特許第6511268号(P6511268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6511268-動物用飼料組成物の材料 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511268
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】動物用飼料組成物の材料
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/00 20160101AFI20190425BHJP
   A23K 10/26 20160101ALI20190425BHJP
   A23K 10/32 20160101ALI20190425BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20190425BHJP
【FI】
   A23K1/16 304B
   A23K1/16 304A
   A23K1/16 304C
   A23K1/10
   A23K1/12
   A23K1/14
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-546582(P2014-546582)
(86)(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公表番号】特表2015-500646(P2015-500646A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012076046
(87)【国際公開番号】WO2013092645
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月19日
【審判番号】不服2018-24(P2018-24/J1)
【審判請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】11306700.3
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/577,222
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513111145
【氏名又は名称】ディノベ
【氏名又は名称原語表記】DEINOVE
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】グーフル,ローレ
(72)【発明者】
【氏名】イーヴァン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】クァイル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レオネッティ,ジャン−ポール
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 前川 慎喜
【審判官】 井上 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−519927(JP,A)
【文献】 特開昭52−136775(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/94665(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00
C12N 1/20
C12P 7/00, 19/00, 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料へのタンパク質補給剤としての、バイオマスと、デイノコッカス細菌との混合物の使用であって、
前記バイオマスは、前記デイノコッカスにより少なくとも部分的に消化されており、
前記飼料には、前記バイオマスとデイノコッカス細菌との混合物が含まれている使用。
【請求項2】
前記バイオマスは、リグノセルロース系バイオマスを含む請求項に記載の使用。
【請求項3】
前記バイオマスは、タンパク質を含む請求項又はに記載の使用。
【請求項4】
バイオマスとデイノコッカス細菌との混合物を含む飼料組成物を調製する方法であって、
前記混合物を得るために、前記バイオマスを前記デイノコッカス細菌により少なくとも部分的に消化することと、
前記混合物を飼料の材料として調製することとを含む、飼料組成物を調製する方法。
【請求項5】
前記バイオマスは、コムギの実等の穀類の実、ナタネ及び大豆のキャトルケーキ等の植物性キャトルケーキ、サトウキビ及びその誘導体、トウモロコシ、テンサイ、ススキ、スイッチグラス、麻、ポプラ、ヤナギ、モロコシ、並びにユーカリからアブラヤシの範囲の樹木種を含む群から選択されるリグノセルロース系バイオマスを含む請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオマスは、タンパク質を含み、ビートパルプ、大豆、アルファルファ及び家禽の羽から選択される請求項に記載の方法。
【請求項7】
動物飼料の成分として動物飼料に含有させるためのデイノコッカス細菌の使用。
【請求項8】
動物飼料のためのアミノ酸源として動物飼料に含有させるためのデイノコッカス細菌の使用。
【請求項9】
動物飼料のためのデイノコッカス細菌とバイオマスとの混合物の使用であって、
前記動物飼料にはデイノコッカス細菌とバイオマスとの混合物が含まれている使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の成長及び/又は動物の健康を増強するための動物用飼料組成物の材料に関する。また、本発明は、そのような材料を生成するための方法及び飼料組成物に関する。さらに、本発明の方法は、飼料組成物の嗜好性及び/又は消化率を改善させる。具体的に、本発明は、飼料組成物への有機成分の補充としてデイノコッカス(Deinococcus)又はその関連細菌とバイオマスとの混合物を用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
愛玩動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、家禽、商業用及び観賞用を含む魚、エビ及び他の甲殻類等の家畜の飼料は、動物育種及び農業食品産業の分野における不変の問題である。限られた生産設備及び生産技術の改良不足のため、動物育種はコスト及び時間の両方がかかる。動物育種の生産及び利益を改善するための、最も一般的な解決策は、少なくとも動物の食餌を完全なものとする産業的飼料組成物を提供することである。
【0003】
飼料は一定組成でなく、いくつかの成分が栄養目標を満たすために必要である。実際に、飼料に対する生物反応は、該飼料からの有益な栄養を得るための動物の能力に依存するとしても、飼料供給に用いられる飼料は、一般に、消化可能なタンパク質、脂質、炭水化物及び繊維を含む。
【0004】
動物飼料組成物は、通常、低コスト形態で調合される。格別重要なことは、限られた消化可能エネルギーの提供及び関連するコストである。最もコストが大きい栄養素は、必須アミノ酸を含むタンパク質及びアミノ酸である。しかしながら、大きいタンパク質比率を含む動物の生産は、世界の人口の増加に比例して必要となるだろう。
