(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511301
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】熱分離体
(51)【国際特許分類】
F16L 59/02 20060101AFI20190425BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
F16L59/02
H05K7/20 Y
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-50136(P2015-50136)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-178902(P2015-178902A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2018年1月25日
(31)【優先権主張番号】14/219,041
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン マーク ヌーナン
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−120940(JP,A)
【文献】
米国特許第3916941(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0264142(US,A1)
【文献】
米国特許第6131364(US,A)
【文献】
米国特許第3705411(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0129863(US,A1)
【文献】
国際公開第01/16540(WO,A1)
【文献】
特開平2−43937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/00 − 59/22
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分離体であって、
その第1の位置から反対側の第2の位置までの長さに沿って延在する空間領域内に剛性熱分離セクションを備え、
前記剛性熱分離セクションは、前記第1の位置から前記第2の位置まで延在する蛇行中実壁の熱伝導経路を含んでおり、
前記蛇行中実壁の熱伝導経路は、前記空間領域の前記長さに比べて長く、
前記蛇行中実壁の熱伝導経路は、順行セクションと、該順行セクションに対する逆行セクションと、を含み、
前記順行セクションおよび前記逆行セクションが、前記第1の位置の基準開始点から前記第2の位置の基準終了点までの経路に関しての後方転換を提供し、
前記剛性熱分離セクションの周りに延在するスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記剛性熱分離セクションの片側から前記長さに亘って少なくとも部分的に延在する、熱分離体。
【請求項2】
熱分離体であって、
その第1の位置から反対側の第2の位置までの長さに沿って延在する空間領域内に剛性熱分離セクションを備え、
前記剛性熱分離セクションは、前記第1の位置から前記第2の位置まで延在する蛇行中実壁の熱伝導経路を含んでおり、
前記蛇行中実壁の熱伝導経路は、前記空間領域の前記長さに比べて長く、
前記蛇行中実壁の熱伝導経路は、順行セクションと、該順行セクションに対する逆行セクションと、を含み、
前記順行セクションおよび前記逆行セクションが、前記第1の位置の基準開始点から前記第2の位置の基準終了点までの経路に関しての後方転換を提供し、
前記剛性熱分離セクションの周りに前記長さに亘って部分的に延在するスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記剛性熱分離セクションの一方の側の連結ベース部から、前記剛性熱分離セクションの前記一方の側から遠位の自由端へと延在する、熱分離体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇行中実壁の熱伝導経路を含む熱分離セクションを有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
高温環境に曝されるコンポーネントは、所期の露出時間の間、その高温からコンポーネントを保護するように、高耐熱性材料から製造される。補助的なコンポーネントは、その高温環境には直接曝されないが、熱伝導により同様の温度に曝されるおそれがあり、それにより補助的なコンポーネントにも高耐熱性材料の使用が必要となる。高耐熱性材料の使用により、コンポーネント設計のコストや複雑さが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明は、蛇行中実壁の熱伝導経路を有する熱分離体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例による熱分離体(thermal stand-off)が、その第1の位置から反対側の第2の位置までの長さに沿って延在する空間領域内に剛性熱分離セクションを含む。剛性熱分離セクションは、第1の位置から第2の位置まで延在する蛇行中実壁の熱伝導経路(tortuous solid-wall thermal conduction path)を含む。蛇行中実壁の熱伝導経路は、空間領域の長さに比べて長い。
