特許第6510347号(P6510347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6510347
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】光電センサ、光電センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20190422BHJP
   H01H 11/00 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   H01H35/00 J
   H01H11/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-145770(P2015-145770)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-27812(P2017-27812A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106221
【氏名又は名称】パナソニック デバイスSUNX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 俊司
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−145505(JP,A)
【文献】 特開平09−035594(JP,A)
【文献】 特開2001−102130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
H01H 11/00
H01R 13/40 − 13/415
H01R 43/24
H01L 31/12
H03K 17/78
G01V 8/12 − 8/18
G01V 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームに実装された投光素子と受光素子と回路部品とを含む光電センサであって、
前記回路部品が実装された前記リードフレームの部分を含む回路ベースと、
前記回路ベースの両端部にリード部を介して接続され、前記投光素子と前記受光素子とが実装された前記リードフレームの部分をそれぞれ含む投光素子ベース及び受光素子ベースと、
前記回路ベースの一端部にリード部を介して接続された接続部と、
前記接続部に接続された複数の接続端子を有し、外部コネクタが挿入される凹部を有する内部コネクタと、
前記内部コネクタを収容し、底部に前記複数の接続端子が挿通される貫通孔を有するコネクタカバーと、
前記回路ベース、前記投光素子ベース、前記受光素子ベース、前記接続部、前記コネクタカバーを覆うように一体成形されるケースと、
を有することを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記接続端子を嵌挿可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記コネクタカバーと前記内部コネクタとの間に隙間が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電センサ。
【請求項4】
前記コネクタカバーの開口端には、内部に向けてテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電センサ。
【請求項5】
前記コネクタカバーの外面には、前記外部コネクタの挿抜方向において前記ケースと係合する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電センサ、光電センサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透過型の光電センサは、対向して配置された投光部と受光部とを有し、投光部から受光部に向かって検出光を出射する。光電センサは、受光部における検出光の受光量に基づいて検出信号を出力する。この検出信号に基づいて、投光部と受光部との間の被検出物を検出可能となっている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−145505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光電センサには、電源の供給や検出信号の伝達のためのケーブルをコネクタにより接続するものがある。そして、このような光電センサを安定して製造することが求められる。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、安定した製造を可能とする光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する光電センサは、リードフレームに実装された投光素子と受光素子と回路部品とを含む光電センサであって、前記回路部品が実装された前記リードフレームの部分を含む回路ベースと、前記回路ベースの両端部にリード部を介して接続され、前記投光素子と前記受光素子とが実装された前記リードフレームの部分をそれぞれ含む投光素子ベース及び受光素子ベースと、前記回路ベースの一端部にリード部を介して接続された接続部と、前記接続部に接続された複数の接続端子を有し、外部コネクタが挿入される凹部を有する内部コネクタと、前記内部コネクタを収容し、底部に前記複数の接続端子が挿通される貫通孔を有するコネクタカバーと、前記回路ベース、前記投光素子ベース、前記受光素子ベース、前記接続部、前記コネクタカバーを覆うように一体成形されるケースと、を有する。
