(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る屋根構造1について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、前後方向、上下方向、並びに左右方向は、特に断りのない限り
図1で示される通常の設置状態を基準として説明する。
【0020】
本実施形態の屋根構造1は、
図1で示されるように、スレート瓦2で葺かれた基礎屋根構造3の上に、太陽電池モジュール4が軒先取付金具5と中間取付金具6(固定金具)を介して固定されたものである。また、この屋根構造1の必要部分には、部分的に雨仕舞板11が設置されている。
【0021】
スレート瓦2は、
図2で示されるように、切り出した天然石やセメント等によって形成された略長方形平板状の部材である。より詳細には、4隅のうち、設置時に棟側となる2つの隅部分の近傍を切り落としたような薄板状の部材となっている。
このスレート瓦2には、短手方向の中心近傍に、予め、取付孔12が一列に4個設けられている。本実施形態では、取付孔12の間隔は均等ではなく、中央の2個の取付孔12,12の間隔が他の孔同士の間隔よりも広くなっている。
【0022】
太陽電池モジュール4は、
図3、
図4で示されるように、太陽電池パネル10の裏面に補強断熱材13、端子ボックス14を取り付けると共に、太陽電池パネル10の側端の一部にサイドガスケット16を取り付けて形成されている。また、この太陽電池モジュール4の棟側辺(
図3、
図4の上側辺)には、緩衝部材17が取り付けられている。
【0023】
この太陽電池モジュール4は、太陽電池パネル10の縁端部分にフレームを装着しない構造、すなわち、フレームレス構造となっている。より詳細には、太陽電池パネル10の厚さが3mm〜7mm程度となる薄型のフレームレス構造となっている。
そして、端子ボックス14から、正極側ケーブル19と負極側ケーブル20からなる2本のケーブルが延設されている。この正極側ケーブル19の延設端には、正極コネクタ21が一体に形成されており、負極側ケーブル20の延設端には、負極コネクタ22が一体に形成されている。
【0024】
太陽電池パネル10は、
図3で示されるように、正面視した形状が略横長長方形状となっており、樹脂又はガラス等によって形成された裏面封止材と、受光面を形成するガラス基板の間に太陽電池セル25を複数枚封止して形成されている。
【0025】
太陽電池セル25は、略正方形板状の部材であり、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子を備えたものである。本実施形態では、半導体基板の上に半導体層を積層させ、光電変換素子を形成したものを採用している。
この太陽電池セル25では、表面側にバスバー電極が設けられており、裏面側に裏面側電極が形成されている。このバスバー電極と裏面側電極は、それぞれ太陽電池セル25の正極側電極及び負極側電極を形成する部分である。
【0026】
この太陽電池セル25は、裏面封止材とガラス基板の間に行列状に配され、封止された状態となっている。すなわち、本実施形態の太陽電池モジュール4は、複数枚の太陽電池セル25を備えた構造となっている。
より具体的には、太陽電池パネル10の長手方向に沿って延びるセル列が2列形成されており、これらが太陽電池パネル10の短手方向で所定の間隔を空け、互いに平行になるように延びている。そして、各々のセル列では、複数枚の太陽電池セル25が所定間隔を空けて一直線状に配置されており、隣接する太陽電池セル25が電気的に接続された状態となっている。
【0027】
すなわち、隣接配置される2つの太陽電池セル25は、一方の表面側に位置するバスバー電極と、他方の裏面側に位置する裏面側電極とが直接又は配線部材を介して間接的に接続された状態となっている。このことにより、隣接する太陽電池セル25は、直列に接続された状態となっている。つまり、それぞれのセル列では、そのセル列に属する太陽電池セル25が直列に接続された状態となっている。
さらに、この2つのセル列は、導電部材を介して直列に接続されている。つまり、太陽電池モジュール4の全ての太陽電池セル25は、直列に接続された状態となっている。
【0028】
また、2つのセル列のうち、一方側のセル列における正極側の出力端と、他方側のセル列における負極側の出力端からは、それぞれ配線部材(図示しない)が延設されている。
この2つの配線部材は、いずれもその延設端が端子ボックス14の内部に引き込まれており、一方が正極側ケーブル19と電気的に接続され、他方が負極側ケーブル20と電気的に接続された状態となっている。
【0029】
補強断熱材13は、太陽電池モジュール4の強度と断熱性を確保するために取り付けられた発泡樹脂性の部材である。
【0030】
この補強断熱材13は、
図4で示されるように、設置時に軒側に位置し、太陽電池パネル10の長手方向に沿って延びた軒側部38と、軒側部38から棟側(図面の下方側から上方側)に延びる複数の延設部39とを備えており、これらが一体に形成されている。
軒側部38は、略横長直方体状の部分であり、太陽電池パネル10の長手方向に沿って延びている。対して、延設部39は、略縦長直方体状の部分であり、太陽電池パネル10の短手方向に沿って延びている。
