(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511227
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】米飯加工食品用包装材
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20190425BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20190425BHJP
B65D 75/02 20060101ALI20190425BHJP
B65D 75/64 20060101ALI20190425BHJP
B65D 75/66 20060101ALI20190425BHJP
B65D 65/10 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
A23L7/10 F
B65D85/50 140
B65D75/02
B65D75/64
B65D75/66
B65D65/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-126478(P2014-126478)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-2067(P2016-2067A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年4月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】
田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−166968(JP,A)
【文献】
特開2014−003936(JP,A)
【文献】
特開2014−008968(JP,A)
【文献】
特開平09−084536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
B65D 65/10
B65D 75/02
B65D 75/64
B65D 75/66
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って切断されることで該一方向に直交する他方向に分割される外シートと、該外シートと同方向に分割可能に構成される内シートとを備え、シート状食品を介して外シートと内シートとが重ね合わされた状態で、シート状食品を囲むように外シートと内シートとがシールされて構成されており、
対向する位置に形成される一対の三角形状の面を備える米飯加工食品を包み込む米飯加工食品用包装材において、
外シートは、一方向の一端部が他方向に間隔を空けて線状に切り込まれて形成された一対の切込部を備えており、
該一対の切込部は、それぞれの一端部が外シートの端縁と接するように形成されると共に、前記他方向における一端部同士の間隔が10mm以上15mm以下であり、前記他方向における他端部同士の間隔が20mm以上30mm以下となるように構成されており、
前記一対の切込部は、外シートの一方向に対して交差する方向に沿って形成される一対の切込第一領域と、外シートの一方向に沿って形成されて一対の切込部の一端部を備える一対の切込第二領域と、外シートの一方向に沿って形成されて一対の切込部の他端部を備える一対の切込第三領域とから構成されており、
各切込部の一端部から離れた位置で各切込第一領域の一端部と各切込第二領域とが連なり、各切込第一領域の他端部と各切込第三領域とが連なるように構成されており、
米飯加工食品を包装した際に、米飯加工食品の一方の三角形状の面よりも他方の三角形状の面側に一対の切込部の他端部が位置し、該一対の切込部の他端部よりも米飯加工食品の一方の三角形状の面側に一対の切込第二領域が位置することを特徴とする米飯加工食品用包装材。
【請求項2】
前記外シートは、一方向に沿って配置されたカットテープを備えており、外シートの一方向に沿って延びるカットテープの一対の端縁のそれぞれが一対の切込部の各一端部と各他端部との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の米飯加工食品用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシート状の海苔などのシート状食品と、三角おにぎりなどの米飯加工食品とを分離した状態で包装可能に構成されると共に、食する際には、分離した状態で包装されている両者を合体して食せるよう構成される米飯加工食品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等で販売されている海苔付きおにぎりは、外シートと内シートとの間に海苔を収納した米飯加工食品の包装材(以下、「包装材」ともいう)によって包装されている。このように、外シートと内シートとの間に海苔が収納されることで、おにぎりと海苔とが直に接することがないため、海苔が湿気ってしまうのを抑制することが可能となっている。
【0003】
