(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一ベース部及び前記第二ベース部の何れか一方は、色彩がナチュラル色の樹脂により形成されて全体が前記易熱伝達部とされ、他方は、色彩が黒色の樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシ付モータ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(ワイパモータ)
図1は、本発明の実施形態に係るワイパモータ1の斜視図である。
図2は、
図1のA−A線に沿う断面図である。
ワイパモータ1は、例えば車両のフロントウィンドウを払拭するフロントワイパ(不図示)を駆動するものである。
【0029】
図1、
図2に示すように、ワイパモータ1は、電動モータ2と、電動モータ2の回転軸3に連結された減速機構4と、この減速機構4や電動モータ2の一部を収容するギヤハウジング5と、を備える。ワイパモータ1は、電動モータ2の駆動力を減速機構4で減速した後、後述する出力軸95を介してフロントワイパに伝達するように構成されている。
【0030】
なお、以下の説明では、回転軸3の軸線方向を回転軸方向O1という。また、回転軸方向O1のうち、電動モータ2(アーマチュア6)側を基端側、減速機構4(ウォーム91)側を先端側という。さらに、回転軸3周りの周方向を単に周方向という。また、回転軸3の径方向を単に径方向という。
ここで、回転軸方向O1は、ホルダユニット32(ブラシホルダステー33)の厚み方向に一致する。
【0031】
(電動モータ)
図3は、ワイパモータ1の分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、電動モータ2は、有底筒状のヨーク7と、ヨーク7内に回転可能に設けられたアーマチュア6と、を有している。
【0032】
ヨーク7のうち、筒部11の内周面には、複数(例えば、4つ)のマグネット12が周方向に沿って配設されている。
ヨーク7の底壁15のうち、径方向の中央には、回転軸方向O1の外側に向かって突出するボス部13が形成され、このボス部13内に回転軸3の基端部を軸支するための軸受14が設けられている。
筒部11の開口縁には、基端側に向けて窪む凹部16が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0033】
アーマチュア6は、回転軸3に外嵌固定されたアーマチュアコア21と、アーマチュアコア21に巻装されたアーマチュアコイル22と、回転軸方向O1に沿うアーマチュアコア21に対して先端側に配置されたコンミテータ23と、を備えている。
アーマチュアコア21は、プレス加工等によって打ち抜かれた磁性材料の板材を回転軸方向O1に積層したものであって、アーマチュアコイル22が巻装される複数のティース21aが放射状に形成されている。
【0034】
コンミテータ23は、回転軸3に外嵌固定されるとともに、その外周面には導電材で形成されたセグメント24が複数枚取り付けられている。セグメント24は回転軸方向O1に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。
【0035】
各セグメント24において、基端側には、径方向の外側に折り返す形で折り曲げられたライザ25が一体成形されている。ライザ25には、アーマチュアコイル22の端末部が掛け回わされ、ヒュージングなどにより固定されている。これにより、セグメント24と、これに対応するアーマチュアコイル22と、が導通される。
また、同電位となるセグメント24にそれぞれ対応するライザ25には、接続線(不図示)が掛け回され、この接続線がヒュージングによりライザ25に固定されている。接続線は、同電位となるセグメント24同士を短絡するためのものであって、コンミテータ23とアーマチュアコア21との間に引き回されている。
【0036】
コンミテータ23のセグメント24には、ブラシ31が摺接している。ブラシ31はセグメント24に摺接することにより、セグメント24を介してアーマチュアコイル22に電流を供給するようになっている。ブラシ31は、後述するブラシホルダ41を介してブラシホルダステー33(ホルダユニット32)に保持されている。
【0037】
(ホルダユニット)
図4は、ホルダユニット32であって、(a)は、第一面S1側からみた斜視図、(b)は、第二面S2側からみた斜視図である。
図5は、
図4(a)のB部拡大図である。