【0005】
タンパク質原料としての魚粉又は肉及び骨粉の使用は、低コストであるため開発されてきた。実際に、肉及び骨粉は、約50%のタンパク質及び8〜12%の脂肪を含むレンダリング産業の製品である。それは、飼料のアミノ酸プロファイルを改善するために、動物飼料の調合に主に用いられる。しかしながら、タンパク質として骨粉をウシに与えることは、狂牛病を蔓延させる原因となると考えられている。従って、世界の大部分において、タンパク質の補充として骨粉を用いることは、反芻動物の飼料においてはもはや許されない。
【0006】
反芻動物の飼料組成物の調製に用いられる他の原料は、セルロース系材料であり、これは安価であり、直接的に価値ある材料ではない。しかしながら、反芻動物における酵素がセルロースの消化ができるとしても、反芻動物による更なる消化を助けるために、及びこの原料の消化率を増大するために、セルロース及びヘミセルロースを部分的に加水分解するようにいくつかの前処理が行われる。例えば、セルロース系材料を含む飼料にセルラーゼ及びヘミセルラーゼ等の種々の外因性酵素を追加することは、ポリマーの結晶化度を低減すること、及びポリマー骨格へのアクセスを増強することに有利である。同様に、セルロース系材料の熱化学的前処理は、ヘミセルロース及びセルロース部分の部分的な加水分解を可能とする。
【0007】
これらの処理は、炭水化物の消化率、及びより一般的にはセルロース系材料の栄養素の入手可能性を改善するが、それらは高価であり、経済的に止められ得る。さらに、前処理されたとしても、セルロース系材料は未だ不消化であり、ブタ及び家禽等の非反芻動物に栄養を提供することができない。さらに、これらの処理は、動物飼料組成物において最も高価な成分であるタンパク質を提供しない。
【0008】
従って、反芻及び非反芻動物、商業的魚類及びエビ養殖、並びに愛玩動物を含む商業的農場及びケージの動物のための、高価でなく、より安全でより栄養が多い飼料が必要である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、デイノコッカス又はその関連細菌と、動物性、植物性及び/又は藻類性バイオマス等のバイオマスとの混合物、並びに例えば動物飼料組成物の一部としての動物飼料におけるその混合物の使用に関する。また、本発明は、原料としてバイオマス及びデイノコッカス又はその関連細菌を用いて飼料を調製する方法に関する。また、本発明は、バイオマスの栄養価、嗜好性又は消化率を増大する方法に関する。本発明の組成物及び方法は、好ましくは家畜(反芻動物及び非反芻動物を含む)、飼育動物、鳥類、魚類又は伴侶動物を含む動物の栄養のために適する。
【0010】
本発明らは、使用に適していないリグノセルロース系バイオマス等の原料とデイノコッカス又はその関連細菌との組み合わせが、動物にとって安全且つ低コストの栄養として用いられ得ることを発見した。両方の材料が高価値の飼料を生成するのに協力する。バイオマス及びデイノコッカス細菌の両方は、本発明によって低栄養価製品から有益な飼料材料に変換される。本発明は、デイノコッカス細菌が安全で価値ある栄養因子を含む飼料に用いられ得ることを示す。また、本発明は、バイオマスがデイノコッカス細菌の増殖培地となり、これによりそれらが拡大及び強化され、一方、デイノコッカス細菌がバイオマスを消化でき、これによりバイオマスを良好な消化性を有する高栄養価製品に変換することを示す。本発明に係る飼料材料は、動物及び魚の正常の代謝に用いられ、十分な量が合成されない又は必須アミノ酸等の合成されない必須栄養素を提供する有機化合物(例えば、タンパク質、アミノ酸、糖)及び無機化合物(例えば、ミネラル)を含む。
【0011】
従って、本発明の対象は、バイオマスとデイノコッカス又はその関連細菌との混合物を含む飼料材料に関し、該バイオマスは該デイノコッカス細菌又はその関連細菌により少なくとも部分的に消化される。
【0012】
また、本発明は、飼料の調製のためのバイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌との混合物の使用に関する。
【0013】
また、本発明は、上記の材料を含む飼料組成物に関する。通常、飼料組成物は、少なくとも10重量%の前記材料を含む。その飼料組成物は、以下のものに限定されないが、アルファルファ、オオムギ、血粉/肉粉、脂肪が多い動物、家禽、ジャガイモ廃棄物又はトマト廃棄物等の追加の材料を含み得る。
【0014】
本発明の更なる対象は、バイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌とを含む組成物の動物飼料のための使用に関する。
【0015】
本発明の更なる対象は、バイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌との混合物の飼料材料としての使用に関し、該バイオマスは、該デイノコッカス細菌又はその関連細菌により少なくとも部分的に消化されている。
【0016】
本発明の更なる対象は、バイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌との混合物の飼料に供給されるタンパク質としての使用に関し、該バイオマスは、該デイノコッカス細菌又はその関連細菌により少なくとも部分的に消化されている。実施例でさらに説明するように、デイノコッカス細菌はそれ自体が高タンパク源であり、さらに、その細菌はバイオマスのタンパク質を加水分解してアミノ酸を生成する。
【0017】
また、本発明は、動物飼料におけるアミノ酸源としてのデイノコッカス細菌の使用に関する。
【0018】
本発明は、デイノコッカス細菌又はその関連細菌によりバイオマスを少なくとも部分的に消化することと、飼料材料として少なくとも部分的に消化されたバイオマスと細菌との混合物を調製することとを含む飼料を調製する方法に関する。
【0019】
特定の実施形態において、その方法は、一般に飼料のために用いられる他の材料をその混合物に加えるステップをさらに含む。
【0020】
代替的実施形態において、その方法は、
(a)混合物を得るためにバイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌を組み合わせることと、
(b)前記デイノコッカス細菌又はその関連細菌によってバイオマスが消化され得る条件下で混合物を保持することと、
(c)(a)又は(b)の混合物を回収することと、
(d)任意に(c)の混合物と1つ又は複数の更なる材料とを混合することとを含む。
【0021】
飼料は、適当な形態に梱包され得る、又は適当な容器に梱包され得る。
【0022】
本発明における使用のためのバイオマスは、植物性バイオマス、動物性バイオマス及び/又は藻類性バイオマスを含み得る。特定の実施形態において、バイオマスは、リグノセルロース系バイオマスである。他の実施形態において、バイオマスは、タンパク質含有バイオマスである。バイオマスの消化は、好気条件又は嫌気条件で、好ましくは反応パラメータ(例えば、反応時間、温度又は原料の量)を容易に管理するために反応器内で行われ得る。
【0023】
本発明は、バイオマスを少なくとも部分的に消化するためにデイノコッカス細菌又はその関連細菌により処理することを含むバイオマスの栄養価を改善する方法に関する。その方法は、少なくとも部分的に消化/加水分解されたバイオマスの栄養価を分析する又は制御するステップをさらに含み得る。