前記外シートとしては、例えば、おにぎりを包み込むことができる大きさの略長方形状に形成され、長手方向の一端部に長手方向に沿って一対の平行な切り込み(以下、切込部とも記す)が形成されたものが用いられる。該一対の切込部は、それぞれの一端部が外シートの端縁と接するように形成されているため、一対の切込部間の領域が他の領域から分離される。これにより、一対の切込部の一端部間に指などで摘むことが可能な摘み部が形成される。
【0004】
また、斯かる外シートは、長手方向に延びる一対のカットテープを備え、該一対のカットテープの一端部が一対の切込部の間に位置するように構成されている。また、一対のカットテープの間隔は、外シートの長手方向の両端部から長手方向の中央部に向かって一対の切込部の間隔よりも広くなるように構成されている。
【0005】
一方、前記内シートは、外シートと略同一形状となるように構成される。また、内シートは、2枚のシート片から構成されている。該2枚のシート片は、外シートと内シートとを重ね合わせた際、該外シートの一対のカットテープ間の領域と対応する位置で一方のシート片の内側端部と他方のシート片の内側端部とが重なるように構成されている。これにより、内シートは、幅方向へ容易に分割できるように構成されている。
【0006】
このような構成の包装材を用いて包装されたおにぎりを食する際には、摘み部を摘んで外シートの長手方向に沿って引っ張ることで、一対の切込部の各他端部を起点に、外シートが一対のカットテープに沿って切断される。これにより、一対の切込部の各他端部を起点とする一対の切断線間の領域が外シートから分離され、外シートが幅方向に分割可能となる。この際、外シートの長手方向の一端側から中央部側へ向かって一対の切断線間の間隔が広がるため、該中央部側においてシート状食品を広く開放することができる。そして、2つに分割された外シートを離間する方向に内シートと共に引っ張ることで内シートも分割される。これにより、海苔とおにぎりとの間から内シートが引き抜かれて海苔とおにぎりとが一体となっておにぎりを食することが可能となる(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−215292号公報
【特許文献2】特開2007−252316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように外シートを切断する際には、外シートの長手方向に沿って摘み部を引っ張ることになるが、外シートの長手方向の一端部から中央部に向かうに連れて一対のカットテープの間隔が広くなるため、一対の切断線の間隔も広くなる。これにより、摘み部を引っ張る力が外シートの長手方向に沿った方向から外シートの幅方向に分散されるため、外シートの切断に大きな力が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、一対の切込部の一端部間の間隔よりも広い幅で外シートを切断することができると共に外シートの切断をより小さい力で行うことができる米飯加工食品用包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る米飯加工食品用包装材は、一方向に沿って切断されることで該一方向に直交する他方向に分割される外シートと、該外シートと同方向に分割可能に構成される内シートとを備え、シート状食品を介して外シートと内シートとが重ね合わされた状態で、シート状食品を囲むように外シートと内シートとがシールされて構成され
ており、対向する位置に形成される一対の三角形状の面を備える米飯加工食品を包み込む米飯加工食品用包装材において、外シートは、一方向の一端部が他方向に間隔を空けて線状に切り込まれて形成された一対の切込部を備えており、該一対の切込部は、それぞれの一端部が外シートの端縁と接するように形成されると共に、前記他方向における一端部同士の間隔が10mm以上15mm以下であり、前記他方向における他端部同士の間隔が20mm以上30mm以下となるように構成され
ており、前記一対の切込部は、外シートの一方向に対して交差する方向に沿って形成される一対の切込第一領域と、外シートの一方向に沿って形成されて一対の切込部の一端部を備える一対の切込第二領域と、外シートの一方向に沿って形成されて一対の切込部の他端部を備える一対の切込第三領域とから構成されており、各切込部の一端部から離れた位置で各切込第一領域の一端部と各切込第二領域とが連なり、各切込第一領域の他端部と各切込第三領域とが連なるように構成されており、米飯加工食品を包装した際に、米飯加工食品の一方の三角形状の面よりも他方の三角形状の面側に一対の切込部の他端部が位置し、該一対の切込部の他端部よりも米飯加工食品の一方の三角形状の面側に一対の切込第二領域が位置することを特徴とする。
【0011】
斯かる構成によれば、上記のような一対の切込部を備えることで、一対の切込部の間の領域が他の領域から分離する。これにより、一対の切込部の一端部間の領域を指などで摘むことが可能となる。そして、一対の切込部の一端部間の領域(以下、摘み部とも記す)を摘んで外シートの一方向に沿って引っ張ることで、一対の切込部の各他端部を起点に外シートが一方向に沿って切断される。これにより、一対の切込部の各他端部を起点とする一対の切断線の間の帯状の領域が外シートから切り取られ、外シートが他方向に分割可能となる。
【0012】