【0007】
この構成によれば、内部コネクタはコネクタカバーに覆われているため、ケースを一体成形する際の内部コネクタの変形が抑制される。このため、内部コネクタに対して外部コネクタが確実に挿入することが可能となるため、光電センサを安定して製造することをできる。
【0008】
上記光電センサは、前記貫通孔は、前記接続端子を嵌挿可能に形成されることが好ましい。
この構成によれば、コネクタカバーに挿入された内部コネクタの移動が制限され、一体成形時における位置ずれが防止される。
【0009】
上記光電センサは、前記コネクタカバーと前記内部コネクタとの間に隙間が設定されていることが好ましい。
この構成によれば、ケースを一体成形する際にコネクタカバーが変形しても、その変形による内部コネクタに対する影響は少ない。したがって、内部コネクタの変形が抑制される。このため、内部コネクタに対して外部コネクタが確実に挿入することが可能となるため、光電センサを安定して製造することをできる。
【0010】
上記光電センサは、前記コネクタカバーの開口端には、内部に向けてテーパ面が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、テーパ面によってコネクタカバーに内部コネクタを容易に挿入することができる。
【0011】
上記光電センサは、前記コネクタカバーの外面には、前記外部コネクタの挿抜方向において前記ケースと係合する係合部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、コネクタケースの係合部は、外部コネクタの挿抜方向においてケースと係合する。したがって、内部コネクタに対して外部コネクタを挿抜するときに、その挿抜によって内部コネクタとコネクタカバーがケースからの抜けることが抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光電センサ、光電センサの製造方法によれば、安定した製造を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】K型の光電センサを示す斜視図。
図2】K型の光電センサのK型用主要部を示す斜視図。
図3】カバー部材を示す斜視図。
図4】カバー部材を示す斜視図。
図5】ケースを除く各部材を示す斜視図。
図6】K型用主要部にカバー部材を取着した状態を示す斜視図である。
図7】リードフレームを示す説明図。
図8】モールド状態を示す説明図。
図9】リードフレームとコネクタの接続を示す説明図。
図10】コネクタ及びコネクタカバーの斜視図。
図11】(a)(b)はコネクタ及びコネクタカバーの斜視図。
図12】L型の光電センサを示す斜視図。
図13】リードフレームを示す説明図。
図14】(a)(b)はリードフレームとコネクタの接続を示す説明図。
図15】L型の光電センサのL型用主要部を示す斜視図。
図16】リードフレームとコネクタ端子の接続を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0015】
なお、以下の説明において、矢印にて示した方向を用いる。これらの方向は、光電センサの取付方向の一例を示すものである。また、一部の図においては矢印付きで各方向を示している。また、各図にかかる説明において示されない部材について符号を省略することがある。
【0016】
図1に示す光電センサ10は、第1の型の光電センサである。この型をK型とする。
K型の光電センサ10は、ベース部11、投光部12、受光部13、取付部14,15を有し、これら各部は、樹脂により一体成形されている。樹脂はたとえば熱可塑性樹脂である。ベース部11、投光部12、受光部13は、後述するベース等の成形品を含み、その成形品の一部が露出するように樹脂により覆われている。樹脂は、たとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)である。この樹脂をケース10aとする。つまり、光電センサ10は、ケース10aに各部の成形品を埋設して形成されている。
【0017】
各部について順次説明する。
ベース部11は略直方体状に形成されている。ベース部11の後方には投光部12と受光部13が所定の間隔を隔てて対向するように後方に延設されている。投光部12内には投光素子が内蔵され、受光部13内には受光素子が内蔵されている。投光素子から出射される検出光(たとえば赤外光)は、投光部12と受光部13の外枠を介して受光素子にて受光される。
【0018】
ベース部11の左右両端にはそれぞれ取付部14,15が形成されている。取付部14,15には、取付部14,15を上下方向に貫通する取付孔14a,15aが形成されている。また、取付部14,15には、取付部14,15を前後方向に貫通する取付孔14b,15bが形成されている。取付部14,15は、ケース10aを成形する樹脂により一体的に成形される。樹脂は、たとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)であり、ネジ止め時に座屈の発生を防止し得る強度が確保される。
