(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る免震物流建物を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、プラットホーム12を含む免震物流建物10は、免震ピット14上に免震装置16を介して免震支持されている。
免震ピット14は、地盤2に設けられた基礎構造18上に設けられており、水平面に沿って延在する底盤1402と、底盤1402の外周に沿って起立する周壁1404(土留め壁)とを備えている。
周壁1404と、免震物流建物10のプラットホーム12(最下階の床スラブ)の下面1204の梁20との間には、免震装置16が作動して免震物流建物10が水平方向に変位した際に、周壁1404と上部基礎20とが互いに干渉しないように、免震離隔距離(免震クリアランス)が確保されている。
なお、図中、符号22は、柱、符号24は、プラットホーム12の下面1204と周壁1404との隙間を塞ぐゴムシートや金属板等を示す。
【0009】
免震装置16は、互いに間隔をおいて配置された複数の免震用積層ゴム1602を含んで構成されている。
免震用積層ゴム1602は、多数のゴムシートと多数の鋼板とが交互に重ね合わせて接合された積層体を含んで構成されている。免震用積層ゴム1602は、積層体の内部に、振動のエネルギを吸収する鉛の柱が挿入されているものや挿入されていないものなど従来公知の様々な構造が採用可能である。
積層体の上側のフランジプレート1604は、プラットホーム12の下面1204の上部基礎20にボルト17で取着されている。
積層体の下側のフランジプレート1606は、基礎構造18にボルトで取着されている。
【0010】
プラットホーム12は、トラックヤード6に駐車されるトラック4の荷台402の高さにその床面1202(上面)を一致させて設けられている。
図1、
図3に示すように、プラットホーム12は、トラック4の荷台402の後端404が近接される前縁部1206を有し、前縁部1206はプラットホーム12の幅方向Wに沿って直線状に延在している。また、この前縁部1206の延在方向と直交する方向がプラットホーム12の奥行き方向Dとなっている。
プラットホーム12は、床面1202と反対側に位置する下面1204を有している。
前縁部1206は、床面1202の先端と、下面1204の先端と、それら先端を接続する先端面1208とで構成されている。
【0011】
図1から
図4に示すように、本実施の形態のプラットホーム構造は、凹部26と、渡し板28と、案内機構30と、付勢手段32と、揺動板34とを含んで構成されている。
凹部26は、プラットホーム12の床面1202に、奥行き方向Dに延在しその延在方向の一端が前縁部1206において開放状に設けられている。
凹部26の延在方向の他端は、凹部26の底壁2602から起立する起立壁2604を介して床面1202に接続されている。
凹部26は、プラットホーム12の幅方向Wに沿った幅と、この幅と直交する長さを有している。
【0012】
渡し板28は、
図1に示すように、その上面1202がプラットホーム12の床面1202と面一になるように凹部26に配設されている。
なお、凹部26の幅と渡し板28の幅は、例えば、トラック4の荷台402の幅に対応した寸法で形成され、あるいは、トラック4の荷台402の幅よりも大きな寸法で形成され、あるいは、トラック4の荷台402の幅の複数倍の寸法で形成され、プラットホーム12には単一の凹部26と単一の渡し板28が設けられ、あるいは、プラットホーム12には複数の凹部26と複数の渡し板28が設けられる。
渡し板28は、凹部26を介してプラットホーム12の前縁部1206を含む箇所に配置されるものであり、荷物およびフォークリフトなどの運搬機械の荷重に耐え得る強度の材料で構成されている。このような材料として、鋼板、プレキャストコンクリート、強化ゴム、強化プラスチックなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
渡し板28の先端部2802に下方に突出する屈曲部2804が設けられている。
渡し板28は、
図1に示すように、先端部2802(あるいは屈曲部2804)が前縁部1206から突出する突出位置(符号(イ))と、
図2に示すように、先端部2802(あるいは屈曲部2804)が前縁部1206寄りに近づいた退避位置(符号(ロ))との間で、奥行き方向Dに移動可能に配設されている。
【0013】
