほぼ均一に印加することができる。従って、溶液内に存在するポリメラーゼ(又は他の反応成分)は、任意な所定電荷センサに輸送される確率が等しくなる。代替的実施形態において、e-場は、アレイが存在する電荷センサ部位のサブセットにのみ印加することができる。このようにして、e-場支援は、ポリメラーゼ(又は他の反応成分)を他の電荷センサよりも幾つかの電荷センサに選択的に付着させるのに使用することができる。さらに、所望である場合、ポリメラーゼを電荷センサ部位の第1サブセットに輸送するため、吸引電荷を電荷センサ部位の第1サブセットに付与するとともに、忌避電荷を電荷センサ部位の第2サブセットに付与して、それら部位にポリメラーゼが輸送されるのを抑制する、又はポリメラーゼを第2サブセットの部位から排除する(例えば、脱離又は減成によって)することができる。同様に、忌避電荷を、電荷センサを含まないアレイの格子間領域に付与し、ポリメラーゼが格子間領域に輸送されるのを抑制する、又は格子間領域からポリメラーゼを排除する(例えば、脱離又は減成によって)することができる。
【0115】
多くの実施形態において、電荷センサに使用する増幅器はセンサ自体よりも相当大きい空間を占有する。例えば、読出し回路は、検出デバイスにおけるいずれかの箇所における2×2ミクロン〜20×20ミクロンの面積を占有するとともに、単一ナノワイヤトランジスタは100×500ナノメートルほどの小さい面積を占有することができる。電荷センサアレイのサイズ及び寸法は、幾つかの実施形態において、例えば、増幅器が各電荷センサに対して存在する場合、多重増幅器が占有する空間によって制限され得る。この制限は、本発明装置及び方法の特別な実施形態において、各増幅器が数個の電荷センサに動作可能に接続されるよう電荷センサのアレイを構成することによって克服することができる。例えば、2,3,4,5,6,8,10個又はそれより多い個数の電荷センサを同一増幅器に接続することができる。このようにして、増幅器と電荷センサ間に1対1の接続がある形態よりも、電荷センサが高密度にアレイ上に存在することができる。動作にあたり、増幅器は、増幅器に接続されている(又は一度に接続された)多くの電荷センサのうち1つのみの電荷センサからの信号を増幅するよう割り当てることができる。例えば、電荷センサアレイは、複数の特定タイプの反応成分を含む流体に接触することによって装填することができる。この装填技術の結果、相当多くの数の電荷センサに1つ以上の特定タイプの反応成分が付着し、その他の電荷センサにはそのタイプの反応成分装填が全くない結果となる。共通増幅器に接続した数個の電荷センサのうち、単一反応成分のみが付着する単一センサは、過装填又は無装填状態の他のセンサから区別することができ、また増幅器は、単一の装填があった電荷センサからの信号を捕捉するとともに、増幅器に接続されている(又は一度に接続された)他の電荷センサからの信号は捕捉しないよう割り当てることができる。
【0116】
幾つかの実施形態において、個別の電荷センサは、1つより多い特定タイプの反応成分に対する容量を有する。ポリメラーゼを例にとると、各電荷センサは、一度に数個のポリメラーゼ分子を付着する容量を有することができる。このような場合、ポリメラーゼは、他の忌避部分に結合する1つより多いポリメラーゼが個々の電荷センサに付着するのを立体的に阻害する空間容積部を占める忌避部分に付着することができる。同様に、忌避部分は、他の忌避部分に結合する1つより多いポリメラーゼが同一電荷センサに付着するのを静電的に阻害する電荷極性を有することができる。
【0117】
特に有用な忌避部分は核酸である。忌避核酸は、立体的及び静電的な双方の阻害をもたらし、占有を制限することができる。忌避核酸は、ポリメラーゼ、核酸酵素及び核酸に対する結合親和性を有する他の反応成分によく適合する。しかし、このタイプの親和性は必ずしも必要ではなく、これはすなわち、例えば、リンカー、テザー、及び本明細書に記載の又は従来既知の付着用の化学物質を用いて、忌避核酸を反応成分に付着させる合成方法を使用できるからである。忌避核酸の長さ、配列組成、又は二次構造は、所望占有度を得るために調節することができる。例えば、電荷センサに付着する反応成分に対する比較的大きな容量を電荷センサが有するとき、より大きな核酸を使用することができる。より小さい核酸は、より小さい電荷センサに対する装填を制限するのに(又は比較的大きな反応成分又は高度に帯電した反応成分を使用し、したがって、忌避特性には僅かな増加だけで済むとき)十分であり得る。核酸は、さらに忌避部分として有用であり、これはすなわち、核酸の配列は、ポリメラーゼ又は他の核酸酵素に対する所望結合特性が得られるよう選択することができるからである。
【0118】
幾つかの実施形態において、忌避核酸は、ナノボール構造に圧密化することができる。核酸圧密化方法は、従来既知であり、例えば、Bloomfield, Curr. Opin. Struct. Biol. 6(3): 334-41 (1996)、及び米国特許出願公開第2007/0099208号に記載されており、これら文献は、参照によって本明細書に組み入れられるものとする。例えば、アルコール、又はスペルミン若しくはスペルミジンのようなポリアミンを使用することができる。圧密化された核酸は、圧密化剤又は圧密化条件がない核酸構造よりもずっと密に締め固められた構造を有し、この構造は、一般的にボール又は小球に類似する。このように圧密化した核酸ボールの作成は、忌避部分を生成するのに有用である。種々の方法を使用して所望サイズのボールを作成することができ、この作成は、例えば種々の圧密化技術を使用して及び/又は単位複製配列における複製の数を変化させることによって行うことができる。概して、圧密化した単位複製配列は、約0.1μm〜約5μmの範囲にわたる、例えば、約0.1μm、約0.2μm、約0.5μm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、及び約5μmの平均直径又は幅を有する。
【0119】
他のポリマー分子も忌避部分として有用であり、例えば、限定しないが、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ナイロン(登録商標)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ブナ・ゴム、ポリアクリレート、ポリスチレン、及びポリクロロトリフルオロエテンがある。固体支持体材料で形成したビード若しくは粒子、又はゲルも忌避部分として機能することができる。
【0120】
忌避部分は反応成分に付着したままの状態で、反応成分は、反応成分が付着した電荷センサによって検出すべき特定反応に関与することができる。例えば、ポリメラーゼが装填され、また電荷センサに付着するとともに、ポリメラーゼに結合した忌避部分は、電荷センサが検出するその後のヌクレオチド付加反応でポリメラーゼに付着したままの状態となることができる。代案として、この忌避部分は、反応成分が電荷センサに付着した後に、反応成分から除去できる。再びポリメラーゼを例にとると、忌避核酸のような忌避部分は、ポリメラーゼが検出される反応で標的核酸に関与した後にポリメラーゼから除去することができる。ポリメラーゼ又は他の反応成分に結合した忌避部分は、除去結果を得ることが当業者に既知の技術によって除去することができる。例えば、非共有結合的に結合した部分は、洗浄、又は反応成分に結合する他の部分を使用した競合的置換によって除去することができる。共有結合的に結合した部分は、テザー開裂につき本明細書に記載したような化学的又は物理的な手段によって除去することができる。反応成分から除去した忌避部分は、反応成分が付着したままの電荷センサから洗い流すことができる。
