(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラ部は、さらに、前記読取ユニット部が前記読取面を読み取った後で前記読取ユニット部が前記ホームポジションに配置されていないときに、前記読取ユニット部が前記回転軸に接近するように、前記駆動部を制御する
請求項1に記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる画像読取装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本発明が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0010】
[実施例1]
<画像読取装置の構造>
図1は、実施例1の画像読取装置を示す斜視図である。画像読取装置1は、
図1に示されているように、ケース2が画像読取装置本体3とともに設けられている。ケース2は、ケース本体5とフタ部6とを備えている。ケース本体5は、右側側部7−1と左側側部7−2と手前側側部7−3と奥側側部7−4と底部8とを備えている。
【0011】
底部8は、長方形状の平坦な板に形成されている。右側側部7−1は、長方形状の板に形成され、底部8が沿う平面に垂直である平面に沿うように、底部8の縁に接合されている。左側側部7−2は、右側側部7−1と概ね合同である板に形成され、右側側部7−1と向かい合うように、すなわち、右側側部7−1が沿う平面に平行な平行面に沿うように、底部8のうちの右側側部7−1が接合される縁の反対側の縁に接合されている。手前側側部7−3は、長方形状の板に形成され、右側側部7−1および左側側部7−2と垂直であり、かつ、底部8と垂直である平面に沿うように、右側側部7−1の縁と左側側部7−2の縁と底部8の縁とに接合されている。奥側側部7−4は、手前側側部7−3に概ね合同である板に形成されている。奥側側部7−4は、手前側側部7−3と向かい合うように、すなわち、手前側側部7−3に平行である平行面に沿うように、配置されている。奥側側部7−4は、右側側部7−1の手前側側部7−3が接合される縁の反対側の縁と左側側部7−2の手前側側部7−3が接合される縁の反対側の縁と底部8の手前側側部7−3が接合される縁の反対側の縁とに接合されている。ケース本体5は、このように右側側部7−1と左側側部7−2と手前側側部7−3と奥側側部7−4と底部8とから形成されることにより、開口部が形成されている箱状に形成されている。
【0012】
フタ部6は、ケース本体5と同様にして、開口部が形成された箱状に形成され、その開口部がケース本体5の開口部に合致するように形成されている。フタ部6は、ケース本体5の奥側側部7−4のうちの底部8が接合される縁の反対側の縁に回転可能に支持されている。フタ部6は、回転することにより、ケース本体5の開口部を開閉し、その開口部がケース本体5の開口部に合致することによりケース2の内部を外部から隔離する。画像読取装置本体3は、ケース2の内部に配置されている。
【0013】
図2は、実施例1の画像読取装置を示す分解斜視図である。画像読取装置本体3は、
図2に示されているように、ベース部10と原稿台11と原稿押さえ部12と読取ユニット部14とを備えている。ベース部10は、ケース2の内部に配置され、ケース2の底部8に固定されている。
【0014】
原稿台11は、原稿台11とケース2の底部8との間にベース部10が配置されるように、すなわち、ケース2の底部8が水平面に載置されているときにベース部10の上部に配置され、ベース部10に支持されている。原稿台11は、右側原稿台11−1と左側原稿台11−2とを含んでいる。右側原稿台11−1は、右側側部7−1に近い側に配置されている。左側原稿台11−2は、右側原稿台11−1と左側側部7−2との間に配置され、すなわち、左側側部7−2に近い側に配置されている。右側原稿台11−1は、平坦である載置面15が形成されている。
【0015】
原稿押さえ部12は、ベース部10と原稿押さえ部12との間に原稿台11が配置されるように、原稿台11の上部に配置され、ベース部10に支持されている。原稿押さえ部12は、透明平板16を備えている。透明平板16は、可視光線に例示される光を透過する材料から形成され、長方形の板状に形成されている。読取ユニット部14は、細長い直方体に形成されている。読取ユニット部14は、読取ユニット部14と原稿台11との間に原稿押さえ部12が配置されるように、原稿押さえ部12の上部に配置されている。
【0016】
画像読取装置本体3は、さらに、電源部17とコントローラ部18とを備えている。電源部17とコントローラ部18とは、それぞれ、ベース部10と原稿台11との間に配置され、ベース部10に固定されている。
【0017】
<原稿台の構造>
図3は、実施例1の原稿台を示す側面図である。右側原稿台11−1は、
図3に示されているように、原稿台本体30とベース側奥側支持部材31とベース側手前側支持部材32とを備えている。原稿台本体30は、長方形状の板状に形成され、平坦である載置面15が形成されている。原稿台本体30は、原稿台本体30とケース2の底部8との間にベース部10が配置されるように、ベース部10の上に配置されている。原稿台本体30は、さらに、ケース2の底部8が載置される水平面に平行な平面に載置面15が沿うように、かつ、載置面15がベース部10の側の反対側に向くように、配置されている。
【0018】
ベース側奥側支持部材31は、ベース部10から上側に向かって突出するように配置され、ベース部10に固定されている。ベース側奥側支持部材31は、奥側上側スライドコロ33と奥側下側スライドコロ34とが形成されている。奥側上側スライドコロ33は、たとえば、ベアリングから形成されている。奥側上側スライドコロ33は、ベース側奥側支持部材31のうちのケース2の右側側部7−1に対向する面から右側側部7−1に向かって突出する軸に回転可能に支持されている。奥側下側スライドコロ34は、たとえば、ベアリングから形成されている。奥側下側スライドコロ34は、奥側上側スライドコロ33から所定の距離Lだけ下側に配置され、ベース側奥側支持部材31のうちのケース2の右側側部7−1に対向する面からケース2の右側側部7−1に向かって突出する軸に回転可能に支持されている。