【0019】
ベース部11の前部には、コネクタカバー16に覆われたコネクタ(内部コネクタ)17が埋設されている。コネクタカバー16及びコネクタ17は前方が開口しており、コネクタ17内に複数の接続端子18が配設されている。このコネクタ17には、接続コネクタ(外部コネクタ)201が挿入される。光電センサ10は、接続コネクタ201を介してケーブル202に接続される。
【0020】
次に、光電センサの主要部について説明する。
図2に示すK型用主要部20は、アンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23、屈曲ベース24、補強ベース25、端子ベース26を有している。これらのベースはリードフレームをモールドして形成されている。つまり、このK型用主要部20は、リードフレームをモールドして形成された成形品である。そして、リードフレームを折り曲げて図2に示す形状のK型用主要部20が形成される。
【0021】
図2に示すように、アンプベース21は、略矩形板状に形成されたベース部21aを有している。ベース部21aには、リードフレーム27がベース部21aの表面から露出するように埋設されている。ベース部21aの表面の端部には、四角枠状のベース枠21bが形成されている。つまり、アンプベース21は、リードフレーム27を露出する矩形状の凹部を有している。このベース枠21bに囲まれたベース部21aの表面にて露出するリードフレーム27に、アンプ回路を構成する回路部品が実装されている。回路部品は、発光素子31と、ICチップ等のチップ部品を含む。
【0022】
投光素子ベース22と受光素子ベース23は略直方体状に形成されている。投光素子ベース22には、リードフレーム27を露出する矩形状の凹部22aが形成されている。そして、その凹部22aにて露出するリードフレーム27に投光素子32が実装されている。
【0023】
なお、図2には示していないが、受光素子ベース23には、投光素子ベース22と同様に、リードフレームを露出する凹部が形成され、その凹部にて露出するリードフレームに受光素子33が実装されている。
【0024】
図3は、アンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23を覆うカバー部材40を示す。カバー部材40は、アンプカバー41、投光部カバー42、受光部カバー43を有している。図6に示すように、カバー部材40は、K型用主要部20に取着される。
【0025】
アンプカバー41は、図2に示すアンプベース21のベース枠21bを覆う蓋状に形成されている。アンプカバー41は、可視光を透過する性質を有する樹脂、たとえば赤色の樹脂にて形成されている。投光部カバー42と受光部カバー43は、アンプカバーの長手方向両端部に、アンプカバー41に対して垂直に形成されている。
【0026】
投光部カバー42と受光部カバー43は、図2に示す投光素子ベース22と受光素子ベース23の対向面を覆うように形成されている。投光部カバー42と受光部カバー43は、可視光を透過しない性質を有する樹脂、たとえば黒色の樹脂にて形成されている。つまり、カバー部材40は、二色成形されている。カバー部材40には、たとえばPC(ポリカーボネート)などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0027】
図4に示すように、アンプカバー41の裏面には、その外周部にアンプベース21の外周部を嵌合可能とした枠状部41aが形成されている。また、枠状部41aの内側において、アンプカバー41の裏面には、アンプカバー41の長手方向に沿って延びる複数の凹部41bが形成されている。これらの凹部41bにより、アンプカバー41の裏面は断面波状に形成されている。
【0028】
このようなカバー部材40のアンプカバー41をアンプベース21に嵌合すると、アンプベース21とアンプカバー41とにより囲まれた空間が形成される。この空間に、図2に示す発光素子31等の回路部品が配設されている。また、投光部カバー42と受光部カバー43は、投光素子ベース22と受光素子ベース23の対向面を覆う。そして、投光素子ベース22と投光部カバー42とにより囲まれた空間を形成し、この空間に図2に示す投光素子32が配設されている。同様に、受光素子ベース23と受光部カバー43とにより囲まれた空間を形成し、この空間に図2に示す受光素子33が配設されている。
【0029】
カバー部材40のアンプカバー41は赤色の樹脂により成形されている。リードフレーム27に実装された発光素子31から出射される可視光により、アンプカバー41が赤色に点灯する。発光素子31から出射される可視光は、アンプカバー41の凹部41bにより散乱光となってアンプカバー41を通過する。従って、アンプカバー41の上面及び側面全体が赤色に点灯された状態となるため、K型の光電センサ10の周囲からの視認性が向上する。
【0030】
図7は、リードフレームを折り曲げる前のK型用主要部20を示す。この図7に示すK型用主要部20が成形品として形成されている。
