特許第6510330号(P6510330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特許6510330-車両用照明装置 図000002
  • 特許6510330-車両用照明装置 図000003
  • 特許6510330-車両用照明装置 図000004
  • 特許6510330-車両用照明装置 図000005
  • 特許6510330-車両用照明装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6510330
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/43 20180101AFI20190422BHJP
   F21S 41/698 20180101ALI20190422BHJP
   F21S 41/36 20180101ALI20190422BHJP
   F21S 45/10 20180101ALI20190422BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20190422BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190422BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20190422BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20190422BHJP
【FI】
   F21S41/43
   F21S41/698
   F21S41/36
   F21S45/10
   F21Y101:00 100
   F21Y115:10
   F21Y115:15
   F21Y115:30
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-117720(P2015-117720)
(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-4767(P2017-4767A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 照亮
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−262766(JP,A)
【文献】 特開2014−010969(JP,A)
【文献】 特開2013−115046(JP,A)
【文献】 特開2014−120274(JP,A)
【文献】 特開2006−344521(JP,A)
【文献】 特開2016−096111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される照明装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光を所定の方向へ照射する光学部材と、
前記光学部材を支持する樹脂製のホルダと、
前記光源から出射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第一リフレクタと、
前記光源と前記光学部材の間に配置され、軸を中心として回転あるいは回動されることにより、前記光源から出射された光の一部を遮ることが可能な第一シェードと、
前記第一シェードを回転あるいは回動させる力を生成する駆動源と、
前記駆動源に電力を供給する樹脂製の給電部材と、
前記光学部材と前記第一シェードの間に配置され、前記第一リフレクタに反射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第二リフレクタと、
前記光学部材と前記第一シェードの間において、前記第一シェードに遮られなかった光の一部を遮るように配置された第二シェードと、
前記光学部材を通過して前記ホルダと前記給電部材の少なくとも一方に至る太陽光を遮るように配置された第三シェードと、
を備えており、
前記第二リフレクタ、前記第二シェード、および前記第三シェードは、同一の材料から形成されたワンピース部品の一部である、
照明装置。
【請求項2】
車両に搭載される照明装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光を所定の方向へ照射する光学部材と、
前記光学部材を支持する樹脂製のホルダと、
前記光源から出射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第一リフレクタと、
前記光源と前記光学部材の間に配置され、軸を中心として回転あるいは回動されることにより、前記光源から出射された光の一部を遮ることが可能な第一シェードと、
前記第一シェードを回転あるいは回動させる力を生成する駆動源と、
前記駆動源に電力を供給する樹脂製の給電部材と、
前記光学部材と前記第一シェードの間に配置され、前記第一リフレクタに反射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第二リフレクタと、
前記光学部材と前記第一シェードの間において、前記第一シェードに遮られなかった光の一部を遮るように配置された第二シェードと、
