(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する方法であって、
前記昇圧前の液化ガスに混合器を用いて減熱ガスを混合して減熱する減熱工程を有し、
該減熱工程は、
前記貯留槽から払い出された液化ガスの熱量及び流量と、前記混合器によって前記減熱ガスが混合されて減熱された液化ガスの圧力及び温度とを計測し、
減熱に必要とされる減熱ガス流量の演算と、該演算された減熱ガス流量が前記混合器で凝縮可能な流量かどうかの判定を行い、前記演算された減熱ガス流量の範囲内でかつ前記混合器で凝縮可能な流量の範囲内で前記減熱ガスを前記混合器に供給することを特徴とする液化ガスの減熱方法。
貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する方法であって、
前記貯留槽から排出される蒸発ガス、又は蒸発ガス及び減熱ガスを、前記昇圧前の液化ガスに混合器を用いて混合して減熱する減熱工程を有し、
該減熱工程は、
前記貯留槽から排出される蒸発ガスの熱量及び流量、前記貯留槽から払い出された液化ガスの熱量及び流量と、前記混合器によって前記蒸発ガス、又は蒸発ガス及び減熱ガスが混合されて減熱された液化ガスの圧力及び温度とを計測し、
減熱に必要とされる蒸発ガス流量、又は蒸発ガス及び減熱ガス流量の演算と、
前記演算された蒸発ガス流量、又は蒸発ガス及び減熱ガス流量が前記混合器で凝縮可能な流量かどうかの判定と、を行い、前記演算された流量の範囲内でかつ前記混合器で凝縮可能な流量の範囲内で、前記蒸発ガスを単独で、又は蒸発ガスと減熱ガスの両方を前記混合器に供給することを特徴とする液化ガスの減熱方法。
貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する液化ガスの減熱装置であって
前記液化ガスの払出ラインに設けられて前記昇圧前の液化ガスに減熱ガスを混合する混合器と、該混合器に減熱ガスを供給する減熱ガス供給ラインと、該減熱ガス供給ラインを流れる減熱ガス流量を計測する流量計と、前記減熱ガス供給ラインに設けられて前記混合器に供給する減熱ガス流量を調整する第1流量調節弁と、前記混合器の上流側に設けられて液化ガスの熱量及び流量を計測する第1計測器と、前記混合器の下流側に設けられて前記減熱ガスが混合された液化ガスの圧力、温度を計測する第2計測器と、
前記第1計測器、前記第2計測器、前記流量計の計測値を入力し、該入力値に基づいて前記混合器に供給すべき減熱ガス流量を演算する機能と、該演算機能で演算された減熱ガスの流量が前記混合器で凝縮可能かどうかを判定する機能と、前記混合器で凝縮可能な減熱ガス流量の最大量を演算する機能と、前記第1流量調節弁を制御する機能を有する熱量・ガス流量調整装置とを備えたことを特徴とする液化ガスの減熱装置。
貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する液化ガスの減熱装置であって
前記液化ガスの払出ラインに設けられて前記昇圧前の液化ガスに減熱ガスを混合する混合器と、
該混合器に減熱ガスを供給する減熱ガス供給ラインと、該減熱ガス供給ラインを流れる減熱ガス流量を計測する流量計と、前記減熱ガス供給ラインに設けられて前記混合器に供給する減熱ガス流量を調整する第1流量調節弁と、
前記混合器の上流側に設けられて液化ガスの熱量及び流量を計測する第1計測器と、前記混合器の下流側に設けられて前記減熱ガスが混合された液化ガスの圧力、温度を計測する第2計測器と、
前記混合器に前記貯留槽から排出される蒸発ガスを供給する蒸発ガス供給ラインと、該蒸発ガス供給ラインに設けられて蒸発ガスを所定の圧力に圧縮する蒸発ガス圧縮機と、前記蒸発ガス供給ラインに設けられて蒸発ガスの熱量、流量を計測する第3計測器と、前記蒸発ガス供給ラインに設けられて前記混合器に供給する蒸発ガス流量を調節する第2流量調節弁と、