【0024】
本発明の更なる対象は、バイオマスの複合糖類を少なくとも部分的に分解するために、デイノコッカス細菌又はそれに関する細菌によりバイオマスを少なくとも部分的に消化するための処理をすることを含むバイオマスの嗜好性及び/又は消化率を向上するための方法に関する。この方法は、複合糖類の分解を制御するステップをさらに含み得る。
【0025】
本発明の組成物及び方法は、特に家畜(反芻動物及び非反芻動物を含む)、飼育動物、若しくは伴侶動物等の非ヒト動物、鳥類又は魚類等の動物のための栄養物又は栄養添加物として用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】セルラーゼ及びβ−グルコシダーゼを含む又は含まない1%の前処理されたナタネわらにおけるDG01(D.Geothermalis 01)菌株の増殖を示す図である。
図2】DG01が播種された1%の前処理されたナタネわらから除かれたキシロース及びグルコースの消費を示すTLC分析の図である。コントロールは、細菌がいない前処理されたナタネわらである。酵素は、培地にT0の時点で加えられる(1gのセルロースに対して0.11gのセルラーゼ、1gのセルロースに対して0.05gのβ−グルコシダーゼ)。全ての酵素加水分解は、1gのセルロースに対して1.1gのセルラーゼ、1gのセルロースに対して0.5gのβ−グルコシダーゼ及び1gのヘミセルロースに対して5.5gのキシラナーゼを用いて行われる。
図3】全粒粉(1%でありTermamyl(登録商標)を含む又は含まない、及び6%)、又は発酵残渣(6%)におけるDG01菌株の増殖で、培地に含まれるグルテンが消費(%)することを示す。DG01菌株は、全粒粉又は発酵残渣からのグルテンを加水分解できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概して、本発明は、バイオマスを含む動物飼料又は添加物を生成するためのデイノコッカス細菌又はその関連細菌の菌株の使用に関する。特に、本発明は、デイノコッカス細菌の増殖、及びバイオマスの分解/変換に基づいて、低コストで高レベルのタンパク質及びアミノ酸を供給させる。本発明に係るデイノコッカス細菌又はその関連細菌とバイオマスとの混合物は、低コスト及び/又は高レベルの有益な一価及び二価の酸、又はそれらの一価若しくは二価の酸由来の原料、バイオマスに含まれるキシラン又はヘミセルロースの加水分解産物等の糖類由来の代謝物の原料を動物に提供するために用いられ得る。本発明において、植物性、藻類性若しくは動物性バイオマス、又は加水分解された前処理済みバイオマス製品を本質的に含む二次バイオマスを含む生物由来の未処理材料は、滋養/栄養原料、動物飼料又は添加物としてデイノコッカス細菌と組み合わせて用いられ得る。
【0028】
従って、本発明の対象は、バイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌との混合物を含む飼料の材料を提供することであり、該バイオマスは、デイノコッカス細菌により少なくとも部分的に消化されている。
【0029】
本発明の更なる対象は、動物飼料のための、バイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌とを含む組成物の使用に関する。
【0030】
定義
本発明に係る「バイオマス」の用語は、通常、生物材料を意味する。特に、バイオマスの用語は、植物、藻類又は動物由来を含む生物由来の有機材料を含み、それらは未処理又は前処理され得る。バイオマスの例は、以下のものに限られないが、用材又は紙製品に適さない成木、パルプ、再生紙、有機廃棄物含む林産物、草、わら、作物及び動物糞尿等の農業製品、並びに藻類及び海藻等の水産製品を含む。バイオマスの例は、ススキ、麻、スイッチグラス、テンサイ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、米、大豆、ナタネ(カノーラを含む)、モロコシ、サトウキビ、ラッカセイ、綿、ハウチワマメ、並びにユーカリからアブラヤシ、ポプラ、ヤナギに至る種々の樹木種の多くのタイプの植物由来の木材又は植物性材料を含む。具体的なバイオマス原料は、以下のものに限られないが、植物残渣、広葉樹又は針葉樹の幹、穂軸、わら、草、葉、種、紙等を含む(例えば、Sun et al.,Bioresource Technology 83 (2002) 1-11を参照)。バイオマスの用語は、変換されたバイオマス又は二次バイオマスを含み、それらは本質的に加水分解された前処理済みバイオマス製品を含む。好ましい実施形態において、本発明に係るバイオマスは、例えばセルロース、ヘミセルロース及び/又はキシランといったリグノセルロース系材料を含む。
【0031】
本発明に係るバイオマスは、バイオマス原料及び/又は二次バイオマスを含み得る。「バイオマス原料」は、生物質由来の未処理材料である。その例は、以下のものに限られないが、用材又は紙製品に適さない成木等の林産物、草、作物及び動物糞尿等の農業製品、並びに藻類及び海藻等の水産製品を含む。「二次バイオマス」は、最初にバイオマス原料に由来する物質であり、それは有意な化学的及び物理的変更がなされている。その例は、以下のものに限られないが、紙、革、綿、麻、天然ゴム製品、食品加工の副産物、魚及び動物の粉、並びに使用済み料理油を含む。
【0032】
本発明に係る「リグノセルロース系バイオマス」の用語は、リグニン、セルロース、ヘミセルロース及び/又はキシランを含む有機生物物質を意味する。リグノセルロース系バイオマスは、通常、例えばバイオマス原料等の生物由来の未処理物質を意味する。リグノセルロース系バイオマスの例は、以下のものに限られないが、ススキ、ナタネ、スイッチグラス、麻、テンサイ、コムギ、コムギわら、トウモロコシ、ポプラ、ヤナギ、モロコシ、サトウキビ及びユーカリからアブラヤシの範囲の種々の樹木種を含む多くのタイプの植物由来の木材又は植物性材料を含む。
【0033】
本明細書で用いられるように、「バイオマス誘導体」の用語は、上記のバイオマス原料及び/又は二次バイオマス由来の全ての分子を意味する。
【0034】
本願において、「デイノコッカス細菌」の用語は、デイノコッカスの野生型又は自然変異菌株を含み、例えば、DNAシャッフリング技術による促進的進化を介して得られた菌株、又は真核生物、原核生物及び/又は合成の核酸の挿入により得られた組換え菌株を含む。
【0035】
デイノコッカスの「関連」細菌とは、(i)GTTACCCGGAATCACTGGGCGTA(SEQ ID NO :1)プライマー及びGGTATCTACGCATTCCACCGCTA (SEQ ID NO :2)プライマーを用いた増幅で、約158塩基対の断片を生じる16SrDNAを含み、(ii)4mJ/cmのUV処理に耐性を有する細菌を意味する。特定の実施形態において、デイノコッカス関連細菌は、デイノコッカスの16SrDNA配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%の同一性を有する16S rDNAを有する細菌である。
【0036】
本発明において、「タンパク質」は、互いに結合されるアミノ酸残基の1つ又はそれ以上のポリマー鎖を含む全ての生化学化合物を意味する。本発明のタンパク質の供給は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸及びそれらに関連する誘導体を含む。