【0121】
幾つかの実施形態において、1つより多い特定タイプの反応成分に対する容量を有する電荷センサは過装填し、個別の電荷センサに数個の反応成分が付着し、またこの後反応成分を電荷センサから除去(又は不活化若しくは分解)し、単一活性反応成分のみが個別の電荷センサに付着した状態にすることができる。例えば、反応成分を電荷センサに付着させる方法を実施して、各反応成分とその反応成分が付着する電荷センサとの間に開裂可能テザーを生成できる。幾つかの場合において、流体で送給される反応成分が開裂可能テザーの前駆体を含む、又は電荷センサが開裂可能テザーの前駆体を含む、又は反応成分及び電荷センサの双方が、互いに反応して開裂可能テザーを形成する前駆体を含むことができる。
【0122】
開裂可能テザーは、物理的又は化学的プロセスに起因する結合破壊によって開裂することができる。例えば、本明細書に記載の方法は、光化学的開裂、電気化学的開裂、電界、機械的撹拌、化学的開裂又は熱によって開裂可能テザーを開裂するステップを有することができる。有用な開裂可能なテザー及びそれらの前駆体としては、タンパク質の変性に使用するものがあり、また例えば、サーモ・フィッシャー社(マサチューセッツ州ウォルサム)又はシグマ・アルドリッチ社(ミズーリ州セントルイス)によって販売されているものがある。
【0123】
他の方法を使用して1つ又はそれ以上の反応成分を電荷センサから除去することができる。例えば、この除去は、1つ又はそれ以上の反応成分を電荷センサから分解することにより行うことができる。分解は、熱、光−酸化、超音波処理等のような物理的方法によって行うことができる。化学的分解も可能であり、例えば、pH変化、化学的変性剤、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)等を使用して行う。幾つかの場合において、分解の程度は、センサに付着した反応成分に保護部分を接触させることによって調節することができる。電荷センサアレイに塗布する保護部分の量は、電荷センサあたりの平均で単一反応成分に結合する結果が得られるよう滴定することができる。分解を順次に行うとき、各電荷センサに付着したすべての、しかし保護された反応成分が分解されるようにする。このことにより、単一反応成分が各電荷センサに付着した状態のままとなる。保護部分は、電荷センサによって検出される反応に関与するとき、反応成分に結合したままとなることができる、又は保護部分を除去することができる。幾つかの場合において、分解は、ポリメラーゼ活性部位を化学的又は光化学的に活性のオリゴヌクレオチド類似体に結合することによって起こり得る。化学的又は光化学的な処理を加えて、オリゴヌクレオチド類似体をポリメラーゼに架橋することができる。この結果、これらポリメラーゼは、標的核酸又はプライマーを受容不能となり得る、又はポリメラーゼは、電荷センサによって検出されることになる立体配座変化(例えば、開−閉立体配座変化)ができないようになり得る。
【0124】
有用な保護部分の例は、DNAナノボールのような核酸である。例えば、ポリメラーゼ又は他の核酸酵素に結合するのに核酸を使用して、変性又は化学的修飾に対する安定性を付与することができる。核酸は、さらに、プロテアーゼが電荷センサに付着したポリメラーゼにアクセスするのを阻止する立体的ブロックをもたらす。他の例はプライマー交雑した単一ストランドDNAであり、この場合、プライマーの3′末端がポリメラーゼの触媒中心に結合し、反応性ポリメラーゼ失活部分の結合を阻止する。保護部分の他の例は、特異的にポリメラーゼを標的にする構体のようなタンパク質である。タンパク質又は抗体は、化学修飾に対する保護を行う、又はプロテアーゼがポリメラーゼにアクセスするのを阻止する立体的ブロックをもたらす。抗体を除去するのが望ましい場合、抗体は、例えば、熱を用いて除去することができる。適切な温度は、抗体がもはや安定的にポリメラーゼに結合せず、ただしポリメラーゼが安定するような温度である。忌避部分として使用するための例示した材料とは別の材料を保護部分に供することができる。
【0125】
過剰な反応成分の電荷センサからの分解、不活化又は除去は、分解又は除去の程度を決定する電荷センサのモニタリングを行って又は行わずに、実施することができる。例えば、特別な実施形態において、特定タイプの1つ又は複数の反応成分を変容した電荷センサから除去するプロセスは、(i) 1つ又はそれ以上の反応成分を各変容した電荷センサから除去するステップと、(ii) 複数反応成分の存在を単一反応成分の存在から区別するよう電荷センサをモニタリングするステップと、(iii) 各変容した電荷センサに単に1つの反応成分が残るよう除去を中断するステップと、を有する。電荷センサの状態は、電荷センサからの信号変化を検出することによってモニタリングできる。代替的に又は付加的に、電荷センサ表面における反応成分の有無を検出する異なるセンサを使用することができる。様々な検出モダリティのうち任意なものを使用することができ、例えば、反応成分における蛍光標識を検出する蛍光光度法、光散乱方法、発色団を検出する吸光法、並びにタンパク質及び他の反応成分の検出に関与する従来既知である他の解析的検出方法を使用することができる。
【0126】
本発明方法は、少なくとも1個の電荷センサを備える固体支持体に1つ又は複数の標的核酸を供給するステップを有する。特別な実施形態において、電荷センサには、前もって所望反応で核酸と反応する他の反応成分を付着させておき、この他の反応成分と例としては、ポリメラーゼのような核酸酵素がある。他の実施形態において、標的核酸を電荷センサに送給することができ、この送給は、他の反応成分(例えば、核酸酵素又はポリメラーゼ)を電荷センサに送給する前又は同時に行うことができる。
【0127】
本発明方法又は装置に使用する標的核酸は、DNA、RNA又はそれらの類似体から成るものとする。標的核酸のソースは、ゲノムDNA、メッセンジャーRNA、又は天然ソースからの他の核酸とすることができる。幾つかの場合において、このようなソース由来の標的核酸は、本発明方法又は組成に使用する前に増幅することができる。様々な既知の増幅技術、例えば、限定しないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)、ローリング・サークル増幅(RCA:rolling circle amplification)、多置換増幅(MDA:multiple displacement amplification)、又はランダムプライム増幅(RPA:random prime amplification)を使用することができる。本明細書に記載の方法又は装置で使用する前の標的核酸の増幅は随意的なものである。このように、標的核酸は、本明細書に記載の方法及び組成の幾つかの実施形態においては、使用前に増幅しないこともある。標的核酸は、随意的に合成ライブラリから抽出することができる。合成核酸は、天然のDNA若しくはRNA組成を有することができ、又はそれらの類似体とすることができる。
【0128】