図6は、ホルダユニット32とインシュレータ100の分解斜視図、
図7は、ホルダユニット32の分解斜視図である。
図4〜
図7に示すように、ホルダユニット(第一ベース部)32は、電動モータ2と回転軸方向O1で重なる位置に配設されたブラシホルダステー33と、ブラシホルダステー33に対して径方向で隣接配置されたコネクタ部34と、これらブラシホルダステー33及びコネクタ部34間を径方向で架け渡すブリッジ部35と、が樹脂材料等により一体的に形成されたものである。
【0038】
ブラシホルダステー33は、環状のホルダベース部36を備え、ホルダベース部36の外周縁には径方向の外側に向けて位置決め部37が突設されている。位置決め部37の先端部は、後述するフレーム部61に係合しており、これによりフレーム部61に対するホルダユニット32の回転軸方向O1に沿う位置決めが行われている。
ホルダベース部36の内径は、コンミテータ23を挿入可能な大きさに設定されており、ホルダベース部36の内側にコンミテータ23が挿通されている。
【0039】
ブラシホルダステー33において、基端側を向く面(以下、第一面S1という)には、各ブラシ31を電気的に接続する配線部材120が配置されている。
配線部材120は、3種類のターミナル130(130A、130B、130C)と5本のジャンパ線141〜145とを有している。なお、配線部材120の詳細構成等については、後述する。
【0040】
ブラシホルダステー33において、先端側を向く面(以下、第二面S2という)には、雑防素子110を保持するインシュレータ(第二ベース部)100が重畳配置される。第二面S2は、第一面S1に背向く面である。
ここで、ホルダユニット32(ブラシホルダステー33、コネクタ部34、ブリッジ部35)は色彩が黒色の樹脂により形成されている一方、インシュレータ100は、色彩がナチュラル色の樹脂により形成されている。なお、インシュレータ100の詳細構成等については後述する。
【0041】
ブラシホルダステー33の第二面S2には、周方向の3箇所にブラシホルダ41が固定されている。ブラシホルダ41は、導線性を有する板バネ材により断面略L字状に形成されている。より具体的には、ブラシホルダ41は、ブラシホルダステー33の第二面S2に当接する接続部41Aと、接続部41Aの径方向内側端から回転軸方向O1に沿いつつ径方向内側に向かって斜めに屈曲延出するホルダ本体41Bと、により構成されている。
【0042】
接続部41Aは、平面視略長方形に形成されており、2つの位置決め孔41Cが形成されている。ブラシホルダステー33の位置決め孔41Cに対応する位置には、それぞれ位置決めピン33Aが突設されている。この位置決めピン33Aが位置決め孔41Cに挿入されることにより、ブラシホルダステー33に対するブラシホルダ41の位置決めが行われる。
【0043】
一方、ホルダ本体41Bには、それぞれブラシ31が保持されている。
各ブラシ31は、径方向の内側に向かうに従い回転軸方向O1の幅が漸次先細る側面視で三角形状とされている。そして、各ブラシ31は、基端部(径方向の外側端部)がブラシホルダ41のホルダ本体41Bに嵌合されている。一方、先端部(径方向の内側端部)は、ブラシホルダ41によってコンミテータ23側に付勢され、このコンミテータ23のセグメント24に摺接されている。これにより、バッテリ(不図示)からの電力を、ブラシ31を介してコンミテータ23に給電できる。
【0044】
ブラシ31は、陽極側に接続された低速用ブラシ31a及び高速用ブラシ31bと、陰極側に接続されるとともに低速用ブラシ31a及び高速用ブラシ31bに共通使用される共通ブラシ31cと、を備えている。
低速用ブラシ31aは、低速用ブラシ31aと共通ブラシ31cとの間に電圧が印加されることで、フロントワイパを低速駆動する際に用いられるブラシ31である。
高速用ブラシ31bは、高速用ブラシ31bと共通ブラシ31cとの間に電圧が印加されることで、フロントワイパを高速駆動する際に用いられるブラシ31である。
【0045】
また、低速用ブラシ31aと共通ブラシ31cは、互いに電気角で180°、すなわち機械角(回転軸3を中心として各ブラシ31a,31cがなす中心角のうち、狭い方の角度(劣角側))で90°あけて配設されている。一方、高速用ブラシ31bは、回転軸3を中心として各ブラシ31a,31cがなす中心角のうち、広い方の角度(優角)側に、低速用ブラシ31aに対して周方向に所定角度離間して(進角させて)配置されている。
【0046】