前記第1計測器、前記第2計測器、前記第3計測器及び前記流量計の計測値を入力して、以下の機能を有する熱量・ガス流量調整装置とを備えたことを特徴とする液化ガスの減熱装置。
・減熱に必要な蒸発ガス流量を演算する機能、該機能によって演算された蒸発ガスだけで減熱が可能かどうかを判定する機能
・蒸発ガスの流量が前記混合器で凝縮可能な量かどうかを判定する機能
・蒸発ガスだけで減熱ができない場合に必要とされる減熱ガス流量を演算する機能
・蒸発ガスと減熱ガスの混合ガスが凝縮可能かどうかを判定する機能
・前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁を制御する機能
前記混合器は、液化ガスに蒸発ガスを混合するものと、液化ガスに減熱ガスを混合するものとが別々に設けられていることを特徴とする請求項4記載の液化ガスの減熱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液化天然ガスは液体状態でポンプによって高圧まで昇圧した後で気化させるため、特許文献1のように気化後の天然ガスに窒素ガスを混合する方法では、必然的に窒素ガスの混合圧力も高圧となり、窒素を圧縮するための高圧コンプレッサーが必要となり設備面及び動力面でコストアップとなる。
【0006】
また、特許文献2において希釈用として用いる蒸発ガスは、低温の液化天然ガス貯槽から必然的に発生するものであり、その発生量を制御できず、また液化天然ガス貯槽内の圧力が過剰にならないようにコンプレッサーを稼動させて蒸発ガスを排出するため、この意味でも排出量を制御することは難しい。そのため、蒸発ガスのみを用いて減熱量を独立して制御することは難しいという問題がある。さらに、蒸発ガスは液化天然ガスを起源とするため天然ガスよりも熱量は低いものの、熱量の差は小さい。そのため、熱量調整のためには大量の蒸発ガスが必要といった問題点があった。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、設備面や動力面でコストアップにならず、減熱量を確実に制御可能な液化ガスの減熱方法及び装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る液化ガスの減熱方法は、貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する方法であって、
前記昇圧前の液化ガスに混合器を用いて減熱ガスを混合して減熱する減熱工程を有し、
該減熱工程は、
前記貯留槽から払い出された液化ガスの熱量及び流量
と、前記混合器によって前記減熱ガスが混合されて減熱された液化ガスの圧力及び温度とを計測し、
減熱に必要とされる減熱ガス流量の演算と、該演算された減熱ガス流量が前記混合器で凝縮可能な流量かどうかの判定を行い、前記演算された
減熱ガス流量の範囲内でかつ前記混合器で凝縮可能な流量の範囲内で前記減熱ガスを前記混合器に供給することを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する方法であって、
前記貯留槽から排出される蒸発ガス、又は蒸発ガス及び減熱ガスを、前記昇圧前の液化ガスに混合器を用いて混合して減熱する減熱工程を有し、
該減熱工程は、
前記貯留槽から排出される蒸発ガスの熱量及び流量、前記貯留槽から払い出された液化ガスの熱量及び流量
と、前記混合器によって前記蒸発ガス、又は蒸発ガス及び減熱ガスが混合されて減熱された液化ガスの圧力及び温度とを計測し、減熱に必要とされる蒸発ガス流量、又は蒸発ガス
及び減熱ガス流量
の演算
と、
