特許第6510345号(P6510345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6510345無線アクセスポイント装置および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6510345
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】無線アクセスポイント装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/08 20090101AFI20190422BHJP
   H04W 36/38 20090101ALI20190422BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20190422BHJP
【FI】
   H04W36/08
   H04W36/38
   H04W16/26
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-145426(P2015-145426)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-28509(P2017-28509A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦史
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0341105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも1つの中継機に縦続接続された無線アクセスポイント装置であって
自装置および前記中継からの所定信号にもとづいて自装置に帰属している無線端末の受信レベル情報を取得し、前記受信レベル情報が所定の受信レベル閾値未満である無線端末の帰属を外し、前記帰属を外された帰属外無線端末が、前記外された帰属である元帰属に係る所定信号の発信元でなかった自装置または前記中継のいずれかからの所定信号にもとづいて自装置に正常に帰属しない場合に、前記帰属外無線端末を前記元帰属に係る所定信号の発信元であった自装置または前記中継からの所定信号にもとづいて自装置に帰属させる制御手段と
を備えることを特徴とする無線アクセスポイント装置。
【請求項2】
前記受信レベル情報が前記閾値未満である無線端末からの通信信号をモニタするモニタ手段
をさらに備え、
前記制御手段は、所定時間内で前記通信信号がない場合に、前記無線端末の帰属を外すことを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の無線アクセスポイント装置。
【請求項3】
制御手段で、無線アクセスポイント装置および前記装置に縦続接続された少なくとも1つの中継からの所定信号にもとづいて前記装置に帰属している無線端末の受信レベル情報を取得し、前記受信レベル情報が所定の受信レベル閾値未満である無線端末の帰属を外し、前記帰属を外された帰属外無線端末が、前記外された帰属である元帰属に係る所定信号の発信元でなかった前記装置または前記中継のいずれかからの所定信号にもとづいて前記装置に正常に帰属しない場合に、前記帰属外無線端末を前記元帰属に係る所定信号の発信元であった前記装置または前記中継からの所定信号にもとづいて前記装置に帰属させる制御工程
を備えることを特徴とする無線アクセスポイント装置の制御方法。
【請求項4】
モニタ手段で、前記受信レベル情報が前記閾値未満である無線端末からの通信信号をモニタするモニタ工程
をさらに備え、
前記制御工程は、所定時間内で前記通信信号がない場合に、前記無線端末の帰属を外すことを行う
ことを特徴とする請求項3に記載の無線アクセスポイント装置の制御方法。
【請求項5】
無線アクセスポイント装置を構成するコンピュータに、
前記装置および前記装置に縦続接続された少なくとも1つの中継からの所定信号にもとづいて前記装置に帰属している無線端末の受信レベル情報を取得し、前記受信レベル情報が所定の受信レベル閾値未満である無線端末の帰属を外し、前記帰属を外された帰属外無線端末が、前記外された帰属である元帰属に係る所定信号の発信元でなかった前記装置または前記中継のいずれかからの所定信号にもとづいて前記装置に正常に帰属しない場合に、前記帰属外無線端末を前記元帰属に係る所定信号の発信元であった前記自装置または前記中継からの所定信号で前記装置に帰属させる制御処理
を実行させることを特徴とする無線アクセスポイント装置のプログラム。
【請求項6】
前記受信レベル情報が前記閾値未満である無線端末からの通信信号をモニタするモニタ処理
をさらに備え、
前記制御処理は、所定時間内で前記通信信号がない場合に、前記無線端末の帰属を外すことを行う
