(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0016】
本発明は発光モジュールを備えるアンテナ装置であるが、ここでは、まず発光モジュールを有さないアンテナ装置を参考例として説明し、その後に発光モジュールを有するアンテナ装置の実施の形態を説明する。
【0017】
参考例1
図1は、本発明の参考例1に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
図2は、
図1とは異なる方向から見た前記アンテナ装置の分解斜視図である。
図3は、前記アンテナ装置における、インナーケース6の第1の機能追加用開口部6dに対する防水蓋4の装着説明図である。
図4は、インナーケース6の第1の機能追加用開口部6dに防水蓋4を装着した状態の斜視図(外装ケース1及び隙間埋めパッド2の図示を省略した前記アンテナ装置の斜視図)である。
図5は、前記アンテナ装置の側断面図である。
図6は、
図5の前部拡大図である。
図7は、
図5の後部拡大図である。
図8は、
図5のA−A断面図である。
【0018】
本参考例のアンテナ装置は、車載用であり、車両のルーフ等に取り付けられる。外装ケース1は、電波透過性の合成樹脂製(PCやPET等の樹脂製の成型品)であり、両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状とされている。
図5に示すように、外装ケース1は、アンテナベース10への取付用の所定数の係止爪1aを有する。隙間埋めパッド2は、エラストマーやゴム等で形成された環状の弾性部材であり、
図5に示すように外装ケース1の下端内周縁部に嵌入され、外装ケース1の下端周縁と車体との間の隙間の目隠しとして機能する。
【0019】
アンテナ素子の例示である容量エレメント3は、ステンレス等の金属板(導体板)を加工して形成され、少なくとも一部に面状部3bを備える。容量エレメント3は、例えば傘型(断面形状がコの字型、U字型、あるいはV字型等)に形成され、外装ケース1とアンテナベース10との間の空間内の上部に設けられる。容量エレメント3は、インナーケース6への係止用の所定数の係止穴3bと、インナーケース6への固定用のネジ3dを通すためのネジ止め用貫通穴3cとを有する。
【0020】
インナーケース6は、電波透過性の合成樹脂製(ABS樹脂等の樹脂製の成型品)であり、容量エレメント3の面状部3aに沿う形状の容量エレメント支持部6aに容量エレメント3を支持し、また内部には
図5に示すようにアンテナ素子の例示であるコイルエレメント13を支持する。容量エレメント3及びコイルエレメント13により、AM/FM放送の受信が可能となる。インナーケース6は、容量エレメント3の係止穴3bと係合して容量エレメント3を係止するための所定数の係止凸部6bを有する。インナーケース6には、容量エレメント3とコイルエレメント13との電気的接続を行う導体パイプ(金属パイプ)6cが、インサート成形や圧入等により設けられる。導体パイプ6cの内周面には雌ネジが形成される。導電性材料からなるネジ3dは、容量エレメント3のネジ止め用貫通穴3cを貫通して導体パイプ6cに上方から螺合し、容量エレメント3をインナーケース6に固定する。防水パッキン6i(
図5)は、エラストマーやゴム等の環状の弾性部材であり、容量エレメント3とインナーケース6との結合部を水密封止する。導電性材料からなるネジ13cは、コイルエレメント13のアッパーターミナル13aを貫通して導体パイプ6cに下方から螺合し、アッパーターミナル13aをインナーケース6に固定する。これにより、コイルエレメント13のアッパーターミナル13a、導体パイプ6c、及び容量エレメント3が相互に導通する。
【0021】
