特許第6511042号(P6511042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6511042PFC回路を含む電気自動車用バッテリー充電器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511042
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】PFC回路を含む電気自動車用バッテリー充電器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20190422BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20190422BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
   H02M3/155 W
   H02M3/155 U
   H02M3/00 U
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-518117(P2016-518117)
(86)(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公表番号】特表2016-533701(P2016-533701A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】IB2014064740
(87)【国際公開番号】WO2015044856
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月1日
(31)【優先権主張番号】MO2013A000267
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516032517
【氏名又は名称】メタ システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】META SYSTEM S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 慎司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】ラサニー, シーザー
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−110856(JP,A)
【文献】 特開2010−130866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電圧コンバータ(DC/DC CONV)と、
前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)の上流側に接続された少なくとも力率補正回路(PFC)と、
前記補正回路(PFC)に機能的に接続され、充電器(C)の力率を修正するよう前記補正回路(PFC)を操作するのに適した制御回路(PFC CNTR)と、
前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)の出力及び少なくとも前記制御回路(PFC CNTR)の入力に接続された少なくとも反作用ライン(L)と、を備え、
前記制御回路(PFC CNTR)は、前記反作用ライン(L)を経由して前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)の出力に接続された少なくとも第1入力と、前記補正回路(PFC)の入力に接続された第2入力と、を有し、前記制御回路(PFC CNTR)は、前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)をできるだけ最大効率ポイント付近で動作させるよう、あらかじめ定義された電圧インターバル内で、前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)の出力電圧(Vdcout)に従い、かつ主入力電圧(VMAINS)と整合するよう、補正回路(PFC)の出力電圧(VPFC)を変化させることを特徴とする電気自動車用バッテリー充電器(C)。
【請求項2】
前記反作用ライン(L)は、前記補正回路(PFC)の出力に接続された第1入力と、前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)の出力に接続された第2入力と、前記制御回路(PFC CNTR)の前記第1入力に接続された出力を有する第1加算器(SUM1)を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー充電器。
【請求項3】
前記反作用ライン(L)は、前記補正回路(PFC)の入力に接続された第1入力と、前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)の出力に接続された第2入力と、前記制御回路(PFC CNTR)の第2入力に接続された出力を有する第2加算器(SUM2)を含むことを特徴とする請求項に記載のバッテリー充電器。