ホルダベース部36において、低速用ブラシ31a及び高速用ブラシ31bは、コンミテータ23(回転軸方向O1)に対してコネクタ部34の反対側に配置され、共通ブラシ31cはコンミテータ23(回転軸方向O1)に対してコネクタ部34側に配置されている。
【0047】
ブリッジ部35は、回転軸方向O1を厚さ方向とする板状とされ、上述したホルダベース部36における周方向の一部から径方向の外側に向けて延在している。ブリッジ部35の第二面S2には、ジャンパ線42,43がコネクタ部34に向けて配線されている。また、サーキットブレーカ44がブリッジ部35の第二面S2に固定されている。
【0048】
コネクタ部34は、ブラシホルダステー33及びブリッジ部35と同一面上を延在するコネクタベース部51と、コネクタベース部51から基端側に向けて立設されたコネクタ受部52と、を備えている。
【0049】
コネクタベース部51には、給電用のパワーターミナル55、センサ用のコンタクトプレート56及びアースプレート57がインサート成形等によって複数本ずつ埋設されている。パワーターミナル55が2本、コンタクトプレート56が2本、アースプレート57が1本埋設されており、コネクタベース部51において互いに間隔をあけて配列されている。
【0050】
パワーターミナル55は、回転軸方向O1に沿って延在する板状とされ、コネクタベース部51を貫通している。パワーターミナル55は、基端側がコネクタ受部52内に向けて突出してコネクタ端子として機能しており、先端側がコネクタベース部51の第二面S2側に露出している。
各パワーターミナル55の先端側には、低速用ブラシ31a及び高速用ブラシ31bに電気的に接続するジャンパ線42,43が各別に接続されている。
【0051】
コンタクトプレート56は、減速機構4を構成する後述のウォームホイール92の回転角度を検出するためのものである。コンタクトプレート56は、パワーターミナル55と同様に回転軸方向O1に沿って延在する板状とされ、コネクタベース部51を貫通している。コンタクトプレート56は、基端側がコネクタ受部52内に向けて突出してコネクタ端子として機能しており、先端側がクランク状に屈曲しながら後述のウォームホイール92に向けて延在している。
【0052】
アースプレート57は接地端子であって、コンタクトプレート56と同様に形成されている。アースプレート57には、サーキットブレーカ44の端部が接続されている。
サーキットブレーカ44は、ブリッジ部35の第二面S2に固定されており、端部が共通ブラシ31cに対応するブラシホルダ41に接続されている。
【0053】
(インシュレータ)
図8は、インシュレータ100の斜視図であって、(a)は、第二面T2側からみた斜視図、(b)は、
図8(a)のC部拡大図、(c)は、第一面T1側からみた斜視図である。
図6、
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)に示すように、インシュレータ100は、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)の第二面S2に重畳配置される。インシュレータ100は、ホルダベース部36に重なる環状平板形に形成される。インシュレータ100のブラシホルダステー33とは反対側の第二面T2には、ブラシホルダ41の接続部41Aに対応する位置に、レーザ照射凸部101が形成されている。このレーザ照射凸部101には、ブラシホルダ41とターミナル130及びサーキットブレーカ44とをレーザ溶接する際のレーザ光が照射される(詳細は後述する)。
【0054】
また、レーザ照射凸部101には、ブラシホルダステー33の位置決めピン33Aに対応する位置に、これら位置決めピン33Aを受け入れるための凹部101Aが形成されている。これにより、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)とインシュレータ100との位置決めが行われる。
さらに、インシュレータ100の第二面T2側には、雑防素子110である2つのチョークコイル111と2つのコンデンサ112が保持されている。
【0055】
2つのチョークコイル111は、高速用ブラシ31bと低速用ブラシ31aの間に配置されるように、インシュレータ100に保持される。2つのコンデンサ112は、共通ブラシ31cと高速用ブラシ31bとの間と、共通ブラシ31cと低速用ブラシ31aとの間にそれぞれ配置されるように、インシュレータ100に保持される。
【0056】