【0031】
本実施形態では、4つの延設部39が設けられており、太陽電池パネル10の長手方向で所定の間隔を空けて配されている。そして、2つの延設部39の間には、欠落部41が形成されている。この欠落部41は、3方が補強断熱材13によって囲まれて棟側(図面の上方側)が開放された空間となっている。
【0032】
本実施形態の太陽電池モジュール4では、裏面側に3つの欠落部41が形成されている。詳細には、補強断熱材13の長手方向における中心近傍に1つ目の欠落部41が形成され、1つ目の欠落部41よりも長手方向における片側端部よりの位置に2つ目の欠落部41が形成され、他方端部よりの位置に3つ目の欠落部41が形成されている。
【0033】
軒側部38のうち、欠落部41の下方に位置する部分は、厚さが薄くなった薄肉部42となっている。この欠落部41と薄肉部42が連続して形成される空間が、設置時にケーブル(正極側ケーブル19、負極側ケーブル20等)を配置するための空間として機能する。
【0034】
外側に位置する2つの欠落部41のうちの一方では、軒側部38の棟側(図面の上方側)の一部を欠落させ、端子ボックス14を配置するための空間を形成している。このため、端子ボックス14の軒側端部側(図面の下方側に位置する部分)では、周囲の3方が軒側部38によって囲まれた状態となっている。
【0035】
この端子ボックス14は、細長い略縦長直方体状の部材であり、その棟側壁面から正極側ケーブル19と負極側ケーブル20が外部に向かって延設されている。
ここで、2つのケーブル(正極側ケーブル19、負極側ケーブル20)は、その長さが異なっており、一方が他方に比べて長くなっている。より詳細には、太陽電池パネル10の長手方向における端部のうち、端子ボックス14の配置位置から比較的遠い位置にある端部側に向かって延設するケーブル(正極側ケーブル19)の長さは、端子ボックス14の配置位置に近接する端部側に向かって延設するケーブル(負極側ケーブル20)の長さよりも短くなっている。
【0036】
サイドガスケット16は、太陽電池モジュール4の長手方向における両端部にそれぞれ取り付ける部材であり、詳細には、側端に位置する短辺の一部を覆うように取付ける部材である。つまり、
図3で示されるように、サイドガスケット16は、太陽電池パネル10の側端部分のうち、太陽電池パネル10の短手方向の中心近傍に取り付けられた状態となっている。
【0037】
ここで、本実施形態の太陽電池モジュール4では、
図3で示されるように、棟側辺(上側辺)のうち、長手方向における端部近傍に比較的長さの短い緩衝部材17aが取り付けられており、長手方向における中央付近に比較的長さの長い緩衝部材17bが取り付けられている。これらは、同形であって長さのみが異なる部材であるので、一方のみの形状について説明し、他方については説明を省略する。
【0038】
緩衝部材17は、合成ゴム等の弾性体を加工して形成される部材であり、
図5で示されるように、断面形状が略「コ」字状で延びる部材となっている。
この緩衝部材17は、略長方形平板状の下板部60(下側部)と、下板部60の短手方向における一端側から上方に向かって突出する立板部61(側方部)と、立板部61の上端から軒側に向かって突出する略長方形平板状の上板部62(上側部)とが一体に形成された部材である。
【0039】
下板部60は、その軒側端部に下側塊状部65が設けられており、その上面に2つの突条部66が形成されている。この2つの突条部66は、下板部60の短手方向(屋根上取り付け時における軒棟方向)で間隔を空けて並列している。すなわち、2つの突条部66が下板部60の短手方向で離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0040】
下側塊状部65は、丸みを帯びた塊状の部分であり、下側から前側(軒側であり
図5における左側)を経て上端に至るまで表面が曲線状に連続している。そして、この下側塊状部65は、その厚さが周囲よりも厚くなっている。ここで、下側塊状部65の下面は、下板部60の他の部分の下面と同一平面を形成している。つまり、下側塊状部65の上側部分は、下板部60の上面で周囲よりも盛り上がった状態となっている。言い換えると、下側塊状部65の上側部分は、上側に向かって凸となるように周囲の部分よりも隆起した状態となっている。
【0041】
ここで、この下側塊状部65の後側(棟側であり
図5における右側)部分は、さらに後方に位置する下板部60の上面と段差を介して連続している。
すなわち、下側塊状部65の上側後方部分には、下板部60の上面と略垂直に交わる壁状部65aが形成されている。この壁状部65aは、後側からみた形状が略長方形状の部分であり、下端部分が後方に位置する下板部60の上面と連続し、上端部分が下側塊状部65の上面と連続している。つまり、このように、下側塊状部65の上側部分は、前方に位置する丸みを帯びた形状の部分と、後方に位置する直立壁状の部分とが一体に形成されている。
【0042】
突条部66は、下板部60の上面から後方上側へ突出する薄板状の部分であり、下板部60(緩衝部材17)の長手方向に沿って延びている。より詳細には、下板部60の長手方向における片側端部から、他方側端部に至るまで延びた状態となっている。
