(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(a3)を必須構成単位とする架橋重合体粒子(A)を有してなる水性液体吸収部と、多孔質繊維(b1)を必須構成成分としてなる不織布(B)とを、有してなり、前記水性液体吸収部を、不織布(B)の少なくとも一方の面及び/又は不織布(B)内の細孔内のうち、少なくとも、不織布(B)内の細孔内に有し、多孔質繊維(b1)が、アクリロニトリルを含む単量体組成物を重合してなり、アクリロニトリルの含有率が単量体組成物の合計重量に基づいて70%以上であるアクリロニトリル系重合体からなる、吸収性物品。
架橋重合体粒子(A)が、粉体流動性分析装置で測定される500〜8000mJの基本流動性エネルギーを有する架橋重合体粒子である請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の吸収性物品は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(a3)を必須構成単位とする架橋重合体粒子(A)を有する水性液体吸収部と、多孔質繊維(b1)を必須構成成分とする不織布(B)とを、有してなる。
【0009】
本発明において、水性液体吸収部は水性液体の吸収を行う部分であり、水性液体としては、尿、汗及び血液等の体液並びに種々の用途(工業用、医療用及び農林水産業用等)に用いられる水性液体等が挙げられる。
【0010】
水性液体吸収部が有する架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単位とする。
【0011】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報)のビニルモノマー等が使用できる。
【0012】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)としては、公知(例えば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報)のビニルモノマー等が使用できる。尚、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0013】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、更に好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に更に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0014】
尚、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH
4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は前記のビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記のビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記のビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、更に好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0016】
架橋重合体粒子(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記のビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a′)を構成単位とすることができる。
【0017】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a′)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0018】
その他のビニルモノマー(a′)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a′)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び前記のビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、更に好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。尚、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a′)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0019】
架橋剤(a3)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報)の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エポキシ基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールの重合度2〜10のジグリシジルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ポリエチレングリコールの重合度2〜5のジグリシジルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0020】
架橋剤(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び前記のビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、更に好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性が更に良好となる。
【0021】
架橋重合体粒子(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
架橋重合体粒子(A)は、公知の水溶液重合(特開昭55−133413号公報等に記載の断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等に記載の方法)と同様にして製造することができる。重合方法のうち、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、好ましくは溶液重合法であり、不織布(B)との絡み性から、更に好ましくは水溶液重合法及び逆相懸濁重合法である。
【0023】
重合によって得られる含水ゲル{すなわち、架橋重合体(A)と水とからなるゲル状物}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、更に好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0024】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0025】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜10が好ましく、更に好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。この範囲であると、架橋重合体粒子(A)の吸収性能(特に保水量)が更に良好となる。
【0026】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体の重量に基づいて、0〜20が好ましく、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の架橋重合体粒子(A)の壊れ性が更に良好となる。
【0027】
尚、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0028】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0029】
架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0030】
必要によりふるい分けした場合の架橋重合体粒子(A)の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、更に好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となり不織布(B)との絡み性も良くなり形状保持性が良い。
【0031】
尚、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0032】
また、微粒子の含有量は少ない程、吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3重量%以下が好ましく、更に好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0033】
架橋重合体粒子(A)の見掛け密度(g/ml)は、0.50〜0.75が好ましく、更に好ましくは0.54〜0.73、特に好ましくは0.56〜0.64である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。尚、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0034】
架橋重合体粒子(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、不織布(B)及び親水性繊維(c)との絡みが良く、吸収体の形状保持性の観点から、不定形破砕状及びパール造粒状が好ましい。
【0035】