【0019】
ベース側手前側支持部材32は、ベース側奥側支持部材31よりケース2の手前側側部7−3に近い側に配置され、ベース部10から上側に向かって突出するように配置され、ベース部10に固定されている。ベース側手前側支持部材32は、手前側上側スライドコロ35と手前側下側スライドコロ36とが形成されている。手前側上側スライドコロ35は、たとえば、ベアリングから形成されている。手前側上側スライドコロ35は、ベース側手前側支持部材32のうちのケース2の右側側部7−1に対向する面から右側側部7−1に向かって突出する軸に回転可能に支持されている。手前側下側スライドコロ36は、たとえば、ベアリングから形成されている。手前側下側スライドコロ36は、手前側上側スライドコロ35から所定の距離Lだけ下側に配置され、ベース側手前側支持部材32のうちのケース2の右側側部7−1に対向する面から右側側部7−1に向かって突出する軸に回転可能に支持されている。
【0020】
右側原稿台11−1は、さらに、原稿台側奥側支持部材38と原稿台側手前側支持部材39とねじりコイルばね40とを備えている。原稿台側奥側支持部材38は、板状に形成されている。原稿台側奥側支持部材38は、ケース2の右側側部7−1に平行である平面に沿って原稿台本体30から下側に向かって突出するように配置され、原稿台本体30に固定されている。原稿台側奥側支持部材38は、奥側上側スライド溝41と奥側下側スライド溝42とが形成されている。奥側上側スライド溝41は、載置面15に垂直である直線に沿うように形成されている。奥側上側スライド溝41は、奥側上側スライドコロ33が嵌め込まれ、載置面15に垂直である方向に奥側上側スライドコロ33が平行移動するように、奥側上側スライドコロ33を案内している。奥側下側スライド溝42は、奥側上側スライド溝41よりベース部10に近い側に配置され、載置面15に垂直である直線に沿うように形成されている。奥側下側スライド溝42は、奥側下側スライドコロ34が嵌め込まれ、載置面15に垂直である方向に奥側下側スライドコロ34が平行移動するように、奥側下側スライドコロ34を案内している。
【0021】
原稿台側手前側支持部材39は、板状に形成されている。原稿台側手前側支持部材39は、原稿台側奥側支持部材38よりケース2の手前側側部7−3に近い側に配置され、ケース2の右側側部7−1に平行である平面に沿って原稿台本体30から下側に向かって突出するように配置され、原稿台本体30に固定されている。原稿台側手前側支持部材39は、手前側上側スライド溝43と手前側下側スライド溝44とが形成されている。手前側上側スライド溝43は、載置面15に垂直である直線に沿うように形成されている。手前側上側スライド溝43は、手前側上側スライドコロ35が嵌め込まれ、載置面15に垂直である方向に手前側上側スライドコロ35が平行移動するように、手前側上側スライドコロ35を案内している。手前側下側スライド溝44は、手前側上側スライド溝43よりベース部10に近い側に配置され、鉛直方向に平行である直線に沿うように形成されている。手前側下側スライド溝44は、載置面15に垂直である直線に沿うように形成されている。手前側下側スライド溝44は、手前側下側スライドコロ36が嵌め込まれ、載置面15に垂直である方向に手前側下側スライドコロ36が平行移動するように、手前側下側スライドコロ36を案内している。
【0022】
ねじりコイルばね40は、弾性体から形成され、屈曲している棒状に形成されている。ねじりコイルばね40は、一端がベース側奥側支持部材31に固定され、他端が原稿台本体30のうちのベース部10の側の表面に突き当たっている。ねじりコイルばね40は、原稿台本体30がベース部10から遠ざかるように、すなわち、原稿台本体30が上方に押し上げられるように、弾性力を原稿台本体30に印加している。
【0023】
このため、右側原稿台11−1は、載置面15が鉛直方向に平行移動するように、原稿台本体30がベース部10に支持されている。右側原稿台11−1は、奥側上側スライドコロ33と奥側下側スライドコロ34とが距離Lだけ離れていることにより、載置面15が鉛直方向に移動するときに、載置面15が傾斜することが防止されている。右側原稿台11−1は、ねじりコイルばね40が設けられていることにより、さらに、原稿台本体30に下側に向かう力が印加されないときに、載置面15が所定の上端位置に配置されるように、原稿台本体30がベース部10に支持されている。右側原稿台11−1は、さらに、原稿台本体30に下側に向かう力が印加されたときに、その力に対応する距離だけ載置面15が下降する。なお、奥側上側スライドコロ33と奥側下側スライドコロ34と手前側上側スライドコロ35と手前側下側スライドコロ36とは、ベアリング以外のもので形成されてもよく、たとえば、樹脂製の樹脂コロに置換されることができる。右側原稿台11−1は、この場合も、同様にして、原稿台本体30が鉛直方向に移動するときに、載置面15が傾斜することが防止される。
【0024】
左側原稿台11−2は、右側側部7−1と左側側部7−2とに平行である対称面に対して右側原稿台11−1と面対称になるように、右側原稿台11−1と同様に形成されている。すなわち、左側原稿台11−2は、原稿台本体が鉛直方向に平行移動するように、原稿台本体がベース部10に支持されている。さらに、左側原稿台11−2は、左側原稿台11−2の原稿台本体に下側に向かう力が印加されないときに、原稿台本体30に下側に向かう力が印加されない右側原稿台11−1の載置面15に沿う平面に左側原稿台11−2の載置面が沿うように、形成されている。