そして、この突条部66の断面形状に注目すると、その突出端部分が丸みを帯びた形状となっている。より詳細には、この突条部66は、基端側部分が先端側部分よりもやや厚くなっており、先細りした形状となっている。
【0043】
立板部61は、直立した姿勢の略長方形平板状の部分であり、下板部60と上板部62のそれぞれと連続している。すなわち、下端側は下板部60と連続しており、上端側は上板部62と連続している。そして、下板部60、上板部62のそれぞれと略垂直に交わった状態となっている。
【0044】
ここで、立板部61の軒側面(
図5における右端面)には、高さ方向(上下方向)における略中央部分に2つの突出部68が設けられている。この突出部68は、高さ方向で僅かに離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0045】
突出部68は、略長方形平板状の部分であり、立板部61の軒側面から軒側に突出している。そして、この突出部68は、その突出端部分が丸みを帯びた形状となっている。本実施形態では、2つの突出部68が上下方向で僅かに間隔を空けて対向した状態となっている。すなわち、上側の突出部68の下面と、下側の突出部68の上面との間に小さな空間が形成されている。
【0046】
上板部62は、その軒側端部に上側塊状部70が設けられている。また、その上面に2つの長溝部71が形成され、その下面に2つの突条部66が形成されている。
【0047】
上側塊状部70は、周囲よりも厚くなった部分であり、断面形状が略四角形状であって、軒側上端に位置する角部分が丸みを帯びた形状となっている。この上側塊状部70の下側部分は、上板部62の下面において、周囲よりも下方に向かって盛り上がった状態となっている。言い換えると、上側塊状部70の下側部分は、下側に向かって凸となるように、周囲の部分よりも下方に隆起した状態となっている。
【0048】
ここで、上側塊状部70の後側(棟側であり
図5における右側)部分もまた、さらに後方に位置する上板部62の下面と段差を介して連続した状態となっている。
すなわち、上側塊状部70の下側後方部分には、上板部62の下面と略垂直に交わる壁状部70aが形成されている。この壁状部70aは、後側からみた形状が略長方形状の部分であり、上端部分が後方に位置する上板部62の下面と連続し、下端部分が上側塊状部70の下面と連続している。
【0049】
長溝部71は、断面形状が略長方形状で上板部62の長手方向に沿って延びる部分であり、周囲よりも窪んだ部分となっている。この長溝部71は、上板部62の長手方向における片側端部から他方側端部までの間で延びた状態となっている。
【0050】
本実施形態では、2つの長溝部71が上板部62の短手方向(屋根上取り付け時における軒棟方向)で間隔を空けて並列している。すなわち、2つの長溝部71が上板部62の短手方向で離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0051】
上板部62に形成された突条部66は、上記した下板部60に形成された突条部66と同形であるが、その突出方向が異なっている。すなわち、上板部62の突条部66は、後方下側へ突出する薄板状の部分となっている。
ここで、上板部62の下面においても、2つの突条部66が上板部62の短手方向で離れた位置にそれぞれ形成された状態となっている。すなわち、2つの突条部66が上板部62の短手方向で離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0052】
この緩衝部材17では、上板部62と下板部60が上下方向で間隔を空けて対向しており、上板部62の一部である上側塊状部70と、下板部60の一部である下側塊状部65もまた上下方向で間隔を空けて対向している。すなわち、上側塊状部70と下側塊状部65は、緩衝部材17の前後方向(軒棟方向)における位置が同位置であり、いずれも軒側端部に位置している。そして、上側塊状部70から下方に離れた位置に下側塊状部65が位置した状態となっている。
【0053】
また、上板部62の2つの突条部66のうち、軒側に位置する突条部66の下方側には、下板部60の2つの突条部66のうち、軒側に位置する突条部66が位置している。そして、上板部62の2つの突条部66のうち、棟側に位置する突条部66の下方側には、下板部60の2つの突条部66のうち、棟側に位置する突条部66が位置している。
すなわち、上板部62に形成した突条部66は、それぞれの下方に下板部60に形成した突条部66が位置している。つまり、上板部62に形成した突条部66のそれぞれは、下板部60に形成したそれぞれ別の突条部66と上下方向で離間対向した状態となっている。
【0054】
そして、本実施形態では、上板部62の厚さが下板部60の厚さよりも厚くなっている。より具体的には、緩衝部材17の長手方向に対して直交する断面における上板部62の断面積と、同じ断面における下板部60の断面積を比較したとき、上板部62の断面積が下板部60の断面積の1.3倍以上2倍以下となっている。