この際に切り取られる帯状の領域の幅は、一対の切込部の一端部間の間隔(即ち、摘み部の幅)よりも広くなる。つまり、上記のような構成の一対の切込部を備えることで、摘み部よりも幅の広い領域を外シートから切り取ることができると共に、外シートの切断が一方向に沿ってなされるため、従来のように外シートを切断する際の一対の切断線の間隔が外シートの一方向の一端部から中央部に向かって拡大する場合よりも、容易に(少ない力で)外シートを切断することができる。
【0013】
前記一対の切込部は、外シートの一方向に対して交差する一対の切込第一領域と、外シートの一方向に沿って形成されて一対の切込部の一端部を備える一対の切込第二領域と、外シートの一方向に沿って形成されて一対の切込部の他端部を備える一対の切込第三領域とから構成され、各切込第一領域の一端部に各切込第二領域が連なると共に各切込第一領域の他端部に各切込第三領域が連なるように形成されることが好ましい。
【0014】
斯かる構成によれば、外シートの一方向に沿って外シートにテンションが加わった際に、一対の切込部の両端部が起点となって外シートが意図せずに破断してしまうのを防止することができる。具体的には、一対の切込部が一対の切込第一領域のみで形成されている場合、外シートに対して一方向に沿ってテンションが加わると、外シートを幅方向に引き裂くような力が各切込部(各切込第一領域)の両端部に加わるため、外シートが意図せずに破断し易くなる。
【0015】
これに対し、各切込第一領域の一端部に各切込第二領域が連なり各切込第一領域の他端部に各切込第三領域が連なるように構成されることで、外シートに対して長手方向に沿ってテンションが加わった際にも、外シートを幅方向に引き裂くような力が各切込部の両端部(各切込第二領域及び各切込第三領域の端部)に加わることがない。このため、外シートが幅方向に意図せずに破断してしまうのを防止することができる。
【0016】
前記外シートは、一方向に沿って配置されたカットテープを備えており、外シートの一方向に沿って延びるカットテープの一対の端縁のそれぞれが一対の切込部の各一端部と各他端部との間に位置することが好ましい。
【0017】
斯かる構成によれば、外シートの一方向に沿って延びるカットテープの一対の端縁のそれぞれが一対の切込部の各一端部と各他端部との間に位置することで、一対の切込部の各他端部を起点に外シートが切断される際に、切断方向がカットテープによって規制される。これにより、一対の切込部の各他端部を起点とする一対の切断線の間隔(つまり、外シートから切り取られる帯状の領域の幅)が一対の切込部の一端部間の間隔(摘み部の幅)よりも狭くなるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、一対の切込部の一端部間の間隔よりも広い幅で外シートを切断することができると共に外シートの切断をより小さい力で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る米飯加工食品用包装材の分解斜視図。
【
図2】同実施形態における外シートを示した平面図であって一対の切込部の周辺の一部拡大図。
【
図3】(a)は、同実施形態に係る米飯加工食品用包装材を用いて三角形状のおにぎりを包装した状態を示す斜視図、(b)は、(a)の状態から外シートを切断した状態を示す斜視図。
【
図4】(a)は、他の実施形態における外シートの一対の切込部を示した平面図、(b)は、更に他の実施形態における外シートの一対の切込部を示した平面図、(c)は、更に他の実施形態における外シートの一対の切込部を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る米飯加工食品用包装材の実施形態について、図面に基づいて説明する。以下では、「米飯加工食品用包装材」を単に「包装材」と称することがある。
【0021】
本実施形態に係る包装材1は、
図1に示すように、米飯加工食品Aと接する内シート2と、該内シート2に重ね合わされる外シート3とを備える。そして、内シート2および外シート3は、米飯加工食品Aに巻く海苔等のシート状食品Bを介して重ね合された状態で、シート状食品Bを囲むように端部同士がシールされる。これにより、包装材1は、米飯加工食品Aを包装した際に、米飯加工食品Aとシート状食品Bとが分離した状態となる。
【0022】
内シート2は、一方向に直交する他方向に分割可能に構成される。具体的には、内シート2は、一対の内シート片2a,2bから構成される。一対の内シート片2a,2bは、内シート2の略中央部で、内シート2の一方向に沿って重なるように配置される(即ち、一対の内シート片2a,2bの重なる領域が内シート2の一方向に沿って形成される)。これにより、内シート2は、他方向に分割可能となっている。本実施形態では、内シート2は、一方向が長手となるように(本実施形態では、長方形状に)形成され、該一方向に直交する他方向が幅方向となっている。
【0023】
外シート3は、内シート2と略同一形状を有する外シート本体3aと、該外シート本体3aに積層される帯状のカットテープ3bとから構成される。該カットテープ3bは、外シート本体3aの一方向に直交する他方向の中央部において一方向に沿って配置される。本実施形態では、外シート3は、一方向が長手となるように(本実施形態では、長方形状に)形成され、該一方向に直交する他方向が幅方向となっている。
【0024】
また、外シート3は、