標的核酸を抽出できる代表的生物サンプルとしては、例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、有蹄動物、馬、羊、豚、ヤギ、牛、猫、犬、霊長類、ヒト若しくは非ヒト動物のような哺乳動物;シロイヌナズナ、トウモロコシ、ソルガム、オート麦、小麦、米、菜種、若しくは大豆のような植物;緑藻クラミドモナスのような藻類;シノラブディス・エレガンスのような線形動物;キイロショウジョウバエ、蚊、ミバエ、ミツバチ若しくは蜘蛛のような昆虫;ゼブラフィッシュのような魚類;は虫類;カエル若しくはアフリカツメガエルのような両生類;キイロタマホコリカビ;ニューモシスティス・カリニ、トラフグ、酵母、サッカロマイセス・セレビシア若しくはシゾサッカロミセス・ポンベのような菌類;又は熱帯熱マラリア原虫からのものがある。標的核酸は、さらに、バクテリア、大腸菌、ブドウ球菌若しくは肺炎マイコプラズマのような原核生物;古細菌;C型肝炎ウイルス、エボラウイルス若しくはヒト免疫不全ウイルスのようなウイルス;又はウイロイドから抽出することもできる。標的核酸は、上述した生物の均質な培養物若しくは個体群から、又は代案的に、例えば、群落若しくは生態系における数種の異なる生物の集合体から抽出することができる。
【0129】
標的核酸は、天然のソースから抽出する必要はなく、その代わりに既知の技術を用いて合成することができる。例えば、遺伝子発現プローブ又は遺伝子型決定プローブを合成し、また本明細書に記載の方法及び装置に使用することができる。
【0130】
幾つかの実施形態において、標的核酸は、1つ又は複数のより大きい核酸の断片として得ることができる。断片化は、例えば、噴霧化、超音波処理、化学的開裂、酵素開裂、又は物理的剪断を含めて、従来既知の様々な技術のうち任意なものを用いて実施することができる。さらに、断片化は、より大きい核酸の一部のみを複製することにより単位複製配列を生成する特別な増幅技術を使用する結果として得ることもできる。例えば、PCR増幅は、増幅中に側面にあるプライマーが交雑する位置間の原鋳型におけるヌクレオチド配列の長さによって規定されるサイズを有する断片を生成する。
【0131】
標的核酸又はその単位複製配列の母集合は、平均ストランド長さを有することができ、この長さは、本明細書に記載の方法又は装置の特定用途にとって望ましい又は適切なものとする。例えば、平均ストランド長さは、約100,000個未満のヌクレオチド、50,000個未満のヌクレオチド、10,000個未満のヌクレオチド、5,000個未満のヌクレオチド、1,000個未満のヌクレオチド、500個未満のヌクレオチド、100個未満のヌクレオチド、又は50個未満のヌクレオチドとすることができる。代替的又は付加的に、平均ストランド長さは、10個より多いヌクレオチド、50個より多いヌクレオチド、100個より多いヌクレオチド、500個より多いヌクレオチド、1,000個より多いヌクレオチド、5,000個より多いヌクレオチド、10,000個より多いヌクレオチド、50,000個より多いヌクレオチド、又は約100,000個より多いヌクレオチドとすることができる。標的核酸又はその単位複製配列の母集合における平均ストランド長さは、上述の最大値及び最小値セットの間の範囲にあるものとすることができる。
【0132】
幾つかの場合において、標的核酸の母集合は、ある条件の下で生成することができる、又はその集合要素に対する最大長さを有するよう構成することができる。例えば、本明細書に記載の方法の1つ又は複数のステップに使用される集合要素の最大長さは、約100,000個未満のヌクレオチド、50,000個未満のヌクレオチド、10,000個未満のヌクレオチド、5,000個未満のヌクレオチド、1,000個未満のヌクレオチド、500個未満のヌクレオチド、100個未満のヌクレオチド、又は50個未満のヌクレオチドとすることができる。代替的又は付加的に、標的核酸又はその単位複製配列の母集合は、ある条件の下で生成することができる、又はその集合要素に対する最小長さを有するよう構成することができる。例えば、本明細書に記載の方法の1つ又は複数のステップに使用され、特定組成に存在する集合要素の最小長さは、約10個より多いヌクレオチド、50個より多いヌクレオチド、100個より多いヌクレオチド、500個より多いヌクレオチド、1,000個より多いヌクレオチド、5,000個より多いヌクレオチド、10,000個より多いヌクレオチド、50,000個より多いヌクレオチド、又は約100,000個より多いヌクレオチドとすることができる。集合における標的核酸の最大ストランド長さ及び最小ストランド長さは、上述の最大値及び最小値セットの間の範囲にあるものとすることができる。
【0133】
本発明は、核酸を検出する方法を提供する。本発明方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留した、ヌクレオチドに結合するタンパク質(例えば、ポリメラーゼ)を準備するステップと、(b) ヌクレオチドの存在を電荷センサによって検出できるよう1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドを準備するステップであって、標識が電荷センサの近傍にあるとき標識の存在を電荷センサが検出できるようにするステップと、及び(c) 電荷センサを使用して標識付けしたヌクレオチドのタンパク質に対する結合を検出するステップと、を有することができる。
【0134】
ポリメラーゼのような核酸結合酵素に対するヌクレオチドの結合は、酵素が付着する電荷センサ周りの電界(場)における検出可能な撹乱を生ずることになる酵素に対する電荷標識の漸増に基づいて検出することができる。代表的電荷標識は本明細書で既に記載してある。特別な実施形態において、電荷標識は、ヌクレオチドのβ又はγ-リン酸塩位置に付着する。ヌクレオチドのβ又はγ-リン酸塩位置での標識付着の利点は、ヌクレオチドを新生ストランドに取り込むとき、ポリメラーゼの触媒活性によって標識を除去できる点である。しかし、標識は、必ずしもポリメラーゼ活性によって除去する必要はない。したがって、標識は、例えば、リンカーを介在させることを含めてヌクレオチドにおける様々な位置のうち任意な位置でヌクレオチドの塩基部分に付着することができる(例えば、参照によって本明細書に組み入れられるものとする、米国特許第7,427,673号、同第7,414,116号、及び同第7,057,026号、並びに国際公開第91/06678号及び同第07/123744号参照)。標識は、さらに、ヌクレオチドのα-リン酸塩位置、又はヌクレオチドのリボース部分に付着することもできる。ヌクレオチドの様々な部分のうち任意な部分に付着した標識は、随意的に、検出された後に、例えば、電荷リンカーの開裂によってヌクレオチドから開裂することができる。
【0135】
本明細書に記載の方法又は装置に使用する標識は、さらに、オリゴヌクレオチド部分を含むことができる。代表的オリゴヌクレオチド部分としては、上述したように、DNA、RNA、及びPNAがある。本明細書において先に例示したように、オリゴヌクレオチド部分は、核酸テザー又は他の核酸と交雑して、電荷センサの所望距離で生ずる電界撹乱を限局するのに有用であり得る。オリゴヌクレオチド部分は、ヌクレオチドと帯電した部分との間の中間構造として生ずることができる。しかし、電荷部分は随意的なものであり、ヌクレオチドに対する付着ポイントの遠位にあるオリゴヌクレオチド部分の末端に位置する必要はない。数種類の実施形態を、核酸テザーと相互作用するオリゴヌクレオチド部分を有するヌクレオチド類似体に関連して例示したが、ヌクレオチド類似体は、オリゴヌクレオチド部分の代わりに他のリンカー成分を有することができる。リンカー成分は、結合対の一方の要素を備え、この一方の要素は、テザーの一部である他方の要素と相互作用する。
