【実施例1】
【0025】
〔ゲート装置の構成〕
図1ないし
図10を参照して、本実施の形態に係るゲート装置Gについて説明する。
図1は実施例1に係る並設ゲート装置の平面図である。この並設ゲート装置Gは3つのゲート機を備え、2つのゲート(それぞれ、通路2、通路2Aを有する)を構成する。ゲート装置Gは中央にセンター機1を、右に主機1Aを,左に従機1Bを配置する。ゲート機には、制御装置80と接続され、各構成部分の制御機能を持つ主機1,1Aと、主機に制御される従機1B,1Cとがある。更に、主機のうち片扉多通路に対応するもの(両側に通路があるもの)をセンター機1という。また、従機のうち扉を備えないものを補機1C(
図11参照)という。
【0026】
本実施例では、センター機1と従機1Bで通路2を有する左側のゲートを構成し、センター機1と主機1Aで通路2Aを有する右側のゲートを構成する。図中の矢印はゲートを通過しようとする通過体3の進行方向を示す。ゲートとは扉を開閉することにより通過体3としての人体又は物体の通過を制御する出入口をいう。通過体3とはゲートを通過する人体又は物体をいう。また、ゲートの出口側にいて後述する動体検知センサ51Cの検出対象となる例えば人体又は物体を被検出体3Aという。これらの人体又は物体は典型的には通行人であるが、車椅子、乳母車等の乗物、手荷物、ロボット等の物体でも良い。また、ゲートを一方通行と考え、通過体3が通る前にいる側(扉から遠い側)を入口、通った後にいる側(扉側)を出口とする。
【0027】
左側のゲートについて、ゲート機1の扉10を直接又は間接に支持する扉支持体としての筐体20とゲート機1Bの扉支持体としての筐体20Bとに挟まれた部分に通路2が形成される。センター機1の扉10と従機1Bの扉10Bでゲートを開閉する。閉鎖時には扉10及び扉10Bで通路2を遮断して通過体3の通行を阻止し、開放時には扉10及び扉10Bを開いて通過体3が通路2を通ることができるようにする。センター機1の扉10及び筐体20と従機1Bの扉10B及び筐体20Bとは通路2に対して略対称に配置される。
右側のゲートについて、ゲート機1の筐体20とゲート機1Aの筐体20Aとに挟まれた部分に通路2Aが形成される。センター機1の扉は通路2A側にはなく、主機1Aの扉10Aでゲートを開閉する。閉鎖時には扉10Aで通路2Aを遮断して通過体3の通行を阻止し、開放時には扉10Aを開いて通過体3が通路
2Aを通ることができるようにする。
【0028】
制御装置80は、センター機1を制御する第1制御部と主機1Aを制御する第2制御部と従機1Bを制御する第3制御部を有し、第3制御部は第1制御部に制御される。例えば扉10Bの開閉は第1制御部の扉10の開閉と同期をとって制御される。すなわち、センター機1の扉10と従機1Bの扉10Bとは同時に開閉される。
【0029】
図2にゲート機の構成例を示す。ここでは代表例としてセンター機1を示す。
図2(A)は平面図、
図2(B)は正面図(入口側から見た)、
図2(C)は左側面図、
図2(D)は背面図、
図2(E)は右側面図である。これらの図において実線は扉10が開いた状態を、想像線(二点鎖線)は扉10が閉じた状態を、それぞれ示す。また、開位置5A及び閉位置5Bはそれぞれ扉10の開放時及び閉鎖時の位置を示す。ゲート機は、ビル、図書館、企業、学校、交通機関等の出入口に設置され、他のゲート機、壁体、パーティション、間仕切り、ロープによる誘導コースの仕切り等と協同して、出入する通過体3(
図1参照)の通行を許容又は阻止する。通過体3は、典型的には人(通行人)であるが、動物や自動車・ロボット等の物体であってもよい。通行人については認証を行い、認証の結果として許可された者の通行を許容し、拒絶された者の通行を阻止する。動物や物体については、典型的には所持者が許可された者であれば通行を許容し、拒絶された者であれば通行を阻止する。
【0030】
ゲート機1は、基本構成として、扉10と、扉10を直接又は間接に支持する扉支持体としての筐体20と、扉10を駆動する駆動機構30とを備える。ゲート機1は、また、認証機器部40、検知部50、表示部60、電源部70、制御装置80(
図1参照)、ポール部(枠体)90とを備える。扉支持体20は典型的には筐体であるが、筐体に限られず、開閉駆動される扉10を支持できるものであれば、支柱、パネル又は構造物の壁面でも良い。
【0031】
〔扉の構成と動作〕
図3及び
図4を参照して扉10について説明する。
図3は、扉10の構成例を示す外観斜視図であり、実線は扉10が閉じた状態を、想像線(二点鎖線)は扉10が開いた状態を、それぞれ示している。
図4は扉の動作を説明するための図である。
図4(A)は扉10を閉じた状態の背面図、
図4(B)は扉10を開いた状態の背面図、
図4(C)は扉10を閉じた状態の側面図である。また、
図4(C)では扉10について、実線は閉じた状態を、一点鎖線は開いた状態を、それぞれ示しており、点線は長方形板状の扉10の先端における2つの角部の軌跡を示している。また、図中の矢印はゲートを通過しようとする通行人3(
図1参照)の進行方向を示す。
【0032】
扉10の形状として、典型的には板状又は棒状が使用されるが、軽量化のため網状や格子状を使用しても良い。本実施例では扉10は、概ね長方形板状の外観形状を呈している。扉10は扉主部11と、接続部12と、支持部13とを有している。扉主部11は、通行人3の通過を遮るための主要部として機能する。扉主部11は、長方形の板状部材で構成されている。
接続部12は、扉主部11と支持部13とを接続する部材である。接続部12は、扉主部11を把持するために扉主部11の長方形の一方の短辺を挟み込むことができるように、厚さ方向で2分割できる構成になっている。つまり、接続部12は、接続表板12Fと接続裏板12Rとから構成されている。
支持部13は、扉10を扉支持体20に支持する部材である。支持部13は、接続部12に挟み込まれる支持板13Pと、駆動機構30の駆動器としてのモータ31の駆動軸(回転軸ともいう)31Aが嵌め込まれる鞘部13S(扉取付部)とを有している。支持板13Pは、概ね長方形に形成されている。鞘部13Sは、円筒状に形成されている。支持板13Pと鞘部13Sとは、支持板13Pの1つの辺に鞘部13Sの側面が接する態様で、相互に固着されている。扉10は、鞘部13Sにモータ31の駆動軸31Aが挿入されて鞘部13Sと駆動軸31Aとが固定されることにより、扉10は駆動軸31を介して筐体20に接続されている。
【0033】
図2に戻る。筐体20は、扉10を支持すると共に、ゲート機1の各部を収納する。例えば駆動機構30、認証機器部40、検知部50、表示部60は筐体20表面に設置され、電源部70は筐体20内に設置される。なお、これは一例であり、例えば電源部70を筐体20外に設置しても良く、制御装置80を筐体20内に設置しても良い。また、隣接する2つの筐体20、20B(
図1参照)の間に通路2(