インシュレータ100には、チョークコイル111とコンデンサ112に対応する位置に、それぞれ回転軸方向O1に貫通する貫通孔102が形成される。これら貫通孔102に、チョークコイル111とコンデンサ112のそれぞれのリード線115が挿通される。チョークコイル111等のリード線115は、貫通孔102に対して第二面T2から第一面T1に向かって挿入されて、第一面T1から突出している。
【0057】
貫通孔102は、第二面T2からブラシホルダステー33側の面である第一面T1に向かうに従って徐々に縮径するテーパ孔状に形成される。
貫通孔102がテーパ孔状に形成されているので、雑防素子110のリード線115の先端が貫通孔102の斜面に沿うようにして挿通される。したがって、インシュレータ100の第二面T2に雑防素子110を配置するだけで、雑防素子110の配線組付けが容易に行われる。そして、ブラシホルダステー33側に配置されたターミナル130(130A〜130C)に接続される。
【0058】
(ターミナル)
図6、
図7に示すように、3種類のターミナル130(第一ターミナル130A、第二ターミナル130B、第三ターミナル130C)は、ブラシホルダステー33とインシュレータ100の間に配置(挟持)されるような形となる。以下、各ターミナル130(130A、130B,130C)について詳述する。
【0059】
図9は、第一ターミナル130Aを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図10は、第二ターミナル130Bの斜視図、
図11は、第三ターミナル130Cの斜視図である。
図7、
図9(a)、
図9(b)に示すように、第一ターミナル130Aは、雑防素子110のリード線115とジャンパ線141〜145とを電気的に接続する導通部材である。
【0060】
第一ターミナル130Aは、ブラシホルダステー33に密着する座部131Aと、座部131Aの中央から基端側に突出する突部132と、座部131Aの側部から基端側に突出する保持部134Aと、が一体成形されたものである。
座部131Aは、略円形又は略多角形の平板状の部位である。突部132は、座部131Aの中央から基端側に向けて円錐形(テーパ形)に突出する部位である。突部132の中心には、回転軸方向O1に沿う貫通孔133が形成される。この貫通孔133には、雑防素子110のリード線115が挿通される。突部132の裏面(先端側)は、円錐孔形に形成される。つまり、貫通孔133の内面は、突部132の突出方向に向かうに従って徐々に縮径するテーパ面133aになっている。
【0061】
保持部134Aは、座部131Aの側部から基端側に向けて突出する平板状の部位である。保持部134Aの頂部には、U字形の切欠き135が形成されている。これにより、保持部134Aは、先端に二又状の保持爪部134aが設けられた状態になっている。切欠き135には、ジャンパ線144〜145が挿入される。換言すれば、保持爪部134aによって、ジャンパ線144〜145が挟持される。
【0062】
図7、
図10に示すように、第二ターミナル130Bは、3つのブラシホルダ41のうち、低速用ブラシ31aと高速用ブラシ31bを保持している2つのブラシホルダ41と、ジャンパ線141〜143と、を電気的に接続する導通部材である。
第二ターミナル130Bは、座部131Bと、座部131Bの側部から基端側に突出する保持部134Bと、が一体成形されたものである。座部131Bは、略長方形の平板状の部材である。保持部134Bは、第一ターミナル130Aと同一状に形成されているので、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
図7、
図11に示すように、第三ターミナル130Cは、ジャンパ線144〜145とジャンパ線42,43を電気的に接続する導通部材である。
第三ターミナル130Cは、座部131Cと、座部131Cの対向する2つの側部からそれぞれ基端側と先端側とに突出する2つの保持部134Cと、が一体成形されたものである。座部131Cは、略長方形の平板状の部材である。2つの保持部134Cは、それぞれ第一ターミナル130Aと同一状に形成されているので、同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
このような構成のもと、
図6、
図7に示すように、各ターミナル130A〜130Cは、それぞれブラシホルダステー33に形成された保持孔151(第一保持孔151A、第二保持孔151B、第三保持孔151C)に収容保持される。