【0025】
<原稿押さえ部の構造>
図4は、実施例1の原稿押さえ部と読取ユニット部と連動機構とを示す側面図である。原稿押さえ部12は、
図4に示されているように、フレーム13と透明平板16と支持部材51と取っ手59とを備えている。透明平板16は、可視光線に例示される光を透過する材料から形成され、長方形の板状に形成されている。フレーム13は、透明平板16の周りを囲み、両面テープまたは機械的な拘束で透明平板16に固定されている。支持部材51は、フレーム13の縁に配置され、フレーム13に固定されている。支持部材51は、回転軸52を中心に回転可能にベース部10に支持されている。原稿押さえ部12は、支持部材51が回転可能にベース部10に支持されることにより、回転軸52を中心に回転可能にベース部10に支持されている。回転軸52は、載置面15に平行であり、かつ、ケース2の奥側側部7−4が沿う平面に平行であり、すなわち、左側原稿台11−2と右側原稿台11−1とが並ぶ方向に平行である。取っ手59は、穴が形成された板に形成されている。取っ手59は、フレーム13のうちの支持部材51が配置される縁の反対側の縁に配置され、フレーム13に固定されている。
【0026】
読取ユニット部14は、読取ユニット部14の長手方向が回転軸52に平行になるように、かつ、読取ユニット部14と原稿台11との間に原稿押さえ部12が配置されるように、原稿押さえ部12の上部に配置されている。原稿押さえ部12は、読取ユニット部14が副走査方向60に平行に平行移動可能に読取ユニット部14を支持している。副走査方向60は、透明平板16に平行であり、かつ、原稿押さえ部12の回転軸52に垂直である。原稿押さえ部12は、さらに、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されているときに、取っ手59から遠ざからないように、読取ユニット部14の移動を制限している。ホームポジション22は、原稿押さえ部12が閉じられているときに、原稿台11の回転軸52の側の端部21の概ね上方に位置している。
【0027】
<連動機構の構造>
画像読取装置本体3は、
図4に示されているように、さらに、連動機構53を備えている。連動機構53は、リンク54と支点台55と力点部56と作用点部57とを備えている。リンク54は、屈曲した棒から形成されている。支点台55は、ベース部10に固定されている。支点台55は、回転軸58を中心に回転可能にリンク54を支持している。回転軸58は、回転軸52に平行になるように、かつ、原稿台本体30の載置面15が沿う平面より常時に下側に配置されるように、原稿台本体30より下側に配置されている。力点部56は、原稿押さえ部12の支持部材51の一部から右側側部7−1に向かって突出する突起に形成されている。力点部56は、透明平板16が原稿台11の載置面15から遠ざかるように原稿押さえ部12が回転軸52を中心に回転するときに、リンク54の一端を上方に押し上げる。作用点部57は、原稿台11の原稿台本体30の下部から突出する部材の右側側部7−1に対向する表面から右側側部7−1に向かって突出する突起に形成されている。作用点部57は、原稿押さえ部12が回転軸52を中心に回転するときに、リンク54が回転軸58を中心に回転することにより、リンク54のうちの力点部56に押し上げられる一端の反対側の他端により下方に押し下げられる。
【0028】
このため、連動機構53は、透明平板16が載置面15から遠ざかるように原稿押さえ部12が回転軸52を中心に回転するときに、右側原稿台11−1の載置面15を下方に押し下げる。
【0029】
図5は、実施例1の原稿押さえ部が開いたときの原稿台と連動機構とを示す側面図である。より詳細には、
図5は、透明平板16が右側原稿台11−1の載置面15から遠ざかるように原稿押さえ部12が回転軸52を中心に回転することにより原稿押さえ部12が開いた状態を示している。このとき、連動機構53は、原稿台本体30を下降させ、原稿押さえ部12が閉じた状態(
図4参照)で右側原稿台11−1の載置面15が配置されていた高さより低い位置に、右側原稿台11−1の載置面15を配置させている。
【0030】
連動機構53のリンク54は、原稿押さえ部12が閉じた状態で載置面15が配置されている位置より下側に作用点部57と回転軸58とが配置されている。このため、連動機構53のリンク54は、原稿押さえ部12が開閉されたときに、載置面15から回転軸52の軸方向に延長された面より上に常時に配置されないように形成されることができる。連動機構53は、載置面15から回転軸52の方向に延長された面より上に配置されないことにより、右側原稿台11−1に載置された原稿に干渉することが防止される。
【0031】
連動機構53は、このように形成されることにより、原稿押さえ部12が閉じられるときに、透明平板16が原稿台11の載置面と平行に近い角度で原稿台11に接近することができる。画像読取装置1は、透明平板16が原稿台11の載置面と平行に近い角度で原稿台11に接近することにより、原稿台11に載置された原稿の読取面に原稿押さえ部12の透明平板16が平行に近い角度で接触することができる。このため、画像読取装置1は、その原稿に原稿押さえ部12の透明平板16が押し付けられたときに原稿にしわが寄ることが防止される。
【0032】
連動機構53は、さらに、原稿押さえ部12が回転する回転運動を、原稿台11の原稿台本体30を昇降させる昇降運動に機械的に変換することにより、電力を用いず原稿台本体30を上昇させ、省電力である。連動機構53は、原稿台本体30を電力により昇降させる他の連動機構に比較して、電源部17の負担を低減することができ、このため、連動機構53を備えている画像読取装置1は、電源部17の1回の充電でより多くの原稿を読み取ることができる。