架橋重合体粒子(A)は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤としては、公知の表面架橋剤(特開昭59−189103号公報、特開昭58−180233号公報、特開昭61−16903号公報、特開昭61−211305号公報、特開昭61−252212号公報、特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報等に記載の多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、エチレンカーボネート、シランカップリング剤及び多価金属等)等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジルエーテル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、更に好ましくは多価グリシジルエーテル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0036】
表面架橋処理をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)、前記のビニルモノマー(a2)及び架橋剤(a3)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、更に好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0037】
表面架橋処理をする場合、表面架橋処理の方法は、公知(例えば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報)の方法が適用できる。
【0038】
架橋重合体粒子(A)は、適切な吸収速度パターンの観点から、更に疎水性物質(a4)を含有することが好ましい。疎水性物質(a4)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(a4−1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(a4−2)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(a4−3)等が含まれる。
【0039】
炭化水素基を含有する疎水性物質(a4−1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0040】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0041】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(−COOH)、1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−COOCO−)基等を導入した重量平均分子量1000〜100万の重合体{例えば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられ、ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が挙げられる。
【0042】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体等}等が挙げられる。
【0043】
ワックスとしては、融点50〜200℃のワックス(例えば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルバナワックス及び牛脂等)が挙げられる。
【0044】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル{例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。
【0045】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{例えば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。
【0046】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8〜30の脂肪族アルコール{例えば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、更に好ましくはステアリルアルコールである。
【0047】
長鎖脂肪族アミドとしては、炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
【0048】
炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N−オクチルアミド、酢酸N−ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N−オクチルアミド、二酢酸N−ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。尚、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0049】
アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N−ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N−メチルアミド、ヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N−メチルアミド、ジノナン酸N−ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N−エチルアミド、ジオクタデカン酸N−ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N−メチルアミド、ジヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。尚、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0050】
炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N−メチルオクチルアミド、酢酸N−メチルヘキサコシルアミド、酢酸N−オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N−ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0051】
炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N−ジメチルアミド、ノナン酸N−メチルヘプチルアミド、ノナン酸N−ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N−ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0052】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(C2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0053】
パーフルオロアルカンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数1〜20のアルカン{例えば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ヘプタフルオロブタン、ノナフルフルオロヘキサン、トリデカフルオロオクタン及びヘプタデカフルオロドデカン等}が挙げられる。
【0054】
パーフルオロアルケンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数2〜20のアルケン{例えば、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、ヘプタフルオロブテン、ノナフルフルオロヘキセン、トリデカフルオロオクテン及びヘプタデカフルオロドデセン等}が挙げられる。
【0055】
パーフルオロアリールとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数6〜20のアリール{例えば、トリフルオロベンゼン、ペンタフルオロトルエン、トリフルオロナフタレン、ヘプタフルオロベンゼン、ノナフルフルオロキシレン、トリデカフルオロオクチルベンゼン及びヘプタデカフルオロドデシルベンゼン等}が挙げられる。
【0056】
パーフルオロアルキルエーテルとしては、フッ素原子数2〜82、炭素数2〜40のエーテル{例えば、ジトリフルオロメチルエーテル、ジペンタフルオロエチルエーテル、ジペンタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロブチルエーテル、ジノナフルフルオロヘキシルエーテル、ジトリデカフルオロオクチルエーテル及びジヘプタデカフルオロドデシルエーテル等}が挙げられる。
【0057】
パーフルオロアルキルカルボン酸としては、フッ素原子数3〜41、炭素数1〜21のカルボン酸{例えば、ペンタフルオロエタン酸、ペンタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロブタン酸、ノナフルフルオロヘキサン酸、トリデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロドデカン酸及びこれらの金属(アルカリ金属及びアルカリ土類金属等)塩等}が挙げられる。
【0058】