インナーケース6は、第1の機能追加用開口部6dと、一対の係止穴6eと、ガイド凸部6f,6gとを有する。第1の機能追加用開口部6dには、発光モジュール等の付加ユニットを取付け可能であるが、本参考例は機能追加を行わないため防水蓋4を第1の機能追加用開口部6dに取り付ける。防水蓋4は、電波透過性の合成樹脂製(PCやPET等の樹脂製の成型品)であり、第1の機能追加用開口部6dへの取付用の一対のスナップフィット4aと、第1の機能追加用開口部6dへの取付時のガイドとなるガイド用凹部4b,4cとを有する。インナーケース6の一対の係止穴6eは、第1の機能追加用開口部6dの左右両側にそれぞれ設けられ、防水蓋4の一対のスナップフィット4aと係合して防水蓋4を係止する。インナーケース6のガイド凸部6f,6gは、防水蓋4のガイド用凹部4b,4cと係合し、防水蓋4の取付時のガイドとして機能するとともに、防水蓋4のがたつきを防止する。第2の水密封止材の例示である防水パッキン5は、エラストマーやゴム等で形成された環状の弾性部材であり、第1の機能追加用開口部6dの内面の段差部6j上に位置して防水蓋4の開口部6dに入り込んだ部分の外側面と第1の機能追加用開口部6dの内側面とに押圧され、防水蓋4と第1の機能追加用開口部6dとの間を水密封止する。すなわち、防水蓋4と防水パッキン5が第1の機能追加用開口部6dを水密に塞ぐ。
【0022】
インナーケース6は、第2の機能追加用開口部6h(
図2)を有する。第2の機能追加用開口部6hには、防水栓(防水グロメット)7が取り付けられる。防水栓7は、第2の機能追加用開口部6hと嵌合する凹部7aを外周面に有し、第2の機能追加用開口部6hを水密封止する。防水栓7は、カメラモジュール等の付加ユニットを設ける場合には、付加ユニットのケーブルを、薄肉部7bを破って貫通させることができる。これについては参考例2(
図19〜
図23)で説明する。防水栓7は、把手部7c(
図5)を有し、インナーケース6の内側から把手部7cを引っ張ることで第2の機能追加用開口部6hに取り付けられる。
【0023】
第1の水密封止材としての防水パッド8は、エラストマーやゴム等の環状の弾性部材であり、アンテナベース10上に設けられる。防水パッド8は、
図5に示すように、アンテナベース10にネジ止め等で固定されたインナーケース6の下端部によって全周に渡って押圧され、アンテナベース10とインナーケース6との間を水密封止する。前述のようにインナーケース6の第1の機能追加用開口部6d及び第2の機能追加用開口部6hは水密封止され、また後述のようにアンテナベース10と車体との間はシール部材15によって水密封止されるため、アンテナベース10とインナーケース6との間には、水密な空間が形成される。
【0024】
アンテナ基板9は、アンテナベース10上にネジ止め等により固定され、アンテナベース10とインナーケース6との間の空間に位置する。アンテナ基板9上には、コイルエレメント13のロアターミナル13bを挟み込む一対の導体板バネ(ターミナル)9aと、一対の追加機能用電極9bとが設けられる。追加機能用電極9bは、第1の機能追加用開口部6dに付加ユニットを取り付ける場合には、付加ユニットの端子部との電気的接続に用いることができる。これについては実施の形態1(
図9〜
図14)で説明する。
【0025】
アンテナベース10は、例えばアルミ等の金属製ベース及びPBT等の樹脂製ベースの組合せ体(複合体)である。アンテナベース10は、外装ケース1の係止爪1aと係合して外装ケース1を係止する所定数の係止爪10aを外周部に有する。
図5に示すように、アンテナ基板9に接続されたケーブル14は、アンテナベース10の開口を通ってアンテナベース10の下方に延びる。車体取付用ネジ11は、
図5に示すワッシャー12を介してアンテナベース10に螺合し、本アンテナ装置を車両のルーフ等に固定する。アンテナベース10の下面には、エラストマーやゴム等の環状の弾性部材からなるシール部材15が設けられる。シール部材15は、アンテナベース10と車体との間を水密封止する。
【0026】
本参考例のアンテナ装置の組立の流れを説明する。まず、インナーケース6の第1の機能追加用開口部6dに、防水パッキン5を挟んで防水蓋4を取り付ける。このとき、防水蓋4の一対のスナップフィット4aを、第1の機能追加用開口部6dの両側に設けられた一対の係止穴6eに係合させる。また、インナーケース6の第2の機能追加用開口部6hに防水栓7を取り付ける。また、インナーケース6の容量エレメント支持部6a上に容量エレメント3を配置して容量エレメント3の係止穴3bとインナーケース6の係止凸部6bとを係合させ、ネジ3dをネジ止め用貫通孔3cを介して導体パイプ6cに上方から螺合させることにより容量エレメント3をインナーケース6に固定する。また、ネジ13cを導体パイプ6cに下方から螺合させることにより、コイルエレメント13のアッパーターミナル13aをインナーケース6に固定する。以上の手順は、どのような順序で行っても構わない。