ここで、突出位置(イ)と退避位置(ロ)との間の寸法は、地震時に免震装置16を介してプラットホーム12が水平方向に移動する最大限の距離以上の寸法であり、いわゆる免震離隔距離(免震クリアランス)以上の寸法である。突出位置(イ)と退避位置(ロ)との間の寸法をこのように設定することで、トラック4の荷台402が屈曲部2804を介してプラットホーム12に直接衝突することを阻止できるため、トラック4の荷台402や荷物の損傷を抑制する上で有利となる。
渡し板28の先端部2802である屈曲部2804の前面に、弾性を有するクッション36が設けられ、荷台402の後端404と渡し板28とが接触した際の荷台402の損傷防止が図られている。
渡し板28は、プラットホーム12の幅方向Wに沿った幅と、この幅と直交する長さを有している。
渡し板28の後端部2806には、後方に至るにつれて下方に変位する傾斜面2808が形成されている。
【0014】
案内機構30は、渡し板28を突出位置(イ)と退避位置(ロ)との間で奥行き方向Dに移動可能に案内するものである。
案内機構30は、
図3、
図4に示すように、渡し板28の長さ方向に間隔をおいた箇所で渡し板28の幅方向Wに貫通する複数のロッド材3002と、凹部26の幅方向Wの両側に凹部26の長さ方向に沿って設けられたガイド溝3004を有するガイド部3006と、ロッド材3002の両端に設けられガイド溝3004にスライド可能に結合されたスライダ3008とを含んで構成されている。
したがって、渡し板28は案内機構30を介して、プラットホーム12と平行状態を保って突出位置(イ)と退避位置(ロ)との間で奥行き方向Dに移動可能に案内される。
本実施の形態では、ガイド部3006の上面3010とプラットホーム12の床面1202とが面一となっており、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業の円滑化が図られている。
また、本実施の形態では、案内機構30は、渡し板28の突出位置(イ)からの抜落を防止する機能も奏しており、詳細には、渡し板28の突出位置(イ)よりも退避位置(ロ)から離れる方向への移動を阻止する。
なお、このような案内機構30には従来公知の様々な構造が採用可能であり、また、案内機構30は、プラットホーム12の下面1204と凹部26の底面2602との間に設けるなどその配置構造も任意である。
【0015】
付勢手段32は、
図1に示すように、渡し板28が突出位置(イ)に位置するように渡し板28を付勢するものであり、詳細には、渡し板28を退避位置(ロ)から突出位置(イ)に向けて付勢するものである。
付勢手段32は、渡し板28の下方で屈曲部2804の幅方向に間隔をおき屈曲部2804の後面とプラットホーム12の前縁部1206との間に設けられた複数のコイルばね3202で構成されている。
したがって、渡し板28の上に荷物が何も積載されておらず、複数のコイルばね3202が自然長になった状態で、渡し板28は複数のコイルばね3202の付勢力により突出位置(イ)に位置する。このように付勢手段32の付勢力を設定することで、渡し板28が常時突出位置(イ)に位置し、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業の効率化が図られている。
このように付勢手段32を渡し板28の下方に配設すると、渡し板28やプラットホーム12の面積を減少させることがないので、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業を効率よく行なう上で有利となる。
【0016】
揺動板34は、
図1、
図3に示すように、凹部26に生ずる溝部27を閉塞するものである。
すなわち、渡し板28が凹部26に配設され突出位置(イ)に位置した状態で、渡し板28の後端部2806と起立壁2604との間に、上方に開放状で奥行き方向Dに延在する溝部27が形成される。凹部26の深さによっては、揺動板34を設けずに溝部27をそのまま存置することも可能である。ただし、この実施の形態のように溝部27を閉塞する揺動板34を設けると、渡し板28の移動部分のための溝部27とプラットホーム12の段差を解消し、荷物の積み下ろしを行なうフォークリフト等による荷物の搬入搬出作業を効率よく行なう上で有利となる。