前記光学部材を通過して前記ホルダと前記給電部材の少なくとも一方に至る太陽光を遮るように配置された第三シェードと、
を備えており、
前記第二リフレクタは、第一材料により形成された第一部材の一部であり、
前記第二シェードおよび前記第三シェードの少なくとも一方は、前記第一材料と異なる第二材料により形成された第二部材の一部であり、
前記第一部材と前記第二部材は、接合により一体とされている、
照明装置。
【請求項3】
前記第一シェードは、ロータリーシェードである、
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記ホルダ、前記第一シェード、および前記駆動源を支持する支持部材を備えており、
前記支持部材は、前記第一シェードと前記第二リフレクタの間に配置される部分を有している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記支持部材は、スイブル軸を中心に回動可能とされており、
前記スイブル軸は、前記第一シェードと前記第二リフレクタの間を延びている、
請求項4に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された照明装置は、光源、光学部材、ロータリーシェード、駆動源、および給電部材を備えている。光学部材は、光源から出射された光を所定の方向に照射する。ロータリーシェードは、光源と光学部材の間に配置されている。ロータリーシェードは、軸を中心として回転されることにより、光源から出射された光の一部を遮ることが可能に構成されている。駆動源は、ロータリーシェードを回転させる力を生成する。給電部材は、駆動源に電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−010969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学部材は、前述の通り光源から出射された光を所定の方向に照射するように配置されている。しかしながら、車両と太陽の位置関係によっては、太陽光が光学部材を通過し、照明装置内に集光される場合がありうる。このようにして集光された太陽光が照明装置の構成要素を損傷しないように対策を講じる必要がある。
【0005】
本発明は、太陽光による照明装置の構成要素の損傷を回避できる構成を、低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第一の態様は、車両に搭載される照明装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光を所定の方向へ照射する光学部材と、
前記光学部材を支持する樹脂製のホルダと、
前記光源から出射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第一リフレクタと、
前記光源と前記光学部材の間に配置され、軸を中心として回転あるいは回動されることにより、前記光源から出射された光の一部を遮ることが可能な第一シェードと、
前記第一シェードを回転あるいは回動させる力を生成する駆動源と、
前記駆動源に電力を供給する樹脂製の給電部材と、
前記光学部材と前記第一シェードの間に配置され、前記第一リフレクタに反射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第二リフレクタと、
前記光学部材と前記第一シェードの間において、前記第一シェードに遮られなかった光の一部を遮るように配置された第二シェードと、
前記光学部材を通過して前記ホルダと前記給電部材の少なくとも一方に至る太陽光を遮るように配置された第三シェードと、
を備えており、
前記第二リフレクタ、前記第二シェード、および前記第三シェードは、同一の材料から形成されたワンピース部品の一部である。
【0007】
光学部材と第一シェードの間に配置されることを要する第二リフレクタや第二シェードと一体のワンピース部品として、相対的に熱損傷を受けやすい樹脂製部品を保護する第三シェードを設けることにより、太陽光による照明装置の構成要素の損傷を回避できる構成を低コストで提供できる。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第二の態様は、車両に搭載される照明装置であって、
車両に搭載される照明装置であって、
光源と、
前記光源から出射された光を所定の方向へ照射する光学部材と、
前記光学部材を支持する樹脂製のホルダと、
前記光源から出射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第一リフレクタと、
前記光源と前記光学部材の間に配置され、軸を中心として回転あるいは回動されることにより、前記光源から出射された光の一部を遮ることが可能な第一シェードと、
前記第一シェードを回転あるいは回動させる力を生成する駆動源と、
前記駆動源に電力を供給する樹脂製の給電部材と、
前記光学部材と前記第一シェードの間に配置され、前記第一リフレクタに反射された光の一部を前記光学部材に向けて反射する第二リフレクタと、
前記光学部材と前記第一シェードの間において、前記第一シェードに遮られなかった光の一部を遮るように配置された第二シェードと、