【0027】
一方、アンテナベース10には、アンテナ基板9をネジ止め等により固定すると共に、防水パッド8を配置しておく。そして、コイルエレメント13のロアターミナル13bがアンテナ基板9の一対の導体板バネ9aに挟まれるようにインナーケース6をアンテナベース10上にセットし、インナーケース6をアンテナベース10にネジ止め等により固定する。このとき、インナーケース6の下端部が防水パッド8を全周に渡って押圧する。最後に、隙間埋めパッド2を嵌入した外装ケース1をアンテナベース10に装着する。このとき、外装ケース1の係止爪1aとアンテナベース10の係止爪10aを互いに係合させる。こうして組み立てられたアンテナ装置は、
図5に示す車体取付用ネジ11とワッシャー12により、シール部材15を挟んで車両のルーフ等に取り付けられる。
【0028】
本参考例によれば、下記の効果を奏することができる。
【0029】
(1) インナーケース6とアンテナベース10との間に水密空間を形成してアンテナ基板9を配置するため、外装ケース1は防水構造に拘束されない自由なデザインが可能となる。そのため、デザインの変更をする場合には、外装ケース1のみ設計を変更して他の部品は共通にすることができ、デザイン変更に要する手間とコストを削減できる。
【0030】
(2) インナーケース6に第1の機能追加用開口部6dを設け、防水蓋4に替えて発光モジュール等の付加ユニットを取付可能としているため、インナーケース6及びアンテナベース10の設計を変えずに付加ユニットの有無を変更できる。すなわち、付加ユニット(追加機能)の有無を変更してもインナーケース6及びアンテナベース10は共通でよく全体に渡る設計変更が不要なため、付加ユニットの有無が異なる製品を展開する場合の設計の手間とコストを削減できる。なお、付加ユニットの有無によってインナーケース6又はアンテナベース10若干の設計変更が入る場合もあり得るが、大部分は共通でよいため、そうした場合も設計の手間とコストを削減できる。
【0031】
(3) インナーケース6に第2の機能追加用開口部6hを設け、第2の機能追加用開口部6hを水密に塞ぐ防水栓7にカメラモジュール等の付加ユニットのケーブルを通せるようにしているため、第1の機能追加用開口部6dを設けたことと同様に設計の手間とコストを削減できる。
【0032】
実施の形態1
図9は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の第1の分解斜視図である。
図10は、前記アンテナ装置の第2の分解斜視図である。
図9及び
図10において隙間埋めパッド2の図示を省略している。
図11は、前記アンテナ装置における、発光モジュール18及び防水パッキン5の分解斜視図である。
図12は、発光モジュール18及び防水パッキン5の組合せ体の、導光体19及び防水パッキン5を半分に切断した状態の斜視図である。
図13は、前記アンテナ装置の側断面図である。
図14は、導光体19を通る光の伝搬説明図である。
【0033】
本実施の形態のアンテナ装置は、
図1等に示した参考例1のものと比較して、外装ケース1が光遮断体16及び光透過体17を組み合わせた外装ケース1Aに替わり、防水蓋4が付加ユニットとしての発光モジュール18に替わった点で相違し、その他の点で一致する。容量エレメント3、インナーケース6、防水パッド8、アンテナ基板9、アンテナベース10、及びコイルエレメント13(以下「インナーケース組」とも表記)の構成、並びにそれらの組立は参考例1と共通であり、ここでは説明を省略する。また、防水栓7は、参考例1と同構成であり同様にインナーケース6の第2の機能追加用開口部6hに取り付けられる。
【0034】
