【実施例】
【0077】
実施例1:バイオマス分解活性を有する中温性及び好熱性デイノコッカス菌株の同定
本実施例は、属、種及び/又は細菌株が本発明に係る飼料の調製方法において機能できるか否かを決定するのに適する試験を開示する。特定の酵素活性を示す細菌を同定するために行われ得る試験の非限定的な例は、以下に示される。
【0078】
材料及び方法
複合培地グルコース(CMG)1%の組成
ペプトン:2g/L
酵母エキス:5g/L
121℃で15分のオートクレーブ
グルコース:10g/L−濾過滅菌(0.22μm)
さらに、MOPS、微量栄養素、ビタミン、FeCl
3、K
2HPO
4を加える(以下を参照)。
【0079】
培地(MM)の組成
14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl
3 100×、8 mlのK
2HPO
4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。
【0080】
セルロース分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(5%AZO−セルロース)
14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl
3 100×、8 mlのK
2HPO
4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。さらに、含量が5%となるようにAZO−セルロース溶液を加える。
【0081】
タンパク質分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(1%ミルク)
10g/Lのミルクパウダー及び14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl
3 100×、8 mlのK
2HPO
4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。
【0082】
アミロース分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(0.5%デンプン)
5g/Lのデンプン及び14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl
3 100×、8 mlのK
2HPO
4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。
【0083】
キシラン分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(5%AZO−キシラン)
14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl
3 100×、8 mlのK
2HPO
4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000Xを加える。さらに、含量が5%となるようにAZO−キシラン溶液を加える。
【0084】
・MOPSバッファー混合液10×、pH7.0
酸性MOPS 400mM
NH
4Cl 200mM
NaOH 100mM
KOH 100mM
CaCl
2 5μM
Na
2SO
4 2.76mM
MgCl
2 5.28mM
濾過滅菌(0.22μm)。
【0085】
・微量栄養素10000×
(NH
4)
6(Mo
7)O
24 30μM
H
3BO
3 4mM
CoCl
2 300μM
CuSO
4 100μM
MnCl
2 2.5mM
ZnSO
4 100μM
HClによりpHを5に調整
濾過滅菌(0.22μm)。
【0086】
・ビタミン10000×
D−ビオチン、ナイアシン(ニコチン酸)、ピリドキシン(ピリドキサル塩酸塩)B6,チアミン(ビタミンB1塩酸塩)をそれぞれ10mg/L−pH4で保管−濾過滅菌(0.22μm)。
【0087】
・FeCl
3100×
2mMクエン酸ナトリウムに含有された2mM FeCl
3、濾過滅菌(0.22μm)。
【0088】
・K2HPO
4100×
100g/Lであり、オートクレーブされる。
【0089】
酵素活性の検出
セルロース分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び5%AZO−セルロースを含むアガープレート上に滴下した。セルロース分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0090】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+1%のCMC又は1%のCMC4M又は1%のセロビオースを含むマイクロプレートに加えた。セルロース分解酵素活性を、OD
600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0091】
タンパク質分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び1%ミルクを含むアガープレート上に滴下した。タンパク質分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0092】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+1%のペプトン又は1%のカゼインを含むマイクロプレートに加えた。タンパク質分解酵素活性を、OD