前記光学部材を通過して前記ホルダと前記給電部材の少なくとも一方に至る太陽光を遮るように配置された第三シェードと、
を備えており、
前記第二リフレクタは、第一材料により形成された第一部材の一部であり、
前記第二シェードおよび前記第三シェードの少なくとも一方は、前記第一材料と異なる第二材料により形成された第二部材の一部であり、
前記第一部材と前記第二部材は、接合により一体とされている。
【0009】
このような構成によれば、主としてリフレクタ機能を担う第一部材を主として遮光機能を担う第二部材と別体とすることにより、それぞれについて最適な材料選択の自由度が高まる。例えば、第一部材をステンレス材により形成することにより、安定した反射面を得るために表面処理を行なう必要がない。したがって、太陽光による照明装置の構成要素の損傷を回避できる構成をより低コストで提供できる。
【0010】
上記各態様に係る照明装置は、以下のように構成されうる。
前記第一シェードは、ロータリーシェードである。
【0011】
原理的に光学部材側への漏光を避けにくいロータリーシェードを第一シェードとして用いる場合、上記第二シェードの効果が顕著となる。
【0012】
上記各態様に係る照明装置は、以下のように構成されうる。
前記ホルダ、前記第一シェード、および前記駆動源を支持する支持部材を備えており、
前記支持部材は、前記第一シェードと前記第二リフレクタの間に配置される部分を有している。
【0013】
すなわち、第一シェードの軸と第二リフレクタが支持部材を挟んで互いに反対側に配置されている。このような構成によれば、第一シェードの軸と第二リフレクタがともに支持部材の前方に配置されている構成と比較すると、第二リフレクタの形状選択・配置自由度を確保しつつ、第一シェード、支持部材、および第二リフレクタが並ぶ方向における構造の大型化を抑制しやすい。
【0014】
この場合、上記各態様に係る照明装置は、以下のように構成されうる。
前記支持部材は、スイブル軸を中心に回動可能とされており、
前記スイブル軸は、前記第一シェードと前記第二リフレクタの間を延びている。
【0015】
このような構成によれば、光学部材を通じた光の照射方向をスイブル軸に直交する面内で変化させるスイブル制御が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る照明装置の外観を一部断面視で示す斜視図である。
図2図1の照明装置の構成を示す分解斜視図である。
図3図1の照明装置におけるシェードユニットの構成を示す分解斜視図である。
図4図1の照明装置の構成を示す図である。
図5図1の照明装置における多機能部材の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0018】
図1は、一実施形態に係る照明装置1の外観を一部断面視で示す斜視図である。図2は、当該照明装置1の構成を示す分解斜視図である。照明装置1は、例えば、車両に搭載される前照灯装置である。これらの図に示されるように、照明装置1は、光源ユニット2、レンズユニット3、リフレクタ4、およびシェードユニット5を備えている。
【0019】
光源ユニット2は、光源21、ヒートシンク22、駆動制御部23、空冷ファン24を備えている。光源21は、白熱灯やハロゲンランプなどのバルブ光源、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子などの半導体発光素子が適宜に採用されうる。ヒートシンク22は、光源21を支持している。ヒートシンク22は、金属などの熱伝導性の高い材料で形成されており、光源21の発光に伴う熱を放散する。駆動制御部23は、外部の制御装置(不図示)から制御信号を受信し、光源21の点消灯を制御する回路を備えている。空冷ファン24は、ヒートシンク22に送風し、熱の放散効果を高める。
【0020】
レンズユニット3は、投影レンズ31(光学部材の一例)とレンズホルダ32(ホルダの一例)を備えている。投影レンズ31は、透光材料により形成されている。投影レンズ31は、光源21から出射された光を所定方向に照射するように構成されている。レンズホルダ32は、投影レンズ31を支持している。レンズホルダ32は、樹脂により形成されている。
【0021】
リフレクタ4は、光源ユニット2に固定される。リフレクタ4は、光源21から出射された光を投影レンズ31へ向けて反射するように構成されている。
【0022】
図3は、シェードユニット5の構成を示す分解斜視図である。シェードユニット5は、ロータリーシェード51、軸受部材52、モータ53、伝達ギア54、およびモータコネクタ55を備えている。
【0023】
ロータリーシェード51は、回転軸51aと入力ギア51bを備えている。軸受部材52は、軸受腕部52aを備えている。回転軸51aは、軸受腕部52aにより、回転軸51aを中心として回転可能に支持される。モータ53(駆動源の一例)は、ピニオンギアが装着された出力軸53aを備えている。出力軸53aの回転は、ピニオンギアと伝達ギア54を介してロータリーシェード51の入力ギア51bに伝達される。すなわち、モータ53は、ロータリーシェード51を回転させる力を生成する。モータコネクタ55(給電部の一例)は、モータ53を駆動する電力を供給するために設けられている。モータコネクタ55は、樹脂製のハウジングを備えている。