【請求項4】
前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)は、少なくともDC/DCコンバータを備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のバッテリー充電器。
【請求項5】
前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)に機能的に接続された少なくとも第2制御回路(DC/DC CONTR)を備えることを特徴とする請求項に記載のバッテリー充電器。
【請求項6】
前記第2制御回路(DC/DC CONTR)は、前記電圧コンバータ(DC/DC CONV)に接続された第1入力と、前記第1加算器(SUM1)に接続された第1出力と、前記第2加算器(SUM2)に接続された第2出力を有することを特徴とする先行する請求項に記載のバッテリー充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
所定電力の一般的なAC/DCコンバータ回路においては、互いに接続された2ステージの使用が知られている。
【背景技術】
【0002】
第1ステージは、入力におけるPFC(力率補正)であり、電解コンデンサによって制限されるピークの吸収を主電源に要求することなく最大有効電力を吸収するように、できるだけ正弦波に近く、且つ、入力電圧と同相の電流を主電源から受け取るように設計される。
【0003】
PFCは、一般に安定化された一定の直流電圧を次のステージに供給する。
【0004】
第2ステージは、PFCによって供給される電圧を受け、ユーザの要求に応じて可変または固定の直流電圧を出力に供給し、同時に主電源と出力との間に必要な直流絶縁を形成するDC/DCコンバータで構成される。
【0005】
典型的で本質的な構造のPFCでは、非常に適用されていることから、直流絶縁を想定せず、整流された入力電圧のピーク値よりも低い電圧を出力に供給することができない。+15〜-20%の相対的な公差を持つ230ボルトの欧州定格電圧を考慮すると、ピーク値が265x1.41=374Vに相当する230V+15%=265Vの入力電圧においては、PFCが供給できる安定した電圧は、回路内の様々な損失を無視すると、275ボルト未満にできないとことが推定される。
【0006】
これは、前述したコンバータ回路において、PFCの出力電圧が一般的に275Vから280Vの間、またはその近傍に設定される理由である。
【0007】
このようにして、出力電圧が大きく変動することなく、入力電圧の全範囲においてこのステージの正確な動作を確実なものとする。
【0008】
従って、PFCの下流側のDC/DCステージには、一般にこの安定化された固定電圧が供給される。
【0009】
最近の共振型の回路においては、回路自体のサイズに応じた入出力電圧比によって厳格に規定される「共振点」と呼ばれる非常に正確なポイントでステージを作動させることで、最大効率を達成できる。
【0010】
実際には、入力電圧と出力電圧の両方が固定されている場合は非常に高い値で効率を確実に最適化することが可能となる。ここで、入力電圧が固定されPFCによって確保されるものの、出力電圧が変化する場合、共振から外れて動作せざるを得ないためステージの効率が低下する。電気自動車に使用されるバッテリー充電器を考慮すると、バッテリーがダウンしているか完全に充電されているかに応じて、これらの装置の出力電圧は大きな変動インターバルを備える必要がある。
【0011】
従って、特別な解決策なしでは、これらの装置の性能が共振点近傍でのみ最大化され、出力電圧のさまざまな値に関連する他のすべてのポイントにおいては不利となることは明らかである。
【0012】
従って、出力において必要とされる変動にできるだけ追従するようDC/DCコンバータの入力電圧を変化させることによって、システムを常に共振点付近で作動させることが採りうる解決策としてあげられる。
【発明の概要】
【0013】
本発明の主な目的は、バッテリー充電器自体の全体的な効率に悪影響を与えることなく、所定の動作インターバル内で出力電圧を調整できる電気自動車用のバッテリー充電器を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、簡単、合理的、容易、効果的、かつ低価格である範囲において、従来技術の上述した欠点を克服することがかのうな電気自動車用のバッテリー充電器を提供することである。
【0015】
上記の目的は、請求項1に記載された電気自動車用のバッテリー充電器によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、好ましいが排他的ではない電気自動車用のバッテリー充電器の実施形態の説明、並びに、明示的であるが限定的でない例として添付した表の組み込まれた図面によって、より明確なものとなる。図1は本発明によるバッテリー充電器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これらの図を特に参照すると、Cと全体的に表示しているのは、電気自動車用のバッテリーを充電するために使用することが可能なバッテリー充電器である。