ことを特徴とする請求項5に記載の無線アクセスポイント装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスポイント装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワークを含む通信システムにおいて、無線端末装置が、接続しているアクセスポイントとは異なるアクセスポイントにハンドオーバするようにする技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の無線端末装置は、図1を参照して、次の通りである。設定情報メモリ01が、ネットワークの識別情報を含む、アクセスポイントへの接続に用いられる設定情報をアクセスポイント毎に記憶している。端末状態管理部02が、自装置の動作状態を管理する。接続中のアクセスポイントからの信号の受信レベルが既定値以下になったとき、無線接続情報管理部03が、設定情報メモリ01に記憶されている設定情報から変更先の候補のアクセスポイントの設定情報を取得し、ハンドオーバを行う。その際、端末状態管理部02で管理されている自装置の動作状態が待ち受け状態以外の場合には、現在用いられている設定情報と同じネットワークの識別情報を含む設定情報を有するアクセスポイントへの変更のみを行う。
【0004】
この技術では、接続中のアクセスポイントからの信号の受信レベルが既定値以下になったとき、無線接続情報管理部03が、設定情報メモリ01に記憶されている設定情報から変更先の候補のアクセスポイントの設定情報を取得し、ハンドオーバを行う。このため、無線ネットワークを含む通信システムにおいて、無線端末装置が、接続しているアクセスポイントとは異なるアクセスポイントにハンドオーバするようにすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−070296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術により、無線ネットワークを含む通信システムにおいて、無線端末装置が、接続しているアクセスポイントとは異なるアクセスポイントにハンドオーバするようにすることが可能となる。
【0007】
ところで、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントとこれに接続する無線端末において、無線LANアクセスポイントはSSID(Service Set Identifier)やMAC(Media Access Control)アドレスなどの情報を含む無線信号であるビーコンを発信する。無線端末は無線LANアクセスポイントからのビーコンを受信して、ビーコンに含まれているSSIDが自端末に登録されているSSIDと同じであるとビーコン発信元の無線LANアクセスポイントに帰属する。
【0008】
その際、無線LANアクセスポイントと無線端末との間に相当な距離があったり、障害物があったりすると、無線LANアクセスポイントからの電波が十分に無線端末に届かず、無線端末における電波強度が弱くなることがある。そのような場合のために、電波強度を補うように無線中継機が用いられる。
【0009】
図2を参照すると、ブロードバンド回線にブロードバンドルータ1が接続され、ブロードバンドルータ1に無線LANアクセスポイント2が接続され、無線LANアクセスポイント2に無線端末3、無線端末4、無線端末5が帰属している。各無線端末は無線LANアクセスポイント2に対してそれぞれ異なる位置にある。無線端末3は無線LANアクセスポイント2に対して近い位置にあり、無線端末3における電波強度が強い。無線端末4は無線LANアクセスポイント2に対して壁(障害物)を挟んだ位置にあり、無線端末4における電波強度が中程度である。無線端末5は無線LANアクセスポイント2に対して壁を挟んだ遠い位置にあり、無線端末5における電波強度が弱い。
【0010】
このような場合のために、図3に示すように無線LANアクセスポイント2からの電波の中継のため、無線中継機6を無線端末4、無線端末5に近い位置に設置する。これにより、無線端末4、無線端末5における電波強度が強くなる。このため、無線端末4、無線端末5を無線中継機6に帰属させれば、それらの無線端末はより良好な通信環境で通信を行うことが可能となる。
【0011】
ここで、図4を参照して、無線LANアクセスポイント2に帰属している無線端末3が無線中継機6の近くに移動した場合、無線端末3における無線中継機6からの電波強度が無線LANアクセスポイント2からのそれより強くなる。そこで、無線端末3を無線中継機3に帰属させれば、より良好な通信環境で通信を行うことが可能となる。しかしながら、一般的な無線端末である無線端末3は無線LANアクセスポイント2への帰属を保持する。その際、特許文献1に記載の技術を用いれば、無線端末3に無線LANアクセスポイント2および無線中継機6からの電波の受信レベルを検知させるようにすることが可能である。このため、無線端末3に受信レベルの低い無線LANアクセスポイント2から受信レベルの高い無線中継機6へのハンドオーバを行わせることが可能となるようにも思われる。ところが、そのためには、無線端末3に受信レベルをモニタしてハンドオーバを行うための回路やプログラムを追加する必要があり、無線端末3の処理負荷ひいては消費電力が増加する。消費電力の増加はバッテリで動作する無線端末にとって使用可能時間に関わる問題である。