パーフルオロアルキルアルコールとしては、フッ素原子数3〜41、炭素数1〜20のアルコール{例えば、ペンタフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロブタノール、ノナフルフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール及びヘプタデカフルオロドデカノール等}及びこのアルコールのエチレンオキサイド(アルコール1モルに対して1〜20モル)付加体等が挙げられる。
【0059】
これらの2種以上の混合物としては、パーフルオロアルキルカルボン酸とパーフルオロアルキルアルコールとの混合物{例えば、ペンタフルオロエタン酸とペンタフルオロエタノールとの混合物等}が挙げられる。
【0060】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(a4−3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0061】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、更に好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0062】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2〜40が好ましく、更に好ましくは5〜30、特に好ましくは7〜20、最も好ましくは10〜15である。この範囲であると、吸収特性が更に良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1〜30が好ましく、更に好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、吸収特性が更に良好となる。
【0063】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、例えば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF−6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0064】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ−2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0065】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200〜11000が好ましく、更に好ましくは600〜8000、特に好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性が更に良好となる。尚、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0066】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、例えば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−3701E{側鎖、4000}、X−22−162C{両末端、2300}、X−22−3710{片末端、1450}
【0067】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY16−880{側鎖、3500}、BY16−750{両末端、750}、BY16−840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0068】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、例えば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−343{側鎖、525}、KF−101{側鎖、350}、KF−1001{側鎖、3500}、X−22−2000{側鎖、620}、X−22−2046{側鎖、600}、KF−102{側鎖、3600}、X−22−4741{側鎖、2500}、KF−1002{側鎖、4300}、X−22−3000T{側鎖、250}、X−22−163{両末端、200}、KF−105{両末端、490}、X−22−163A{両末端、1000}、X−22−163B{両末端、1750}、X−22−163C{両末端、2700}、X−22−169AS{両末端、500}、X−22−169B{両末端、1700}、X−22−173DX{片末端、4500}、X−22−9002{側鎖・両末端、5000}
【0069】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3720{側鎖、1200}、BY16−839{側鎖、3700}、SF8411{側鎖、3200}、SF8413{側鎖、3800}、SF8421{側鎖、11000}、BY16−876{側鎖、2800}、FZ−3736{側鎖、5000}、BY16−855D{側鎖、180}、BY16−8{側鎖、3700}
【0070】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、例えば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−865{側鎖、5000}、KF−864{側鎖、3800}、KF−859{側鎖、6000}、KF−393{側鎖、350}、KF−860{側鎖、7600}、KF−880{側鎖、1800}、KF−8004{側鎖、1500}、KF−8002{側鎖、1700}、KF−8005{側鎖、11000}、KF−867{側鎖、1700}、X−22−3820W{側鎖、55000}、KF−869{側鎖、8800}、KF−861{側鎖、2000}、X−22−3939A{側鎖、1500}、KF−877{側鎖、5200}、PAM−E{両末端、130}、KF−8010{両末端、430}、X−22−161A{両末端、800}、X−22−161B{両末端、1500}、KF−8012{両末端、2200}、KF−8008{両末端、5700}、X−22−1660B−3{両末端、2200}、KF−857{側鎖、2200}、KF−8001{側鎖、1900}、KF−862{側鎖、1900}、X−22−9192{側鎖、6500}
【0071】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3707{側鎖、1500}、FZ−3504{側鎖、1000}、BY16−205{側鎖、4000}、FZ−3760{側鎖、1500}、FZ−3705{側鎖、4000}、BY16−209{側鎖、1800}、FZ−3710{側鎖、1800}、SF8417{側鎖、1800}、BY16−849{側鎖、600}、BY16−850{側鎖、3300}、BY16−879B{側鎖、8000}、BY16−892{側鎖、2000}、FZ−3501{側鎖、3000}、FZ−3785{側鎖、6000}、BY16−872{側鎖、1800}、BY16−213{側鎖、2700}、BY16−203{側鎖、1900}、BY16−898{側鎖、2900}、BY16−890{側鎖、1900}、BY16−893{側鎖、4000}、FZ−3789{側鎖、1900}、BY16−871{両末端、130}、BY16−853C{両末端、360}、BY16−853U{両末端、450}
【0072】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0073】
ポリシロキサン構造を持つ疎水性物質の粘度(mPa・s、25℃)は、10〜5000が好ましく、更に好ましくは15〜3000、特に好ましくは20〜1500である。この範囲であると、吸収特性が更に良好となる。尚、粘度は、JIS Z8803−1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい−平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{例えば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10
−2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0074】
疎水性物質(a4)のHLB値は、1〜10が好ましく、更に好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性が更に良好となる。尚、HLB値は、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0075】
疎水性物質(a4)のうち、吸収性物品の耐モレ性の観点から、炭化水素基を含有する疎水性物質(a4−1)が好ましく、より好ましくは長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール並びに長鎖脂肪族アミドであり、更に好ましくはソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn及びステアリン酸Al、特に好ましくはショ糖ステアリン酸エステル及びステアリン酸Mgであり、最も好ましくはショ糖ステアリン酸ジエステルである。
【0076】
疎水性物質(a4)は架橋重合体粒子の何れの箇所に存在していてもよい。
架橋重合体粒子内部の疎水性物質(a4)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体粒子(A)の重量に基づいて、通常、0.01〜10.0であり、好ましくは0.01〜5.0、更に好ましくは0.05〜2.0、特に好ましくは0.1〜1.0である。