揺動板34は、溝部27の底壁に当接する下面3404と、プラットホーム12の床面1202と同一面上に位置する上面3402と、渡し板28の後端部2806に近接する先端部3406と、起立壁2604に近接する後端部3408とを有し、先端部3406には後端部2806に近づくにつれて下方に変位する傾斜面3410が形成されている。揺動板34は、後端部3408の支軸3412を支点として先端部3406が上方に変位する方向に揺動可能に配設されている。
揺動板34の揺動は、渡し板28が突出位置(イ)から退避位置(ロ)に移動する際に、渡し板28の傾斜面2808が、揺動板34の傾斜面3410から下面3404に係合することでなされる。
【0017】
次に、作用効果について説明する。
図1に示すように、渡し板28は突出位置(イ)に位置している。
トラック4は、トラックヤード6において、荷台402の後端404を、突出位置(イ)に位置する渡し板28の屈曲部2804のクッション36に近接させて駐車される。
この状態でトラック4に積載した荷物をフォークリフトなどを用いてプラットホーム12を介して免震物流建物10に搬入する作業、あるいは、免震物流建物10に収容した荷物をトラック4に搬出する作業がなされる。
【0018】
ここで、地震により免震装置16が作動して免震物流建物10に横揺れが発生すると、地盤2に対してプラットホーム12が相対的に水平方向に変位する。これにより、渡し板28の屈曲部2804と荷台402の後端404とが相対的に近接し、その結果、荷台402の後端404と渡し板28の屈曲部2804は当接し、渡し板28は、付勢手段32の付勢力に抗して突出位置(イ)から退避位置(ロ)に向かって移動する。
さらに渡し板28の屈曲部2804と荷台402の後端404とが相対的に近接すると、渡し板28の傾斜面2808が揺動板34の傾斜面3410から下面3404に係合し、揺動板34は、支軸3412を支点として先端部3406が上方に変位する方向に揺動する。これにより渡し板28の退避位置(ロ)方向への移動が許容され、複数のコイルばね3202が圧縮された状態で渡し板28は退避位置(ロ)となり、渡し板28のプラットホーム12の奥行き方向Dへの移動が制限される。
なお、地震による横揺れが収まると、付勢手段32の付勢力により渡し板28が突出位置(イ)に復帰する。
また、渡し板28が突出位置(イ)に復帰することで溝部27が形成され、揺動板34が揺動して溝部27を閉塞する。
【0019】
本実施の形態によれば、トラック4の荷台402の後端404を、突出位置(イ)に位置する渡し板28の屈曲部2804のクッション36に近接させた状態で、荷物の搬入搬出作業をしている際に、地震が生じ免震物流建物10に横揺れが発生しても、渡し板28が突出位置(イ)から退避位置(ロ)に移動するため、プラットホーム12の前縁部1206と荷台402の後端404とが直接ぶつかり、トラック4の荷台402や荷物が損傷することを抑制する上で有利となる。
また、地震による横揺れが無い状態では、凹部26に収容された渡し板28の上面1202は、プラットホーム12の床面1202と面一となっているため、荷物の積み下ろしを行なうフォークリフト等による荷物の搬入搬出作業を効率よく行なう上で有利となる。
また、地震による横揺れが発生した状態では、渡し板28の移動により揺動板34が上方に揺動し渡し板28の退避位置(ロ)への移動が確保されるため、渡し板28の突出位置(イ)から退避位置(ロ)への移動を確実に行なう上で有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図5、
図6を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態にストッパ機構38と解除機構40とを加えたものである。
【0021】
ストッパ機構38は、渡し板28に係止し渡し板28を突出位置(イ)に位置させるものである。本実施の形態でも、付勢手段32は、渡し板28が突出位置(イ)に位置するように渡し板28を付勢するものであり、渡し板28の突出位置(イ)は、付勢手段32の付勢力とストッパ機構38により決定される。詳細には、付勢手段32は、渡し板28を突出位置(イ)よりも若干退避位置(ロ)寄りの箇所に付勢するものであり、この付勢手段32の付勢力により屈曲部2804と、後述するストッパ機構38のアーム42とが常時当接し、渡し板28の突出位置(イ)が安定した状態で保持される。このように付勢手段32の付勢力を設定することで、後述するストッパ機構38と渡し板28との係止が解除された場合でも、渡し板28が常時突出位置(イ)に位置し、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業の効率化が図られている。