【0012】
つまり、無線アクセスポイントに帰属している無線端末が無線中継機の近く(エリア)に移動した際に無線端末の帰属のハンドオーバを行うためには、特許文献1に記載の技術では、無線端末に消費電力の増加につながる回路やプログラムを追加する必要があることが課題である。
【0013】
本発明の目的は、上記課題を解決する無線アクセスポイント装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の無線アクセスポイント装置は、自装置に縦続接続された少なくとも1つの中継手段と、自装置および前記中継手段からの所定信号にもとづいて自装置に帰属している無線端末の受信レベル情報を取得し、前記受信レベル情報が所定の受信レベル閾値未満である無線端末の帰属を外し、前記帰属を外された帰属外無線端末が、前記外された帰属である元帰属に係る所定信号の発信元でなかった自装置または前記中継手段のいずれかからの所定信号にもとづいて自装置に正常に帰属しない場合に、前記帰属外無線端末を前記元帰属に係る所定信号の発信元であった自装置または中継手段からの所定信号にもとづいて自装置に帰属させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の無線アクセスポイント装置の制御方法は、制御手段で、無線アクセスポイント装置および前記装置に縦続接続された少なくとも1つの中継手段からの所定信号にもとづいて前記装置に帰属している無線端末の受信レベル情報を取得し、前記受信レベル情報が所定の受信レベル閾値未満である無線端末の帰属を外し、前記帰属を外された帰属外無線端末が、前記外された帰属である元帰属に係る所定信号の発信元でなかった前記装置または前記中継手段のいずれかからの所定信号にもとづいて前記装置に正常に帰属しない場合に、前記帰属外無線端末を前記元帰属に係る所定信号の発信元であった前記装置または中継手段からの所定信号にもとづいて前記装置に帰属させる制御工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無線端末に消費電力の増加につながる回路やプログラムを追加することなく、無線アクセスポイントと無線中継機との間で無線端末のエリア移動の際に帰属のハンドオーバを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】無線端末装置の構成を示す図である。
図2】無線LANシステムの構成を示す図である。
図3】無線LANシステムの構成を示す図である。
図4】無線LANシステムにおける無線端末の移動について説明する図である。
図5】第1の実施形態における無線LANシステムの構成例を示す図である。
図6】第1の実施形態における無線アクセスポイントの構成例を示すブロック図である。
図7】第1の実施形態における無線LANシステムの動作例を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態における無線アクセスポイント装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図5に、本実施形態における無線LANシステムの構成例を示す。本無線LANシステムは、ブロードバンドモデム10、無線アクセスポイント20、中継機30、無線端末40、50を含む。ブロードバンドモデム10はブロードバンド回線に接続し、無線アクセスポイント20はブロードバンドモデム10に接続し、中継機30は無線アクセスポイント20に接続している。無線端末40、50は無線アクセスポイント20に、あるいは中継機30を介して無線アクセスポイント20に帰属可能である。
【0020】
ブロードバンドモデム10は、例えば、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデムで、ブロードバンド回線と無線アクセスポイント20との接続を行う。
【0021】
無線アクセスポイント20は、無線LANで無線端末との接続を行う。
【0022】
中継機30は、無線アクセスポイント20の無線LANの中継を行う。中継機30で使用されるSSIDや暗号化キーは無線アクセスポイント20のものと同一である。
【0023】
無線端末40、50は、PC(Personal Computer)、スマートフォンなどである。
【0024】
無線アクセスポイント20と中継機30とは、一般的に、安定的な通信が可能な5GHz帯で接続される。
【0025】