架橋重合体粒子(A)の表面に存在する疎水性物質(a4)の含有量(重量%)は、吸収性物品の耐カブレ性及び吸収性物品の耐モレ性の観点から、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、通常、0.001〜1.0であり、好ましくは0.005〜0.5、更に好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.1である。
【0077】
尚、表面に存在する疎水性物質の含有量は下記の方法で測定される。また、内部に存在する疎水性物質の含有量は、疎水性物質の合計の添加量から表面の疎水性物質の含有量を引いたものとする。
【0078】
<表面の疎水性物質(a4)の含有量の測定法>
冷却管を備えたガラス製のナスフラスコに吸収性樹脂粒子100重量部と有機溶媒(有機溶媒100重量部に、少なくとも0.01重量部の疎水性物質(a4)を25℃〜110℃で溶かすことができる有機溶媒。なおこの溶かすことができる温度を溶解温度とする。)300重量部を加え、溶解温度で24時間放置し、疎水性物質の抽出液を得る。この抽出液を濾紙を用いて濾過し、事前に秤量したガラス製のナスフラスコに採取した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を蒸発させた後、秤量する。濾過液蒸発後の重量から事前に秤量したナスフラスコの重量を引いて抽出された蒸発乾固物の量を求める。
濾紙上に残った抽出後のサンプルを用いて、同様の操作をさらに2回くり返し、3回の抽出で得られた蒸発乾固物の合計量を表面の疎水性物質(a4)の含有量(重量%)とする。
【0079】
架橋重合体粒子内部に疎水性物質(a4)が存在し、一部が表面に存在する構造は、以下の方法で製造することができる。
製造方法(1):吸収性樹脂粒子を疎水性物質(a4)と架橋重合体(A1)の含水ゲルとを混合・混練する方法;
製造方法(2):吸収性樹脂粒子を疎水性物質(a4)の存在下、構成単位を重合させて架橋重合体(A1)の含水ゲルを得る方法。
【0080】
前記製造方法(1)において、疎水性物質(a4)の形状としては、粉砕物、ビーズ、棒状又は繊維状に加工したものを用いることができる。吸収性物品の耐モレ性等の観点から、好ましくは、粉砕物又はビーズであり、より好ましくはビーズである。疎水性物質(a4)の体積平均粒子径(μm)は、0.5〜100が好ましく、更に好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜20である。
【0081】
架橋重合体(A1)と疎水性物質(a4)との混合方法としては、疎水性物質(C)が架橋重合体(A1)の内部に存在するように混合されれば制限がない。中でも、疎水性物質(a4)は、架橋重合体(A1)の乾燥体ではなく、(A1)の含水ゲル又は(A1)の重合液と混合されることが好ましく、更に好ましくは(A1)の含水ゲルと混合されることである。尚、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。
水溶液重合法により架橋重合体(A1)を得るとき、疎水性物質(a4)と(A1)とを混合・混練するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(a4)の存在下で、(A1)を製造する}、重合工程直後、含水ゲルの破砕(ミンチ)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中が好ましく、更に好ましくは含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中である。また、疎水性物質(a4)が長鎖脂肪酸塩の場合、通常、長鎖脂肪酸塩そのものを用いるが、この添加工程で長鎖脂肪酸と金属の水酸化物を混合していれてもよいし、個別にいれてもよい。
【0082】
逆相懸濁重合法又は乳化重合により架橋重合体(A1)を得るとき、疎水性物質(a4)と(A1)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{(a4)の存在下で、(A1)を製造する}、重合工程直後、脱水工程中(水分10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性等の観点から、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中が好ましく、更に好ましくは重合工程中、重合工程直後である。
【0083】
含水ゲルの破砕中又は乾燥中に混合する場合、混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。重合液中で混合する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。また、含水ゲルの乾燥中で混合する場合、SVミキサー等の混練装置も使用できる。
【0084】
混合温度(℃)は、疎水性物質(a4)を添加する工程により適宜調整することができる。例えば、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中に添加・混合する場合の混合温度(℃)は、20〜100が好ましく、更に好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、更に均一混合しやすくなり、吸収特性が更に良好となる。
【0085】
疎水性物質(a4)の存在下で、架橋重合体(A1)を製造する製造方法(2)の方法において、架橋重合体(A1)の重合液に疎水性物質(a4)を均一に溶解又は乳化(分散)させておくことが好ましい。疎水性物質(a4)が均一になり難い場合は、更に含水ゲルの破砕工程中に均一にすることもできる。(A1)の重合の進行と共に(a4)を析出させながら行うことができる。疎水性物質(a4)の存在下で重合を行うこと以外、重合方法は、架橋重合体(A1)の場合と同様である。
【0086】
疎水性物質(a4)は、水及び/又は揮発性溶媒に、溶解及び/又は乳化した形態でも使用できる(ただし、乳化剤は使用しない)。揮発性溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13〜5.3のものが好ましく、更に好ましくは0.15〜4.5、特に好ましくは0.23〜3.8のものである。
揮発性溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5〜8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2〜4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3〜4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、及び炭素数3〜5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性溶媒を使用する場合、これらの使用量(重量%)は、疎水性物質(a4)の重量に基づいて、1〜900が好ましく、更に好ましくは5〜700、特に好ましくは10〜400である。水及び揮発性溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性溶媒の重量に基づいて、50〜98が好ましく、更に好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0087】
架橋重合体粒子(A)は更に表面に無機質粉末(a5)をコーティングすることもできる。このましい無機質粉末(a5)としては、ガラス、シリカゲル、シリカゾル、シリカ、クレー、炭素繊維、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、アスベスト及びシラス等)が挙げられる。無機質粉末(a5)のうち、好ましいのはシリカゾル、シリカ及びタルクである。
【0088】
無機質粉末(a5)の形状としては、不定形(破砕状)、真球状、フィルム状、棒状及び繊維状等のいずれでもよいが、不定形(破砕状)又は真球状が好ましく、更に好ましくは真球状である。
【0089】
無機質粉末(a5)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.01〜3.0が好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0、次に好ましくは0.07〜0.8、特に好ましくは0.10〜0.6、最も好ましくは0.15〜0.5である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性が更に良好となる。
【0090】
架橋重合体粒子(A)には、他の添加剤{例えば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、更に好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0091】
架橋重合体粒子(A)は、自重の40倍の生理食塩水を40〜150秒(更に好ましくは55〜120秒、特に好ましくは65〜110秒)で吸収する架橋重合体粒子であることが好ましい。
この範囲であると吸収性物品の耐カブレ性が更に良好になる。疎水性物質(a4)の含有量、架橋重合体の平均粒子径及び見掛け密度を前記好ましい範囲に調整することで、生理食塩水の吸収時間を好ましい範囲に調整でき、架橋重合体粒子(A)の見掛け密度及び架橋重合体粒子の重量平均粒径等を前記の好ましい範囲に調整することで、より好ましい範囲に調整することができる。
尚、生理食塩水の吸収時間は、25±2℃、湿度50±10%の室内において以下の方法で測定される時間である。尚、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用する。
