(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合部は、前記ベルト本体の一端側に設けられた第1結合部と、前記ベルト本体の他端側に設けられた第2結合部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯状ベルトの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
1.第1実施形態
(全体構成)
図1に示す帯状ベルト10Aは、表面が平坦であって未だ無端状とされていない平ベルトである。帯状ベルト10Aは、ベルト本体12と、ベルト本体12の長手方向の一端である第1端面13に設けられた第1結合部14Aと、ベルト本体12の長手方向の他端である第2端面15に設けられた第2結合部16Aとを備える。ベルト本体12は、加硫ゴム、例えば、ミラブルウレタン、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、クロロスルフォン化ポリエチレンで形成された帯状の部材である。本実施形態の場合、第1端面13と第1結合部14Aの接合面、第2端面15と第2結合部16Aの接合面は、いずれも平坦である。第1結合部14Aの先端である第1先端部17と、第2結合部16Aの先端である第2先端部19は、いずれも平坦である。
【0015】
第1結合部14A及び第2結合部16Aは、熱可塑性樹脂、例えば、ウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーで形成された板状の部材である。第1結合部14A及び第2結合部16Aの幅長さは、ベルト本体12の幅長さと同じである。
【0016】
第1端面13及び第2端面15の加硫ゴムと、第1結合部14A及び第2結合部16Aの熱可塑性樹脂は、化学結合していることにより、第1端面13と第2端面15は、熱融着による接合に比べ、より強固に結合されている。
【0017】
図2に示すように、帯状ベルト10Aは、補強布18を備え、当該補強布18上に、ベルト本体12と、当該ベルト本体12の第1端面13に結合された第1結合部14Aと、第2端面15に結合された第2結合部16Aとが、積層されている。帯状ベルト10Aは、一側表面に補強布18を配置し、他側表面にベルト本体12、第1結合部14A及び第2結合部16Aが配置された、全体として2層で形成されている。補強布18は、帯状ベルト10Aに耐久性を付与するものである。補強布18の材質としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、綿などの織布や編布が挙げられる。補強布18を形成する繊維の太さは特に限定されず、例えば70〜280T(デシテックス)程度である。
【0018】
(製造方法)
続いて、上記帯状ベルト10A及び無端ベルトの製造方法を説明する。まず、ベルト本体12の原料となるゴム組成物を調製する。加硫ゴムになる未加硫ゴムと、前記未加硫ゴム及び前記熱可塑性樹脂と共有結合する架橋剤、および必要に応じて加水分解防止剤、その他の添加剤を加えて混合する。こうして得られたゴム組成物を用いて、カレンダー装置により未加硫ゴムシートを作製する。未加硫ゴムシートの大きさは、後述する補強シートの大きさに合わせておく。ここで、共有結合とは2個の原子が電子を共有する結合のことをいい、シグマ結合、または/及びパイ結合を有するものをいう。より具体的には、架橋剤は、未加硫ゴムの官能基、及び熱可塑性樹脂の官能基と、共有結合する。
【0019】
架橋剤は、過酸化物、例えば、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(第3ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n-ブチル-4,4-ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレートを用いることができる。未加硫ゴムシート26は、未加硫ゴム100重量部に対して架橋剤の配合量を2〜10重量部とするのが好ましい。
【0020】
次に、金型としての円筒状ドラム20の表面に、補強布18となる補強シート22を巻き付ける(
図3A)。補強布18は、金型に被せて外れない大きさ(周長)を有する無端状である。次いで、上記熱可塑性樹脂で形成され、第1結合部14A及び第2結合部16Aとなる帯状の熱可塑性樹脂シート24を、前記補強シート22の表面であって、前記ドラム20の軸方向に配置する(
図3B)。
【0021】
次に、上記未加硫ゴムシート26を巻き付けて、未加硫積層体28を形成する(