図6に、無線アクセスポイント20の構成例を示す。無線アクセスポイント20は、制御部21、記憶部22、モニタ部23を備える。
【0026】
制御部21は、無線端末や無線アクセスポイント20の制御を行う。
【0027】
記憶部22は、受信感度閾値や無線端末情報などの記憶を行う。
【0028】
モニタ部23は、無線端末の通信状態のモニタを行う。
【0029】
上記の構成例を踏まえ、本実施形態における無線LANシステムの動作について、図7を参照して説明する。図7は本実施形態における無線LANシステムの動作例を示すフローチャートである。
【0030】
無線アクセスポイント20において、ユーザによる起動後、制御部21が、自装置に帰属(接続)中の無線端末(40、50)を確認する(S701)。ここでは、無線端末40が直接(無線アクセスポイント20からのビーコンにもとづいて)無線アクセスポイント20に帰属中で、無線端末50が中継機30を介して(中継機30からのビーコンにもとづいて)無線アクセスポイント20に帰属中である。無線アクセスポイント20は、例えば、無線端末のMACアドレスで、直接または中継機30を介して、自身に帰属している無線端末を認識する。なお、無線アクセスポイント20は自身に接続されている中継機30をあたかも自身の一部として認識する。すなわち、中継機30は自身を介して無線アクセスポイント20に帰属している無線端末の認識信号(MACアドレス等を含む)を随時無線アクセスポイント20に送信し、無線アクセスポイント20はその信号から中継機30を介して自身に帰属している無線端末を認識する。
【0031】
次に、制御部21は帰属中の無線端末40、50の受信レベルの情報を取得し(S702)、所定の閾値と比較する(S703)。受信レベル情報の取得は、制御部21が受信レベルのリクエストコマンドを無線端末40、50へ発行して行われる。なお、無線端末50へのリクエストコマンドの発行は中継機30を介して行われる。閾値は、あらかじめ記憶部22に入力され、記憶されており、例えば、無線アクセスポイント20や中継機30のエリアの境界付近における受信レベルとする。受信レベルが閾値以上の場合(S703でYes)には、制御部21は該無線端末の帰属を保持し(S704)、一連の処理が終了する。受信レベルが閾値未満の場合(S703でNo)には、モニタ部23が該無線端末からデータや音声などの通信信号をモニタして(S705)、所定時間内で通信信号がない場合(S705でNo)には、制御部21が該無線端末の帰属を外す(S706)。すなわち、制御部21が該無線端末への該帰属の許可を示す信号の送信を停止する。所定時間内で通信信号がある場合(S705でYes)には、一連の処理が終了する。
【0032】
該無線端末の帰属を外した(S706)後、制御部21は、該無線端末が、元の帰属に係るビーコンの発信元でなかった無線アクセスポイント20または中継機30のいずれかからのビーコンにもとづいて自装置に正常に帰属するかを確認する(S707)。すなわち、制御部21は該無線端末からその無線アクセスポイント20あるいは中継機30に送信されるアソシエーション要求信号に対してアソシエーション応答が完了するかを確認する。該無線端末が正常に帰属しない場合(S707でNo)には、制御部21は該無線端末の元の帰属を復帰させる(S708)。すなわち、制御部21は該無線端末から元の帰属に係るビーコンの発信元である無線アクセスポイント20または中継機30に送信されるアソシエーション要求を再許可して復帰させる。該無線端末が正常に帰属する場合(S707でYes)には、一連の処理が終了する。
【0033】
なお、一般的に、無線端末は、無線アクセスポイントまたは中継機のビーコンにもとづいて無線アクセスポイントに(再)帰属する(認証、アソシエーション要求などを行う)際、電波強度の強い方でそれを行う。
【0034】
上記のフローにおいて、無線アクセスポイント20に帰属している無線端末40が無線端末50の位置に移動した場合について説明する。なお、簡単のため、無線端末40の位置における無線アクセスポイント20に対する受信レベル、無線端末50の位置における中継機30に対する受信レベルは閾値以上であるとする。また、無線端末40の位置における中継機30に対する受信レベル、無線端末50の位置における無線アクセスポイント20に対する受信レベルは閾値未満であるとする。さらに、無線端末40は無線端末50の位置に移動後、所定時間内で通信を行わず、無線端末50の位置で中継機30に正常に帰属することが可能であるとする。
【0035】
すなわち、無線端末40が無線アクセスポイント20に帰属した後、無線端末50の位置に移動する。S701で、無線アクセスポイント20において、制御部21が、自装置に帰属中の無線端末40を確認する。S702で、制御部21は帰属中の無線端末40の受信レベルの情報を取得し、S703で、所定の閾値と比較する。受信レベルが閾値未満(S703でNo)となり、S705で、モニタ部23が無線端末40からの通信信号をモニタする。所定時間内で通信信号がなく(S705でNo)、S706で、制御部21が無線端末40の帰属を外す。S707で、制御部21は無線端末40が中継機30を介して無線アクセスポイント20に正常に帰属するかを確認する。無線端末40が正常に帰属し(S707でYes)、処理が終了する。