第一保持孔151Aは、第一ターミナル130Aに対応する位置に形成されている。第一保持孔151Aは、第一ターミナル130Aの座部131Aに対応するように略円形又は略多角形に形成された段付き貫通孔である。すなわち、第一保持孔151Aの内周には、先端側を向き、突部132と座部131Aとを受ける段部が設けられる。
【0065】
第一保持孔151Aに第一ターミナル130Aを収容するときは、第一ターミナル130Aをブラシホルダステー33の第二面S2側(第二面S2が臨む方向)から挿入する。そして、突部132と保持部134Aを第一保持孔151Aに挿通し、座部131Aを段部に当接させる。
これにより、突部132と保持部134Aは、ブラシホルダステー33の第一面S1に開口する第一保持孔151Aから露出する。一方、テーパ孔形の貫通孔133と座部131Aは、ブラシホルダステー33の第二面S2に開口する第一保持孔151Aから露出する。
【0066】
第二保持孔151Bは、第二ターミナル130Bに対応する位置に形成されている。第二保持孔151Bは、第二ターミナル130Bの座部131Bに対応するように略長方形に形成された段付き貫通孔である。すなわち、第二保持孔151Bの内周には、座部131Bを受ける段部が設けられる。
【0067】
第二保持孔151Bに第二ターミナル130Bを収容するときは、第二ターミナル130Bをブラシホルダステー33の第二面S2側(第二面S2が臨む方向)から挿入する。そして、保持部134Bを第二保持孔151Bに挿通し、座部131Bを段部に当接させる。
これにより、保持部134Bは、ブラシホルダステー33の第一面S1に開口する第二保持孔151Bから露出する。一方、座部131Bは、ブラシホルダステー33の第二面S2に開口する第二保持孔151Bから露出する。
【0068】
第三保持孔151Cは、第三ターミナル130Cに対応する位置に形成されている。第三保持孔151Cは、第三ターミナル130Cの座部131Cに対応するように略長方形に形成された段付き貫通孔である。すなわち、第三保持孔151Cの内周には、座部131Cを受ける段部が設けられる。
【0069】
第三保持孔151Cに第三ターミナル130Cを収容するときは、第三ターミナル130Cをブラシホルダステー33の第二面S2側(第二面S2が臨む方向)から挿入する。そして、2つの保持部134Cのうちの一方を第三保持孔151Cに挿通し、座部131Cを段部に当接させる。
これにより、2つの保持部134Cのうちの一方は、ブラシホルダステー33の第一面S1に開口する第三保持孔151Cから露出する。一方、2つの保持部134Cのうちの他方と座部131Cは、ブラシホルダステー33の第二面S2に開口する第三保持孔151Cから露出する。
【0070】
そして、このように各ターミナル130(130A,130B,130C)が配置されたブラシホルダステー33の第二面S2にインシュレータ100を重ねることにより、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)とインシュレータ100の間に、各ターミナル130の座部131A〜131Cが挟持される。
【0071】
ここで、各ブラシホルダ41の接続部41Aも、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)とインシュレータ100との間に挟持される。このとき、3つのブラシホルダ41のうち、低速用ブラシ31aと高速用ブラシ31bを保持している2つのブラシホルダ41の接続部41Aと、第二ターミナル130Bの座部131Bは、互いに重ね合わさった状態でブラシホルダステー33(ホルダユニット32)とインシュレータ100の間に挟持される。
【0072】
(各電子部品の接続作業)
次に、各ターミナル130A〜130C、各ブラシホルダ41、各ジャンパ線42,43,141〜145、雑防素子110のリード線115、及びサーキットブレーカ44の接続作業について説明する。
まず、
図4(a)、
図6に基づいて、各ターミナル13A〜130C、各ジャンパ線42,43,141〜145、及び雑防素子110のリード線115の接続作業について説明する。
【0073】
図6に示すように、ホルダユニット32(ブラシホルダステー33)にインシュレータ100を重ねるとき、インシュレータ100の第一面T1から突出するリード線115とブラシホルダステー33の第二面S2に露出する貫通孔133が対向する。