【0005】
前述の実施例の更なる実施例では、蛇行中実壁の熱伝達経路は、空間領域の長さに比べて少なくとも2倍長い。
【0006】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、剛性熱分離セクションが、その蛇行中実壁の熱伝導経路の複数のセクションの間に配置された、開放空間、低真空空間、および相変化物質のうちの少なくとも一つを含む。
【0007】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、剛性熱分離セクションが、蛇行中実壁の熱伝導経路の複数のセクションの間に開放空間を含む。
【0008】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、剛性熱分離セクションが、蛇行中実壁の熱伝導経路の複数のセクションの間に低真空空間を含む。
【0009】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、剛性熱分離セクションが、蛇行中実壁の熱伝導経路の複数のセクションの間に相変化物質を含む。
【0010】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例が、剛性熱分離セクションの周りに延在するスリーブを含み、このスリーブは、剛性熱分離セクションの片側から前記長さに亘って少なくとも部分的に延在する。
【0011】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例が、剛性熱分離セクションの周りに前記長さに亘って部分的に延在するスリーブをさらに備え、このスリーブは、剛性熱分離セクションの一方の側の連結ベース部から、剛性熱分離セクションのその一方の側から遠位の自由端へと延在する。
【0012】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例が、剛性熱分離セクションから延在するコネクタインタフェースを含む。
【0013】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、蛇行中実壁の熱伝導経路が、金属ベースの材料から形成される。
【0014】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、蛇行中実壁の熱伝導経路が引張ばね定数を有し、この引張ばね定数は、蛇行中実壁の熱伝導経路と同じ空間領域内に適合されるとともに同じ材料組成で形成されるコイルスプリングの最大引張ばね定数よりも大きい。
【0015】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、蛇行中実壁の熱伝導経路が、順行セクションと、順行セクションに対する逆行セクションと、を含む。
【0016】
本発明の実施例による熱分離体が、その第1の位置から反対側の第2の位置までの長さに沿って延在する空間領域内に熱分離セクションを含む。熱分離セクションは、第1の位置から第2の位置まで延在する蛇行中実壁の熱伝導経路を含む。蛇行中実壁の熱伝導経路は、空間領域の長さに比べて長い。この蛇行中実壁の熱伝導経路は引張ばね定数を有し、この引張ばね定数は、蛇行中実壁の熱伝導経路と同じ空間領域内に適合されるとともに同じ材料組成で形成されるコイルスプリングの最大引張ばね定数よりも大きい。
【0017】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、蛇行中実壁の熱伝導経路は、非シングルヘリカルである。
【0018】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、引張ばね定数は、コイルスプリングの最大引張ばね定数よりも少なくとも100倍大きい。
【0019】
本発明の実施例による熱分離体が、その第1の位置から反対側の第2の位置までの長さに沿って延在する空間領域内に熱分離セクションを含む。熱分離セクションは、第1の位置から第2の位置まで延在する蛇行中実壁の熱伝導経路を含む。蛇行中実壁の熱伝導経路は、空間領域の長さに比べて長く、かつ、順行セクションと、順行セクションに対する逆行セクションと、を含む。
【0020】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、順行セクションおよび逆行セクションが、第1の位置の基準開始点から第2の位置の基準終了点までの経路を基準とした後方転換を提供する。
【0021】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、熱分離セクションは、剛体である。
【0022】
前述の実施例のいずれかの更なる実施例では、蛇行中実壁の熱伝導経路が引張ばね定数を有し、この引張ばね定数は、蛇行中実壁の熱伝導経路と同じ空間領域内に適合されるとともに同じ材料組成で形成されるコイルスプリングの最大引張ばね定数よりも大きい。