【0036】
なお、中継機30を介して無線アクセスポイント20に帰属している無線端末50が無線端末40の位置に移動した場合についても同様である。また、S705で、所定時間内で通信がある場合には、無線端末の帰属が保持されるため、無線端末の通信が切断されない。本実施例では中継機を1台無線アクセスポイントに接続しているが、複数台縦続(カスケード形式で)接続してもよい。
【0037】
以上のように、無線アクセスポイントに帰属している無線端末が中継機の近く(エリア)に移動した際、無線アクセスポイントが無線端末の帰属を外すことにより、無線端末が電波強度のより強い中継機を介して無線アクセスポイントに帰属する。
【0038】
なお、無線アクセスポイントに帰属している無線端末が中継機のエリアではない無線アクセスポイントエリアの境界付近に移動した際にも、受信レベルが閾値未満となって、無線アクセスポイントが無線端末の帰属を外すことがある。その場合、無線端末は中継機に対する受信レベルが足りなければ中継機を介して無線アクセスポイントに正常に帰属できず、直接、無線アクセスポイントに再帰属する。
【0039】
このように、無線端末に消費電力の増加につながる回路やプログラムを追加することなく、無線アクセスポイントと無線中継機との間で無線端末のエリア移動の際に帰属のハンドオーバを行うことが可能となる。
【0040】
本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0041】
図8に、本実施形態における無線アクセスポイント装置の構成例を示す。無線アクセスポイント装置100は、中継機101、制御部102を備える。
【0042】
中継機101は、n(自然数)個あり、無線アクセスポイント装置100に縦続接続されている。
【0043】
制御部102は、無線端末や無線アクセスポイント装置100の制御を行う。
【0044】
上記の構成例を踏まえ、本実施形態における無線アクセスポイント装置の動作例について説明する。
【0045】
無線アクセスポイント装置100において、ユーザによる起動後、制御部102が、自装置および中継機101からの所定信号(ビーコン)にもとづいて自装置に帰属している無線端末の受信レベル情報を取得する。制御部102は受信レベル情報が所定の受信レベル閾値未満である無線端末の帰属を外す。次に、制御部102は、該無線端末が、元の帰属に係る所定信号の発信元でなかった自装置または中継機101のいずれかからの所定信号にもとづいて自装置に正常に帰属するかを確認する。正常な帰属がない場合に、制御部102は、該無線端末を、元の帰属に係る所定信号の発信元であった自装置または中継機101からの所定信号にもとづいて自装置に帰属させる。
【0046】
以上により、無線アクセスポイント・中継機からの所定信号(ビーコン)にもとづいて無線アクセスポイントに帰属している無線端末が他の無線アクセスポイント・中継機の近く(エリア)に移動した際、無線アクセスポイントが無線端末の帰属を外す。これにより、無線端末が他の無線アクセスポイント・中継機からの所定信号にもとづいて無線アクセスポイントに帰属する。
【0047】
このように、無線端末に消費電力の増加につながる回路やプログラムを追加することなく、無線アクセスポイントと無線中継機との間で無線端末のエリア移動の際に帰属のハンドオーバを行うことが可能となる。
【0048】
なお、以上の実施形態において、係る動作処理を実行させるためのプログラムを、CD−ROM、MOなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に格納して配布し、該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、該動作処理を実行する装置を構成してもよい。CD−ROMはCompact Disk Read-Only Memoryの略称で、MOはMagneto-Optical diskの略称である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、無線アクセスポイント装置および制御方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 ブロードバンドモデム
20 無線アクセスポイント
21、102 制御部
22、 記憶部
23 モニタ部
30、101 中継機
40、50 無線端末
100 無線アクセスポイント装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8