図1参照)が形成される。なお、筐体を扉支持体20としたが、筐体に代えて支柱、パネル又は構造物の壁面を使用することも可能である。また、扉支持体20には、発光器、受光器、制御装置や電源への配線等を必要とする場合がある。
【0034】
図3、
図4を参照する。駆動機構30は駆動器31を用いて扉10の回動を駆動し、扉10の開閉を行う。本実施例では認証機器部40(
図2参照)の判定結果に基づいて駆動する。駆動機構30は、典型的には駆動器31としてモータを使用し、扉10をモータ31の回転軸線31A(
図6参照)の周りに回動させる。駆動軸(回転軸)の中心軸が回転軸線31Aとなる(ここでは、駆動軸、回転軸と同じ符号を付することとする)。駆動機構30は、駆動器としてのモータ31とその駆動軸31A及び扉10をモータ31の回転軸線31Aの周りに回動可能に保持する鞘部13Sにより構成される。モータ31は回転軸線31Aの周りに扉10を回動させる。モータ31の回転軸線31Aが、長方形の扉10の支持部13側の角部付近を通り、長方形の扉10の辺に対して45°傾いている。扉10がモータ31の回転に連動して回動することで、開位置5Aと閉位置5Bの間を往復する。この時扉10の移動軌跡は、扉10の長手方向中央線と回転軸線31Aとの交点を頂点4Dとする円錐4B(
図6参照)を描く。モータ31は、扉支持体としての筐体20の上部に形成されたモータ収納部20Tに収納される。
【0035】
鉛直方向から45°傾いて突き出た駆動軸31Aに取り付けられた扉10が駆動軸線31Aの周りに回動させられることで、閉位置5Bでは扉10が水平に延びる状態、開位置5Aでは扉10が鉛直下方に延びる状態になるように構成されている。かかる回動により扉10は閉位置から開位置に移るとき、筐体20の背面側(出口側)から一旦飛び出すが、開状態では筐体20に納まるように構成されている。したがって、筐体20を扉10の長さに合せて、出口方向に長く設けなくてもよい。すなわち扉10は、開位置で筐体20に納まるように構成されているので、筐体20は扉10の閉位置を基準にして長さを小さく設けることができる。その代償として、扉が一旦飛び出すときに、被検出体と接触し得るという課題が生じるのである。これを防止するのが本願発明の目的である。
【0036】
図4(C)においては、扉10の閉状態を実線で示し、扉10の開状態を一点鎖線で示し、扉10の閉状態と開状態との間の扉10の先端の軌道を点線で示している。
図4(A)に示す扉10が閉状態のときには、ゲートが扉10で遮られた状態になっている。このとき、扉10は、ゲート機1の背面側(出口側)にいる被検出体3A(
図1参照)に対して、裏面10Rが見える状態になっている。他方、
図4(B)に示す扉10が開状態では、ゲートが開放された状態になっている。このとき、扉10は、ゲート機1の背面側(出口側)にいる被検出体3Aに対して表面10Fが見える状態になっている。換言すれば、裏面10Rが筐体20に対向した状態になっている。モータ31は、駆動軸31Aを正逆両方向に回転できるように構成されている。駆動軸31Aの正逆両方向への回転により、扉10が、閉状態と開状態との二位置間で往復移動することができるように構成されている。また、制御装置80の指令により前記二位置間で停止することも可能なように構成されている。
【0037】
扉10の扉主部11が板状部材で構成されているので、扉10の表面10F及び/又は裏面10Rに、文字や記号等を表示することができ、これにより被検出体3Aに視覚を通じてメッセージを伝えることができる。本実施例では、進むべき方向の矢印及び通行が可能(条件が合致した場合)である旨を示す○印が表面10Fに表示されており、進入禁止の文字及び通行が不可である旨を示す×印が裏面10Rに表示されている。つまり、正面から見た場合、〇印は、扉10は閉位置にあるが、通行人3が近づけば扉10を開状態にして通行を許可する旨を示すものであり、矢印は通行人3に進行方向(前方へ)を示すものである。なお、扉10の表面10F及び/又は裏面10Rに表示する文字等は任意に決定することができる。例えば、近年のグローバリゼーションの進展を考慮して、進入禁止の文字に代えて(あるいは併記の形で)CLOSEDの文字を表示してもよい。
【0038】
図1、
図2に戻る。認証機器部40には通行人3が所持する認証媒体の読取・書込みが可能な認証器41が搭載される。認証機器部40は主機及びセンター機に備えられるが、従機及び補機には備えられない。認証器41として例えばICカードリーダライタ、QRリーダなどを使用できる。本実施例ではICカードリーダライタ41を使用する。カードリーダライタ41は、通行人3が所持するICカード(不図示)と無線通信し、ICカードに読み取り、書き込みを行える機器である。通行人3が所持するICカードには、ゲート装置Gの通行が許可された者であるか否かに関する情報が記録されている。通行人3が扉10に近づいて行き、通行人3が所持しているICカードをICカードリーダライタ41の所定の位置(典型的にはICカードリーダライタ41の読み取り面に接触させる)にかざすと、ICカードリーダライタ41はICカードに記録された情報を読み取り、制御装置80へ送信する。すなわち、認証機器部40はカードリーダライタ41が読み出したICカードに記録された情報に基づいて、通行人3が通行を許可された者か否かを判断し、判断結果を制御装置80に送信する。制御装置80は認証機器部40の認証結果に基づき駆動機構30の扉10の回動を制御する。認証器41の制御は信号ケーブルで接続されている制御装置80で行われる。
【0039】
〔検知部〕
検知部50は、通過体3の通過や被検出体3Aの扉10の可動範囲への進入を検出し、制御装置80に信号を送る複数の検知器51を備える。各検知器51と制御装置80とは信号ケーブルで接続されている。本実施例(
図1、
図2参照)では、検知器51として、人間検知器51A、潜り込み検知器51B及び動体検知センサとしての扉可動範囲検知器51Cを使用している。
【0040】
人間検知器51Aは、通路2内の通行人3の通過状態を監視(検知)するものである。対となる筐体20,20Bの上部に略水平に複数配置される。具体的には通路を挟んで対称位置に光学センサ51A(一方に発光器51A1、他方に受光器51A2)が配置される。本実施例ではセンター機1に発光器51A1が、従機1Bに受光器51A2が配置される。例えば通行人3がいないと発光器51A1から出射された光が受光器51A2に入力されるので、受光器51A2からの出力信号は1になる。通行人3が通過すると受光器51A2への光が遮断されて受光器51A2からの出力は0になる。検知対象である通行人3は典型的には大人と料金を支払う対象の子供であるが、幼児を検知対象、ロボット等の物体を検知対象とする場合もある。
【0041】