【0136】
幾つかの場合において、異なるヌクレオチドタイプに異なる標識を付着することができる。したがって、標識から生ずる信号の差を使用して、異なるヌクレオチドタイプを区別することができる。このことは、核酸シークエンシング方法に特に有用であり、この核酸シークエンシング方法では、数種類の異なるタイプのヌクレオチドをポリメラーゼに送給し、検出イベント中に数種類の異なるタイプのヌクレオチドが並列的に存在する。例えば、4つの異なる電荷部分を有する4つの異なるヌクレオチドを、図2及び図3につき既に例示したように使用することができる。代替的又は付加的に、標識部分は、異なるテザー配列と交雑して、電荷センサで相互に明確に異なる信号を生成するオリゴヌクレオチド部分を含むことができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載した方法に使用する数種類の標識付けしたヌクレオチドは、それぞれ異なる電荷標識を有するが、各標識付けしたヌクレオチドそれぞれは、同一の不動化されたテザー配列に対して交雑できるオリゴヌクレオチド部分を有する。上述したように、異なるヌクレオチド類似体は、異なる長さのオリゴヌクレオチド部分を有することができ、又は代案として、2つ又はそれ以上のヌクレオチド類似体は、同一長さのオリゴヌクレオチド部分を有することができる。
【0137】
異なるヌクレオチドは必ずしも異なる標識を持つ必要はない。異なるヌクレオチドは、反応に対して別個に送給することができ、この送給は、送給される時点及び場所に対する知識に基づいてヌクレオチドが区別されるように行う。例えば、シークエンシング反応は、1サイクル毎に4つの個別ヌクレオチドの順次添加を含み、ヌクレオチド添加相互間での洗浄を伴うことができる。この個別ヌクレオチド送給は、異なるヌクレオチドが一意的な標識付けか、又は一様な標識付けかに基づいて行うことができる。
【0138】
特別な実施形態において、核酸シークエンシング(塩基配列決定)方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) 標識の存在を電荷センサによって検出できるよう1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドを準備するステップであって、標識が電荷センサの近傍にあるとき標識の存在を電荷センサが検出できるようにするステップと、及び(c) 電荷センサを使用して鋳型核酸に相補的な新生ストランドへの標識付けしたヌクレオチドの取り込みを検出するステップと、によって行うことができる。複数回の取込みイベントは、順次に検出して配列を決定することができる。代案として、単一取込みイベントのみを各新生ストランドに対して検出し、この情報を新生ストランドの配列に対する知識を組み合わせて配列に到達する。
【0139】
複数の実施形態において、固体支持体は、ポリメラーゼにテザー係留した複数個の電荷センサを備え、本発明方法は、複数のポリメラーゼにおける各ポリメラーゼの位置で鋳型核酸に対して相補的な新生ストランドへの標識付けしたヌクレオチドの取り込みを検出するステップを含む。複数の実施形態に使用する複数のポリメラーゼは、随意的に、少なくとも2つの異なるタイプのポリメラーゼを含むことができる。異なるタイプのポリメラーゼは、同一タイプのヌクレオチドを新生核酸ストランドに取り込むとき、前記電荷センサが検出可能な相互に区別できるシグナルを生成するよう選択することができる。このようにして、異なる付着ポリメラーゼ(各電荷センサあたり1個のポリメラーゼ)を有する電荷センサアレイは、より多くの様々な核酸配列を区別することができ、又は電荷センサに単に1つのタイプのポリメラーゼを有するアレイを使用して得られるよりも大きい感度を得ることができる。例えば、2つの異なるポリメラーゼの作用によってシークエンシングするとき、同一鋳型は2つの異なる一連の信号列を生成する。2つの信号列を比較する又は組み合わせて使用し、単に1つのタイプのみのポリメラーゼからの単一信号列に基づいて導き出すことができるよりも正確なヌクレオチド配列を得ることができる。
【0140】
例えば、本明細書に記載した方法によって得られる本発明のアレイは、多様な用途の任意なものに使用することができる。特に有用な用途は、核酸シークエンシングである。その一例は、シークエンシング・バイ・シンセシス(SBS)である。SBSにおいて、核酸鋳型に沿う核酸プライマーの拡張をモニタリングして、鋳型におけるヌクレオチド配列を決定する。その根底の化学的プロセスは重合(例えば、ポリメラーゼ酵素によって触媒されるときの)であり得る。特別なポリメラーゼに基づくSBS実施形態において、ヌクレオチドを鋳型依存でプライマーに添加し(従って、プライマーを拡張し)、プライマーに添加されるヌクレオチドの順序及びタイプの検出を使用して、鋳型の配列を決定することができる。上述のアレイにおける異なる電荷センサでの複数の異なる鋳型は、或る条件の下でSBS技術を受けることができ、異なる鋳型で発生する事象(イベント)は、アレイにおける特定電荷センサの位置により区別することができる。
【0141】
フローセルは、本発明方法によって得られ、また各サイクルにおける繰り返しの試薬送給を含むSBS又は他の検出を受けるアレイを収容する都合のよいフォーマットを提供する。例えば、第1SBSサイクルを開始するため、1つ又はそれ以上(複数)のヌクレオチドを、電荷センサのアレイを収容するフローセルに流入/通過させることができ、各電荷センサは付着したポリメラーゼを有し、このポリメラーゼには核酸鋳型が結合することができる。アレイにおけるプライマーの拡張がヌクレオチドの取込みを生ぜしめる部位を検出することができる。随意的に、ヌクレオチドは、さらに、ヌクレオチドをプライマーに添加した後にプライマーの拡張を終端させる可逆的終端特性を有することができる。例えば、可逆的終端部分を有するヌクレオチド類似体は、ブロック解除剤を送給して可逆的終端部分を除去するまで、その後の拡張を生ずることができなくなるよう、プライマーに添加することができる。このようにして、可逆的終端部を使用する実施形態に対しては、ブロック解除剤をフローセルに送給する(検出を行う前又は後に)ことができる。種々の送給ステップ相互間で洗浄を行うことができる。この後、サイクルをn回繰り返し、n個のヌクレオチド分だけプライマーを拡張し、長さnの配列を検出することができる。本発明方法で得られるアレイの使用に容易に適合できる代表的SBS手順及び流体系としては、以下の文献、すなわち、Bentley et al., Nature 456:53-59 (2008)、国際公開第04/018497号、米国特許第7,057,026号、国際公開第91/06678号、同第07/123744号、米国特許第7,329,492号、同第7,211,414号、同第7,315,019号、同第7,405,281号、及び米国特許出願公開第2008/0108082号に記載されており、これら文献は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0142】