【0033】
画像読取装置本体3は、さらに、図示されていない他の連動機構を備えている。その連動機構は、連動機構53と同様にして形成され、原稿押さえ部12が開いたときに、左側原稿台11−2の載置面を下降させる。その連動機構は、さらに、原稿押さえ部12が閉じたときに左側原稿台11−2の載置面から回転軸52の方向に延長された面より上に配置されないように形成され、左側原稿台11−2に載置された原稿に干渉しないように形成されている。
【0034】
<画像読取装置の構成>
図6は、実施例1の画像読取装置を示すブロック図である。画像読取装置1は、
図6に示されているように、読取ユニット部14と電源部17とコントローラ部18と駆動部61とセンサ部67と表示部81とを備えている。駆動部61は、モータ62とギヤ63とベルト64とを備えている。モータ62は、コントローラ部18に制御されることにより、外部から供給される電力を用いてギヤ63を回転させる。ベルト64は、帯状に形成され、一部がギヤ63を取り巻き、他の一部が読取ユニット部14に接合されている。ギヤ63は、モータ62により回転されることによりベルト64を移動させ、読取ユニット部14を副走査方向60に平行に移動させる。すなわち、駆動部61は、コントローラ部18に制御されることにより、読取ユニット部14を副走査方向60に平行に移動させる。
【0035】
読取ユニット部14は、画像センサ65と読取範囲検出センサ66とを備えている。画像センサ65は、CIS(Contact Image Sensor)タイプのイメージセンサから形成されている。画像センサ65は、直線状に形成され、副走査方向60に垂直である主走査方向に平行な直線に沿うように、読取ユニット部14のうちの透明平板16に対向する面に配置されている。画像センサ65は、コントローラ部18に制御されることにより、透明平板16が押し当てられている原稿の読取面のうちの主走査方向に平行である直線状の読取ラインに透明平板16を介して光を照射する。画像センサ65は、透明平板16を介してその読取ラインを反射した光を受光する。画像センサ65は、さらに、その受光した光を検出し、その検出結果を示す画像情報をコントローラ部18に出力する。
【0036】
読取範囲検出センサ66は、読取ユニット部14に設置され、たとえば、原稿の読取面の2次元画像を読み取る2次元センサから形成されている。読取範囲検出センサ66は、読取ユニット部14が移動しているときに、コントローラ部18に制御されることにより、原稿台11に載置される原稿または原稿台11を監視し、その原稿の端の位置を検出する。読取範囲検出センサ66は、原稿台11に載置される原稿の端の位置を検出することにより、原稿台11に載置される原稿を画像センサ65が読み取らなくなるタイミングを検出する。
【0037】
センサ部67は、HP(Home Position)センサ68と開閉センサ69とを備えている。HPセンサ68は、コントローラ部18に制御されることにより、ホームポジション22に読取ユニット部14が配置されているかどうかを検出する。開閉センサ69は、コントローラ部18に制御されることにより、原稿押さえ部12の開き具合を測定する。
【0038】
電源部17は、バッテリ71と電圧安定回路72とを備えている。バッテリ71は、電圧安定回路72に接続され、直流電力を電圧安定回路72に供給する。電圧安定回路72は、コントローラ部18に接続され、バッテリ71から供給される電力を電圧が一定の値になるように安定化させ、その安定化された電力をコントローラ部18に供給する。
【0039】
コントローラ部18は、いわゆるコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)73とストレージ74と無線通信部75とモータドライバ76とを備えている。CPU73は、コントローラ部18にインストールされているコンピュータプログラムを実行することにより、ストレージ74と無線通信部75とモータドライバ76とを制御し、読取ユニット部14と駆動部61とを制御する。ストレージ74は、そのコンピュータプログラムを記録し、CPU73により作成される情報を一時的に記録する。無線通信部75は、CPU73に制御されることにより、無線通信を介して外部機器から受信された情報をCPU73に出力し、CPU73により作成される情報をその外部機器に無線通信を介して出力する。モータドライバ76は、CPU73に制御されることにより、電源部17から供給される電力のうちの所定の電力を駆動部61のモータ62に供給して、読取ユニット部14を所定の速度で所定の距離だけ移動させる。
【0040】
コントローラ部18は、画像読取装置1が起動されたときに、または、原稿の読み取りが終了したときに、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されているかどうかを検出するように、HPセンサ68を制御する。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていないときに、読取ユニット部14がホームポジション22に向かって移動するように、駆動部61を制御する。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されているときに、原稿押さえ部12の開き具合が検出されるように、開閉センサ69を制御する。コントローラ部18は、原稿押さえ部12が閉じられたときに、読取ユニット部14がホームポジション22から副走査方向60に平行に取っ手59に向かって所定の速度で移動するように、駆動部61を制御する。コントローラ部18は、読取ユニット部14が所定の速度で移動しているときに、原稿台11に載置されている原稿のうちの透明平板16が押し当てられている読取面に充填される複数の読取ラインを読み取るように、画像センサ65を制御する。コントローラ部18は、画像センサ65により読み取られた複数の読取ラインをそれぞれ示す複数の画像情報に基づいて、その読取面を写す2次元の画像を作成し、その作成された画像を表示部81に送信する。