【0092】
<生理食塩水の吸収時間の測定>
100mlビーカーに測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)40gを添加する。無撹拌下で静置して、生理食塩水が完全に吸水されるまでの時間(吸水終盤でビーカーを少し傾けて液残りを確認する)を測定し、吸収時間(t1)とする。尚、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
【0093】
架橋重合体粒子(A)は、粉体流動性分析装置で測定される基本流動性エネルギーとして、500〜8000mJの基本流動性エネルギーを有する架橋重合体粒子であることが好ましく、更に好ましくは1000〜6000mJ、最も好ましくは1500〜4000mJである。この範囲であると吸収性物品の膨潤後の形状保持性が更に良好になる。疎水性物質(a4)及び無機質粉末(a5)の含有量、架橋重合体粒子(A)の平均粒子径及び見かけ密度を前期好ましい範囲に調整することで、基本流動性エネルギーを好ましい範囲に調整できる。
【0094】
尚、架橋重合体粒子(A)の基本流動性エネルギーは、特開2007−040770号公報(発明を実施するための最良の形態)の記載に準拠して測定され、シスメックス株式会社製パウダーレオメーターFT4の基本流動性エネルギー測定モードで測定できる(測定雰囲気:−25℃、50%RH、サンプル量:内径50mmの160mlスプリット容器内に自然落下でサンプル投入して計量した160ml、ブレード幅:48mm、回転速度:100m/s、測定回数7回の算術平均値)。
【0095】
架橋重合体粒子(A)の保水量(g/g)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、25〜60が好ましく、更に好ましくは26〜55、特に好ましくは27〜50である。尚、架橋重合体粒子の保水量は以下の方法により測定される。
【0096】
<架橋重合体粒子(A)の保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
尚、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0097】
架橋重合体粒子(A)1重量部が人工尿30重量部を吸収して得られる30倍膨潤ゲルのゲル弾性率(N/m
2)は、2,000〜3,000が好ましく、更に好ましくは2,025〜2950、特に好ましくは2,050〜2,900、最も好ましくは2,075〜2,850である。この範囲であると、本発明の吸収性樹脂粒子を吸収性物品に適用したとき更に優れた耐モレ性を発揮する。尚、ゲル弾性率(N/m
2)は、下記測定方法で求められた値である。
【0098】
<ゲル弾性率の測定法>
人工尿[尿素200重量部、塩化ナトリウム80重量部、硫酸マグネシウム(7水塩)8重量部、塩化カルシウム(2水塩)3重量部、硫酸第2鉄(7水塩)2重量部、イオン交換水9704重量部]60.0gを100mlビーカー(内径5cm)に量り取り、JIS K7224−1996に記載された操作と同様にして、測定試料2.0gを精秤して上記ビーカーに投入し、30倍膨潤ゲルを作成する。
この膨潤ゲルが乾燥しないように30倍膨潤ゲルの入ったビーカーにラップをし、このビーカーを40±2℃の雰囲気下で3時間、更に25±2℃の雰囲気下で0.5時間静置した後、ラップを取り外し、30倍膨潤ゲルのゲル弾性率をカードメーター(例えば、株式会社アイテックテクノエンジニアリング製カードメーター・マックスME−500)を用いて測定する。なおカードメーターの条件は以下の通りである。
・感圧軸:8mm
・スプリング:100g用
・荷重:100g
・上昇速度:1インチ/7秒
・試験性質:破断
・測定時間:6秒
・測定雰囲気温度:25±2℃
【0099】
本発明の吸収性物品において水性液体吸収部は、架橋重合体粒子(A)を有してなるが、更に親水性繊維(c)を有してしても良い。水性液体吸収部が、架橋重合体粒子(A)と親水性繊維(c)とを含む場合、架橋重合体粒子(A)と親水性繊維(c)とは均一に混合されていてもよく、いずれか一方が偏在する形態であってもよい。
水性液体吸収部が親水性繊維(c)を有する場合、架橋重合体粒子(A)の重量比率は、架橋重合体粒子(A)と親水性繊維(c)との合計重量に基づいて30重量%以上が好ましく、更に好ましくは50%重量以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
尚、親水性繊維(c)とは、それ自体は水性液体を吸収して膨潤する性質を有さない材料で構成されている親水性の繊維であり、例えば綿状パルプ等の及びセルロース等の水酸基を多く保持する天然物由来の繊維等が挙げられる。
【0100】
不織布(B)は、多孔質繊維(b1)を必須構成成分とする。不織布(B)における多孔質繊維(b1)の重量比率は、不織布(B)の全体の重量を基準として、好ましくは20%以上、更に好ましくは50%以上である。
不織布(B)は、多孔質繊維(b1)を原料として公知の方法で不織布を作製することで得ることができ、不織布(B)の強度等の観点から、熱可塑性樹脂で作られる非多孔質繊維と多孔質繊維(b1)とを構成成分とすることが好ましい。熱可塑性樹脂で作られる非多孔質繊維としては、公知の熱融着可能な樹脂を用いた非多孔質繊維が挙げられ、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの混合物等を用いて公知の方法で紡績した非多孔質繊維を用いることが出来る。
【0101】
尚、多孔質繊維(b1)とは、外部へ開口部を有する微細な孔を有する繊維であり、繊維が有する孔の平均孔径が、水銀圧入法により測定される孔径分布測定結果において1000nm以下のものである。多孔質繊維(b1)の素材は特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド及びアクリロニトリル系重合体等の重合体を用いることができ、中でも液体の拡散性等の観点から、アクリロニトリル系重合体からなる多孔質繊維であることが好ましい。中でも、アクリロニトリルを含む単量体組成物を重合してなり、アクリロニトリルの含有率が単量体組成物の合計重量に基づいて70%以上であるアクリロニトリル系重合体(単に「アクリロニトリルの含有率が単量体組成物の合計重量に基づいて70%以上である重合体」ともいう。)であることが好ましく、更に好ましくはアクリロニトリルの含有率が単量体組成物の合計重量に基づいて80%以上であるアクリロニトリル系重合体、特に好ましくはアクリロニトリルの含有率が単量体組成物の合計重量に基づいて88重量%以上であるアクリロニトリル系重合体である。
【0102】
多孔質繊維(b1)に用いるアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルの単独重合又はアクリロニトリルとアクリロニトリルとの共重合が可能な不飽和ビニル化合物とを周知の重合手段である懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等によって共重合することによって得ることができる。不飽和ビニル化合物としては、前記の水溶性ビニルモノマー(a1)、前記のビニルモノマー(a2)及びこれらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a′)等と同じものが挙げられる。
【0103】
多孔質繊維(b1)は、前記重合体等の繊維形成性重合体に低沸点化合物又は吸水性樹脂を混合してから熱処理することで空孔を発生させる方法(特開昭61−10248号公報及び特開2000−290832等に記載の方法)及び前記重合体等の繊維形成性重合体と溶剤に対する溶解性の異なる成分とを混合した繊維を得た後に溶剤処理することによって溶剤可溶成分を除去する方法(特開平7−042023号公報、特開平7−042017号公報及び特開平6−280159号公報等に記載の方法)等の公知の方法で得ることができる。
なかでも、前記重合体としてアクリロニトリル系重合体を用いる場合には、アクリロニトリル系重合体等のポリマーと水溶性高分子又はアルカリ可溶な成分(例えば親水性構造を有するアクリロニトリル系共重合体)とを混合紡糸して得た繊維から水溶性高分子又はアルカリ可溶な成分を除去(溶解法)する方法、及びアクリロニトリル系重合体を紡糸する時に気泡を発生させる方法(発泡法)等が好ましい。更に好ましい方法としては、繊維強度等の観点から、アクリロニトリル系共重合体を用いた溶解法が挙げられ、親水性構造(ポリアルキレンオキシド鎖、ポリエーテルアミド鎖及びポリエーテルエステル鎖等)を有するビニル単量体をアクリロニトリルに共重合した親水性構造を有する可溶性アクリロニトリル共重合体とアクリロニトリルモノマーに由来する構造を80重量%以上有し、かつ親水性構造を有さない難溶性アクリロニトリル系重合体とを混合紡糸して得た繊維から可溶性アクリロニトリル系重合体を除去する方法で得ることができる。
【0104】
尚、前記重合体等の繊維形成性重合体を紡糸する方法としては、前記重合体等の繊維形成性重合体を熱で溶かした状態で、口金から押し出して繊維状にした後、冷やして固める方法(溶融紡糸方法)、前記重合体等の繊維形成性重合体を揮発性の低い溶剤に溶かした状態で、口金から凝固浴の中に押し出して繊維状にする方法(湿式紡糸方法)及び前記重合体等の繊維形成性重合体を熱で気化する溶剤(低沸点溶剤等)に溶かした状態で、熱雰囲気中で口金から押し出して溶剤を蒸発させて繊維状にする(乾式紡糸方法)等の公知の方法を用いることができる。
【0105】