【0023】
本発明の様々な特徴および利点が以下の詳細な説明から当業者にとって明らかとなるであろう。詳細な説明に添付の図面を次のように簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】蛇行中実壁の熱伝導経路を含む熱分離セクションを有する一例の物品を示す図。
【
図2】蛇行中実壁の熱伝導経路を含む熱分離セクションを有する別の例の物品を示す図。
【
図3】蛇行中実壁の熱伝導経路を有する物品の実装例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、一例の物品20を概略的に示す。概して物品20は、少なくとも一つの別のコンポーネントの対応する嵌め合せコネクタに連結することのできる一つ以上のコネクタを有するアダプタ、またはその一部である。一部の例では、物品20は、複数のコンポーネントを互いに連結する複数のコネクタを含みうる。理解されるように、物品20およびここでの例は、種々の様々なコンポーネントに連結または互いを連結するように適用可能であるが、アダプタに限定されるものではなく、他種のコンポーネントにおいても利益を享受することができる。特に、以下に詳細に示すように、本発明の熱分離体(thermal stand-off)は、熱的分離を容易にするとともに、軸方向荷重(引張荷重または圧縮荷重)、モーメント、ねじり荷重、またはそれらの組合せを伝達する力伝達装置(構造部材)としての機能も果たす。
【0026】
図1に示すように、物品20は、第1の端部22aと第2の端部22bとの間に延在する熱分離部22を含む。この例では、熱分離部22を別個の部品として図示するが、熱分離部22は代替的にその他のコンポーネントと一体化されてもよく、あるいはその他のコンポーネント内に一体化されてもよいことを理解されたい。図示の例では、熱分離部22の第2の端部22bは、コンポーネント26の対応するコネクタインタフェースと整合するように構成されたコネクタインタフェース24を含む。単なる例示として、コネクタインタフェース24は、雄または雌インタフェース、ネジ式インタフェース、連結インタフェース、歯車式インタフェース、または歯付インタフェースなどであってもよく、コンポーネント26の対応するコネクタインタフェースと結合し、一時的または恒久的に連結するように構成される。理解されるように、コネクタインタフェース24は代替的に第1の端部22aに配置されてもよく、あるいは、端部22a/22bの各々が、それぞれ、コネクタインタフェース24を含んでもよく、それらのインタフェースは、同じ種類または異なる種類のコネクタインタフェースであってもよい。理解されるように、熱分離部22のその他の実施例が、任意のこうしたコネクタインタフェースを除外してもよい。
【0027】
熱分離部22が第1および第2の端部22a/22bの間に剛性熱分離セクション28を含む。剛性熱分離セクション28は、Sで示される空間領域内に配置され、このセクションは、「A」および「B」で示される第1および第2の位置の間の距離Dに亘って延在する。空間領域は、剛性熱分離セクション28の外面によって境界される体積部である。例えば、空間領域は、円筒形または多角形であってもよいが、こうした幾何形状に限定されない。この例では、距離Dは直線長さであるが、代わりに物品20が曲線形状を有する場合、この距離Dは、例えばアーク長または平均中心線であってもよい。この例では、剛性熱分離セクション28は、第2の端部22bに関して第1の端部22aを支持する(逆の場合も同様)。一部の例では、剛性熱分離セクション28は、第2の端部22bに関する第1の端部22aの専用の重量負荷支持部であってもよい。
【0028】
剛性熱分離セクション28は、符号30で示された蛇行中実壁の熱伝導経路を含む。蛇行中実壁の熱伝導経路30は中実壁32によって形成され、
図1に概略的に示される。例えば、中実壁32は、金属合金などの金属ベース材料から形成される。一例の金属合金は、チタン合金および超合金を含むが、これらの合金に限定されるものではない。中温または低温最終用途では、中実壁32は代替的に熱可塑性または熱硬化性ベース材料などの高分子材料から形成されうる、またはこれを含みうる。更なる例では、熱分離部22の残部が、剛性熱分離セクション28と同じ材料から形成される。
【0029】
中実壁32が第1および第2の位置A,Bの間の空間領域S内において回り道の経路状に延在する。蛇行中実壁の熱伝導経路30により熱伝導経路の距離が提供され、この距離は、この例では、剛性熱分離セクション28の一方の側の地点Aまたはそれによる点から、熱分離セクション28の他方の側の地点Bまたはそれによる点までの、経路30に沿った距離である。したがって熱伝導経路の距離は、剛性熱分離セクション28に亘って熱が伝導される距離であり、熱伝導の主な形態である固体材料のみを通過する。
【0030】