ストッパ機構38は、その先端4202が上下方向に変位するようにその基端4204がプラットホーム12の前縁部1206側で支軸41を介して揺動可能に支持されたアーム42を含んで構成されている。
アーム42が水平状態で先端4202が屈曲部2804に当接することで渡し板28の突出位置(イ)が保持されている。
【0022】
解除機構40は、地震による免震物流建物10の横揺れ発生時にストッパ機構38の渡し板28への係止を解除するものである。
解除機構40は、解除ピン44と、連結部材46を含んで構成されている。
解除ピン44は、屈曲部2804の挿通孔2804Aとアーム42の先端4202の挿通孔4206とにわたって挿脱可能に挿通されそれら挿通孔2804A、4206に挿通されることで先端4202の下方への変位を阻止しアーム42の揺動を阻止する。
連結部材46は、解除ピン44と免震ピット14側とを連結し挿通孔2804A、4206に解除ピン44が挿通された状態から屈曲部2804が免震ピット14から離れる方向に変位した際に解除ピン44を挿通孔2804A、4206から外すものである。したがって、連結部材46の長さは、横揺れのない免震物流建物10の正常時、挿通孔2804A、4206に解除ピン44が挿通された状態で、解除ピン44が挿通された状態を保って解除ピン44と免震ピット14の周壁1404との間の距離に対応した長さで設けられている。連結部材46としてワイヤなどが使用可能である。
【0023】
次に、作用効果について説明する。
図5に示すように、渡し板28はストッパ機構38および付勢手段32により突出位置(イ)に位置している。したがって、第1の実施の形態に比べ、渡し板28の突出位置(イ)を、プラットホーム12の長期使用に拘わらず一定の位置に維持させる上で有利となる。また、トラック4の荷台402の後端404が地震時以外に渡し板28に接触したときに渡し板28の突出位置(イ)を保持する上で有利となる。
トラック4は、トラックヤード6において、荷台402の後端404を、突出位置(イ)に位置する渡し板28の屈曲部2804のクッション36に近接させて駐車される。
この状態でトラック4に積載した荷物をプラットホーム12を介して免震物流建物10に搬入する作業、あるいは、免震物流建物10に収容した荷物をトラック4に搬出する作業がなされる。
ここで、地震により免震装置16が作動して免震物流建物10に横揺れが発生すると、地盤2に対してプラットホーム12が相対的に水平方向に変位する。これにより、プラットホーム12の屈曲部2804と免震ピット14の周壁1404との距離が大きくなると、解除ピン44が挿通孔2804A、4206から外れ、アーム42は重力により支軸41を中心として先端4202が下方に変位する方向に揺動し、屈曲部2804の後面とアーム42の先端4202との係止が解除される。この場合にアーム42は重力により揺動するため、地震時以外ではアーム42が確実に渡し板28の可動を拘束し、地震時には容易にアーム42が揺動出来る状態になる。また、揺動後のアーム42の復旧作業の簡素化を図る上で有利となる。また、ストッパ機構38の部品点数を削減し、ストッパ機構38の構造の簡素化を図る上で有利となっている。
【0024】
これにより、渡し板28は突出位置(イ)から退避位置(ロ)へ向かう方向へ移動可能となる。
そのため、荷台402の後端404と渡し板28の屈曲部2804とが当接し、渡し板28は、付勢手段32の付勢力に抗して突出位置(イ)から退避位置(ロ)に向かって移動する。
したがって、プラットホーム12の前縁部1206と荷台402の後端404とが直接ぶつかり、トラック4の荷台402や荷物が損傷することを抑制する上で有利となる。
なお、案内機構30による作用効果や、揺動板34により溝部27を閉塞する作用効果、渡し板28の突出位置(イ)から退避位置(ロ)への移動時に揺動板34が揺動する作用効果などについては第1の実施の形態と同様である。
また、ストッパ機構38を構成するアーム42を渡し板28の下方に配設し、また、連結部材46をプラットホーム12の下方に配設しているので、渡し板28やプラットホーム12の面積を減少させることがなく、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業を効率よく行なう上で有利となる。