【0037】
本発明において、「外来性タンパク質」等の「外来性成分」はバイオマス又は培養培地に由来する成分を意味し、反対に、「内在性成分」は細菌に由来する成分を意味する。
【0038】
本発明において、「デンプン」は、1−4及び1−6グリコシド結合により互いに結合された多くのグルコースユニットからなる炭水化物を意味する。デンプンは、多くの植物及び細菌により蓄積されたエネルギー保存分子であり、デンプン分子は、半結晶性細粒状で植物内に存在する。
【0039】
高価値の飼料を生成するための細菌によるバイオマスの消化
本発明は、特に、飼料に適する高栄養価で高消化率製品を生成するために協力するバイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌との組み合わせに基づく。本発明は、バイオマスが細菌の増殖及び拡大、混合物の栄養価の増大を支持する一方で、細菌がバイオマスを消化でき、混合物の栄養価、消化率及び嗜好性をさらに増大することを示す。
【0040】
本発明において、バイオマスは、デイノコッカス細菌及び/又はその関連細菌により少なくとも部分的に消化され得る。
【0041】
消化された又は消化の用語は、原料、細胞壁、ポリマー(例えば糖類、タンパク質)等のバイオマスの成分の分解又は加水分解等といったバイオマスの全ての生物学的変異又は変換を含む。消化は、バイオマスの成分の一部のみが概して5%、10%又はそれ以上分解されることを部分的に意味し得る。部分的消化は、バイオマスの少なくとも一部が変異又は変換されることを意味し、それは、通常、栄養価、消化率又は嗜好性を増大させる。
【0042】
デイノコッカス細菌又はその関連細菌は、デンプン、キシラン又はセルロース等の糖類ポリマー等のバイオマスの種々の成分を重合度がより小さいオリゴ糖類及び単糖類に分解することを有利に触媒し得る(又はその触媒作用に寄与し得る)。実際に、特定の酵素を発現する、及び/又はバイオマス原料を変換する能力を有するデイノコッカス細菌は、本技術分野において本出願人により開示されている。これに関して、本発明に用いるのに好ましいデイノコッカス細菌は、キシラナーゼ、セルラーゼ及び/又はアミラーゼを合成する。キシラナーゼは、広葉樹及び針葉樹のヘミセルロースの主要成分であるキシランの加水分解を触媒する酵素である。アミラーゼは、デンプンポリマーの加水分解に関わる。セルラーゼは、セルロース、又は広葉樹及び針葉樹の主要成分であるヘミセルロースの加水分解を触媒する酵素である。
【0043】
特定の実施形態において、バイオマスの消化は、バイオマスのセルロース又はヘミセルロースのレベルの低減、好ましくは少なくとも5%低減することを意味する。そのような低減は、非反芻動物を含む全ての種の動物によるバイオマスの消化を容易にする。
【0044】
好ましい実施形態において、バイオマスの消化は、バイオマス由来のヘミセルロースをオリゴ糖類、及び/又はキシロース、マンノース、アラビノース若しくはガラクトースに変換すること、並びに/又はバイオマス由来のセルロース及び/又はデンプンをグルコースに変換することを意味する。好ましくは、その消化は、バイオマス由来のヘミセルロース、セルロース又はデンプンの少なくとも5%を変換することを含む。
【0045】
基質として望まれないキシロース等のC5糖類はデイノコッカスにより消化されるため(Br J nutr.2010 May; 103(10):1507-13)、そのような糖類の少なくとも部分的な消化は、バイオマスの消化率及び/又は嗜好性を改善する。
【0046】
他の実施形態において、例えばモノマーとしてのキシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース又はフコース残基から選択されるトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース及びヘプトース等のDP3−DP7糖類(DP:重合度)を特に含む細胞の糖の酸化を含む。
【0047】
バイオマスの分解/消化と同時に、細菌の増殖が促進する。結果として、混合物内で細菌レベルが増大するため、タンパク質及び脂質のレベルも増大する。本発明において、デイノコッカス細菌又はその関連細菌によるバイオマスの消化は、コムギの実又はカノーラの種のキャトルケーキ等の消化しにくいバイオマスであっても、動物のための直接的滋養成分を高いレベルで提供する。本発明は、消化しにくい及び/又は栄養価が低いため動物飼料に用いられない植物性バイオマスの多くに適用できる。例えば、大豆キャトルケーキと比較してタンパク質含量が低いナタネのキャトルケーキにも適用できる。そのようなバイオマスは、1〜6g/Lの植物性タンパク質、及び微量の脂質を含む。本発明に係るデイノコッカス細菌又はその関連細菌によるそのバイオマスの部分的消化の後、約12〜25g/Lのタンパク質及び約1〜2.5g/Lの脂質を含むことが期待できる。同様に、家禽の羽等の産業的に関心がもたれないいくつかの動物性バイオマスは、動物飼料の材料を得るためにデイノコッカス細菌と混合されるバイオマスとして有利に用いられ得る。
【0048】
さらに、デイノコッカスの一種が自然にカロテノイドを生成するため、本発明のバイオマス/デイノコッカス細菌の混合物は、視覚及び味覚の質の両方において、また、その混合物が与えられた動物の健康において、よい影響を与えるカロテノイドを含み得る。例えば、カロテノイドを含まない植物性バイオマスを用いて、その植物性バイオマスの部分的な消化及び細菌の増殖を行った後では、混合物中のカロテノイドの含量は約15mg/kg程度期待できる。
【0049】
デイノコッカス細菌により生成又は合成され、混合物において回収されるタンパク質、アミノ酸、脂質、ビタミン、カロテノイド等の最終量は、反応の性質及び条件、反応時間、細菌の最初の量並びに用いるバイオマスの種類等のいくつかの産業的パラメータに依存するであろう。種々の適応は、本発明の方法を要求に適合させ得ることは当業者には明らかであろう。
【0050】
例えば、バイオマスの消化レベルは、産業的/経済的、及び/又は栄養に関する要求に依存し得る。高レベルの栄養成分が低コストの生成よりも好ましい場合、反応時間はバイオマスを完全に消化させるために増大できる。最終混合物において、ほぼ全体的に消化されたバイオマスを有する細菌であり、植物性分画がないことが期待できる。反対に、最小限のタンパク質を含む低コスト材料が要求されることも可能である。反応時間と栄養成分のレベルとのバランスは、容易に適合され得る。
【0051】
本発明の混合物又は最終混合物は、残存バイオマス(細菌により加水分解/消化されていないバイオマスの一部)と、数が増加されたデイノコッカス細菌又はその関連細菌とを含む。
【0052】
本発明の一実施形態において、用いられるデイノコッカス細菌又はその関連細菌は、バイオマスに含まれるタンパク質を少なくとも部分的に加水分解するのに特に有益なタンパク質分解活性を有する。
【0053】
プロテイナーゼ又はタンパク質分解酵素としても知られているプロテアーゼは、ポリペプチド鎖におけるアミノ酸を互いに結ぶペプチド結合の加水分解によりタンパク質の異化を開始する酵素である。
【0054】
