特許第6511246号(P6511246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511246
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B68G 7/05 20060101AFI20190425BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20190425BHJP
   B60N 2/60 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   B68G7/05 A
   A47C31/02 Z
   B60N2/60
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-210791(P2014-210791)
(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公開番号】特開2016-77451(P2016-77451A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山川 拓巳
【審査官】 松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−142976(JP,A)
【文献】 特開平09−276089(JP,A)
【文献】 特開2012−213525(JP,A)
【文献】 米国特許第05879051(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B68G 7/05−7/054
A47C 31/02−31/06
B60N 2/58−2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートは、
シートクッションの骨格をなすシートクッションフレームと、
前記シートクッションフレームに配置されたクッション材と、
前記クッション材を覆うトリムカバーと、
を備え、
前記シートクッションフレームは、該シートクッションフレームの側方下部を支持するシートクッションサイドフレームと、該シートクッションサイドフレームの固定されたトリムワイヤとを有し、
前記トリムカバーの端末部はポケット形状に縫製されたポケット部を有し、
前記ポケット部は前記トリムカバーを内側に折り返し、前記トリムカバーの端部から所定の長さの所に縫い部を設け、前記端部と前記縫い部との間の第1の部分と、前記第1の部分と対向する第2の部分と、前記縫い部と折り返し部との間の第3の部分とを有し、
前記トリムカバーは、前記第1の部分と前記第2の部分と前記縫い部とによって前記トリムワイヤに固定するようにされる、車両用シート。
【請求項2】
請求項1の車両用シートにおいて、
前記縫い部は前記第1の部分と前記第3の部分の一端との境界と前記第2の部分と前記第3の部分の他端との境界とを接続する、車両用シート。
【請求項3】
請求項1の車両用シートにおいて、
前記第3の部分の長さは前記第1の部分の長さよりも長くするようにされる、車両用シート。
【請求項4】
請求項3の車両用シートにおいて、さらに、
前記シートクッションサイドフレームを支えるスライドレールを前記シートクッションサイドフレームの下方に有し、
前記第3の部分によって前記スライドレールを隠すようにされる、車両用シート。
【請求項5】
請求項1の車両用シートにおいて、
前記トリムワイヤが固定されたシートクッションサイドフレームは前記シートクッションフレームの両側に配置され、
前記トリムカバーの端末部は前記シートクッションフレームの両側に配置され、前記シートクッションフレームの両側に配置された前記トリムワイヤに固定するようにされる、車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両用シートに関し、例えばシートクッションのトリムカバーの端末処理に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両用シートは、シートクッションおよびその背面側で立設されるシートバック等によって構成されている。そして、シートクッションやシートバックは、シートクッションフレームまたはシートバックフレーム、パッド材(クッション材)および表皮材として被覆されるトリムカバーによって構成されている。例えば、トリムカバーの端末処理は以下のように行われている(特開平11−89663号公報(特許文献1))。
シートクッションのシートフレームの外周縁に沿ってトリムワイヤが固着される。また、シートフレームのトリムワイヤには、回り防止用の係止ブラケット6が固着される。この係止ブラケットにパッド材等を覆うように被覆されるトリムカバーの端末に縫着されたJ字状のフック部材が回り防止された状態で係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−89663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、J字状のフックでトリムカバーの端末処理を行うとコスト高である。
本開示の課題は、J字状のフックを用いないでトリムカバーの端末処理を行う車両用シートを提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本開示の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、車両用シートは、シートの座部の骨格をなすシートクッションフレームと、シートクッションフレームに配置されたクッション材と、クッション材を覆うトリムカバーと、を備える。シートクッションフレームは、シートの座部の側方下部を支持するクッションサイドフレームと、クッションサイドフレームの固定されたトリムワイヤとを有する。トリムカバーの端末部はポケット形状に縫製されたポケット部を有し、ポケット部にトリムワイヤを差し込むことによりトリムカバーを固定するようにされる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、車両用シートの組み立ての作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
図2】実施形態に係る車両用シートを構成するシートフレームの斜視図である。
図3】比較例に係る車両シートの要部の側面図である。