このとき、上板部62の軒側端部(上側塊状部70)と下板部60の軒側端部(下側塊状部65)とを比較すると、上板部62の軒側端部が下板部60の軒側端部よりも厚くなっている。また、上板部62の他の部分と下板部60の他の部分では、上板部62の他の部分が厚くなっている。
【0055】
この緩衝部材17は、
図6で示されるように、上板部62と下板部60の間に形成される空間に太陽電池モジュール4の棟側辺を位置させることで、太陽電池モジュール4に対して一体に取り付けられる。言い換えると、緩衝部材17のうち、上板部62と下板部60の間に形成される空間は、軒側部分が開放された空間となっており、上側塊状部70と下側塊状部65の間の部分が太陽電池モジュール4の導入口として機能する部分となる。そして、太陽電池モジュール4(太陽電池パネル10)に緩衝部材17を取り付けると、太陽電池モジュール4の棟側部分が上板部62と下板部60で挟まれた状態となる。
【0056】
より詳細には、上板部62のうち、上側塊状部70と、2つの突条部66の下側部分が、太陽電池モジュール4(太陽電池パネル10)の上面と接触した状態となっている。そして、上板部62の他の部分と太陽電池モジュール4の上面の間には、隙間が形成された状態となっている。
同様に、下板部60のうち、下側塊状部65と、2つの突条部66の上側部分が、太陽電池モジュール4(太陽電池パネル10)の下面と接触した状態となっている。すなわち、下板部60の他の部分と太陽電池モジュール4の下面の間にもまた、隙間が形成された状態となっている。
【0057】
そして、立板部61のうち、突出部68の軒側部分が、太陽電池モジュール4(太陽電池パネル10)の棟側端面と接触した状態となっている。このことにより、2つの突出部68と、太陽電池パネル10の棟側端面と、立板部61の棟側面とに囲まれた空間である排水空間75が形成されている。この排水空間75は、緩衝部材17の長手方向に延びる溝状の空間であり、設置時に軒棟方向と直交する方向、すなわち、建屋の棟と平行する方向に延びる空間となっている。
【0058】
このように、排水のための空間である排水空間75を形成することにより、本実施形態の緩衝部材17は、太陽電池パネル10と緩衝部材17の間に雨水等が溜まり難い構造となっている。
また、立板部61の軒側面のうち、突出部68が形成されていない部分と、太陽電池モジュール4の棟側端面の間には、隙間が形成された状態となっている。
【0059】
ここで、上記したように、緩衝部材17は、太陽電池パネル10の棟側から軒側に向かって近接させることで、太陽電池パネル10に一体に取り付けられた状態となる。言い換えると、太陽電池パネル10を緩衝部材17に対して相対的に近づかせる、すなわち、相対的に棟側へと近接移動させることで、太陽電池パネル10に緩衝部材17が一体に取り付けられた状態となる。
つまり、太陽電池パネル10の取り付け時の挿入方向は、軒側から棟側へ向かう方向であり、取り外し方向は棟側から軒側へ向かう方向であるといえる。
【0060】
そして、上記したように、突条部66は、その突出端が棟側に傾斜した状態となっている。すなわち、太陽電池パネル10の挿入方向先端側に向かって傾斜した状態となっている。このことにより、緩衝部材17は、太陽電池パネル10に取り付け易く外れ難いものとなっている。
【0061】
具体的に説明すると、太陽電池パネル10に緩衝部材17を取り付けるとき、すなわち、太陽電池パネル10を緩衝部材17の上板部62と下板部60の間に挿入した状態とするとき、太陽電池パネル10を棟側に相対移動させると、それぞれの突条部66が太陽電池パネル10によって棟側に押されることとなる。このとき、それぞれの突条部66が棟側に傾斜した状態となっていることから、太陽電池パネル10によって押された突条部66は、そのまま大きく傾斜した状態へ移行する。すなわち、予め傾斜していた突条部66がそのまま大きく傾斜するため、突条部66の変形に大きな力を必要としない。
【0062】
これに対して、緩衝部材17を太陽電池パネル10から取り外すとき、太陽電池パネル10を軒側に相対移動させることとなる。このとき、突条部66は大きく傾斜した状態となっており、弾性によって元の形状に戻ろうとするので、上側の突条部66は、太陽電池パネル10を下側に押圧し、下側の突条部66は、太陽電池パネル10を上側に押圧している。言い換えると、太陽電池パネル10が上下の突条部66によって締め付けられた状態となっている。このため、緩衝部材17を太陽電池パネル10から取り外すときには、取り付け時よりも大きな力が必要となる。
このように本実施形態の緩衝部材17は、取り付け易く、外れにくい構造となっている。
【0063】
そして、このように太陽電池パネル10を上下から締め付ける構造とし、上板部62と太陽電池パネル10の上面の間、立板部61と太陽電池パネル10の棟側端面の間、下板部60と太陽電池パネル10の下面の間に多数の隙間を形成すると、軒棟方向と直交する方向(緩衝部材17の長手方向)には、容易に移動させることが可能となる。
つまり、
図3、
図4で示されるように、緩衝部材17を太陽電池パネル10に取り付けた状態で、緩衝部材17を太陽電池パネル10の長手方向にスライド移動させることを容易に実施可能となっている。
【0064】
中間取付金具6は、
図7、