本発明者らは、デイノコッカス細菌又はその関連細菌が高いタンパク質分解活性を有し得ることを発見した。本発明において、タンパク質分解活性を有するデイノコッカス細菌又はその関連細菌は、容易に消化可能なアミノ酸を得るためのタンパク質を含むいくつかの植物性、藻類性又は動物性バイオマスと組み合わせて有利に用いられ得る。その細菌は、タンパク質を加水分解し、動物により容易に吸収されるアミノ酸及びペプチドを生成する。得られた混合物は、外来性アミノ酸(及び/又はペプチド)とタンパク質及びアミノ酸を含む内在性栄養物(細菌自体由来)との両方を提供する飼料組成物の材料として用いられ得る。
【0055】
例えば、デイノコッカス細菌は、その得られた混合物が有益なアミノ酸を含む飼料の材料として魚粉の代わりに用いられ得るように、ミクラクチニウムプシルム(Micratiniumpusilum)及び/又はクロレラの一種(Chlorella sp)等の藻類に接触され得る。
【0056】
タンパク質を含むバイオマスの他の例は、ビートパルプ、大豆、アルファルファ及び家禽の羽を含む。
【0057】
デイノコッカス細菌又はその関連細菌の使用は、バイオマス(植物性、動物性又は藻類性)の粘性を低減することができ、それは更なる利点を示す。実際に、デイノコッカス細菌又はその関連細菌のタンパク質分解活性は、ゼラチン含有バイオマスの粘性を低減する。また、デイノコッカス細菌又はその関連細菌のタンパク質分解活性は、ペクチン含有バイオマスの粘性を低減する。
【0058】
本発明者らは、デイノコッカス細菌又はその関連細菌が高いタンパク質分解活性を有し得る。本発明において、ペクチナーゼを合成するデイノコッカス細菌又はその関連細菌は、バイオマスの粘性を低減し、その嗜好性を向上するために、ペクチンを含むバイオマスと組み合わせて有利に用いられ得る。その細菌は、ペクチンを加水分解し、バイオマスの粘性を除去する。そのような粘性を有するバイオマスは、デイノコッカス細菌又はその関連細菌のための増殖培地として用いられることができ、得られた混合物は、飼料の材料として用いられ得る。
【0059】
本発明の特定の実施形態において、飼料のための混合物に用いられるデイノコッカス細菌又はその関連細菌は、ペクチン分解活性を有し、特に、粘性を有するバイオマスに含まれるペクチンを少なくとも部分的に加水分解するのに有益である。
【0060】
それは、例えば、高レベルのペクチン(15〜20重量%)を含むビートパルプの場合である。ビートパルプは、このバイオマスの粘性を生むペクチンのため、容易に利用できない原料である。そのような粘性を有するバイオマスを直接に動物に与えることはできず、好ましい飼料にするには、コストがかかる処理を必要とする。
【0061】
一実施形態において、粘性を有するバイオマスは、混合物のバイオマスの一部のみである。例えば、用いられるバイオマスは、カノーラの種のキャトルケーキ等のリグノセルロース系バイオマスを60%含み、ビートパルプ等の粘性を有するバイオマスを40%含む。
【0062】
混合物の調製プロセス
デイノコッカス細菌又はその関連細菌によるバイオマスの消化は、容易に反応パラメータを管理するために、反応器内で有利に行われ得る。反応は用いられる細菌の菌株及び/又はバイオマスに依存し、反応は好気性又は嫌気性反応器内で行われ得る。
【0063】
一実施形態において、バイオマスは、細菌と共に一度に導入される。他の実施形態において、反応器には、プロセスの際にバイオマス又はバクテリアを再導入され得る。そのような場合において、バイオマスの性質及び量は、最終混合物における栄養物の最終含量を改善するように変更してもよい。最終混合物は、未だ加水分解/消化されていない残存したバイオマス、消化/加水分解により得られた産物(細菌により消費されたものを除く)、及び増殖された細菌を含んでもよい。
【0064】
反応器内に加えられる液体の量は、最終組成物の形態、すなわち液体又は固体形態に依存し、バイオマスの水分含量に依存し得る。
【0065】
他の実施形態において、本発明の混合物の調製は、広い土地で行われる。例えば、バイオマス、及びデイノコッカス細菌又はその関連細菌は、土壌に播かれる前にまず互いに混合される。この最初の混合物は、キャンバス地のシートで覆われ得る、又はその混合物は新鮮な空気に曝されてもよい。
【0066】
本発明において、その混合物は、動物の飼料組成物の一部として直接に用いられ得る。他に、混合物は用いられる前に処理され得る(例えば、脱水、濾過、乾燥、粉砕等)。他の実施形態において、混合物は、細菌を殺す若しくは不活性化するように、又は残存するバイオマス原料を除去するように処理され得る。得られた産物は、細菌及び消化されたバイオマス成分を本質的に含み、直鎖状タンパク質及び脂質原料として用いられ得る。
【0067】
本発明に係るバイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌との混合物は、動物飼料の組成物の材料として用いられ得る。その中で用いられる動物飼料組成物は、固体又は液体形態の動物の栄養のための組成物である。飼料は、動物において成長する及び適切な体調を維持するのに十分な栄養価を有する物質として定義され得る。例えば、動物の飼料組成物は、ペレット、粉体、粒体、押出成形又は膨張された粒体、タブレットパウダー、ボーラス形態又はそれらの混合体の形態であってもよい。
【0068】
好ましくは、本発明の動物の飼料組成物は、細菌とバイオマスとの混合物は、国家食品管理局(例えばフランスのAFSSA、カナダのACIA又は米国のFAD)等の政府機関により承認される形態及び/又は組成物である。
【0069】
好ましい実施形態において、本発明の動物の飼料組成物は、デイノコッカス細菌又はその関連細菌と少なくとも部分的に消化/加水分解されたバイオマスとの混合物を少なくとも10重量%含む。動物の飼料組成物を形成するのに用いられる他の材料、及び(ペレット等の形状に)形態化後の飼料の物理的品質と要求される栄養的品質との両方における影響に依存して、本発明の混合物のレベルは、増大又は低減し得る。例えば、硬度及び耐久性に関して良好な品質基準を有するペレットを得るために、約40%の予めゼラチン化されたデンプンが加えられ得る。自然なデンプンが用いられる場合、必要とされる量は高くなり得る。同様に、分散性タンパク質の量は、ペレット化飼料の硬度及び耐久性において良好に影響し得る。
【0070】
これに関して、本発明は、バイオマスをデイノコッカス細菌又はその関連細菌により少なくとも部分的に消化させることと、飼料の材料として少なくとも部分的に消化されたバイオマスと細菌との混合物を調製することとを含む飼料を調製する方法に関する。
【0071】
特定の実施形態において、その方法は、飼料に一般に用いられる他の材料を混合物に加えるステップをさらに含む。
【0072】
代替的実施形態において、その方法は、
(a)混合物を得るためにバイオマスとデイノコッカス細菌又はその関連細菌を組み合わせることと、
(b)前記デイノコッカス細菌又はその関連細菌によってバイオマスが消化され得る条件下で混合物を保持することと、
(c)(a)又は(b)の混合物を回収することと、
(d)任意に(c)の混合物と1つ又は複数の更なる材料とを混合することとを含む。
【0073】
飼料は、適当な形態に梱包され得る、又は適当な容器に梱包され得る。
【0074】
混合物において、デイノコッカス細菌又はその関連細菌の一種又は株を用いること、又は種々の菌株、若しくはデイノコッカス細菌の同種若しくは異種を組み合わせることが可能である。また、デイノコッカス細菌又はその関連細菌に加えて、混合物又は飼料製品は、適切であれば更なる細菌又は酵母細胞を含み得る。さらに、酵素等の追加の因子がバイオマスに加えられ得る。