図3C)。未加硫ゴムシートは、前記補強シート上であって、熱可塑性樹脂シート24と同一面上に配置される。未加硫ゴムシート26は、露出している補強シート22を円周方向に覆い熱可塑性樹脂シート24の幅方向端部に接触していれば、熱可塑性樹脂シート24の表面を必ずしも完全に覆っている必要はない。本図の場合、未加硫ゴムシート26の端部は、熱可塑性樹脂シート24の幅方向端部に重なって配置されている。ここで端部とは、端面と、端面に垂直な方向の一定領域とを含む。
【0022】
次いで、未加硫積層体28を加熱加圧条件下で、加硫成形する。加熱温度は、例えば、150〜180℃程度としてもよい。所定時間経過後、冷却し、
図4に示す、補強シート22(本図には図示しない)上に、熱可塑性樹脂が固化した結合層32と、加硫ゴムが固化したベルト本体層30とを有する加硫積層体34Aを得る。加硫積層体34Aは、未加硫ゴムシート26が架橋剤によって加硫するとともに、架橋剤を介して加硫ゴムと熱可塑性樹脂が化学結合をしている。加硫積層体34Aは、結合層32が設けられている部分が、軸方向にわたって半径方向に突出した凸条35Aが形成されている。
【0023】
続いて、加硫積層体34Aの外周を研磨し、前記凸条35Aを除去する(
図5)。上記のようにして得られた加硫積層体34Aを所定の幅で環状に切断することにより、
図6に示す無端ベルト38を得ることができる。無端ベルト38は、結合部40Aを介して、ベルト本体の第1端面13と第2端面15が結合されている。以上のようにして得られた無端ベルト38を1次無端ベルトと呼ぶ。
【0024】
上記1次無端ベルトにおいて、結合部40Aを厚さ方向に切断し、当該結合部40Aを第1結合部14Aと第2結合部16Aに分離することにより、
図1に示す帯状ベルト10Aが得られる。帯状ベルト10Aは、ベルト本体12および補強布18のいずれの面を、ベルトの表面(例えば、搬送用ベルトとして使用する場合は搬送面)として使用してもよい。
【0025】
(使用方法)
次に、帯状ベルト10Aを無端ベルトにする方法を説明する。まず、第1先端部17と第2先端部19を突き合わせた状態で、第1端面13及び第2端面15を図示しない下型の上面に配置する。第1結合部14A及び第2結合部16Aは、第1先端部17と第2先端部19が接触した状態、又は、厚さ方向に一部が重なった状態で配置される。次いで、第1結合部14Aと第2結合部16Aの上に上型を配置して、一定時間、加圧体(図示しない)によって厚さ方向に加圧しながら、加熱する。そうすると第1結合部14Aと第2結合部16Aは、溶融して流動化する。
【0026】
次いで、下型及び上型を冷却することにより、第1結合部14A及び第2結合部16Aが固化し、
図7に示すように、結合部40Aが形成される。上記のようにして、結合部40Aを介して、第1端面13と第2端面15が結合され、無端ベルト42Aが形成される。
図7に示すように、第1結合部14Aと第2結合部16Aは融着して一体となって結合部40Aとなる。補強布18は、浸透している第1結合部14A及び第2結合部16Aの熱可塑性樹脂が融着し、一体化される。
【0027】
上記のように第1結合部14Aと第2結合部16Aは、第1先端部17及び第2先端部19を突き合わせて融着することにより、再度一体化することができる。このように一旦分離された第1結合部14Aと第2結合部16Aを再度一体化して結合部40Aを得ることにより形成される無端ベルト42Aを2次無端ベルト(
図7)と呼ぶ。1次無端ベルトと、2次無端ベルトは、結合部40Aを介して、ベルト本体12の第1端面13と第2端面15が結合されている点において共通している。
【0028】
(作用及び効果)
本実施形態の場合、第1結合部14A及び第2結合部16Aが、予めベルト本体12に設けられているため、第1結合部14A及び第2結合部16A同士の1ヶ所を結合することにより、無端ベルト42Aを得ることができる。したがって結合箇所を1ヶ所のみとすることができるので、帯状ベルト10Aは、使用される現場において容易に接合することができる。
【0029】
熱可塑性樹脂と加硫ゴムが化学結合をしているので、結合部40Aとベルト本体12は、より強固に結合される。したがって無端ベルト42Aは、耐久性の低下を抑制することができる。
【0030】
補強布18が結合部40Aの熱可塑性樹脂と接着されているので、結合部40Aとベルト本体12は、より強固に結合される。
【0031】
上記製造方法と同じ手順で