【0041】
表示部81は、いわゆるコンピュータであり、CPU82とストレージ83と無線通信部84とを備え、図示されていない入出力装置を備えている。CPU82は、コントローラ部18にインストールされているコンピュータプログラムを実行することにより、ストレージ83と無線通信部84とを制御する。表示部81としては、タブレットPC(Personal Computer)、タブレット端末、スマートフォンが例示される。
【0042】
表示部81は、無線通信を介して画像読取装置1から送信された画像を受信し、その受信した画像をストレージ83に記録し、その受信した画像を入出力装置に表示する。
【0043】
<画像読取方法>
図7は、画像読取方法を示すフローチャートである。画像読取方法は、画像読取装置1により実行される。ユーザは、まず、画像読取装置本体3がケース2に収納された状態で、作業台が設置された作業場所に画像読取装置1を搬送する。ユーザは、その作業場所に画像読取装置1を搬送した後に、ケース2の底部8を下にして画像読取装置1をその作業台の上に載置する。ユーザは、画像読取装置1を作業台に載置した後に、ケース2のフタ部6を開いて画像読取装置本体3を露出させ、画像読取装置本体3を操作することにより画像読取装置1に電源を入れる。コントローラ部18は、ユーザの操作により電源が入れられて起動すると、HPセンサ68を制御することにより、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されているかどうかを検出し、その検出結果をHPセンサ68から読み取る(ステップS1)。
【0044】
コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていないときに(ステップS2、No)、駆動部61を制御することにより、読取ユニット部14をホームポジション22に向かって移動させる(ステップS3)。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていると判別されるまで、ステップS1からステップS3までの処理を繰り返し実行する。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていると判別されたときに(ステップS2、Yes)、読取指示待ちのモードに遷移する(ステップS4)。
【0045】
ユーザは、読取ユニット部14がホームポジション22に配置された後に、原稿押さえ部12の取っ手59に手をかけて取っ手59を上方に持ち上げる。原稿押さえ部12は、取っ手59が上方に持ち上げられることにより、透明平板16が原稿台11の載置面15から離れるように回転し、開かれる。ユーザは、原稿押さえ部12を開いた後に、所望の読取面が上を向くように、準備した原稿を原稿台11に載置する。たとえば、ユーザは、見開きの本を原稿台11に載置するときに、その本の右側のページを右側原稿台11−1に載置し、その本の左側のページを左側原稿台11−2に載置する。ユーザは、原稿を原稿台11の載置面15に適切に載置した後に、原稿押さえ部12の取っ手59の孔に指をかけて取っ手59を下方に下ろす。原稿押さえ部12は、取っ手59が下方に下ろされることにより、原稿の読取面が原稿押さえ部12の透明平板16に押し付けられるように、原稿押さえ部12が回転し、閉められる。
【0046】
右側原稿台11−1は、原稿押さえ部12が閉められたときに、ねじりコイルばね40が弾性変形することにより、右側原稿台11−1に載置された原稿の厚さに対応する距離だけ原稿台本体30が下降する。右側原稿台11−1は、右側原稿台11−1のねじりコイルばね40の弾性力により、原稿の読取面を原稿押さえ部12の透明平板16に押し付け、原稿の読取面を原稿押さえ部12の透明平板16に適切に密着させる。右側原稿台11−1は、さらに、右側原稿台11−1のねじりコイルばね40の弾性力により、右側原稿台11−1に載置された原稿を、右側原稿台11−1と原稿押さえ部12の間に挟んで保持する。左側原稿台11−2も、原稿押さえ部12が閉められたときに、右側原稿台11−1と同様に動作する。
【0047】
原稿台11は、このように動作することにより、その原稿の右側のページの厚さと左側のページの厚さとが異なる場合でも、右側のページの読取面と左側のページの読取面との両方を原稿押さえ部12の透明平板16に適切に密着させることができる。原稿台11に載置された原稿は、さらに、原稿押さえ部12が閉められたときに、原稿台11と原稿押さえ部12との間に所定の力で挟まれることにより、適切に保持され、ずれることが防止される。
【0048】
コントローラ部18は、読取指示待ちのモードに遷移すると、開閉センサ69を制御することにより、原稿押さえ部12の開き具合を測定する。コントローラ部18は、原稿押さえ部12が閉じられていないときに(ステップS5、No)、指示なしと判別し、所定の時間だけ待機し(ステップS6)、再度、原稿押さえ部12の開き具合を測定する。すなわち、コントローラ部18は、読取指示待ちのモードに遷移すると、開閉センサ69を制御することにより、原稿押さえ部12の開き具合を間欠的に測定する。
【0049】
コントローラ部18は、原稿押さえ部12が開いた状態から閉じた状態に変化したときに、ユーザによる読取指示があったと判別する。すなわち、コントローラ部18は、原稿押さえ部12が閉じられたときに(ステップS5、Yes)、指示ありと判別し、読取動作を実行し(ステップS7)、読取完了待ちのモードに遷移する(ステップS8)。すなわち、コントローラ部18は、駆動部61を制御することにより、読取ユニット部14を副走査方向60に平行に取っ手59に向かって所定の速度で移動させる。コントローラ部18は、読取ユニット部14が所定の速度で移動している最中に、読取ユニット部14の画像センサ65を制御することにより、読取面を隙間なく充填している複数の読取ラインを1つずつ読み取る。