600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0093】
アミロース分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び0.5%デンプンを含むアガープレート上に滴下した。アミロース分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。デンプン含有アガープレート上で、加水分解ハローの顕色をグラムヨウ素試薬により行った(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0094】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+0.5%のデンプンを含むマイクロプレートに加えた。アミロース分解酵素活性を、OD
600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0095】
キシラン分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び5%AZO−キシランを含むアガープレート上に滴下した。キシラン分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0096】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+0.5%のキシランを含むマイクロプレートに加えた。キシラン分解酵素活性を、OD
600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0097】
結果
下記表1は、固相スクリーニング試験で同定され、飼料の製造に用いるためのバイオマス消化活性を有する細菌の例を示す。加水分解ハローの径は、タンパク質分解活性及びアミロース分解活性については2日後、また、キシラン分解活性及びセルロース分解活性については5日後に測定されたもので評価した。より正確には、タンパク質分解活性について、加水分解ハローの径が2.4cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が2cm〜2.35cmのものを中活性、加水分解ハローの径が1.95cm未満のものを低活性とした。アミロース分解活性について、加水分解ハローの径が2.4cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が2.1cm〜2.35cmのものを中活性、加水分解ハローの径が1.9cm未満のものを低活性とした。キシラン分解活性について、加水分解ハローの径が2.8cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が2.1cm〜2.7cmのものを中活性、加水分解ハローの径が2.05cm未満のものを低活性とした。セルロース分解活性について、加水分解ハローの径が1.6cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が1.1cm〜1.35cmのものを中活性、加水分解ハローの径が0.9cm未満のものを低活性とした。
【0098】
【表1】
【0099】
下記表2は、液相スクリーニング試験で同定され、飼料の製造に用いるための種々の酵素活性を有する細菌の例を示す。細菌の増殖は600nmでのODの測定により判定する。
【0100】
【表2】
【0101】
本実施例は、適切な生物活性を有するデイノコッカス細菌が公的寄託機関から選択され、飼料の製造のために本発明で用いられ得る。
【0102】
実施例2:ナタネわら−デイノコッカス細菌の混合物の生成
ナタネわらとデイノコッカス細菌との混合物を調製した。特に、1%の前処理ナタネわらをデイノコッカス細菌(例えばDG01菌株)に接触させた。飼料に利用できる混合物を生成するための混合物の能力は、増殖して、単独で又は後の酵素添加でナタネわらを消化し、多量の栄養物を生成するデイノコッカス細菌の能力を検査することにより決定した。
【0103】
材料及び方法
ナタネわら
ナタネわらはSofiproteolから得て、それをブレンダーで挽いて、その後、1mm未満の長さの微細な断片を得るためにふるいに通した。
【0104】
セルラーゼ及びβ−グルコシダーゼ
用いた市販の酵素は、トリコデルマリーゼイ(Trichodermareesei)からのセルラーゼ(SIGMA ref.C8546-5KU)、及びアーモンドからのβ−グルコシダーゼ(SIGMAref.49290-1G)である。
【0105】
H
2SO
4水熱前処理
前処理を、20%w/vのナタネわら及び0.5%w/wのH
2SO
4を含む水道水を用いてエルレンフラスコ内で行った。この混合液に対して120℃で10分間のオートクレーブ(サイクル時間:1.5時間)をし、最終ナタネわら濃縮物を得るために滅菌水道水で希釈した。20MNaOH溶液を用いてpHを7に調整した(pH試験紙を用いて確認した)。播種前に、20mM NH
4Cl及び5.7mMK
2HPO
4のミネラル溶液を加えた。
【0106】
カウントのプロトコール
−2mlエッペンドルフチューブに1mLの均質な培養液(CMG、技術的基質(technicalsubstrate))をとる。