シークエンシング・バイ・ライゲーション(連結)反応も有用であり、これは以下の文献、すなわち、Shendure et al. Science 309:1728-1732 (2005)、米国特許第5,599,675号、及び同第5,750,341号に記載されており、これら文献は参照により本明細書に組み入れられるものとする。幾つかの実施形態において、例えば、以下の文献、すなわち、Bains et al., Journal of Theoretical Biology 135(3), 303-7 (1988) 、Drmanac et al., Nature Biotechnology 16, 54-58 (1998) 、Fodor et al., Science 251(4995), 767-773 (1995) 、及び国際公開第1989/10977号に記載されている、シークエンシング・バイ・ハイブリダイゼーション(交雑)手順を含むことができ、これら文献は参照により本明細書に組み入れられるものとする。シークエンシング・バイ・ライゲーション手順及びシークエンシング・バイ・ハイブリダイゼーション手順の双方において、標的核酸(又はそれらの単位複製配列)はオリゴヌクレオチドの送給及び検出の繰り返しサイクルを受ける。このような方法は、文献に公表された方法に記載の光標識による蛍光検出の代わりに、リガーゼ立体配座変化を検出するよう、又は電荷標識付けしたオリゴヌクレオチドを検出するよう、容易に変更することができる。
【0143】
例えば、本明細書に記載の方法によって得られた本発明のアレイに関する他の有用な用途は、遺伝子発現解析である。遺伝子発現は、RNAシークエンシング技術、例えば、デジタルRNAシークエンシングと称される技術を用いて検出又は定量化することができる。RNAシークエンシング技術は、本明細書で上述した従来既知のシークエンシング方法論を用いて実施することができ、ただし、光標識付けヌクレオチドの蛍光検出は、本明細書記載の電荷に基づく方法に置き換えることができる。遺伝子発現は、さらに、アレイに対する直接ハイブリダイゼーションで行うハイブリダイゼーション技術を用いて、又は生成物がアレイ上で検出される多重分析を用いて検出又は定量化することができる。アレイに基づく発現及び遺伝子型決定解析に使用できる代表的分子生物学的解析は、以下の、すなわち、米国特許第7,582,420号、同第6,890,741号、同第6,913,884号、同第6,355,431号、米国特許出願公開第2005/0053980号、同第2009/0186349号、又は同第2005/0181440号に記載されており、これら文献は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。これら方法は、光標識及び蛍光検出を、電荷に基づく検出技術、及び本明細書記載の電荷標識に置き換えることによって容易に適合させることができる。
【0144】
本発明によって提供される核酸シークエンシング方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) 可逆的ターミネーター部分を有する1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドを準備して、標識が前記電荷センサ近傍にあるとき前記標識の存在を前記電荷センサによって検出できるようにするステップと、(c)前記電荷センサを用いて、鋳型核酸に対して相補的な新生ストランドへの前記1つ又は複数の標識付けしたヌクレオチドの取り込み、及びこれによる可逆的に終端した新生ストランドの形成を検出する検出ステップと、(d) 前記可逆的に終端した新生ストランドを変容させて、前記新生ストランドがヌクレオチドを一層取り込めるようにするステップと、及び(e)前記ステップ(b) 〜(d) を繰り返して前記鋳型核酸の配列を取得するステップと、を有することができる。
【0145】
シークエンシング反応に可逆的に終端したヌクレオチドを使用することは、そうしない場合には連続することになるポリメラーゼ拡張プロセスのステップ制御の利点をもたらす。このステップ制御は、新たに拡張した核酸ストランドが検出可能な状態で費やす時間量を増大するのに有用であり得る。例えば、可逆的に終端したヌクレオチドにおける電荷標識は、ポリメラーゼによって添加された後に、所望量の信号が電荷センサに蓄積されるまで新生ストランドに維持することができる。このことは、信号集積を増加することができる。この後、シークエンシング処理は、ブロック解除剤の添加に進み、これに後続のヌクレオチド添加サイクルが続く。
【0146】
可逆的に終端したヌクレオチドの使用によってもたらされるステップ制御の他の利点は、同一反応を受ける反応成分の集団に同期する能力である。このようにして、本明細書に記載のシークエンシング方法は、電荷センサが位置する部位(例えば、複数ポリメラーゼが単一電荷センサに付着することができる)で複数ポリメラーゼに結合した同一核酸のために実施することができる。ポリメラーゼ活性の各サイクル中に添加されるヌクレオチドを同定するのに使用される検出ステップは、可逆的に終端したヌクレオチドの使用により、効果的に同期をとることができる。可逆的に終端したヌクレオチドは集団的検出の利点をもたらすが、可逆的に終端したヌクレオチドを用いるシークエンシング方法は、単一ポリメラーゼが個別の電荷センサに付着するときにも使用できることを理解されたい。
【0147】
シークエンシング反応の集団は、共通電荷センサに付着した複数個のポリメラーゼを有するよう手配することができ、この場合、ポリメラーゼは、同一鋳型配列を有する標的核酸及びプライマー(又は新生ストランド)に同一配列で結合する。ポリメラーゼは、本明細書で上述したように電荷センサに付着することができる。同一鋳型配列の複数の反復を含む1つ又は複数の標的核酸は、ポリメラーゼに接触することができる。例えば、鋳型配列の鎖状的繰返しを有する標的核酸分子を特定部位のポリメラーゼに送給することができる。この場合、各反復を形成する配列のサブユニットは個別鋳型配列として機能することができる。随意的に、単位複製配列反復をコード化する核酸は、それぞれが単一鋳型配列を有する個別分子を形成するよう開裂することができる。これら個別分子は、次にその部位でポリメラーゼによってシークエンシングすることができる。単位複製配列反復をコード化する核酸は、例えば、Lizardi et al., Nat. Genet. 19:225-232 (1998)、及び米国特許出願公開第2007/0099208号に記載されているようなローリング・サークル増幅(RCA)によって産生することができ、これら文献は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0148】
さらに、本発明は、核酸シークエンシング方法を提供し、この方法は、(a) 固体支持体型の電荷センサにテザー係留したポリメラーゼを準備するステップと、(b) ポリメラーゼが1つ又はそれ以上のヌクレオチドタイプの付加を触媒して、核酸鋳型に相補的な核酸を形成する条件、及び1つ又はそれ以上の異なるヌクレオチドタイプが、前記電荷センサによって検出される立体配座のシグナル変化を前記ポリメラーゼから生成する条件の下で、前記ポリメラーゼを鋳型核酸及び1つ又はそれ以上の異なるヌクレオチドタイプに接触させるステップと、(c)前記電荷センサを用いて前記ポリメラーゼから前記シグナル変化を検出するステップと、及び(d)前記1つ又はそれ以上の異なるヌクレオチドタイプの付加に関して前記シグナル変化の割合、極性、大きさ又は持続時間を決定し、これにより鋳型核酸のヌクレオチド配列を決定するステップと、を有する。
【0149】
