(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6511325
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】回転繰出容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20190425BHJP
【FI】
A45D34/04 520C
A45D34/04 515Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-84386(P2015-84386)
(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公開番号】特開2016-202323(P2016-202323A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 満
【審査官】
吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05407286(US,A)
【文献】
実開昭63−103778(JP,U)
【文献】
特開平10−179244(JP,A)
【文献】
特開2008−246008(JP,A)
【文献】
特開2015−228883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A45D 40/00
B43K 21/00
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の先軸の後方に該先軸に対して相対回転自在に設けられた筒状の後軸と、先軸と後軸内に挿入されて棒状部材を支持するための保持部材を有してなり、後軸に対して先軸を回転させることによって棒状部材を先軸に対して軸方向に移動させる回転繰出容器であって、
後軸先端側には、軸方向にスリットの有る筒部を形成し、当該筒部の最外径部にエッジのある突起を周方向で不等間隔に形成し、
前記筒部に対応する位置の先軸内部には、エッジ部を形成しており、
後軸に対する先軸の回転が所定方向の場合に、前記突起のエッジと前記エッジ部とが噛み合い、その回転が規制される構成であることを特徴とする回転繰出容器。
【請求項2】
前記筒部は先方に開放するスリットの形成によって複数の部分に分割されて、その分割部分が周方向に配列された構造を呈し、
前記複数の分割部分のうちの所定の分割部分には、最外径部にエッジのある突起を形成しておらず、所定以外の他の分割部分には、最外径部にエッジのある突起を形成することによって、前記筒部の最外径部にエッジのある突起を周方向に不等間隔に形成したことを特徴とする請求項1に記載の回転繰出容器。
【請求項3】
前記筒部における他の分割部分の突起形成箇所では、当該分割部分のスリット側の面が突起の面に直線的に連続し、その突起の最外径部にエッジが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転繰出容器。
【請求項4】
スリット及び分割部分は少なくとも三箇所形成したことを特徴とする請求項1から3のうちの1項に記載の回転繰出容器。
【請求項5】
後軸内にネジ棒が収容されて、後軸に対して先軸を前記所定方向以外の方向に回転させることによりネジ棒が先方に進み、先方に進むネジ棒が棒状部材を押し出して、当該棒状部材を先軸先端から繰り出し可能であることを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載の回転繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料、棒状筆記体、棒状塗布体等の棒状部材を容器から繰り出して使用する棒状化粧料容器、筆記具、塗布具等に利用する回転繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1や特許文献2に代表される回転繰出機構を有する容器が開示されている。
【0003】
特許文献1の塗布具付の化粧液体収納容器では、胴部内の化粧料を押し下げる螺旋筒部を底キャップによって回転させるもので、底キャップが正方向のみに回転するラチェット機構の逆回転防止機構が設けられている。
【0004】
特許文献2の吐出容器では、筒状の容器本体内に固定仕切り板を固定し、容器本体の軸中心に位置する回転体に回転仕切り板を設けて、回転仕切り板を回転させる際に、回転体が容器本体に対して一方向に回転するラチェット機構を有しているものである。
【0005】
したがって、これらの回転繰出容器は、繰出方向とは反対側(逆側)の回転を行う場合、ラチェット機構のロックがかかり、回転動作を防止する作用を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6−10号公報