外装ケース1Aの光遮断体16は天面部に開口部16aを有し、光透過部としての光透過体17が開口部16aに嵌合ないし接着等により取り付け固定される。光遮断体16及び光透過体17は、電波透過性の合成樹脂製(PCやPET等の樹脂製の成型品)であり、相互に組み合わされた状態で両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を成す。光遮断体16が光を透過しないのに対し、光透過体17は光を透過する。容量エレメント3の面状部3aの少なくとも一部が光透過体17と対向する。面状部3aの少なくとも光透過体17と対向する部分(面)は、好ましくは研磨やメッキ(例えばクロムメッキ)等により光沢処理されて光沢度を高めている。光遮断体16は、参考例1の外装ケース1と同様に、隙間埋めパッド2(
図1)を嵌入した状態でアンテナベース10に係止爪同士の係合により取り付けられる(係止される)。
【0035】
発光モジュール18は、導光部としての導光体19及び発光ユニット20を組み合わせたものである。導光体19は、高屈折率かつ電波透過性の合成樹脂製(PC等の樹脂製の成型品)であり、取付ベース部19aと、導光路形成部19bとを含む。取付ベース部19aは、インナーケース6の第1の機能追加用開口部6dへの取付構造に関して
図1に示す防水蓋4と同様の構成を有する。取付ベース部19aと第1の機能追加用開口部6dとの間は、防水パッキン5によって水密封止される。取付ベース部19aは、容量エレメント3の前方に設けられる第1の機能追加開口部6dに取り付けられ、機能追加開口部6bから立設して容量エレメント3の前方且つ近傍まで延びる。導光路形成部19bは、取付ベース部19aの上端から、容量エレメント3の面状部3aに沿うように、光透過体17の内側、すなわち面状部3aと光透過体17との相互対向面間に延びる。導光路形成部19bの容量エレメント3側の面には、所定数のV字状の溝(乱反射用パターン)19cが設けられる。溝19cは、LED20aから離れるほど(後端側に向かうほど)隣接する溝の間隔が高密度に設けられる。
【0036】
発光ユニット20は、発光素子としてのLED20aと、給電端子部20b(
図11及び
図12)と、LED20a及び給電端子部20bを支持する支持体20cとを含む。支持体20cは、電波透過性の合成樹脂製(PCやPET等の樹脂製の成型品)であり、圧入等により導光体19に取り付け固定される。支持体20cは、LED20aを駆動するための定電流回路や静電耐圧を持たせるための回路を内蔵する。LED20aは、支持体20cの上端部に支持されて容量エレメント3の前方且つ近傍(側方)に位置し、後方斜め上方向の導光路形成部19bの延設方向に光を照射する。LED20aは、アンテナ性能が悪化しないように、容量エレメント3のLED20aに最も近い下端の高さと同一か、または、若干低い位置に配置される。給電端子部20bは、支持体20cの下端部に支持され、アンテナ基板9の追加機能用電極9b(
図1、
図2及び
図13)に接触して電気的に接続される。
【0037】
図14に示すように、LED20aの発した光は、全反射を繰り返しながら導光路形成部19b内を伝搬し、導光路形成部19bの容量エレメント3側の面に設けられた溝19cによって反射されると、導光路形成部19bの光透過体17側の面に全反射の角度を超える急角度で入射し、光透過体17側に飛び出す。このため、導光路形成部19bの表面は発光して見えることになる。溝19cは、LED20aから離れるほど(後端部に向かうほど)隣接する溝の間隔が高密度に設けられており、これによって、LED20aから離れて照度が低くなる部分における反射率を高めている。また、導光路形成部19bから容量エレメント3側に飛び出した光は、容量エレメント3によって反射されて導光路形成部19bに戻り、最終的には光透過体17側に飛び出すため、導光路形成部19bを効率的に明るくすることができる。
【0038】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0039】
(1) LED20aが発した光を導光体19によって光透過体17に導く構成であり、導光体19を挟んで光透過体17の反対側には金属製の容量エレメント3の面状部3aが位置して反射体として機能するため、従来と比較して高効率での発光が可能なアンテナ装置となる。
【0040】