このため、ブラシホルダステー33とインシュレータ100とを密着させると、雑防素子110のリード線115が第一ターミナル130Aの貫通孔133に挿入される。貫通孔133の内面は、テーパ面133aになっているので、雑防素子110のリード線115の先端が貫通孔133の斜面に沿うようにして挿通される。そして、リード線115は、座部131の頂部から第二面S2側に突出する。
したがって、ブラシホルダステー33にインシュレータ100を重ねるだけで、雑防素子110の配線組付けが容易に行われる。
【0074】
図4(a)に示すように、ジャンパ線141〜145は、ブラシホルダステー33の第一面S1に露出した保持部134A〜134Cに架け渡される。つまり、ジャンパ線141〜145は、保持部134A〜134Cの保持爪部134aに挟持される。
第一ターミナル130Aの保持部134A(保持爪部134a)には、ジャンパ線141〜145の端部が挟持される。また、第二ターミナル130Bの保持部134B(保持爪部134a)には、ジャンパ線141〜143の中間部が挟持される。さらに、第三ターミナル130Cの保持部134C(保持爪部134a)には、ジャンパ線144,145の端部が挟持される。
なお、ジャンパ線143〜145は、ブラシホルダステー33の第一面S1に形成された保持爪部152にも挟持される。
【0075】
そして、ブラシホルダステー33の第一面S1側からレーザ光を照射して、第一ターミナル130Aの座部131Aと、この座部131Aから突出するリード線115とがレーザ溶接される。また、ブラシホルダステー33の第一面S1側からレーザ光を照射して、各ターミナル130A〜130Cの保持部134A〜134Cと、この保持部134Aの保持爪部134aに架け渡されたジャンパ線141〜145とがレーザ溶接される。
【0076】
次に、
図4(b)、
図7、
図12に基づいて、第二ターミナル130Bと、低速用ブラシ31a及び高速用ブラシ31bを保持している2つのブラシホルダ41との接続作業、及び共通ブラシ31cを保持しているブラシホルダ41とサーキットブレーカ44との接続作業について説明する。
図12は、第二ターミナル130Bと、低速用ブラシ31a及び高速用ブラシ31bを保持している2つのブラシホルダ41との接続作業を示す説明図であって、(a)〜(d)は各工程を示す。
【0077】
図12(a)、
図12(b)に示すように、各ブラシホルダ41は、ブラシホルダステー33に各ターミナル130A〜130Cを取り付けた上からブラシホルダステー33の第二面S2側に配置される。このとき、ブラシホルダステー33には位置決めピン33Aが形成されている一方、ブラシホルダ41には位置決め孔41Cが形成されているので、ブラシホルダステー33に対するブラシホルダ41の位置決めを容易に行うことができる。また、これにより、確実に第二ターミナル130Bの座部131Bとブラシホルダ41の接続部41Aとが重なり合う。
また、
図4(b)、
図7に示すように、共通ブラシ31cを保持しているブラシホルダ41の接続部41A上にサーキットブレーカ44の端子44aを重ね合わせる。
【0078】
次に、
図12(c)、
図12(d)に示すように、ブラシホルダステー33の第二面S2にインシュレータ100を重ねる。これにより、ブラシホルダステー33とインシュレータ100との間に、各ターミナル130の座部131A〜131Cと各ブラシホルダ41の接続部41Aとが挟持される。
ここで、インシュレータ100のレーザ照射凸部101には、ブラシホルダステー33の位置決めピン33Aに対応する位置に、これら位置決めピン33Aを受け入れるための凹部101Aが形成されている。このため、ブラシホルダステー33とインシュレータ100との位置決めを容易に行うことができる。
【0079】
そして、
図12(d)に示すように、インシュレータ100のレーザ照射凸部101の上からレーザ光Lを照射する。ここで、インシュレータ100は、色彩がナチュラル色の樹脂により形成されている。一方、ホルダユニット32(ブラシホルダステー33、コネクタ部34、ブリッジ部35)は、色彩が黒色の樹脂により形成されている。ナチュラル色は、熱の伝達(レーザ光Lの透過性)が良いとされている。一方、黒色は、熱の吸収が良いとされている。
【0080】
このため、レーザ光Lによる熱は、レーザ照射凸部101を介して各ブラシホルダ41の接続部41Aと、第二ターミナル130Bの座部131B及びサーキットブレーカ44の端子44aと、に効率よく伝達される。よって、第二ターミナル130Bの座部131Bとブラシホルダ41の接続部41Aとがレーザ溶接される。また、サーキットブレーカ44の端子44aとブラシホルダ41の接続部41Aとがレーザ溶接される。