熱伝導経路の距離は、この例における地点AB間の直線距離である空間領域の距離Dよりも大きい。例えば、熱分離セクション28の空間領域の体積部が代わりに完全に中実である場合、地点AB間には直線状の熱伝導経路が存在し、それにより経路の距離は直線距離と等しくなる。しかしながら、剛性熱分離セクション28の熱伝導経路の距離は、空間領域の距離に比べてその等倍よりも大きく、更なる例では、少なくとも2倍、または更に大きな熱的分離効果を得るために少なくとも4倍大きい。
【0031】
蛇行中実壁の熱伝導経路30によって提供される相対的に長い熱伝導経路の距離の結果、その特定の設計および実装に応じて第1の端部22aから第2の端部22bへと、またはその逆へと熱分離部22を通して伝達される熱が、主に熱分離部22の中実部分を通して伝達される。剛性熱分離セクション28では、中実部分は、蛇行中実壁の熱伝導経路30を形成する中実壁32である。以下の更なる例で述べるように、それらの中実壁32の間の体積部は開放空間であってもよい。
【0032】
中実壁32、したがって蛇行中実壁の熱伝導経路30は、特定の熱伝導経路の距離および断面積を有するように設計され、その結果、第1および第2の端部22a/22bの間に熱分離の程度がもたらされる。この点に関し、熱分離セクション28の中実壁32は、空間領域の距離Dよりも大きい熱伝導経路距離を提供するように、ラビリンスすなわち迷路状の幾何形状、多重螺旋形状(例えば、二重螺旋、三重螺旋など)、非シングルヘリカル形状(すなわち、シングルヘリカルコイル)、またはその他の幾何形状を有するように設計されてもよい。中実壁32のラビリンスすなわち迷路状の幾何形状、またはその他の回り道の経路状の設計はコンピューターエイデッドデザイン(CAD)によって規定されてもよく、その際、規定された非ランダム形状を有する。
【0033】
更なる例では、蛇行中実壁の熱伝導経路30における中実壁32の寸法および幾何形状はまた、剛性熱分離セクション28のターゲット剛性に関して設計されうる。例えば、用語「剛性」とは、硬く、弾力に欠けた、柔軟性または可撓性の無い特性を表す。
【0034】
更なる例では、剛性熱分離セクション28の剛性は、同じ空間領域内に適合する同じ材料のコイルスプリングに関して表される。例えば、蛇行中実壁の熱伝導経路30は、その同じ領域内に適合するとともに蛇行中実壁の熱伝導経路30と同じ材料組成で形成されるコイルスプリングの最大引張ばね定数よりも大きい、引張ばね定数を有する。コイルスプリングの最大引張ばね定数は、そのコイルスプリングが巻く中心軸までコイルスプリングの壁が延在し、個々のコイルがすぐ隣接するコイルに接触することを前提とする。結果として得られるコイルスプリングはほぼ固形物である。更なる例では、こうしたコイルスプリングは「X」の引張ばね定数を有し、蛇行中実壁の熱伝導経路30の引張ばね定数は少なくとも100倍大きく、更なる例では、少なくとも200倍大きい。
【0035】
図2は別の例の物品120を示す。本明細書では、適切な場合には同様の参照符号は同様の構成要素を示し、その参照符号に100を加えた参照符号は対応する構成要素と同様の特徴部、機能、および利点を組み込むものとして理解される修正された要素を表す。この例では、物品120は、第1および第2の端部122a/122bの間に延在する熱分離部122を含む。第1および第2の端部122a/122bはそれぞれコネクタインタフェース124を含む。熱分離部122はまた、第1および第2の位置A,Bの間にある、再びSで示される空間領域内にある剛性熱分離セクション128を含む。
図1の物品20と同様、剛性熱分離セクション128は、中実壁132によって設けられる蛇行中実壁の熱伝導経路130を含む。蛇行中実壁の熱伝導経路130は、空間領域の距離よりも長い。
【0036】
この例では、コネクタインタフェース124は、対応する嵌め合い部品を物品120に連結する外部スレッド124aを含む。理解されるように、コネクタインタフェース124に必ずしもネジ山を切る必要はなく、代替的に他種のコネクタインタフェースであってもよい。
【0037】
剛性熱分離セクション128の中実壁132は蛇行中実壁の熱伝導経路130を形成する。この例では、中実壁132は空間領域内に巻装される。剛性熱分離セクション128を通して第1の端部122aから第2の端部122bへと向かう熱伝導に関しては、中実壁132が一つ以上の順行セクション136を有し、一つ以上の順行セクション136に関しては、一つ以上の逆行セクション138を有する。一つ以上の順行セクション136により、第1の端部122aから第2の端部122bへと向かう前方向の熱伝導経路が提供され、一つ以上の逆行セクション138により、第1の端部122aから第2の端部122bへと向かう熱伝導に対する後方向の熱伝導経路を提供する。順行セクション136および逆行セクション138はまた、中実壁132によって提供される経路が、第1の位置Aの基準開始点から第2の位置Bの基準終了点までの経路を基準として少なくとも一つの後方転換(back turn)を有するという点で、幾何学的に表される。一つ以上の逆行セクション138と組み合わされた一つ以上の順行セクション136により、熱伝導経路の距離を増加させるコンパクトな配置を提供し、延いては熱的分離を提供する。
【0038】
また