潜り込み検知器51Bは、通路2内の背丈の低い幼児、車椅子利用者、ショッピングカート等の閉位置5Bにある扉10より低い通過体3の通過状態又は存在を監視(検知)するものである。また、背丈を低くして閉位置5Bの扉10を潜り抜けようとする通行人3を検知するものである。対となる筐体20,20Bの閉位置5Bの扉10より少し低い位置に略水平に配置され、背丈の低い幼児、車椅子利用者、ショッピングカート等の扉への接触又は衝突を防止するために、これらを検知する。具体的は通路2,2Aを挟んで対称に光学センサ51B(一方に発光器51B1、他方に受光器51B2)が配置される。本実施例ではセンター機1に発光器51B1が、従機1Bに受光器51B2が配置される。発光器51B1と受光器51B2の作用は、前記人間検知器51Aの発光器51A1と受光器51A2と同様である。人間検知器51A及び潜り込み検知器51Bでの検知結果は不正侵入検知として制御装置80に送られる。なお、一般的には人間検知器51Aで検出されるものも、潜り込み検知器51Bで検知される。なお、潜り込み検知器51Bで検知され人間検知器51Aで検知されない場合(潜り抜け)と、人間検知器51Aで検知され潜り込み検知器51Bで検知されない場合(飛び越し)を抽出して通報するようにしても良い。
【0042】
動体検知センサには、仮想楕円筒6(
図6参照)を貫通する第1の動体検知センサ51C(51C1〜51C5)及び環状領域6A(
図6参照)を貫通する第2の動体検知センサ51C3bが含まれる。第2の動体検知センサは第1の動体検知センサと同じセンサ51C(51C1〜51C3,51C5)でも良く、別のセンサ51C4,51C3bでも良い。単に「動体検知センサ」というときには、第1の動体検知センサ及び第2の動体検知センサの両者を含むものとする。
動体検知センサとしての扉可動範囲検知器51Cは被検出体3Aによる扉10への接触又は衝突を防止するために配置される。前述のように、扉10が筐体20の背面側(出口側)から飛び出す構成になっているので、筐体20の長さを小さく設けることができる。それ故に、扉10は、回転移動する時に筐体20の外部領域(当該筐体20と通路2を挟んで対向する筐体20Bの出口側先端を結ぶ線より出口側の領域)を通過する。したがって、扉10の移動中に扉10の出口側にいる被検出体としての人3Aが扉10に接触又は衝突するおそれがあり、扉可動範囲検知器51Cは、かかる扉10への接触又は衝突を防止するために配置される。すなわち、複数の扉可動範囲検知器としての反射型光センサ51Cを配置し、これら複数の扉可動範囲検知器51Cの組み合わせにより、扉10が動作中に描く軌跡の近くに存在する被検出体3A、すなわち扉10の可動範囲へ進入するおそれが大きい人体又は物体を検出する。また、被検出体3Aの検出と扉10の検出とを混同しないように、検出光の光線が移動中の扉10に当たらないように扉可動範囲検知器51Cを配置する。扉10の軌跡4A(
図6参照)はゲートの出口側に形成され、入口側には形成されないので、扉可動範囲検知器51Cは原則としてゲートの出口側に配置され、入口側には配置されない。
【0043】
図5は扉可動範囲検知器としての反射型光センサ51Cを説明するための図である。扉可動範囲検知器として使用される動体検知センサ51Cは、反射型光センサで、発光器51CEと受光器51CRと検出部51CDとを有する。そして、反射型光センサ51Cは、反射型光センサ51Cから検出対象である被検出体としての人体モデル3A(大人モデル3B,子供モデル3C)までの検出距離を所定の範囲に特定できるように構成されている。光として典型的には空中での減衰が少なく、目を刺激しない赤外線を使用する。パルス光を使用して、発光器51CEから照射されたパルス光は人体モデル3A(3B,3C)で反射され、受光器51CRで受光される。受光器51CRで受光されたパルス光は検出部51CDにて検出される。検出距離は例えば三角測距式を利用して、検出対象の距離変化に伴う受光器51CRにおける反射光受光位置の変化から求める。
扉可動範囲検知器51C1の配置については、後で詳細に説明する。
【0044】
図1、
図2に戻る。表示部60は、通行人3に機器の状態(通路2,2Aの利用可否等)及び認証結果(通行人3の入出場可否)を表示する。表示部60は、機器の状態(通路2,2Aの利用可否)を目視可能に知らせる案内表示部61と通行人3に認証の判定結果を目視可能に知らせる判定/異常表示部62を有する。案内表示部61は筐体20,20Aの正面上部に位置し、通行人3に通路の利用可否を知らせる。判定/異常表示部62は筺体20の上面に位置して、通行人3に認証の判定結果を知らせる。また、ゲート管理者等にブザー等で警告・異常を知らせる。本実施例では判定表示と異常表示とを兼用している。また、表示部60において、例えば通過可否の他に、チャージ料金が不足している、定期乗車券の利用期間や利用区間からはずれている、等を通知しても良い。
【0045】
電源部70は、ゲート装置1の動作に必要な交流電圧(例えば100V)を受電し、本ゲート装置Gで必要な直流電圧に変換し、当該ゲート装置Gの各部に供給する。本実施例では電源部70は筐体20内部に設置される。
【0046】
制御装置80は、ゲート装置G全体及びその各部の動作を制御する機器である。例えば、認証器41により通行人3が所持する認証媒体の読み書きを行わせたり、検知部50の各検知器51の遮光・受光状態から、通行人3の通過状態の判断を行なったり、扉10の動作の一時停止を行ったりする。制御装置80は、本実施例ではカードリーダライタ41により、通行人3が所持するICカードに読み書きを行わせることができるように構成されている。通行人3が扉10に近づいて行き、通行人3が所持しているICカードをカードリーダライタ41の所定の位置にかざすと、カードリーダライタ41はICカードに記録された情報を読み取り、制御装置80へ送信する。また、制御装置80は、検知器51から受信した信号により、通行人によるゲート装置Gの通過の状態の判断を行うことができるように構成されている。また、制御装置80は、通行人が所持するICカードから読み取った情報に関するカードリーダライタ41の判定結果に基づいて、駆動器としてのモータ31の動作を制御し、扉10,10A,10Bの開閉を行うことができるように構成されている。
【0047】
制御装置80は、
図1では、カードリーダライタ41及び検知器51と別体に構成されているように示されているが、カードリーダライタ41及び/又は検知器51と一体に構成されていてもよい。この場合は一体に構成される機器と接続される信号ケーブルを省略することができる。制御装置80は、カードリーダライタ41及び/又は検知器51と隣接して配置されていてもよく、これらから離れた場所に設置されていてもよい。
ポール部90は機能を追加する、雰囲気づくりをする等に用いられるが、無くても良い。
【0048】
[ゲート機]
本実施例によるゲート装置Gは複数のゲート機を並列に連設した並設ゲート装置である。ゲート機には、センター機1の他に、主機1A、従機1B、補機1C(