【0081】
さらに、レーザ照射凸部101に、ブラシホルダステー33の位置決めピン33Aが挿入されている。また、位置決めピン33A(ブラシホルダステー33)は、樹脂で形成されている。このため、レーザ光Lによる熱が、レーザ照射凸部101を介して位置決めピン33Aに伝達される。これにより位置決めピン33Aが溶融し、レーザ照射凸部101と位置決めピン33Aとが溶着される。そして、ホルダユニット32とインシュレータ100との固定が完了する。
【0082】
(ギヤハウジング)
図1、
図2に示すように、ギヤハウジング5は、有底筒状に形成されたアルミダイキャスト製のフレーム部61と、フレーム部61の開口部61aを閉塞する樹脂製のボトムプレート62と、を備えている。
フレーム部61の内部は、減速機構4を収納する減速機構収納部65と、周壁部64の一部から連設されてホルダユニット32を収納するホルダユニット収納部66と、に画成されている。
【0083】
(減速機構)
図2、
図3に戻り、減速機構4は、電動モータ2の回転軸3に連結されたウォーム91と、ウォーム91に噛合するウォームホイール92と、を備えている。
ウォーム91は、基端側が減速機構収納部65内において回転軸3に連結され、先端側が軸受(不図示)により減速機構収納部65内において回転可能に支持されている。また、ウォーム91のうち回転軸3との連結部分(回転軸3の先端部)は、フレーム部61に配設された転がり軸受93に回転可能に支持されている。
【0084】
ウォームホイール92は、減速機構収納部65内に収納されており、ウォーム91の回転に伴い回転するように構成されている。ウォームホイール92の中央部(ハブ部)には、ボトムプレート62側に向けて突出するボス部94が形成されている。このボス部94には、出力軸95の基端部がフレーム部61側から圧入されている。
出力軸95の先端部は、フレーム部61のスリーブ82を通してフレーム部61の外部に突出している。そして、この突出部分に、フロントワイパ(不図示)を駆動するための外部機構が連結される。また、出力軸95は、スリーブ82内において、すべり軸受け83に回転可能に支持されている。
【0085】
このように構成されたワイパモータ1においては、ワイパスイッチ(不図示)をOFF位置からLOW位置に切り替えると、電動モータ2の低速用ブラシ31aにバッテリから駆動電流が供給される。これにより、電動モータ2は、低速運転モードの駆動を開始する。具体的に、電動モータ2が駆動すると、その駆動力が減速機構4で減速された後、出力軸95を介してフロントワイパの外部機構に伝達される。これにより、フロントワイパが作動して、フロントガラスに付着した埃や雨滴等を払拭できる。
【0086】
一方、ワイパスイッチがHIGH位置に切り替わると、電動モータ2の高速用ブラシ31bにバッテリから駆動電流が供給される。これにより、電動モータ2は、上述した低速運転モードよりも高速の高速運転モードの駆動を開始する。
【0087】
上述したように、本実施形態のホルダユニット32は、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)とインシュレータ100との間に、各ターミナル130(130A,130B,130C)の座部131A〜130Cとブラシホルダ41の接続部41Aとを配置している。このため、ブラシホルダステー33とインシュレータ100との間に、座部131A〜130Cおよび接続部41Aを挟み込むだけでホルダユニット32に対する各ターミナル130やブラシホルダ41の組付けが完了する。このため、各ターミナル130やブラシホルダ41の組付け作業を簡素化できる。
【0088】
また、インシュレータ100を形成する樹脂の色彩を、熱の伝達(レーザ光Lの透過性)が良いとされているナチュラル色に設定している。すなわち、インシュレータ100全体を、易熱伝達部として構成している。このため、インシュレータ100のレーザ照射凸部101の上からレーザ光Lを照射すれば第二ターミナル130Bの座部131Bとブラシホルダ41の接続部41Aとがレーザ溶接される。さらに、サーキットブレーカ44の端子44aとブラシホルダ41の接続部41Aとがレーザ溶接される。よって、これらターミナル130、ブラシホルダ41、およびサーキットブレーカ44の接続作業工程において、カシメや抵抗溶接を行う必要がなくなり、接続工程を容易化できる。
【0089】