前記演算された蒸発ガス流量、又は蒸発ガス及び減熱ガス流量が前記混合器で凝縮可能な流量かどうかの判定と、を行い、前記演算された流量の範囲内でかつ前記混合器で凝縮可能な流量の範囲内で、前記蒸発ガスを単独で、又は蒸発ガスと減熱ガスの両方を前記混合器に供給することを特徴とするものである。
【0010】
(3)本発明に係る液化ガスの減熱装置は、貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱するものであって
前記液化ガスの払出ラインに設けられて前記昇圧前の液化ガスに減熱ガスを混合する混合器と、該混合器に減熱ガスを供給する減熱ガス供給ラインと、該減熱ガス供給ラインを流れる減熱ガス流量を計測する流量計と、前記減熱ガス供給ラインに設けられて前記混合器に供給する減熱ガス流量を調整する第1流量調節弁と、前記混合器の上流側に設けられて液化ガスの熱量及び流量を計測する第1計測器と、前記混合器の下流側に設けられて前記減熱ガスが混合された液化ガスの圧力、温度を計測する第2計測器と、
前記第1計測器、前記第2計測器
、前記流量計の計測値を入力し、該入力値に基づいて前記混合器に供給すべき減熱ガス流量を演算する機能と、該演算機能で演算された減熱ガスの流量が前記混合器で凝縮可能かどうかを判定する機能と、前記混合器で凝縮可能な減熱ガス流量の最大量を演算する機能と、前記第1流量調節弁を制御する機能を有する熱量・ガス流量調整装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、貯留槽から払い出された液化ガスを液体状態で昇圧し、昇圧後に気化させて製造ガスとして送出する液化ガスの払出ラインにおいて前記液化ガスの熱量を減熱する液化ガスの減熱装置であって
前記液化ガスの払出ラインに設けられて前記昇圧前の液化ガスに減熱ガスを混合する混合器と、
該混合器に減熱ガスを供給する減熱ガス供給ラインと、該減熱ガス供給ラインを流れる減熱ガス流量を計測する流量計と、前記減熱ガス供給ラインに設けられて前記混合器に供給する減熱ガス流量を調整する第1流量調節弁と、前記混合器の上流側に設けられて液化ガスの熱量及び流量を計測する第1計測器と、前記混合器の下流側に設けられて前記減熱ガスが混合された液化ガスの圧力、温度を計測する第2計測器と、前記混合器に前記貯留槽から排出される蒸発ガスを供給する蒸発ガス供給ラインと、該蒸発ガス供給ラインに設けられて蒸発ガスを所定の圧力に圧縮する蒸発ガス圧縮機と、前記蒸発ガス供給ラインに設けられて蒸発ガスの熱量、流量を計測する第3計測器と、前記蒸発ガス供給ラインに設けられて前記混合器に供給する蒸発ガス流量を調節する第2流量調節弁と、
前記第1計測器、前記第2計測器、前記第3計測器
及び前記流量計の計測値を入力して
、以下の機能を有する熱量・ガス流量調整装置とを備えたことを特徴とするものである。
・減熱に必要な蒸発ガス流量を演算する機能、該機能によって演算された蒸発ガスだけで減熱が可能かどうかを判定する機能
・蒸発ガスの流量が前記混合器で凝縮可能な量かどうかを判定する機能
・蒸発ガスだけで減熱ができない場合に必要とされる減熱ガス流量を演算する機能
・蒸発ガスと減熱ガスの混合ガスが凝縮可能かどうかを判定する機能
・前記第1流量調節弁、前記第2流量調節弁を制御する機能
【0012】
(5)上記(4)に記載のものにおいて、前記混合器は、液化ガスに蒸発ガスを混合するものと、液化ガスに減熱ガスを混合するものとが別々に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、昇圧前の液化ガスに混合器を用いて減熱ガスを混合して減熱する減熱工程を有し、該減熱工程は、前記貯留槽から払い出された液化ガスの熱量及び流量を計測し、該計測された計測値に基づいて、減熱に必要とされる減熱ガス流量を演算し、該演算された流量の範囲内でかつ前記混合器で凝縮可能な流量の範囲内で前記減熱ガスを前記混合器に供給するようにしたので、設備面や動力面でコストアップにならず、また蒸発ガス以外の減熱ガスを用いていることから減熱量を確実に制御可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る液化ガスの減熱方法を実施するための装置構成の説明図である。