図11参照)があり、本実施例の並設ゲート装置Gでは、センター機1、主機1A、従機1Bが設置される。本実施例において、センター機1は扉支持体20の両側に通路2,2Aを有するが、主機1Aは扉支持体20Aの片側に通路2Aのみを有する。主機1Aの構成はセンター機1の構成から、扉10のない方の通路2Aに係る構成を除いたものとなる。すなわち、
図2の構成から、
図2(E)の人間検知器の受光器51A2、
図2(D)及び
図2(E)の第2の中間検知器51C4が除かれ、
図2(C)の第1の中間検知器51C3が第2の中間検知器51C4に置換される。これは、対向するゲート機1に扉がないので、中間検知器の検出範囲が短くなるからである。
【0049】
従機1Bは、センター機1又は主機1Aに対向して設置され、センター機1又は主機1Aに制御されるゲート機である。本実施例ではセンター機1に制御される。本実施例では主機1Aを左右反転したものを基として、第2の中間検知器51C4が第1の中間検知器51C3に置換されている。本実施例では補機は存在しないが、実施例2の補機1C(
図11参照)は、検知器として、人間検知器の受光器51A2、潜り込み検知器の受光器51B2の他に、第2の中間検知器51C4を有する。
【0050】
〔扉可動範囲検知器の配置と検出光の光路〕
図6は扉10の移動軌跡と照射のための基準点を説明するための図である。扉10の軌跡4Aは、扉10の開位置5Aと閉位置5Bを含む平面(第1の平面)5C内にある回転軸線31Aを中心軸線とし、扉10(
図3、
図4参照)の長手方向中央線と回転軸線31Aとの交点を頂点4Dとする円錐4Bの側面4Aとなる。この側面4Aは第1の平面5Cで1/2に分割された半円錐の側面であり、円錐4Bの底円4Cは半円となる。そして扉10の先端の軌跡4は半円錐の側面4Aと底円4Cの境界を構成する円弧(円周の半分、第1の円弧という)4となる。例えばこの第1の円弧4を5等分し、等分された点を開位置5A側から基準点P0(開位置5A上)〜P5(閉位置5B上)とする。基準点は照射の目安にする点である。
図6では第1の円弧4を裏面側の斜め上方から見ているので楕円形に見える。
【0051】
第1の平面5Cへの垂線の方向をx方向、第1の平面5Cの面内で水平方向をy方向、鉛直方向をz方向として、各点Pの座標をP(x,y,z)と表すこととする。第1の円弧4を鉛直方向に延長して仮想楕円筒6(第1の楕円筒という、正しくは第1の平面5Cで1/2に分割された半楕円筒)を形成する。動体検知センサとしての扉可動範囲検知器51C(51C1〜51C5、
図7参照)からの検出光は仮想楕円筒6上において基準点P1〜P4に対応する照射点Pδ1〜Pδ4(
図8参照)を貫通するように照射される。ここでは、説明の便宜上、扉10は、太さ(厚さ)及び幅(横手方向の長さ)のない、長手方向の中心線で形成されているものとした。しかしながら、実際には扉10の幅又は太さが円錐4Bの側面4Aの厚さとなる。そして、円弧4は底円4Cにおいて扉10と同じ幅を有することとなる。円錐4Bの側面4Aというとき、円錐4Bの外側を検出光が通るときは、円錐4Bは厚さを有する中空円錐として取り扱うものとする。例えば、円錐4Bの近傍というときは、厚さを有する表面からの距離で表現するものとする。
【0052】
例えば、通路2及び通路2Aにおけるゲート幅をそれぞれ90cm、60cmとする(
図7参照)。扉10の長さをL=43cm、扉10と扉10Aの間隔を4cmとする。また、扉の幅を例えば4cm、太さを例えば1cm、検出光の検知範囲を例えば約1cm×2cm(横×縦)とすると、検出光が円錐4Aに当たらないようにするには、円弧4から3cmより遠く離して照射する。また、仮想楕円筒6の内側の領域は鉛直上方から見て扉10の移動範囲となるので、扉10の動作時にこの領域内にいる被検出体3A(非常に低いものを除き)は扉に衝突することになる。仮想楕円筒6から外側に第1の所定の距離ΔR1離れた楕円を形成し、この楕円を鉛直方向に延長して形成された第2の楕円筒6Bと仮想楕円筒6とで挟まれた環状領域6Aを形成する。この幅ΔR1の環状領域6Aは扉10に接触又は衝突のおそれが大きい領域である。扉可動範囲検知器51Cからの検出光は、まず仮想楕円筒6を貫通する。すなわち、扉10の移動範囲にある被検出体3Aを確実に検出する。そして、環状領域6Aの被検出体3Aを検出するために、環状領域6Aを貫通することが好ましい。
本実施例における各扉可動範囲検知器51Cでは、第1の動体検知センサと第2の動体検知センサを兼ねるもの、及び第1の動体検知センサに該当せず第2の動体検知センサに該当するものがある。
【0053】
さらに、仮想楕円筒6から第4の所定の距離ΔR4離れた楕円を形成し、この楕円を鉛直方向に延長して非検出楕円筒6B(第3の楕円筒という)を形成する。第4の所定の距離ΔR4は、これを超えると扉10に接触又は衝突のおそれが小さくなる距離である。第4の所定の距離は、被検出体の進む速度、動く速さに基づいて定めるとよい。したがって、ゲート装置が設置される施設によって異なってもよい。例えば駅の改札ゲートであれば、被検出体の動きは一般に早いので、大きめに設定する。一方、図書館などでは、被検出体としての利用者の動きはゆったりとしており、動きは比較的遅いので、小さく設定してよい。この場合に、大きめに設定すると、接触や衝突の恐れのない位置にいる人物までも検出してしまい煩わしい。非検出楕円筒6Bの外周側の領域は扉10に接触又は衝突のおそれが少ない領域であり、扉可動範囲検知器51Cからの検出光は、この領域では非検出範囲に設定される。例えば第4の所定の距離ΔR4を43cm〜65cmとする。
【0054】
また、仮想楕円筒6、環状領域6A及び非検出楕円筒6Bの高さHは第1の円錐4A(最高位置は円錐4Aの頂点4D又は扉10の閉位置5Bの高さ、最低位置は扉10の開位置5Aにおける先端の位置である)から鉛直方向上下に第2の所定の距離ΔR2までとする。第2の所定の距離ΔR2は、扉10に接触又は衝突のおそれがある被検出体3Aを検出するための高さを決めるものである。扉10に近いほど接触又は衝突のおそれが大きいが、安全のため余裕をもって定めるのが好ましい。例えば扉10の長さLの0.5〜2倍が好ましい。なお、扉10の最低位置の通路2からの距離が上記第2の所定の距離ΔR2とされた値以下の場合には、仮想楕円筒6、環状領域6A及び非検出楕円筒6Bの下側の第2の所定の距離ΔR2は通路2から扉10の最低位置までの距離とする。なお、仮想楕円筒6、環状領域6A及び非検出楕円筒6Bの最低位置を、第2の所定の距離に代えて、通路からの高さで、例えば23〜86cm、0.1〜1m等と決めても良い。
【0055】
図7に本実施例における動体検知センサとしての扉可動範囲検知器51C1〜51C5の配置例を示す。
図7(A)はゲートGを上方から見た図、