また、ホルダユニット32(ブラシホルダステー33、コネクタ部34、ブリッジ部35)を形成する樹脂の色彩を、熱の吸収が良いとされている黒色に設定している。このため、インシュレータ100から照射されたレーザ光Lの熱を、ブラシホルダステー33で効率よく吸収することができる。よって、ターミナル130、ブラシホルダ41、およびサーキットブレーカ44の接続作業工程を、さらに効率よく行うことができる。
【0090】
さらに、各ブラシホルダ41の接続部41Aには、位置決め孔41Cが形成されている。一方、ブラシホルダステー33には、位置決め孔41Cに挿通可能な位置決めピン33Aが突設されている。このため、ブラシホルダステー33に対するブラシホルダ41の位置決めを容易に行うことができ、組立工数を簡素化できる。
【0091】
また、インシュレータ100のレーザ照射凸部101に、ブラシホルダステー33の位置決めピン33Aを受け入れる凹部101Aが形成されている。このため、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)とインシュレータ100との位置決めを容易に行うことができ、組立工数をさらに簡素化できる。これに加え、位置決めピン33Aが樹脂により形成されているので、レーザ光Lによってレーザ照射凸部101と位置決めピン33Aとを溶着することができる。このため、ターミナル130、ブラシホルダ41、およびサーキットブレーカ44の接続作業工程と同時に、ホルダユニット32とインシュレータ100との固定工程も完了させることができる。よって、組立工数をさらに簡素化できる。
【0092】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0093】
例えば、上述の実施形態では、インシュレータ100全体の色彩を、樹脂のナチュラル色に設定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくともレーザ照射凸部101だけナチュラル色となるように形成してもよい。また、インシュレータ100の色彩を黒色、ブラシホルダステー33(ホルダユニット32)の色彩をナチュラル色に設定することも可能である。この場合、ブラシホルダステー33側からレーザ光Lを照射する。さらに、インシュレータ100及びブラシホルダステー33(ホルダユニット32)の両者の色彩を、ナチュラル色に設定してもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、樹脂の色彩をナチュラル色に設定することにより、レーザ光Lの熱の伝達(レーザ光Lの透過性)が良い易熱伝達部を構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、レーザ光Lの熱の伝達(レーザ光Lの透過性)が良く、且つ絶縁性のある素材を用いて易熱伝達部を構成すればよい。
【0095】
さらに、上述の実施形態では、4極−3ブラシの電動モータ2を採用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、6極や8極−3ブラシの電動モータ2を採用することも可能である。但し、低速用ブラシ31aと共通ブラシ31cは、6極の場合には機械角で60°、8極の場合には45°あけて配設する必要がある。
【0096】
また、上述の実施形態では、ブラシホルダステー33を環状に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コンミテータ23を挿通可能であれば、例えばU字状等に形成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、ブラシホルダステー33とコネクタ部34とをホルダユニット32として一体に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシホルダステー33とコネクタ部34とを別体としてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、本発明のワイパモータ1をフロントワイパの駆動用に用いる構成について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ワイパモータ1をリヤワイパ等の駆動用に用いたり、ワイパモータとしてではなく、一般的なモータに用いたりすることも可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。