多孔質繊維(b1)の平均孔径は、例えば、アクリロニトリル系共重合体を用いた溶解法においては、親水性構造を有するアクリロニトリル系共重合体と、親水性構造を有さない難溶性アクリロニトリル系共重合体との比率および湿式紡糸における溶液濃度を変えること等により調整できる。多孔質繊維(b1)の平均孔径は、1〜1000nmであることが好ましく、3〜1000nmであることがより好ましく、更に好ましくは、5〜500nmであり、特に好ましくは7〜100nmである。平均孔径がこの範囲にあると水性液体の吸収速度と吸収量の両方がそれぞれ更に良好になり好ましい。尚、平均孔径の測定は、水銀圧入法やガスクロマト法により測定され、公知の測定装置(水銀圧入法であれば、島津製作所製「オートボアIV9520」及びカンタクローム社製「ボアマスター60」等、島津製作所製「アサップ2020」等)を使用して行うことができる。
【0106】
多孔質繊維(b1)としては、多孔質繊維に対する水の接触角が80度以下である多孔質繊維が好ましく、更に好ましくは接触角が70度以下、特に好ましくは接触角が60度以下である。接触角は繊維の材質や表面処理で決まるが、アクリロニトリル系重合体を繊維素材として選択することで、一般的なポリプロピレンの接触角95度や、ポリエステルの接触角75度よりも低い接触角(例えば50度近辺)を得ることができる。繊維の接触角測定は、純水を用いてBiolinScientific社のSigma701による測定される。
【0107】
多孔質繊維(b1)の伸度は、繊維を構成する高分子の共重合組成、紡糸条件、繊度、多孔質の孔径及び繊維が有する孔の数により調整されるが、紡糸時・不織布加工時の工程能力や不織布加工後の製品加工時の工程能力、製品としての柔軟性等の観点から、伸度が10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上であり、更に好ましくは30%以上である。
【0108】
多孔質繊維(b1)の繊度は、紡糸用ダイの径や引取速度を選択することで調整され、0.05〜20デシテックスであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10デシテックスであり、更に好ましくは、0.5〜5デシテックスである。繊度が低いほど繊維の有効表面積が増え製品の柔軟性が向上し、繊度が高いと紡績工程及び加工処理工程等での処理能力が高くなるが、繊度がこの範囲にあると製品の柔軟性と処理能力を両立し易くなり好ましい。
また、有効表面積を増やすこと及び繊維間及び繊維内に吸収対象となる水性液体等の導水路を増やすことを目的に、繊維断面の形状は適宜調整することができ、円形、三角形、L字、中空及び扁平等のいずれであっても良い。
【0109】
多孔質繊維(b1)の強度は、繊維を構成する高分子の共重合組成、繊度、多孔質の孔径及び繊維が有する孔の数等により調整され、紡糸時及び/又は不織布加工時の処理能力、不織布加工後の製品加工時の処理能力並びに製品の引張強度等の観点から、1.0cN/デシテックス以上が好ましく、より好ましくは2.0cN/デシテックス以上である。
【0110】
不織布(B)は、多孔質繊維(b1)を用いて公知のニードルパンチ方式、スパンレース方式、スパンボンド方式、メルトブロー方式、ケミカルボンド方式、サーマルボンド方式及びステッチボンド方式等の方法で製造することが出来、その方法は最終製品に必要な機械的特性、化学的特性、許容コスト及び繊維素材の適用性を勘案して選択することができ、例えば、多孔質繊維(b1)を20%以上含むポリエステル繊維を用いて作成したカ−ドウェブをニ−ドルパンチ方式で不織布化する方法、該カ−ドウェブに熱接着性樹脂を水溶液状で塗布し、加熱乾燥することにより得られるケミカルボンド方式で不織布化する方法、該カードウェブの10〜40%に熱溶融性のバインダ−ファイバ−を混綿したウェブを熱ロ−ラ−、熱風下で処理するサ−マルボンド方式で不織布化する方法及び該カ−ドウェブを高圧ジェット水流に分散させて処理するスパンレース方式で不織布化する方法等で得ることができる。
【0111】
不織布(B)は、更に水性液体吸収性を有する繊維(b2)(以下、水性液体吸収性繊維(b2)と記載)を含有することができる。水性液体吸収性繊維(b2)を不織布(B)に含有することで、水性液体吸収部で吸収し切れなかった液体を吸収でき、更に不織布(B)内の空隙等に水性液体吸収部を均一に分布させることで局所的な吸収及び導水による不織布(B)の非効率的な使用を避けることが出来る。
【0112】
水性液体吸収性繊維(b2)はそれ自体が水性液体を吸収し膨潤する性質を有する材料で構成された繊維であり、超吸水加工した外層とアクリル繊維である内層の2層構造を有する超吸水性アクリル繊維(特公平07−061370号公報等に記載の水性液体吸収性繊維)及びアクリル酸、メタクリル酸、およびアクリル酸/メタクリル酸モノマーに基づく高吸収性繊維であって、アクリル酸がアクリル酸ナトリウムに部分的に中和されていて、ポリマー鎖の間を、アクリル酸の酸基とアクリル酸/メタクリル酸モノマー中のヒドロキシル基との反応からのエステル基によって架橋して得られる超吸水性アクリル繊維(特表2011−526220号等に記載の水性液体吸収性繊維)等が挙げられ、市場からは「ランシールF(東洋紡社製)」及び「OASIS SAF(Technical Absorbents Ltd.)」等として入手可能である。
【0113】
不織布(B)が水性液体吸収性繊維(b2)を含む場合、水性液体吸収性繊維(b2)の含有量は、多孔質繊維(b1)と水性液体吸収性繊維(b2)の合計重量に基づいて、50%以下であることが好ましく、より好ましくは、30%以下、更に好ましくは、10%以下である。水性液体吸収性繊維(b2)を不織布(B)に含有する方法は、カードウェブを作成する時に所定の比率で予め混ぜておく方法、及び予め水性液体吸収性繊維(b2)だけで作成した薄い不織布に他の不織布成分を付与する方法等が挙げられ、水性液体吸収性繊維(b2)を不織布(B)に均一に分散し易いことから、カードウェブを作成する前に所定の比率で混ぜておくことが好ましい。
水性液体吸収性繊維(b2)を含む不織布(B)を得る具体的な方法としては、予め60重量%の多孔質繊維(b1)及び20重量%の水性液体吸収性繊維(b2)を混合したポリエステル繊維から作成したカ−ドウェブをニ−ドルパンチ方式で不織布化する方法、該カードウェブと該カードウェブに対して10〜40%の熱溶融性バインダ−ファイバ−を混綿した後に熱ロ−ラ−及び熱風等で熱処理するサ−マルボンド方式等が挙げられる。
【0114】
本発明の吸収性物品の好ましい構造としては、架橋重合体粒子(A)を有してなる水性液体吸収部を不織布(B)の少なくとも一方の面及び/又は不織布(B)内の空隙内に有する構造が挙げられる。本発明の吸収性物品は、中でも、水性液体吸収部を不織布(B)の少なくとも一方の面に有する構造であることがさらに好ましく、織布(B)の少なくとも一方の面及び不織布(B)内の空隙内に有する構造であることが特に好ましい。
【0115】
水性液体吸収部を不織布(B)の少なくとも一方の面及び不織布(B)内の空隙内に有する構造は、架橋重合体粒子(A)を表面に均一に振りかけた不織布(B)の空隙部に更に架橋重合体粒子(A)を挿入して固定する方法、熱溶融性バインダ−ファイバ−を含有した不織布(B)を加熱した直後に架橋重合体粒子(A)を振りかけて架橋重合体粒子(A)を熱溶融性バインダ−ファイバ−で固定する方法、水性液体吸収性繊維(b2)を含有し、吸水した不織布(B)に架橋重合体粒子(A)を振りかけて水性液体吸収性繊維(b2)の含有構造に沿って水を介して架橋重合体粒子(A)を固定する方法、及び親架橋重合体粒子(A)とアクリレート系ラテックスとを分散した水性アルコール(メタノール等)分散液に不織布(B)を浸漬して不織布(B)の全体に架橋重合体粒子(A)を付着させる方法等で得ることができる。
【0116】
水性液体吸収部を不織布(B)の少なくとも一方の面に有する構造は、成型した架橋重合体(A)を不織布(B)に積層する方法、及び架橋重合体粒子(A)とアクリレート系ラテックスとを分散した水性アルコール分散液を不織布(B)の表面にスプレー塗布乾燥する方法等で得ることができる。
吸収性物品を得る際に架橋重合体粒子(A)とアクリレート系ラテックスとを分散した水性アルコール分散液を用いる場合、水性アルコール分散液に含まれる架橋重合体粒子(A)の重量割合は、水性アルコール分散液の合計重量に基づいて、通常10〜80重量%であり、架橋重合体粒子(A)とラテックス内固形分との重量比率は100/1〜100/200の範囲にあることが好ましい。また、水性アルコール分散液の固形分濃度は、塗布及び浸漬の方法並びに必要目付に合わせて調整することができる。
【0117】
尚、水性液体吸収部が有する架橋重合体粒子(A)が不織布(B)から脱落し難くなる等の観点から、不織布(B)の目付けは好ましくは1〜50g/m
2、より好ましくは5〜45g/m
2、更に好ましくは10〜40g/m
2である。
【0118】
本発明の吸収性物品が、不織布(B)の少なくとも一方の面に水性液体吸収部を有する構造を有する場合、不織布(B)と水性液体吸収部との間に透水性シートを有することが好ましい。透水性シートはエアスルー不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布、ティッシュペーパー及びクレープ紙等を用いることが出来る。透水性シートの目付け量としては、5〜45g/m
2が望ましい。
【0119】
本発明の吸収性物品は、バックシートの上に水性液体吸収部及び不織布(B)及び必要により透水性シートを有する構造とすることが出来る。バックシートとしては、ポリエチレンシート及びウレタンシート等の遮水性を有するシート材を用いることが出来る。
【0120】
吸収性物品は、公知の製造方法(特開2013−255565号公報、特開2014−233447号公報、特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等)で得ることが出来る。
【実施例】
【0121】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0122】