−10秒間のボルテックスの後、超音波処理器で10分間の超音波処理をし、再度10秒間のボルテックスを行う。
−96ウェルマイクロプレートにおいて、180μLのミリQ水をトリプリケートで9ウェルに分注する。
−トリプリケートで、ウェルNo.1(純粋なサンプル)からウェルNo.10(10
−9希釈)まで1/10段階希釈を行う。それは、20μLをとり、180μLの滅菌ミリQ水が入った次のウェルに入れ、混合し、3度ピペッティングを行う。各ウェルの間でチップを変える。
−マルチチャンネルピペットを用いて、5μLの各希釈液をデュプリケートでPGY−アガープレートに滴下する。
−45℃で2日間インキュベートする(好熱性デイノコッカスの場合)。
−カウントできる最初の希釈液においてコロニーの数をカウントする。希釈係数により構成された6つのスポットを平均し、CFU/mLの数値を得るために200を掛ける。
【0107】
TLCプロトコール
−TLCシリカゲルに5μlのサンプルを滴下する。
−ホットエアガンを用いて滴下したサンプルを乾燥する。
−ブタノール/アセトン/H2O=4/5/1である溶媒でTLCの移動を行う。
−移動の終了時に、ホットエアガンを用いてTLCを乾燥する。
−12gのモリブデン酸アンモニウム+0.5gの硝酸アンモニウムセリウムを含む80mLの10%H
2SO
4溶液を用いてTLCを検出する。
【0108】
酵素による加水分解及び培養
DG01において、酵素を、ポリマーを単糖に加水分解するために培養培地に加えた。ナタネわらは40%セルロースを含む。酵素の添加は、1gのセルロースに対して0.11gのセルラーゼ、1gのセルロースに対して0.05gのβ−グルコシダーゼを用いた。酵素溶液は、培養液に導入する前に0.22μmのフィルタで濾過した。前培養は、CMG1%で3日間行った。細胞ペレットを滅菌水で3度洗浄し、0.2のDOi、すなわち≒10
7CFU/mLで培養培地への播種に用いた。培養は9日間行い、DRH46では30℃で、DG01では45℃で行った。
【0109】
増殖は、以下のプロトコールに従った最近のカウントにより制御する。
【0110】
結果
DG01の増殖はカウントすることにより判定し(UFC/ml)(
図1)、糖の消費はTLC分析を用いて評価した(
図2)。9日後、全ての遊離グルコース及びキシロースは、野生型DG01により消費された。この消費が全糖において報告された、グルコース及びキシロースの大部分が消費されることが明らかとなった。これらの結果は、混合物が、低減されたキシロース量を含む部分的に消化されたバイオマスを含むことを示す。
【0111】
同様の結果は、DRH01、DRH02、DRH03又はDRH46等の表1に挙げられた他のデイノコッカス細菌において得られる。
【0112】
培養液は凍結乾燥され、アミノ酸成分、可溶性窒素及びNDF/ADF/ADL繊維の測定が乾燥質量で行われた。以下の表3では、ナタネわらのアミノ酸成分(g/kg乾燥質量)を、本発明の混合物のアミノ酸成分(g/kg乾燥質量)と比較する。その結果は、本発明の混合物が最初のナタネわらの少なくとも20倍の量のアミノ酸を含むことを示す。
【0113】
【表3】
【0114】
本発明の混合物は、良好でない生物物質を、飼料のための良好で消化可能な混合物に変換する。
【0115】
実施例3:コムギ−デイノコッカス細菌混合物の生成
デイノコッカス細菌とコムギバイオマスとの混合物を、全粒粉(1%でさらにTermamylを含む又は含まない、6%)、又はNH
4Cl20 mM及びK
2HPO
45.7 mMが添加された発酵残渣(1%又は6%)からなる培地にDG01デイノコッカス菌株を播種することにより調製した。飼料に利用できる混合物を生成するための混合物の能力は、コムギにおいて増殖して、コムギのグルテン含量を低減するデイノコッカス細菌の能力を検査することにより決定した。
【0116】
グルテン消費は、酵素免疫測定法を用いたグリアジン(グルテンの可溶性分画)/グルテンの定量分析により評価した。この試験は、ELISAの原理に基づく。
【0117】
プロトコール
タンパク質消費は、Libiosからの市販のキット(Ref GLI-E02)を用いて測定される。
【0118】
サンプル調製:100mgの細かく粉砕された凍結乾燥技術的基質(technicalsubstrate)を、1mlの40%EtOHに再懸濁し、5分間混合し、3800rpmで10分間遠心分離する。その上清をサンプル希釈バッファー1×で希釈する(1/500000)。
【0119】
ELISA試験
サンプル及び標準試薬をデュプリケートで試験する。
−100μlの標準試薬及びサンプルを抗グリアジン抗体でコーティングされた96ウェルマイクロプレートに加える。
−室温で20分間インキュベートする。
−ウェルを300μlの洗浄溶液1×で3度洗浄する。
−空のウェルに100μlの標識二次抗体(抗グリアジンペルオキシダーゼ)を加える。
−ウェルを300μlの洗浄溶液1×で3度洗浄する。
−100μlのTMB溶液(基質)を加える。
−暗所において室温で20分間インキュベートする。
−100μlの停止溶液を加える(色が青から黄色になる)。
−均質化し、分光光度計を用いてOD
450nmを測定する。
【0120】
結果
グリアジンの濃度は、試験サンプルの色彩強度に直接に比例する。コムギにおけるグリアジンとグルテンとが等量であるため、サンプルのグルテン濃度は係数2を掛けることにより算出される。