リードフレーム27は、複数のリード部材を含む。このリードフレーム27を金型に内装し、所定箇所を樹脂によりモールドしてアンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23、屈曲ベース24、補強ベース25、端子ベース26が形成される。各ベースを連結するリードフレームをリード部とする。つまり、アンプベース21の長手方向端部にはリード部27a,27bを介して投光素子ベース22と受光素子ベース23とが接続されている。アンプベース21の短手方向一端には、屈曲ベース24と補強ベース25と端子ベース26がリード部27a,27d,27eを介して直列的に接続されている。
【0031】
なお、図7において、リードフレーム27を太線にて示し、各ベースを細線にて示している。アンプベース21は、図7の裏面側においてリードフレーム27が露出し、その露出したリードフレームに図2に示す発光素子31を含む回路部品がリードフレーム27に接続されている。同様に、投光素子ベース22と受光素子ベース23は、図7の裏面側においてリードフレームが露出し、その露出したリードフレーム27に図2に示す発光素子31と受光素子33がそれぞれ接続されている。端子ベース26は、図7のおもて面側において、リードフレーム27が露出している。この露出したリードフレーム27は、コネクタの端子に対する接続部51として機能する。
【0032】
屈曲ベース24と補強ベース25との間のリード部27dは、コネクタの端子に対する接続部52として機能する。詳述すると、リードフレーム27は、屈曲ベース24と補強ベース25との間のリード部27dを有している。また、リードフレーム27は、補強ベース25に保持された略矩形板状の保持部52aを有している。この保持部52aは、補強ベース25から屈曲ベース24に向かって突出している。さらに、リードフレーム27は、保持部52aから屈曲ベース24に向かってリード部27dと平行に突出する突出部52bを有している。リード部27dと保持部52aと突出部52bは、屈曲ベース24と補強ベース25との間に、略コ字状の接続部52を構成する。したがって、接続部52は、リード部27dと保持部52aと突出部52bにより形成される切り欠き部を有している。この接続部52は、後述するL型の光電スイッチにおいて利用される。
【0033】
図8に示すように、屈曲ベース24は、リード部27cが折り曲げられてアンプベース21の側方(図8においてアンプベース21の上側)に配置されている。さらに、補強ベース25と端子ベース26は、リード部27d,27eがそれぞれ折り曲げられてアンプベース21の裏面側(図8においてアンプベース21の左側)に配設されている。このとき、端子ベース26は、その端子ベース26に含まれるリードフレーム27(接続部51)が、受光素子ベース23が延びる方向(図8において左右方向)と平行となるように配設される。
【0034】
図9に示すように、端子ベース26の接続部51は、コネクタ17の接続端子18と接続される。
図10に示すように、コネクタ17は、複数の接続端子18を有している。本実施形態のコネクタ17は、4本の接続端子18を有している。2本の接続端子は、K型の光電センサ10の動作電源を供給する電源端子である。2本の接続端子は、K型の光電センサ10から2つの検出信号を出力する信号出力端子である。2つの検出信号は、たとえば相補信号である。
【0035】
コネクタ17は、図1に示す接続コネクタ201が挿入される凹部17aを有している。接続端子18は、その凹部17aに挿入された接続コネクタ201の接続端子(図示略)と電気的に接続される。接続端子18は断面矩形状に形成され、コネクタ17の後面から突出している。
【0036】
図11(a)に示すように、コネクタ17はコネクタカバー16により覆われている。図10に示すように、コネクタカバー16は、コネクタ17を収容する凹部16aを有している。コネクタカバー16の凹部16aの内面とコネクタ17の外面との間には、全周に亘ってまたは部分的に隙間が形成されている。凹部16aの開口端、つまりコネクタ17を挿入するコネクタ挿入口は、コネクタカバー16の内部に向けてテーパ面16bが形成されている。このテーパ面16bにより、凹部16aへのコネクタ17の挿入が容易となる。
【0037】
コネクタカバー16には、開口端に切り欠き16cが形成されている。切り欠き16cは、コネクタ17の係合凸部17bを露出する。この切り欠き16cにより、コネクタ17に挿入される接続コネクタ201(図1参照)の係合部201aが係合凸部17bと係合し、接続コネクタ201を抜け止めする。
【0038】
コネクタカバー16の後板16dには、コネクタ17の接続端子18に対応する複数(4つ)の貫通孔16e(図10では2つの示す)が形成されている。貫通孔16eは、接続端子18とほぼ同じ大きさに形成されている。コネクタ17の接続端子18は、断面四角形状に形成されている。貫通孔16eは、その内周面に接続端子18が当接される、または内周面からコネクタカバー16に僅かに食い込むように形成されている。このように貫通孔16eを形成することにより、凹部16aに挿入されたコネクタ17の移動を制限し、成形時における位置ずれを防止する。