図2に示すように、一方向(長手方向)の一端部が他方向(幅方向)に間隔を空けて線状に切り込まれて形成された一対の切込部3c,3dを備える。該一対の切込部3c,3dは、それぞれの一端部3c1,3d1が外シート3の端縁と接するように形成される。また、一対の切込部3c,3dは、一端部3c1,3d1同士の間隔L1が他端部3c2,3d2同士の間隔L2よりも狭くなるように形成される。該一端部3c1,3d1間の間隔L1としては、特に限定されるものではなく、例えば、10mm以上15mm以下であることが好ましく、該他端部3c2,3d2間の間隔L2としては、特に限定されるものではなく、例えば、20mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0025】
また、一対の切込部3c,3dのそれぞれは、外シート3の他方向(幅方向)において、各一端部3c1,3d1と各他端部3c2,3d2との間に、外シート3の一方向に沿って延びるカットテープの端縁が位置するように形成される。換言すれば、本実施形態では、一対の切込部3c,3dは、各一端部3c1,3d1が外シート本体3aとカットテープ3bとの重なる領域に位置し、各他端部3c2,3d2が外シート本体3aとカットテープ3bとの重なる領域の外側に位置する。
【0026】
また、一対の切込部3c,3dは、外シート3の一方向(長手方向)に対して交差するように形成された一対の切込第一領域3c3,3d3と、外シート3の一方向(長手方向)に沿って形成されて一対の切込部3c,3dの各一端部3c1,3d1を備える一対の切込第二領域3c4,3d4と、外シート3の一方向(長手方向)に沿って形成されて一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を備える一対の切込第三領域3c5,3d5とから構成される。
【0027】
一対の切込第二領域3c4,3d4は、外シート本体3aとカットテープ3bとの重なる位置に形成される。また、一対の切込第三領域3c5,3d5は、外シート本体3aとカットテープ3bとの重なる位置の外側に形成される。そして、一対の切込第一領域3c3,3d3のそれぞれの一端部に一対の切込第二領域3c4,3d4のそれぞれが連なると共に、一対の切込第一領域3c3,3d3のそれぞれの他端部に一対の切込第三領域3c5,3d5のそれぞれが連なるように構成される。
【0028】
上記のように一対の切込部3c,3dが形成されることで、外シート3における一対の切込部3c,3d間の領域が他の領域から分離される。これにより、一対の切込部3c,3dの一端部3c1,3d1間に、指などで摘むことが可能な摘み部3eが形成される。これにより、外シート3の一方向(長手方向)に沿って外シート3の他端部側へ摘み部3eを引っ張ることで、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点に外シート3を一方向(長手方向)に沿って(カットテープ3bに沿って)切断することが可能となる。そして、このように外シート3が切断されることで、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点とする一対の切断線間の帯状の領域が外シート3から分離され、外シート3が他方向(幅方向)に分割可能となる。
【0029】
上記のように構成される包装材1を用いて包装される米飯加工食品Aには、三角形状や樽形状などに握られた各種おにぎりの他、鮨なども含まれる。また、シート状食品Bには、シート状の海苔の他、畳鰯なども含まれる。そして、例えば、米飯加工食品Aとして三角形状のおにぎり(一対の三角形状の面と、該一対の三角形状の面の外周を連結する側面とを備えるもの)を包装材1で包装する際には、一対の切込第二領域3c4,3d4の全体がおにぎりの三角形状の面側(正面側)に位置すると共に、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2がおにぎりの側面側に位置するように包装する。これにより、
図3(a)に示すように、おにぎりの全体が包装材1によって包まれた状態において、摘み部3eの全体がおにぎりの三角形状の面側(正面側)に位置すると共におにぎりの正面に沿って起立した状態となるため、摘み部3eを容易に摘むことが可能となる。
【0030】
そして、摘み部3eを外シート3の一方向(長手方向)に沿って引っ張ることで、
図3(b)に示すように、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点に外シート3が一方向(長手方向)に沿って切断される。そして、更に摘み部3eをおにぎりの正面側から裏面側へ引き回すことで、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点とする切断線間の帯状の領域が外シート3から分離される。これにより、外シート3が他方向(幅方向)に分割可能となる。そして、斯かる状態において外シート3と共に内シート2を他方向(幅方向)に引っ張ることで、おにぎりと海苔との間から内シート2が引き抜かれると共に包装材1がおにぎり及び海苔から取り去られ、おにぎりと海苔とが一体となった状態を形成することができる。
【0031】
以上のように、本発明に係る米飯加工食品用包装材によれば、一対の切込部の一端部間の間隔よりも広い幅で外シートを切断することができると共に外シートの切断をより小さい力で行うことができる。
【0032】