図3に示すように、デイノコッカス細菌は全粒粉又はその発酵残渣由来のグルテンを加水分解でき、45℃での2日間の増殖後にそれを消費できる。48時間後、植物性バイオマスに含まれる全てのタンパク質は、デイノコッカス菌株により消費される。
【0121】
同様の結果は、DRH01、DRH03又はDRH46等の表1に挙げられた他のデイノコッカス細菌を用いて得られる。
【0122】
これらの結果は、デイノコッカス菌株が飼料に用いるのに適するコムギからより多くの消化可能混合物を生じる強いタンパク質分解活性を示し得ることを明確に証明する。
【0123】
実施例4:デイノコッカスジオサーマリス(Deinococcus geothermalis)のアミノ酸成分の分析
デイノコッカスジオサーマリス(M36−7D_21菌株)のアミノ酸成分は、単一の炭素源としてペプトン及びグルコースを含む培地で細胞を増殖した後に測定した。その成分を、一般に穀類のアミノ酸及び/又はビタミンの不足を補うために魚の飼料で補助タンパク質源として、及び/又は動物飼料で栄養補助剤として用いられる酵母のアミノ酸成分と比較した。
【0124】
材料及び方法
・複合培地グルコース(CMG)1%の組成
ペプトン 2g/L
酵母エキス 5g/L
グルコース 55mM(10g/L)
酸性MOPS 40mM
NH
4Cl 20mM
NaOH 10mM
KOH 10mM
CaCl
2・2H
2O 0.5μM
Na
2SO
4・10H
2O 0.276mM
MgCl
2・6H
2O 0.528mM
(NH
4)
6(Mo
7)O
24・4H
2O 3nM
H3BO3 0.4μM
CoCl
2・6H
2O 30nM
CuSO
4・5H
2O 10nM
ZnSO
4・7H
2O 10nM
D−ビオチン 1μg/L
ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L
ピリドキシン(ピリドキサルHCl、ビタミンB6) 1μg/L
チアミンHCl(ビタミンB1)
FeCl
3 20μM
クエン酸ナトリウム・2H
2O 20μM
K
2HPO
4 5.7mM
MnCl
2の最終濃度は5.25μMである。
【0125】
細胞を、3.5Lの発酵装置内において45℃で400rpmの攪拌条件下で、6μg/mLのブレオマイシンを含むCMG1%培地で増殖した。約100〜200mlの培養培地を、対数期及び定常期において遠心分離(4000rpm、20分、4℃)により回収し、凍結乾燥前に洗浄した。培養液を凍結乾燥し、アミノ酸成分は乾燥質量で表した。
【0126】
アミノ酸の組成及び定量は、HPLCにより決定した。
【0127】
酵母エキスのアミノ酸成分の値は、S. Cortassa etal, 2002 (S. Cortassa et al, 2002, “An introduction to metabolic andcellular engineering” World scientific Publishing)に由来する。
【0128】
結果
下記表4は、デイノコッカスジオサーマリスのアミノ酸成分を酵母エキスのアミノ酸成分と比較する。量は、100gの乾物に対するgで示す。
【0129】
【表4】
【0130】
これらのデータは、デイノコッカス細胞の総アミノ酸含量が対数期及び定常期のそれぞれの増殖期において48%及び54%(100gの乾物におけるg)に達することを示す。これらの値は、どちらの増殖期においても酵母エキスで得られる値(34%)よりも高い。デイノコッカス細菌の総タンパク質含量は、酵母エキスにおける含量よりも高い。さらに、酵母エキスと比較して、デイノコッカス細菌では、魚における必須アミノ酸であるアルギニン(H. George Ketola1982, Comp biochem physiol 73B, N°1, p17-24)の顕著な量が得られる。デイノコッカスバイオマスでは、酵母エキスと比較してより多くのチロシン及びロイシンが得られ、ロイシンは単胃の哺乳動物及び魚の両方における必須アミノ酸である。
【0131】
従って、デイノコッカス細菌は、飼料に良好に利用できるタンパク質及びアミノ酸の原料として用いられ、飼料組成物における酵母エキスと交換できる。
【0132】
実施例5:特定の培養条件の分析
カロテノイド生成可能な培養条件
デイノコッカスジオサーマリス菌株MX6−1Eを、1Lの培養装置において45℃、0.35L/minの空気導入の条件下で、20g/Lペプトン及び10g/L酵母エキスを含む1Lの培地で培養した。DOを空気導入及び攪拌速度に基づくカスケード制御により20%に制御した。20時間後、培養培地は濃い赤色を示し、その培養培地中におけるカロテノイドの存在を示す。この試験は、デイノコッカス細菌が多量のカロテノイドを産生し得ることを確認する。さらに、デイノコッカス細菌は、それが対数期の増殖期にあるときに、酵母エキスよりも多くのメチオニンを生成し、メチオニンは、動物の必須アミノ酸であり、魚の成長にも必要である。
【0133】
実質的に拡大可能な培養条件
デイノコッカスジオサーマリス菌株MX6−1E−14を、1Lの培養装置において45℃で、20g/Lグルコースを含む(実施例4で示すような)1LのCMG10%培地で培養した。
【0134】
その培養条件において、600nmの吸光度(OD
600nm)は、細胞の強力な拡大を示す40時間で値が20に達する(具体的な増殖速度は0.5h
−1)。