特別な実施形態において、核酸鋳型のヌクレオチド配列は、ポリメラーゼのような核酸酵素で生ずる立体配座変化に基づいて決定することができる。酵素が相互作用する各ヌクレオチドタイプに対して生ずる立体配座変化を区別し、またそれら変化の配列を決定することを使用して、核酸配列を決定することができる。例えば、新生核酸ストランドに対して順次にヌクレオチドを添加するポリメラーゼは、各ヌクレオチド添加により立体配座変化を受ける。本明細書でさらに詳細に説明するように、添加される各ヌクレオチドタイプに対して生ずる立体配座変化は、電荷センサを使用して(又はシークエンシングを監視している基板にヌクレオチドを流体的に送給する知識に基づいて)区別することができ、またそれら変化の配列を検出して核酸の配列を決定することができる。
【0150】
核酸酵素は標識付けして、核酸又はヌクレオチドのような1つ又は複数の反応物質と相互作用するとき、酵素における立体配座変化を示す1つ又は複数のシグナルを生成できるようにする。ポリメラーゼは立体配座的に標識付けして、アロステリックな電荷挙動を検出することによりモニタリングすることができるようにする。例えば、ポリメラーゼは、ヌクレオチド結合を示すシグナル、ヌクレオチドが成長する核酸分子に添加されたことを示すシグナル、又は結合と触媒との間でポリメラーゼにおける立体配座の中間的変化を示すシグナルを検出できるよう立体配座的に標識付けすることができる。したがって、ポリメラーゼは電荷センサによって検出される少なくとも1つの非天然標識部分を含むことができる。ポリメラーゼは、アロステリックな挙動で単位体積あたりの電荷変化を最大化する負及び正の電荷を有するよう人工操作することができる。この単位体積が電荷センサに近似する場合、この挙動は容易に検出できる。特別な実施形態において、電荷センサが立体配座的に標識付けしたポリメラーゼから検出したシグナルは、結合事象を触媒事象と区別することができる。しかし、このような区別は幾つかの実施形態では必ずしも必要ではなく、またシグナルは単にヌクレオチドの総添加量を示すだけとなり得る。代替的に又は付加的に、シグナルは、塩基対が正確であるヌクレオチド結合を、塩基対が正確でないヌクレオチド結合から区別することができる。
【0151】
本明細書に記載の方法又は装置に使用されるポリメラーゼ又は他の核酸酵素に付着できる特に有用な標識部分は負の電荷標識であり、その例としては、限定しないが、リン酸基、カルボキシル基、アミノ酸、DMT及び/又はFMOCがある。さらに、正の電荷標識も有用であり、例えば、第1級アミンがある。例えば、アミノ酸側鎖、又は翻訳後修飾(例えば、リン酸化反応、フラビン添加、ジスルフィド還元等)を天然に生ずる内在的標識も、本明細書に記載の方法又は装置における検出のための有用な部分となり得る。
【0152】
幾つかの実施形態は、ポリメラーゼによってポリヌクレオチドストランド内に取り込まれるヌクレオチド類似体を採用することができ、この取込み速度は、他のヌクレオチドがポリメラーゼによってストランド内に取り込まれる速度とは測定的に異なるものとする。他の有用なヌクレオチド類似体は、他のヌクレオチドがポリメラーゼに結合する速度とは測定的に異なる速度でポリメラーゼに結合するヌクレオチド類似体である。他のヌクレオチドとは測定的に異なる速度でポリメラーゼの立体配座変化を生ぜしめるヌクレオチド類似体も有用である。ヌクレオチド類似体の結合、取込み、ポリメラーゼ立体配座変化の相対速度は、同一ワトソン・クリック塩基対パートナーを有する天然ヌクレオチドと比較して、又は核酸合成反応に使用される他のヌクレオチドと比較して、測定することができる。相対速度は、ヌクレオチド類似体毎により速い又はより遅いものとなり得る。
【0153】
特定の実施形態によれば、ポリメラーゼ又は他の核酸酵素は立体配座的に標識付けすることができる。核酸酵素の立体配座的標識付け核酸シークエンシング解析にとって利点をもたらす。立体配座的標識付けをした分子、並びにその分子を形成及び使用する方法を、以下に標識付けしたポリメラーゼにつき例示する。同様に、エキソヌクレアーゼ及び逆転写酵素のような他の核酸酵素を形成及び使用することもできる。
【0154】
ポリメラーゼは、核酸ポリマーを合成する過程で立体配座変化を受ける。例えば、ポリメラーゼは、ヌクレオチドの結合を行う際に、開いた立体配座から閉じた立体配座への立体配座変化を受ける。したがって、核酸鋳型及び成長するプライマーに結合するポリメラーゼは、従来「オープン」立体配座として称される。核酸鋳型、プライマー及び正確に塩基対がとれたヌクレオチドに結合するポリメラーゼは、従来「クローズド」立体配座と称される。より詳細な構造的レベルでは、オープンからクローズドへの立体配座移行は、ポリメラーゼ内における相対移動によって特徴付けられ、この結果、「サム(親指)」領域及び互いにより近接する「フィンガ(指)」領域を生ずる。オープン立体配座において、サム領域は、手のひらの開閉に類似してフィンガ領域から離れている。種々のポリメラーゼにおいて、フィンガ及びサムの先端間距離は、「オープン」立体配座と「クローズド」立体配座との間で30Åに達するまで変化し得る。フィンガ領域と残りのタンパク質領域との先端間距離も、10Åに達するまで変化し得る。より大きな変化も生ずることができ、またそれを本明細書に記載の方法に活用でき、10Åより大きい変化を検出できると理解されたい。さらに、より小さい変化、例えば、約10,8,6,4、又は2Åより小さい変化を検出することができ、ただし距離変化が電荷センサを用いて検出できるのに十分なものである限りにおいてである。
【0155】
特別な実施形態において、フィンガ領域に付着する電荷標識は、φ29DNAポリメラーゼの位置376における残基、又は位置376から半径5Å以内の残基に付着することができ、サム領域又は他の領域に付着する標識は、φ29DNAポリメラーゼの位置535、203、510、564における残基、又はこれら位置から半径5Å以内の残基に付着することができる。標識は、参照により本明細書に組み入れられるものとする、以下の文献、すなわち米国特許出願公開第2011/0312529号、米国特許第6,908,763号又は国際公開第2010/068884号に記載の位置又は方法で付着させることができる。
【0156】
ポリメラーゼの、例えば、オープン立体配座からクローズド立体配座への立体配座変化は立体配座標識を用いて検出することができる。ポリメラーゼのオープン立体配座とクローズド立体配座との間で生ずる変化のような、アミノ酸残基の構造、形状、又は構成における変化に応ずる電荷信号ルを生成する任意な標識を使用することができる。
【0157】
電荷標識は、例えば、共有結合によってポリメラーゼに付着させることができる。代替的に又は付加的に、プローブをポリメラーゼ近傍の他の分子に付着させて、ポリメラーゼの立体配座変化がプローブからの信号変化を生ずるようにすることができる。例えば、ポリメラーゼを電荷センサに付着させ、電荷センサは、プローブからの信号がポリメラーゼの立体配座変化に応じて変化するよう、ポリメラーゼと相互作用できるプローブを有することができる。特別な実施形態において、電荷標識はポリメラーゼに対する特異的部位に付着させることができ、この付着は、ポリメラーゼの所望場所にシステイン残基を導入し、次いでシステインの硫黄族と特異的に反応する反応部分を有する標識でポリメラーゼを修飾することによって行うことができ、代表的な反応部分としては反応性マレイミド部分である。さらに、標識は、参照により本明細書に組み入れられるものとする文献、すなわち、J. Am. Chem. Soc., 131:11644-11645 (2009) に記載のような分離インテインによってポリメラーゼ又は他の核酸酵素に導入することもできる。さらに、標識は、参照により本明細書に組み入れられるものとする文献、すなわち、Fleissner et al. Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 106:21637-42 (2009) に記載のような遺伝子的にコード化した非天然アミノ酸によって他の核酸酵素に導入することもできる。