液化ガスの減熱装置1は、液化ガス3(例えば液化天然ガス(LNG))が貯留されている貯留槽5から液化ガス3を払い出す液化ガス払出ライン7に設けられた、プライマリポンプ9、混合器11、セカンダリポンプ13、バルブ15、気化器17を有し、さらに、プライマリポンプ9と混合器11の間に設けられた第1熱量計19及び第1流量計21を有する第1計測器23と、混合器11とセカンダリポンプ13の間に設けられた圧力計25及び温度計27を有する第2計測器29とを備えている。
また、混合器11に減熱ガスとしての窒素ガスを窒素ガスタンク31から供給する減熱ガス供給ライン33を備えており、減熱ガス供給ライン33には窒素ガス流量を計測する流量計35と、流量調節弁37が設けられている。
図1の実施形態では窒素の他、炭酸ガスやアルゴンに代表される希ガスなど熱量が無いガスの他、熱量のあるガスも使用することができる。減熱ガスとして水素やメタンなど熱量のあるガスを用いる場合には、図示しないが減熱ガスの供給ラインに減熱ガスの熱量を計測する計測器を設置し、計測値に基づいて、減熱に必要とされる減熱ガス流量を演算し、該演算された流量の範囲内でかつ前記混合器で凝縮可能な流量の範囲内で前記減熱ガスを前記混合器に供給する。
さらに、第1計測器23、第2計測器29の計測値を入力して減熱に必要な窒素ガス流量を演算し、該演算値に基づいて流量調節弁37を制御する熱量・ガス流量調整装置39を備えている。
各機器を詳細に説明する。
【0016】
<プライマリポンプ>
プライマリポンプ9は、液化ガス払出ライン7を流れる液化ガス3の圧力を例えば0.8MPa〜2MPaの範囲に昇圧する。
【0017】
<混合器>
混合器11は、窒素ガスを液化ガス3中に混合するための装置である。窒素ガスは微細気泡化した方が混合しやすく、混合装置としては例えば旋回流方式、スタティックミキサー式、キャビテーション式、ベンチュリー式、細孔式など種々の態様のものを用いることができる。
【0018】
<セカンダリポンプ>
セカンダリポンプ13は、プライマリポンプ9で昇圧された圧力をさらに高圧(例えば3MPa〜7MPa)に昇圧する。
【0019】
<気化器>
気化器17は、セカンダリポンプ13で昇圧された液化ガス3を気化して製造ガスとする。
【0020】
<第1計測器>
第1計測器23は、プライマリポンプ9で昇圧され、混合器11で窒素ガスが混合される前の液化ガス3の熱量を計測する第1熱量計19、液化ガス払出ライン7を流れる液化ガス3の流量を計測する第1流量計21を備えている。
第1計測器23で計測された計測値は熱量・ガス流量調整装置39に入力される。
【0021】
<第2計測器>
第2計測器29は、混合器11によって窒素ガスが混合されて減熱された液化ガス3の圧力を計測する圧力計25、減熱された液化ガス3の温度を計測する温度計27を備えている。
第2計測器29で計測された計測値は熱量・ガス流量調整装置39に入力される。
【0022】
<窒素ガスタンク>
窒素ガスタンク31は窒素ガスの供給元であるが、窒素ガスの供給元としては、窒素ガスタンク以外でも良く、例えば工場用窒素ガスやボンベであってもよい。
【0023】
<流量計>
流量計35は、減熱ガス供給ライン33に設けられて、混合器11に供給される窒素ガスの流量を計測する。流量計35の計測値は熱量・ガス流量調整装置39に入力される。
【0024】
<流量調節弁>