図8で示されるように、固定部構成部材120と、中間板部材121と、押さえ板部材122によって構成されている。
【0065】
固定部構成部材120は、
図8で示されるように、一枚板を折り曲げて作られたものであり、下板部材125と上板部材126を有し、両者が立上部127で接続された形状をしている。すなわち、下板部材125は平板状であり、その長手方向の前方側端部が180度折り返されて上板部材126を形成している。
【0066】
下板部材125と上板部材126は、いずれも軒棟方向(前後方向)に延びており、上下方向で僅かに間隔を空けて離間対向している。上板部材126の長さは、下板部材125の長さよりも長くなっており、詳細には、2倍から3倍程度長くなっている。
【0067】
上板部材126は、
図8で示されるように、その一部が上方に凸となっており、比較的高さが低い低位置部と、比較的高さが高い高位置部とを有する構造となっている。より詳細には、前端側(軒側)の部分と後端側(棟側)の部分が低位置部となっており、その間の部分が高位置部となっている。
高位置部は、上板部材126の全体の3分の1から4分の1程度を占める部分であり、下板部材125に面した位置に形成されている。
【0068】
また、高位置部よりも後端側に位置する低位置部には、ケーブル(正極側ケーブル19、負極側ケーブル20)を掛止するためのフック部128が形成されている。
このフック部128は、上板部材126に略「U」字状の切り込みを入れ、この切り込みを立ち上げて形成したものであり、いずれも高位置部側(軒側)側を向いている。
【0069】
この上板部材126には、高位置部に2つの大開口孔130と2つの部材固定用孔131からなる4つの孔が形成されている。また、高位置部よりも後側に位置する低位置部には、2つの既設用孔132と2つの固定用孔133からなる4つの孔が形成されている。
【0070】
より詳細に説明すると、高位置部では、2つの大開口孔130が左右方向で所定の間隔を並列しており、この2つの大開口孔130よりも前側(軒側)に位置する2つの部材固定用孔131もまた、左右方向で所定の間隔を並列している。このとき、2つの大開口孔130は、高位置部の左右方向における中心部分からの距離が等しくなっており、2つの部材固定用孔131もまた、高位置部の左右方向における中心部分からの距離が等しくなっている。そして、2つの大開口孔130の間の距離は、2つの部材固定用孔131の間の距離よりも長くなっている。
【0071】
高位置部よりも後側に位置する低位置部では、前端近傍で2つの既設用孔132が左右方向で所定の間隔を並列しており、後端近傍で2つの固定用孔133が左右方向で所定の間隔を並列している。このうち、2つの固定用孔133は、いずれも軒棟方向(前後方向)に延びる長孔となっている。
【0072】
ここで、下板部材125にもまた、4つの貫通孔134が設けられており、これらが2行2列に並列している。なお、
図9に2つのみ図示し、他の2つについては図示を省略する。
これらの貫通孔134は、2つの大開口孔130の下方にそれぞれ1つずつと、2つの既設用孔132の下方にそれぞれ1つずつ形成されている。大開口孔130の下方に位置する貫通孔134は、その開口径が大開口孔130よりも小さくなっている。
【0073】
中間板部材121は、
図7乃至
図9、
図10等で示されるように、一枚の板を階段状に折り曲げて作られたものである。
すなわち、この中間板部材121は、後方側から前方に向かって、第1平面板部135と、第1直立板部136と、第2平面板部137と、第2直立板部138とが順次設けられたものである。
【0074】
第1平面板部135には、
図10で示されるように、長孔139が2個形成されている。この長孔139は、第1直立板部136の壁面に至るまで延びており、詳細には、第1平面板部135、第1直立板部136に亘って延びる長孔となっている。
第1直立板部136に形成された長孔139の一部は、背面視した形状が略長方形であり、その幅方向の長さが、同じ長孔139の第1平面板部135に形成された部分よりも長くなっている。
【0075】
より具体的には、長孔139の第1直立板部136に形成された部分は、ねじ140の頭部が通過可能な大きさである。一方、第1平面板部135に形成された部分の幅は、ねじ140の首部分は通過可能であるけれども頭部の通過は不能である寸法に設計されている。
また、第2直立板部138には、
図8で示されるように、2つの締結用孔141が設けられている。
【0076】
押さえ板部材122は、断面形状が「L」字状の部材であり、正面板部143と折り返し部144が形成されている。この正面板部143には、締結用孔145が2個設けられている。
【0077】
続いて、中間取付金具6の組み立て構造について説明する。
【0078】
本実施形態の中間取付金具6は、
図7、
図10で示されるように、中間板部材121が固定部構成部材120に載置され、さらに、中間板部材121に押さえ板部材122が取り付けられている。
【0079】
すなわち、固定部構成部材120の高位置部に、中間板部材121の第1平面板部135を載置した状態で、長孔139にねじ140を挿通し、固定部構成部材120と中間板部材121を固定している。
【0080】
なお、本実施形態では、