図2に示すように、中実壁132は、それらの間に空間140を画定する。空間140は熱的分離を更に向上させるように用いられる。例えば、空間140は主な熱伝導経路が中実壁132を通るように開放されたままにされる。代替的に、中実壁132を通した熱伝導率を更に促進させるように空間140の一部または全てが密封され、真空にされる。更なる例では、空間140は、物品120の設計温度差動に亘って、例えば液体−固体相間などの、2つの異なる相間で変化することが可能な相変化物質140aで満たされるまたは部分的に満たされる。物品120では、相変化物質は熱エネルギーを吸収し、それにより剛性熱分離セクション128によって得られる熱分離効果を向上させるように用いられる。一例の相変化物質は低融解温度金属である。一例の金属は液体ナトリウムであるが、所望の設計温度差動内で相変化するその他の液体または固体も代替的に用いることができる。
【0039】
任意選択的に、物品120はまた、剛性熱分離セクション128を完全にまたは部分的に囲むとともに長さLの少なくとも一部に亘って延在するスリーブ142を含む。スリーブ142は
図2において一部が切り取られているが、剛性熱分離セクション128を囲みうる。この例では、スリーブ142は、剛性熱分離セクション128の片側の連結ベース部142aから、その片側の連結ベース部142aから遠位の自由端142bへと延在する。したがって、スリーブ142は連結ベース部142aから片持ちされて、主な熱伝導経路がスリーブ142を通るのではなく、依然として剛性熱分離セクション128の中実壁132を通るように、自由端142bに間隙が設けられる。すなわち、剛性熱分離セクション128を通して伝達される熱のほとんどは、開放された間隙を超えて自由端142bに伝達されるのではなく、中実壁132を通して伝達される。また、スリーブ142の外表面はシール面としての機能を果たしてもよく、一例では、O−リングまたは同様のシールを収容することができ、あるいは、シールを収容または保持する特徴部を含みうる。
【0040】
図3は、物品120の実装例を示す。この例では、物品120の第1の端部122aが細長いプローブ160を含み、コネクタインタフェース124で物品120に固定される。代替的に、プローブ160は、単一の一体化された部品として物品120に一体化または物品120とともに形成されてもよい。
【0041】
プローブ160は、使用時に高温の環境または流体に曝されるセラミックプローブである。この例では、コンポーネント26は、第2の端部122bのコネクタインタフェース124と整合するアクチュエータであり、符号162で示すように軸方向に沿って物品120を、さらにはプローブ160を並進させるように動作可能である。一例として、プローブ160は、燃料などの高温流体の流れを調節する針、インジェクタ要素などであってもよい。したがってプローブ160は相対的に高温に曝されうる。シール164などの、物品120と熱連通するアクチュエータまたはその他のコンポーネントは温度の影響を受けやすい。この点に関し、物品120は、プローブ160が曝される高温から物品120に連結されるアクチュエータ、シール164、またはその他のコンポーネントを防護する。すなわち、剛性熱分離セクション128によって提供される相対的に長い熱伝導経路の距離により、プローブ160と、アクチュエータ、シール164または物品120に連結されたその他のコンポーネントと、の間の熱伝導を制限する。この点に関し、物品120(または20)は、連結されるコンポーネントの暴露温度を低下させるように用いられ、それによりそのコンポーネントの寿命が長くなり、あるいは、一つの連結されるコンポーネントの暴露温度に対応する温度の上昇を別の連結されるコンポーネントにもたらすことなく、その一つの連結されるコンポーネントの暴露温度の増加を可能にするように用いられる。
【0042】
物品20/120は追加式の製造、3Dプリント、機械加工、および/または拡散接合を用いて製造することができるが、任意の特定の技術に限定されない。選択される製造技術は、少なくともある程度は、中実壁32/132の選択される幾何形状によって決まる。
【0043】
特徴部の組合せを図示の例に示すが、本発明の様々な実施例の利点を実現するために全ての特徴部を組み合わせる必要はない。換言すれば、本発明の実施例に従って設計されたシステムは、必ずしも図の一つに示された全ての特徴部または図に概略的に示す全ての部位を含むものではない。さらに、一実施例の選択された特徴部をその他の実施例の選択された特徴部と組み合わせてもよい。
【0044】
上記の記載は本質的に限定的なものではなく例示に過ぎない。本発明の真意を逸脱することなく開示の実施例に対する種々の変形や修正が当業者にとって明らかとなるであろう。本発明に付与される法的保護の範囲は付記の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定される。
【符号の説明】
【0045】
20,120…物品
22a,122a…第1の端部
22b,122b…第2の端部
24,124…コネクタインタフェース
124a…外部スレッド
28,128…熱分離セクション
30,130…蛇行中実壁の熱伝導経路
32,132…中実壁
136…順行セクション
138…逆行セクション
140…空間
140a…相変化物質
142…スリーブ
142a…連結ベース部
142b…自由端