【0039】
図11(a)及び図11(b)に示すように、コネクタカバー16の外面には複数種類の凹部16fが形成されている。この凹部16fには、図1に示すケース10aを成形する樹脂が充填される。凹部16fは、成形後のケース10aと係合する。たとえば、上下方向(図11(a)において上下方向)に延びる凹部16fは、図1に示す接続コネクタ201の挿抜方向において、成形後のケース10aと係合する。これにより、ケース10aからコネクタカバー16及びコネクタ17が抜けることが抑制される。
【0040】
図12に示す光電センサ60は、第2の型の光電センサである。この型をL型とする。
L型の光電センサ60は、ベース部61、投光部62、受光部63、取付部64,65を有し、これら各部は、樹脂により一体成形されている。この樹脂をケース60aとする。
【0041】
L型の光電センサ60は、図1に示すK型の光電センサ10と概略的には同じであるが、ベース部61に対する投光部62及び受光部63の延びる方向が異なっている。この異なる部分を重点的に説明する。なお、説明において、図1に示すK型の光電センサ10に含まれる部材と同様の部材については同じ符号を付して説明の一部または全てを省略する。
【0042】
ベース部61は略直方体状に形成されている。ベース部61の上方には投光部62と受光部63が所定の間隔を隔てて対向するように上方に延設されている。投光部62内には投光素子が内蔵され、受光部63内には受光素子が内蔵されている。投光素子から出射される検出光(たとえば赤外光)は、投光部62と受光部63の外枠を介して受光素子にて受光される。
【0043】
ベース部61の左右両端にはそれぞれ取付部64,65が形成されている。取付部64,65には、取付部64,65を上下方向に貫通する取付孔64a,65aが形成されている。また、取付部64,65には、取付部64,65を前後方向に貫通する取付孔64b,65bが形成されている。取付部64,65は、ケース60aを成形する樹脂により一体的に成形される。樹脂は、たとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)であり、ネジ止め時に座屈の発生を防止し得る強度が確保される。
【0044】
ベース部61の前部には、コネクタカバー16に覆われたコネクタ17が埋設されている。コネクタカバー16及びコネクタ17は前方が開口しており、コネクタ17内に複数の接続端子が配設されている。このコネクタ17には、接続コネクタ201が挿入される。L型の光電センサ60は、接続コネクタ201を介してケーブル202に接続される。
【0045】
図15に示すL型用主要部20aは、アンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23、屈曲ベース24、補強ベース25を有している。つまり、このL型用主要部20aは、図2に示すK型用主要部20に対し、端子ベース26が省略されている。このL型用主要部20aは、成形品を加工して形成される。
【0046】
図13に示すように、成形品としてのK型用主要部20のリード部を、破線にて示す位置にて切断し、L型用主要部20aを形成する。このL型用主要部20aのリードフレーム27を折り曲げて図15に示す形状のL型用主要部20aを形成する。
【0047】
図14(a)に示すように、屈曲ベース24は、リード部27cが折り曲げられてアンプベース21の側方(図14(a)においてアンプベース21の左側)に配置されている。
【0048】
このとき、屈曲ベース24と補強ベース25の間のリード部27dは、折り曲げられていない。したがって、このリード部27dは、受光素子ベース23が延びる方向(図14(a)において上下方向)と平行に延びている。そして、このリード部27dに対してコネクタカバー16から突出する接続端子18が配設される。
【0049】
図16に示すように、L型用主要部20aにおいて、屈曲ベース24と補強ベース25との間には、接続部52が形成されている。接続部52は、リード部27dと保持部52aと突出部52bを含み、略コ字状に形成されている。そして、リード部27dと突出部52bとの間に接続端子18が配設される。そして、接続端子18と接続部52とが半田により接続される。
【0050】
なお、このL型の光電センサ60は、図14(b)に示すアンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23を覆うカバー部材を有している。このカバー部材は、図1に示すK型の光電センサ10のカバー部材40(図3参照)と同じ形状を有している。このため、図面及び説明を省略する。
【0051】
(作用)
次に、上記の光電センサ10(60)の作用を説明する。
K型の光電センサ10では、アンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23、カバー部材40、コネクタカバー16がケース10aで略覆われている。ケース10aの成形時にケース10aと他の部材の表面とが互いに溶融して密着する。これにより、K型の光電センサ10の水密性が向上する。
【0052】