図4図3のA−A線における要部の断面図である。
図5】実施形態に係る車両用シートの要部の側面図である。
図6図5のB−B線における要部の断面図である。
図7図6におけるトリムカバー端末部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0009】
まず、実施形態に係る車両用シートの構造について図1から図2を用いて説明する。
図1は実施形態に係る車両用シートの斜視図である。図2は実施形態に係るシートフレームの斜視図である。
【0010】
図1に示すように、実施形態に係る車両用シート1はシートクッション10とシートバック20とを備える。シートバック20は上部にヘッドレスト40を備える。車両用シート1は、後述するリクライニング装置を備え、シートクッション10に対して、シートバック20が傾動自在に連結されており、シートバック20の回動を規制可能とし、シートバック20の傾斜角度が任意に調整・設定可能となっている。なお、車両用シート1は、+Y方向が車両の前方になるように、車両の室内に取り付けるようにされる。+X方向を右、−X方向を左、+Z方向を上という。
【0011】
図2に示すように、車両用シートを構成するシートフレーム1Aは、シートクッション10を構成するシートクッションフレーム10Aと、シートバック20を構成するシートバックフレーム20Aと、を備える。シートクッションフレーム10Aは、左右両側にクッションサイドフレーム11とクッションサイドフレームを支えるスライドレール12とを備える。シートフレーム1Aは左右両側にリクライニング装置30を備える。
シートクッション10やシートバック20は、シートクッションフレーム10Aまたはシートバックフレーム20A、後述するパッド材(クッション材)および表皮材として被覆されるトリムカバーによって構成されている。
【0012】
次に、本願発明に先立って検討した技術(比較例)に係る表示装置のトリムカバーの端末処理について図3および図4を用いて説明する。
図3は比較例に係る車両シートの要部の右側の側面図である。図4図3のA−A線における要部の断面図である。
比較例に係る車両用シート1Rは、シートクッションのトリムカバーの端末部を除いて、実施形態に係る車両用シート1と同様な構成である。シートクッション10Rはシートクッションフレーム10Aの上にトリムカバー15Rで覆われたクッション材13が載置されて構成される。図4に示すように、トリムカバー15Rの端末部に縫着されたJ字状のフック16Rは、右側のクッションサイドフレーム11に固着されているトリムワイヤ14に係止されている。また、図3および図4に示すように、トリムカバー15Rの端末部に縫着されたタレ部品17RによってJ字状のフック16Rやスライドレール12等を目隠しするようにされる。
タレ部品17Rはトリムカバー15Rと同様な材質の表皮材の両端部が折り返されて縫製される。トリムカバー15Rの端部が折り返されて、タレ部品17RとJ字状のフック14が縫い付けられる。よって、トリムカバー15Rの端末部では3回の縫製が行われる。
【0013】
次に、実施形態に係る車両用シートのトリムカバーの端末処理について図5から図7を用いて説明する。
図5は実施形態に係る車両シートの要部の右側の側面図である。図6図5のB−B線における要部の断面図である。図7図6におけるトリムカバーの端末部を拡大した断面図である。
シートクッション10はシートクッションフレーム10Aの上にトリムカバー15で覆われたクッション材13が載置されて構成される。図6および図7に示すように、トリムカバー15の端末部において、端部Eが折り返し部Cで内側(シートクッションサイドフレーム側)に折り返されて縫い部18で縫製され、ポケット部15Pを形成する。端部Eと縫い部18との間の第1の部分15Eと、第1の部分15Eと対向する第2の部分15Fと、縫い部18と、で構成されるポケット部15Pにより、トリムカバー15は、シートクッションサイドフレーム11に固着されているトリムワイヤ14に係止(固定)されている。ポケット部15Pは比較例のJ字状のフック16Rと同様な機能を果たす。シートクッション10の側部のトリムカバー15において、縫い部18はY方向に延在する。よって、トリムワイヤ14は縫い部18の上にY方向に沿って配置される。なお、トリムカバー15の表面においては、縫い部18は離散的に存在する。
【0014】
図7に示すように、縫い部18と折り返し部Cとの間の第3の部分15Bの長さ(LB)は第1の部分15Eの長さ(LE)よりも長くするのが好ましい。第3の部分15Bを長くすることにより、第3の部分15Bは比較例のタレ部品17Rと同様な機能を果たし、シートクッションサイドフレーム11の下方を目隠しすることができる。また、第3の部分15Bを長く形成しているので、第3の部分15Bを掴むことは容易である。第3の部分15Bを掴んで下方に引っ張ることによりトリムワイヤ14に係止することが容易になる。また、トリムカバー15の端末部では1回の縫製のみが行われ、比較例の縫製回数よりも減らすことができる。さらに、比較例のようにトリムカバー15Rとは別のタレ部品17RやJ字状のフック16Rを使用する必要がない。よって、トリムカバーの端末処理の作業性を向上することができる。また、部品点数を低減することができるので、コストを削減することができる。
【0015】
なお、上記ではシートクッション10の右側のトリムカバーの端末処理について説明したが、左側のトリムカバーの端末処理も同様に行ってもよい。すなわち、シートクッション10の右側のみに上述のトリムカバーの端末処理を行ってもよく、シートクッション10の左側のみに上述のトリムカバーの端末処理を行ってもよく、シートクッション10の左右両側に上述のトリムカバーの端末処理を行ってもよい。
【0016】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0017】
1・・・車両用シート
1A・・・シートフレーム
10,10R・・・シートクッション
10A・・・シートクッションフレーム
11・・・シートクッションサイドフレーム
12・・・スライドレール
13・・・クッション材
14・・・トリムワイヤ
15,15R・・・トリムカバー
16R・・・J字状のフック
17R・・・タレ部品
18・・・縫い部
20・・・シートバック
20A・・・シートバックフレーム
30・・・リクライニング装置
40・・・ヘッドレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7