【0024】
図1図2に示されるように、シェードユニット5は、給電コネクタ56(給電部の一例)を備えている。給電コネクタ56は、第一ハウジング56a、給電線56b、および第二ハウジング56cを備えている。給電線56bの一端は、第一ハウジング56a内に設けられた端子と電気的に接続されている。給電線56bの他端は、第二ハウジング56c内に設けられた端子と電気的に接続されている。第一ハウジング56aは、不図示の相手側コネクタと接続され、モータ53の駆動を制御するための信号を受信する。第二ハウジング56cは、モータコネクタ55と接続される。第一ハウジング56a、給電線56bの外被、および第二ハウジング56cは、樹脂製である。
【0025】
図4の(A)は、照明装置1の外観を示す正面図である。図4の(B)は、図4の(A)における線IVA−IVAに沿って矢印方向から見た断面を示している。
【0026】
ロータリーシェード51(第一シェードの一例)は、光源21と投影レンズ31の間に配置されている。ロータリーシェード51は、回転軸51aを中心とする周方向の角度位置によって形状が異なる複数種の端面51c、51d、51eを有している。ロータリーシェード51は、光源21から出射された光の一部を遮ることが可能に構成されている。
【0027】
例えば、図4の(B)に示されるように端面51cが上方に配置されている場合、当該端面51cの上方を通過する光L1は、ロータリーシェード51に遮られることなく投影レンズ31に到達する。投影レンズ31を通過した光L1は、車両の前方に例えばロービームパターンを形成する。端面51cの端縁形状は、車両の前方にカットオフラインとして投影される。他方、同状態において、光L2はロータリーシェードに遮られる。モータ53によりロータリーシェード51が回転され、端面51dが上方を向く回転角度位置とされると、破線で示されるように、光L2はロータリーシェード51に遮られることなく投影レンズ31に到達する。投影レンズ31を通過した光L2は、車両の前方に例えばハイビームパターンの一部を形成する。
【0028】
図3図4の(B)に示されるように、シェードユニット5は、多機能部材57を備えている。多機能部材57は、付加反射部57a、漏光シールド部57b、第一太陽光シールド部57c、および第二太陽光シールド部57dを備えている。
【0029】
リフレクタ4(第一リフレクタの一例)は、前述の光L1、L2を反射する反射面41に加え、光L3を反射する付加反射面42を有している。付加反射部57a(第二リフレクタの一例)は、投影レンズ31とロータリーシェード51の間に配置されている。付加反射面42に反射された光L3(すなわち、リフレクタ4に反射された光の一部)は、付加反射部57aにより、投影レンズ31へ向けて反射される。投影レンズ31を通過した光L3は、車両の前方に例えばオーバーヘッドサイン照明用の付加配光パターンを形成する。オーバーヘッドサインとは、高速道路等において頭上に位置する標識を意味する。
【0030】
ロータリーシェード51は、原理的に前方への漏光を避けにくい回転角度位置が存在する場合がある。図4の(B)に示される例において、ロータリーシェード51が回転されて端面51eが上方を向くと、光源21から出射された光L4は、下方を向く端面51dの下方を通過する。漏光シールド部57b(第二シェードの一例)は、投影レンズ31とロータリーシェード51の間において、そのような光L4(すなわち、ロータリーシェード51に遮られなかった光の一部)を遮るように配置されている。これにより、ロータリーシェード51の回転角度位置によらず、前方への漏光が防止される。
【0031】
車両と太陽の位置関係によっては、太陽光が投影レンズ31を通過し、照明装置1内に集光される場合がありうる。第一太陽光シールド部57c(第三シェードの一例)は、投影レンズ31を通過して内部反射等によりレンズホルダ35に至る太陽光を遮るように配置されている。これにより、相対的に熱損傷を受けやすい樹脂製のレンズホルダ35を、集光された太陽光から保護できる。また、第二太陽光シールド部57d(第三シェードの一例)は、投影レンズ31を通過して内部反射等によりモータコネクタ55や給電コネクタ56に至る太陽光を遮るように配置されている。これにより、相対的に熱損傷を受けやすい樹脂製のモータコネクタ55や給電コネクタ56を、集光された太陽光から保護できる。
【0032】
本実施形態においては、付加反射部57a、漏光シールド部57b、第一太陽光シールド部57c、および第二太陽光シールド部57dは、同一の材料から形成されたワンピース部品である多機能部材57の一部である。多機能部材57は、例えばダイキャストにより形成される。
【0033】
投影レンズ31とロータリーシェード51の間に配置されることを要する付加反射部57aや漏光シールド部57bと一体のワンピース部品として、相対的に熱損傷を受けやすい樹脂製部品を保護する第一太陽光シールド部57cと第二太陽光シールド部57dを設けることにより、太陽光による照明装置の構成要素の損傷を回避できる構成を低コストで提供できる。
【0034】