図8Aに示す断面形状を有する無端ベルトを作製し、引張強度を測定した。補強布18は、ポリエステル繊維で形成した無端状の編布を用いた。ベルト本体12は、未加硫ゴムとしてミラブルウレタン、架橋剤としてジクミルパーオキサイドをミラブルウレタン100重量部に対し4.0重量部配合した。結合部40Aは、熱可塑性樹脂として熱可塑性ポリウレタンを用いた。170℃で加硫し、厚さ0.8mm、幅10mm、周長350mm、結合部40Aのベルト長手方向の長さ100mmの無端ベルトを作製した。
【0032】
比較として、
図8Bに示す断面形状を有する無端ベルトを作製した。比較例の無端ベルトは、実施例に係る無端ベルトと同じ材料を用い、補強布18と、当該補強布18上に設けられた加硫ゴムで形成されたベルト本体12とを備える。ベルト本体12及び補強布18の端部同士は、融着部46によって接合されている。ベルト本体12の端部同士と融着部46は、加硫後のベルト本体12の端部同士の間に配置した熱可塑性樹脂シート24を加熱溶融、冷却固化させることにより接合している。したがって、ベルト本体12の加硫ゴムと融着部46の熱可塑性樹脂は、化学結合していない。
【0033】
破断試験には、引張試験機(島津製作所製、オートグラフAGS−2000B)を用いた。引張試験機により無端ベルトの試料を、長さ方向に一定引張速度で引っ張ったときの破断強度を、容量1kNのロードセルを用い測定した。実施例の場合の引張速度は、350mm/min一定とした。比較例の場合の引張速度は、変位50mmまで26.3mm/min、変位50mm超から263mm/minとした。測定温度は、25℃、40℃、60℃、80℃の4条件とし、該当する温度環境に試料を1時間放置した後に引張試験を行った。測定した破断強度から得た判断強度指数を表1に示す。破断強度指数は、下記計算式によって算出した。指数が大きいほど破断強度に優れることを示す。
(破断強度指数)=(実施例の破断強度)/(比較例の破断強度)×100
【0035】
破断強度指数の算出に用いた破断強度はそれぞれ、実施例は3個、比較例は4個の測定値の平均値とした。本表より、すべての条件において、実施例の破断強度が、比較例を上回ることが確認された。実施例の無端ベルトは、80℃の場合の1個を除き、ベルト本体が破断した。このことから実施例の無端ベルトは、ベルト本体と結合部が化学結合によってより強固に結合していることにより、破断強度が高くなったと考えられる。一方、比較例の無端ベルトは、いずれもベルト本体と接合部の間で破断しており、融着によって接合されたベルト本体と接合部の接合強度が、ベルト本体に比べ劣っているため、破断強度が実施例に比べ低下したと考えられる。
【0036】
2.第2実施形態
次に、
図9を参照して第2実施形態について説明する。上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
図9Aに示す帯状ベルト10Bは、補強布18と、ベルト本体12と、第1結合部14Bと、第2結合部16Bとを備える。第1結合部14Bは、第1接合面21においてベルト本体12の第1端面37と接合している。第2結合部16Bは、第2接合面23においてベルト本体12の第2端面39と接合している。第1接合面21と第2接合面23は、端部へ向かうにしたがって厚みが漸減するテーパ状である。本図の場合、第1接合面21と第2接合面23は、端部へ向かうにしたがって前記補強布18方向へ傾斜するテーパ状である。
【0037】
第1先端部17と第2先端部19を融着させて一体とすることによって、
図9Bに示すように、結合部40Bが形成される。結合部40Bを介して第1端面37と第2端面39が結合され、無端ベルト42Bが形成される。
【0038】
本実施形態の帯状ベルト10B及び無端ベルト42Bは、上記第1実施形態の「(製造方法)」に記載した手順と同様の手順で製造することができる。すなわち、金型としての円筒状ドラム20の表面に、補強布18となる補強シートを巻き付ける。次いで、上記熱可塑性樹脂で形成され、第1結合部14B及び第2結合部16Bとなる帯状の熱可塑性樹脂シートを、前記補強シートの表面であって、前記ドラムの軸方向に配置する。帯状の熱可塑性樹脂シートの長辺は、端部に向かうにしたがって厚みが漸減し、補強シート方向へ傾斜するテーパ状である。
【0039】
次に、上記未加硫ゴムシートを巻き付けて、未加硫積層体を形成する。次いで、未加硫積層体を加熱加圧条件下で、加硫成形する。所定時間経過後、冷却し、補強シート22上に、熱可塑性樹脂が固化した結合層25と、加硫ゴムが固化したベルト本体層30とを有する加硫積層体34Bを得る(
図9C)。加硫積層体34Bは、未加硫ゴムシートが架橋剤によって加硫するとともに、架橋剤を介して加硫ゴムと熱可塑性樹脂が化学結合をしている。加硫積層体34Bは、結合層25が設けられている部分が、軸方向にわたって半径方向に突出した凸条35Bが形成されている。