流量調節弁37は、熱量・ガス流量調整装置39に制御されて混合器11に供給する減熱ガス流量を調節する。
【0025】
<熱量・ガス流量調整装置>
熱量・ガス流量調整装置39は、第1計測器23、第2計測器29、流量計35の計測値を入力し、該入力値に基づいて混合器11に供給すべき窒素ガス流量を演算する機能と、演算機能で演算された窒素ガスの量が混合器で凝縮可能かどうかを判定する機能と、混合器11で凝縮可能な窒素ガス流量の最大量を演算する機能と、流量調節弁37を制御する機能を備えている。
【0026】
混合器11に供給される窒素ガス流量が、現在払い出されている液化ガスによって凝縮可能かどうかを判定する理由は以下の通りである。
まず、熱量・ガス流量調整装置39は、液化ガスの熱量が目標とする熱量に減熱されるのに必要な窒素ガスを混合器に供給するように流量調節弁37を制御するのが原則である。
しかし、窒素ガスの量が多い場合、窒素ガスが凝縮せずに気体のまま下流に流れるとセカンダリポンプ13が損傷を受ける。また、窒素ガスが気体のまま下流に流れると、圧力損失が大きくなり、液化ガス3の払い出しが不安定になることがある。
そこで、本発明では液化ガスによって凝縮できる限界量以下になるように減熱ガスとしての窒素ガスの混合量を制御している。
【0027】
なお、減熱に必要な窒素ガスの量が凝縮可能な量を超えている場合には、目標の減熱が得られないが、この場合には、液化ガス3を気化させた後で、窒素ガスを混合して所定の熱量になるように調整すればよい。
この場合であっても、減熱に必要とされる全ての窒素ガスを、液化ガス3の気化後に混合する場合に比較して、窒素ガスを高圧にする設備や動力費用等を格段に低減することができる。
【0028】
<動作説明>
本発明に係る液化ガスの減熱方法を、液化ガスの減熱装置1の動作と共に説明する。
貯留槽5から払い出された液化ガス3は、プライマリポンプ9で所定圧力(例えば0.8MPa〜2MPa)に昇圧されて混合器11に供給される。
一方で、窒素ガスタンク31内の窒素ガスは、減熱ガス供給ライン33を介して混合器11に供給され、貯留槽5から払い出された液化ガス3に混合されて減熱調整がなされる。
減熱調整された液化ガス3はセカンダリポンプ13で昇圧され、気化器17で製造ガスに気化されて、需要側に送出される。
【0029】
以上の過程で、減熱方法は以下のように行われる(
図2参照)。
プライマリポンプ9と混合器11との間を流れる液化ガス3の熱量及び流量が第1計測器23によって計測され、計測値が熱量・ガス流量調整装置39に入力される。また第2計測器29で計測された計測値が熱量・ガス流量調整装置39に入力される。
熱量・ガス流量調整装置39によって、第1計測器23から入力された計測値に基づいて目標とする熱量にするのに必要とされる窒素ガス流量が演算される(S1)。
また、熱量・ガス流量調整装置39によって、S1で演算された窒素ガス流量が混合器11で凝縮可能な流量かどうかを判定する(S3)。
【0030】
S3における判定は、減熱前の液化ガス3の組成、質量流量、窒素ガスの質量流量、窒素ガスを混合した後の液化ガス3の圧力、温度を用いて、飽和液(沸騰点に達した瞬間の液)になるかどうかによって判定する。
なお、減熱前の液化ガス3の組成は、予め熱量・ガス流量調整装置39が情報として有していてもよいし、あるいは図示しない分析装置によって分析して、熱量・ガス流量調整装置39に入力するようにしてもよい。
【0031】
S3の判定において、凝縮可能な窒素ガス流量の範囲内であると判定されると、S1において演算された窒素ガス流量を混合器11に供給するように流量調節弁37が熱量・ガス流量調整装置39によって制御され、必要な窒素ガスが混合される(S5)。
【0032】