図5の(A)は、変形例に係る多機能部材570を示している。多機能部材570は、第一部材571と第二部材572を備えている。第一部材571は、ステンレス板やメッキされた鋼板(第一材料の一例)により形成されている。第一部材571は、付加反射部57aと第一接合部57eを含んでいる。第二部材572は、鋼板やアルミ板(第二材料の一例)により形成されている。第二部材572は、第一太陽光シールド部57c、第二太陽光シールド部57d、および第二接合部57fを含んでいる。
【0035】
図5の(B)に示されるように、多機能部材570は、第一部材571と第二部材572が接合されることにより、一体とされている。具体的には、第一部材571の第一接合部57eと第二部材572の第二接合部57fが接合される。接合は、溶接、溶着、接着、締結部材(加締めやリベットなど)の使用などを通じて行なわれる。接合された第一接合部57eと第二接合部57fは、漏光シールド部57bとして機能する。
【0036】
なお、漏光シールド部57bとして機能する部分は、必ずしも第一接合部57eと第二接合部57fの双方により形成されることを要しない。いずれか一方のみが漏光シールド部57bとして機能してもよい。
【0037】
前述の多機能部材57の場合、形状が複雑であるためにダイキャスト等により製造される。しかしながら、付加反射部57aの反射率を安定させるためにメッキ等の表面処理が必要になる。本変形例の場合、主としてリフレクタ機能を担う第一部材571を主として遮光機能を担う第二部材572と別体とすることにより、それぞれについて最適な材料選択の自由度が高まる。例えば、第一部材571をステンレス材により形成することにより、安定した反射面を得るために表面処理を行なう必要がない。したがって、太陽光による照明装置の構成要素の損傷を回避できる構成をより低コストで提供できる。
【0038】
図1から図4に示されるように、照明装置1は、支持部材58を備えている。支持部材58は、開口部58aが形成された板部58bを備えている。図3に示されるように、軸受部材52は、基部52bを有している。基部52bは、支持部材58の板部58bにおける前面(投影レンズ31に対向する側の面)に装着される。このとき、ロータリーシェード51を回転可能に支持している軸受腕部52aは、支持部材58の開口部58aを通過して背面側(光源21に対向する側)へ延びる。これにより、ロータリーシェード51は、支持部材58の板部58bの背面側に配置される。光源ユニット2は、板部58bの背面側に固定される。
【0039】
モータ53と多機能部材57は、軸受部材52の基部52bに装着される。これにより、モータ53と多機能部材57は、支持部材58により支持される。また、図1に示されるように、レンズホルダ32は、支持部材58の板部58bに装着される。これにより、レンズホルダ32は、支持部材58により支持される。結果として、支持部材58の板部58bは、ロータリーシェード51と付加反射部57aの間に配置される。
【0040】
すなわち、付加反射部57aとロータリーシェード51の回転軸51aが支持部材58の板部58bを挟んで互いに反対側に配置されている。このような構成によれば、ロータリーシェード51の回転軸51aが付加反射部57aとともに板部58aの前方に配置されている構成と比較すると、付加反射部57aの形状選択・配置自由度を確保しつつ、照明装置1の前後方向の寸法が大きくなることを抑制しやすい。
【0041】
図1図3、および図4の(B)に示されるように、支持部材58の板部58b上下端には、スイブル軸部58cが設けられている。支持部材58は、スイブル軸部58cを通るスイブル軸Aを中心として、当該スイブル軸Aに直交する面内で回動可能とされている。すなわち、スイブル軸Aは、ロータリーシェード51と付加反射部57aの間を延びている。これにより、投影レンズ31を通じた光の照射方向を車両の左右方向に変化させるスイブル制御が可能とされる。
【0042】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。また、等価物が本発明の技術的範囲に含まれることは明らかである。
【0043】
第一シェードの一例としてのロータリーシェード51は、回動軸を中心として回動することにより遮光状態と非遮光状態を切り替えるシャッタ式のシェードで置き換えられうる。この場合、駆動源の一例としてのモータは、ソレノイド等を用いるアクチュエータで置き換えられうる。
【0044】
投影レンズ31は、必ずしもレンズ機能を有することを要しない。光源21から出射された光の一部を通過させ、所定の方向に照射することができれば、散乱機能等が適宜に付与されうる。
【0045】
多機能部材57あるいは多機能部材570において、第一太陽光シールド部57cと第二太陽光シールド部57dのいずれか一方は、照明装置1の仕様に応じて省略されうる。
【符号の説明】
【0046】
1:照明装置、21:光源、31:投影レンズ、32:レンズホルダ、4:リフレクタ、51:ロータリーシェード、51a:回転軸、53:モータ、55:モータコネクタ、56:給電コネクタ、57:多機能部材、57a:付加反射部、57b:漏光シールド部、57c:第一太陽光シールド部、57d:第二太陽光シールド部、570:多機能部材、571:第一部材、572:第二部材、58:支持部材、58b:板部、A:スイブル軸
図1
図2
図3
図4
図5