【特許文献2】特開2012−116508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の特許文献1−2の技術では、逆回転時にラチェット機構にてロックを掛けるが、強引に回転させるとロックが外れる恐れがあり更にロックを強くかける機構が望まれる。また、このような構成では、ロックの確実性を上げようとすると正回転時に回転抵抗が重くなりやすく、軽い操作感が確保されなかった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、回転操作において後軸に対する先軸が逆回転方向等の所定方向に回転するのを確実に規制できると共に、所定方向以外の正回転においては、回転が規制されず軽い回転で棒状部材を繰り出すことができる回転繰出容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、筒状の先軸の後方に該先軸に対して相対回転自在に設けられた筒状の後軸と、先軸と後軸内に挿入されて棒状部材を支持するための保持部材を有してなり、後軸に対して先軸を回転させることによって棒状部材を先軸に対して軸方向に移動させる回転繰出容器であって、
後軸先端側には、軸方向にスリットの有る筒部を形成し、当該筒部の最外径部にエッジのある突起を周方向で不等間隔に形成し、
前記筒部に対応する位置の先軸内部には、エッジ部を形成しており、
後軸に対する先軸の回転が所定方向の場合に、前記突起のエッジと前記エッジ部とが噛み合い、その回転が規制される構成であることを特徴とする回転繰出容器である。
【0010】
本発明において、前記筒部は先方に開放するスリットの形成によって複数の部分に分割されて、その分割部分が周方向に配列された構造を呈し、
前記複数の分割部分のうちの所定の分割部分には、最外径部にエッジのある突起を形成しておらず、所定以外の他の分割部分には、最外径部にエッジのある突起を形成することによって、前記筒部の最外径部にエッジのある突起を周方向に不等間隔に形成したことが好適である。
【0011】
また、本発明において、前記筒部における他の分割部分の突起形成箇所では、当該分割部分のスリット側の面が突起の面に直線的に連続し、その突起の最外径部にエッジが形成されていることが好適である。
【0012】
本発明において、スリット及び分割部分は少なくとも三箇所形成したことが好適である。
【0013】
また、本発明において、後軸内にネジ棒が収容されて、後軸に対して先軸を前記所定方向以外の方向に回転させることによりネジ棒が先方に進み、先方に進むネジ棒が棒状部材を押し出して、当該棒状部材を先軸先端から繰り出し可能であることが好適である。
【0014】
なお、棒状部材は、先軸に対して回転が規制された断面が長円形や楕円等の断面異形のものが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、先軸内部には、後軸先端側の筒部には縦方向にスリットを形成し、筒部の最外径部にはエッジのある突起を周方向で不等間隔に形成し、先軸内部には、エッジ部を形成しており、後軸に対する先軸の回転が所定方向の場合に、前記突起と前記エッジ部とが噛み合い、回転が規制される。その際に、エッジのある突起を周方向で不等間隔に形成しているので、突起とエッジ部との噛み合い位置が前記筒部の周方向で偏りが生じるものになる。この噛み合い箇所の偏りが後軸の中心軸を先軸の中心軸から径方向にずらす力となるので、筒部が強引に径方向に偏り、後軸表面の突起が先軸のエッジ部に強固に引っかかるため、確実に所定回転方向(例えば逆回転方向)に回転するのを防ぐことができる。
【0016】
また、所定方向の逆方向への回転(例えば正回転)においては、回転規制を無くすことにより、従来通りの軽い回転で繰り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に実施形態に係る回転繰出容器の全体図であり、(a)が縦断面図、(b)が(a)を90度回転させた縦断面図である。
【
図2】
図1の回転繰出容器の後軸の部品図であり、(a)が先方からの視図、(b)が縦断面図、(c)が(d)のD−D線に沿う横断面図、(d)が(b)のA部の拡大図である。
【
図3】
図1の回転繰出容器の先軸の部品図であり、(a)が(b)のH部拡大図、(b)が先軸の縦断面図、(c)が(a)のG−G線に沿う横断面図である。
【
図4】
図1の回転繰出容器のネジ棒の部品図であり、(a)が(c)のD部矢視拡大図、(b)がネジ棒の正面図、(c)が(b)を90°回転させた正面図、(d)が(c)のA−A断面拡大図、(e)が(c)のB−B断面拡大図、(f)が(b)の突起部拡大図、(g)が(c)の突起部の拡大図、(h)が(c)のC−C断面拡大図である。
【
図5】
図1の回転繰出容器のピストンの部品図であり、(a)が先方からの拡大視図、(b)が(a)を90°回転させた拡大視図、(c)が正面視拡大図、(d)が(b)のD−D線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は実施形態に係る繰り出し容器の全体図である。
図2が後軸、
図3が先軸、
図4がネジ棒、
図5がピストンの各部品説明図である。
【0020】
図1に示すように実施形態の係る繰出容器は、固形棒状化粧料等の芯1(棒状部材に相当)、当該芯1を押し出すためネジ棒2、後軸4、尾栓5、先軸6、芯1を固定するピストン(保持部材に相当)7、及び、芯1を覆うキャップ8を有する。なお、先軸6後部内周と後軸4先端の筒部9外周とのには、シール部材3としてO(オー)リングが設けられている。また、後軸4の尾端に尾栓5が嵌合して塞がれている。