他方、S3の判定において、S1で演算された窒素ガス流量が凝縮可能な窒素ガス流量の範囲を超えていると判定された場合には、熱量・ガス流量調整装置39が凝縮可能な窒素ガスの最大量を演算する(S7)。
S7で演算された窒素ガスを供給するように熱量・ガス流量調整装置39は、流量調節弁37を制御して、窒素ガスを液化ガス3に混合する(S9)。
【0033】
本実施の形態によれば、セカンダリポンプで昇圧する前の液化ガス3に窒素ガスを供給するようにしているので、窒素ガスを高圧にするための高圧コンプレッサー等の設備が不要であり、設備面や動力面でコストアップにならず、また、減熱ガスとして定常的に供給可能な窒素ガスを用いていることから減熱量を確実に制御可能となる。
【0034】
なお、液化ガス3の熱量が分かっている場合には第1熱量計19による計測値を用いないで、上記の既知の値を用いて熱量制御を行うようにしてもよい。
また、混合器11の入口側の第1計測器23にて熱量を計測して制御するフィードフォワード制御の代わりに、混合器11出口側の第2計測器29にて熱量を計測するようにしても良い(図示せず)。この場合、混合器11出口における減熱後の液化ガスの熱量を目標熱量値に近づけるように窒素ガス量を調整する。(フィードバック制御)。
さらに、第1計測器23と第2計測器29の両方で熱量を計測し、第1計測器23の計測値から窒素ガス流量を演算するとともに、さらに、減熱後の液化ガスの熱量実測値を目標熱量値に近づけるように、窒素ガス量を調整するようにしても良い。
また、上記の実施の形態では、混合器11を一台設ける例を示したが、液化ガス払い出しライン7における混合器11の下流側に熱量計、流量計、温度計、圧力計等の計測機器及び混合器を設け、これらの計測値に基づいてさらに窒素ガスを混合して熱量が目標値になるよう調整を行ってもよい。
【0035】
[実施の形態2]
本実施の形態2は、実施の形態1の装置構成に加えて、貯留槽5で発生した蒸発ガスを混合器11に供給する蒸発ガス供給ライン43を設けたものである。本実施の形態に係る液化ガスの減熱装置41を示す
図3において実施の形態1と同一部分には同一の符号を付してある。
【0036】
蒸発ガス供給ライン43は、上述のように、貯留槽5で発生した蒸発ガスを混合器11に供給するものであり、蒸発ガス供給ライン43には蒸発ガス供給ライン43を流れる蒸発ガスの圧力を計測する圧力計45と、ガス状態の蒸発ガスを所定の圧力に昇圧する蒸発ガス圧縮機47と、蒸発ガス圧縮機47で圧縮された蒸発ガスの熱量を計測する第2熱量計49、流量を計測する第2流量計51を備えた第3計測器53と、混合器11に供給する蒸発ガスの流量を調節する第2流量調節弁55とが設けられている。
【0037】
蒸発ガス供給ライン43に設けられた圧力計45によって、蒸発ガス供給ライン43の圧力が計測され、この計測値に基づいて貯留槽5内の圧力が過剰にならないように蒸発ガス圧縮機47を稼動させている。蒸発ガス圧縮機47は、例えば50%、75%、100%など段階的に出力を変動させるのが一般的である。
なお、混合器11に供給される蒸発ガスは混合器11に供給される液化ガスの圧力と同等程度である必要があることから、蒸発ガス圧縮機47によって蒸発ガスは0.8MPa〜2MPaに昇圧される。
【0038】
<熱量・ガス流量調整装置>
熱量・ガス流量調整装置57は、以下に示す種々の演算機能、判定機能、制御機能を有している。
・減熱に必要な蒸発ガス流量を演算する機能、該機能によって演算された蒸発ガスだけで減熱が可能かどうかを判定する機能
・蒸発ガスの量が混合器11で凝縮可能な量かどうかを判定する機能
・蒸発ガスだけで減熱ができない場合に必要とされる窒素ガス流量を演算する機能
・蒸発ガスの量が混合器11で凝縮可能な量を超えており、窒素ガスを加える場合において、蒸発ガスと窒素ガスの混合ガスが凝縮可能かどうかを判定する機能