なお、地震による横揺れが収まると、付勢手段32の付勢力により渡し板28が突出位置(イ)に復帰し、揺動板34が自重により下方に揺動し溝部27を閉塞した状態に戻る点は第1の実施の形態と同様である。アーム42を水平状態に戻して屈曲部2804の後面とアーム42の先端4202とを係止状態とし、解除ピン44を挿通孔2804A、4206に挿通する作業は手作業により行なう。
【0025】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について
図7、
図8を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、ストッパ機構38および解除機構40の構成が第2の実施の形態と異なっている。
なお、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、付勢手段32は複数のコイルばね3202で構成されている。詳細には、付勢手段32は、渡し板28を突出位置(イ)よりも若干退避位置寄りの箇所に付勢するものであり、この付勢手段32の付勢力により後述する角パイプ48の後端のフランジ4802と、後述するストッパ機構38の規制部材52の係合凸部68とが常時当接し、渡し板28の突出位置(イ)が安定した状態で保持される。このように付勢手段32の付勢力を設定することで、後述するストッパ機構38の規制部材52の係合凸部68と角パイプ48の後端のフランジ4802との係止が解除された場合でも、渡し板28が常時突出位置(イ)に位置し、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業の効率化が図られている。
【0026】
図7、
図8に示すように、ストッパ機構38は、角パイプ48と、フレーム50と、規制部材52と、ばね54とを含んで構成されている。
角パイプ48は、断面が正方形状を呈し、角パイプ48の前端は屈曲部2804の後面に取着され、角パイプ48は渡し板28の長さ方向に沿って水平に延在している。
角パイプ48の後端に、下方に突出するフランジ4802が設けられ、フランジ4802には後述する解除ピン56が挿通される第1の挿通孔4804が形成されている。
【0027】
フレーム50は、プラットホーム12の下面1204に取着される上板部58と、プラットホーム12の幅方向Wにおいて上板部58の両側から下方に突出された一対の側板部60とを備え、一対の側板部60の間に角パイプ48の後部が位置している。
規制部材52は、一対の側板部60に支軸62を支点として揺動可能に設けられた一対のアーム部64と、一対のアーム部64の先端同士を接続する接続部66と、接続部66の長手方向の中央に設けられ上方に突出する係合凸部68とを有している。
図7に実線で示すように、規制部材52は、一対のアーム部64が水平となり、係合凸部68が角パイプ48のフランジ4802に係合することで渡し板28の突出位置(イ)から退避位置方向への移動を阻止する。
また、係合凸部68には、一対のアーム部64が水平となった状態で、第1の挿通孔4804と同軸上に位置し後述する解除ピン56が挿通される第2の挿通孔6802が形成されている。
ばね54は、一対のアーム部64と一対の側板部60との間にそれぞれ張設され、一対のアーム部64を水平状態から、支軸62を中心に先端部が下方に変位する方向に付勢している。
【0028】
解除機構40は、解除ピン56と、連結部材57とを含んで構成されている。
解除ピン56は、
図7に実線で示すように、係合凸部68とフランジ4802とが係合した渡し板28の突出位置(イ)で、第1の挿通孔4804および第2の挿通孔6802に挿通され、一対のアーム部64の下方への揺動を阻止し、一対のアーム部64の水平状態を保持する。
連結部材57は、解除ピン56と免震ピット14側とを連結し挿通孔4804、6802に解除ピン56が挿通された状態から屈曲部2804が免震ピット14から離れる方向に変位した際に解除ピン56を挿通孔4804、6802から外すものである。したがって、連結部材57の長さは、横揺れのない免震物流建物10の正常時、挿通孔4804、6802に解除ピン56が挿通された状態で、解除ピン56が挿通された状態を保って解除ピン56と免震ピット14の周壁1404との間の距離に対応した長さで設けられている。
【0029】
次に、作用効果について説明する。
図7に示すように、渡し板28はストッパ機構38および付勢手段32により突出位置(イ)に位置している。したがって、第2の実施の形態と同様に、渡し板28の突出位置(イ)を、プラットホーム12の長期使用に拘わらず一定の位置に維持させる上で有利となる。