即ち、上記のような一対の切込部3c,3dを備えることで、一対の切込部3c,3dの間の領域が他の領域から分離する。これにより、一対の切込部3c,3dの一端部3c1,3d1間の領域を指などで摘むことが可能となる。そして、一対の切込部3c,3dの一端部3c1,3d1間の領域(摘み部3e)を摘んで外シート3の一方向に沿って引っ張ることで、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点に外シート3が一方向に沿って切断される。これにより、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点とする一対の切断線の間の帯状の領域が外シート3から切り取られ、外シート3が他方向に分割可能となる。
【0033】
この際に切り取られる帯状の領域の幅は、一対の切込部3c,3dの一端部3c1,3d1間の間隔(即ち、摘み部3eの幅)よりも広くなる。つまり、上記のような構成の一対の切込部3c,3dを備えることで、摘み部3eよりも幅の広い領域を外シート3から切り取ることができると共に、外シート3の切断が一方向に沿ってなされるため、従来のように外シート3を切断する際に一対の切断線の間隔が外シート3の一方向の一端部から中央部に向かって拡大する場合よりも容易に(少ない力で)外シート3を切断することができる。
【0034】
また、外シート3の一方向に沿って外シート3にテンションが加わった際に、一対の切込部3c,3dの両端部が起点となって外シート3が意図せずに破断してしまうのを防止することができる。具体的には、一対の切込部3c,3dが一対の切込第一領域3c3,3d3のみで形成されている場合、外シート3に対して一方向に沿ってテンションが加わると、外シート3を幅方向に引き裂くような力が各切込部3c,3d(各切込第一領域3c3,3d3)の両端部に加わるため、外シート3が意図せずに破断し易くなる。
【0035】
これに対し、各切込第一領域3c3,3d3の一端部に各切込第二領域3c4,3d4が連なり各切込第一領域3c3,3d3の他端部に各切込第三領域3c5,3d5が連なるように構成されることで、外シート3に対して長手方向に沿ってテンションが加わった際にも、外シート3を幅方向に引き裂くような力が各切込部3c,3dの両端部(各切込第二領域3c4,3d4及び各切込第三領域3c5,3d5の端部)に加わることがない。このため、外シート3が幅方向に意図せずに破断してしまうのを防止することができる。
【0036】
また、外シート3の一方向に沿って延びるカットテープ3bの一対の端縁のそれぞれが一対の切込部3c,3dの各一端部3c1,3d1と各他端部3c2,3d2との間に位置することで、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点に外シート3が切断される際に、切断方向がカットテープ3bによって規制される。これにより、一対の切込部3c,3dの各他端部3c2,3d2を起点とする一対の切断線の間隔(つまり、外シート3から切り取られる帯状の領域の幅)が一対の切込部3c,3dの一端部3c1,3d1間の間隔(摘み部3eの幅)よりも狭くなるのを防止することができる。
【0037】
なお、本発明に係る米飯加工食品用包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、外シート3は、一本のカットテープ3bを備えるように構成されているが、これに限定されるものではなく、
図4(a)に示すように、外シート3の他方向(幅方向)に間隔をあけて一対のカットテープ3b,3bを備えるように構成されてもよい。斯かる場合には、一対の切込部3c,3dは、各一端部3c1,3d1が一対のカットテープ3b,3bの間に位置し、各他端部3c2,3d2が一対のカットテープ3b,3bの外側に位置する。
【0039】
また、上記実施形態では、一対の切込部3c,3dが切込第一領域3c3,3d3と切込第二領域3c4,3d4と切込第三領域3c5,3d5とから構成されているが、これに限定されるものではなく、
図4(b)に示すように、外シート3が直線状(換言すれば、ハの字状)に切り込まれて形成された一対の切込部30c,30dであってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、一対の切込部3c,3dは、それぞれが連続的な線状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図4(c)に示すように、複数の切込片3c6,3d6で一対の切込部31c,31dを構成してもよい。複数の切込片3c6,3d6が外シート3の長手方向に間隔を空けて配置されると共に、各切込片3c6,3d6が外シート3の長手方向の他端側に向かうにつれて幅方向の異なる位置に形成され、一つの切込片3c6,3d6における外シート3の長手方向の他端側に位置する端部が他の切込片3c6,3d6と外シート3の幅方向で重なるように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…包装材、2…内シート、2a,2b…内シート片、3…外シート、3a…外シート本体、3b…カットテープ、3c,3d…切込部、3c3,3d3…切込第一領域、3c4,3d4…切込第二領域、3c5,3d5…切込第三領域、3e…摘み部、A…米飯加工食品、B…シート状食品