【0021】
詳しくは、前記繰出容器は、筒状の先軸6の後方に該先軸6に対して相対回転自在に設けられた筒状の後軸4と、先軸6と後軸4内に挿入されて芯1を支持するための保持部材7を有してなり、後軸4に対して先軸6を回転させることによって芯1を先軸6先端に対して先方に繰り出し移動させる回転繰出容器である。芯1は、横断面が扁平、長円形、楕円等の異形断面の固形棒状化粧料(アイライン、アイブロー用等)や、口紅、リップクリーム等の棒状化粧料であり、回転繰出容器から繰り出す化粧料鉛筆の構成をとれるものである。
【0022】
後軸4先端側の筒部9には、等間隔の縦方向にスリット10を形成し、筒部9の最外径部にはエッジのある突起11を周方向に不等間隔で形成している(
図2参照)。
【0023】
また、前記筒部9に対応する位置の先軸6内部には、エッジ部12を形成している(
図3参照)。
【0024】
後軸4に対する先軸6の回転が逆回転方向(所定方向)の場合に、前記突起11と前記エッジ部12とが噛み合い、その回転が規制され、また、後軸4に対して先軸6を正回転方向に軽く回転可能な構成である回転繰出容器である。
【0025】
以下各部を詳細に説明する。
〔後軸4〕
後軸4は、
図2に示すように、中空の概略筒状体であり、内部に螺旋溝4aが形成され、先端に段状に小径にした筒部9が形成されている。
【0026】
前記筒部9の先端では、
図2(a)、(b)に示すように、先方から軸方向に沿ってスリット10が三箇所切り込まれている。
【0027】
このように、前記筒部9は先方が開放するスリット10の形成によって複数の部分(分割部分9a…)に分割される。各分割部分9a…が周方向に配列された構造を呈し、
図2(c)に示すように、それぞれが弧を描いた概略へら状または樋状を呈している。
【0028】
前記複数の分割部分9aのうちの所定の分割部分9a1には、最外径部にエッジの無い凸部13を形成している。所定以外の他の分割部分9aには、最外径部にエッジのある突起11を形成することによって、前記筒部9の最外径部にエッジのある突起11を不等間隔に形成したものである。符号11aでエッジを示す。
【0029】
筒部9の分割部分9a1では、エッジのある突起を形成していないが、最外径部に形成した凸部13には、スリット10に面する部分から面取り13aを形成してエッジを無くしている。
【0030】
筒部9は、
図2(c)、(d)に示すように、先端部が概略フランジ状に拡径しており、その拡径した部分の最外径部となり、その最外径部の外周面に突起11と凸部13とが形成されている。突起11が2箇所とその凸部13が1箇所形成されており、したがって、エッジのある突起11が周方向で不等間隔である。
【0031】
言い替えれば、先方が開放するスリット10の形成によって片持ち梁状を呈する分割部分9a…が複数、周方向に配列された構造を呈している。
【0032】
なお、スリット及び分割部分は三箇所形成されているが、本発明では、2箇所でも3箇所を超えて形成することができる。2箇所の場合、一つの分割部分に突起を形成し、他の部分に突起を形成しない。3箇所を超える場合も一箇所以上、突起を形成しない部分とすれば良い。
【0033】
実施形態において、後軸4は樹脂材料が射出成形されるものであるが、筒部9のスリット10を形成するための金型のパーティングラインを
図2(c)に符号PLで示す。金型の割り方向がPLに垂直になる。また、繰り出し回転方向を符号FWで示す。
【0034】
図2に示すように、該筒部9は厚みがあるが、切り欠かれたスリット10を挟む一面部10a及び他面部10bが周方向に対向して形成されている。一面部10aは、ほぼ120°程度置きに筒部9(後軸4)の回転中心CLから放射方向線に沿って形成されている。そして、当該一面部10aと共にスリット10を挟む他面部10bが当該一面部10aに平行になるように形成されている。したがって、一面部10a及び他面部10bに挟まれるスリット10は、回転中心からの放射方向とは回転方向に少しずれて形成されているといえる。なお、一つの突起11のエッジ11aから次の突起11のエッジ11aまで回転方向FWに沿って120°の間隔(符号「RW1」で示す)があるが、一つの突起11から凸部13まで122°の間隔(符号「RW2」で示す)がある。
【0035】
また、前記筒部9における他の前記分割部分9aのエッジのある突起11は、スリットを挟む一面部10a及び他面部10bのうちの一方(一面部10a)が放射方向に外側に延びて突起11のエッジの面に連続している。
【0036】
筒部9の外面の突起11は、外周面から突出するが、その形成位置が前記一面部10aの外周面に臨む位置で外側方向に突出している。三つのスリット10(10A、10B、10C)のうちの一つのスリット10Aでは、一面10aから面取り13a(例えば32°)を経由して凸部13が立ち上がっている。他のスリット10B、10Cでは一面10aが切り立って突起11の突出した部分がエッジ11aになる。なお、スリット10A、10B、10Cが放射方向からずれている(角度を持っている)のは、上記のパーティングラインPLとの関係で金型の抜き角を考慮したものである。