図2に示すアンプベース21と図3に示すアンプカバー41は、図2に示すベース部21aとベース枠21bとアンプカバー41により囲まれた空間を形成する。この空間内に、回路部品が収容(リードフレーム27に実装)されている。このため、ケース10aの成形時に回路素子に作用する熱ストレスが軽減される。同様に、投光素子32と受光素子33についても、熱ストレスが軽減される。
【0053】
図7に示すように、リードフレーム27を部分的にモールドし、平面的に配置されたアンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23、屈曲ベース24、補強ベース25、端子ベース26とを含むK型用主要部20(成形品)を形成する。各ベースはリードフレーム27のリード部により接続されている。リード部27a,27bを折り曲げることにより、投光素子ベース22の投光素子32と受光素子ベース23の受光素子33とを互いに対向させる。また、リード部27c〜27eを折り曲げることにより、投光素子ベース22及び受光素子ベース23が延びる方向と平行に接続部51を配置する。この接続部51に対してコネクタ17の接続端子18を接続し、ケース10aを成形することにより、コネクタ17の挿入方向と、ベース部11に対して投光部12及び受光部が延びる方向とが平行なK型の光電センサ10が形成される。
【0054】
また、図13に示すように、K型用主要部20のリード部27eを切断してL型用主要部20aを形成する。図14(a)に示すように、L型用主要部20aのリード部27cを折り曲げることにより、投光素子ベース22及び受光素子ベース23が延びる方向と平行に延びる接続部52を形成する。この接続部52に対してコネクタ17の接続端子18を直交する方向にそって延びるように配設し、接続部52に接続端子18を接続する。そして、ケース10aを成形することにより、コネクタ17の挿入方向と、ベース部11に対して投光部12及び受光部13が延びる方向とが直交するL型の光電センサ60が形成される。
【0055】
このように、K型用主要部20である成形品を、形状が異なる光電センサ10,60の共通部品とすることができる。このため、形状が異なる光電センサ10,60に対して1種類の成形品を用意しておけばよく、製造にかかるコストが低減される。
【0056】
コネクタ17は、コネクタカバー16の凹部16aに収容される。そして、コネクタ17の接続端子18は、端子ベース26の接続部51,52に半田付けされる。そして、K型用主要部20、カバー部材40、コネクタカバー16及びコネクタ17を金型内にセットし、金型内に溶融した樹脂を射出してケース10aを成形する。図5は、金型内にセットされる部材を示す。
【0057】
成形時において、コネクタカバー16の外周面には、金型内に射出される樹脂の射出圧力が加わる。一体成形前において、コネクタカバー16の凹部16aは、コネクタ17を遊挿可能な大きさに形成されている。つまり、コネクタカバー16の凹部16aの内面とコネクタ17の外面との間に隙間が設けられている。この隙間により、射出圧力によりコネクタカバー16が変形しても、コネクタカバー16とコネクタ17との間に隙間が形成されているため、射出圧力は直接的にコネクタ17に影響しない。したがって、一体成形において、コネクタ17は変形し難い。
【0058】
コネクタ17には、図1に示す接続コネクタ201が挿入される。このため、コネクタ17が変形すると、接続コネクタ201の挿入が困難となる。このように、接続コネクタ201の挿入が困難となった光電センサは、不良品として選別される。
【0059】
これに対し、本実施形態では、コネクタ17がコネクタカバー16に覆われている。コネクタカバー16は、コネクタ17の変形を抑制する。したがって、接続コネクタ201を容易に挿入することができる。
【0060】
また、金型の温度は、ケース10aを成形する樹脂の流動性を確保するように所定の温度である。また、ケース10aを成形する樹脂は、所定の温度に加熱されて流動性を有している。したがって、金型内にセットされたコネクタカバー16は、金型等の熱を受ける。コネクタ17は、コネクタカバー16により略覆われている。また、成形前において、コネクタ17とコネクタカバー16との間には隙間が形成されている。このため、コネクタ17は、成形時における熱の影響が少なくなる。これにより、コネクタ17の変形が抑制される。
【0061】
上記のような光電センサでは、次に示す効果を得ることができる。
(1)K型の光電センサ10に用いられるK型用主要部20は、リードフレーム27を部分的にモールドして平面的に配置されたアンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23、屈曲ベース24、補強ベース25、及び端子ベース26を有する成形品である。そして、補強ベース25と端子ベース26とを接続するリード部27eを切断して得られるL型用主要部20aを用いてL型の光電センサ60を作成する。このように、外形の形状が異なる光電センサ10,60について、1種類の成形品を用いて作成することができる。このため、形状が異なる光電センサ10,60毎に主要部を形成する場合と比べ、製造にかかるコスト(それぞれの主要部を形成するための金型等)を低減することができる。また、外形の形状が異なる光電センサ10,60に対して1種類の成形品を用意しておけばよいため、管理する部品数が少なくなり、管理コストを低減することができる。