・蒸発ガスと窒素ガスが凝縮可能な量を超えている場合に、熱量を優先するか蒸発ガスの処理を優先するかを選択する機能
・蒸発ガスと窒素ガスの混合ガスで減熱する場合において凝縮可能でかつ減熱量を最大とする蒸発ガス流量と窒素ガス流量を演算する機能
・蒸発ガスと窒素ガスの混合ガスで減熱する場合において凝縮可能でかつ蒸発ガスの処理量を最大とする蒸発ガス流量と窒素ガス流量を演算する機能
・流量調節弁37、第2流量調節弁55を制御する機能
【0039】
<動作説明>
本発明に係る液化ガスの減熱方法を、液化ガスの減熱装置41の動作と共に説明する。
貯留槽5から払い出された液化ガス3は、プライマリポンプ9で所定圧力(例えば0.8MPa〜2MPa)に昇圧されて混合器11に供給される。
一方で、窒素ガスタンク31内の窒素ガスが減熱ガス供給ライン33を介して混合器11に供給され、また、貯留槽5で発生した蒸発ガスが蒸発ガス供給ライン43に排出されて蒸発ガス圧縮機47で圧縮されて混合器11に供給される。
混合器11には、蒸発ガスが単独、または蒸発ガスと窒素ガスの両方が供給され、この供給されたガスが貯留槽5から払い出された液化ガス3に混合されて減熱調整がなされる。
減熱調整された液化ガス3はセカンダリポンプ13で昇圧され、気化器17で製造ガスに気化されて、需要側に送出される。
【0040】
以上の過程で、減熱方法は以下のように行われる(
図4参照)。
プライマリポンプ9と混合器11との間を流れる液化ガス3の熱量及び流量が第1計測器23によって計測され、計測値が熱量・ガス流量調整装置57に入力される。また第2計測器29で計測された計測値が熱量・ガス流量調整装置57に入力される。さらに、第3計測器53で計測された計測値が熱量・ガス流量調整装置57に入力され、以下の処理が熱量・ガス流量調整装置57の演算機能、判定機能、制御機能によって行われる。
第1計測器23から入力された計測値に基づいて目標とする熱量にするのに必要とされる蒸発ガス流量を演算する(S11)。
S11で演算された蒸発ガス流量だけで目標とする減熱が可能かどうかを判定する(S13)。
S13の判定において、減熱可能な場合には、その量の蒸発ガスを凝縮できるかどうかを判定する(S15)。
S15の判定において凝縮可能であれば、当該量の蒸発ガスを混合するように第1調節弁を制御して必要な蒸発ガスを混合器11に供給して混合する(S17)。
【0041】
S13の判定において、蒸発ガスだけで減熱ができないと判定された場合、不足している減熱量を補うのに必要とされる窒素ガス流量を演算する(S19)。
また、S15の判定において、蒸発ガスを凝縮できないと判定された場合、蒸発ガスを減量して、窒素ガスを加えて減熱する場合の蒸発ガス流量と窒素ガス流量を演算する(S21)。
【0042】
S21の演算をする理由は以下の通りである。
蒸発ガスの方が窒素ガスよりも凝縮し易いが、窒素ガスの熱量はゼロであることから窒素ガスの方が蒸発ガスよりも減熱効果が高く、少量での減熱が可能である。そのため、蒸発ガスを凝縮できない場合において、蒸発ガスを減量して窒素ガスを加えることで、目標とする減熱が可能で、かつ凝縮が可能となる場合がある。
【0043】
S19又はS21で演算された蒸発ガスと窒素ガスが凝縮可能かどうかを判定する(S23)。
S23の判定において凝縮可能な場合には、調節弁37、第2調節弁55を制御して当該量の蒸発ガス及び窒素ガスを混合器11に供給する(S25)。
S23の判定において、凝縮ができないと判定された場合には、熱量を優先するのか蒸発ガスの処理量を優先するのかを選択する(S27)。
熱量を優先するとは、蒸発ガスの処理量を多くすることよりも目標とする熱量に近くなるように減熱することを優先することを意味する。
また、蒸発ガスの処理量を優先するとは、目標とする減熱量に近くすることよりも蒸発ガスを多く処理できることを優先することを意味する。