【0158】
幾つかの実施形態において、1つ又は複数のテザーをポリメラーゼに付着させることができ、この付着は、やはりテザーが付着した電荷センサに立体配座変化を伝達するポリメラーゼの場所で行うものとする。例えば、立体配座変化は1つ又は複数の導電性テザーによって電荷センサに伝達される撹乱を生ずることができる。幾つかの場合、単一ポリメラーゼを2つ又はそれ以上のテザーにより電荷センサに付着させることができる。この形態において、ポリメラーゼの立体配座の変化は、2つ又はそれ以上のテザーの相対位置を変化させ、この変化は、電荷センサが検出できる電界撹乱を生ずることができる。1つ又はそれ以上のテザーは、既知の突然変異生成方法、化学修飾又はその双方を用いてポリメラーゼに対して部位選択的に付着させることができる。例えば、1つ又は複数のシステインを、人工操作したポリメラーゼにおける硫黄反応性テザーをシステインに付着できる部位特異的突然変異生成として導入することができる。代表的付着ポイントとしては、本明細書及び米国特許出願公開第2011/0312529号(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載の、立体配座標識を付着させるポイントがある。
【0159】
本明細書に記載の、及び従来既知でもある立体配座変化の他に、ポリメラーゼは、ヌクレオチドを新生ストランドに添加する過程で数回の遷移を受ける。これら遷移は、例えば、動力学的評価によって互いに区別することができる。区別可能な遷移としては、例えば、米国特許出願公開第2011/0312529号に記載されているものがある。ヌクレオチドを核酸に添加するときにポリメラーゼが受ける1回又は複数回の遷移は、例えば、随意的に立体配座的に標識付けしたポリメラーゼを使用して電荷センサによって検出することができる。ポリメラーゼを付着させた電荷センサによって検出される信号の時間ベース又は運動力学的な測定を使用して、1つの遷移を他の遷移と区別することができる。
【0160】
特別な実施形態において、電荷センサに付着させたポリメラーゼの時間ベース又は運動力学的な測定を使用して核酸に添加したヌクレオチドの種を区別することができる。例えば、時間ベース又は運動力学的な測定を使用して、米国特許出願公開第2011/0312529号に記載のように、ポリメラーゼに結合して1つ又は複数の錯体を形成するヌクレオチドの種を区別することができる。代替的又は付加的に、電荷センサに付着させたポリメラーゼの時間ベース又は運動力学的な測定を使用して、鋳型核酸に対して正確にワトソン・クリック塩基対がとれたヌクレオチドの結合及び/又は取込みを、鋳型核酸に対して正確にワトソン・クリック塩基対がとれていないヌクレオチドの結合及び/又は取込みと区別することができる。
【0161】
ヌクレオチドの時間ベース又は運動力学的な区別を使用する方法は、電荷センサにおける試薬の極めて急速な混合をリアルタイム検出と組み合せて使用することにより容易となる。この混合は、入手可能なストップトフロー装置によりサブミリ秒の時間スケールで生ずることができる。試薬の急速混合は、急速流体、能動的又は受動的混合、及び拡散による限界を克服する反応の適正閉じ込め(例えば、混合ハウジング)を使用して達成することができる。ストップトフロー送給は特に有用である。ストップトフロー送給は、流体の急速流を使用して流体を検出部位に送給し、次にその流れを急激に停止させる。送給される流体は、一般的に検出部位から等量の流体体積を変位させる。流体は、電荷センサに付着したポリメラーゼのような固相検体と混合できる。ストップトフロー流体送給の不感時間は、例えば、2ミリ秒(msec)未満とすることができる。したがって、不感時間は、2msec、1.5msec、1msec、0.8msec、0.6msec、0.5msec、又は0.4msecより長くないものとすることができる。有用なストップトフロー及び急速混合流体システムは、以下の文献、すなわち、Chance, B. J. Frank. Inst., 229, 613 (1940) 及び米国特許出願公開第2013/0165328号を参照されたく、これら文献は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0162】
電荷センサに付着させたポリメラーゼの時間ベース又は運動力学的な測定シークエンスを使用して、相補的ストランドを合成するポリメラーゼが使用する鋳型核酸の配列を決定することができる。鋳型ストランドの配列は、拡張しているストランド内に取り込まれるヌクレオチド配列から推測できると理解されたい。このようにして、1つのストランドの配列決定は、相補的ストランドの配列決定を含むものと理解されたい。
【0163】
様々なヌクレオチド種のうち任意なものが本明細書に記載の方法に有用であり得る。例えば、天然に発生するヌクレオチド、例えば、ATP,UTP,CTP,GTP,ADP,UDP,CDP,GDP,AMP,UMP,CMP,GMP,dATP,dTTP,dCTP,dGTP,dADP,dTDP,dCDP,dGDP,dAMP,dTMP,dCMP,及びdGMPを使用することができる。一般的にdNTPヌクレオチドは、DNAポリメラーゼによってDNAストランドに取り込まれ、またNTPヌクレオチドは、RNAポリメラーゼによってRNAストランドに取り込まれる。特別な実施形態において、NTPヌクレオチド又はその類似体は、DNAポリメラーゼによってDNA内に取り込むことができ、これは、例えば、NTP又はその類似体がDNAポリメラーゼによってDNAに取り込むことができる場合、かつNTP又はその類似体を使用するDNAポリメラーゼの遷移の速度又は持続時間が、他のヌクレオチドを使用するDNAポリメラーゼの遷移の速度又は持続時間から区別できる場合にである。代案として、dNTPヌクレオチド及びその類似体は、RNAポリメラーゼによってRNAに取り込むことができ、これは、例えば、dNTP又はその類似体がRNAポリメラーゼによってRNAに取り込むことができる場合、かつdNTP又はその類似体を使用するRNAポリメラーゼの遷移の速度又は持続時間が、他のヌクレオチドを使用するRNAポリメラーゼの遷移の速度又は持続時間から区別できる場合にである。さらに、dNTPヌクレオチド及びその類似体は、逆転写酵素によってRNA鋳型からDNAに取り込むことができ、これは、例えば、dNTP又はその類似体が逆転写酵素によってRNA鋳型からDNAに取り込むことができる場合、かつdNTP又はその類似体を使用する逆転写酵素の遷移の速度又は持続時間が、他のヌクレオチドを使用する逆転写酵素の遷移の速度又は持続時間から区別できる場合にである。速度又は持続時間の相対的差異は、速度の相対的上昇、持続時間の相対的上昇、速度の相対的減少、又は持続時間の相対的減少があり得る。
【0164】