【0018】
具体的には、バッテリー充電器Cは以下を含む。
- 共振型電圧コンバータDC/DC CONV、
- 電圧コンバータDC/DC CONVの上流側に接続された力率補正回路PFC、
- 補正回路PFCに接続され、力率を補正するために補正回路自体を操作し、且つ、安定した直流電圧VPFCを出力に供給するのに適した制御回路PFC CNTR、
- 特に、電圧コンバータDC/DC CONVは、共振LLC技術によるDC/DCコンバータからなる。
【0019】
有利には、充電器Cは電圧コンバータDC/DC CONVの出力と制御回路PFC CNTRの入力に接続された反作用ラインLを含む。
【0020】
具体的には、制御回路PFC CNTRは、コンバータ自体の出力電圧VDCOUTに従い、且つ、主入力電圧VMAINと整合するよう、あらかじめ定義された電圧インターバル間内において電圧コンバータDC/DC CONVの入力における出力電圧VPFCが変化できるよう、補正回路PFCを操作するのに適する。
【0021】
したがって、本発明によれば、通常のコンバータ回路とは異なり、DC/DCコンバータの要求に従い、且つ、入力電圧値と整合するよう、このような電圧を変化させることができる。
デモの目的のみに検討される回路において、バッテリー充電器は、完全充電において400ボルトであり、完全放電において280ボルトである電気自動車用の高電圧バッテリーに接続される。
【0022】
DC/DCコンバータに適用される変換比は、常に最大効率点で作動することができるように1:1であり、したがって、DC/DCステージの入力電圧と出力電圧は可能な限り近づける。
【0023】
入力電圧VMAINSと整合する補正回路PFCは、バッテリー充電器Cの効率がより大きくなるよう、その出力に接続されたバッテリーに供給すべき電圧に従って、電圧コンバータDC/DC CONVの入力における出力電圧VPFCが280Vから400V間で変化するよう制御される。
【0024】
図1に示される特定の実施形態を参照すると、制御回路PFC CNTRは、反作用ラインLを経由して電圧コンバータDC/DC CONVの出力に接続される第1入力を備える。
【0025】
反作用ラインLは、好ましくはアナログ加算器として構成されるタイプの第1加算器SUM1を含み、第1加算器SUM1は、補正回路PFCの出力に接続された第1入力と、電圧コンバータDC/DC CONVの出力に接続された第2入力と、制御回路PFC CNTRの第1入力に接続された出力を有する。
【0026】
第1加算器SUM1は、電圧コンバータDC/DC CONVの出力である電圧VDCOUTと、補正回路PFCの出力である電圧VPFCを入力に受け取り、電圧VDCOUT及びVPFCに応じて決定される反作用電圧VFDBを出力する。
【0027】
また、補正回路PFC CNTRは、前記補正回路PFCの入力に接続された第2入力を備える。
【0028】
反作用ラインLは第2加算器SUM2を含み、第2加算器SUM2は、補正回路PFCの入力に接続された第1入力と、電圧コンバータDC/DC CONVの出力に接続された第2入力と、補正回路PFCの第2入力に接続された出力を有する。
【0029】
第2加算器SUM2は、電圧コンバータDC/DC CONVの出力である電圧VDCOUTと、整流回路Rの出力である電圧VMAINS電圧を入力に受け取り、電圧VDCOUT及びVMAINSに応じて決定される基準電圧VREFを出力に返す。
【0030】
実際には、制御回路PFC CNTRは補正回路PFCの出力電圧VPFCを制御し、充電器Cの出力電圧VDCOUTの反作用によって検知し、可能な限り類似するよう調整し、これにより、コンバータを常に共振付近で動作させる。
【0031】
第2加算器SUM2の目的は、入力電圧に応じてこの調整を制限することである。
【0032】
したがって出力電圧VDCOUTが低下すると、制御回路PFC CNTRはVPFCを調整しそれを減少させる。逆に、出力電圧VDCOUTが上昇すると、制御回路PFC CNTRはVPFCを調整しそれを増大させる。
【0033】
図に示す特定の実施形態を参照すると、充電器Cは、電圧コンバータDC/DC CONVに機能的に接続された少なくとも第2制御回路DC/DC CONTRを備える。
【0034】
特に、第2制御回路DC/DC CONTRは、電圧コンバータDC/DC CONVに接続された第1入力と、第1加算器SUM1に接続された第1出力と、第2加算器SUM2に接続された第2出力を備える。充電器Cはまた、補正回路PFCの上流側に接続された整流回路Rを備える。
【0035】
最後に、充電器Cは、前記整流回路Rの上流側に接続されたフィルタFを含む。
【0036】
提案された目的を、記載された発明が実際にどのように達成するかを確認した。
【0037】
特に、出力電圧PCFの調整は、あらかじめ設定された動作インターバル内で、好ましくは280Vから400Vの間で行われ、入力電圧VMAINSと整合し、バッテリー充電器の高い効率を得る点が強調される。実際、主要数値を定格付近あるいはそれ以下とし、DC/ACコンバータを最大効率ポイントである共振付近において動作させることができる。
図1