【0062】
(2)接続コネクタ201を接続するコネクタ17はコネクタカバー16により覆われ、ベース部11に埋設されている。このベース部11は、投光部12、受光部13とともに一体成形されるケース10aにより形成される。このケース10aを形成する樹脂を金型内に射出する際の圧力は、コネクタカバー16に掛かり、コネクタカバー16に収容されたコネクタ17に対する影響が少ない。このため、コネクタ17の変形を抑制することができる。
【0063】
(3)コネクタ17の外面とコネクタカバー16の凹部16aとの間には、成形前において隙間が形成されている。この隙間により、このケース10aを形成する樹脂を金型内に射出する際の圧力によりコネクタカバー16が変形しても、コネクタカバー16に収容されたコネクタ17に対する影響が少ない。このため、コネクタ17の変形を抑制することができる。
【0064】
(4)図8に示すように、端子ベース26の接続部52は、リード部27c〜27eを折り曲げることにより、ケース10aの略中心(図8において上下方向の略中心)に配置される。したがって、この接続部52に接続される接続端子18は、ケース10aの略中心に配置される。このため、K型の光電センサ10の厚みを薄くする、つまりK型の光電センサ10を小型化することができる。
【0065】
(5)L型の光電センサ60の作成に用いられる接続部52は、リード部27dと保持部52aと突出部52bとにより切り欠き部を有するコ字状に形成されている。この切り欠き部に接続端子18が挿入され、接続部52に接続される。このように、切り欠き部を有する接続部52は、接続端子18との接続部分が、単にリード部27dを用いる場合と比べ大きくなる。したがって、接続端子18と接続部52との接続を強固にすることができる。また、接続部分における電気抵抗を少なくすることができる。
【0066】
(6)コネクタカバー16の外面には複数種類の凹部16fが形成されている。凹部16fは、接続コネクタ201の挿抜方向において、成形後のケース10aと係合する。したがって、コネクタ17に対して接続コネクタ201を挿抜するときに、その挿抜によってコネクタ17とコネクタカバー16がケース10aからの抜けることを抑制することができる。
【0067】
(7)熱可塑性樹脂で成形されたアンプベース21、屈曲ベース24、補強ベース25、端子ベース26と、熱可塑性樹脂で成形されたカバー部材40をほぼ覆うように、ケース10aが成形されるので、ケース10aの成形時にケース10aと他の部材との界面が互いに溶融して水密性が向上する。従って、耐水性に優れた光電センサを形成することができる。
【0068】
(8)アンプベース21とアンプカバー41とにより、回路部品を収容した空間を確保した状態でケース10aを成形する。従って、回路部品の熱ストレスによる故障を軽減して、製造時の歩留まりを向上させることができる。
【0069】
(9)リードフレーム27を埋設したベース部21aの周辺にベース枠21bを成形してアンプベース21を形成したので、補強ベース25及び端子ベース26をアンプベース21の裏側に折り曲げるとき、リードフレーム27への機械的ストレスの作用を軽減することができる。従って、機械的ストレスによる回路部品の損傷を防止して、製造時の歩留まりを向上させることができる。
【0070】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のアンプベース21、投光素子ベース22、受光素子ベース23等を成型する樹脂を適宜変更してもよい。たとえば、樹脂として、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PC、PPS(ポリフェニレンスルフィド)を用いることができる。また、カバー部材40を形成する樹脂に、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)を使用することもできる。
【0071】
・アンプカバー41は、赤色以外の可視光を透過しやすい色彩の樹脂で成形してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…光電センサ、10a…ケース、11…ベース部、12…投光部、13…受光部、16…コネクタカバー、16a…凹部、16e…貫通孔、16f…凹部(係合部)、17…コネクタ、17a…凹部、18…接続端子、20…K型用主要部(成形品)、20a…L型用主要部(主要部)、21…アンプベース(回路ベース)、22…投光素子ベース、22a…凹部、23…受光素子ベース、24…屈曲ベース(接続部)、25…補強ベース(接続部)、26…端子ベース(接続部)、27…リードフレーム、27a…リード部、27b…リード部、27c…リード部、27c−27e…リード部、27d…リード部、27e…リード部、32…投光素子、33…受光素子、40…カバー部材、41b…凹部、51…接続部、52…接続部、60…光電センサ、60a…ケース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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