図7(B)はゲートGを正面から見た図である。例えば、扉可動範囲検知器51Cとして、第1の下部検知器51C1、第2の下部検知器51C2、第1の中間検知器51C3、第2の中間検知器51C4、上部検知器51C5を用い、これらを最適に配置することで、被検出体3Aの侵入を効果的に防止する。なお、
図7及び
図8では各扉可動範囲検知器51Cの符号の引出線を検出光から引き出しており、各扉可動範囲検知器51Cの設置位置は検出光の筐体20側の端部である。
センター機1に設置された第1の下部検知器51C1、第2の下部検知器51C2、第1の中間検知器51C3、上部検知器51C5は第1の動体検知センサと第2の動体検知センサを兼ねる。従機1Bに設置された第1の中間検知器51C3bはセンター機1に対して、第1の動体検知センサには該当しないが、第2の動体検知センサに該当する。また、センター機1に設置された第1の中間検知器51C3bは従機1Bに対して、第1の動体検知センサには該当しないが、第2の動体検知センサに該当する。センター機1に設置された第2の中間検知器51C4は、主機1Aに対して、第1の動体検知センサには該当しないが、第2の動体検知センサに該当する。
【0056】
図8は各扉可動範囲検知器51Cの配置とその検出光の光路を説明するための図である。ゲートの出口側(通路2の出口側)斜め上方向から見た図である。次に
図6、
図7及び
図8を参照して、扉可動範囲検知器51C1〜51C5の配置及び検出光の光路について説明する。センター機1における配置と光路をメインに説明する。
各ゲート機1,1A,1Bの扉可動範囲検知器51C(51C1〜51C5),51Ca(51C1a〜51C5a),51Cb(51C1b〜51C5b)は、各ゲート機1,1A,1Bの扉10,10A,10Bの近くの被検出体3Aを検出し、各検出信号は、各ゲート機1,1A,1Bの扉10,10A,10Bの制御に反映される。扉10と扉10Bは同時に制御される。ただし、センター機1の第1の中間検知器51C3は従機1Bの扉10Bの近くの被検出体3Aを検出し、検出信号はセンター機1の扉10及び従機1Bの扉10Bの制御に反映される。従機1Bの第1の中間検知器51C3bはセンター機1の扉10の近くの被検出体3Aを検出し、検出信号はセンター機1の扉10及び従機1Bの扉10Bの制御に反映される。また、センター機1の第2の中間検知器51C4は主機1Aの扉10Aの近くの被検出体3Aを検出し、検出信号は主機1Aの扉10Aの制御に反映される。
【0057】
第1の下部検知器51C1の設置位置は、筐体20の下部(開位置5Bでの扉10の先端よりやや低い位置、例えば3cm下方)に設けられる。位置座標はO1(0,0,−3)である。検出光は水平方向に照射される。基準点P1の座標は(18,4,4)、仮想楕円筒6上の対応する照射点Pδ1の座標は(18,4,−3)となる。基準点P1の直下7cmである。円弧4から少し離れているが、人間は鉛直方向に長いので、この基準点P1に対応する照射点Pδ1で検出された場合には、その直上の基準点P1にも身体が存在する可能性が大である。光源−照射点間距離d1=約19cmとなり、検出光が環状領域6Aを横切る距離Δd1=約26cmとなる(d1及びΔd1は図示しない。以降のdn,Δdn(n=2〜4)等についても同様)。検出範囲を例えば光源から0cm〜50cmに設定すると、検出範囲は環状領域6Aを貫通し(環状領域6Aの被検出体は検知される)、その少し先まで延びるので、好適である。検出範囲を0cmからとするのは、扉当たり防止のため、扉可動域内をできるだけ広範囲に検知するためである。また、扉の支点近くに存在する人・物を検知するためである。ただし、0cmは検出不可なので検出範囲から除かれる(他の検知器についても同様)。
第1の下部検知器51C1を筐体20下部に設けることで、筐体20の出口側面下側での被検出体3A(
図1参照)の存在を検出するのに適している。特に、小児、手に持った低い位置での鞄等の存在を検出するのにも適している。このように、第1の下部検知器51C1は筐体20の側面から扉10の移動する領域(仮想楕円筒6内側)に進入する被検出体3Aを検出するのに有効である。また、扉10に接触又は衝突のおそれが大きい領域(環状領域6A))に進入する被検出体3Aも検出する。
【0058】
第2の下部検知器51C2は、筐体20の下部2に設けられ、第1の下部検知器51C1と並べて、その通路2側に配置される。設置位置の座標はO2(0,0,−3)である。検出光は水平方向に照射される。基準点P2の座標は(29,15,15)、仮想楕円筒6上の対応する照射点Pδ2の座標は(29,15,−3)となる。基準点P2の直下18cmである。円弧4から少し離れているが、人間は鉛直方向に長いので、この対応する照射点Pδ2で検出された場合には、その直上の基準点P2にも身体が存在する可能性が大である。光源−照射点間距離d2=約32cmとなり、検出光が環状領域6Aを横切る距離Δd2=約11cmとなる。検出範囲を例えば光源から0cm〜50cmに設定すると、検出光は環状領域6Aを貫通し、その少し先まで延びるので、好適である。
【0059】
また、第2の下部検知器51C2は、扉10の軌跡である第1の円弧4において、第1の下部検知器51C1より、少し通路2よりでかつ遠いエリアでの、検知を行っている。第2の下部検知器51C2は、筐体20の出口外側下側での被検出体3Aの存在を検出するのに適している。第1の下部検知器51C1との間隔を最適化することにより、右外側(
図8では左前方)から、扉10の移動する領域(仮想楕円筒6内側)に進入する被検出体3Aを検出するのに有効である。また、扉10に接触又は衝突のおそれが大きい領域(環状領域6A)に進入する被検出体3Aも検出する。
【0060】
第1の中間検知器51C3は、筐体20の中間、例えば閉位置5Bでの扉10の高さより10cm下側、扉10の開位置5A及び閉位置5Bより5cm入口側に設けられる。設置位置の座標はO3(−5,0、33)である。検出光は水平方向に照射され、第1の円錐4Aの側面4B及び第2の円錐4Abの側面4Bbに当たらずに、第1の円弧4及び第2の円弧4bの近くを通る。本実施例で第1の中間検知器51C3を入口側に設けたのは検出光が係る条件を満たすようにするためである。
第1の円弧4の側で、基準点P4の座標は(18,39,39)、仮想楕円筒6上の対応する照射点Pδ4の座標は(18,39,33)となる。基準点P4の直下6cmである。この距離は、検出光と扉の間に被検出体が入り込まないようにできる範囲といえるので、照射点Pδ4は第1の円弧4の近傍にあるといえる。光源−照射点間距離d4=約45cm、検出光が第1の環状領域6Aを横切る距離Δd4=約8.5cmとなる。
【0061】
第2の円弧4bの側(従機1Bの側)で、基準点P4bの座標は(18,51,39)、検出光線上で、底円4Cの延長面4E上の照射点P4bβの座標は(29,57,33)となる。この点は第2の円弧4bの上3cmにあり、検出光はこの点を通る。すなわち、円錐4Abの外側を通り、内側には入らない)。すなわち、扉10bに接触又は衝突のおそれが大きい環状領域6Abを貫通し、その少し先まで延びるので、好適である。光源−照射点間距離d4b=約66cmとなり、検出光が環状領域6Abを横切る距離Δd6b=約30cmとなる。