【0050】
コントローラ部18は、読取ユニット部14が所定の速度で移動している最中に、さらに、読取範囲検出センサ66を制御することにより、原稿台11に載置される原稿の取っ手59の側の端の上を画像センサ65が通過するタイミングを検出する。コントローラ部18は、そのタイミングが検出されると、駆動部61を制御することにより、読取ユニット部14が移動することをそのタイミングで停止させる。コントローラ部18は、原稿台11に載置される原稿の取っ手59の側の端の位置が検出されなかったときに、駆動部61を制御することにより、原稿押さえ部12の取っ手59の側の端の位置で読取ユニット部14を停止させる。コントローラ部18は、読取ユニット部14が移動することを停止させるとともに、画像センサ65を制御することにより、読取ラインを読み取ることを停止させる。コントローラ部18は、さらに、その読み取られた複数の読取ラインに対応する複数の画像情報に基づいて、その読み取られた複数の読取ラインから形成された読取面を写す画像を作成する。コントローラ部18は、無線通信を介してその画像を表示部81に送信する。表示部81は、無線通信を介してその画像を受信すると、その画像をストレージ83に記録し、その画像を入出力装置に表示する。
【0051】
コントローラ部18は、その読取動作が終了すると、HPセンサ68を制御することにより、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されているかどうかを判別する(ステップS9)。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていないときに(ステップS9、No)、駆動部61を制御することにより、読取ユニット部14をホームポジション22に向かって移動させる(ステップS10)。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていることがHPセンサ68により検出されるまで、読取ユニット部14をホームポジション22に向かって移動させる。
【0052】
コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていると判別されたときに(ステップS9、Yes)、読取動作を一旦終了し、再度ステップS4の読取指示待ちのモードに遷移する。
【0053】
図8は、実施例1の読取ユニット部と比較例の読取ユニット部とを示す側面図である。読取ユニット部14は、原稿押さえ部12に支持されていることにより、ユーザにより原稿押さえ部12が開かれるときに、ユーザが取っ手59を押し上げる操作力に対抗する。その操作力に読取ユニット部14が対抗する力は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されているときに、次式:
w×x1÷X
により表現される。ここで、
図8に示されているように、重量wは、読取ユニット部14の重量を示し、距離Xは、回転軸52から取っ手59までの距離を示し、距離x1は、回転軸52から読取ユニット部14の重心102までの距離を示している。
【0054】
比較例の読取ユニット部100は、読取ユニット部14と同様にして、細長い直方体に形成され、重量が読取ユニット部14の重量wと同じである。しかしながら、読取ユニット部100は、
図8に示されているように、読取ユニット部100の長手方向が回転軸52に垂直になるように、原稿押さえ部12の上方に配置されている。読取ユニット部100は、さらに、回転軸52と平行に平行移動可能に原稿押さえ部12に支持されている。読取ユニット部100は、回転軸52の軸方向に平行に移動しながら、原稿押さえ部12に押さえられている原稿の読取面を読み取る。
【0055】
このとき、読取ユニット部100は、回転軸52と平行に平行移動可能に原稿押さえ部12に支持されていることにより、回転軸52から読取ユニット部100の重心101までの距離x2が一定である。ユーザが原稿押さえ部12を開くときに取っ手59を押し上げる操作力に読取ユニット部100が対抗する力は、次式:
w×x2÷X
により表現される。
【0056】
画像読取装置1は、原稿押さえ部12を開く操作力が、比較例の読取ユニット部100を備える画像読取装置に比較して、次式:
w×(x2−x1)÷X
により表現される力だけ軽減されている。たとえば、重量wが500gであり、距離Xが300mmであり、距離x1が30mmであり、距離x2が150mmであるときに、画像読取装置1は、その操作力が、比較例に比較して、200g重だけ軽減されている。
【0057】
<読取ユニット部が移動する領域>
図9は、実施例1の読取ユニット部が移動する領域を示す平面図である。画像読取装置1が本85を読み取るときに、
図9に示されているように、本85は、所定のページが開かれて見開きのページが画像読取装置1により読み取られる。すなわち、本85は、見開きの右ページ86が右側原稿台11−1の上に配置され、見開きの左ページ87が左側原稿台11−2の上に配置されるように、かつ、見開きの上辺88が原稿台11の端部21に配置されるように、原稿台11に載置される。このとき、読取ユニット部14は、本85の上辺88から下辺89に向かって矢印90を辿るように移動し、下辺89に到達すると一旦停止し、ホームポジション22に移動する。本85より小さい本91も、画像読取装置1に読み取られるときに、本85と同様にして原稿台11に載置される。すなわち、本91は、見開きの右ページ92が右側原稿台11−1の上に配置され、見開きの左ページ93が左側原稿台11−2の上に配置されるように、かつ、見開きの上辺94が原稿台11の端部21に配置されるように、原稿台11に載置される。このとき、読取ユニット部14は、本85が読み取られるときと同様にして、本91の上辺94から下辺95に向かって矢印96を辿るように移動し、下辺95に到達すると一旦停止し、ホームポジション22に移動する。