(2) 容量エレメント3の面状部3aを反射体として機能させるため、別途金属製の反射体を配置する場合と異なり、発光効率改善のためにアンテナ性能が悪化するリスクが低い。
【0041】
(3) 容量エレメント3を外装ケース内の上部に配置し、LED20aを容量エレメント3の側方に配置しているため、LED20aを配置したことによるアンテナ性能の悪化を抑制しながらアンテナ装置の上部を効率的に明るくすることができる。
【0042】
(4) 発光機能を有さない参考例1のアンテナ装置と共通のインナーケース組を用いて発光機能を有するアンテナ装置を実現できる。
【0043】
実施の形態2
図15は、本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の第1の分解斜視図である。
図16は、前記アンテナ装置の第2の分解斜視図である。
図15及び
図16において隙間埋めパッド2の図示を省略している。
図17は、前記アンテナ装置の発光モジュール25の底断面図である。
図18は、前記アンテナ装置における、導光体26を通る光の伝搬説明図である。
【0044】
本実施の形態のアンテナ装置は、
図1等に示した参考例1のものと比較して、外装ケース1が光遮断体23及び一対の光透過体24を組み合わせた外装ケース1Bに替わり、防水蓋4が付加ユニットとしての発光モジュール25に替わった点で相違し、その他の点で一致する。インナーケース組の構成及びそれらの組立は参考例1と共通であり、ここでは説明を省略する。また、防水栓7は、参考例1と同構成であり同様にインナーケース6の第2の機能追加用開口部6hに取り付けられる。実施の形態1では外装ケースの天面部を発光させたのに対し、本実施の形態では外装ケースの両側面の一部をそれぞれ発光させる。
【0045】
外装ケース1Bの光遮断体23は、両側面部にそれぞれ開口部23aを有し(図には片方の開口部23aのみ現れる)、光透過部としての光透過体24が開口部23aに嵌合ないし接着等により取り付け固定される。光遮断体23及び光透過体24は、電波透過性の合成樹脂製(PCやPET等の樹脂製の成型品)であり、相互に組み合わされた状態で両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を成す。光遮断体23が光を透過しないのに対し、光透過体24は光を透過する。光遮断体23は、参考例1の外装ケース1と同様に、隙間埋めパッド2(
図1)を嵌入した状態でアンテナベース10に係止爪同士の係合により取り付けられる(係止される)。
【0046】
発光モジュール25は、導光部としての導光体26及び発光ユニット27を組み合わせたものである。導光体26は、高屈折率かつ電波透過性の合成樹脂製(PC等の樹脂製の成型品)であり、取付ベース部26aと、一対の導光路形成部26bとを含む。取付ベース部26aは、インナーケース6の第1の機能追加用開口部6dへの取付構造に関して
図1に示す防水蓋4と同様の構成を有する。取付ベース部26aと第1の機能追加用開口部6dとの間は、防水パッキン5によって水密封止される。取付ベース部26aは、容量エレメント3の前方に設けられる第1の機能追加開口部6dに取り付けられ、機能追加開口部6bから立設して容量エレメント3の前方且つ近傍まで延びる。一対の導光路形成部26bは、取付ベース部26aの上部左右からそれぞれ、容量エレメント3の面状部3a及びインナーケース6の両側面に沿うように、光透過体24の内側、すなわち面状部3aと光透過体24との相互対向面間にそれぞれ延びる。
【0047】
発光ユニット27は、発光素子としてのLED27aと、不図示の給電端子部(
図11及び
図12の給電端子部20bと同様)と、LED27a及び前記給電端子部を支持する支持体27cとを含む。支持体27cは、電波透過性の合成樹脂製(PCやPET等の樹脂製の成型品)であり、圧入等により導光体26に取り付け固定される。LED27aは、支持体27cの上端部に支持されて容量エレメント3の前方且つ近傍(側方)に位置し、後方斜め外方向の導光路形成部26bの延設方向に光を照射する。前記給電端子部は、支持体27cの下端部に支持され、アンテナ基板9の追加機能用電極9b(
図1及び
図2)に接触して電気的に接続される。