【0075】
上記のように、本発明は、非ヒト動物に用いるのに適する飼料又は飼料添加物を生成するのに用いられ得る。それは、家畜(反芻動物及び非反芻動物を含む)、飼育動物、鳥類、魚又は伴侶動物に特に適する。具体的例としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、家禽、魚、エビ及び甲殻類を含む。
【0076】
本発明の更なる態様及び利点は、以下の実施例の項に開示され、それは本発明の例としてみなされるべきである。
【実施例】
【0077】
実施例1:バイオマス分解活性を有する中温性及び好熱性デイノコッカス菌株の同定
本実施例は、属、種及び/又は細菌株が本発明に係る飼料の調製方法において機能できるか否かを決定するのに適する試験を開示する。特定の酵素活性を示す細菌を同定するために行われ得る試験の非限定的な例は、以下に示される。
【0078】
材料及び方法
複合培地グルコース(CMG)1%の組成
ペプトン:2g/L
酵母エキス:5g/L
121℃で15分のオートクレーブ
グルコース:10g/L−濾過滅菌(0.22μm)
さらに、MOPS、微量栄養素、ビタミン、FeCl3、K2HPO4を加える(以下を参照)。
【0079】
培地(MM)の組成
14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl3 100×、8 mlのK2HPO4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。
【0080】
セルロース分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(5%AZO−セルロース)
14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl3 100×、8 mlのK2HPO4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。さらに、含量が5%となるようにAZO−セルロース溶液を加える。
【0081】
タンパク質分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(1%ミルク)
10g/Lのミルクパウダー及び14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl3 100×、8 mlのK2HPO4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。
【0082】
アミロース分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(0.5%デンプン)
5g/Lのデンプン及び14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl3 100×、8 mlのK2HPO4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000×を加える。
【0083】
キシラン分解活性の固相スクリーニングのための培地の組成(5%AZO−キシラン)
14g/Lのアガーに704mlの超純水を加える。それをオートクレーブにかける。その後、培地を冷却し、80 mlのMOPS 10×、 8 mlのFeCl3 100×、8 mlのK2HPO4100×、80μL の微量栄養素10000×及び80μLのビタミン 10000Xを加える。さらに、含量が5%となるようにAZO−キシラン溶液を加える。
【0084】
・MOPSバッファー混合液10×、pH7.0
酸性MOPS 400mM
NHCl 200mM
NaOH 100mM
KOH 100mM
CaCl 5μM
NaSO 2.76mM
MgCl 5.28mM
濾過滅菌(0.22μm)。
【0085】
・微量栄養素10000×
(NH(Mo)O24 30μM
BO 4mM
CoCl 300μM
CuSO 100μM
MnCl 2.5mM
ZnSO 100μM
HClによりpHを5に調整
濾過滅菌(0.22μm)。
【0086】
・ビタミン10000×
D−ビオチン、ナイアシン(ニコチン酸)、ピリドキシン(ピリドキサル塩酸塩)B6,チアミン(ビタミンB1塩酸塩)をそれぞれ10mg/L−pH4で保管−濾過滅菌(0.22μm)。
【0087】
・FeCl100×
2mMクエン酸ナトリウムに含有された2mM FeCl、濾過滅菌(0.22μm)。
【0088】
・K2HPO100×
100g/Lであり、オートクレーブされる。
【0089】
酵素活性の検出
セルロース分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び5%AZO−セルロースを含むアガープレート上に滴下した。セルロース分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0090】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+1%のCMC又は1%のCMC4M又は1%のセロビオースを含むマイクロプレートに加えた。セルロース分解酵素活性を、OD600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0091】
タンパク質分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び1%ミルクを含むアガープレート上に滴下した。タンパク質分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0092】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+1%のペプトン又は1%のカゼインを含むマイクロプレートに加えた。タンパク質分解酵素活性を、OD600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0093】
アミロース分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び0.5%デンプンを含むアガープレート上に滴下した。アミロース分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。デンプン含有アガープレート上で、加水分解ハローの顕色をグラムヨウ素試薬により行った(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0094】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+0.5%のデンプンを含むマイクロプレートに加えた。アミロース分解酵素活性を、OD600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0095】
キシラン分解活性の検出
固相スクリーニング(アガープレートによる試験)
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液をMM及び5%AZO−キシランを含むアガープレート上に滴下した。キシラン分解活性は、1日後、2日後及び5日後に加水分解ハローの径を測定することで判定した(1日毎に1つのプレートを用いた)。