図7で示されるように、長孔139が略垂直に交わる第1平面板部135と第1直立板部136に亘って延設されており、第1直立板部136に形成された部分の幅が、第1平面板部135に形成された部分の幅よりも広くなっている。そして、第1直立板部136に形成された部分では、ねじ140の頭部が通過可能となっている。
このため、ねじ140を緩め、ねじ140の頭部を第1平面板部135の上面から上方に離れた状態とすると、ねじ140を固定部構成部材120の部材固定用孔131に係合させた状態のままで、中間板部材121をスライド移動させて着脱することができる。
【0081】
押さえ板部材122は、第2直立板部138の表面に正面板部143の裏面側を当接させ、第2直立板部138の締結用孔141と正面板部143の締結用孔145を重ね合わせた状態で、ねじ等の締結要素を挿通し、中間板部材121に固定した状態とする。
【0082】
本実施形態の中間取付金具6は、
図7、
図9等で示されるように、第1凹部150、第2凹部151(棟側保持凹部)、第3凹部152(軒側保持凹部)を備えた構造となっている。
【0083】
第1凹部150は、下板部材125と上板部材126によって構成され、後方側(棟側)に開口する凹部である。
第2凹部151は、上板部材126の一部とその上に位置する中間板部材121の一部によって構成され、第1凹部150とは反対方向に開口する凹部である。
第3凹部152は、中間板部材121の一部とその上に位置する押さえ板部材122によって構成され、第1凹部150と同方向に開口する凹部である。
すなわち、中間取付金具6には、中間取付金具6の一方側に開口する第1凹部150と、この第1凹部150と同方向に開口する第3凹部152と、この第1凹部150と反対方向に開口する第2凹部151とが形成されている。
【0084】
なお、この中間取付金具6にもまた、太陽電池パネル10を保持する部分にパネル保護部材が取り付けられている。すなわち、第2凹部151と第3凹部152それぞれの立壁面と天井面がパネル保護部材に覆われた状態となっている。
これらのパネル保護部材もまた、金具との接触による太陽電池パネル10の損傷を防止する保護部材として機能するだけでなく、太陽電池パネル10と金具の間に雨水等が浸入することを防止するシール材としても機能する。
【0085】
続いて、本実施形態の屋根構造1の施工方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0086】
本実施形態の屋根構造1は、屋根下地を形成し、その上にスレート瓦2を列状及び複数段状に並べていく。すなわち、屋根下地の上で平面的な広がりを持つように複数のスレート瓦2を載置した状態とする。そして、このスレート瓦2を載置する際に、並行して軒先取付金具5、中間取付金具6を取り付ける。
つまり、本実施形態では、太陽電池モジュール4の設置に先立って、基礎屋根構造3を構築する。
【0087】
まず、
図11で示されるように、屋根下地の軒先に軒先水切(図示しない)を取り付け、その上に軒先取付金具5を載置する。
ここで、本実施形態では、複数の軒先取付金具5を屋根下地に取り付けている。このように複数の軒先取付金具5を取り付ける場合には、正面側から見たときに隙間ができないように、左右方向(並列方向)の間隔を詰めて配置された状態とする。
【0088】
そして、軒側第1段目のスレート瓦2aを取り付ける。なお、本実施形態では、軒側第1段目のスレート瓦2aを2枚重ねた状態で取り付けている。すなわち、屋根下地上に下方に位置するスレート瓦2a−1を取り付け(
図11では図示しない、
図13等参照)、そのスレート瓦2a−1を覆うように上方に位置するスレート瓦2a−2を取り付けている。
【0089】
なお、下方に位置するスレート瓦2a−1は、上方に位置するスレート瓦2a−2よりも軒棟方向の長さが短くなっている。このように、上方に位置するスレート瓦2a−2が下方に位置するスレート瓦2a−1よりも大きいことから、下方に位置するスレート瓦2a−1の全域が上方に位置するスレート瓦2a−2に覆われた状態となっている。言い換えると、下方に位置するスレート瓦2a−1は、外部に露出しない状態となっている。
また、下方のスレート瓦2a−1の取付孔12は、上方のスレート瓦2a−2の取付孔12よりも軒側に位置した状態となっている。言い換えると、下方のスレート瓦2a−1の取付孔12と、上方のスレート瓦2a−2の取付孔12とは軒棟方向でずれた位置に配されている。このことにより、下方のスレート瓦2a−1の取付孔12は、上方に位置するスレート瓦2a−2の取付孔12が形成されていない部分で覆われており、雨水等が浸入しない構造となっている。
【0090】
さらに、
図12,
図13で示されるように、軒側第2段目のスレート瓦2bを取り付ける。
このスレート瓦2bは、先に敷設した軒側第1段目のスレート瓦2に対し、その一部を重ねた状態で配置する。そして、このスレート瓦2bの取付孔12に釘等の締結要素を挿通して屋根下地に固定することとなるが、この工程と並行して中間取付金具6を取り付ける。
推奨される手順としては、
図12,13で示されるように、中間取付金具6から中間板部材121を外した状態とし(