トラック4は、トラックヤード6において、荷台402の後端404を、突出位置(イ)に位置する渡し板28の屈曲部2804のクッション36に近接させて駐車される。
この状態でトラック4に積載した荷物をプラットホーム12を介して免震物流建物10に収容する作業、あるいは、免震物流建物10に収容した荷物をトラック4に積み込む作業がなされる。
ここで、地震により免震装置16が作動して免震物流建物10に横揺れが発生すると、地盤2に対してプラットホーム12が相対的に水平方向に変位する。これにより、フレーム50の係合凸部68と免震ピット14の周壁1404との距離が大きくなると、解除ピン56が挿通孔4804、6802から外れる。これにより、一対のアーム部64はばね54により支軸62を中心として接続部66が下方に変位する方向に揺動し、フレーム50の係合凸部68と角パイプ48のフランジ4802との係止が解除される。
【0030】
これにより、渡し板28は突出位置(イ)から退避位置へ向かう方向へ移動可能となる。
そのため、荷台402の後端404と渡し板28の屈曲部2804とが当接し、渡し板28は、付勢手段32の付勢力に抗して突出位置(イ)から退避位置に向かって移動する。
したがって、プラットホーム12の前縁部1206と荷台402の後端404とが直接ぶつかり、トラック4の荷台402や荷物が損傷することを抑制する上で有利となる。
なお、案内機構30による作用効果や、揺動板34により溝部27を閉塞する作用効果、渡し板28の突出位置(イ)から退避位置への移動時に揺動板34が揺動する作用効果などについては第1の実施の形態と同様である。
また、ストッパ機構38を構成する角パイプ48を渡し板28の下方に配設し、また、解除機構40をプラットホーム12の下方に配設しているので、渡し板28やプラットホーム12の面積を減少させることがなく、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業を効率よく行なう上で有利となる。
なお、地震による横揺れが収まると、付勢手段32の付勢力により渡し板28が突出位置(イ)に復帰し、揺動板34が自重により下方に揺動し溝部27を閉塞した状態に戻る点は、第1、第2の実施の形態と同様である。しかしながら、アーム部64を水平状態に戻して係合凸部68を角パイプ48のフランジ4802に係合させて渡し板28の突出位置(イ)を保持させ、解除ピン56を挿通孔4804、6802に挿通する作業は手作業により行なう。
【0031】
なお、実施の形態では、揺動板34を凹部26に設け、揺動板34を設けた場合について説明したが、凹部26の深さによっては揺動板34は省略可能であり、その場合には渡し板28はプラットホーム12の床面1202上に直接載置されることで配置される。
また、揺動板34の厚さが小さい場合には、凹部26は省略可能である。
ただし、実施の形態のように凹部26、揺動板34を設けると、プラットホーム12の床面1202に段差が無くなり、フォークリフトなどによる荷物の搬入搬出作業を効率よく行なう上で有利となる。
また、凹部26は設けるが、揺動板34を省略し、渡し板28の後端部2806に傾斜面を設け、渡し板28の突出位置(イ)から退避位置(ロ)への移動時に、渡し板28がプラットホーム12の床面1202に乗り上がるようにしてもよい。
また、渡し板28をプラットホーム12の床面1202上に設けた場合について説明したが、渡し板28は、プラットホーム12の厚さ方向の中間部や下面1204に設けることも可能である。
【0032】
また、揺動板34に代えて可撓性を有する材料で構成された弾性板を設けても良い。
この場合、渡し板28が退避位置(ロ)に移動する際に、弾性板が圧縮変形することで渡し板の移動が許容される。
また、第2、第3の実施の形態では、解除ピン44(56)が挿通孔2804A、4206(4804、6802)から抜落することで渡し板28とストッパ機構38との係止状態を解除する場合について説明したが、解除ピン44(56)が破断されることで渡し板28とストッパ機構38との係止状態が解除されるようにしてもよい。
この場合には、連結部材46(57)は不要となる。
また、実施の形態では、突出位置(イ)と退避位置(ロ)との間の寸法を、免震クリアランス以上の寸法で形成した場合について説明したが、本発明では、突出位置(イ)と退避位置(ロ)との間の寸法を免震クリアランス未満の寸法で形成してもよく、その場合には、トラック4の荷台402や荷物の損傷を低減する上で有利となる。