【0040】
続いて、加硫積層体34Bの外周を図中Cの位置まで研磨し、前記凸条35Bを除去する。上記のようにして得られた加硫積層体34Bを所定の幅で環状に切断することにより、1次無端ベルトを得ることができる。1次無端ベルトは、結合部40Bを介して、ベルト本体12の第1端面37と第2端面39が結合されている。以上のようにして得られた1次無端ベルトにおいて、結合部40Bを厚さ方向に切断し、当該結合部40Bを第1結合部14Bと第2結合部16Bに分離することにより、
図9Aに示す帯状ベルト10Bを得ることができる。
【0041】
本実施形態の帯状ベルト10B及び無端ベルト42Bは、熱可塑性樹脂と加硫ゴムが化学結合をしているので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに本実施形態の場合、第1接合面21及び第2接合面23が端部へ向かうにしたがって前記補強布18方向へ傾斜するテーパ状であるので、第1結合部14B及び第2結合部16Bと、ベルト本体12の第1端面37及び第2端面39との接合面積が増加する。したがって帯状ベルト10B及び無端ベルト42Bは、破断強度をより向上することができる。
【0042】
上記第2実施形態の場合、第1接合面21と第2接合面23は、端部へ向かうにしたがって前記補強布18方向へ傾斜するテーパ状である場合について説明したが本発明はこれに限らない。第1接合面21と第2接合面23は、傾斜方向が
図9に示した形態と逆側、すなわち端部へ向かうにしたがって補強布18から離れる方向へ傾斜するテーパ状であってもよい。この場合、製造工程において用いる帯状の熱可塑性樹脂シートの長辺は、端部に向かうにしたがって厚みが漸減し、補強シートとから離れる方向へ傾斜するテーパ状である。未加硫ゴムシートの長辺は、熱可塑性樹脂シートの長辺と相補的なテーパ状とする。すなわち未加硫ゴムシートの長辺は、端部へ向かうにしたがって厚みが漸減し、補強シート方向へ傾斜するテーパ状である。未加硫ゴムシートの長辺同士の間に、熱可塑性樹脂シートを配置し、加熱加圧条件下で加硫成形することによって、加硫ゴムと熱可塑性樹脂シートが化学結合した加硫積層体が得られる。当該加硫積層体を所定の幅で環状に切断することによって、1次無端ベルトを得ることができる。このようにして得られた帯状ベルト及び無端ベルトは、ベルト本体の第1端面及び第2端面との接合面積が増加するので、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
3.第3実施形態
次に、
図10を参照して第3実施形態について説明する。上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
図10Aに示す帯状ベルト10Cは、補強布18と、ベルト本体29と、第1結合部14Aと、第2結合部16Aとを備える。ベルト本体29の一端は、第1結合部14Aの端部に接触する第1端面13と、補強布18と接する面と反対側の第1結合部14Aの表面(一側面)を覆うように、前記ベルト本体29の一部が延伸した第1延長部31とが形成されている。ベルト本体29の他端は、第2結合部16Aの端部に接触する第2端面15と、補強布18と接する第2結合部16Aの表面と反対側の面(一側面)を覆うように、前記ベルト本体29の一部が延伸した第2延長部33とが形成されている。
【0044】
第1先端部17と第2先端部19を融着させて一体とすることによって、
図10Bに示すように、結合部40Aが形成される。結合部40Aを介して第1端面13を含む一端と、第2端面15を含む他端が結合され、無端ベルト42Cが形成される。第1延長部31と第2延長部33の先端同士は接触している。
【0045】
本実施形態の帯状ベルト10C及び無端ベルト42Cは、上記第1実施形態の「(製造方法)」に記載した手順と同様の手順で製造することができる。すなわち、金型としての円筒状ドラムの表面に、補強布18となる補強シートを巻き付ける。次いで、上記熱可塑性樹脂で形成され、第1結合部14A及び第2結合部16Aとなる帯状の熱可塑性樹脂シートを、前記補強シートの表面であって、前記ドラムの軸方向に配置する。帯状の熱可塑性樹脂シートの厚さは、未加硫ゴムシートの厚さより薄い。
【0046】
次に、上記未加硫ゴムシートを巻き付けて、未加硫積層体を形成する。次いで、未加硫積層体を加熱加圧条件下で、加硫成形する。所定時間経過後、冷却し、補強シート22上に、熱可塑性樹脂が固化した結合層32と、加硫ゴムが固化したベルト本体層30とを有する加硫積層体34Cを得る(