【0058】
図9は、本91が読み取られるときに読取ユニット部14が移動する移動距離が、本85が読み取られるときに読取ユニット部14が移動する移動距離より短いことを示している。すなわち、画像読取装置1は、読取範囲検出センサ66により検出された原稿の端で読取ユニット部14の移動を停止させることにより、原稿のサイズに対応する移動距離だけ読取ユニット部14を移動させることができる。このため、画像読取装置1は、様々な大きさの原稿を読み取る場合でも読取ユニット部14を一定の距離だけ移動させる他の画像読取装置に比較して、読取ユニット部14が移動する移動距離を短縮することができる。
【0059】
既述の比較例の読取ユニット部100は、回転軸52の軸方向に平行に移動可能であることにより、本85を読み取るときに、見開きの左右ページが並ぶ横方向の幅の長さを移動する必要がある。本85は、一般的に、見開きの左右ページが並ぶ横方向の幅が、その横方向に垂直である縦方向の幅に比較して、長く、横長である。この場合、既述の比較例の読取ユニット部100は、読取ユニット部14の移動距離より長い距離を移動する必要がある。また、比較例の読取ユニット部100は、本85から離れた端にホームポジションが設定されているときに、本85が配置されていない領域を移動する必要がある。これに対して、読取ユニット部14は、ホームポジション22が原稿台11の端部21の上方に配置されていることにより、原稿を読み取るときに、原稿が配置されていない領域を移動することがない。すなわち、画像読取装置1は、副走査方向60が、左側原稿台11−2と右側原稿台11−1とが並ぶ方向に垂直であることにより、既述の比較例の読取ユニット部100を備える画像読取装置に比較して、読取ユニット部14の移動距離を短縮することができる。画像読取装置1は、読取ユニット部14の移動距離を短縮することにより、読み取りにかかる時間を短縮することができ、読取ユニット部14の移動で消費される電力を低減することができる。画像読取装置1は、さらに、消費電力が低減されることにより、バッテリ71が所定の容量を充填しているときに、読み取ることができる原稿の量を増加させることができる。
【0060】
<実施例1による効果>
このように画像読取装置1は、原稿台11と原稿押さえ部12と読取ユニット部14とを備えている。原稿押さえ部12は、回転軸52を中心に回転する。読取ユニット部14は、回転軸52に非平行である方向に移動可能に原稿押さえ部12に支持され、原稿台11に載置される原稿のうちの原稿押さえ部12に押し当てられる読取面を読み取る。画像読取装置1は、原稿押さえ部12に支持される読取ユニット部14が、原稿押さえ部12の回転軸52に非平行な方向に移動可能であることにより、読取ユニット部14が原稿押さえ部12の回転軸52に接近したり遠ざかったりすることができる。画像読取装置1は、原稿押さえ部12を開閉するときに、読取ユニット部14を回転軸52に接近させることにより、原稿押さえ部12を開閉するときに必要である操作力を軽減することができる。
【0061】
また、画像読取装置1は、駆動部61とHPセンサ68とコントローラ部18とをさらに備えている。駆動部61は、原稿押さえ部12に対して読取ユニット部14を移動させる。HPセンサ68は、回転軸52の近傍のホームポジション22に読取ユニット部14が配置されているかどうかを検出する。コントローラ部18は、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていないときに、読取ユニット部14を回転軸52に接近させて読取ユニット部14がホームポジション22に配置されるように、駆動部61を制御する。画像読取装置1は、読取ユニット部14を自動的にホームポジション22に移動させることにより、読取ユニット部14をホームポジション22に移動させる操作の必要がなく、その操作力を容易に軽減することができる。このような自動的な読取ユニット部14の移動は、画像読取装置1の起動時に実行されることが好ましい。
【0062】
また、コントローラ部18は、さらに、読取ユニット部14が読取面を読み取った後で読取ユニット部14がホームポジション22に配置されていないときに、読取ユニット部14が回転軸52に接近するように、駆動部61を制御する。このような画像読取装置1は、読取後に読取ユニット部14を自動的にホームポジション22に移動させることにより、たとえば、読み取る原稿が交換されたりページめくりされたりするときの原稿押さえ部12の開閉の操作力を容易に低減することができる。
【0063】
また、画像読取装置1は、原稿押さえ部12の開閉を検出する開閉センサ69をさらに備えている。このとき、コントローラ部18は、原稿に原稿押さえ部12が押し当てられるように原稿押さえ部12が閉じられたときに、読取ユニット部14が読取面を読み取るように、駆動部61を制御する。このため、画像読取装置1は、原稿押さえ部12の開閉と別途に読取の開始のための操作をする必要がなく、画像の読取を容易に開始することができる。
【0064】
また、画像読取装置1は、読取面のうちの指定される読取領域を検出する読取範囲検出センサ66をさらに備えている。このとき、コントローラ部18は、読取ユニット部14が読取領域以外の領域を読み取らないように、駆動部61を制御する。このため、画像読取装置1は、読取ユニット部14が読取領域以外の領域を読み取らないように読取ユニット部14が読取領域以外の領域を移動しないことにより、読取ユニット部14が移動する距離を短縮することができる。画像読取装置1は、読取ユニット部14が移動する距離が短縮されることにより、1つの原稿を読み取る読取の時間を短縮することができ、単位時間あたりに読み取ることができる原稿の量を増加させることができる。画像読取装置1は、読取ユニット部14が移動する距離が短縮されることにより、読取ユニット部14の移動にかかる電力を低減することができる。画像読取装置1は、消費される電力を低減することにより、バッテリ71の単位放電容量当たりに読み取ることができる原稿の量を増加させることができる。