【0048】
図18に示すように、LED27aの発した光は、全反射を繰り返しながら導光路形成部26b内を伝搬し、伝搬の過程で実施の形態1と同様に順次光透過体24側に飛び出す。このため、導光路形成部26bの表面は発光して見えることになる。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0049】
参考例2
図19は、本発明の参考例2に係るアンテナ装置の第1の分解斜視図である。
図20は、
図19とは異なる方向から見た前記アンテナ装置の第1の分解斜視図である。
図21は、前記アンテナ装置の第2の分解斜視図である。
図22は、
図21とは異なる方向から見た前記アンテナ装置の第2の分解斜視図である。
図23は、前記アンテナ装置の側断面図である。
【0050】
本参考例のアンテナ装置は、
図1等に示した参考例1のものと比較して、外装ケース1が外装ケース28に替わり、インナーケース6に背面部6kが追加され、付加ユニットとしてのカメラモジュール29及びそれを取り付けるためのブラケット30が追加され、カメラモジュール29のケーブル29cが防水栓7を貫通している点で相違し、その他の点で一致する。インナーケース組の構成及びそれらの組立は、インナーケース6に背面部6kが追加された以外は参考例1と共通であり、ここでは説明を省略する。また、防水蓋4は、参考例1と同構成であり同様にインナーケース6の第1の機能追加用開口部6dに取り付けられる。
【0051】
外装ケース28は、背面部に切欠28aを有する他は、参考例1の外装ケース1と同様である。インナーケース6の背面部6kには、一対のネジ穴6mが設けられる。ブラケット30は、ブラケット30を貫通してネジ穴6mに螺合する一対のネジ30aによってインナーケース6に取り付け固定される。カメラモジュール29は、ドライブレコードやバックビューモニタ、バックミラーの替わり等として利用できる。カメラモジュール29は、ブラケット30の支持によりインナーケース6に対して固定される。カメラモジュール29は、撮影用レンズ29a及びそれを支持するハウジング29b、並びにハウジング29bから引き出されたケーブル29cを含む。ケーブル29cは、防水栓7の薄肉部7b(
図7)を突き破って第2の機能追加用開口部6hに取り付けられた防水栓7を貫通し、インナーケース6の外側から内側に延び、アンテナ基板9に接続されたケーブル14と共にアンテナベース10の開口を通ってアンテナベース10の下方に引き出される。なお、組立時には、ケーブル29cが貫通した防水栓7の把手部7cをインナーケース6の内側から引っ張ることで防水栓7を第2の機能追加用開口部6hに取り付ければよい。
【0052】
本参考例によれば、インナーケース6に背面部6kを追加したことを除けば、カメラ機能を有さない参考例1のアンテナ装置と共通のインナーケース組を用いて発光機能を有するアンテナ装置を実現できる。なお、カメラ機能の有無によらずインナーケース6に背面部6kを設けておくことで、カメラ機能の有無によらずインナーケース6を同一にしてもよい。また、本参考例において、実施の形態1又は2と同様に発光モジュールを追加してもよい(第1の機能追加用開口部6dに付加ユニットを取り付けてもよい)。
【0053】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0054】
アンテナ装置は、発光モジュールを防水蓋4に替えてインナーケース6の第1の機能追加用開口部6dに取付け可能な構成に限定されず、発光モジュールを例えば外装ケース内でインナーケース6とは別のホルダにより支持してもよい。また、アンテナ装置は、デザイン機能を担う外装ケースと防水機能を担うインナーケースとを分けた構成に限定されず、外装ケースが防水とデザインの機能を持つ構成であってもよい。
【0055】
実施の形態1及び2において、外装ケース全体が光を透過する構成であってもよい。機能追加用開口部の数は1つ又は3つ以上であってもよい。第2の機能追加用開口部6hに取り付ける防水栓7は、参考例1及び参考例2で相互に異なる形状としてもよい(第2の機能追加用開口部6hに付加ユニットのケーブルを通すか否かによって異なる形状としてもよい)。