【0037】
ここで、後軸4では、
図2(d)筒部9の突起11の形成部分の後部は段状に縮径部14が形成されて、この縮径部14に
図1に示した、Oリング3が嵌り込む。そして、縮径部の後方では周面に環状リブ15が複数形成され、後軸4を先軸6に挿入した際に環状リブ15が先軸6の対応する凹凸箇所に嵌合して抜け止められる。
【0038】
〔先軸6〕
先軸6は、
図3に示すように、先細い管状を呈し、後部に後軸4を嵌入させるやや太径の管状部16が形成されている。管状部16内には、先方向の内周面に360°に亘って三角歯状のエッジ部12が複数、配列形成されている。エッジ部12が片側に切り立ち、他側が斜面になっている。前記環状部の内周面でエッジ部12の後方には、後軸4の環状リブが回転自在に嵌入する凸状リブ17が先後に形成されている。
【0039】
〔ネジ棒2〕
ネジ棒2は、
図4に示すように、先方部2fが扁平な楕円断面形状の棒状を呈し、中央部2cが円形断面の棒状を呈し、後部2rが中央部よりも拡径した円形断面を呈して全体に概略柱状である。なお、後端部は縮径して円形断面である。
【0040】
ネジ棒2の中央部には、雄ネジの機能を奏する突起部2aが両側に対で形成されている。突起部2aは
図4(f)〜(h)に示すように、側面視で長円形であり台形状の突起部2aが突出形成されている。この突起部2aが後軸4の雌ネジの螺旋溝4aに螺合して、後軸4に対して先軸6を正回転方向に回転させることによってネジ棒2が前進する。
【0041】
ネジ棒2の先方側に、芯1を装着するピストン7が設けられる。ピストン7は
図5に示すように、断面楕円の後端塞がりの管状であり、概略カップ状を呈したものである。先方から芯1が内部7aに挿入可能であり、内部には芯1が抜けないように突起7bが形成されている。そして、ピストン7後端面に7cに、ネジ棒2の先端が単に当接するように平面の当接面になっており、当該ネジ棒2によって押圧されるとピストン7が先方に前進するが、ネジ棒2が仮に後退してもピストン7は後退しない構造になっている。また、ピストン7の開口端部の周縁には、先軸6の内周面に密着して摺動する外周シール部7dがフランジ状に形成されており、これによって、芯1がガタツキなく安定的に繰出せるようにしている。
【0042】
以上説明した本実施形態の繰出容器において、先軸6内部には、後軸4先端側の筒部9には縦方向にスリット10を形成し、筒部9の最外径部にはエッジのある突起11を周方向で不等間隔に形成している。また、先軸6内部には、エッジ部12を形成している(エッジ部12の形成は周方向に等間隔又は不等間隔のいずれでもよい)。
使用者が後軸4に対して先軸6を回転させるときに、繰出し方向の逆の所定方向に回転させた場合に、前記突起11と前記エッジ部12とが噛み合って回転が規制される。その際に、エッジのある突起11を周方向で不等間隔に形成しているので、突起11とエッジ部12との噛み合い位置が、前記筒部9の周方向で偏りが生じるものになる。
具体的には、
図2において、突起11は噛み合うが、面取り13aのある凸部13は滑って噛み合わない。
【0043】
この噛み合い箇所の偏りが後軸4の中心軸を先軸6の中心軸(
図2の符号CL)から径方向にずらす力となるので、筒部9が強引に径方向に偏り、後軸4表面の突起11が先軸6のエッジ部12にさらに強固に引っかかるため、確実に所定回転方向(例えば逆回転方向)に回転するのを防ぐことができる。
【0044】
また、後軸4内にネジ棒2が収容されて、後軸4に対して先軸6を正回転方向に回転(所定方向の逆方向への回転)させることによりネジ棒2が芯(棒状部材)1を押し出して先軸6先端から繰り出し可能である。その際、
図2に示す突起11と凸部13は、
図3に示すエッジ部12上を滑るので、回転規制が無くなり、従来通りの軽い回転で芯を繰り出すことができる。また、キャップ7をネジ棒2で押し連結しない構造であるので、意図せずに、ネジ棒2が後退した際でも芯1が後退しない。
【0045】
なお、芯1は、先軸6に対して回転が規制された断面異形のものが好適であり、楕円形断面に限定されない。
【0046】
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の範囲内で種々に変形実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の回転繰出容器は、化粧用鉛筆(アイライン、アイブロー用等)、口紅、リップクリーム等の棒状化粧料、棒状筆記体、棒状塗布体等の棒状部材を容器から繰り出して使用する棒状化粧料容器、筆記具、塗布具等に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 芯(棒状部材)
2 ネジ棒
2a 突起部
3 シール部材(Oリング)
4 後軸
4a 螺旋溝
5 尾栓
6 先軸
7 ピストン(保持部材)
9 筒部
9a 筒部の分割部分
10 スリット
10A スリット
10B スリット
11 突起
11a 突起のエッジ
12 エッジ部
13 凸部
14 縮径部
15 環状リブ
16 管状部
17 凸状リブ
CL 回転中心
FW 回転方向