【0096】
液相スクリーニング
単離されたクローンを、CMG1%培地を含むマイクロプレート内で前培養した(200μLのCMG1%培地に5つのコロニー)。定常期から、5μLの前培養液を、200μlのMM+0.5%のキシランを含むマイクロプレートに加えた。キシラン分解酵素活性を、OD600nmでの増殖の判定により評価した(1日に2回の測定を5日間行った)。
【0097】
結果
下記表1は、固相スクリーニング試験で同定され、飼料の製造に用いるためのバイオマス消化活性を有する細菌の例を示す。加水分解ハローの径は、タンパク質分解活性及びアミロース分解活性については2日後、また、キシラン分解活性及びセルロース分解活性については5日後に測定されたもので評価した。より正確には、タンパク質分解活性について、加水分解ハローの径が2.4cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が2cm〜2.35cmのものを中活性、加水分解ハローの径が1.95cm未満のものを低活性とした。アミロース分解活性について、加水分解ハローの径が2.4cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が2.1cm〜2.35cmのものを中活性、加水分解ハローの径が1.9cm未満のものを低活性とした。キシラン分解活性について、加水分解ハローの径が2.8cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が2.1cm〜2.7cmのものを中活性、加水分解ハローの径が2.05cm未満のものを低活性とした。セルロース分解活性について、加水分解ハローの径が1.6cmを超えるものを高活性、加水分解ハローの径が1.1cm〜1.35cmのものを中活性、加水分解ハローの径が0.9cm未満のものを低活性とした。
【0098】
【表1】
【0099】
下記表2は、液相スクリーニング試験で同定され、飼料の製造に用いるための種々の酵素活性を有する細菌の例を示す。細菌の増殖は600nmでのODの測定により判定する。
【0100】
【表2】
【0101】
本実施例は、適切な生物活性を有するデイノコッカス細菌が公的寄託機関から選択され、飼料の製造のために本発明で用いられ得る。
【0102】
実施例2:ナタネわら−デイノコッカス細菌の混合物の生成
ナタネわらとデイノコッカス細菌との混合物を調製した。特に、1%の前処理ナタネわらをデイノコッカス細菌(例えばDG01菌株)に接触させた。飼料に利用できる混合物を生成するための混合物の能力は、増殖して、単独で又は後の酵素添加でナタネわらを消化し、多量の栄養物を生成するデイノコッカス細菌の能力を検査することにより決定した。
【0103】
材料及び方法
ナタネわら
ナタネわらはSofiproteolから得て、それをブレンダーで挽いて、その後、1mm未満の長さの微細な断片を得るためにふるいに通した。
【0104】
セルラーゼ及びβ−グルコシダーゼ
用いた市販の酵素は、トリコデルマリーゼイ(Trichodermareesei)からのセルラーゼ(SIGMA ref.C8546-5KU)、及びアーモンドからのβ−グルコシダーゼ(SIGMAref.49290-1G)である。
【0105】
SO水熱前処理
前処理を、20%w/vのナタネわら及び0.5%w/wのHSOを含む水道水を用いてエルレンフラスコ内で行った。この混合液に対して120℃で10分間のオートクレーブ(サイクル時間:1.5時間)をし、最終ナタネわら濃縮物を得るために滅菌水道水で希釈した。20MNaOH溶液を用いてpHを7に調整した(pH試験紙を用いて確認した)。播種前に、20mM NH4Cl及び5.7mMK2HPO4のミネラル溶液を加えた。
【0106】
カウントのプロトコール
−2mlエッペンドルフチューブに1mLの均質な培養液(CMG、技術的基質(technicalsubstrate))をとる。
−10秒間のボルテックスの後、超音波処理器で10分間の超音波処理をし、再度10秒間のボルテックスを行う。
−96ウェルマイクロプレートにおいて、180μLのミリQ水をトリプリケートで9ウェルに分注する。
−トリプリケートで、ウェルNo.1(純粋なサンプル)からウェルNo.10(10−9希釈)まで1/10段階希釈を行う。それは、20μLをとり、180μLの滅菌ミリQ水が入った次のウェルに入れ、混合し、3度ピペッティングを行う。各ウェルの間でチップを変える。
−マルチチャンネルピペットを用いて、5μLの各希釈液をデュプリケートでPGY−アガープレートに滴下する。
−45℃で2日間インキュベートする(好熱性デイノコッカスの場合)。
−カウントできる最初の希釈液においてコロニーの数をカウントする。希釈係数により構成された6つのスポットを平均し、CFU/mLの数値を得るために200を掛ける。
【0107】
TLCプロトコール
−TLCシリカゲルに5μlのサンプルを滴下する。
−ホットエアガンを用いて滴下したサンプルを乾燥する。
−ブタノール/アセトン/H2O=4/5/1である溶媒でTLCの移動を行う。
−移動の終了時に、ホットエアガンを用いてTLCを乾燥する。
−12gのモリブデン酸アンモニウム+0.5gの硝酸アンモニウムセリウムを含む80mLの10%HSO溶液を用いてTLCを検出する。
【0108】
酵素による加水分解及び培養
DG01において、酵素を、ポリマーを単糖に加水分解するために培養培地に加えた。ナタネわらは40%セルロースを含む。酵素の添加は、1gのセルロースに対して0.11gのセルラーゼ、1gのセルロースに対して0.05gのβ−グルコシダーゼを用いた。酵素溶液は、培養液に導入する前に0.22μmのフィルタで濾過した。前培養は、CMG1%で3日間行った。細胞ペレットを滅菌水で3度洗浄し、0.2のDOi、すなわち≒10CFU/mLで培養培地への播種に用いた。培養は9日間行い、DRH46では30℃で、DG01では45℃で行った。
【0109】
増殖は、以下のプロトコールに従った最近のカウントにより制御する。
【0110】
結果
DG01の増殖はカウントすることにより判定し(UFC/ml)(図1)、糖の消費はTLC分析を用いて評価した(図2)。9日後、全ての遊離グルコース及びキシロースは、野生型DG01により消費された。この消費が全糖において報告された、グルコース及びキシロースの大部分が消費されることが明らかとなった。これらの結果は、混合物が、低減されたキシロース量を含む部分的に消化されたバイオマスを含むことを示す。
【0111】
同様の結果は、DRH01、DRH02、DRH03又はDRH46等の表1に挙げられた他のデイノコッカス細菌において得られる。
【0112】
培養液は凍結乾燥され、アミノ酸成分、可溶性窒素及びNDF/ADF/ADL繊維の測定が乾燥質量で行われた。以下の表3では、ナタネわらのアミノ酸成分(g/kg乾燥質量)を、本発明の混合物のアミノ酸成分(g/kg乾燥質量)と比較する。その結果は、本発明の混合物が最初のナタネわらの少なくとも20倍の量のアミノ酸を含むことを示す。
【0113】
【表3】
【0114】
本発明の混合物は、良好でない生物物質を、飼料のための良好で消化可能な混合物に変換する。
【0115】
実施例3:コムギ−デイノコッカス細菌混合物の生成