検出範囲を例えば0cm〜100cmに設定すると、第1の円弧4の側で仮想楕円筒6及び環状領域6Aを貫通する。第2の円弧4bの側では仮想楕円筒6bの内側に入らないが、環状領域6Abを貫通し、その少し先まで延びるので、好適である。なお、
図8中の第1の中間検出器51C3からの検出光上の点P4bα、P4bβ、P4bγは、それぞれ第2の円弧4b上の点P4b、Pbθ、P3bと同じy座標上の点であり、これから検出光は円錐4Abと交わらないことがわかる。
第1の中間検知器51C3は、筐体20及び筐体20Aから一番遠い通路2A中央での被検出体3Aの存在を検出する。中央から扉10の移動する領域(仮想楕円筒6内側)に進入する被検出体3Aを検出するのに有効である。また、扉10に接触又は衝突のおそれが大きい領域(環状領域6A)に進入する被検出体3Aも検出するように構成される。
【0062】
第2の中間検知器51C4はセンター機1に設置される。しかし、センター機1が扉10を備えない方の通路2A側に、対向して通路2Aを開閉する扉10Aを備える主機1Aがあり、この主機1Aの扉10Aの出口外側を検知する。
第2の中間検知器51C4の設置位置は、筐体20において、第1の中間検知器51C3と反対側の通路2Aに面して設けられる。また、筐体20の中央面に対して第1の中間検知器51C3と対称な位置に設けられる。主機1Aの扉10A及び筐体20Aの座標を従機1Bの扉10B及び筐体20Bに重ね合わせると(このとき、扉10A,10Bの軌跡がつくる円錐の頂点4Dの座標は(0,90,43)となる)、第2の中間検知器51C4の位置座標はO4(−5,30、33)となる。検出光は水平方向に照射される。
【0063】
この座標上では、主機1Aの第3の円弧4aは従機1Bの第2の円弧4bに重なる(同じ座標になる、ただし、
図8では、符号の付記部分をaでなくbで表記したままとする)。このセンター機1と主機1Aの座標系において、主機1Aの開位置5Aにおける扉10の先端の座標を(0,90,0)とすると、中間検出器51C4の検出光線上で、底円4Caの延長面4Ea上の照射点P4aβ(
図8ではP4bβ)の座標は(29,57,33)となり、センター機1と従機1Bの座標系における第1の中間検出器51C3の検出光線上の照射点P4bβの座標と同じになる。この点は第3の円弧4aの上3cmであり、検出光はこの点を通る(円錐4Aaの外側を通り、内側には入らない)。そして、扉10aに接触又は衝突のおそれが大きい環状領域6Aaを貫通する。光源−照射点間距離d4a(図示しない)=約43cmとなり、検出光が環状領域6Aaを横切る距離Δd4a(図示しない)=約21cmとなる。検出範囲を例えば光源から0〜70cmに設定すると、第3の円弧4aの側では検出光は仮想楕円筒6aの内側に入らないが、環状領域6Aaを貫通し、その少し先まで延びるので、好適である。
【0064】
第3の円弧4a側では、主機1Aも第2の中間検知器51C4aを有する。
図8ではその座標をO4a(−5,90,33)で示す。しかしながら、この第2の中間検知器51C4aの配置はセンター機1の第1の中間検知器51C3と同様であるので、説明の便宜上、ここでは主機1Aの座標系をセンター機1の座標系に重ねて、第1の中間検知器51C3の設置位置O3(−5,0,33)から射光したものとして説明する。検出光の光路は第1の中間検知器51C3の光路と同様であるが、検出範囲が異なり、第2の中間検出器51C4と同じになる。光源−照射点間距離d4=約45cm、検出光が第1の環状領域6Aを横切る距離Δd4=約8.5cmとなる。検出範囲は0cm〜70cmと、センター機1の第2の中間検知器51C4と同じとすると、検出範囲は環状領域6Aaを貫通し、その先まで延びるので(センター機1側に扉が無いので、これをカバーするため、延びがやや長くなっている)、好適である。
【0065】
図7において、センター機1が通路2Aにおいて扉を備えないので、センター機1の第2の中間検知器51C4は、検出光の照射角及び延びを大きくして左側からのゲート(通路2A)への侵入を検知する。また、主機1Aの第2の中間検知器51C4aも左側からのゲートへの侵入を検知する。
図7では左外側(
図8では右前方)から、扉10Aの移動する領域(仮想楕円筒6内側)に進入する被検出体3Aを検出するのに有効である。また、扉10Aに接触又は衝突のおそれが大きい領域(環状領域6Aa)に進入する被検出体3Aも検出するように構成される。
【0066】
上部検知器51C5は、筐体20の扉10より高い位置(例えば5cm)に設けられ、通路2に対して斜め下向きに射光する。上部検知器51C5からの検出光線は基準点P3に対応する照射点Pδ3に、円弧4の上側を通るように放射される。
上部検知器51C5の座標は(0,0,48)、基準点P4の座標は(29,28,28)となる。仮想楕円筒6上の対応する照射点Pδ3の座標は(29,28,33)となる。照射点Pδ3は基準点P4の直上5cmであり、円弧4の近傍にあるといえる。光源−照射点間距離d3=約43cmとなり、検出光が環状領域6Aを横切る距離Δd3=約11cmとなる。検出範囲を例えば0cm〜60cmに設定すると、検出範囲は環状領域6Aを貫通し、その少し先まで延びるので、好適である。
上部検知器51C5は、筐体20の出口中央から侵入する被検出体3Aの存在を検出するのに適している。扉10の移動領域(仮想楕円筒6内側)に進入する被検出体3Aを検出するのに有効である。また、扉10に接触又は衝突のおそれが大きい領域(環状領域6A)に進入する被検出体3Aも検出するように構成される。
【0067】
以上より、いずれの扉可動範囲検知器51Cについても、環状領域6Aの幅(第1の所定の範囲)をΔR1=8cmとしたときに、検出範囲を仮想楕円筒6及び環状領域6Aを貫通するように設定できた。また、いずれの検出光も環状領域6Aを貫通後、少し先までしか延びないので、仮想楕円筒6から非検出楕円筒6Bに至る第4の所定の距離を例えばΔR4=4ΔR1とすれば、円弧4からΔR4以遠、例えば30cm以上を非検出範囲として設定できる。非検出範囲については、扉10に接触するおそれが少ない被検出体3Aを検出しないように扉可動範囲検知器51Cの検出範囲を設定するものである。非検出範囲は上記検出範囲より遠距離に設定される。その間の中間領域では検出されてもされなくても良い領域となる。非検出範囲は円弧4から例えば0.5L〜2L(約21〜86cm)が好ましく、安全サイドに設定すると、L〜1.5L(約43〜65cm)がより好ましい。
【0068】