S27の選択は、熱量・ガス流量調整装置57が予め定められた基準に基づいて自動的に行ってもよいし、あるいは作業者が熱量・ガス流量調整装置57に対して入力処理を行うことで行うようにしてもよい。
【0044】
S27の選択において、熱量を優先した場合には、蒸発ガスと窒素ガスによって液化ガス3の熱量と目標とする熱量との差を最小にすることができ、かつ凝縮可能な蒸発ガスと窒素ガスの量を演算する(S29)
S29によって演算された量の蒸発ガスと窒素ガスとなるように調節弁37と第2調節弁55を制御して液化ガス3に蒸発ガスと窒素ガスを混合する(S31)。
【0045】
S27の選択において、蒸発ガスの処理量を優先した場合、蒸発ガス処理量を最大にして、これに窒素ガスを加えた場合に凝縮可能な蒸発ガス流量と窒素ガス流量を演算する(S33)。
S33によって演算された量の蒸発ガスと窒素ガスとなるように調節弁37と第2調節弁55を制御して液化ガス3に蒸発ガスと窒素ガスを混合する(S35)。
【0046】
本実施の形態によれば、窒素ガスに加えて蒸発ガスを減熱ガスとして利用することができ、実施の形態1の効果に加えて、蒸発ガスの処理をしつつ減熱を確実に行うことができるという効果が得られている。
また、蒸発ガスをセカンダリポンプで昇圧する前の低圧状態にある液化ガス3に混合するようにしているので、蒸発ガスの圧力も低圧でよく、蒸発ガスの圧縮昇圧に用いる蒸発ガス圧縮機47が小規模なもので済み、設備費、動力費が低減できる。
【0047】
なお、上記の実施の形態2においては、一つの混合器11に対して蒸発ガスと窒素ガスを供給して混合する例を示したが、例えば
図5に示すように、蒸発ガスを液化ガス3に供給して混合する第1混合器59と、蒸発ガスが混合された液化ガス3に窒素ガスを供給して混合する第2混合器61とを設けるようにしてもよい。この場合、第1混合器と、第2混合器はどちらを上流側にしてもかまわないが、以下の理由から、蒸発ガスを液化ガス3に供給して混合する第1混合器59を上流側に配置する方が望ましい。
【0048】
蒸発ガスは窒素ガスと比較して熱量が大きいため、減熱量が同じであれば液化ガスに混合するガス量は蒸発ガスの方が窒素ガスよりも格段に多くなる。
また、S27の選択において、熱量を優先した場合であっても、できるだけ蒸発ガスの混合量を多くすることが望まれる。
このようなことから、S27の選択において、蒸発ガスの処理量を優先した場合は当然のことながら、熱量を優先した場合であっても、液化ガスに混合するガス量としては蒸発ガスの方が窒素ガスよりも多くなる。
そして、一般に、ガス量が多くなるほど、ガスが完全に凝縮するまでにより多くの時間を要する。そのため、多量のガスを混合することになる第1混合器をセカンダリポンプ13からの距離が遠い上流側に設置する方が、セカンダリポンプ13にガスが流入する可能性を低減できる。
【0049】
また、予め液化ガス3や蒸発ガスの熱量が分かっている場合には、液化ガス払出ライン7に設置された第1熱量計19や蒸発ガス供給ライン43に設置された第2熱量計49の計測値を用いないで、上記の既知の値を用いて熱量制御を行うようにしてもよい。
なお、実施の形態1と同様、(S11)および(S19)において、第1計測器23にて熱量を計測して制御するフィードフォワード制御の代わりに、混合器11出口側の第2計測器29にて熱量を計測するようにして(図示せず)、蒸発ガスおよび/または窒素ガス量を調整するようにしても良い(フィードバック制御)。
さらに、第1計測器23と第2計測器29の両方で熱量を計測し、第1計測器23の計測値から蒸発ガス流量および窒素ガス流量を演算するとともに、さらに、減熱後の液化ガスの熱量実測値を目標熱量値に近づけるように、蒸発ガスおよび/または窒素ガス量を調整するようにしても良い。