非天然ヌクレオチド類似体も有用である。特に有用なヌクレオチド類似体としては、限定しないが、他のヌクレオチドによるポリメラーゼ遷移の速度又は持続時間から区別できる検出可能に異なるポリメラーゼ遷移の速度又は持続時間を生ずるものがある。例えば、非天然ヌクレオチド類似体は、天然で発生するヌクレオチドのような他のヌクレオチドによるポリメラーゼの同一遷移における速度又は持続時間から区別できる検出可能に異なるポリメラーゼ遷移の速度又は持続時間を有利に生ずることができる。使用できる代表的ヌクレオチド類似体としては、限定しないが、dNTPαS;NTPαS;参照によって本明細書に組み入れられるものとするHwang et al,. Nucl. Acids Res. 34:2037-2045 (2006) において同定された、ICS、3MN、7AI、BEN、DM5、TM、2Br、3Br、4Br、2CN、3CN、4CN、2FB、3FB、MM1、MM2及びMM3のような非天然核酸塩基を有するヌクレオチド;参照によって本明細書に組み入れられるものとするPatro et al. Biochem. 48:180-189 (2009) に記載のような、2-アミノ-1-デアザプリン、1-デアザプリン、2-ピリジン、ヒポキサンチン、プリン、6-Cl-プリン、2-アミノ-dA、2-アミノ-プリン若しくは6-Cl-2-アミノ-プリンのような非天然核酸塩基を有するヌクレオチド又は参照によって本明細書に組み入れられるものとするKrueger et al. Chem Biol. 16:242-8 (2009) に記載のような、イソ-G、イソ-C、5SICS、MMO2、Ds、Pa、FI、FB、dZ、DNB、チミン同配体、5-NI、アゾール-カルボキサミド、xA、Im-No、J,A*、T*のような非天然核酸塩基を有するヌクレオチドがある。
【0165】
5′修飾を有する非天然ヌクレオチド類似体は特に有用である。非天然ヌクレオチド類似体は、一般的に三リン酸塩を有するが、リン酸がより多い又は少ないリン酸塩を有することができる。特別な実施形態において、非天然ヌクレオチドのαリン酸塩、βリン酸塩、又はγリン酸塩のうち1つ又はそれ以上は、酸素以外の部分に共有結合的に付着する。リン酸塩に付着した、又は他に5′位置に存在する部分は、負電荷、正電荷、金属キレート活性又は立体容積をもたらすことができる。代表的な部分としては、限定しないが、ヒスチジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、チロシン、システイン、グリシン、アラニン、若しくはプロリンのようなL-光学異性体あるいはR-光学異性体型のアミノ酸;アミノ基;マグネシウム若しくはマンガンのようなキレートされた金属;メチル基;臭素、塩素若しくはヨウ素のようなハロゲン;チオール基;電子求引基;電子供与基;芳香族アミン;又は脂肪族アミンがある。これら及び他の部分は、ポリメラーゼ又は他の核酸酵素との相互作用を生じ、この相互作用は、酵素がそのような部分のないヌクレオチドと行う相互作用とは異なる実施形態において有利である。このようにして、各ヌクレオチド種におけるそのような部分の有無を活用して、シークエンシング方法において例えば、ヌクレオチド種に作用する核酸酵素における立体配座シグナル変化の速度、持続時間及び/又は強度に基づいてヌクレオチド種を区別することができる。
【0166】
反応成分又は方法は、1つ又は複数のヌクレオチド種を含むことができる。例えば、配列解析に使用する反応成分又は方法は、合成している核酸鋳型において、4つのヌクレオチド種でワトソン・クリック塩基対を形成することができる4つの異なるヌクレオチド種を含むことができる。特別な実施形態は、少なくとも2つの異なるヌクレオチド種、少なくとも3つの異なるヌクレオチド種、少なくとも4つの異なるヌクレオチド種、又はそれ以上の異なるヌクレオチド種を含むことができる。少なくとも2つの異なるヌクレオチド種は非天然ヌクレオチド類似体とすることができ、少なくとも3つの異なるヌクレオチド種は非天然ヌクレオチド類似体とすることができ、又は少なくとも4つの異なるヌクレオチド種は非天然ヌクレオチド類似体とすることができる。このようにして、反応成分又は方法は、天然ヌクレオチド及び非天然ヌクレオチド類似体の混合物を含むことができる。代案として、反応成分又は方法は、天然ヌクレオチドがなく、その代わりに非天然ヌクレオチド類似体のみを有するものとすることができる。この反応は、非天然ヌクレオチド類似体のみがポリメラーゼ又は他の核酸酵素によって成長する核酸内に取り込まれる条件の下で行うことができる。
【0167】
幾つかの実施形態において、反応成分又は方法は、核酸鋳型内の1つのヌクレオチド種としか塩基対とならないヌクレオチド種を含むことができる。例えば、方法は、異なるヌクレオチド種が、個別の順次反応でポリメラーゼ及び核酸と接触する条件の下で行うことができる。とくに、Aと塩基対となるヌクレオチド種を第1反応に添加し、Cと塩基対となるヌクレオチド種を第2反応に添加し、Tと塩基対となるヌクレオチド種を第3反応に添加し、またGと塩基対となるヌクレオチド種を第4反応に添加することができる。これら反応は、第1、第2、第3及び第4と称し、単に別個であることを示すに過ぎず、必ずしも本明細書に記載の方法でヌクレオチド種を添加する順序を限定するものではない。むしろ、A、C、T又はGと塩基対をとるヌクレオチド種は、方法の特別な実施形態において任意の所望又は適切な順序で添加することができる。一般的にシークエンシング方法において、所定の鋳型核酸における4つの異なるヌクレオチド種と塩基対をとるヌクレオチド種は、順次に添加してシークエンシング方法のサイクルを完了する。しかし、4つよりも少ないヌクレオチド添加を幾つかの実施形態で使用することができる。さらに、1つより多いが2、3又は4つを超えない数のヌクレオチド種と塩基対をとるヌクレオチド混合物を使用することができると理解されたい。同様に、2つより多いが3又は4つを超えない数のヌクレオチド種と塩基対をとるヌクレオチド混合物を使用することができる、又は3つより多いが4つを超えない数のヌクレオチド種と塩基対をとるヌクレオチド混合物を使用することができる。
【0168】
多重方法も可能である。例えば、本発明方法に使用する固体支持体は、ポリメラーゼがテザー係留する複数個の電荷センサを有することができ、ポリメラーゼがヌクレオチドタイプの順次の添加を触媒して核酸鋳型に相補的な核酸を形成する;電荷センサを用いてポリメラーゼからの一連の信号変化を検出できる;及びヌクレオチド配列を鋳型核酸に対して決定することができるという条件の下で、ポリメラーゼを鋳型核酸及び少なくとも4つの異なるヌクレオチドタイプに接触させることができる。固体支持体に存在する複数のポリメラーゼは、少なくとも2つの異なるポリメラーゼを有することができる。異なるタイプのポリメラーゼは、随意的に、同一タイプのヌクレオチドを新生核酸ストランド内に取り込むとき電荷センサによって検出できる相互に区別可能な信号を生成することができる。これら相互に区別可能な信号区別は、複数の核酸の配列を決定する上での基礎として使用することができる。
【0169】
本明細書全体にわたり様々な刊行物、文献に言及した。これら文献の開示は、本発明が関与する従来技術をより完全に記述するため、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0170】
用語「から成る/有する/備える/(comprising)」は、記載の要素だけではない無制限のものであり、任意な付加的要素をも包含することを意図する。
【0171】
本発明を上述の実施例につき説明してきたが、本発明から逸脱することなく、様々な変更を加えることができると理解されたい。したがって、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12