また、各照射点の座標は、第1の円弧4の側において、δP0(0,0,−3)(第1、第2の下部検知器の発光器51CEの位置)、δP1(18,4、−3)、δP2(29,15、−3)、δP3(29,28,33)、δP4(18,39,33)、第2の円弧4bの側において、δP4b(18,51,33)(対向ゲート照射点の位置)である。そうすると、鉛直方向から見た(水平面内での)照射点間の距離は、15±5cmに入り、全てが30cm以下である(肩幅以下でもある)。また、およそ均等といえる。
【0069】
以上より、本実施例における扉可動範囲検出器51Cの配置及び検出光の光路の設定によれば、扉10Aの移動する領域(仮想楕円筒6内側)に進入する被検出体3Aを検出するのに有効である。また、扉10Aに接触又は衝突のおそれが大きい領域(環状領域6Aa)に進入する被検出体3Aも検出するように構成される。検出光は円弧4に近い部分を通過するほど扉10に接触又は衝突のおそれが大きい領域にある被検出体3Aを検出することとなる。他方、扉10に接触又は衝突する直前に検出するより、ある程度余裕を持って検出するのが好ましい。本実施例ではΔR=8cmとしたが、例えば一歩で到達できる範囲又は手の届く範囲(例えば10〜30cm以下)をカバーするように動体検知センサ51Cの検出範囲を設定することが好ましい。
また、扉可動範囲検知器51C1〜51C5の各々の検知器を組み合わせ、検知器間の間隔を最適化することにより、特に標準的な体形の大人について、また子供について、扉の軌跡全体の漏れのない検知を可能とする。
【0070】
図9に扉可動範囲検知器51C1〜51C5の配置と人体モデル3A(大人モデル3B,子供モデル3C)との関係を示す。ゲート装置Gの出口側のあらゆる方向から来る被検出体3Aが扉10の軌跡に接触又は衝突する前にいずれかの扉可動範囲検知器51Cが被検出体3Aを検出するように構成される。図中、大人モデル3Bは肩幅約40cm、胸厚約20cmとし、子供モデル3Cは肩幅約30cm、胸厚約15cmとした。ゲートの出口側では、被検出体3Aの向きはゲートに向かうだけでなく様々である。
【0071】
左側の両開きゲート(通路2を有する)では、左端からの侵入者は従機1Bの第1の下部検知器51C1bにより検出される。左側からの侵入者は従機1Bの第1の下部検知器51C1b、第2の下部検知器51C2b、上部検知器51C5b及び対向するセンター機1の第1の中間検知器51C3により検出される。中央からの侵入者は従機1Bの第1の中間検知器51C3b、上部検知器51C5b及びセンター機1の第1の中間検知器51C3、上部検知器51C5により検出される。右側からの侵入者はセンター機1の第1の下部検知器51C1、第2の下部検知器51C2、上部検知器51C5及び対向する従機1Bからの第1の中間検知器51C3bにより検出される。右端からの侵入者はセンター機1の第1の下部検知器51C1及び第2の下部検知器51C2により検出される。
【0072】
右側の片開きゲート(通路2Aを有する)では、左側からの侵入者はセンター機1の第1の下部検知器51C1、第2の中間検知器51C4及び対向する主機1Aの第2の中間検知器51C4aにより検出される。中央からの侵入者はセンター機1の第2の中間検知器51C4及び対向する主機1Aの第2の中間検知器51C4a及び上部検出器51C5aにより検出される。右側からの侵入者及び右端からの侵入者については左側の両開きゲートと同様である。このように、複数の扉可動範囲検知器51Cを適切な方向に配置することによって、あらゆる方向からの侵入を検出することができる。
いずれかの扉可動範囲検知器51Cにて被検出体3Aが検出された場合には、対応する扉10,10A,10Bを作動させない。作動中であれば作動を停止する。このようにして被検出体3Aが扉10,10A,10Bに接触または衝突するのを防止する。
【0073】
〔ゲート装置の動作フロー〕
図10を参照して本実施例に係るゲート装置Gの動作を説明する。
図10に本実施例に係るゲート装置の動作フローを示す。装置構成については
図2を参照されたい。
ゲート装置Gは通行人3(
図1参照)が通路2,2A及びその近くにいないときは扉10を閉状態に保持して待機している(S001)。ゲート装置1は、待機中、制御装置80(
図1参照)が認証器41及び検知器51からの信号を随時受信することにより通行人3の有無を判断している(S002)。ここでの検知器51は人間検知器51A、潜り込み検知器51B、扉可動範囲検知器51Cのいずれでも良い。待機中に、通行人3が提示する認証媒体(ICカード等)の情報を認証器41が読み取れば、認証器41から送信された認証媒体の情報を制御装置80が受信する。また、検知器51のいずれかが通行人3等を検知すれば、いずれかの検知器51から送信された検知情報を制御装置80が受信する。これらの受信情報により制御装置80は通行人3の有無を判断する。制御装置80が認証媒体の情報又は検知情報を受信するまで待機状態が維持される(S001に戻るループが繰り返される)。
【0074】
認証媒体の情報又は検知情報が制御装置80に送信されると、制御装置80は認証媒体の情報か否かを判断する(S003)。もし、認証媒体の情報が制御装置80に送られる前に制御装置80に検知情報が送信されたとする。この場合には制御装置80は認証媒体の情報を受信していないので、検知された通行人3の通行を認証媒体無しでの通行と判断して扉の閉状態を維持し、必要に応じて、表示部60及び/又は音声案内(図示せず)で告知する(S004)。
【0075】
次に、認証媒体の情報が制御装置80に送られた場合を説明する。通行人3が認証器41に認証媒体をかざして、認証器41が認証媒体を認識すると、認証器41が認証媒体の情報を読み取り、認証媒体に記録された通行人3の情報を認識する。認証器41により読取られた認証媒体の情報が制御装置80に送られる。制御装置80は、認証媒体の情報から通行人3が入出場許可された者か否かを判定する(S005)。例えば認証媒体が定期乗車券の場合には、通勤・通学区間内での入出場か否かまた有効期間内での利用か否かを判定する。また、認証媒体がICカード乗車券の場合には、利用可能な残金が最低乗車料金以上あるか否かを判定する。制御装置80にて通行人3が入出場許可された者でないと判定された場合(S005でN)、不適正な通過として扉10の閉状態を維持し、必要に応じて、表示部60及び/又は音声案内(図示せず)で告知する(S006)。
【0076】
制御装置80にて通行人3が入出場許可された者であると判定された場合(S005でY)、制御装置80は認証媒体から認証用情報(例えば氏名、適用対象(乗車等)、有効期間、利用条件等)を受信する。そして、制御装置80は各人間検知器51A又は潜り込み検知器51Bからの信号を待機する。すなわち制御装置80は各人間検知器51Aが通行人3を検知したか否かを判断する(S007)。通行人3が通路2(