デイノコッカス細菌とコムギバイオマスとの混合物を、全粒粉(1%でさらにTermamylを含む又は含まない、6%)、又はNH4Cl20 mM及びK2HPO45.7 mMが添加された発酵残渣(1%又は6%)からなる培地にDG01デイノコッカス菌株を播種することにより調製した。飼料に利用できる混合物を生成するための混合物の能力は、コムギにおいて増殖して、コムギのグルテン含量を低減するデイノコッカス細菌の能力を検査することにより決定した。
【0116】
グルテン消費は、酵素免疫測定法を用いたグリアジン(グルテンの可溶性分画)/グルテンの定量分析により評価した。この試験は、ELISAの原理に基づく。
【0117】
プロトコール
タンパク質消費は、Libiosからの市販のキット(Ref GLI-E02)を用いて測定される。
【0118】
サンプル調製:100mgの細かく粉砕された凍結乾燥技術的基質(technicalsubstrate)を、1mlの40%EtOHに再懸濁し、5分間混合し、3800rpmで10分間遠心分離する。その上清をサンプル希釈バッファー1×で希釈する(1/500000)。
【0119】
ELISA試験
サンプル及び標準試薬をデュプリケートで試験する。
−100μlの標準試薬及びサンプルを抗グリアジン抗体でコーティングされた96ウェルマイクロプレートに加える。
−室温で20分間インキュベートする。
−ウェルを300μlの洗浄溶液1×で3度洗浄する。
−空のウェルに100μlの標識二次抗体(抗グリアジンペルオキシダーゼ)を加える。
−ウェルを300μlの洗浄溶液1×で3度洗浄する。
−100μlのTMB溶液(基質)を加える。
−暗所において室温で20分間インキュベートする。
−100μlの停止溶液を加える(色が青から黄色になる)。
−均質化し、分光光度計を用いてOD450nmを測定する。
【0120】
結果
グリアジンの濃度は、試験サンプルの色彩強度に直接に比例する。コムギにおけるグリアジンとグルテンとが等量であるため、サンプルのグルテン濃度は係数2を掛けることにより算出される。図3に示すように、デイノコッカス細菌は全粒粉又はその発酵残渣由来のグルテンを加水分解でき、45℃での2日間の増殖後にそれを消費できる。48時間後、植物性バイオマスに含まれる全てのタンパク質は、デイノコッカス菌株により消費される。
【0121】
同様の結果は、DRH01、DRH03又はDRH46等の表1に挙げられた他のデイノコッカス細菌を用いて得られる。
【0122】
これらの結果は、デイノコッカス菌株が飼料に用いるのに適するコムギからより多くの消化可能混合物を生じる強いタンパク質分解活性を示し得ることを明確に証明する。
【0123】
実施例4:デイノコッカスジオサーマリス(Deinococcus geothermalis)のアミノ酸成分の分析
デイノコッカスジオサーマリス(M36−7D_21菌株)のアミノ酸成分は、単一の炭素源としてペプトン及びグルコースを含む培地で細胞を増殖した後に測定した。その成分を、一般に穀類のアミノ酸及び/又はビタミンの不足を補うために魚の飼料で補助タンパク質源として、及び/又は動物飼料で栄養補助剤として用いられる酵母のアミノ酸成分と比較した。
【0124】
材料及び方法
・複合培地グルコース(CMG)1%の組成
ペプトン 2g/L
酵母エキス 5g/L
グルコース 55mM(10g/L)
酸性MOPS 40mM
NHCl 20mM
NaOH 10mM
KOH 10mM
CaCl・2HO 0.5μM
NaSO・10HO 0.276mM
MgCl・6HO 0.528mM
(NH)(Mo)O24・4HO 3nM
H3BO3 0.4μM
CoCl・6HO 30nM
CuSO・5HO 10nM
ZnSO・7HO 10nM
D−ビオチン 1μg/L
ナイアシン(ニコチン酸) 1μg/L
ピリドキシン(ピリドキサルHCl、ビタミンB6) 1μg/L
チアミンHCl(ビタミンB1)
FeCl 20μM
クエン酸ナトリウム・2HO 20μM
HPO 5.7mM
MnClの最終濃度は5.25μMである。
【0125】
細胞を、3.5Lの発酵装置内において45℃で400rpmの攪拌条件下で、6μg/mLのブレオマイシンを含むCMG1%培地で増殖した。約100〜200mlの培養培地を、対数期及び定常期において遠心分離(4000rpm、20分、4℃)により回収し、凍結乾燥前に洗浄した。培養液を凍結乾燥し、アミノ酸成分は乾燥質量で表した。
【0126】
アミノ酸の組成及び定量は、HPLCにより決定した。
【0127】
酵母エキスのアミノ酸成分の値は、S. Cortassa etal, 2002 (S. Cortassa et al, 2002, “An introduction to metabolic andcellular engineering” World scientific Publishing)に由来する。
【0128】
結果
下記表4は、デイノコッカスジオサーマリスのアミノ酸成分を酵母エキスのアミノ酸成分と比較する。量は、100gの乾物に対するgで示す。
【0129】
【表4】
【0130】
これらのデータは、デイノコッカス細胞の総アミノ酸含量が対数期及び定常期のそれぞれの増殖期において48%及び54%(100gの乾物におけるg)に達することを示す。これらの値は、どちらの増殖期においても酵母エキスで得られる値(34%)よりも高い。デイノコッカス細菌の総タンパク質含量は、酵母エキスにおける含量よりも高い。さらに、酵母エキスと比較して、デイノコッカス細菌では、魚における必須アミノ酸であるアルギニン(H. George Ketola1982, Comp biochem physiol 73B, N°1, p17-24)の顕著な量が得られる。デイノコッカスバイオマスでは、酵母エキスと比較してより多くのチロシン及びロイシンが得られ、ロイシンは単胃の哺乳動物及び魚の両方における必須アミノ酸である。
【0131】
従って、デイノコッカス細菌は、飼料に良好に利用できるタンパク質及びアミノ酸の原料として用いられ、飼料組成物における酵母エキスと交換できる。
【0132】
実施例5:特定の培養条件の分析
カロテノイド生成可能な培養条件
デイノコッカスジオサーマリス菌株MX6−1Eを、1Lの培養装置において45℃、0.35L/minの空気導入の条件下で、20g/Lペプトン及び10g/L酵母エキスを含む1Lの培地で培養した。DOを空気導入及び攪拌速度に基づくカスケード制御により20%に制御した。20時間後、培養培地は濃い赤色を示し、その培養培地中におけるカロテノイドの存在を示す。この試験は、デイノコッカス細菌が多量のカロテノイドを産生し得ることを確認する。さらに、デイノコッカス細菌は、それが対数期の増殖期にあるときに、酵母エキスよりも多くのメチオニンを生成し、メチオニンは、動物の必須アミノ酸であり、魚の成長にも必要である。
【0133】
実質的に拡大可能な培養条件
デイノコッカスジオサーマリス菌株MX6−1E−14を、1Lの培養装置において45℃で、20g/Lグルコースを含む(実施例4で示すような)1LのCMG10%培地で培養した。
【0134】
その培養条件において、600nmの吸光度(OD600nm)は、細胞の強力な拡大を示す40時間で値が20に達する(具体的な増殖速度は0.5h−1)。
図1
図2
図3
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]