図8等参照)、固定部構成部材120だけを予め固定することが好ましい。
【0091】
より具体的には、
図13で示されるように、予め載置したスレート瓦2bに対して固定部構成部材120を載置し、下板部材125の4つの貫通孔134(
図9参照)のうちで、上板部材126の大開口孔130の下方に位置する2つの貫通孔134のうちの一方を利用して取り付ける。すなわち、この下板部材125の貫通孔134と、スレート瓦2bの4つの取付孔12のうちの一つとを重ね合わせた状態とし、これら2つの孔に釘等の締結要素を挿通する。
【0092】
すなわち、下板部材125の上側には上板部材126が存在するが、下板部材125の貫通孔134の上部に相当する位置に大開口孔130が設けられており、この大開口孔130を通過させて締結要素を貫通孔134に挿通することができる。さらに大開口孔130は、貫通孔134よりも大きいので、ドライバーの回動作業も容易に実施できる。
【0093】
そして、軒側第2段目のスレート瓦2bの固定が完了すると、
図14で示されるように、第3段目のスレート瓦2cを取り付ける。
第3段目のスレート瓦2cを取り付けるとき、
図15で示されるように、スレート瓦2cの軒側端部を中間取付金具6の第1凹部150に挿入した状態とする。そして、スレート瓦2cの軒側端部が、第1凹部150の内部に位置する下板部材125の貫通孔134を覆った状態となる。つまり、上板部材126の下部には、その全域に第3段目のスレート瓦2cが存在することとなる。
このことにより、貫通孔134への雨水の浸入を防止することができる。
【0094】
この状態で、中間取付金具6の上板部材126の後端よりに設けられた固定用孔133のうちのいずれかと、第3段目のスレート瓦2cの取付孔12とのいずれかを合致させ、両者にクギ等の締結要素を挿通して中間取付金具6を固定する。
【0095】
この後、
図16で示されるように、4段目以降のスレート瓦2を取り付けていき、上記の場合と同様に、必要に応じてスレート瓦2と共に中間取付金具6(固定部構成部材120)を固定する。
このとき、中間取付金具6(固定部構成部材120)は、その棟側部分が棟側に位置するスレート瓦2に覆われた状態となる。このことにより、上板部材126の2つの固定用孔133がスレート瓦2に覆われた状態となり、固定用孔133からの雨水の浸入を防止することができる。また、軒側のスレート瓦2の取付孔12が棟側のスレート瓦2によって覆われた状態となる。このことにより、取付孔12からの雨水の浸入を防止することができる。
そして、軒側から棟に至るまでスレート瓦2を取り付けることで、屋根下地上にスレート瓦2の敷設が完了し、基礎屋根構造3が完成する。
【0096】
続いて、基礎屋根構造3の上に太陽電池モジュール4を設置していく。また、推奨される手順として、太陽電池モジュール4を固定していく際に、太陽電池モジュール4の配線を実施することが望ましい。
【0097】
太陽電池モジュール4の屋根上への固定は、軒側から順に実施される。したがって、まず、軒側第1段目の太陽電池モジュール4aを固定する。
ここで、軒先取付金具5には、
図17で示されるように、上端近傍に保持部63が設けられている。この保持部63は、棟側部分が開放された状態となっており、軒側に向かって窪んだ部分となっている。
【0098】
本実施形態では、
図17、
図18で示されるように、この軒先取付金具5の保持部63に太陽電池モジュール4の軒側端部を嵌め込んだ状態とし、太陽電池モジュール4aの棟側端部を2段目のスレート瓦2bと共に取り付けられた中間取付金具6a(固定部構成部材120)に載置する。
より詳細には、この固定部構成部材120の高位置部よりも前側(軒側)に位置する低位置部に、太陽電池モジュール4aの棟側端部を載置する(
図18参照)。
【0099】
そして、
図18で示されるように、太陽電池モジュール4aの棟側端部を固定部構成部材120に載置したままの状態で、固定部構成部材120に中間板部材121と、押さえ板部材122とを取り付ける。
このことにより、太陽電池モジュール4aは、軒側の辺が軒先取付金具5の保持部63と係合し、棟側の辺が中間取付金具6aの第2凹部151に係合するので、対向する両辺が保持され、基礎屋根構造3から離脱できない状態となる。
【0100】
軒側第1段目の太陽電池モジュール4aを取付けると、続いて、隣り合う太陽電池モジュール4aの間でケーブルの配線を行う。すなわち、
図19で示されるように、隣接する太陽電池モジュール4の一方側の正極側ケーブル19と、他方側の負極側ケーブル20とを接続する。
なお、本実施形態では、中間取付金具6のフック部128に対し、配線し終えたケーブルを係合させている。このようにすることで、ケーブルの処理が容易となる。
【0101】
このとき、軒側第1段目の太陽電池モジュール4aは、軒棟方向と直交する方向、すなわち、建屋の棟と平行する方向で並列した状態となっている。このとき、それぞれの太陽電池モジュール4aは、その長手方向が軒棟方向と直交する方向となるように載置されている。
【0102】
ここで、上記したように太陽電池モジュール4aの棟側辺には、緩衝部材17が取り付けられている。そのため、