図1参照)を扉10の方向に進むと各人間検知器51Aの検出光が遮られ、各人間検知器51A(本実施例では扉10の入口側に4個、出口側に1個設置されている。)が通行人3を検知する。また、通行人3が扉10の近く(入口側の閉位置より少し低い部分)を通過すると、潜り込み検知器51Bが通行人3を検知する。また、潜り込み検知器51Bは人間検知器51Aが検知できない小児、車椅子の通行人3等も検知する。制御装置80が認証媒体の情報を受信してから各人間検知器51A又は潜り込み検知器51Bからの情報を所定時間待機する(S008)。所定時間経過しても各人間検知器51A又は潜り込み検知器51Bからの情報が得られない場合には(S008でY)、通行人3が当該人間検知器51Aの設置位置や潜り込み検知器51Bの検出位置まで入らずに引き返したと判断して、待機状態(S001)に戻る。
【0077】
所定時間内に人間検知器51からの最初の信号が制御装置80に出力されると(S007でY)、制御装置80は扉稼働範囲検知器51Cからの情報の有無を判断する(S009)。すなわち、扉稼働範囲検知器51Cからの情報により、扉10が移動すれば衝突する領域(すなわち、仮想楕円筒6の内側の領域))に被検知体3A(人体又は物体)が存在するか否かを判断する。好ましくは、扉10の移動軌跡に侵入するおそれが大きい領域(すなわち、環状領域6Aの内側の領域)についても被検知体3A(人体又は物体)が存在するか否かを判断する。もし、扉稼働範囲検知器51Cが被検知体3Aの存在を検知している場合には(S009でY)、制御装置80は扉10の開放を禁止して扉10を閉位置に保持する(S010)。扉稼働範囲検知器51Cが被検知体3Aの存在を検知していない場合には(S009でN)、制御装置80が駆動器としてのモータ31を作動させ、扉10が回転軸線31Aの周りを回動して開位置の方向へ移動を開始する(S011)。
【0078】
本実施例におけるゲート装置1では人間検知器51Aは、筐体20の上部(略大人の腰の高さ)で入口から扉10まで略等間隔で4箇所に配置されている。通常は4箇所の人間検知器51Aから順次検知信号が制御装置80に送信されて、その後通行人3が扉10の位置を通過する。制御装置80は通行人3の通路2通過時の人間検知の出力が予め決められた態様であるか否かを判断する(S012)。もし、通行人3の通過時の人間検知の出力が予め決められた態様と異なる場合、制御装置80は扉10の回動を閉位置5A(
図6参照)の方向に戻す(S012でN)。予め決められた態様とは、4つの人間検知器51Aが入口から扉10の方向に並んでいる順に検知する態様である。例えば4つの人間検知器51Aのうち、入口に近い側の1箇所〜3箇所でしか検知されなかった場合は未進入、後戻りとみなされる。また、人間検知器51Aのうち入口に近い側の1箇所だけで検知された場合(子供が急に立った場合)、又は潜り込み検知器51Cだけで検知された場合には、扉10の近くに潜り込みする者がいるか子供がいるとみなされ、安全のために扉10を開放しないこととする。これらの場合、扉稼働範囲検知器51Cからの信号をチェックした(S013)後に、条件が適合する場合に扉10の閉鎖を行う。もし、扉稼働範囲検知器51Cが被検出体3Aの存在を検知している場合には(S013でY)、制御装置80は扉10の閉鎖を禁止して扉10を開放するか現在位置に保持する(S014)。扉稼働検知器51Cが被検出体3Aの存在を検知していない場合には(S013でN)、扉10を閉鎖する(S015)。
【0079】
通行人3の通路2通過時の人間検知の出力が予め決められた態様である場合には(S012でY)、正常な通過とみなされる。この場合、扉10を開放し、所定時間扉10を開位置に維持する(S016)。所定時間はゲート装置Gの運用者により設定可能であるが、出荷時には例えば3〜5秒に設定されている。所定時間経過後、扉を閉鎖するが、制御装置80は所定時間内での扉稼働範囲検知器51Cからの情報の有無を判断する(S017)。すなわち、扉稼働範囲検知器51Cからの情報により、扉10が移動すれば衝突する領域(すなわち、仮想楕円筒6の内側の領域))に被検知体3A(人体又は物体)が存在するか否かを判断する。好ましくは、扉10の移動軌跡に侵入するおそれが大きい領域(すなわち、環状領域6Aの内側の領域)についても被検知体3A(人体又は物体)が存在するか否かを判断する。もし、扉稼働範囲検知器51Cが被検出体3Aの存在を検知している場合には(S017でY)、制御装置80は扉10の閉鎖を禁止して扉10を開位置に保持する(S018)。扉稼働範囲検知器51Cが被検出体3Aの存在を検知していない場合には(S017でN)、制御装置80が駆動器としてのモータ31を作動させ、扉10が駆動軸線31Aの周りを回動して閉位置5Bの方向へ移動を開始する(S019)。そして、扉10の移動中に制御装置80は再度扉稼働範囲検知器51Cからの情報の有無を判断する(S020)。もし、扉稼働範囲検知器51Cが被検出体3Aの存在を検知した場合には(S020でY)、制御装置80は扉10の閉鎖を停止して扉10を開位置に戻す(S021)。扉稼働検知器51Cが被検出体3Aの存在を検知していない場合には(S020でN)、制御装置80は扉10を閉鎖し(S022)、待機状態(S001)に戻る。
【0080】
〔扉可動範囲検知器の動作〕
ここで、扉可動範囲検知器51Cの動作について注目する。扉可動範囲検知器51Cは、(S009)、(S013)、(S017)及び(S020)で参照される。(S009)において、扉可動範囲検知器51Cの少なくとも1つが遮光された場合、扉閉状態から扉開方向への動作が禁止される。扉可動範囲検知器51Cが非遮光状態となることで扉開放方向への動作の禁止は解除され、扉10が開放位置に移動する。扉10の開放動作時に、扉可動範囲検知器51Cが遮光された場合には、扉10を動作停止させることも可能ではある。しかし、通行人3の通過が早くて扉が完全に開放される前に扉可動範囲検知器51Cを遮る場合が考えられ、かかる場合に扉10の開放動作が停止してしまうと扉10が通行人3と衝突する恐れがある。したがって、ここでは、通行人3への危険防止を優先させて動作停止を行わないこととした。なお、具体的な扉10の開閉の制御については、プログラム対応にて適宜変更が可能であり、被検出体3Aの行為を優先させることも可能である。なお通常は、扉10の出口外側の近くにいる者は通行人3が通過中であることを見て、戻る、横によける等の行為に移るのが自然と考えられる。
【0081】
(S013)、(S017)において、扉10が閉状態へ移動を開始する前に、扉可動範囲検知器51Cが遮光された場合には、閉状態への移動の開始を禁止する。また、(S020)において、扉が閉状態へ移動を開始していた場合には、扉10の移動を停止する。これらの場合、扉可動範囲検知器51Cの遮光状態が非遮光状態となることで、扉10の閉状態へ移動の禁止および停止は解除となる。扉10が閉状態に戻り、待機する工程(S001)に戻ることになる。
【0082】
以上により、本実施例によれば、被検出体と扉との接触又は衝突を防止できるゲート装置を提供できる。