<架橋重合体粒子の製造例>
<製造例1>
水溶性ビニルモノマー(a1){アクリル酸}155部(2.15モル部)、架橋剤(a3){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、引き続き疎水性物質(a4){ステアリン酸Mg}1.9部を添加して混合し、細断ゲル(2)を得た。更に細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋した後、高速攪拌しながらシリカ{アエロジル200}を0.10部添加して、架橋重合体粒子(A−1)を得た。架橋重合体粒子(A−1)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.56g/mlであった。なお、重量平均粒子径は及び見掛け密度はそれぞれ以下の方法で測定した。
【0123】
<重量平均粒子径の測定>
1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μmの目開きを有する標準ふるいを順に重ね、受け皿の上に組み合わせた。最上段のふるい上に架橋重合体粒子(A−1)約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせた。各ふるい及び受け皿の上に残存した粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とした。
【0124】
<見掛け密度の測定>
25℃の環境下で、JIS K7365:1999に準拠して測定した。
【0125】
<製造例2>
「目開き目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整」を「目開き目開き150、300,500,600μmのふるいを用いて150〜600μmの粒度に調整」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A−2)を得た。製造例1と同様に測定した架橋重合体粒子(A−2)の重量平均粒子径は350μmであり、見掛け密度は0.60g/mlであった。
【0126】
<製造例3>
「目開き目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整」を「目開き目開き150、300,500μmのふるいを用いて150〜500μmの粒度に調整」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A−3)を得た。製造例1と同様に測定した架橋重合体粒子(A−3)の重量平均粒子径は300μmであり、見掛け密度は0.64g/mlであった。
【0127】
<製造例4>
「シリカ{アエロジル200}を0.1部」を「シリカ{アエロジル200}を0.5部」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A−4)を得た。製造例1と同様に測定した架橋重合体粒子(A−4)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.54g/mlであった。
【0128】
<製造例5>
「疎水性物質(a4){ステアリン酸Mg}1.9部を添加」使用しなかったこと、及び「シリカ{アエロジル200}を0.1部」を使用しなかったこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体粒子(A−5)を得た。製造例1と同様に測定した架橋重合体粒子(A−5)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.64g/mlであった。
【0129】
製造例1〜5で得られた架橋重合体粒子(A−1)〜(A−5)について、自重の40倍の生理食塩水を吸収する時間[生理食塩水(40倍)吸収時間]、基本流動性エネルギー、保水量及びゲル弾性率を下記の方法で測定し、重量平均粒子径及び見掛け密度と共に表1に記載した。
【0130】
【表1】
【0131】
<生理食塩水(40倍)吸収時間の測定>
製造例1〜5で得られた架橋重合体粒子(A−1)〜(A−5)1.00gを入れた100mlビーカーのそれぞれに生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)40gを添加した。その後、無撹拌下で静置して、生理食塩水が完全に吸水されるまでの時間(吸水終盤でビーカーを少し傾けて液残りを確認する)を測定し、生理食塩水(40倍)吸収時間とした。尚、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃のものを用いた。
【0132】
<基本流動性エネルギーの測定>
基本流動性エネルギー測定モードに設定したシスメックス株式会社製パウダーレオメーターFT4を用いて、−25℃及び50%RHの測定環境下でブレード幅と回転速度をそれぞれ48mm、100m/sに設定し、7回行った測定結果の算術平均値を基本流動性エネルギーとした。なお、測定サンプルは容量160mlに固定して行い、内径50mmの160mlスプリット容器内に製造例1〜5で得られた架橋重合体粒子(A−1)〜(A−5)のそれぞれを自然落下で投入して得られたものを用いた。
【0133】
<保水量の測定>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に製造例1〜5で得られた架橋重合体粒子(A−1)〜(A−5)を1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した。その後、生理食塩水から上げ、15分間吊るして水切りし、ティーバッグごと遠心分離器にいれて150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除いた。脱水後のティーバックを含めた重量(h1)を測定した。更に架橋重合体粒子を入れないこと以外は同様に操作したティーバックの重量を測定し(h2)し、次式から保水量を求めた。
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
尚、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とした。
【0134】
<ゲル弾性率の測定>
人工尿[尿素200重量部、塩化ナトリウム80重量部、硫酸マグネシウム(7水塩)8重量部、塩化カルシウム(2水塩)3重量部、硫酸第2鉄(7水塩)2重量部、イオン交換水9704重量部]60.0gを100mlビーカー(内径5cm)に量り取り、JIS K7224−1996に記載された操作と同様にして、製造例1〜5で得られた架橋重合体粒子(A−1)〜(A−5)2.0gを精秤して上記ビーカーに投入し、30倍膨潤ゲルを作成した。次いで30倍膨潤ゲルの入ったビーカーにラップをし、40±2℃の雰囲気下で3時間、更に25±2℃の雰囲気下で0.5時間静置した後、30倍膨潤ゲルのゲル弾性率を下記の条件で株式会社アイテックテクノエンジニアリング製カードメーター・マックスME−500を用いて測定した。
(カードメーターの条件)
・感圧軸:8mm
・スプリング:100g用
・荷重:100g
・上昇速度:1インチ/7秒
・試験性質:破断
・測定時間:6秒
・測定雰囲気温度:25±2℃
【0135】
<不織布の製造例>
<製造例6>
アクリロニトリル(90部)、アクリル酸メチル(9.7部)及びメタアリルスルホン酸ナトリウム(0.3部)の単量体混合物について水系懸濁重合を行い、重合体Aを得た。アクリロニトリル(28部)及びメトキシポリエチレングリコール(30モル)メタクリレート(72部)の単量体混合物について水系懸濁重合を行い、重合体Bを得た。重合体A(97部)及び重合体B(3部)をロダン酸ナトリウム50%水溶液(900部)に溶解して紡糸原液とし、これを用いて紡糸を行い、多孔質繊維(b1−1)を得た。得られた多孔質繊維(b1−1)の繊度、強度、伸度、接触角及び平均細孔径は、それぞれ2デシテックス、3cN/デシテックス、50%、46度及び10nmであった。この多孔質繊維(b1−1)を用いてニードルパンチ法にて目付40g/m
2の不織布(B−1)を作成した。
尚、多孔質繊維(b1−1)の繊度、強度、伸度、接触角及び平均細孔径の測定は以下の方法で行った。
【0136】
<繊度>
JIS−L1015(2010)の「8.5 繊度」のA法に則り測定した。
【0137】
<強度及び伸度>
JIS−L1015(2010)の「8.7 引張強さ及び伸び率」の標準時試験に則り測定した。
【0138】
<接触角>
繊維束より1本の繊維をサンプリングし、純水を溶媒として、純水中に浮沈させ、Biolin Scientific社のSigma701で計測した。
【0139】
<平均細孔径>
JIS−R1655(2003)の水銀圧入法により測定した。
【0140】
<製造例7>
重合体A(95部)及び重合体B(5部)をロダン酸ナトリウム50%水溶液900部に溶解した紡糸原液を用いること以外は実施例5と同様に行い、多孔質繊維(b1−2)を得た。得られた多孔質繊維(b1−2)の繊度、強度、伸度、接触角及び平均細孔径は、それぞれ、1デシテックス、2cN/デシテックス、30%、46度及び20nmであった。この多孔質繊維(b1−2)を用いて、ニードルパンチ法にて目付40g/m
2の不織布(B−2)を作成した。
【0141】
<製造例8>
アクリロニトリル(75部)及びアクリル酸メチル(25部)の単量体混合物について水系懸濁重合を行い、重合体Cを得た。重合体C(97部)及び重合体B(3部)をロダン酸ナトリウム50%水溶液900部に溶解して紡糸原液とし、これを用いて紡糸を行い、多孔質繊維(b1−3)を得た。得られた多孔質繊維(b1−3)の繊度、強度、伸度、接触角及び平均細孔径は、それぞれ6デシテックス、5cN/デシテックス、70%、50度及び40nmであった。この多孔質繊維(b1−3)(80部)とポリエステル系熱融着性繊維(ユニチカ株式会社製メルティ#4080)(20部)とを混合し、ニードルパンチ法とヒートプレス法とを併用して、目付40g/m