図10C)。加硫積層体34Cは、未加硫ゴムシートが架橋剤によって加硫するとともに、架橋剤を介して加硫ゴムと熱可塑性樹脂が化学結合をしている。加硫積層体34Cは、結合層32が設けられている部分が、軸方向にわたって半径方向に突出した凸条35Cが形成されている。
【0047】
続いて、加硫積層体34Cの外周を図中Cの位置まで研磨し、前記凸条35Cを除去する。上記のようにして得られた加硫積層体34Cを所定の幅で環状に切断することにより、1次無端ベルトを得ることができる。1次無端ベルトは、結合部40Aを介して、ベルト本体29の第1端面13を含む一端と、第2端面15を含む他端が結合されている。以上のようにして得られた1次無端ベルトにおいて、結合部40Aを厚さ方向に切断し、当該結合部40Aを第1結合部14Aと第2結合部16Bに分離することにより、
図10Aに示す帯状ベルト10Cを得ることができる。
【0048】
本実施形態の帯状ベルト10C及び無端ベルト42Cは、熱可塑性樹脂と加硫ゴムが化学結合をしているので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに本実施形態の場合、第1延長部31と第2延長部33が第1結合部14A及び第2結合部16Aの補強布18と接する面と反対側の面を覆い、化学結合していることによって、ベルト本体29の第1端面13及び第2端面15と結合部40Aとの接合面においてクラックが生じることを抑制することができる。したがって帯状ベルト10C及び無端ベルト42Cは、耐屈曲性を向上することができる。また、本実施形態と上記第2実施形態とを組み合わせることによって、耐屈曲性と破断強度とを有した帯状ベルト及び無端ベルトを得ることができる。
【0049】
4.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0050】
上記実施形態の場合、1次無端ベルトを作製し、当該1次無端ベルトを帯状ベルト10A、10B、10Cとする場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
図11に示すように、金型として平金型50を用いて帯状ベルト10A、10B、10Cを形成してもよい。本図の場合、平金型50の表面に、補強シート22を敷き、当該補強シート22の両端にそれぞれ帯状の熱可塑性樹脂シート24を配置し、その上に未加硫ゴムシート26を重ねて、平板状の未加硫積層体52を得る。次いで、未加硫積層体52を加熱し、加硫成形することにより、加硫積層体(図示しない)を得る。続いて、加硫積層体の両端部に形成された凸条を、研磨によって除去する。上記のようにして得られた加硫積層体を所定の幅で帯状に切断することにより、帯状ベルト10A(
図1)を得ることができる。熱可塑性樹脂シート24の長辺を端部に向かうにしたがって厚みが漸減し、補強シート方向へ傾斜するテーパ状とすることによって、帯状ベルト10B(
図9A)を得ることができる。また熱可塑性樹脂シート24の厚さを未加硫ゴムシートの厚さより薄くすることによって帯状ベルト10C(
図10A)を得ることができる。本変形例のように、1次無端ベルトを経ずに形成された帯状ベルト10A、10B、10Cは、第1結合部14A、14Bと第2結合部16A、16Bを融着することにより、無端ベルト42A、42B、42Cを得ることができる。
【0051】
上記実施形態の場合、1次無端ベルトを帯状ベルト10A、10B、10Cとして使用する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。無端ベルトを交換する際に時間的な余裕がある場合は、例えば自動改札機から搬送装置を取り外して、使用済の無端ベルトを1次無端ベルトに交換してもよい。
【0052】
上記実施形態の場合、未加硫ゴムシート26の端部は、熱可塑性樹脂シート24の幅方向端部を厚さ方向に重ねて配置されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、端面同士を接触させて配置してもよい。
【0053】
上記実施形態の場合、帯状ベルト10A、10B、10C及び無端ベルト42A、42B、42Cは、補強布を有する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、補強布18を省略してもよい。
【解決手段】金型表面に、熱可塑性樹脂で形成され、結合部14A,16Aとなる帯状の熱可塑性樹脂シートと、未加硫ゴムと、前記未加硫ゴム及び前記熱可塑性樹脂と共有結合する架橋剤とを含み、ベルト本体12となる未加硫ゴムシートとを、端部同士が接触した状態で配置して、未加硫積層体を得る積層体形成工程と、前記未加硫積層体を加硫成形する加硫成形工程とを備える。