【0065】
ところで、実施例1では、読取範囲検出センサ66として2次元センサが例示されているが、読取範囲検出センサ66は、2次元センサ以外のセンサが利用されることもできる。そのようなセンサとしては、反射型センサが例示される。反射型センサは、原稿台11に載置される原稿の下辺の近傍に載置される反射板とともに利用される。反射型センサは、原稿台11に載置される原稿に向けて光を発し、その光が反射板に反射した反射光を検出することにより、原稿を画像センサ65が読み取らなくなるタイミングを検出する。画像読取装置1は、このような反射型センサが読取範囲検出センサ66として利用された場合でも、読取ユニット部14が移動する距離を短縮することができる。さらに、実施例1の画像読取装置1は、読取範囲検出センサ66を用いて読取ユニット部14の移動距離を短縮させているが、読取範囲検出センサ66を省略することにより、読取ユニット部14の移動距離を短縮させなくてもよい。画像読取装置1は、読取範囲検出センサ66が省略されて読取ユニット部14の移動距離を短縮させない場合でも、読取ユニット部14をホームポジション22に配置することにより、原稿押さえ部12を開く操作力を軽減することができる。
【0066】
ところで、実施例1の画像読取装置1は、起動時または読取終了時に駆動部61を用いて読取ユニット部14をホームポジション22に移動させているが、ユーザが読取ユニット部14をホームポジション22に移動させてもよい。画像読取装置1は、この場合も、読取ユニット部14がホームポジション22に配置されることにより、原稿押さえ部12を開く操作力を軽減することができる。
【0067】
ところで、実施例1の画像読取装置1は、
図7のフローチャートのステップS7で、原稿押さえ部12が閉じられることをトリガーにして読み取り操作を開始しているが、原稿押さえ部12の開閉以外のトリガーで読み取り操作を開始することにしてもよい。たとえば、コントローラ部18は、表示部81から無線通信を介して読取指示が受信されたときに、読み取り操作を開始することにしてもよい。
【0068】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。
[実施例2]
<他のホームポジション>
ホームポジション22は、原稿台11の端部21より取っ手59から遠い側に配置されてもよい。
図10は、実施例2の原稿押さえ部と読取ユニット部とを示す側面図である。ホームポジション99は、
図10に示されているように、原稿押さえ部12が閉じられているときに、原稿押さえ部12の概ね上方に位置している。この場合も、原稿押さえ部12は、読取ユニット部14がホームポジション99に配置されているときに、読取ユニット部14が取っ手59から遠ざからないように、読取ユニット部14の移動を制限している。このとき、コントローラ部18は、ユーザによる読取指示を受け取ったときに、駆動部61を制御することにより、読取ユニット部14を副走査方向60に平行に取っ手59に向かって所定の速度で移動させる。コントローラ部18は、次いで、画像センサ65を制御することにより、読取ユニット部14が原稿台11の端部21を通過するタイミングで、読取面の読取ラインを読み取ることを開始する。このように、画像読取装置1は、ホームポジション99が適用された場合でも、原稿を適切に読み取ることができる。
【0069】
原稿押さえ部12を開く操作力に読取ユニット部14が対抗する力は、読取ユニット部14がホームポジション99に配置されたときの方が、読取ユニット部14が既述のホームポジション22に配置されたときより、小さくなる。このため、画像読取装置1は、既述のホームポジション22が適用されたものに比較して、ホームポジション99が適用された方が、ユーザが原稿押さえ部12を開くときに取っ手59を押し上げる操作力をより軽減することができる。
【0070】
ホームポジションは、さらに、原稿押さえ部12の回転軸52より取っ手59から遠い側に配置されてもよい。原稿押さえ部12を開く操作力に対抗する力は、原稿押さえ部12の回転軸52より取っ手59から遠い側に読取ユニット部14が配置されたときの方が、読取ユニット部14が既述のホームポジション99に配置されたときより、小さくなる。このため、画像読取装置1は、原稿押さえ部12の回転軸52より取っ手59から遠い側に配置されたホームポジションが適用された方が、ユーザが原稿押さえ部12を開くときに取っ手59を押し上げる操作力をより軽減することができる。
【0071】
なお、画像読取装置1は、副走査方向60が原稿押さえ部12の回転軸52と垂直であるが、副走査方向60は、原稿押さえ部12の回転軸52と平行でなければよい。画像読取装置1は、副走査方向60が原稿押さえ部12の回転軸52と平行でなく斜めに傾斜している場合でも、読取ユニット部14の重心と原稿押さえ部12の回転軸52との距離が変化することにより、原稿押さえ部12を開く操作力を軽減させることができる。
【0072】
なお、画像読取装置1は、原稿台が右側原稿台11−1と左側原稿台11−2とから形成されていなくてもよく、1つの原稿台から形成されてもよい。さらに、画像読取装置1は、連動機構53が省略されてもよい。さらに、画像読取装置1は、原稿台の載置面が昇降しないでベース部10に固定されるように原稿台が形成されてもよい。さらに、画像読取装置1は、ケース2が省略されてもよい。