2の不織布(B−3)を作成した。
【0142】
<製造例9>
アクリロニトリル(94部)、アクリル酸メチル(5部)及びメタアリルスルホン酸ナトリウム(1部)の単量体混合物を重合溶媒としてジメチルスルホキシドを用いて溶液重合を行い、重合体Dを得た。アクリロニトリル(30部)及びメトキシポリエチレングリコール(30モル)メタクリレート(70部)の単量体混合物を溶液重合して重合体Eを得た。重合体D(85部)及び重合体E(15部)をジメチルスルホキシドに溶解して、固形分15%の紡糸原液を得て、ジメチルスルホキシド/水の重量比一対一の混合溶液中で紡糸を行った。更に、得られた繊維を2%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、重合体Eを溶解して多孔質繊維(b1−4)を得た。多孔質繊維(b1−4)の繊度、強度、伸度、接触角及び平均細孔径は、それぞれ2デシテックス、2cN/デシテックス、20%、45度及び600nmであった。この多孔質繊維(b1−4)を用いて、ニードルパンチ法にて目付40g/m
2の不織布(B−4)を作成した。
【0143】
<製造例10>
多孔質繊維(b1−1)(90部)と水性液体吸収性繊維(b2−1)としての「ランシール(登録商標)F」(東洋紡株式会社製、繊度5.6デシテックス、繊維長51mm)(10部)とをエアレイドにて混ぜた後、ニードルパンチ法にて目付40g/m
2の不織布(B−5)を得た。
【0144】
<製造例11>
多孔質繊維(b1−1)(70部)と水性液体吸収性繊維(b2−1)(30部)とをエアレイドにて混ぜた後、ニードルパンチ法にて目付40g/m
2の不織布(B−6)を得た。
【0145】
<製造例12>
多孔質繊維(b1−1)(45部)と水性液体吸収性繊維(b2−1)(45部)とをエアレイドにて混ぜた後、ポリエステル系熱融着性繊維(ユニチカ株式会社製メルティ#4080)(10部)と混合し、ニードルパンチ法とヒートプレス法を併用して目付40g/m
2の不織布(B−7)を得た。
【0146】
<製造例13>
多孔質繊維(b1−1)(10部)と水性液体吸収性繊維(b2−1)(90部)とをエアレイドにて混ぜた後、ニードルパンチ法にて目付40g/m
2の不織布(B−8)を得た。
【0147】
<製造例14>
多孔質繊維(b1−1)(100部)をスパンレース法にて目付20g/m
2の不織布(B−9)を得た。
【0148】
<実施例1>
架橋重合体粒子(A−1)を目付け200g/m
2となるように均一に不織布(B−1)(目付け40g/m
2)上に手で撒き、5kg/cm
2の圧力で30秒間プレスして架橋重合体粒子(A−1)を不織布(B−1)内の空隙(すなわち細孔)内に埋め込み、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、吸収体(1)を吸収体(1)と同じ大きさの透水性シート(目付け15.5g/m
2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)で挟み、更にバックシートとしてポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(不織布目付:25g/m
2、東洋紡社製2.2T 44−SMK)最表面に配置することにより吸収性物品(1)を調製した。
【0149】
<実施例2>
「架橋重合体粒子(A−1)」を「架橋重合体粒子(A−2)」に変更したこと、「不織布(B−1)」を「不織布(B−2)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(2)を調製した。
【0150】
<実施例3>
「架橋重合体粒子(A−1)」を「架橋重合体粒子(A−3)」に変更したこと、「不織布(B−1)」を「不織布(B−3)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(3)を調製した。
【0151】
<実施例4>
「架橋重合体粒子(A−1)」を「架橋重合体粒子(A−4)」に変更したこと、「不織布(B−1)」を「不織布(B−4)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(4)を調製した。
【0152】
<実施例5>
「架橋重合体粒子(A−1)」を「架橋重合体粒子(A−5)」に変更したこと、「不織布(B−1)」を「不織布(B−5)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(5)を調製した。
【0153】
<実施例6>
「不織布(B−1)」を「不織布(B−6)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(6)を調製した。
【0154】
<
参考例7>
親水性繊維(c){フラッフパルプ}20部と架橋重合体粒子(A−1)80部とを気流型混合装置{パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を目付け250g/m
2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cm
2の圧力で30秒間プレスし、吸収体(2)を得た。この吸収体(2)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの透水性シート(目付け15.5g/m
2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、更にバックシートとしてポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(B−7)(目付け40g/m
2)を表面に配置し、更に不織布(不織布目付:25g/m
2、東洋紡社製2.2T 44−SMK)を最表面に配置することにより吸収性物品(7)を調製した。架橋重合体粒子と親水性繊維の重量比率(架橋重合体粒子の重量/親水性繊維の重量)は80/20であった。
【0155】
<実施例8>
「不織布(B−1)」を「不織布(B−8)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(8)を調製した。
【0156】
<
参考例9>
親水性繊維(c)を20部から5部へ、架橋重合体粒子(A−1)を80部から95部に変更し、「不織布(B−7)」を「不織布(B−1)」に変更したこと以外、
参考例7と同様にして吸収性物品(9)を調製した。
【0157】
<
参考例10>
「不織布(B−7)」を「不織布(B−1)」に変更したこと以外、
参考例7と同様にして吸収性物品(10)を調製した。
【0158】
<
参考例11>
親水性繊維(c)を20部から80部へ、架橋重合体粒子(A−1)を80部から20部に変更し、「不織布(B−7)」を「不織布(B−8)」に変更したこと以外、
参考例7と同様にして吸収性物品(11)を調製した。
【0159】
<
参考例12>
親水性繊維(c)を20部から50部へ、架橋重合体粒子(A−1)を80部から50部に変更したこと以外、
参考例7と同様にして吸収性物品(12)を調製した。
【0160】
<
参考例13>
「不織布(B−7)」を「不織布(B−9)」に変更したこと以外、
参考例7と同様にして吸収性物品(13)を調製した。
【0161】
<
参考例14>
「不織布(B−7)」を「不織布(B−3)」に変更したこと以外、
参考例7と同様にして吸収性物品(14)を調製した。
【0162】
<比較例1>
多孔質繊維を使用した不織布(B−7)を使用せずに、代わりに多孔質繊維を用いていない不織布(HB−1)(不織布目付:25g/m
2、東洋紡社製2.2T 44−SMK)を使用したこと以外、実施例7と同様にして吸収性物品(H1)を調製した。
【0163】
<比較例2>
架橋重合体粒子(A−1)を親水性繊維(c){フラッフパルプ}に、「不織布(B−1)」を「不織布(B−8)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性物品(H2)を調製した。
【0164】
実施例1〜14で得られた吸収性物品(1〜14)及び比較例1、2で得られた比較用吸収性物品(H1、H2)について、以下の方法で形状保持性を評価し、結果を表2に記載した。
【0165】
<形状保持性の測定>
実施例
1〜6、8、参考例7、9〜14並びに比較例1及び2で得られた吸収体物品それぞれの中心部を8cm×3cmにハサミでカットし、それぞれを10cm×14cmのチャック付袋に入れた。袋に窒素ガスを満タンに入れ、袋をチャックした後、それぞれの袋を10秒間、10回手で振った。チャックを開け、12gの生理食塩水をカットしたサンプルに吸収させた。生理食塩水投入5分後に再び袋に窒素ガスを満タンに入れ、チャックをした後、袋ごとに20秒間、20回手で振った。その後、カットしたサンプルの形状を確認し、次の基準に基づいて1〜5点にレベル分けして評価した。
1:バラバラの形態;
2:バラバラ部位が殆どで一部塊部位がある形態;
3:バラバラ部位と塊部位が半分半分である形態;
4:塊部位が殆どで一部バラバラ部位があるである形態;
5:一つの塊の形態。
【0166】
【表2】
【0167】
表2から判るように、本発明の吸収性物品は、比較用の吸収性物品に比べ、膨潤後の吸収体保持性が優れていた。したがって、本発明の吸収性物品を使用した場合、外部から力が加わった場合でも吸収体形状保持性と水性液体の吸収性に優れ、吸収部位に連続あるいは非連続的に一定の力が掛かかっても、吸収部の断裂やよれが発生せず、吸収能力の低下のよる液漏れが無く、それに伴う皮膚のカブレ等を引き起こすことがないことが容易に予測される。