図19で示されるように、緩衝部材17と、中間取付金具6aとが、軒棟方向と直交する方向で直線状に並列した状態となっている。すなわち、緩衝部材17の外側であり、建屋の棟と平行する方向で離れた位置に中間取付金具6aが位置している。言い換えると、中間取付金具6aの外側であり、建屋の棟と平行する方向で離れた位置に緩衝部材17が位置した状態となっている。このように、緩衝部材17と中間取付金具6aとがそれぞれの所定間隔を空けて並列した状態となっている。
さらに具体的には、2つの中間取付金具6aの間に1つ又は2つ(複数)の緩衝部材17が位置した状態となっている。
【0103】
また、上記したように、緩衝部材17は、太陽電池パネル10からは外れにくいものの、軒棟方向と直交する方向(太陽電池パネル10の長手方向)には、容易にスライド移動させることが可能となっている。このことから、緩衝部材17と中間取付金具6aとがそれぞれの所定間隔を空けて並列した状態において、緩衝部材17を建屋の棟と平行する方向にスライド移動させ、位置調整をすることができる。すなわち、必要に応じて位置調整の実施が可能となっている。
【0104】
続いて、軒側2段目の太陽電池モジュール4bを敷設する。
軒側2段目の太陽電池モジュール4bは、その軒側辺と棟側辺の双方を中間取付金具6によって固定される。すなわち、太陽電池モジュール4bの軒側辺は、
図20で示されるように、軒側に位置する中間取付金具6aの第3凹部152に挿入された状態となる。
【0105】
このとき、太陽電池モジュール4bの棟側辺は、上記した軒側1段目の太陽電池モジュール4aと同様に、さらに棟側に位置する中間取付金具6b(固定部構成部材120)に載置する(
図21参照)。そして、上記の場合と同様に、この状態で固定部構成部材120に中間板部材121と、押さえ板部材122とを取り付ける。このことにより、太陽電池モジュール4bの軒側辺が軒側に位置する中間取付金具6aの第3凹部152と係合し、棟側辺が棟側に位置する中間取付金具6bの第2凹部151に係合するので、太陽電池モジュール4bの対向する両辺が保持され、基礎屋根構造3から離脱できない状態となる。
【0106】
以下同様に、必要に応じて軒側3段目以降の太陽電池モジュール4を設置していく。そして、いずれかの太陽電池モジュール4から延びるケーブルを、必要に応じて引込ケーブル(図示しない)に接続する。
また、所望の段数の設置を終えると、最も上段部の太陽電池モジュール4の棟側に雨仕舞板11を設置する。
このことにより、本実施形態の屋根構造1が完成する(
図1参照)。
【0107】
ここで、
図22で示されるように、軒側に位置する太陽電池モジュール4aの棟側部分と、棟側に位置する太陽電池モジュール4bの軒側部分とは、平面視したとき重なった状態となっている。より詳細には、軒側に位置する太陽電池モジュール4aの棟側部分は、上方に離れた位置に配される太陽電池モジュール4bの軒側部分によって覆われた状態となっている。そして、太陽電池モジュール4aの棟側部分に位置する緩衝部材17もまた、その全域が棟側に位置する太陽電池モジュール4bによって覆われており、外部に露出しない状態となっている。このことにより、緩衝部材17が直射日光や雨風に晒されないので、緩衝部材17の経年劣化を抑制できる。
【0108】
また、
図23で示されるように、軒側の太陽電池モジュール4aに取り付けた緩衝部材17の上板部62と、棟側に位置する太陽電池モジュール4bの間に僅かな隙間が形成された状態となっている。
そして、軒側の太陽電池モジュール4aに取り付けた緩衝部材17の下板部60と、スレート瓦2の間にも僅かな隙間が形成された状態となっている。
つまり、緩衝部材17は、通常時において、上方に位置する太陽電池モジュール4bと、下方に位置するスレート瓦2に接触しない状態となっている。
【0109】
ここで、棟側の太陽電池モジュール4bの上に雪等が積もり、その荷重によって棟側の太陽電池モジュール4bが撓んでしまった場合について説明する。
この場合、太陽電池モジュール4bの軒側端部が下方側へ向かうように変形し、その裏面が緩衝部材17の上板部62の上面に当接することとなる。このことにより、上側の太陽電池モジュール4bにかかる荷重を、緩衝部材17が取り付けられた下側の太陽電池モジュール4aで受けることが可能となる。つまり、上側の太陽電池モジュール4bにかかる荷重を分散させることで、太陽電池モジュール4bの破損を防止することができる。
さらに、上側の太陽電池モジュール4bの裏面が下側の太陽電池モジュール4aの上面(受光面と同一平面を形成する面)に直接接触することがないので、このような接触に起因する破損を防止できる。
【0110】
また、この状態からさらに上側の太陽電池モジュール4bに荷重かかった場合、下側の太陽電池モジュール4aが撓んでしまうことが考えられる。
しかしながら、この場合は、太陽電池モジュール4aの棟側端部が下方側へ向かうように変形し、緩衝部材17の下板部60がスレート瓦2と接触することとなる。すなわち、荷重を屋根面(スレート瓦2)で受けて分散させることが可能となるので、上側の太陽電池モジュール4b、下側の太陽電池モジュール4aの破損を防止することができる。
このとき、下側の太陽電池モジュール4aがスレート瓦2に直接接触することがないので、このような接触に起因する破損を防止できる。